複層ガラス

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典型的な複層ガラスの断面図
中間層 (Air Space)
ガラス板 (Glass Lite)
シリコーンによる密閉 (Silicone Seal)
乾燥剤 (Desiccant)
スペーサー (Spacer)
ブチルによる密閉 (Butyl Seal)

複層ガラス(ふくそうガラス)とは複数枚の板ガラスを重ね、その間に乾燥空気やアルゴンガス等の入った中間層を設ける形で1ユニットを構成するガラスを指す[1]。中間層は密閉されており、基本的に中間層の厚さが増すほど断熱性が高まるが、中間層が12mmを超えると対流が発生し断熱性能が頭打ちになる[1]。ただし、中間層にガラスを追加することでこの問題は解消できる。

多くの先進国では、エネルギー消費量を抑えるために複層ガラスの利用が義務化されているが、日本では特に規定されていない。

目次

[編集] 特徴

複数枚のガラスと密閉された中間層により、光の透過性を保ちつつ、断熱効果を得ることができる。

断熱効果

一般的な断熱材と同じ原理を用いており、対流が起こらない状態の空気は断熱性能が高いという性質を利用している。製品によっては断熱性能をさらに高めるため、空気層を気密化して真空にしたり、アルゴンガス等を使用したものもある。日本で普及している複層ガラスは主に2枚の板ガラスが使われているが、ヨーロッパでは中間層にガラスを追加し、3枚の板ガラスで構成されている製品がある。

結露防止

部屋の内外の温度差が原因となる結露の防止に役立つため、最近では様々な分野において利用されている。ただし、石油ストーブ等の開放型暖房器具を使う場合は水蒸気と排気ガスが室内に出るため効果が薄れる[2]

遮音効果

2枚のガラスが共鳴するため、3mm厚ガラス2枚で構成される複層ガラスよりも6mm厚の単層ガラスの方が遮音性が高いケースも多い[3]。ただし、製品によっては単層ガラスよりも遮音性が向上してる場合もあり、複層ガラスと単層ガラスとの遮音性の優劣は一概には言えない。

[編集] Low-E複層ガラス

Low-Eとは、Low Emissivity(低放射)の略で、複層ガラスのうち、その内面部に特殊な金属膜を設けたものをいう[4]。外側ガラスの内面側に特殊金属膜を設けたものを遮熱高断熱複層ガラス、内側ガラスの外面に設けたものを高断熱ガラスとする場合が多い。施工地域の寒暖や建物開口部(採光する窓)の向きによって使い分ける。金属膜が輻射熱を反射させるため、従来の複層ガラスに比べ冷暖房負荷を大きく削減することができ、数年で初期投資が回収できる。欠点として輻射熱を反射させると同時に、携帯電話などの電磁波も反射させるため電波受信感度が低下する可能性もある。

[編集] リフォーム

日本では、省エネルギー性や居住性の向上のために、単板ガラスから複層ガラスに切り替える需要が高まっているが、窓ガラスの交換には多額の費用がかかる上、場合によってはサッシを取り替える必要があるため進んでいない。また、ジャロジーなど特殊な窓には構造的に複層ガラスを使うことが出来ない。

既存の単板ガラスのサッシを利用したまま複層ガラスに交換することも可能だが、サッシ自体が断熱化されていない上に複層ガラスの中間層の厚さが制限されるため、断熱性はあまり良くない。通常の複層ガラスユニットの厚みは12mm以上だが、既存の単板ガラスのサッシを利用する場合はユニット全体の厚さを約7mm以下にする必要がある。中間層を真空にした製品を利用すれば厚さが7mm以下でもある程度の断熱性を保てるが、コストが高くなる。開口部の断熱性を高めるには、既存のガラスの内側に、断熱サッシと複層ガラスを利用した内窓が効果的である。

[編集] 普及状況

多くの先進国では1997年京都議定書の締結により、法的強制力のある断熱化基準を改正したり建造物の断熱化を新たに義務付けた。しかし、日本の断熱化基準には強制力が一切なく、複層ガラス普及率は先進国の中でも最低レベルである[5]

1999年に建設省から日本の断熱化基準である次世代省エネルギー基準が改定された。しかし、法的拘束力がない上に、断熱化基準が欧米と比べてゆるく設定されている。2000年(平成12年)における日本の複層ガラスの普及率は5.1%となっており、欧州やその他の先進国と比較すると低い普及率となっている[5]。また、特殊な金属膜を設けた高断熱複層ガラスの普及率に関しては、米国が48.0%なのに対し、日本は0.3%と非常に低い数値となっている[6]

2010年現在、省エネブームや世界各地での熱波寒波の発生により、複層ガラスの世界的な需要は年ごとに高まりつつある。

[編集] 名称

複層ガラスのことをペアガラスと呼ぶ場合もあるが、これは旭硝子の登録商標である。(例えば日本板硝子では「ペアマルチ」という商品名を使用している。)

旭硝子は以下の名称を商標登録しており、うち「ペヤグラス」を商品化している。

商標 登録番号 登録日 権利者
ペヤグラス 第438414号 昭和29年1月23日 旭硝子株式会社
ペアガラス 第818782号 昭和44年5月30日 旭硝子株式会社
ペヤガラス 第818783号 昭和44年5月30日 旭硝子株式会社

[編集] 脚注

  1. ^ a b 複層ガラスとは
  2. ^ 次世代型住宅で、快適に暮らすためのポイントは
  3. ^ http://www.cg-glass.jp/pro/sub_technique/pdf/212-219.pdf
  4. ^ Low-Eとは 伊藤忠ウインドウズ
  5. ^ a b 平成16年版環境白書 第1章 第1節
  6. ^ 省エネルギーガラスの普及

[編集] 関連項目

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