ノギス

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ノギス(精度0.02mm)

ノギス: Nonius: Vernier, dial and digital callipers )は、長さを100分の5ミリメートル単位まで精密に測定する測定器である。外側測定・内側測定・深さ測定・段差測定が出来る。ノギスは、JISB7507に制定されている。

従来は機械的に測定するノギスが使用されていたが、現在ではデジタルノギスがその利便性により普及している。(初期の)ノギス、ダイヤルノギス、デジタルノギスの3つに分類できる。

各部の名称[編集]

ノギスの各部名称
  1. ジョウ(外側測定面、外側用ジョウ)
  2. クチバシ(内側測定面、内側用ジョウ)
  3. デプスバー
  4. 本尺目盛 (cm)
  5. 本尺目盛 (inch)
  6. 副尺目盛(バーニヤ目盛、cm)
  7. 副尺目盛(バーニヤ目盛、inch)
  8. 指かけ
  9. ベース

ジョウで物の外側の長さを測定できるほか、クチバシで内径デプスバーで深さ、そして段差測定などもできる。

歴史[編集]

ノギスの歴史は、17世紀に始まる。ただし物を挟んで外側寸法の見当をつける程度であった。ポルトガル数学者ペドロ・ヌネシュラテン語表記ペトルス・ノニウス(Petrus Nonius) [1]がノギスに目盛りを付けたといわれている。ノニウス[2]が訛って日本ではノギスと呼ばれる様になった。英語では、バーニヤキャリパーと呼ばれる。これは、1631年ノギスを正確な読み取りが出来るキャリパー構造を完成させたもう一人の人物であるフランス人ピエール・ヴェルニエ英語表記ピエール・バーニヤ(Pierre Vernier) [3]の名から取られている。

段差測定をノギスの機能に追加したのは、日本の測定器具メーカーであるミツトヨである。ミツトヨのノギスの国内シェアは90%以上である[4][2][5]

構造・測定原理[編集]

基本的には測定対象を挟むためのスライド部分がついた定規と考えることができる。しかし主尺の目盛を細かくするのには限度があるため、多くのノギスは読み取り精度向上のため副尺(バーニヤ目盛)を持つ。

副尺は主尺の4/5・9/10・19/20の間隔の目盛が主に用いられる。

これは細かい目盛を直接読むことを巧妙に、人間が高い精度で可能な直線のずれの認識に置き換えることで成り立っている。例えば、主尺が1mm幅の目盛のとき、副尺が0.9mm幅ならば0.1mm単位、0.95mm幅ならば0.05mm単位で測定できることになる。

用法[編集]

ノギスの用法(説明アニメーション)

右図を用いて説明する。右図のノギスは、精度0.1mm。本尺は1mm幅で、副尺は0.9mm幅で刻まれている。

  1. ジョウ(副尺)をスライドさせて測定物にあてる。
  2. ジョウの0の点と本尺目盛から、1mm (0.1cm) 未満を切り捨てた値を確定する(右図では2.4cm)。なお物差しとは異なり、ジョウの端と0の点を誤認しないように注意を要する。
  3. 本尺目盛と副尺目盛が一直線上にある点を見つける(右図では副尺の7の目盛)。
  4. 副尺の「1」は0.1mm (0.01cm) を示している。
  5. したがって「2.4cm + (7 × 0.01cm) = 2.47cm」であり、測定物の径は2.47cmであることがわかる。

このように、本尺と副尺の1目盛りの差を利用して測定することで、本尺の目盛りを細かくすることなく、精度を高めることができる。

ダイヤルノギス[編集]

ミツトヨ製ダイヤルノギス

ダイヤルゲージと同様に測定する。読み取り精度0.01mm以上のものは一般的にダイヤルノギスか後述のデジタルノギスしか存在しない。本尺に微小のラックを、ダイヤル裏にピニオンが付いており、ジョウの動きをダイヤルで読み取る仕組みである。また、前述のとおりラックを用いているので工作時に切子が入りやすく、一般的なノギスより注意が必要である。

デジタルノギス[編集]

デジタルノギス

測定結果を数値で表示するノギス。表示部には主に7セグメントLCDが使用される。絶対位置を測定するもの(アブソリュート)、パルスを積算して相対位置を求めるもの(インクリメンタル)に分けられる。

絶対位置を測定するものには静電容量式がある。これは主尺と移動部に取り付けられた2電極間の静電容量が重なっている電極の長さに比例することを利用する。誘電率が変化すると静電容量も変化するため、・粉塵などが間に入ると正確な測定が出来ない。

インクリメンタル式には、光学式・磁気式のものがあり、どちらも主尺にエッチングや磁化によって微小な目盛を記録し、その目盛分を移動したことを検出することで間接的に距離を求める。特に磁気式は汚れに強い。

読み飛ばしが発生しないよう、ある速度以下で移動させる必要がある。

国内メーカー[編集]

脚注[編集]

  1. ^ Weblio英和対訳辞書
  2. ^ a b Daumas, Maurice, Scientific Instruments of the Seventeenth and Eighteenth Centuries and Their Makers, Portman Books, London 1989 ISBN 978-0-7134-0727-3
  3. ^ [http://k1-0148.com/measuring_instrument/index.shtml 川崎第一精密「精密測定機器のお話」
  4. ^ 松本 英雄『通のツール箱』58頁から60頁、2005年6月25日発行 株式会社 二玄社
  5. ^ 1911 Encyclopaedia Britannica article on Navigation. Accessed April 2008

関連項目[編集]