やすり

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
移動: 案内, 検索
刃が交差した複目と呼ばれるやすりの表面

やすりヤスリ、Files)は、細かな部分の研削を行う手動工具で、寸法に合うように削ったり、材料の形状を整えたり、細かい部分の錆を落とすのに使用する。一般的な形状が棒状である事より、棒ヤスリとも呼ばれる。金属部の「目切り部」と握り部の「柄」で構成されている[1]

ヤスリの語源は、「鏃(やじり)をする」の「やする」が「ヤスリ」になった説と、ますますきれいに磨くという意味の「弥磨(いやすり)」が「ヤスリ」になった説がある[2]

なお、紙製のものは紙やすりといわれる。この紙やすりと区別するため敢えて金属やすり金やすり(かねやすり)と呼ぶこともあるが、単にやすりと言えば元々は金属のものを指した。

海外メーカーでは、時計職人に愛用されているヤスリとして、1899年創業のスイスのバローベ社(Vallorbe)がよく知られている[3]

目次

[編集] 歴史

日本におけるヤスリの歴史は、5世紀後半の岡山県隨庵古墳からヤスリらしき物が出土している。ヤスリとして確認されている物は、奈良時代の宮城県東山遺跡から発掘された。

ヤスリの製造は、農村鍛冶の副業から始まり、しだいに手作りの家内工業として発達してきた。明治後半には目立機が考案され、大正初期に目立機が電動化、圧延機も開発された事により、量産化が可能となった。戦前までは、大阪、新潟、東京などもヤスリ産地であったが、戦災で衰退した[4]広島県呉市仁方地区は戦争の被害が少なく、国内生産量の95%を生産している[5]

[編集] 種類

やすりの断面形状
色々な目のやすり

用途別に、鉄工ヤスリ(金やすり)・木工ヤスリ・ダイヤモンドヤスリが主である。

ヤスリの目には、刃の配列が平行のもの(単目)と交差しているもの(複目)、複目に似ているが刃の構造の少し異なるもの(シャリ目)、曲線のもの(波目)、溝がなく突起を多数備えているもの(鬼目)等がある。

断面形状は平、半丸(甲丸)、丸、角、三角などの種類がある。他に、先細、鎬(しのぎ)、楕円、刀刃(かたなば)、腹丸(はらまる)、蛤(はまぐり)、両甲(りょうこう)、菱(ひし)がある。

目の粗い順に荒目(粗目)、中目(ちゅうめ)、細目、油目に分かれる。

の形を整えるのに使用されるやすりは「爪やすり」といい、簡易なものが爪切りなどに組み込まれている。

最近、硬めのスポンジ表面にサンドペーパー同様の粒子を付けた「スポンジヤスリ」が販売されている。弾力があるので特に曲面の研磨に便利である。また、「ドレッサー」(エヌティ-株式会社登録商標)と呼ばれるホルダーに研磨面を交換可能に取り付けたサンドペーパー感覚のヤスリも出ている[6]

[編集] 使い方

ヤスリには刃の方向があるため、押す方向でしか削ることができない。刃の間に加工カスが詰まると切れ味が悪くなるのでワイヤブラシにより目詰りを落とすことが必要。その際、目の方向に沿ってワイヤブラシを動かす。

[編集] 製造方法

成形(熱間鍛造)、焼きなまし、研磨、目立て、焼入れの工程を経て作られる。焼入れの際に蒸気膜の形成を防止し焼入れ性を向上するため、味噌に塩や硝石などを添加したものが塗布される[7]。味噌が存在しない欧米などでは塩を塗布することが多い。

[編集] その他

  • 材料:炭素工具鋼、合金工具鋼など
  • 規格:JIS B4703

[編集] 脚注

  1. ^ 『道具のつかい方事典』2002年3月20日発行、株式会社岩崎書店
  2. ^ 広島地区鈩工業組合ホームページ
  3. ^ 松本英雄『通のツール箱』2005年6月10日発行 株式会社 二玄社
  4. ^ 「仁方とヤスリ」広島地区鈩工業組合
  5. ^ 社団法人日本青年会議所 中国地区広島ブロック協議会『活気ある広島県産業を目指して-12LOM 地場産業の紹介』、2005年、6頁。
  6. ^ 青山元男『DIY工具選びと使い方』2008年11月1日発行 株式会社ナツメ社
  7. ^ ツボサン株式会社 カタログ 2007年 72頁。

[編集] 関連項目

[編集] 外部リンク

個人用ツール
名前空間
変種
操作
案内
ヘルプ
ツールボックス
他の言語