カッターナイフ

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カッターナイフ

カッターナイフは、もともとを切るための道具として開発された薄手のを有する刃物のこと[1]。現在では、、薄い合板、石膏ボードなどの切断ができるなど用途に応じてさまざまな刃形状の製品がある。略してカッターとも呼ばれる。

名称[編集]

「カッターナイフ」は和製英語であり、英語圏では "utility knife" と呼ばれるほか、商標から "Stanley knife", "boxcutter", "X-Acto knife" などとも呼ばれる(商標の普通名称化)。"cutter" という呼称は日本のほかにフィリピン・イタリア・エジプトでも使われている。イスラエルやスイスでは "Japanese knife" と呼ばれている。

種類[編集]

さまざまなカッター。左から円切り、小型、アクリルカッター、カッター、刃 (60度と30度)、デザインカッター、カッターのこ
大型刃(刃幅18mm)・小型刃(刃幅9mm)
各種のバリエーションがある。グリップ部分に滑り止めの加工やゴムカバーのついたもの、薄い刃のぐらつきをおさえるブレードホルダーの付いたもの、折った刃を本体後端に取り付けて細工用としたもの等。本体は、合成樹脂製が基本であるが金属製もある。
円切りカッター
サークルカッターやコンパスカッターとも呼ばれる。中心点を針などで固定して、きれいな円を描いたカットができる。大型のものは、薄い合板も切り抜ける。左利きの場合は、刃の向きを逆方向に取り付ける。
ロータリーカッター(円形刃カッター)
オルファが最初に開発した。円盤状の刃を回しながら切り進み、紙・フイルム・布などの曲線が切りやすい。
ペン型デザインナイフ
小型の紙切り用のカッターナイフ。オブジェ・工作などには欠かせないカッター。
スクラップ用カッター
新聞やコピー用紙を標準に、刃の出は0.3mmに設定されている。
楕円カッター
直径17-21cmから38-42cmの楕円が切れるカッター。NT社製。
ミシン目カッター
紙・フイルム・ビニールなどに、必要なときに切り離せるミシン目を入れることができる。
段ボール用カッター(段ボール専用)
段ボール発泡スチロール用、刃はステンレス鋼製でのこぎりを使うようにゆっくりと動かして使用する。
カッターのこ(のこぎりの刃を用いたもの)
刃の部分がのこぎりになっている。
アクリルカッター(プラスチックカッター)(Acrylic resin Cutter)
塩ビ板やアクリル樹脂板を切断する工具で刃先は特別な形状をしている。のこぎりでの切断に比べきれいな切断面が得られる。使い方は、カッターの刃を押し付けながら引き、切り込み(溝)を少しずつ入れていく。何度も繰り返し深さが材料の半分程度までになったら、溝の部分が上側になるようにして作業台の端などの直線部に当てて板を折る。切断面角部は鋭利で危ないため、刃に付いている「仕上げ用の面取りエッジ」部を使って面取りをする。紙の切断は、同じ刃に付いている「紙カット刃」部を使用する。
ペットボトルカッター
ペットボトル専用のカッターウェルビー株式会社製
シガーカッター(葉巻用のギロチンカッター)・パンチカッター
左利き用カッターナイフ
左利き専用品。形状が通常のものと鏡対称で、刃も専用の溝が反対側に付いたものを使う。TJMデザインの「タジマサウスポー」、オルファの「レフティ」など。

刃の材質はほとんどが鋼製である。磁性の影響を嫌う場合などにセラミック製のものを用いることもある。

「折る刃」式カッターナイフ[編集]

日本のOLFA創業者である岡田良男によって世界で最初に開発された、薄い合板、石膏ボードなどの切断に用いられる薄い刃を有する切れなくなった刃を折り取っていくタイプのカッターのこと。刃が薄いので他の切断工具であるのこぎりやジグソーよりも切断面がきれいである。また、石膏ボードなどを切っても切りくずがほとんどない。折る刃式カッターナイフの国内専業メーカーは、オルファ株式会社とエヌティー株式会社の2社だけである。

従来、印刷所などではナイフカミソリの刃、ガラスの破片を用いて紙類を裁断していた。しかし、刃先が磨耗してすぐに切れ味が悪くなる欠点がある。そこで1956年(昭和31年)に印刷会社に勤めていた岡田良男が板チョコからヒントを得て折る刃式カッターナイフを考案した。岡田はこの"折る刃"からオルファ株式会社を創業。これは鋼製の刃にあらかじめ折り筋を付けておき、刃先が磨耗した場合にはそれを折り取ることで新たな鋭い刃先を作り出す方法。現在では一般用のカッターナイフの多くがこの方式を採っている。刃は大型刃、小型刃などオルファ社のサイズ(刃幅サイズ9mm、18mm、折れ線の角度は59度[2])は事実上の世界標準となっており(JISなどの標準規格を得ているわけではない)、他社製品との互換性もある。

オルファのカッターナイフは、日本市場のシェア約60%を占めており、海外100カ国を超える国々で販売されている[3]。また、グッドデザイン賞選定品52品目、Gマークロングライフ賞16品目、オルファのすぐれたデザインは高く評価されている。(2012年2月)

OLFAとNTが現在よく似た商品群の専業メーカーである理由は、オルファの岡田良男が当初考案した折る刃式カッターナイフの製造をエヌティーに依頼していたことによる[4]

日本メーカー製の一般的な刃に使用されている鋼材はSK-120(旧SK2)が主流である。これはSK材(炭素工具鋼)の中で2番目に炭素量が多く硬い。 ノコギリ刃などの特殊形状の刃は炭素量が比較的少ないSK5、および耐摩耗性や耐衝撃性・耐熱性を付加した合金工具鋼SKS-7が使用される。

注意点[編集]

  • 刃が薄いので、ぐらつきを防ぐためにも刃先の出しは必要最小限とする。
  • 直線を切る場合は、カッターでは切れない、カッターが乗り上げない厚いカッター用の定規を使用する。「平行ガイド」を装着すると切る幅を設定できる。
  • 直線状の刃を持つカッターナイフで立体の硬い物体を切り出す場合には、刃が折れてケガをする可能性があるので、厚刃の製品や専用の折り溝がないタイプの刃を用いるか、小刀など別の刃物を用いることが望ましい。
  • カッターナイフで紙などを切る場合には、下敷きとしてカッティングマットなどを使用することが望ましい。
  • カッターナイフの刃は、グリップ(本体)後部に刃を折るための溝が付いていたり、刃折器の付いているタイプはそれを使用する。刃幅の広い溝の付いていないタイプは、折れた刃が飛散すると危険なので、プライヤやペンチを使って折る。収納ケースに落とし込むタイプの刃折器も存在する。

主なメーカー[編集]

オルファ(OLFA)・エヌティー(NT)・プラス・ムラテックKDS(KDS)・TJMデザイン(タジマツール)・カクイ(KAKUI)・パイロット・シルキー・エグザクト(X-ACTO)アメリカ・UCAI CUT・アレックス(ALLEX)・長谷川刃物

法的問題[編集]

カッターナイフの所持が銃砲刀剣類所持等取締法(銃刀法)違反に問われることがある。オウム真理教事件の際の現行犯逮捕理由としてのものがよく知られる。それ以外にも事例は数多く存在し、実際に有罪判決が下された事例もある。他の犯罪を伴わずカッターナイフの所持のみで起訴・有罪となった例として京都地裁平成19年11月9日判決[5]が挙げられる。

カッターナイフは、小刀など他の実用目的の小型刃物に比べて、刃体の長さが製品によっては新品時に8ないし9センチと長いため、軽犯罪法違反にとどまらず銃刀法違反に抵触する場合がある。この関係で、職務質問で刃渡り8センチのカッターナイフを見つけて所持者を交番に連行したものの、銃刀法違反事件として処理する手間を嫌うあまり、警察官が刃を机に押し付けて折って5センチにし、軽犯罪法違反事件として処理したという不正事件の例もある[6]

脚注[編集]

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  1. ^ 『TOOLS NOW 道具大全』株式会社美術出版社、1997年、p30
  2. ^ 『工具の本2009』株式会社学習研究社、2009年、p138
  3. ^ 松本英雄『通のツール箱』株式会社二玄社、2005年、p122.p123
  4. ^ 廣野郁夫・木のメモ帳
  5. ^ 氏名不詳の男に罰金刑 「すべて言えません」銃刀法違反で京都地裁、産経ニュース、2007年(平成19年)11月9日付、2008年(平成20年)7月8日閲覧。
  6. ^ 「カッターの刃折り軽犯罪扱いで処理 警視庁警部を懲戒」東京新聞 2009年(平成21年)12月5日付朝刊28面。

参考文献[編集]

  • 青山元男 『DIY工具選びと使い方 : たよりになる工具が満載!』 ナツメ社2008年、162-167頁。ISBN 978-4-8163-4586-9
  • 『デザインの現場』増刊号編集部編 『Tools now 道具大全 : 手作り、クラフト、DIY。』 美術出版社〈新しい画材ガイド〉、1997年ISBN 4-568-50194-6

関連項目[編集]

外部リンク[編集]