軽犯罪法

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軽犯罪法
日本国政府国章(準)
通称・略称 なし
法令番号 昭和23年5月1日法律第39号
効力 現行法
種類 刑事法
主な内容 軽犯罪に関する法律
関連法令 刑法
条文リンク 総務省法令データ提供システム
  

軽犯罪法(けいはんざいほう、昭和23年5月1日法律第39号)は、さまざまな軽微な秩序違反行為に対して拘留科料の刑を定める法律(悪質な場合、拘留+科料の併科になることもある)。

騒音、虚偽申告、乞食、覗きなど33の行為が罪として定められている。公布時は34の行為であったが、第1条第21号(動物の虐待)がより厳罰化されたため、削除された(1年の懲役または100万円の罰金となった)。

本法により警察犯処罰令(明治41年内務省令第16号)は廃止された。

なお、あまりに厳格な運用は酷であり、また別件逮捕の手段として濫用されるのを防ぐため、4条において「適用においては人権侵害とならないよう留意し、別の目的のための手段としてはならない」と規定するが、現実には「現代の治安維持法」として指紋採取・写真撮影・違法逮捕 (同行拒否→逃走・公務執行妨害容疑) に濫用されている[1]

目次

[編集] 指紋採取と写真撮影

刑事訴訟法218条1項では「検察官、検察事務官又は司法警察職員は、犯罪の捜査をするについて必要があるときは、裁判官の発する令状により、差押、捜索又は検証をすることができる。この場合において身体の検査 (指紋採取や写真撮影) は、身体検査令状によらなければならない。」と規定されている。

また、刑事訴訟法218条2項では「身体の拘束を受けている被疑者の指紋若しくは足型を採取し、身長若しくは体重を測定し、又は写真を撮影するには、被疑者をにしない限り、前項の令状によることを要しない。」と規定されている。従って、逮捕されない限り、拒否している相手方の指紋採取や写真撮影をするには裁判官の発する身体検査令状が必要である。また、任意提出を拒否している相手方の所有物を差押する場合にも裁判官の発する令状が必要となる。軽犯罪法違反の場合、刑罰は「拘留又は科料」(1条)となり、逮捕状により逮捕できるのは被疑者が定まった住居を有しない場合又は正当な理由なく出頭要求に応じない場合であるが、現行犯逮捕にあっては住居が明らかでない、又は逃走のおそれがある場合も逮捕要件に該当する。軽犯罪違反で検挙された場合でも、前記の理由により逮捕された場合を除き指紋採取・写真撮影は拒否できる。また、所持していた物の所有権放棄をする必要もないが、検察庁に送致される際の情状等についてはそれ相応の覚悟が必要である。

[編集] 罪として定められる行為

第1条 左の各号の一に該当する者は、これを拘留又は科料に処する。

  1. 人が住んでおらず、且つ、看守していない邸宅建物又は船舶の内に正当な理由がなくてひそんでいた者
  2. 正当な理由がなくて刃物鉄棒その他人の生命を害し、又は人の身体に重大な害を加えるのに使用されるような器具を隠して携帯していた者
    • 「正当な理由」があるとは、同号所定の器具を隠匿携帯することが、職務上又は日常生活上の必要性から、社会通念上、相当と認められる場合をいい、これに該当するか否かは、当該器具の用途や形状・性能、隠匿携帯した者の職業や日常生活との関係、隠匿携帯の日時・場所、態様及び周囲の状況等の客観的要素と、隠匿携帯の動機目的認識等の主観的要素とを総合的に勘案して判断すべきである。
    • 刃渡り15cm以上の日本刀を指す)・等(両刃の刃物を指す)は銃刀法3条により所持が禁止されており、刃体の長さが6cmを超える刃物(カッターナイフなど)は同法22条により携帯が禁止されているため、本号は原則として6cm以下の刃物等(刃渡りの短い剃刀など)について適用があることになる。また、「隠して」という文言があるため、ベルトに装着したり、キーホルダーなどにぶら下げるなどして(他者から見える形で)公然と携帯していればよいこととなる。しかし「アクセサリ等に見せかける事でナイフと言う事を隠して所持した」という判例があること、北海道青森県福島県群馬県栃木県埼玉県千葉県山梨県神奈川県長野県愛知県岐阜県富山県三重県滋賀県京都府奈良県兵庫県和歌山県広島県島根県愛媛県香川県徳島県福岡県熊本県迷惑防止条例(公衆に著しく迷惑をかける暴力不良行為等の防止に関する条例等)では、「何人も、公共の場所又は公共の乗物において、正当な理由がないのに、刃物鉄棒木刀その他人の身体に危害を加えるのに使用されるような物を、公衆に対し不安を覚えさせるような方法で携帯してはならない。」と規定されているため一概に合法とまでは言い切れない。
    • 催涙スプレーについて「その他人の生命を害し、又は人の身体に重大な害を加えるのに使用されるような器具」に該当すると判断した判例がある。
    • 経理に従事して職務上多額の現金有価証券等を職務上電車徒歩で輸送することがあるから防犯用に催涙スプレーを入手した被告人が、護身用の小型催涙スプレー1本を健康上の理由から行うサイクリングを深夜に行う際に、催涙スプレー1本を専ら防御用に隠匿携帯した事例において「正当な理由」があると判断した最高裁判例がある。
  3. 正当な理由がなくて合かぎのみガラス切りその他他人の邸宅又は建物に侵入するのに使用されるような器具を隠して携帯していた者
    • トイレドアが故障し閉じ込められ、アーミーナイフ蝶番を外して脱出に成功した事例があるが、これも許されない事になる。非常ボタンの設置が望まれるところである。ただし、「隠して」という文言があるため、公然と携帯していればよいこととなる。
  4. 生計の途がないのに、働く能力がありながら職業に就く意思を有せず、且つ、一定の住居を持たない者で諸方をうろついたもの
    • かつて、警察犯処罰令第1条第3号に規定されていた「浮浪罪」に相当する。しばしば、別件逮捕の手段として悪用されている。
  5. 公共の会堂、劇場飲食店ダンスホールその他公共の娯楽場において、入場者に対して、又は汽車電車、乗合自動車、船舶飛行機その他公共の乗物の中で乗客に対して著しく粗野又は乱暴な言動で迷惑をかけた者
  6. 正当な理由がなくて他人の標灯又は街路その他公衆の通行し、若しくは集合する場所に設けられた灯火を消した者
  7. みだりに又はいかだを水路に放置し、その他水路の交通を妨げるような行為をした者
  8. 水害地震火事交通事故犯罪の発生その他の変事に際し、正当な理由がなく、現場に出入するについて公務員若しくはこれを援助する者の指示に従うことを拒み、又は公務員から援助を求められたのにかかわらずこれに応じなかつた者
  9. 相当の注意をしないで、建物、森林その他燃えるような物の附近で火をたき、又はガソリンその他引火し易い物の附近で火気を用いた者
  10. 相当の注意をしないで、銃砲又は火薬類、ボイラーその他の爆発する物を使用し、又はもてあそんだ者
  11. 相当の注意をしないで、他人の身体又は物件に害を及ぼす虞のある場所に物を投げ、注ぎ、又は発射した者
  12. 人畜に害を加える性癖のあることの明らかなその他の鳥獣類を正当な理由がなくて解放し、又はその監守を怠つてこれを逃がした者
  13. 公共の場所において多数の人に対して著しく粗野若しくは乱暴な言動で迷惑をかけ、又は威勢を示して汽車、電車、乗合自動車、船舶その他の公共の乗物、演劇その他の催し若しくは割当物資の配給を待ち、若しくはこれらの乗物若しくは催しの切符を買い、若しくは割当物資の配給に関する証票を得るため待つている公衆の列に割り込み、若しくはその列を乱した者
  14. 公務員の制止をきかずに、人楽器ラジオなどの異常に大きく出して静穏を害し近隣に迷惑をかけた者
  15. 公職位階勲等学位その他法令により定められた称号若しくは外国におけるこれらに準ずるものを詐称し、又は資格がないのにかかわらず、法令により定められた制服若しくは勲章記章その他の標章若しくはこれらに似せて作つた物を用いた者
  16. 虚構犯罪又は災害の事実を公務員に申し出た者
    • 犯人を特定せず、単に「強盗に遭って金を盗られた」などと虚偽の申告をした場合。無実の第三者を犯人に仕立て上げて処罰を受けさせる目的だった場合は虚偽告訴罪となる
  17. 入又は古物の売買若しくは交換に関する帳簿に、法令により記載すべき氏名住居職業その他の事項につき虚偽の申立をして不実の記載をさせた者
    • 質店や古物商が盗品と知っていて買い取ること(故買)も犯罪である。盗品等関与罪を参照。
  18. 自己の占有する場所内に、老幼、不具若しくは傷病のため扶助を必要とする者又は人の死体若しくは死胎のあることを知りながら、速やかにこれを公務員に申し出なかつた者
  19. 正当な理由がなくて変死体又は死胎の現場を変えた者
  20. 公衆の目に触れるような場所で公衆にけん悪の情を催させるような仕方でしりももその他身体の一部をみだりに露出した者
  21. 削除
  22. こじきをし、又はこじきをさせた者
  23. 正当な理由がなくて人の住居、浴場、更衣場、便所その他人が通常衣服をつけないでいるような場所をひそかにのぞき見た者
  24. 公私の儀式に対して悪戯などでこれを妨害した者
  25. 、みぞその他の水路の流通を妨げるような行為をした者
  26. 街路又は公園その他公衆の集合する場所で、たんつばを吐き、又は大小便をし、若しくはこれをさせた者
  27. 公共の利益に反してみだりにごみ、鳥獣の死体その他の汚物又は廃物を棄てた者
  28. 他人の進路に立ちふさがつて、若しくはその身辺に群がつて立ち退こうとせず、又は不安若しくは迷惑を覚えさせるような仕方で他人につきまとつた者
    • ストーカー規制法において、性的接触を目的とした場合について、別に罰則が設けられている。
  29. 他人の身体に対して害を加えることを共謀した者の誰かがその共謀に係る行為の予備行為をした場合における共謀者
  30. 人畜に対して犬その他の動物をけしかけ、又は若しくはを驚かせて逃げ走らせた者
  31. 他人の業務に対して悪戯などでこれを妨害した者
  32. 入ることを禁じた場所又は他人の田畑に正当な理由がなくて入つた者
    • さく等に囲まれた建造物の敷地に侵入する行為は住居侵入罪に該当する。
  33. みだりに他人の家屋その他の工作物にはり札をし、若しくは他人の看板、禁札その他の標示物を取り除き、又はこれらの工作物若しくは標示物を汚した者
  34. 公衆に対して物を販売し、若しくは頒布し、又は役務を提供するにあたり、人を欺き、又は誤解させるような事実を挙げて広告をした者

[編集] 脚注

[編集] 関連項目