広告

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三越の前身、ゑちご屋のチラシ

広告(こうこく、英語:advertisement)は、宣伝活動の一つであるが、広告であるためには以下の3条件が整っていなければならないというのが国際的に見た広告の定義である。アメリカマーケティング協会アメリカの多くの研究者の定義を踏まえて定義づけたものがある。

  • 「広告とは、非人的メッセージの中に明示された広告主が所定の人々を対象にし、広告目的を達成するために行なう商品・サービスさらにはアイデア(考え方、方針、意見などを意味する)についての情報伝播活動であり、その情報は広告主の管理可能な広告媒体を通じて広告市場に流されるものである。広告には企業の広告目的の遂行はもとより、消費者または利用者の満足化、さらには社会的・経済的福祉の増大化などの機能をも伴うことになる。企業の他に、非営利機関、個人などが広告主となる場合もある。[1]」というものである。
  • 広告のカテゴリーとなる3条件は、1.管理可能な広告媒体(広告主が宣伝しようとする場合、新聞記事やテレビ番組に取り上げてもらう管理不可能なパブリシティと区別するためである)、2.非人的メッセージ、3.明示された広告主 (advertiser) が行うということである。

広告とマーケティングミックス[編集]

世界の多くのマーケティング学者は広告を包含する上位カテゴリーをマーケティングミックス4P(Product, Place, Price, Promotion)の「プロモーション」としており、さらにプロモーショナル・ミックスとして人的販売促進、非人的販売促進としての広告、狭義の販売促進とし、広告を位置づけている。また、ノースカロライナ大学のローターボーンの4C(Consumer,Cost,Convenience,Communication)[2]共生マーケティング4C(Commodity,Cost,Channel,Communication)[3]では「コミュニケーション」を広告の上位概念として用いている。これは統合マーケティングコミュニケーション (IMC)やソーシャル・メディアを考慮したものと考えられる。

広告取引の仕組み[編集]

広告を出したい。と考えている者が広告主として、放送事業者新聞社出版社ISPなどの「媒体社」からスペースや時間枠を購入し、メディア特性に合わせて制作した「広告メッセージ」を出稿し、「公衆(特定不特定は関係ない)」に伝達する。

広告主となる企業が数多く、メディアも種類が多く、適切な広告活動は難しいことがあるため、それを防ぐのに広告主とメディア双方から手続きの権限を委ねられ、仲立ちをするのが広告代理業である。

世界の広告[編集]

世界最大の広告大国はアメリカであり(総広告費は日本の4~5倍)、次いで日本である。イギリス、フランス、ドイツが続くが、総広告費は日本の半分である。文化大革命で抑えられていた中国は今急激に追い上げている。アメリカではGDPに対する総広告費の割合が2パーセントであり、国土の広さと使用言語の多さが日本の倍にしている。 多くの大学で広告が研究され、広告学部や広告学科なども存在する。 広告それ自体は、世界でそう変わるものではないが、広告関連企業は日本と世界で大きく異なり、いわゆるメガ・エージェンシーと呼ばれるもの(特に上位4つ)が非常に大きい位置を占めている。機能別に細かく分かれる大小さまざまな代理業が一つのグループを組んでいる。結果、巨大な企業グループが世界には存在することとなる。無数の代理業が集合して巨大グループとなる背景には、合併や統合が相次いでいたこと、「一業種一社制」という業界慣習があることが背景と考えられる。つまり、ある代理業がある自動車会社をクライアントとしたなら、ライバル企業の広告には関われない。よって、規模の利益を追求すればグループ化、ということになるのである。

世界の主なメガ・エージェンシー(4大メガ・エージェンシー)[編集]

広告の産業規模[編集]

日本の広告費は、経済産業省の特定サービス産業動態統計や、電通の発表資料でみることができる。

2004年の広告費は、特定サービス産業動態統計では5兆4,684億円、電通資料では5兆8,571億円となっており、概ね5兆円後半程度と思われる(特定サービス産業動態統計は額ベースで全国の7割超の事業所をカバー。電通資料は自社取引に推計を加えたものとなっている。双方のカバー率及び推計に違いがあるため、値には差がある。一般的にニュース等で広告費として取り上げられるのは電通資料の値)。傾向として、主要四媒体広告(テレビ、新聞、雑誌、ラジオ)はテレビ以外は低迷、その他の広告では、インターネット広告(サーチエンジン連動型広告)が大きく伸びていることがあげられる。

企業によっては年間1,000億円以上の広告宣伝費を支出しており、特に自動車メーカーの広告宣伝費は大きい[4]

広告媒体[編集]

通常、広告主(アドバタイザー、クライアント)と媒体(メディア)の間に、媒体から権限を委ねられた広告代理業が介在し、広告主は広告代理業に対して料金などの交渉を行うことになる。広告媒体にはマスコミ四媒体と他の媒体がある。

1938年(昭和13年)の雑誌広告
1938年(昭和13年)の雑誌広告
新宿区街頭の広告
新宿区街頭の広告
すすきののネオンサイン
すすきののネオンサイン
鉄道車両に施された広告の例
鉄道車両に施された広告の例
駅のホームの広告
駅のホームの広告
JR北海道釧路支社の広告ラッピングバス(くしろバス)
JR北海道釧路支社の広告ラッピングバス(くしろバス
GLAYのラッピングが施されたボーイング747(日本航空)
GLAYのラッピングが施されたボーイング747日本航空
プラハマラソンのコースにて
プラハマラソンのコースにて
ユニフォーム広告(エレオノーラ・ロビアンコ)
バレーボールの試合のフロア広告
バレーボールの試合のフロア広告
放送局名ロゴ付きのマイク
放送局名ロゴ付きのマイク

マスコミ四媒体[編集]

他の媒体[編集]

屋外広告[編集]

屋外広告は常時または一定期間、屋外で公衆に表示される看板類をいう。屋外広告物法建築基準法道路交通法や条例などにより制限がある。交通広告やバスシェルター (Street Furniture)、POP広告などを含めた媒体をOut Of Home Media (OOH)という。屋外広告の効果測定指標として、「DEC (Daily Effective Circulation) =1日の有効通行量」があり、アメリカではTAB (Traffic Audit Bureau) が管理している。その他にショーイングという媒体購入指標がある。これは、居住者1ヶ月の接触率であり、居住者全員への接触を狙えば100ショウーイング、半分を狙えば50ショーイングという。

屋外広告の種類
  • 大型映像ボード : 電光掲示板とも呼ばれ、LEDによる大画ビジョンである。
  • デジタルサイネージ : デジタル映像パネルで駅構内やショッピングモールなどに設置されている。
  • 電柱広告 : コミュニティの情報源になる。特に住所を知るのに便利。
  • ネオンサイン (Spectaculars) : 繁華街のビルの屋上や壁面などに設置されている。
  • ビルボード (billboard) : 都市部のビルやマンションなどの屋上に設置された大型の看板をいう。
  • ポスターボード (Poster Panels) : 主に街路に設ける看板のこと。アメリカでは1本のポールで支える30シートポスターと8シートポスター、大型のペイントブレティンなどがある。野立て看板は鉄道や幹線道路沿線の田畑に設置されるもの、駅構内に設置されているものは交通広告に入る。
  • 野球場サッカー場などの施設広告はOOHになる。

交通広告[編集]

交通広告 (Transit Advertising) とは列車・バスの車内外、航空機・船舶など公共交通機関に掲出される広告を言う。日本では駅・空港・バス停など公共交通機関の付帯施設に掲出されるものも含めて交通広告という場合が多い[5]。日本やスイスのように鉄道網が発達している国ではこの比率が高い。

動く媒体[編集]

  • チンドン屋サンドウィッチマン
  • ヘリ飛行船広告
  • スカイバナー広告:ヘリコプターから状の広告をつり下げて飛行するもの。1994年にニュージーランドのスカイバナーズ社が開発。日本においては2001年夏期にコニカが神奈川県の横浜港で実施。但しこの方式では航空力学を無視しているため旗自体が重なったり、暴れてしまうために見えにくい状態となる。更に正方形のため飛行中の空力を制御できない。また飛行するには200kg以上という重りを旗自体に直接直固定して地面との垂直を何とか保っているが、風の抵抗まともに受けてしまう弱点は致命傷である。万一の際の切り離しを想定した場合、リスク回避が難しいなどから、現在日本では、その方式は確認できていない。

それに対して本場USでは最も長い1990年頃からの歴史があり、その使用方法は現在世界30ヶ国以上で採用されている。航空力学を利用して旗自体が地面と垂直となる特殊な軽量リフレクターが装備されているため、重りはほとんどない。さらに旗の材質も特殊で不給水性素材を採用することで、湿気を旗が吸収して重くなることもない。付属素材も徹底されていて、重さ13tに耐えるケブラーロープ(日本で製造不可能)、軽量強度ポールはカーボンまたはグラスフイバー性などの徹底ぶり。さらに空気に流れを制御する見えにくい素材まで装備された横長形状のため視認性は抜群である。日本ではこの最も安全で世界的な実績のあるヘリコプター広告の実施はいまだに確認できない。なお世界最大の旗のヘリ記録は、US独立記念日に飛ばすことに成功したUS国旗であり、USにあるFLYSIGNS.COM という企業がその記録を保持している。またその窓口が、2013年から日本にあるという。現在詳細を確認中。 軽飛行機の後部に吊り下げ、飛行中は水平に表示されるものもある。

その他のSP関連媒体[編集]

ニューメディア[編集]

広告関連の統計では地上波テレビから区分され、「ニューメディア」という項目になっている。1999年に媒体別広告費でインターネット広告に抜かれた。

インターネット広告[編集]

ダイレクト・メール広告[編集]

DM広告、あて名広告等ともいわれる。郵便、電子メール、FAX等を通じて直接個人宛に広告が送信される。地域・性別・年齢・職業・趣味などの特性に従って特定個人に広告訴求でき、テレビ・ラジオなどの放送日、新聞・雑誌の発行日などに左右されず広告主の都合により広告が実施できるという特徴がある。ダイレクト・メール広告の送信にあたっては効果的に行うため広告訴求対象リストが作成されている[5]

広告の規制[編集]

広告の内容については、不当景品類及び不当表示防止法(景品表示法)や薬事法などの法令、業界の公正競争規約などで規制されるほか、各メディアで独自の広告掲載基準を持っており[6]、表現が基準に合わない場合には修正を要請されたり、場合によっては掲載を拒否されることもある。しかし、掲載基準の運用は全体的に甘いため、誇大表現の広告が後を絶たず、特に不動産業貸金業(中でもスポーツ新聞夕刊紙などで広告している、トイチと呼ばれる登録間もないサラ金業者)など社会問題を引き起こしている業種も存在する。そのほか、屋外広告物法のような規制も存在する。

業種に対する規制[編集]

日本では、法令や自主基準などによる、特定の業種に対する広告の規制もある。医療機関、医業等(病院診療所など)の広告は医療法第69条で規制されてきたが(診療科目や診療時間・休診日、住所、電話番号、地図程度しか出せなかった)、2001年に規制が一部緩和された(医師名、所属学会ホームページURLなど)。

弁護士法律事務所の広告も、統括組織である日本弁護士連合会(日弁連)の方針で規制されていたが、2000年10月より撤廃された。主に債務整理破産手続等を担当する法律事務所を中心に、一般に対する広告が目立つようになった。かつては銀行など個々の金融機関の広告も規制されていたが、撤廃されている。

一方、タバコの広告は、1990年代以降、財務省令などで規制が強化された。法規制ではない自主規制では、アルコール飲料(酒類)や貸金業などの広告がある。特に貸金業の広告は、一般紙や放送メディアでは条件が厳しくなっているか、断られる場合も多い。

広告論と広告学科[編集]

広告を学問として研究教育している「広告学」や「広告論」があり、欧米アジア諸国では大学に「広告学部」や「広告学科」が、また、大学院に「広告研究科」が置かれ、広告論やマーケティング・コミュニケーション論、広告媒体論、広告クリエイティブ論、広告心理学、広告調査論(効果測定)などを体系的に研究・教育を行っている。

アメリカでは1901年にノースウェスタン大学でW.D.スコット博士が「広告心理学」の講座を開講し、その後「広告学科」が設置され、今日15以上の大学に広告学科があり、10以上の大学に広告専攻の大学院博士課程がある。中国では1983年に最初の広告学科がアモイ大学に置かれ、1993年に大学院に広告専攻が出来、今日北京大学をはじめ200以上の大学に広告学部や広告学科があり、広告の研究が盛んである。台湾では7以上の大学に広告関連学科があり、2以上の大学院に広告専攻が置かれている。韓国では30以上の大学に置かれている。ヨーロッパではドイツベルリン大学に1921年に広告学科が出来、多くの大学に広告学科が置かれている。日本では1921年(大正10年)に明治大学で広告論の講座が開設され、今日2,100以上の広告関連講座数があるが、広告学部や広告学科はない。

日本広告学会[編集]

日本広告学会(岸志津江会長・東京経済大学)は広告やマーケティング・コミュニケーションを研究する学者や実業界の人の集まりで、1969年に創立し、2009年で40周年になる。本部事務所は現在早稲田大学内にあり、全国大会を年に一度開催している。会員数は620名前後で法人会員が30社前後である。「広告科学」というレフェリー制の学会誌を年2回発行し、2009年第50集記念号を発行した。日本広告学会発展に寄与した人物は多いが、故小林太三郎早稲田大学名誉教授は第一人者と言ってもよい。

日本の主な広告代理業[編集]

外資系

日本の外資系広告代理業[編集]

  • I&S BBDO(アイアンドエス・ビービーディーオー)
  • McCann Erickson(マッキャンエリクソン)
  • Ogilvy&Mather Japan(オグルヴィ・アンド・メイザー・ジャパン)
  • JWT(ジェイ・ウォルター・トンプソン)
  • TBWA\HAKUHODO(ティービーダブリューエーハクホウドウ)
  • GREY group(グレイワールドワイド)
  • Beacon Communications(ビーコン・コミュニケーションズ)
  • Euro RSCG(ユーロアールエスシージー)
  • FCB(フート・コーン・ベルディング)
  • Fallon(ファロン)
  • BBH(ビービーエイチ)
  • Wieden+Kennedy Tokyo(ワイデンアンドケネディトウキョウ)
  • DDB Japan(ディーディービージャパン)
  • GroupM Japan(グループエム・ジャパン)

脚注[編集]

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  1. ^ 小林太三郎著「現代広告入門」第2版、ダイヤモンド社、昭和58年、10-12ページ
  2. ^ Don E. Schullz, Stanley I. Tannenbaum, Robert F. Lauterborn(1993)"Integrated Marketing Communications,”NTC Business Books, a division of NTC Publishing Group.
  3. ^ 清水公一(2012)『広告の理論と戦略』第17版、創成社、71-100ページ
  4. ^ 東洋経済オンライン 広告市場は09年度も大幅減少に! メディアは火だるま(1)
  5. ^ a b 電通広告事典プロジェクトチーム「電通広告事典」2008 電通
  6. ^ 産経新聞の例産経新聞媒体資料インターネット版より

参考文献[編集]

  • J.Thomas Russell, W.Ronald Lane (2005) “Kleppner's Advertising Procedure,”16th edition, Prentice-Hall,Inc.
  • George E. Belch and Michael A. Belch (2001),“Advertising Promotion: An Integrated Marketing Communications Perspective,”Fifth Edition, Rchard D. Irwin,Inc.
  • 水野由多加著 (2004、改訂版2014)「統合広告論」ミネルヴァ書房。
  • 岸志津江、田中洋、嶋村和恵 (2008)「現代広告論」有斐閣。
  • 亀井昭宏、疋田聡編著 (2005)「新広告論」日経広告研究所。
  • 嶋村和恵監修 (2006)「新しい広告」電通。
  • 望月明編著 (1991)「広告ビジネスハンドブック」宣伝会議。

関連項目[編集]