コミックマーケット
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コミックマーケット(Comic Market、通称コミケあるいはコミケット)は、コミックマーケット準備会が主催する世界最大の同人誌即売会である。
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目次 |
[編集] 概要
毎年8月(通例、旧盆にかかる週末、8月15日頃)と12月(通例、12月29日~12月31日)の年2回、東京国際展示場(東京ビッグサイト)で開催される。開催期間は現在では主に3日間。8月に開催されるものは「夏コミ」、12月に開催されるものは「冬コミ」と呼ばれる。2007年12月現在、開催回数は定期開催だけで73回を数える。
春季にも開催されていた時期があり、当時は「春コミ」と呼ばれていたが、2008年現在では「春コミ」と言えばHARUコミックシティのことを指す。これは、コミックマーケット準備会の関与しない別のイベントである。
コミックマーケットは回を重ねるごとに大規模化し、それに伴い、一般にもその存在が広く知られるようになった。2007年夏に行われた「コミックマーケット72」では、東京国際展示場を3日間借り切った状態でサークル参加者数は3万5000スペース、一般参加者数は延べ55万人にも上った。準備会がサークル参加者に提供するブース(「スペース」という単位で呼ばれる)は極端に不足しており、用意した大量の頒布物を捌く必要性から毎回2~3スペース分を準備会より与えられる一部の大手サークル(注:後述参照)などを除いては、全て抽選によって選ばれる。応募のおよそ半数が選ばれ、残り半数は落選という形になる。
[編集] 特徴
コミックマーケットは世界最大の同人誌即売会であり、屋内で行われるイベントとしても世界最大である。「スーパーコミックシティ」などこれに迫りつつある同人誌即売会も存在するが、コミックマーケットとの規模差は未だ大きい。コミックマーケットが他の数多くの同人誌即売会とは別格に扱われる理由は、あらゆるジャンルのサークル参加者が集う大規模即売会という点にある。
コミックマーケットには、多種多様な同人愛好家達が自作の物品を展示、頒布し、交流する。漫画・アニメ・ゲーム以外の大衆音楽・アイドルグループのファン同人誌、ゴスロリ服やコスプレ衣装、手作りアクセサリー、同人ハードウェア、人形作家による人形、教師・看護師・航空機パイロット・鉄道員等の一般に知られない職業従事者の日常が描かれたもの、また、ペット・ガーデニング・紅茶などの愛好家による同人誌まで、現代日本の様々なサブカルチャーが一堂に集う場となっている。
マイナーなジャンルや作品を愛好する参加者達にとっては、コミックマーケットはそういった作品発表の場・作品を入手する場・参加者同士の交流の場であるとも考えられている[1]。それを主目的としていない参加者達にとっても、普段出会えないような作品を探し出し、新たな楽しみを見つけられる場である。
このためサークル参加者の多くが年間スケジュールをコミックマーケット開催周期に合わせており、コミックマーケット以外では同人誌の頒布を行わないというようなサークルも多数存在する(その為、徹夜組や転売屋などの問題も発生している)。1990年代後半以降では、同人誌を専門に取り扱う書店の販売網拡大やインターネットの普及などにより、こうしたサークルの発行物も入手する手段が他にも増えてきており、一部発行物に限って言えば会場まで足を運ばずとも入手出来る様になった。しかし、依然としてコミックマーケットは、日本の同人作品の制作者とファンが一堂に会する同人イベントの頂点、同人界最大の「お祭り」として存続している。
※参加者の区分については“参加者の区分”の節を参照。
[編集] イベント名に関して
コミックマーケットは、「コミケット」(Comiket)あるいは「コミケ」(Comike)という略称で呼ばれることが多い。開催開始当初は「コミック=マーケット」とダブルハイフン入りで表記していた。この名付け親は、立ち上げ時のスタッフの一人であり防火管理責任者の明石良信である。このイベントの正式名称である「コミックマーケット」及びその略称・俗称である「コミケット」「コミケ」は、いずれもコミックマーケットの運営法人である有限会社コミケットが1998年に商標登録している。
しかしながら、商標登録前から「○○コミケ」という名称で開催されているイベントは商標権の侵害とならないため、コミックマーケット以外の同人誌即売会で「コミケ」という名称が使われることは珍しくない。この影響か、コミックマーケットを知らない東京近郊以外の地方在住者(2007年現在、東京/神奈川/千葉/沖縄の1都3県以外でコミックマーケットが開催された実績はない)や、参加し始めたばかりの若い年代層では、他の似通った形態の同人誌即売会も一律に「コミケ」と呼ぶ傾向がある。地方では、「東京のコミケ」という意味で「東コミ」と呼ぶ場合もある。
古参参加者層では「コミケ」の普通名詞化には抵抗を感じる者も多いが、同人誌即売会に関わる者達にとってコミックマーケットの影響力は大きく、「コミックマーケット=同人誌即売会の模範」とされることが多い。「漫画・アニメを主体とした同人誌の即売会」を表す一般的な名称は他に存在しないため、普通名詞化はやむを得ないという見方もある。
[編集] 開催回数の数え方
コミックマーケットでは、開催されるたびに「コミックマーケット○○」と呼び、○○に回数を入れる。略称は「C○○」。例えば、2007年8月17日~8月19日に開催されたコミックマーケットは「コミックマーケット72」、略して「C72」と呼ぶ。「第72回コミックマーケット」ではない。ただし、初回は「第1回コミック=マーケット」であった。
上記の形式は、C4~C5のころに固まったようである。これは、コミックマーケット準備会そのものが形式的には開催1回毎に解散及び結成を繰り返し、連続した団体としての体裁を持たないというスタイルから来たものである。この様式はC72まで続けられたが、開催ごとに解散を繰り返さないC73以降も呼称としてのCXXは継続されている。
定期開催以外の「コミケットスペシャル」は、独立して回数が計算され、定期開催の回数には含まれない。
[編集] 参加者の区分
コミックマーケットでは、来場者は全て「参加者」と呼ぶ。自らは同人誌の発行ないしは他の参加者達との交流等は行わず、目的のサークルが発行する頒布物を入手する為だけに訪れる来場者(いわゆる「買い専」)も含めてそう呼ぶ。これは、参加者は対等であり、「お客様」は存在しないとの理念からである。参加者の主な区分は以下の通りである。
- サークル参加者
- 同人サークルとして参加し、コミックマーケットより与えられた個々のスペース(ブース)で同人誌やグッズ等の頒布を行う参加者。
- 企業参加者
- コミックマーケット企業スペースに参加する法人・各種団体。また、出版社・放送局など営利目的の取材も含む。
- スタッフ参加者
- コミックマーケット準備会のスタッフとして参加し、各種作業を行う参加者。無償のボランティアだが、弁当など飲食物とカタログ、サークル参加申込書が支給される。また、サークル参加の抽選で有利になるといわれる(通常のサークル参加申し込み封筒は薄赤色だが、スタッフ参加者用は水色にして区別を付けている。通称「青封筒」)。スタッフ参加には、東京で行われる事前の「拡大準備集会」に複数回参加する必要があり、また、開催時は設営から撤収までの通日参加が原則となっている。
- 一般参加者
- 上記のいずれにも当てはまらない参加者。参加の事前申請・登録は不要で、入場料は無料。ただ、事前登録なく入場でき、案内や注意事項の交付も行われないため、通常、カタログで注意事項の告知を行う他の同人誌即売会とは異なり、運営の妨げとなる行動(徹夜組等)や、会場におけるマナーの無理解(注意事項がサークル参加者のみならず全参加者に求められていることを理解しない、「金を払ってやる」的振る舞い)も一部に存在する。準備会が発行するカタログは、公式サイトにアクセスしない一般参加者に対して、コミックマーケットでの注意事項やルール・マナーを伝える手段でもあるため、準備会では熟読を呼び掛けている。
これらの区分とは別に、以下のような形での参加もある。
- 委託参加者
- スペース取得に落選した、あるいは居住地から遠い為に参加出来ない等の理由で、他のサークル参加者あるいはコミックマーケット準備会に同人誌その他の頒布を委託した者。来場していない場合もあれば、一般参加者として来場している場合もある。
- コミックマーケット準備会は、2007年8月17日~8月19日開催のC72で、準備会が設けている委託コーナーを中止すると発表した[2]。準備会はその理由として、以下を挙げている。
- 3日間開催において、抽選率70%以上を確保できる状況にある
- 抽選漏れサークルの救済という趣旨とは異なって、そもそもコミケットにサークル申込を行っていないサークルが増え、コーナーの性格も変わりつつある
- これまでの会場の使い方では現状に適合しない部分もいくつか見えており、(現在委託コーナーが置かれている)会議棟含め、会場施設等の利用方法について、会場側とも調整を行いながら現在見直しを行っている
- 従って、今後は委託を希望するサークルは、サークル参加を果たした他のサークルに、個人的に委託を頼む他になくなる。
- コスプレ参加者
- コスチューム・プレイを行う者たちを指し、開催当日の登録(有料)が必要。コミックマーケット自体への参加は、サークル参加・一般参加のいずれかに属する(コミックマーケットではコスプレは副次的なものであり、独自の参加枠が公式にあるわけではない)。なお、企業参加者の中にコスプレをした企業社員やコンパニオンらもいるが、これらは参加要件の違いからコスプレ参加者には含まれない。
なお、サークル参加及びコミケットスタッフへの参加は、原則義務教育修了年齢(高校生以上)に達するまで許可されない。
[編集] サークル参加
サークル参加を希望する際は、指定された期間にコミケットに対してサークル参加の申込を行う必要がある。
- 冬コミ:夏コミ終了後おおむね3日間
- 夏コミ:2月上旬の約1週間
- 期間は開催回によって異なる場合があるので、詳細はコミックマーケットオフィシャルサイトを参考のこと。
申込には、参加を希望する回の前の回(例:C72参加希望の場合C71)のコミックマーケットで準備会販売スペースで販売される「申込書セット」を1スペースにつき1部購入し、申込期間中に参加費の振込み及びサークル情報をまとめた「短冊」と呼ばれるものを郵送する必要がある。この期間は早くても遅くてもいけない。期間外の申込は全て書類不備としてほぼ間違いなく落選となるので注意が必要である。
郵送以外の申込方法として、オンライン申込が長い間切望されてきたが、有限会社コミケットは有限会社サークル・ドット・エムエスとWeb申込受付に関する業務委託契約を締結し、コミックマーケット70(2006年夏)の申込よりオンラインによる申込受付サービスを開始している。オンラインでの申込にも郵送と同様に申込書セットが必要となり、更にシステム利用料として申込書セット以外に1000円がかかる(事実上申込手数料が倍となる)点があるが、期間延長(申込期間が1週間、サークルカット提出と申し込み内容修正がオンライン申し込み終了後更に1週間)の利点があり、主に夏コミ終了後から3日間と期間が非常に短い冬コミの申込期間が延長される点で利用者は毎回増加している。
尚、参加を希望する回の前の回のコミケに参加出来ないサークル参加希望者の為に、申込書セットはCPS及びサークル・ドット・エムエスにより通信販売も行われている。この通販は、会期前及び会期後にそれぞれ行われ、基本的にオンライン申込用としている。しかし、夏の会期後のもの以外は基本的に郵送申込にも利用可能である。
サークル参加では、机半分(90cm×45cm)分のスペースにパイプ椅子2脚が基本的な自スペースとして提供されるが、大手と呼ばれるサークルでは多数の一般参加者を捌く為にそれ以上のスペースが提供される場合もある。また、合同誌頒布の際などに友人のサークルと隣同士に配置をしてもらう「合体参加」という申込も可能となっており、その際は合体申込を行った2サークルで机1本分の配置となる。尚、郵送申込時には専用の合体封筒の購入が必要となるが、オンライン申込の際はフォーム上のみで処理が可能となっており、合体封筒を購入する必要はない。
[編集] サークル参加の抽選について
サークル参加は、申し込みサークル数に会場スペースが追いつかない状況が慢性的に続いているため、抽選が原則となっている(会場容量の限界も参照)。
『COMIKET PRESS』によると、人気ジャンルは申し込みが非常に多くなるため、若干当選率が下がる。逆に申し込みが少なく、特にそのジャンルで申し込んだサークルが1つだけといった場合は、当選率を高くする傾向にあるという。これは、落選によるジャンルの存亡の危機を招かないようにするための配慮である。3回以上連続で(夏だけ、冬だけの申し込みも含む)落選すると、次の申し込みでは救済措置で優先的に当選できる。ただし、落選が書類不備による場合、この救済措置は受けられない。また、ジャンル「学漫」は非常に当選率が高いといわれている(ただし、同一校で複数の「学漫」サークルがあると一方は落選する。もっとも、学生数の多い大学などで、複数キャンパスを持つような場合はキャンパスごとのサークルが当選しているなど、臨機応変に対応している)。
サークル参加申込用紙は記入事項が多く、また、開催ごとに変更される点も多い。そのため、参加ジャンルを問わず書類不備による落選はかなりの割合を占める。しかし2000年代以降では、3日間開催日程の回ならば実質の当選率はかなり上がっており、毎回書類の書き方にさえ注意すれば8割以上の当選を見込めるようになっている[3]。逆に、2日間開催の時は書類不備を除いても、なお4割程度落選となる[4]。
前述の通り、大手サークルなどは申し込めば、致命的な書類不備などがない限りはほとんどフリーパスであると言われている。ただし、抽選免除が公にされているのはコミックマーケットの母体となった「迷宮」のみ。また、免除ではなく「永久スペース提供」と表現されており、公にされたのも母体ゆえの特例と言える。しかし、一般的なサークルの抽選も、無作為抽出ではなく、申し込み時の内容が考慮されることが『COMIKET PRESS』などで明らかにされている。そのため、時に当選するサークルの偏りが指摘されることもある。
逆に、過去に不正行為を行ったり、サークルスペースを確保したにもかかわらず参加しなかったり、参加したにもかかわらず頒布物がなかったようなサークルは以後の開催で強制的に落選させられることがある。また、過去にはコミックマーケットスペシャル開催妨害を理由として永久追放になったサークルも存在する。ただ、異論を排斥しない理念を掲げている(#コミックマーケット開催まで参照)以上、永久追放は最後の手段と位置付けられており、懲罰的に落選させられたサークルでも、ほとんどの場合は前述の救済措置の適用は受けるといわれている(すなわち、最低でも4回に1回は参加できることになる)。
なお、ジャンルが二次創作物の場合、申込が原著作物の発表(発売・放映・公開など)以前だと、ケースバイケースだが基本的に落選になる(例外的に、原著作者本人によるものは当選する可能性がある)。これは、たとえ事前情報が出回っていたとしても、「作品を鑑賞してからこそのパロディでありファン活動ではないのか?[5]」という方針があるからである。
[編集] カタログ
前述の通り、コミックマーケットには数多くのサークルが参加する為、手ぶらの状態で会場に訪れて目的のサークルを探すのは非常に困難である。この為、コミックマーケット準備会は毎回、参加する各サークルの紹介とその配置の紹介を兼ねた冊子「コミックマーケットカタログ」を刊行している。カタログの印刷は、毎回共信印刷が担当している。参加するサークル及びその配置は毎回異なるので、カタログの内容も対応する回にのみ適用される。
このカタログはおおむね開催の1ヶ月ほど前から、大手書店や同人ショップ、CPS(C72まで。事情はコミックマーケット#株式会社コミケプランニングサービス参照)による通販などで販売される。コミックマーケットの開催期間中には、会場外の待機列付近や一部会場内でもコミケットスタッフによって販売され、ここで購入することも出来る。
巻頭には、コミックマーケットへの参加に関しての諸注意事項が掲載。諸注意事項は読みやすいよう、毎回漫画形式で作成されている。そして巻末には、投稿コーナー「まんがレポート(MR)」が掲載される。この記事は、コミックマーケットに実際に参加した者達から一コマ漫画形式で募集した、前回のコミックマーケットに対する意見や感想をその話題ごとにまとめたものである。まんがレポートは、読み物として他の参加者達からの人気を集めていると共に、参加者のマナーの向上や問題提起、疑問の解決などに一役買っている。他、読み物としてカタログに掲載される記事には、前回の開催内容を紹介する「アフターレポート」、準備会からの告知やアンケートへの返答を行う「コミケットプレス出張版」、コミケの諸事情を風刺したDr.モローによるショートコミック、コミケビギナーのためのアドバイスコーナー「Comi-Navi」などがある。
また、カタログには白地図様の会場内の配置図が毎回同封されており、開催会場が有明に移転してからは東京ビッグサイト東ホール用のものが2枚、同・西ホール用のものが1枚同封されている。参加者は、これに目的のサークルの場所を記したり、同行者との待ち合わせの場所を記したりするなど、各々自由に利用することが出来る。
数万のサークルを紹介するカタログのページ数は1000ページ以上にも及ぶ為、本文には特製の薄い用紙(日本製紙製「ヘンリーコート R-50」)が採用されているが、それでもなおカタログ全体の厚さは数センチ、重さは数キロに達する(より厚い週刊漫画雑誌などより重いのは、サークルカットの刷り上がりが最適になるよう採用している用紙の性質による)。それゆえ、会場内で持ち歩くことを考慮し、綴じ部分(いわゆる「のど」の部分)からカッターナイフ等を用いて切り分けるなど、カタログを分冊する者も少なくない。このことから、一時期(C48、C52)は準備会側もカタログを開催日ごとに分冊化しての発行を試みていたが、開催日に対応した冊子のうちのいずれかが売れ残るなどの問題が解決出来ず、結局1冊にまとめての状態へと戻った。
C56からは、従来の冊子型のカタログに加え、CD-ROM版のカタログも登場している(通称「カタROM」)。パソコンで扱えるデータということもあり、各種検索機能の他、前回あるいはそれ以前のコミックマーケット開催時に発売されたCD-ROM版カタログからCSV形式でハードディスクドライブ内に保存したチェックデータから、該当回のコミックマーケットでのサークル・作家のスペース配置状態をオートチェックできる「過去のカタログ読み込み機能」などの機能が搭載されている。CD-ROM版カタログの発売は、冊子版の約1週間後となる。
かつては会場内のゴミ箱からカタログを拾うことが可能であったが、現在はほぼ全てのゴミ箱にスタッフが常駐し、捨てられたカタログを回収しているため、会場内のゴミ箱からカタログを拾うのはほぼ不可能になっている。
[編集] カタログの背表紙
当初、カタログがただの一枚の紙だった時代、及びその後の平とじの時代には「背表紙」は存在しなかったが、80年代後半にいまのような直方体になり、白い背表紙ができた。当初は「コミックマーケット×× カタログ」としか書いていなかったが、89年冬コミ(初の幕張、コミケ37)で発行されたカタログで初めて背表紙に絵が登場した。翌C38のカタログのマンガレポートにそのことに対する反響が二枚掲載されている。うち、一枚に対して編集が「カタログの背表紙の絵は永遠に続くよ」というコメントを寄せている。主に同人界で人気のあったジャンルが背表紙になっている。カタログが薄かった頃は背表紙のやや上の方とやや下のほうに交互に人物が配置されていたが、今ではカタログが厚くなったため、交互に人物を配置する必要がなくなっただけでなく、1作品から2人物を登場させることができるようになっている。最初期に背表紙に登場したジャンル、キャラクターは以下の通り。
- C37 原稿用紙とペンを持ってイスに座っている女性、ヤマト(宇宙戦艦ヤマト)
- C38 女性、ヤマトと古代進、シャア・アズナブル(機動戦士ガンダム)
- C39 古代進、シャア、ブラスター・キッド/木戸丈太郎(銀河旋風ブライガー)
[編集] 参加者の年齢層・男女比などの内訳
コミックマーケット公式の調査によると、参加者の中心層は中学生(兄弟の影響)から30代ぐらいまでで、下は保護者同伴の未就学児から、上は70歳代後半の参加者もいる。
一般参加者の男女比については、確たる統計がない。コミックマーケット66でコミック文化研究会(九州大学助教授・杉山あかし)が準備会と共同で、試験的に計測した結果では、男性がやや多いかも知れない、との結果を得たという。サークル参加者に関しては、第1回コミックマーケット開催当時から一貫して女性参加者が多い。時期によって男女の比率は大きな変動があるが、女性サークルが男性サークルを下回ったことはない。
開催会場が有明に移転して以来、日本国外からの参加者、特に非英語圏(主に中国、台湾、韓国、フランスなど)からの参加者も増えてきている。参加形態も一般参加者だけでなくサークル参加者もあり、一部には行列のできるサークルを主宰する者も出ている。このため、準備会では「国際部」と呼ばれる外国語接遇セクションを強化し、「フェロースタッフ」と呼ばれる他部署兼務の外国語対応スタッフを導入するほか、場外警備を担当する部署に簡単な会話帳を配布するなど対策を講じているが、日本国外からの参加者は漸増する傾向にある。
[編集] 定期開催以外のコミケット
- コミケットスペシャル
- 1978年5月に行われた、定期開催以外では初のコミケット。運営費の赤字を救済するために行われたイベントであったが、結果として赤字を更に増大させてしまった。
- コミケット IN 一橋祭
- 1978年11月に、一橋大学の学園祭の一環として行われた。
- さよなら晴海!!コミケットスペシャル
- コミケット20周年記念として1996年3月に開催。晴海国際見本市会場が東京国際展示場(ビッグサイト)へと役目を引き継ぎ閉鎖されることとなったため。サークル招待制、一般参加事前申し込み制で開催。
- リゾコミ in 沖縄(コミケットスペシャル3)
- コミケット25周年を記念して2000年3月に沖縄県宜野湾市で開催。開催直前に宜野湾市の教育委員会に成人向け同人誌数冊とともに怪文書が送られた。怪文書を作成したサークルは、コミックマーケットから永久追放となっている。
- 30周年記念 24耐(!?)コミケットスペシャル4
- コミケット30周年記念として2005年3月に開催。設営から撤収までの全てを開催日の深夜0時から24時間以内で行ない、サークルも午前と午後で総入れ替えを行った。このイベントは成功したという見方が圧倒的。準備会側では少々の赤字を出すにとどまった。
[編集] 日本国外の類似イベント
アニメ・漫画の愛好者が集まるイベントとしては、日本国外にも以下の様なものがある。
- アメリカ合衆国 - OTAKON
- オランダ - AnimeCon
- フランス - ジャパンエキスポ
- ドイツ - Animagic
- スペイン - Salon del Manga
- シンガポール - Cosfest
- 台湾 - FANCY FRONTIER開拓動漫祭
- 中国 - ComicCon1111
参考リンク:世界のコスプレイベント一覧
[編集] コミックマーケット準備会とその関連企業
[編集] コミックマーケット準備会代表
初期は「迷宮」による運営で、実質的には原田、亜庭じゅん、米澤、かみしま永の4人が中心となっていた。名称も「準備委員会」であったり「準備会」であったり一定しなかった(C1では「準備委員会」)。米澤は、準備会が現在の(独立した組織としての)原形を持つ(ようになった)のは自身が代表になってからとしている(コミックマーケット準備会『コミックマーケット30'sファイル』)。原田は、1979年7月28日~7月29日開催のC12を最後に、準備会の運営から離れた。
その後、米澤は約26年間の長期にわたって代表を務めたが、体調不良の為、C70を最後に退任した。[6]米澤夫人の米澤英子は代表補佐でもあったが、夫の退任後も補佐に留任した。
C69までは準備会は常設の組織ではなく、コミックマーケット開催のたびに結成し、終了後解散する形を取っていた。従って、日常の業務は次項の有限会社コミケットが請け負う形であった。しかし、個人情報保護法の施行により、C70以降は解散する事無く継続して存在するようになった。
[編集] 有限会社コミケット
コミックマーケットはその会員(イベントの性質に見合った用語を用いるなら、同人)の集会という扱いになっている。しかし、イベント開催規模が大きくなってからは、任意団体のコミックマーケット準備会では通常の事務作業とその作業場所の確保、会場借り上げの契約を行うことが出来なくなった。そこで、1985年に株式会社コミケットを設立してそれを行うこととした。後に有限会社(2006年5月より特例有限会社)となり、現在に至る。社長は米澤嘉博が準備会代表と兼任していたが、彼の死去により(代表とは異なり、最後まで現職であった)米澤英子が後任となった。
業務はコミックマーケット準備会からサークル配置データの提供を受け、コミックマーケットカタログを製作。代わりに会場と契約して場所を提供している形になる。その他の業務としては、中古同人誌を取り扱う古書店「コミケットサービス」の運営、同人誌以外の古書・古洋書・ミリタリーグッズを扱う販売店「B-Maniacs」の運営がある。
[編集] 株式会社コミケプランニングサービス
通称CPS。過去にはコミックマーケットカタログやカタログCD-ROM・次回申込書の通販業務を行うほか、コミックマーケットにて同人誌委託コーナーの運営もしていた。
しかし、同人誌委託はC71を最後にコーナー自体が中止され(#参加者の区分参照)、通販もC72を最後にカタログ通常版は準備会の直販、CD-ROM版は株式会社クリエイション、次回申込書はサークルドットエムエスの業務にそれぞれ変更された。3代目代表の体制になってから、CPSの排除が行われたことになる。
この間の事情について、コミケット準備会とCPS、双方の公式見解[7]が出されている。また、クリエイション#運営組織の変遷も参照のこと。
[編集] 共信印刷株式会社
共信印刷は、東京都文京区の印刷会社。コミックマーケットのカタログ印刷を、創刊から現在に至るまで全て担当している。また、CD-ROM版カタログについては、販売とサポートも請け負っている。同人誌印刷会社としても大手である。
[編集] 歴史
コミックマーケットの歴史は、同時に開催場所移転の歴史でもある。以下でそれを追ってゆく。
[編集] コミックマーケット開催まで
1970年代に入り、SF小説や映画などに積極的に興味を示す人々が出現し、同時に表現の場としての同人誌が制作されるようになったことから、時代の潮流として大型の同人誌即売会の開催が求められるようになった。そんな中で出現したのがコミックマーケットである。
コミックマーケットを立ち上げるまでに至った主なきっかけの一つは、SF大会を模して開催された「日本漫画大会」や、流行の端境期に直面していた旧来の漫画への反発といったものだった。また、「日本漫画大会」を批判したある前回参加者が参加を拒否された事件があったことから、「迷宮」はこれを告発するとともに、コミックマーケットでは批判者を排斥しない理念が形作られることになった。そして、「日本漫画大会」や「マンガフェスティバル」などではイベントの一つであった同人誌即売会を独立させ、「ファンのファンによるファンのためのイベント」を目標にした。
[編集] 日本消防会館会議室
C1(第1回)のコミックマーケットは1975年12月21日、漫画批評集団「迷宮」主催の下、東京・虎の門の日本消防会館会議室において、参加サークル32(ただし委託・展示サークルがほぼ半数)、参加者約700名で開催された。開催前日には合宿も行われ、アニメソングが高歌放吟されたという、SF大会の影響の濃いものだったらしい。また、参加サークルの半分近くを学漫(学校内クラブ活動としての漫画研究会)が占め、萩尾望都作品を中心とした少女漫画ファンクラブがそれに次いだ。主催者によると、入場者の9割余を「中・高校生の少女まんがファンを中心とした女子」(前掲『コミックマーケット30'sファイル』)が占めたという。
このC1以降、春・夏・冬の学校の休みに合わせて、年3回のコミックマーケット開催が定着する。なお、「迷宮」とコミックマーケットはその後分離した。しかし、現在でも「迷宮」はサークル参加での永久スペース取得権を有している。帳簿上、コミックマーケット準備会は「迷宮」からの借金が残ったままになっており、その代償という形を取っているという。
この会場は第1回のみである。
[編集] 板橋産業連合会館から都内各産業会館
1976年にはC2からC4の春・夏・冬コミが板橋産業連合会館で開催される。この頃はまだ参加サークルは100に満たない状態だったが、1977年C5に大田区産業会館に移った頃から入場待ちの行列ができるようになっていく。途中、四谷公会堂と東京都立産業会館・台東館を1度ずつ使用したものの、結局1979年いっぱいまで同館の使用は続き、同館最後の開催となったC13では、参加サークル300弱、参加者約4,000人と、コミックマーケットは確実に大きくなっていった。また、参加サークルにおける学漫の占める割合は低下し、オリジナルの創作系が増えていった。また、『宇宙戦艦ヤマト』などアニメのファンサークルの参加も目立ちだした。特に『宇宙戦艦ヤマト』『機動戦士ガンダム』のブームと、非常に初期の、現在で言う「おたく」が出現したことは、コミックマーケットを牽引する大きな原動力となった。
この時期を最後に「迷宮」は運営から手を引き、コミックマーケットは組織として独り立ちしたらしい。「迷宮」は1980年、創作漫画専門の同人誌即売会「まんが・ミニ・マーケット」をコミックマーケットの補完として開催した。これは、コミックマーケットの規模拡大で、売り手と買い手、作者と読者、さらにはファン同士の交流が薄れ始めたため、適正規模の即売会を別に設けようとしたためという。また、頒布物における二次創作物の割合が高まったため、純粋なオリジナル創作だけの場を設けるべきではないかという話もあったという。1981年にMGM(Manga Gallery & Market)と改称、2006年現在も存続している。
[編集] 川崎市民プラザから横浜産貿ホール
1980年から1981年にかけて川崎市民プラザで4回開催されたコミックマーケットは、参加サークル350~400、参加者約7,000人規模で推移するが、すぐに会場が手狭になった。横浜産貿ホールを2日間使用したC18では、ついに参加サークルが500、参加者が1万人を上回った。この時期、『うる星やつら』のファンサークルが激増し、当時のロリコンブームと相まって、男性参加者が本格的に進出。現在の男性向創作分野の基礎が作られる(換言すれば、この時期まではコミックマーケットといえば女性参加者が主体であった)。漫画家吾妻ひでおらの「シベール」の行列が館外に作られ、今の壁サークルの走りとなったのもこの時期である。
[編集] 晴海(1期)
1981年の冬コミであるC19は、当初川崎市民プラザで開催される予定であった。しかし、そこに分裂騒動が起こり、反主流派(クーデター派、改革派と名乗った)は先手を打って会場を押さえてしまった。規模拡大に伴い、規制強化が必要と認識したからとも、既に力を持ち始めていたコミックマーケットの名声に目が眩み、乗っ取りを謀ったからともいう。また、声優を呼んだり、アニメの上映会を開いたりできないかとする意見があり、コミックマーケットには合わないと却下された経緯もあったという(ただし、後者は後年、企業ブースとしてコミックマーケットでも実現する)。こうして、コミケット準備会は望まぬままに東京・晴海にあった東京国際見本市会場(通称:晴海)の使用に踏み切った(分裂した側は「新・コミックマーケット」を名乗り、後に「コミックスクウェア」と改称した。しかしいつまで続いたのかは文献が確認出来ず不明である。また、2006年現在、現存する同人誌即売会の「コミックスクエア」とは無関係である。「コミックスクウェア」終了後、一部は「コミックレヴォリューション」開催に加わったともいう)。
以後、コミックマーケットの会場は6年間にわたって晴海に落ち着く。その間、参加サークル、参加者数共に増大を続け、1983年冬コミのC22において参加サークルは1,000を超え、第一期晴海時代の最後の開催であるC30には3,900サークル、約35,000人が参加するに至る。また、この間に1983年を最後に春コミが廃止された(後に1988年の冬コミが中止になったため1989年一度だけC35が開催された)。この間、1985年頃から『キャプテン翼』(『C翼』と略された)が女性サークルに絶大な人気を呼び、商業作品を題材に男性キャラクター同士の同性愛を表現した同人誌を制作・頒布するいわゆる「やおい」サークルが増加。若い女性参加者を大きく増やすこととなった。1983年よりスタッフに加わった岩田次夫は、『キャプテン翼』ブームが少女漫画再生の鍵になると見て、やおいサークルを激賞。『キャプテン翼』そのものは少年漫画であり、にもかかわらず女性がほとんどを占めたことが同人サークルの特異性である。ブームから外れた時期になるが、1992年のC43での公表データによると、『C翼』サークル代表者は男性6、女性1083で、女性比率は99%を超えている。少年漫画(特に『週刊少年ジャンプ』作品)サークルが女性中心の傾向は現在でも変わっておらず、むしろ出版社側も利用する動きがある。
また、岩田はサークル情報などの事務管理のコンピュータ化を企画・実行し、急激な作業量の膨張に対応した。これは、参加可能なサークル数を増やすことで、人材発掘・育成を進める狙いもあったという。岩田はスタッフの第一線を退いた後も、「イワえもん」の愛称で親しまれ、同人誌評論などの活動で影響力を持ち続けた。岩田は2004年に逝去したが、現在でもカタログや参加申込書にはイワえもんが欠かさず登場する。
[編集] 東京流通センター
商業イベントとの競合により晴海会場の確保が不可能になったため、1986年冬のC31から翌冬のC33まで、平和島にある東京流通センター(TRC)を使用した。会場面積の減少を補うため2日間開催を実施。この間、4,400サークル、4~6万の参加者を獲得した。また、ジャンル別にサークルを割り振る、ジャンルコードが導入された。
[編集] 晴海(2期)
TRCでの2日開催でも人員を収容しきれなくなったコミックマーケットは、翌1988年のC34より晴海に戻ることになった。この時期に至って事務管理のコンピュータ化が確立し、第34回では倍以上の9,200サークルを参加させることができた。この間も会場確保は困難を極め、1988年冬の予定だったC35開催に至ってはついに確保できず、翌1989年3月に行われた(これが、通常開催では最後の「春コミ」)。また、1989年夏のC36では、サークル数1万、参加者数は10万人の大台に乗った。
C36の直前、東京・埼玉連続幼女誘拐殺人事件の被疑者(現在死刑囚)が逮捕された。被疑者は「おたく」であり、コミックマーケットにサークル参加予定であったことから、世間受けや視聴率稼ぎを狙ったマスコミの「おたく」叩きの一環として、コミックマーケットにも非難の手が及んだ。ワイドショー番組で、レポーターの東海林のり子がコミックマーケット参加者を「ここに10万人の宮﨑勤容疑者がいます!」と非難した。[8]皮肉にもこの事件が、コミックマーケットの一般への知名度を大きく高めることになった。
[編集] 幕張メッセ
膨張を続け、ついには晴海の全館2日使用でさえ収容能力の限界を露呈する程に巨大化したコミックマーケットは、1989年冬のC37より千葉県千葉市(後に政令指定都市化により同県同市美浜区)の当時日本国内屈指の巨大イベント会場であった幕張メッセに会場を移した。
翌冬のC39には参加者25万人を数えるに至り、コミックマーケットはこのまま幕張に落ち着くかに見えた。しかし、次のC40開催の直前に、猥褻図画摘発問題と幕張メッセ側からの申し出により突然使用不能となってしまう。幕張メッセ側は警備上の問題などを理由として挙げたが、事実上コミックマーケットが幕張メッセから厄介払いを受けたと捉える者も多い。
この出来事が、現在までのコミケの歴史の中では最大の危機であったとする者は多い。当時を知る参加者の殆どが、いまだに幕張メッセに対して極めてネガティブなイメージと強烈な不信感を抱いており、これについては現在もほとんど払拭されていない。この出来事を実際に体験していない参加者には、他のアニメ・ゲーム関連の大規模イベントが幕張メッセで多数開催されている事もあって、このようなイメージは比較的少ない。また公式には、準備会として幕張メッセへの積極的な批判も避けている。しかし、実際にこの出来事を経験した参加者から事の顛末を語られるなどして、知識として知っている者は多いとされる。
なお、この際に幕張はもとより千葉市周辺のホテル群では数十億円規模と言われる金額の宿泊予約のキャンセルが出たとも言われ、ホテルと従業員はその対応に追われることになった。前年同時期の幕張ホテル群の稼働率は事実上100%であり、近隣からは珍しく全ての窓に明かりが燈っていると言われたが、この年は殆どの窓は暗く沈黙したままであり、コミケが会場周辺地域に生み出す経済効果の大きさを窺わせる事になった。
また、宿泊施設以外への影響も小さくなく、幕張でのコミケ開催がなくなったという情報の周知の徹底がなされなかった為に、前年コミケ期間中のデータを根拠に食品類やドリンク類を大量発注した最寄り駅周辺のコンビニエンスストアが大量の不良在庫を発生させ、売れ残ったおにぎり・サンドイッチ・弁当などのデリカ食品類について大量廃棄に追い込まれる事態も見られた。幕張周辺の飲食店等についてもやはり前年同時期に比べて収益が1/10以下に落ち込んだという店が少なくない。
なお、幕張メッセでは、2016年夏季オリンピックの開催地が東京となった場合や東京都の表現規制の変化などにより、東京ビッグサイトが使用不能となった際の受け入れ先として立候補するのではないかとされるが、幕張メッセ・コミケット双方による公式な発表や声明などはない。だが、上記のような出来事といったネガティブイメージ、特にその出来事を実際に経験した参加者たちに限れば拒絶反応とも言える感情があるため、幕張メッセでのコミケ開催には否定的な意見が存在する。
[編集] 晴海(3期)
以上のような経緯を経て、コミックマーケットは1991年夏のC40より1995年のC49まで晴海(東京国際見本市会場)で開催された。そのため、コミックマーケットは三度晴海に移転したということになる。しかし、猥雑図画に対する自主規制の強化は避けられず、見本誌チェックによる規制を導入した。
参加者の膨張はやまず、1992年夏のC42では入場待ちの長蛇の列に折からの猛暑が加わり、数百人が熱中症で救護室に運ばれた(いわゆるジェノサイドコミケ)。また1995年夏のC48は、開催20周年記念として初の3日間開催を行った。
この時期のコミックマーケットにおいて特筆すべきは『美少女戦士セーラームーン』の存在である。同作品は男女両性の読者へアピールしたため、女性作家による男性向け創作が大幅に増えることとなり、この傾向は以後の『新世紀エヴァンゲリオン』のブームへと続いていった。また、この時期には1980年代末期の『聖闘士星矢』とその成功を受けて製作された『鎧伝サムライトルーパー』などのいわゆる美少年アニメが若い女性のアニメファンの間でブームとなった。これは同人界にも波及していき、この時期に大量の同人誌が製作され、コミケ内のジャンルとしても成立する程になった。しかし、その多くが「やおい」と呼ばれる、少年向けアニメの二次創作物としては内容に非常に問題があるとされた事から、それ以降のアニメ製作会社の二次創作に対する姿勢について大きな影響を与える事にもなった。
そして東京国際見本市会場の閉鎖のため、1995年冬のC49をもって晴海での定期開催を終了。翌1996年春の「さよなら晴海!! コミケットスペシャル」をもって晴海での開催は終了した。
[編集] 有明
1996年夏のC50から、コミケは同年完成した東京ビッグサイト(有明)での開催となる。2007年現在もこの有明・ビッグサイトを会場としてコミケが行われている。C50の開催はビッグサイトの会場の一部で行われたが、同時開催の他のイベントからの苦情が来たことから、次のC51では早くもビッグサイト全館貸し切りでの開催となった。1997年夏のC52以降、夏コミは3日間開催が定着し、参加サークルは3万を超えるまでに至っている。冬コミについても、会場の都合により1999年のC57で3日間開催を実施し、以降C63・C65・C71・C73と3日間開催が行われている。C71では、初の大晦日開催が行われ、翌年も開催された。
有明の初期、1990年代後半は『新世紀エヴァンゲリオン』のブームがコミックマーケットを席巻した。『美少女戦士セーラームーン』や各種対戦型格闘ゲームに続く同人誌バブルともいえるこのブームで、コミックマーケットはいっそうの活況を呈したが、一方でSFというジャンルの存在感がさらに薄れ、「萌え」を打ち出した、90年代後半型オタク向けの同人誌が急激に増加した。このことは、マスコミを中心としてコミックマーケットへの偏見(「『コミケ』とは『萌え』すなわちエロ同人誌の即売会である」など)を助長している面もある。
2000年代前半に至ると、同人ソフト『月姫』や『東方Project』などの登場により、同人ソフトを元にした同人誌という、「同人の同人」とも呼ばれる自己パロディ現象(ただし前述の作品は同人でもいわゆるオリジナル作品であり、そのパロディ等が出ることは矛盾も重複もしていない)が生じたが、これもコミックマーケットの巨大化の一つの現れといえるだろう。また、『月姫』については製作サークルTYPE-MOONが商業メーカーへの転換に成功している他、同作品を題材とした渡辺製作所(現・フランスパン)製作の対戦格闘ゲーム『MELTY BLOOD』のアーケードゲーム進出、音系同人に関してもSound Horizonや片霧烈火らがメジャーへの道を辿るなど、漫画以外の表現方法についても同人活動をプロへの登竜門とする流れが生まれつつある。
2000年代後半になると、ジャンルの超多様化(従来の同人活動の概念を逸脱する、オリジナルアクセサリーなどのサークルも出現)が発生している。2006年冬のC71では、現役の声優である堀江由衣が自らがパーソナリティを務めるラジオ番組の企画で設立したバンド:黒薔薇保存会の作品を後述する企業ブース内で販売した実績があり、日本国内のあらゆる「表現」を呑み込んで今もなお成長している。
有明移転後のコミックマーケットで特筆すべき点は、第51回より会場の一部フロアを企業向けにスペースを設置し、これを開放したことである。ビッグサイトの構造の問題からサークルスペースとして使えない西地区4階フロアを、コミックマーケット準備会が企業に販売・プロモーション・市場調査の場として提供するようになったのである。このことに対し、当初は「コミックマーケットの提唱する『アマチュア作家たちの表現の場』という理念に反する」と参加者たちから批判の声が相次いでいたが、これは同人の元ネタにされる作品の著作権を保持する企業に限って言うならば、コミックマーケットに直参させ巻き込むことによって参加者たちの同人活動を黙認させるという意図で行っていると推測されていた。実施から時が経つと企業スペースも慣習化したため、当初ほど批判の声は聞かれなくなっている。そのため、企業スペースで販売・配布される限定商品を目当てに来場しアマチュア作家たちの同人誌には目もくれない、「企業専」と呼ばれる来場者たちも出てきている程である。企業側でも、コミックマーケットが貸し出すこのスペースは高い販売効果が望めるプロモーションの場として注目されていると言われており、その結果、2000年代に入ると、同人サークルなどと同様に抽選によって落選する企業まで出る状態である。
[編集] 祭・自由な表現の場として
1990年代に入ると、制作技術の革新により各種同人作品の制作が容易となったことなどから、コミックマーケット参加者は急激に増加した。東京秋葉原・大阪日本橋を中心として日本全国に同人誌専門店などが増え、インターネットなどを通じて、より手軽に同人誌が入手できるようになったため、コミックマーケット販売物を来場せずに購入する方法がある現在(中には、コミックマーケット開催前に同人誌専門店で販売されるケースもある)でも、依然として日本全国の同人作品の制作者とファン(いわゆるオタク)が一堂に会する同人イベントの頂点、同人界最大の「お祭り」として存続している。
また、2005年に制作・放送された『電車男』などのドラマや、秋葉原やメイド喫茶などが注目される関連から、コミックマーケットにも注目が集まり、社会認知されるイベントになった。開催日の前後にはコミックマーケットがテレビ番組などで特集されたり、メディアに取り上げられたりすることも増えている。
その一方で、参加者の驚異的とも言える増大によるイベント巨大化、企業との関係、さらには法令による「有害図書」規制やコスプレ表現にまつわる、規制と表現(とりわけ性的表現)の自由との兼ね合い、イベントにおける多大な頒布・売買行為の税務上処理、そして原著作権の主張に対する二次著作物文化のあり方問題など、2007年現在いくつかの課題も内包している。
ともあれ、コミックマーケットは開始以来、会場におけるルールを守る限り参加者の自由が最大限尊重される、巨大な「表現の自由」の場としての価値を守り、維持し続けてきた。当初からの理念を踏まえた上でこれまでの蓄積を生かし、新たに投げかけられる課題やコミック・同人文化の時代的変化に対処して、今後もそのあゆみを続けていくことが求められるという意見もある。
[編集] コミックマーケットが抱える問題
詳細はコミックマーケットが抱える問題を参照。
[編集] コミックマーケットと職業作家、商業誌の関係
コミックマーケットは、元々はアマチュア作家たちの同人誌即売会であった。現在でも建前としては変わっていない。しかし、アマチュア作家がコミックマーケットへの参加を続ける中で商業誌の編集部に見出されてプロデビューを果たしたり、職業漫画家となった者が個人でコミックマーケットに参加して執筆誌を頒布したり、さらには商業誌での活動が無いながらも大部数の同人誌の発行と完売を為し、制作費の回収はもとより自身とスタッフの生活費などまで稼ぎだす、すなわち同人作家を生業とする者が現れたりといった現象が、規模が大きくなるに連れ一般化してきている。これらの要素によりアマチュアとプロとの境は年を追う度に曖昧なものとなって行き、この流れは商業漫画界にも波及している。
コミックマーケットの初期には柴門ふみ、いしいひさいち、高橋留美子などがアマチュア作家として参加しており、アマチュアからプロへという流れが存在していた。しかし、それ以降のあさりよしとお、高河ゆん、CLAMPなど、現代のオタク文化を代表する作家たちは、職業作家としてデビューしつつも同人作家としての活動も続けるようになる。この一方で、ロリコンブームの際に吾妻ひでおによる同人誌が出たのを走りとして、職業作家(その中には元職業作家と呼ぶべき人たちも含まれる)が同人誌を出すという、いわば逆コースも見られ、プロとアマチュアの境界はコミックマーケットという場において混沌としているのが現状である。
さらに下ると、商業誌でデビューして知名度を稼ぎつつも、むしろ本業の比重を同人誌のコミケや同人ショップでの販売に置く向きも増えていく。テレビをプロモーションの場と割り切り、利益はディナーショーなどで得る一部の歌手と同じビジネスモデルである。また、2000年代より、商業誌について回る表現の制約や規制を嫌い、商業作家としての活動はゲームソフトの原画や雑誌のカット、ライトノベルの挿絵を描く程度で、あとはインターネットのホームページなどで活発な宣伝活動を行い、同人誌やグッズの販売だけで活動費や生活費を捻出するスタイルを選ぶ者さえ現れている。これらを指す「プロ同人作家」という言葉も存在し、これを自称する者も現れている。一方、テレビゲームやアダルトゲームなどの他業種でデビューし知名度を得た後に商業出版に転じ、さらにこの「プロ同人作家」へと転じた者もいるが、これらの一部については以前の業界よりも遥かに日程管理や表現の制限が厳しい商業出版の世界への順応ができず、結果としてこの形態になったという者も見られる。いずれにせよ、この「プロ同人作家」にとっては、コミックマーケットというイベントの存在と、その隆盛による同人界および同人関連市場の活性化が、もはや生活の為に事実上必要不可欠なものとなっている。
『月刊コミック電撃大王』のような同人出身の作家が多い雑誌では、コミックマーケットでの頒布用同人誌の準備時期に締め切りのある号では連載のページ数が減ったり休載になったりといった現象が多く見られ、同人イベントに興味の無い読者からはこれを指して「コミケ休載号」などと揶揄される事になってしまっている。また、休載まではいかないものの、連載作品の作画品質が軒並み低下する雑誌も少なくない。いずれにせよ、特定の時期に集中的に発生するだけに原因がはっきりしているため、同人活動に興味の無い読者から「プロの作家が素人活動の為にプロとしての仕事をなおざりにしている。また編集部もそれを容認している」と、作家のみならず、編集部までもが厳しい批判を浴びる原因となっている。
[編集] その他
- フジテレビ系列局で放送されたテレビドラマ『電車男』の第6回放送で、このコミックマーケットが題材として取り上げられた。ここでは「コミックキングダム」という架空の同人誌即売会として登場したが、現実のコミケを知る者にとっては非常識と言って良い描写がされており、殆んど別物という評価が視聴者から下されていた(もっともこれはどんなドラマのどんな分野にもある「話を面白く見せる為、あえて現実離れした展開にした」という事も考えられる)。この放送回は折りしもコミックマーケット68前日であった。ロケは、多数のエキストラ(本物のオタクも参加)を集めて東京ビッグサイトと幕張メッセで行われた。
- コミックマーケットの館内放送は長年、米澤英子がほぼ1人で担当しており、その象徴の一つであった。しかし、コミックマーケット67の際にアナウンス中にトラブルが発生(喉を痛めてしまい発声できなくなった)。68では、放送要員増員を図り、予備要員の人間が交代で放送に当たった。コミックマーケット初の試みとして、68の1日目の放送に男性が起用された。
- 会期中の各日9時45分、12時30分、15時45分には、それぞれ不審物の発見等を目的とした一斉点検放送が行われる。この放送では毎回、冒頭の数秒間で井上陽水の『夢の中へ』が流されており、単に「探し物」以上の意味でもイベント内容に通用する歌詞であることから、この曲を事実上のコミケのテーマソングとして捉える向きも多い。なお、当初はイントロのみの使用であったが、後に参加者に使用意図を明確にするため、歌い出しの「探し物はなんですか? 見つけにくい物ですか?」の部分まで延長されるようになった。
[編集] 関連項目
アルファベット順・五十音順。
[編集] 外部リンク
- コミックマーケット公式サイト
- コミックマーケット設営部
- コミケプランニングサービス カタログの通販
- 有限会社サークル・ドット・エムエス オンライン申込受付
- 共信印刷株式会社
- コミックマーケットCD-ROMカタログ サポートページ(共信印刷内)
- 有明警戒1 徹夜参加者の様子
[編集] 脚注
- ^ コミックシティなど他のイベントでも“よろず”として取り扱っている場合があり、中小の即売会でも“オールジャンル”を謳うものは少なくない。しかし、最大規模であり、即売会に疎い人間にも比較的知られているコミックマーケットは、他の即売会に比べて、マイナージャンルの参加者に出会える可能性が相対的に高くなる
- ^ 『同人誌委託コーナー』の中止について 2007年5月31日 コミックマーケット準備会
- ^ 広報誌『COMIKET PRESS』21号によると、2004年夏のC67では当選率68%、不備で落選20%、抽選で落選12%。したがって、不備を除いた申込の85%が当選。
- ^ 同じく『COMIKET PRESS』21号によると、2004年冬のC68では当選率49%、不備で落選20%、抽選で落選29%(数値は原文のまま)。従って、不備を除いた申込の62.8%が当選。
- ^ 『コミックマーケット73 カタログ』1298ページ
- ^ 準備会による退任発表 なお、米澤はこの発表の翌日に死去。
- ^ (株)コミケプランニングサービスへの業務委託終了について(コミックマーケット準備会)
弊社業務内容の変更に関する社告(CPS) - ^ 書籍「嫌オタク流」ISBN 4-7783-1001-2 第1刷214ページ目より。
[編集] 参考文献
- コミックマーケット準備会『コミックマーケット30'sファイル』(2005年3月21日 コミックマーケット準備会自費出版。商業出版された版は2005年7月 発行コミケット、発売青林工藝舎、2100円、391頁、ISBN 4-88379-192-0)