3月のライオン

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3月のライオン
ジャンル ハートフルコメディ
将棋漫画
青年漫画
漫画
作者 羽海野チカ
監修:先崎学
出版社 白泉社
掲載誌 ヤングアニマル
レーベル ジェッツコミックス
発表号 2007年14号 - 連載中
巻数 10巻(2014年11月時点)
その他 取材協力:日本将棋連盟、壽堂
テンプレート - ノート

3月のライオン』(さんがつのライオン、March comes in like a lion)は、羽海野チカによる日本漫画作品。将棋を題材としており、棋士先崎学が監修を務める。『ヤングアニマル』(白泉社)にて2007年第14号から連載中。

概要[編集]

東京下町に住むプロ棋士の少年と3姉妹との交流を中心に、他者との関わり合いの中でそれぞれの心の傷と向き合い、癒そうとする人々の姿を描く。2009年第2回マンガ大賞2009第3位、2011年全国書店員が選んだおすすめコミック2011」第2位に選ばれた。また、2010年に第1回ブクログ大賞マンガ部門大賞、2011年に第4回マンガ大賞2011および第35回講談社漫画賞一般部門、2014年に第18回手塚治虫文化賞マンガ大賞を受賞している。

2011年2月に本作品の担当編集者が人事異動で『花とゆめ』の編集長になるが、白泉社の社長より「『花とゆめ』の編集長をやりながら『3月のライオン』の原稿だけは取りに行け」という特令が出され、実施されている[1]。同誌連載の『ベルセルク』作者・三浦建太郎から「アニマル一男らしいマンガ」と評価されている[2]

棋戦について、作中では全部で7つのタイトル戦が存在するが、名人戦以外は獅子王戦・棋神戦・棋竜戦・棋匠戦・玉将戦・聖竜戦と、棋戦の名称が現実のものと異なる架空のものとなっている。また、作中ではタイトル戦以外に「MHK杯トーナメント」や「新人戦」などの棋戦が存在する。

あらすじ[編集]

15歳で将棋のプロ棋士になった少年・桐山零(きりやま れい)は、幼い頃に交通事故で家族を失い、実父の友人で棋士である幸田の家に、内弟子として引き取られたという経歴を持つ。心に深い傷を負ったまま棋士となった桐山は、高校へ進学せずに幸田の家を出て、東京の下町・六月町にて1人暮らしを始める。

その後、桐山は1年遅れで高校に進学するも周囲に溶け込めず校内で孤立し、将棋の対局においても結果を出せずに低迷する。自らの境遇を停滞していると感じていた桐山は、酔いつぶれていたところを介抱されたことがきっかけで、橋向かいの三月町に住む川本家と出会い、夕食を共にするなど、交流を始めるようになる。

そんな折、獅子王戦トーナメントにて、義姉の香子を巡る因縁を持つA級棋士・後藤との対決に桐山は気を強めるが、ライバル・二海堂の兄弟子であるA級棋士の島田を軽く見ていたことを島田本人に見透かされ、準決勝の対局で完敗する。その後、島田と後藤の対局を見た桐山は、島田の研究会に参加する。川本家、二海堂や島田、高校の担任である林田や放課後将棋科学部(将科部)の面々と出会い、少しずつ桐山の心境に変化が生じるが、進学後しばらくして、川本家の次女・ひなたのいじめ問題に関わることになる。

いじめられていた同級生をかばったことで自身がいじめの標的になり、それでも自分がしたことは間違っていないと言うひなたを見て、自身が抱えていた心の傷から救われた桐山は、何があっても彼女を守ることを誓う。同じ頃、新人王トーナメントの対局中に二海堂が倒れ、二海堂が重い病気を隠しながら将棋を指し続けていたことを知った桐山は、二海堂に千日手を仕掛けて棄権に追いやった山崎を決勝で破り新人王になる。新人王トーナメントに優勝した桐山は、その足でひなたの修学旅行先である京都まで行き、一人河川敷にいたひなたの元へかけつけた。その後、ひなたのいじめ問題がひととおり解決し、将科部の面々から新人王獲得を祝福された桐山は、名人位のタイトルホルダーである宗谷との記念対局に臨む。そこで桐山は、宗谷が原因不明の難聴を抱え、耳が聞こえないことを知ることになる。

夏休みに入り、将科部で行った流しそうめんをきっかけに、桐山が通う高校に進学したいことをひなたが告げ、桐山は家庭教師としてひなたの受験勉強を支援する。無事高校に合格したひなたは、入学後すぐに友人もでき、そのようなひなたの学校生活を桐山は遠くから見守り安堵し、時にひなたに近づく男子生徒を発見した際はすぐさま彼女の元へかけつけるなど、平穏な日々が訪れる。しかし、川本家の祖父・相米二が不整脈で入院した直後に、家を出て行ったはずの川本家の父親が突然3姉妹の前に姿を現し、一緒に暮らすことを提案する。桐山はその目論みを阻止するため川本家に介入し、川本家の人々がいる前で、将来ひなたと結婚することを宣言する。

登場人物[編集]

主人公[編集]

桐山零(きりやま れい)
本作の主人公である、プロ棋士の少年。年齢は物語開始時で17歳。4月生まれ。単行本5巻以降の順位戦はB級2組に所属する。六月町という東京都内にある架空の町に在住している。性格は大人しく引っ込み思案だが面倒見がよく、作中ではひなたや島田などからは母親みたいであると評されていた。集団に溶け込めず、幼少時は学校内でいじめられることが多かった。小学生の時に交通事故で両親と妹のちひろを亡くし、実父の友人で棋士である幸田の家に内弟子として引き取られた。作中における中学生でプロになった史上5人目の棋士となり、中学卒業後は進学せずに幸田の家を出て一人暮らしを始めた。後に1年遅れで私立駒橋高校へ編入するが、友人を作れずに校内で孤立する。将棋の対局においても結果を残せず低迷し、自らの境遇を停滞していると感じていたが、川本家の人々や放課後将棋科学部(将科部)との関わりを経て、少しずつ心境に変化が生じる。川本ひなたを特別な存在と思い、彼女がいじめにあった際は親身になって解決策を考え、身を案じて修学旅行先の京都にかけつけるなどした。将科部が廃部となった後は、校長や教頭などを加えた「将棋クラブ」が設立され、その部長となる。
棋風は居飛車も振飛車も指すオールラウンダーで、島田からは「宗谷と雰囲気が似ている」と評される。作中にて新人王位を獲得し、その記念として宗谷冬司と第43回新人戦記念対局を行った。父方の実家は長野にあり、病院を経営しているが、叔母の貴和子夫妻によって経営の実権を握られているため、父方の親類とは疎遠である。

川本家[編集]

川本あかり(かわもと あかり)
三月町という架空の町に住む川本家の長女で、年齢は単行本9巻の時点で23歳である。死んだ母親の代わりに妹たちの面倒を見ながら、昼は祖父の経営する和菓子屋「三日月堂」の手伝いに従事し、夜は週に2回、叔母の経営する銀座の店「美咲」でホステスとして働いている。猫・鳥・人間を問わず痩せている生物を放っておけない性質で、拾ってきては食べ物を与えて太らせる。また、ふっくらとした体型に魅力を感じ、二海堂を一目で気に入ってその場で夕食に招待している。家族を捨てて出て行った父親に対して複雑な感情を抱いている。妹たちの母親代わりを務めるが、ひなたがいじめの標的にされた際は動揺し、時に涙を流すこともあった。料理が得意であり、ひなたと共に桐山のことを気にかけている。
川本ひなた(かわもと ひなた)
川本家の次女。初登場時は中学2年生で、5巻以降は3年生に進学し、単行本9巻で私立駒橋高校に入学した。姉のあかりと共に桐山を気にかけており、いつも明るく元気だが、非常に繊細な一面もある。好意を寄せる幼馴染みの高橋に弁当を作って渡そうとしたり、桐山がひなたとの結婚を宣言した際はめまいを起こして倒れた。佐倉ちほをいじめからかばったことで今度は自身がいじめの標的にされ、そのことに悩み、泣きながらも「私は間違っていない」と言う姿は、桐山を心の傷の1つから救い出した。なお、このいじめに関するエピソードは、作者・羽海野の姪がクラスでいじめられていた子をかばった実話を元にして描かれている[3]。高校へ進学した単行本9巻からは、髪型がふたつお下げからショートボブになった。高校では「手作り部」に入部し、つぐみという友人ができた。
川本モモ(かわもと モモ)
川本家の末っ子。保育園に通っている。天真爛漫で桐山や姉たちに甘え、大好きなアニメのキャラクター「ボドロ」に体型が似ている二海堂に懐く。
川本相米二(かわもと そめじ)
川本家の祖父。姉妹の母親である美加子(みかこ)の父親で、和菓子屋「三日月堂」の店主を務める。孫娘たちをこよなく愛する。将棋ファンであり、桐山の対局について関心を寄せている。後に不整脈で倒れ、入院する。
美咲(みさき)
3姉妹の叔母で、あかりが勤める銀座のクラブ「美咲」のママ。結婚して家を出ているものの、3姉妹を気にかけ、お洒落をして外に出られるようにと、あかりをホステスとして雇う反面、商売っ気の強いところもある。「美咲」には将棋連盟の人間が多く常連にいる。姉妹の実父である誠治郎を嫌悪し、彼が川本家に姿を現した際はすぐに駆けつけた。

島田研究会[編集]

島田開(しまだ かい)
30歳代後半。A級、八段。後藤より若いが、痩身で頭髪は薄い。宗谷と同じ年で奨励会の同期[4]である。大内門下であり二海堂の兄弟子で、二海堂とはお互いに「坊」「兄者」と呼び合う。面倒見がよく、桐山を自らの研究会に誘った。山形県天童市付近の村出身で、果実の収穫や酪農などを手伝いながら奨励会への交通費を稼ぎ、棋士となった。支援を続けてきた後援者と故郷のために、タイトルホルダーとなって故郷に錦を飾ることを目標とするが、将棋にのめり込むあまり恋人に愛想をつかされて、いまだ独身である。奨励会に在籍していた頃から胃痛持ちで、タイトル戦などではプレッシャーから非常に悪化する。地味で冴えない風貌が原因でタイトル戦が盛り上がらないため、会長を嘆かせる。また、自他共に認める雨男である。増毛業界の大手スポンサーがつく話があったが、辞退した。
粘り強く決して諦めないと評される棋風で、居飛車党である。努力の末にA級まで昇格し、タイトル戦の常連となっている。獅子王戦で宗谷に挑戦し、0勝4敗のストレートで敗北する。その後、第33期棋匠戦挑戦者決定戦を勝ち抜き、柳原に挑戦するが、2勝3敗とまたしてもタイトル獲得はならなかった。
二海堂晴信(にかいどう はるのぶ)
C級2組、四段。単行本5巻以降はC級1組、五段である。幼少期から子供将棋などでしのぎを削った桐山を「心友」かつ「終生のライバル」と自称し、将来は桐山とタイトルを争うことを確信している。島田の弟弟子であり、島田の研究会に所属する。居飛車党で、特に居飛車穴熊を好む。また、野心家であり、新戦法に自分の名がつくことを目論む。良家の子息で、性格はマイペースながら礼儀正しく、将棋に関しては熱血漢であり、真摯に向き合う。幼い頃から腎臓を患っている影響でふくよかな体型をしており、常に健康に不安を抱えている。そのため執事の花岡が付き従い、本人に内緒でGPSを持たされているため、どこにいても居場所を花岡に知られている。病気のことは師匠や島田以外には秘密にしているが、付き合いの長い桐山や、病状に知識のあったあかりは察している。絵を描くのも好きで、プロ並みの腕前を持ち、自作の将棋入門絵本は分かり易く豪華な装丁である。
新人戦トーナメント準決勝で千日手の指し直しとなり、体調の悪化から持久戦に耐え切れず倒れて敗退した。その後、入院生活を経て玉将戦2次予選から復帰し、一手損角換わりで7九玉の新手を指し、対戦相手の青野に勝利する。監修の先崎学は単行本の解説で、本作の各登場人物のモデルが誰かについては難しいとしつつも、二海堂については、夭折した村山聖との類似を指摘している。
重田盛夫(しげた もりお)
B級2組。島田と同期。無口だが、場に慣れると毒舌になる。二海堂と激しく口論するのが島田の胃痛の種だったが、桐山が研究会に参加するようになってから状況は悪化した。振り飛車党である。

幸田家[編集]

幸田(こうだ)
桐山の将棋の師匠でプロ棋士・八段。目白在住。桐山の実父の友人で、過去に奨励会で競い合った仲であった。交通事故で家族を亡くした桐山を内弟子として引き取り、正式に養子にはしていないが「将棋のお父さんだから」と言う理由でお父さんと呼ばせるなど、我が子同然に育ててきた。良くも悪くも「将棋が全て」の人物で、実子よりも桐山に棋士の才能を見出し目をかけるようになったために、香子や歩からの反発を買うが、何故そうなったのかを理解できていない。後に自身も桐山に追い抜かれてしまう。放蕩娘の香子について思い悩んでいるが、後藤との関係については知らない様子である。
幸田香子(こうだ きょうこ)
幸田家の長女。桐山より4歳年上の女性で義姉にあたる。気性も棋風も激しいが、人を惹きつけるものを持った美女である。奨励会に所属していたが、桐山に勝てないことを理由として中学2年生の時に幸田に辞めさせられ、その後は街で遊び回るようになる。父親の歓心を奪った桐山を「ゼロ」と呼び、辛辣な態度で接する反面、部屋に上がり込み、桐山に自身の心情を吐露するなど、愛憎入り混じった複雑な感情を抱いている。後藤に好意を抱き、積極的に迫っているが、愛人として扱われることも愛されることもなく、その関係に悩んでいる。幼少時、雪の日に桐山に傘を届けてあげるなど、面倒見のいいところもあった。単行本10巻にて、派遣社員をしていることが語られている。
幸田歩(こうだ あゆむ)
幸田家の長男。桐山と同じ歳だが、桐山から見て義弟にあたる。桐山に将棋の腕を追い抜かれて落ち込み、将棋を辞めた後は部屋にこもってテレビゲームばかりするようになった。香子と同様に、桐山に対して辛辣な態度を取る。単行本10巻では、予備校に通っていることが語られている。
幸田の妻
実子である香子・歩と、内弟子として幸田家にやってきた桐山を比較し、複雑な感情を抱いていることが単行本10巻にて描かれている。

棋士[編集]

タイトルホルダー[編集]

宗谷冬司(そうや とうじ)
30歳代後半。京都市銀閣寺の近くで祖母と暮らしている。物語開始時点から名人に在位しており、他に獅子王・棋神・聖竜・玉将を獲得している。名人戦は6連覇で通算12期、玉将戦は5連覇の記録を持つ。桐山と同じく中学在学時の15歳でプロ棋士になると、21歳で作中において史上最年少で名人位に就き、さらに史上初の7大タイトル独占を成し遂げた。島田と同い年であるが、宗谷の容姿はプロになった中学生の当時とほとんど変わらない。あらゆる戦型を指しこなすオールラウンダーで、情緒に乏しく言動が常人離れしている。劇中の10年ほど前から、ストレスが原因とされる突発性難聴を持病として抱えている。時折耳が聞こえなくなるせいで言動がおかしく見えることもあるが、周囲からは天才ゆえの奇妙な言動と受け取られており、彼の障害を認識しているのは会長や後に事情を知った桐山などごく僅かな人のみである。また、宗谷自身は静かでよいと会長に告げ、途中で治療を止めている。モデルは谷川浩司羽生善治を「足して2で割っていない」キャラクター設定とされている[5]
藤本雷堂(ふじもと らいどう)
棋竜のタイトルホルダー。口が悪く大人気ない所があるが、その放言ぶりを喜んでいる常連ファンもいる。
柳原朔太郎(やなぎはら さくたろう)
棋匠のタイトルホルダーで通算14期。現役最年長の老棋士で自称還暦前だが、実際は66歳で古稀前であることが後に判明した。神宮寺とは「徳ちゃん」「朔ちゃん」と呼び合う仲である。普段は軽い物腰だが、後藤に対し「幸田をあまり泣かせるな」と釘を刺すなど歳相応の貫禄もある。力ある若手との対局では、ひらひらとかわすような棋風とされる。島田との第33期棋匠戦のタイトル防衛で棋匠位通算10期となり、永世位を獲得した。また、新人王経験者で名人位を獲得したこともある。

A級[編集]

隈倉健吾(くまくら けんご)
九段。靴のサイズ29.5センチメートル。大柄な体格で、柔道五段・K1から誘いがきたなどの噂をされる。名人戦において第66期から第69期まで4期連続で宗谷に挑戦し、69期ではあと1勝で名人位奪取というところまで宗谷に迫るが敗北し、宿泊していた部屋の壁を破壊した。甘党かつ酒豪であり、対局中にケーキ3個をほおばる姿は名人戦の名物であり、ケーキをつまみに芋焼酎をボトルで空けた逸話が作中で語られている。
後藤(ごとう)
40代。九段。居飛車穴熊など、厚く重い棋風を持つ。剛直な風貌と威圧感を持ち、桐山は香子との関係を難詰した際、後藤に殴られた。実績の乏しい棋士が島田を揶揄したときは不快感を露わにし、獅子王戦トーナメントで島田を甘く見て返り討ちにあった桐山に対しても「A級棋士をなめるな」と言った。また、三角に対しては感想戦でアドバイスを送った。長期入院中の妻がおり、香子に対しては妻の日用品を買わせたり、ストーカー呼ばわりして家から叩き出したりしている一方で、腕時計を買い与えるなどしている。幸田の弟弟子であった。
辻井武史(つじい たけし)
A級在位8年、九段。駄洒落が好き。第20期獅子王戦本戦トーナメント準々決勝で桐山と対局した。テレビに映りたい一心でインフルエンザに罹患しているのを隠して立会人をしようとしたり、天童市のイベントで「ラブミー・テンドゥ」と言い放ち会場を微妙な雰囲気にするなどの前科が多数あり「残念なハンサム」と評される。
土橋健司(どばし けんじ)
九段。第70回名人戦の挑戦者となるが、フルセットの末、宗谷に敗れる。宗谷とは少年時代からのライバルであり、互いに新手を戦わせた名人戦の後、勉強会を始める約束をする。独身であり、父母と同居し、食事や睡眠などを除いた時間の大半を研究に費やしている。また、決まった飲食物を対局先に持ち込み、決まった時間に嗜むなど機械的な生活リズムを送る。モデルは漫画家の三浦建太郎と棋士の三浦弘行の2人[6]

B級1組[編集]

櫻井岳人(さくらい がくと)
30歳。七段。華のある風貌と優美な振る舞いで、棋界での集客力はナンバー1とされる。棋匠戦挑戦者決定戦で島田と対戦するが敗れ、自らのタイトル戦に注目を集めさせたかった柳原を落胆させた。登山が趣味で、先輩・後輩の別なく気に入った棋士を山に誘い、本人の意図しないうちに自身の信奉者を増やしている。
滑川臨也(なめりかわ いざや)
35歳。七段。実家は葬儀屋を営む。痩身でいつも黒いスーツを着用し、その風貌などから「立てば不吉」「座れば不気味」「歩く姿は疫病神」と言われ疎まれるが、本人は人間がとても好きであり、誤解を受けることが多いのも気にしていない。B級1組の順位戦最終局で、横溝を道連れに降級となる。また、過去にB級1組に手が届きそうな三角との対局にて、自身の降格・昇級には関係のない消化試合であったにも関わらず、三角の昇級を阻止した。

B級2組[編集]

横溝億泰(よこみぞ おくやす)
30代。七段。獅子王戦本戦トーナメントでの三角との対局や、天童桜祭り人間将棋での二海堂との対局など、三枚目的な役回りが多い。初心者への指導将棋が上手であると評される。B級1組の順位戦最終局で滑川に敗れ、B級2組への降級が決まる。
三角龍雪(みすみ たつゆき)
26歳。六段。通称「スミス」。身長180センチメートル。軽妙な棋風で風車を得意とする。飄々とした人物で、桐山を後輩として可愛がっている一方、棋士としては一目置いている。子猫を拾い「いちご」と名づけて飼っているが、いまいち懐かれないのが悩みである。

C級1組[編集]

蜂谷すばる(はちや すばる)
23歳。五段。早指しを得意とする攻撃的な棋風を持つ。20代若手棋士の中で一番の有望格とされている。対局中に舌打ちや貧乏ゆすり、扇子鳴らしを繰り返すため「東のイライラ王子」のあだ名で呼ばれている。他の棋士からは「ハッチ」の愛称とともに妙な人気がある。新人戦準決勝にて桐山に敗れる。
安井(やすい)
六段。負けると家庭で荒れていたため、離婚する羽目になる。順位戦で桐山と対局するが、中盤のミス1回で戦意を失い敗北する。対局後、桐山の心をかき乱した。

C級2組[編集]

松永正一(まつなが しょういち)
65歳。七段。福島県会津地方出身で、棋士歴40年のベテラン。C級1組の残留をかけて順位戦で桐山と対局したが、対局中に奇矯な行動で桐山を困惑させ、対局後も桐山を捕まえてうな重をおごらせるなど夜中まで連れ回した。桐山との対局で負けた後は引退するかと思われていたが、将棋に対して抱く好悪だけでは言い表せない感情を桐山に吐露した後、引退を撤回して棋士を続ける意思を表明した。舌禍癖があり、インタビューはテレビの放映にほとんど採用されない。
松本一砂(まつもと いっさ)
26歳。五段。身長181センチメートル。山形県出身。棋風は「攻撃的というより攻撃しかしてこない」と評される。三角と仲が良く、A級棋士の風格に憧れたり、隈倉の振る舞いにミーハーなはしゃぎぶりを見せたりと、よく一緒に騒いでいる。櫻井から登山に誘われた後は、すっかり櫻井の信奉者になってしまった。
山崎順慶(やまざき じゅんけい)
五段。降級点2回でC級2組へ陥落した。スキンヘッドに眉なしという風貌をしている。新人戦で4期の優勝を果たし、あと1回の優勝で「永世新人王」になると周囲から陰口を叩かれる。厚い壁に当たり自身の限界を感じ始めると共に、桐山や二海堂に対して嫉妬や羨望を抱き、新人戦での二海堂と桐山との対局を経て再起を誓う。趣味はレース鳩の育成であり、将棋と共に祖父から教わった。

その他[編集]

神宮寺崇徳(じんぐうじ たかのり)
作中で日本将棋連盟の会長を務める。第十六世名人。新人王経験者で、過去に7期名人を務めていた。桐山がアパートを借りる際は保証人になっている。性格は陽気で釣りが趣味。歯に衣を着せぬ物言いをする一方で、若い才能が育つことを楽しみとする。また、公私にわたり宗谷のサポートを行っている。
遠野(とおの)
名誉九段。盛岡出身。第43回新人戦記念対局前夜祭にて、背広に赤ワインの染みがついた宗谷に着物を貸す。
有本(ありもと)
九段。温厚な性格で知られる壮年の棋士。偽りの草食棋士ぶりを自覚し、「(棋士は)火の玉みたいに傲慢で、気の強い人間しかいない」と言った。
青野(あおの)
八段。新人戦で倒れた二海堂を気遣っていたが、その二海堂の復帰戦で対局し、新手を出されて敗れ、雪辱に燃える。

私立駒橋高校[編集]

林田高志(はやしだ たかし)
駒橋高校の男性教師で、桐山の高校1年時に担任を務めた。校内で孤立しがちな桐山を気にかけている。桐山の進級後は担任から外れたが、将科部の顧問となり、引き続き桐山の世話を焼く。生徒達からは、教師としてではなく仲間として受け入れてもらうことを熱望している。生徒からの評価を上げるために桐山をダシに使ったり、桐山の所得が自分より高いであろう事実に対し逆ギレしたりと、大人げない一面もあるが、桐山がひなたのいじめ事件に思い悩んでいた際は真摯に相談に乗り、励ました。将棋ファンであり、桐山が駒橋高校に編入した際も、中学生でプロ棋士になったことを知っていた。また、将棋雑誌に詰将棋の投稿作品が採用されたこともある。宗谷冬司と同い年である。
野口英作(のぐち えいさく)
放課後理科クラブ(略称:放科部)の部員で、桐山より1学年先輩の男子生徒。化学を愛し、色々な実験を行っているが、その内容はジンジャーエールやラムネ、納豆の作成など、主に食品関連である。天然パーマと髭を生やした外見、鷹揚として落ち着いた性格から、部活動の先輩からも「先輩」「部長」と呼ばれていた。放科部は部員不足のため廃部の危機を迎えていたが、林田の発案で将棋部を作ろうとしていたものの難航していた桐山を部員に加え、「放課後将棋科学部(略称:将科部)」となった。
つぐみ
駒橋高校の入学後にできたひなたの友人。色白でおっとりとしたきれいな顔立ちという表現が、桐山の台詞からなされている。実家は日暮里で小さな手芸屋を営んでいる。ひなたと共に「手作り部」に所属し、手芸以外にも園芸や料理と色々な物を一緒に作る。

ひなたの中学校[編集]

高橋勇介(たかはし ゆうすけ)
中学2年の男子生徒で、5巻以降は3年に進学した。ひなたの同級生で、幼馴染みかつ憧れの人物である。祖父や父が将棋好きであることから、桐山がプロ棋士であることを対面前から知っていた。野球部のエースで将来はプロ野球選手を目指していることから、中学生でプロ棋士になった桐山に強い関心を抱き、真摯な質問を投げかけた。ひなたがいじめの標的になった際は、味方がいることを周囲に示した方がいいという理由から、彼女を昼休みのキャッチボールに誘った。プロになるための最初の一歩として甲子園出場を目指し、選手層の厚い都内名門高ではなく、小学校時代の恩師の勧誘で四国の高知義塾高校に進学した。
佐倉ちほ(さくら ちほ)
ひなたのクラスの生徒。弁当が駄目になった高橋に自分の弁当を渡したことが原因で、高城にいじめられる。いじめがきっかけで不登校となり、父親の単身赴任先である新潟に引っ越して心のケアを受けている。その後もひなたとは交流を続ける。
国分(こくぶ)
学年主任を務める男性教師。ひなたのクラスの担任が心労で入院した後、臨時の担任となる。クラスのいじめ問題に深く切り込み、ひとまずの平穏を取り戻した。その後も根本的な解決を目指し、指導を続けている。
高城めぐみ(たかぎ めぐみ)
ひなたのクラスの生徒でいじめの首謀者。モンスターペアレントの母親がいる。表面上は態度を改めるが、まったく反省はしていないため、国分により指導を受けている。

その他[編集]

花岡(はなおか)
二海堂家の執事で穏やかな物腰の老紳士である。二海堂が子供の頃から世話をしており、常に彼の体調や対局の結果を気に掛けている。勤続45年のリフレッシュ休暇で世界一周旅行をプレゼントされるが、二海堂の健康状態を心配し、早々に帰国した。

既刊一覧[編集]

単行本[編集]

羽海野チカ 『3月のライオン』白泉社ジェッツコミックス》 既刊10巻(2014年11月現在)

  1. 2008年2月22日発売、ISBN 978-4-592-14511-0
  2. 2008年11月28日発売、ISBN 978-4-592-14512-7
  3. 2009年8月12日発売、ISBN 978-4-592-14513-4
  4. 2010年4月9日発売、ISBN 978-4-592-14514-1
  5. 2010年11月26日発売、ISBN 978-4-592-14515-8
  6. 2011年7月22日発売、ISBN 978-4-592-14516-5
  7. 2012年3月23日発売、ISBN 978-4-592-14517-2
  8. 2012年12月14日発売、ISBN 978-4-592-14518-9
  9. 2013年9月27日発売、ISBN 978-4-592-14519-6
  10. 2014年11月28日発売、ISBN 978-4-592-14520-2

ファンブック[編集]

脚注[編集]

  1. ^ 単行本6巻あとがきより
  2. ^ ベルセルク34・35巻巻末広告
  3. ^ 『ヤングアニマル』2011年4号掲載(326ページ)の、『ニコ・ニコルソンのマンガ道場破り』より。
  4. ^ 4巻39話
  5. ^ 【レポート】宗谷冬司というキャラクターのルーツ、そして「第2回将棋電王戦」の展望――ニコ生『3月のライオン』特番 | ホビー | マイナビニュース
  6. ^ 『ヤングアニマル』2014年No.10に掲載された「3月のライオン連載100回記念座談会」(同誌33頁)より。

関連項目[編集]

  • 天下一将棋会2 - 期間限定で、「3月のライオン」の登場人物との対局モードが設定された。

外部リンク[編集]