ドリフターズ (漫画)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
移動: 案内検索
ドリフターズ
ジャンル アクション青年漫画
漫画
作者 平野耕太
出版社 少年画報社
掲載誌 ヤングキングアワーズ
レーベル ヤングキングコミックス
発表期間 2009年6月号 - 連載中
巻数 既刊4巻
テンプレート - ノート
ポータル 漫画

ドリフターズ』(DRIFTERS)は、平野耕太による日本漫画作品。少年画報社月刊漫画雑誌ヤングキングアワーズ2009年6月号(4月30日発売)で連載開始。

概要[編集]

日本サムライをはじめ、古代の戦術家、西部開拓時代ガンマン第二次世界大戦時の軍人など古今東西の英雄が、中世ファンタジー風の異世界に召喚されるアクション系歴史ファンタジー作品。

タイトルの「ドリフターズ」とは英語で「漂流物、放浪者」などを意味する。前作の『HELLSING』同様、陰影を強調した重厚な絵柄や独特の大仰な台詞回しが特徴。歴史上の偉人が一堂に会するロマンや、多数盛り込まれている史実の逸話を思わせるエピソードは元より、道具・技術の進化や文化・概念の違いが如何に現実世界に変化をもたらしたかの人類の歴史の変遷も描かれている。

あらすじ[編集]

西暦1600年関ヶ原の戦いの最中、謎の存在『紫』の手により島津の退き口から、エルフオークのいる異世界に召喚された島津豊久は、同様に流れ付いた織田信長や那須与一と出会う。その地で「漂流者(ドリフターズ)」と呼ばれる豊久らは、成り行きと武士としての本能から、人間が支配するオルテ帝国に虐げられるエルフの村を解放、その勢いのまま「国奪り」を開始する。

一方、北方の地では『EASY』の送り込む召喚者達「廃棄物(エンズ)」が黒王を頂点とし、亜人の軍勢をもって人類を絶滅させるべく進軍を開始していた。安倍晴明率いる、魔導結社「十月機関(オクト)」は漂流者を集め黒王軍に対抗すべく、豊久達にも協力を要請するが、信長は「漂流者による国奪り」こそが唯一の方法であると説く。黒王の命を受けた廃棄物ジャンヌとジルドレの襲撃を退けた豊久達は、休む間もなくドワーフ族を解放する。

オルテの大貴族にして、漂流者であったサンジェルミ伯は、自らが創り上げた帝国の先行きを見限り、国を豊久達に明け渡すことを決意する。当初は無血クーデターを目論んでいたサンジェルミ達だったが、同じく帝国の乗っ奪りを企てていた廃棄物ラスプーチンと土方歳三を相手に、激しい市街戦となってしまう。結果として首都陥落・帝国指導部の解体という当初の目的は達したものの、大きな傷跡も残されてしまった。

グ=ビンネン通商ギルド連合に身を寄せ、重用されながらも微妙な立場にある山口多聞。亜人を率いて帝国方面軍に抵抗する、菅野直とスキピオ。十月機関と行動しているワイルドバンチ強盗団。各地に散る漂流者と、世界の命運は混乱の一途を辿る。

登場人物[編集]

は、アニメーションPVのキャストを記す。

漂流者 / 漂流物(ドリフターズ)[編集]

島津豊久(しまづ とよひさ)
声:中村悠一戦国大戦も同キャスト)
本作の主人公。戦国時代島津家の武将。作中では「戦国最強のサムライ」と称される。年齢30。官名は中務少輔薩摩弁で話す。
西軍として参戦した関ヶ原の戦いの敗走において、伯父である島津義弘を逃がすために捨て奸を務める。追撃してきた東軍の井伊直政隊との戦闘で、無数の槍に刺されながらも井伊直政を銃撃。井伊直政隊が撤退し瀕死で戦場を1人彷徨っている最中、紫により異世界へ送られ、そこで信長・与一の手当てを受けて息を吹き返す。そして自分等を匿ったが故にオルテ軍から弾圧されるエルフ達に助勢し、国の奪還に加勢することとなる。
長尺の野太刀で甲冑・軍馬ごと相手を両断するタイ捨流の剣術を始めとして、組手甲冑術、火縄式の短筒等を自在に使い、戦場では鬼神の如き強さを見せる一騎当千の武人。前線指揮官としても優れており、集団戦では島津の武将らしく釣り野伏せを多用し、勝利を収めている。また、思考は短絡的で教養もなく平時は「残念な子」という扱いを受けているが、戦場での勘働きは鋭く、本能により戦いの要所で常に最善の選択を取れる天性の才を持ち、信長からは「生まれながらの武将」「敵を倒す為に生まれた様な男」、与一からは「全知全能が戦に特化している」とまで評される。首級を挙げることに強い執着があり、オルミーヌより「妖怪“首おいてけ”」というあだ名を貰った。
薩摩隼人を絵に描いたような血気盛んで一本気な性格。戦闘本能と己の士道のみに従い戦に生きる姿は、敵味方問わず周囲を驚愕させる。自身の命を省みるどころかエサにして手柄を求める様は狂気すら感じさせ、信長からは「空気を読めんのではなく読まん」と評される性質は、先祖代々好戦的な島津家で生まれ育ったという理由が大きく、豊久本人も「薩摩ん兵子で血迷うておらんもんは一人もおらん」と認めている。己の信念しか頭にない姿勢と人を戦いに駆り立てる「狂奔」の素質から、信長からは「王の器」と言われるほどその器量を見込まれている。しかし、本人には人種や価値感もばらばらな人々を一つに纏めている王としての自覚がなく、死んではいけない立場の人間でありながら捨て駒として突っ込んでいくので、周りからは危惧されだしている。
受けた恩は決して忘れず、自分を助けたエルフを庇い加勢し、女子供に対する非道に憤慨するなど義侠心が強い。降伏の意を示した敵の首は「恥じてある」として取らないものの、拉致したエルフたちを陵辱した兵に激怒して虐殺を行おうとした事がある。これは信長にとって代わられて未遂に終わった。女の首も手柄にならないため、取らないと決めている。
最初に救われたシャラの村の者達からは「トヨさん」と呼ばれ慕われている。信長からは「豊」「お豊」と呼ばれる。
織田信長(おだ のぶなが)
戦国時代に第六天魔王を自称し、「天下布武」を掲げて戦った英傑。49歳時の「本能寺の変」から初登場の時点で半年以上経過しているため年齢は50歳になる。官名は右府。右目に眼帯を着けている[注 1]
家臣の明智光秀の謀反により燃え盛る本能寺から必死に脱出しようとしていた所、豊久と同様の体験を経て異世界に送られてきた。それから半年近くを廃城で過ごしている。豊久と出会った時には与一と行動を共にしていた。
エルフたちを助けた成り行きと、十月機関からの依頼に乗る形で廃棄物と戦う。その戦略としてオルテ帝国を滅ぼし、人間を含む多部族連合国家を建国、兵権のみを掌握して豊久を統領にした「武士」の制度を創ろうと目論む。異世界に来て以降、本能寺の変の際に息子の織田信忠を疑った自分には君主の資格が無いと痛感すると、その器を見込んだ豊久を「王」にすると決め、自身は参謀兼汚れ役を全て受け持つことにしている。
戦いの中でさえ悪ふざけが目立つものの、その本性は狡猾で冷徹な策略家であり、極めて現実的且つ長期的な視点に立って戦術、戦略を組み立てる。またリボルバー銃やガトリング砲などの火器、連絡用の水晶球などの道具が戦争の様式を一変させることに気付く等、軍事面における洞察力・想像力は非常に優れている。主に戦闘中の世界の技術の使い方や活用法の差異から、「漂流者とは技術の渡来者であり、思考の差異者である」事をいち早く認識した。
既に老境に差し掛かっているため直接戦うことはあまりないが、遅れ気味とはいえ廃城からエルフの村まで豊久と与一に並走する程度の体力は維持している。また学習力に優れ、エルフ語を短期間で流暢に話せるまでに理解していたが、その事は誰にも知らせず、晴明が翻訳できる札を持ったきた際に披露した。
所持している火縄銃を武器として使うだけでなく、黒色火薬の材料となる硝石の生産や硫黄の調達、更に火縄銃そのものの製造など、兵站も含めた量産化を進める。たびたび糞便を利用した戦術として、井戸を使用不能にするために投げ込む、破傷風を引き起こすために矢などに塗り付けるなどを行い、硝石の精製に便所の土を集めるなどしているので、エルフには「どんだけウンコ好きなんだよ」と言われている。
最初に救われたシャラの村の者達からは「ノブさん」と呼ばれ、実質的な指揮官として認識されている。しかし豊久の自らを顧みない行動には苦労している。
那須与一(なす の よいち)
源平合戦の伝説的な弓の達人。年齢19。女と見紛うばかりの美少年。
軍記物語で語られるものとは全く違った食えない性格であるが、義経の卑劣な手段を辞さない軍略を快く思っていなかった。弓の腕は元々弓に長けた種族であるエルフ達をはるかに上回り、的の中心を射抜いた矢を更に連続で射抜くなど神業を誇る。エルフの弓兵を率いて残党狩りのゲリラ活動などを請け負うことが多い。
エルフの言葉を独学で覚え、カタコトだが会話を試みるほどになっていたが、十月機関の符で簡単に意思疎通ができるようになったので、その努力は虚しいものに終わる。
豊久には出会った当初、信長と一緒に居たこととその美貌から、女性や森乱丸ではないかと勘違いされた。戦っている時の姿は容姿端麗なエルフ達ですら「きれい」と称するほどだが、与一自身は那須11人兄弟の末っ子にして一番のブサイクであり兄達はもっと美形だと語っている。
当初は卑劣とも取れる奇策を駆使する豊久や信長を義経と重ね合わせていたが、義経と違い何も強制してこない豊久へは好感を寄せるようになる。
ハンニバル・バルカ
世界史において天才戦術家として知られているカルタゴの将軍。隻眼の老人。
スキピオと同時に作中に初登場。ローマへの敵愾心は失っておらず、「ザマの戦い」で「カンナエの戦い」における戦術をそっくり真似たスキピオを「パクリ野郎」と罵るなど、ケンカが絶えない。
召喚された時点でかなりの老齢であったため、尿失禁するなど肉体は衰えており、さらに逃走の際にスキピオと別れた直後から、箍が外れたように急激な痴呆が進み、脈略のないうわ言をつぶやくようになる。それでも時折は往年の眼光を取り戻し、豊久や信長すら目を見張る歴戦の名将ぶりを見せる。しかしカルネアデス兵からは「ボケ老人」と嘲笑され、現状エルフ達にも介護されており、「木いちご爺ちゃん」と呼ばれている。
スキピオ・アフリカヌス
ハンニバルのライバルであるローマの天才用兵家。短髪の初老の男。
常にハンニバルと張り合うが、内心では誰よりも認めており、カルネアデス兵が彼を嘲笑した際には「我等ローマは100万の兵よりも、この男一人を恐れた」と激怒しながら弁護している。
黒王軍からの逃避行の際に馬車から落ちた事で十月機関一行と逸れ、菅野直と邂逅する。ローマ=イタリア人と認識され、出会いは友好的であったが、1943年以降のパドリオ政権以降は日独の敵対国である事を菅野が直後に思い出し[注 2]、小競り合いをしたものの、十月機関の思惑もあり、共にオルテと戦うことになる。菅野の軍では参謀を担当、用兵家としての采配を振るい菅野を通して犬人、猫人に指揮し、オルテ軍に対して善戦している。
ワイルドバンチ強盗団
西部開拓時代に悪名を馳せた列車強盗団。多くの構成員の中でも死亡したものの生存説がある以下の2名だけが異世界に漂着している。
ブッチ・キャシディ
ワイルドバンチ強盗団のリーダー。襤褸布をマントのように纏った装い。享楽的で刹那的な青年。パーカッションリボルバーコルトM1851)の二挺拳銃で戦う。豊久たちと分岐する際、餞別として銃1丁と弾切れになったガトリング砲を置いてゆく。
現状においては晴明率いる十月機関と行動をともにしている。
ザ・サンダンス・キッド
ブッチの相棒。テンガロンハットと外套の装い。ブッチに比べ常識的な性格で、その諌め役。レバーアクションライフルを持ち、手回し式のガトリング砲を使用している。
元の世界から持ち込んだ煙草や弾薬をかなり惜しみながら使っている描写があり、自分達の置かれている状況をブッチよりは理解している。
菅野直(かんの なおし)[注 3]
大日本帝国海軍エースパイロット。階級は大尉
凄まじく血の気が多い益荒男。「バカヤロウ、コノヤロウ」を口癖としている程に口が悪く、乗機が飛行中に不調を起こした際は計器を殴って直す等、機械の扱いも雑で粗暴。乗機は最後の出撃の際に乗っていた紫電改。本来4挺装備の機銃が3挺として描写されているが、これは失踪の原因が機銃の暴発によるものとされているためである。
黒王軍のカルネアデス侵攻の直中に戦場に出現しており、史実における「謎の失踪(1945年8月1日)」の直後に乗機ごと召喚された様子が見られる。異世界に来た直後、黒王軍の侵攻によって人もろとも焼き尽くされる城下を見て激怒し、空戦を仕掛けて竜4匹を撃墜する。
その後、犬頭の亜人たちを腕っ節で統率し、「空の神様[注 4]」として彼らの担ぐ輿に乗って現れ、ハンニバルらと逸れ彷徨していたスキピオと遭遇する。
十月機関の札によってスキピオと意思疎通できるようになってからは、犬人、猫人たちを率いてオルテの第二軍と交戦している。短気ですぐ暴力を振るう性向を犬人、猫人はもちろん、スキピオたち漂流者からも恐れられている。
山口多聞(やまぐち たもん)
安倍晴明(あべ の はるあきら)
アドルフ・ヒトラー
サンジェルミ伯(セントジェルム伯、セントジェルミ伯)
紫(むらさき)
声:宮本充
この世界に漂流者を呼び寄せる謎の男性。眼鏡にワイシャツ、袖カバーという事務員のような姿をしており、EASYから「民生屋」と言われている。常に無表情で喫煙家。左右に様々な扉が並んだ果てしない通路の真ん中に置かれた机で事務作業をし、自ら選出した漂流者を各地へ送っている。漂流者による、元の世界と送った世界の「差異による万物の変質」を手段とした廃棄物の殲滅を目的としており、「漂流者」「廃棄物」の動向が自動的に記述される新聞を読むことで、彼らの行動を把握している。

廃棄物(エンズ)[編集]

黒王(こくおう)
黒王軍指導者。擦り切れたローブを纏った姿で現れ、廃棄物やモンスター達の軍勢を率いる謎の存在。
フードを深く被っており、その顔は黒く塗り潰されたように輪郭すら見えない。持ち手が蜻蛉の形をした杖をついている。負傷した兵士を一瞬触れるだけで治療することができる。その能力の正体は生命の増幅であり、前述のように傷の治癒の他にも、生命体ならば穀類や燃料となる薪を無限に増殖させることも、また対象の細胞を過剰に増幅させ腫瘍まみれの異形に変貌させることもできる。ただし自身の命を酷使する自己犠牲の能力の模様で、使用した後、体から塩の結晶が落ちた描写がある。多種族の亜人を統率し心から対等に接しているため、彼らからも敬われる立場にある。
その腕は傷だらけであり、手の平には杭で打ち抜かれたような傷跡がある。かつて人類を救おうとしたが拒絶され、人類以外の者を救い人類を絶滅させる決意をしたと言う。新約聖書の言い回しを度々使用する。漂流者の脅威を認め、その集結を恐れて一人残らず排除することを目論む。黒王軍を進軍する傍ら、自身の生ある内に『亜人たちの文明』を作るため、「統一宗教」「原始農耕」「共通文字」を教えている。
その行動は人類の廃滅しか考えないとされてきた本来の廃棄物から大きく逸脱しており、十月機関やサンジェルミを混乱させている。
単行本の巻末に載っている「あとがきゆかいまんが 黒王様御乱心」や雑誌のオマケ漫画においては本編におけるカリスマ性が微塵も無く、完全なギャグ一色の壊れキャラとなっており、ジャンヌとジルドレを度々ネタにしている。
ヤングキングアワーズ』2013年5月号掲載の休載告知漫画ではルークとヤンに正体を尋ねられた際、元の世界では30歳過ぎまで定職無しで実家の大工の仕事を手伝っていたと語っている。
土方歳三(ひじかた としぞう)
日本幕末新撰組副長。廃棄物となり黒王軍に加わっている。
外見は新撰組在籍時の隊服ではなく、箱館戦争時における洋装の軍服姿。普段は寡黙で口を開くことすら滅多にない。
二刀流の剣技を得意とし、霧状の新撰組隊士達の幻影を多数造り出し一斉に敵を斬り刻む能力を持つ。この幻影は意思を持つようで、組み合いになった土方に戸惑ったりドワーフ長老を相手に会釈する描写が見られる。幕末期の剣客だけあって、剣術における一対一での立ち会いでは豊久を上回っている(豊久の戦闘技術は自分も相手も甲冑を纏っているのが前提な部分が大きい)。豊久の刀を叩き折り、捨て身の突進も逆に組み伏せるなど、能力に頼らない彼自身の戦闘能力も非常に高い。
薩摩と島津家を「薩奸」と呼んで嫌悪しており、豊久との初対決では感情を爆発させ、普段とは打って変わった饒舌さを見せた。戦国時代末期の武士である豊久の「使える手は何でも使う」「真正面から相対そうともしない」闘い方を士道に反するとして否定するが、豊久から「日本武士(ひのもとさぶらい)」と呼ばれたことに何らかの感慨をおぼえた様子が見られる。その戦いぶりは信長から、部隊単位での戦闘・合戦に長けているが、大軍の指揮官ではないと評される。
ジャンヌ・ダルク
百年戦争フランスに勝利をもたらせた「聖女」。廃棄物となり黒王軍に加わっている。
異世界に来る前に恥辱と嘲りの中で火刑による苦痛に充ちた最期を遂げており、「みんな焼け死んでしまえ」と兵士を虐殺するなど、言動に狂気と憎悪を滲ませる。
炎を発生させる能力を持ち、火炎放射して人を炎上させるのみならず、投げたナイフが刺さった地点からも炎を発生させることができる。能力の発動時は顔が焼け爛れる。逆十字架模様の鎧に大量の剣やナイフを装備。炎を発生させる能力は強力であるが、その能力を誇示した戦法に終始してしまっているので、豊久からは戦闘経験の無さを見透かされてしまう。
黒王の命令により、ジルドレと共に騎兵部隊を率いて豊久達を強襲、彼等の拠点である廃城を焼き払う。甲冑姿に生来の容姿故、豊久から男か女かと問われたことから、元の世界での屈辱を刺激され激昂。炎の能力による猛攻を仕掛けるが、オルミーヌと連携した豊久に敗北する。しかし女だと知った豊久に手加減され、頭蓋骨が割れかける程の頭突きをされた後に放置される。その後斥侯部隊に救出され黒王によって治療されたが、ジルドレが死んだことを知り、自身の生前の行動をはじめとする廃棄物の無念を一蹴した豊久たちに復讐を誓う。
作中では貧乳に描かれ、単行本巻末のオマケギャグ漫画で度々ネタにされている。
ジルドレ
百年戦争でジャンヌに連れ添った騎士。廃棄物となり黒王軍に加わっている。
身体中に刺青を施した金髪・長髪の美丈夫。与一に急所を何度射抜かれても全く怯まないどころか、頭と胸と右腕だけになってもすぐには死なないほどの頑強な生命力を持つ。槍と体に巻いた鎖を武器とし、特に槍は見掛け上の長さより遠方の壁を一閃で薙ぎ払う芸当も見せている。そのタフネスとパワーから、与一や義経からは武蔵坊弁慶に例えられた。
単行本での加筆分では、生前は聖女であるジャンヌが地獄に堕ちたと思い込み、地獄で再会するために猟奇的殺戮行為を行っていた事を回想している。
ジャンヌダルクと共に豊久たちを強襲し、与一と激闘を繰り広げ、最終的にワイルドバンチ強盗団によりガトリング砲を撃ち込まれた末に絶命、再び地獄でジャンヌと再会する事を望みながらその遺骸はの塊と化した。
アナスタシア・ニコラエヴナ・ロマノヴァ
帝政ロシア末期の皇女。廃棄物となり黒王軍に加わっている。
容姿はドレスを着た長い金髪の女性。人間を凍結させる程の吹雪を発生させる能力を持つ。巨乳に描かれている。
ラスプーチンとともに、廃棄物の中では振る舞いがまともな人物。豊久たちのことは「狭い島国の中で800年間殺し合いを続けてきた連中」と、侍の行動理念を分析しており、その侍の国の末裔により日露戦争で敗北したことを多少根に持ち、脅威であると認識している。
元々面倒見の良い性格であり、ジャンヌのことを気に掛けている。
ラスプーチン
帝政ロシア末期に暗躍した怪僧。廃棄物となり黒王軍の参謀役になっている。
黒の長髪をした眼鏡をかけた美青年に描かれており、常にアナスタシアの背後に侍っている。生前僧侶だったこともあり、共通文字・統一宗教の構築などの亜人たちに一元化された文明を作る役目を任される。また札を使った術ができ、黒王軍内の遠隔通信などに使われている。サンジェルミとの対面時に「廃棄物になったのか」と言われていることから、以前から面識があった模様。
また遠隔地から人間を「操り人形」のように支配する能力を持っている。これを用いてオルテ指導部の貴族一人を操り、兵を中枢に乗り込ませて帝国を乗っ取ろうとするが、偶然同じような策に出た漂流者一行とかち合ってしまい、自分を眼中に入れず手下を一蹴した豊久や、内心の動揺を見抜いてくる信長の挑発に煮え湯を飲まされ失敗する。
明智光秀(あけち みつひで)
主君である織田信長に謀反した戦国武将。黒王からは「コレトー(惟任)」と呼ばれ、作中での容貌は壮年の白髪美丈夫として描かれている。 第34幕で倒れ伏した後ろ姿のみ描写され、第45幕で正式に登場しているが、共に雑誌掲載時にはなく、単行本で追加された。脇腹を竹槍で刺され重傷を負い、意識を失った状態でEASYのゲートから出てきたところを義経が見つけ、黒王の元に送られる。信長が漂流者として存在していることを知り、今度こそ討ち果たすべく傘下に加わる。
EASY(イーズィー)
この世界に廃棄物を呼び寄せている元凶。黒衣黒髪の少女の姿をしており、紫と対立している。時々暗闇を伴い紫を罵るために現れるが、その周囲の空間はワイヤーフレーム状に変貌する。紫に対しては常に下にみた言動をしているが、性格は対照的で、気に入らない事態になるとヒステリックに暴れだす。
「漂流者」「廃棄物」の動向は、紫の「新聞」に対して、自室に置かれているノートパソコンのRSSリーダ風のもので確認する。
自室のドアの表札と首にかけてあるフリーパスには「E・A・S・Y」が略称として表記され、その下行に名称が書かれている。[注 5]

不明[編集]

漂流者か、廃棄物か、不明の者たち。

源義経(みなもと の よしつね)
平安時代末期の伝説的英雄。黒王軍の陣に居るものの、黒王から「お前は好きにせよ」と言われており、自身も漂流者、廃棄物の「面白そうな方につく」と語っている。
外見は無邪気な少年。当時、卑怯とされていた戦法を躊躇なく選び、兄の頼朝までも見下すような傲岸不遜な性格。かつて配下であった与一はそんな義経を「化け物」と評し、おそれている。漂流者か廃棄物かは不明だが、元居た世界で知られている通り人並み外れた身軽さを持つ。

十月機関(オクト)[編集]

安倍晴明(あべ の はるあきら/せいめい)
平安時代を代表する陰陽師。「十月機関」の構成員達を束ねる存在。
見た目は若い男であり、彼自身も漂流者。オルミーヌからは大師匠と呼ばれる。この世界において調達した衣服を着用している。「廃棄物を滅ぼす使命を受けた」と言い、漂流者達を集めて廃棄物に対抗しようとしている。優れた魔導師且つ指導者ではあるが、戦闘や(現実世界でいうところの)科学知識は専門外であり、他の漂流者に頼る部分も少なくない。ただし、漂流者の性質によっては廃棄物以上の危険性があるとして危惧もしている。
符を用いた術に長けており、出身地や時代を無視してお互いに言葉を理解出来るようになる札を作り、漂流者達とのコミュニケーションに役立てている。信長はオルミーヌの持つ符を見た時「京の陰陽道者の札に似ている」と勘付いていた。
自分たち漂流者をこの世界に送り込んでいる人物が「紫」という名なのを知っている。
肉体的には若く見えるが、本人とカフェトが述べる所では83歳。
オルミーヌ
「十月機関」の構成員。眼鏡をかけたツインテール頭の巨乳の乙女。豊久達を監視していたが、逆に発見されて捕らえられてしまい、一行のアシスタント的存在にある。この世界と豊久達の現状を説明し、協力を求める。
通称「石棺」のオルミーヌ。導師としての力は未熟で、札で石壁を出すくらいしか出来ない。ただし師匠である晴明は「弟子達の中で最も素質がある」「『石の壁』の符術だけは当世一」と評している。その能力を用いて、豊久は袋小路を作り敵兵を閉じ込めたうえで火薬で粉砕する作戦を考案し、信長はハンニバルの助言を得て攻城用の階段を作るなど、単身で戦局を揺るがす存在にもなり得ている。信長が水晶球の価値観を見出してからは情報統括の任に就き、各部隊の情報の収集・伝達に奔走する。
豊久たち「日本の武士」に対しては、国奪りをするという大胆な考えに魅かれている反面、死の恐怖すらなく己の命ですら簡単に捨てる「感謝と死が同じ笑みに同居している」あり方に恐れを抱いており、平和のために修業した術が、戦争のために利用されてる事に戸惑いを隠せずにいる。
巨乳であることを強調されており、信長からは「オッパイメガネ」「オッパイーヌ」「オルミー乳(ニュウ)」等と呼ばれ、正確な名前を呼んで貰えていないことも多い。日本軍のものと思わしき双眼鏡を使用していたシーンがある。コードネームにあたる呼び名はセム
カフェト
「十月機関」の構成員。眼鏡をかけた金髪の若い男。主に漂流者の行動を監視している。スキピオとハンニバルの喧嘩を目の当たりにした後、これを保護。彼等と共に黒王軍の襲撃から逃げ延びた。コードネームにあたる呼び名はハム
ドグ
獣耳をした冒険者。若い男で、顔に入れ墨を彫っている。冒険者ギルドに所属しており、ギルドで扱えない難儀な任務を引き受けている。もうひとりの十月機関の一員と共にカルネアデスの黒王軍陣営の偵察をしている。

オルテ帝国[編集]

アドルフ・ヒトラー
ナチス・ドイツを率いた独裁者。オルテ帝国の建国者で国父と呼ばれている。劇中では既に故人。
豊久達が召喚される60年ほど前のある日、酒場に現れ、天才的な演説と人心掌握能力をもって反乱を扇動し、最終的に帝国建国に至ったが、後に理由不明の自殺をした。十月機関は漂流者か廃棄物と推測していたが断定されていなかった。
サンジェルミ伯の言によれば漂流者であったとされ、彼からは「結果はどうであれ民衆をまとめて中央集権を作った」と、晴明からも「結果はどうであれ人々を救った」と評価されている。特徴的な小さな口髭を生やしているが、肖像画を見た信長から揶揄されており、グ=ビンネン通商ギルド連合の者達からも「チョビヒゲ」と侮称されている。
故人だが第18話で肖像画としてその姿が描かれ、第35話に至り初めてその名が言及された。第1巻カバー裏の「漂流物&廃棄物こうほ」においても「例のヒゲ」として本編登場前に挙げられていたが、作者の平野は「前のマンガとかぶる」「ナチはヘドが出る程かきすぎた」と余白でコメントしている。
サンジェルミ伯
オルテ帝国の4分の1を領有する[注 6]大貴族で大治藩公。
十月機関は漂流者または廃棄物の疑いありとしていたが、当人は漂流者だと述べている。オルテ建国の際に最初に国父に寝返った勢力で、彼がいなければ建国できなかったとまで言われる国家功労者。このため中央集権体制の帝国内の例外とされ、かなりの自由が保障されており、豊久たちが蠢動するまで戦争には一切参陣せず好き勝手にやっていた。
年齢不詳のけばけばしい風体のオカマで、奇矯な風貌や軽い言動も相まって、単なる奇人のように見えるが観察眼は確かで、情勢を鋭く分析し、帝国の危険な現状をいち早く把握した。危機的状況を全く理解しない帝国に早々見切りをつけ、豊久達への接触を目論み、合流する。麾下の戦力は500人ほどで地位や財力からすると少ないが、テーバイ神聖隊を彷彿させる鍛えられた屈強な「男同士のつがい」から編成された軍である。卓越した策謀家だが政治的な部分に特化しており、戦略的智謀では信長に一歩劣る。
信長から松永弾正に目付きが似ていると評された際にその存在を知っていたり、紫の名も認識していることなどから、豊久達以上に世界の真相に近づいている節がある。現状、いつの時代から召喚されたのかまったく不明な漂流者である。
薬学錬金術に詳しい模様で、世界の戦乱が泥沼化すると危惧して、存在を秘密にしていた火薬や銃を信長が製造させていると聞いて驚愕。オルテの近い将来における終焉を確信し、世界が滅茶苦茶になると憤慨している。
作中ではサン・ジェルミ伯という呼び方の他に、第18話での初登場時にはセントジェルム伯とも呼ばれ、また第32話ではミルズがセントジェルミ伯と呼んでおり、中黒の有無を含め、呼ばれ方が安定しないが、36話ではラスプーチンに「サン・ジェルマン伯」と呼ばれている。
アレスタ
サンジェルミの側近。彼同様けばけばしい風体のオカマで、好みの男性のタイプは髭面で歴戦のナイスシルバー。二刀流の使い手で、豊久の腕を見極めるため刃を向けるが、好みのタイプであるハンニバルを目の当たりにしてノックアウトされ、叩きのめされる。
フラメー
アレスタ同様サンジェルミの側近。やはりけばけばしい風体のオカマで、好みの男性のタイプは前髪で片目を隠したホーステールの少年。アレスタに代わって豊久に戦いを挑むが、好みのタイプである与一を見てノックアウトされ、叩きのめされる。
アラム
エルフ族占領土政庁に属する執政代官付き騎士武官。エルフが禁止されている漂流物に関わったため、巡察隊を率いて彼らの村を襲う。
自分の剣術に自信を持ち、豊久の放った投剣を弾き飛ばすなどの腕前を見せるが、その直後豊久に組手甲冑術で叩きのめされて敗北。最期は豊久が嗾けたエルフの村人達の復讐の刃によって斃れる。
執庁
エルフ族占領土政庁に属する執政代官。劇中では「執庁様(しっちょうさま)」と呼ばれていた。アラム率いる巡察隊が帰ってこないため、討伐隊をエルフの村に派遣する。
亜人の反乱が帝国に及ぼす悪影響を理解しており、城館のほとんどの兵力を動員することで禍根を断とうとするが、逆に豊久達が城館へ侵入しやすい状況を作ってしまった。豊久達の猛攻に屈して降参したものの、部下たちによるエルフ族の女性への性的虐待で怒りを買い、信長の命令で射殺された。
ミルズ
エルフ族占領土政庁に属していた税務計算官。豊久達による執政代官城館襲撃の少し前に派遣されてきた。
エルフ族の女性への性的暴力に対する豊久達による報復の際、自分は参加していないことを必死に主張していたため唯一命を助けられる。その後は豊久達(実質的には信長)の下で書類仕事をさせられているが、エルフ達が対等に接してくれていることもあり、ぼやきながらもまんざら悪い気でもない模様。[注 7]本人曰く「童貞」らしく、エルフ達からは「童貞人間」と呼ばれている。

グ=ビンネン通商ギルド連合[編集]

バンゼルマシン・シャイロック8世
シャイロック商会及びシャイロック銀行番頭、グ=ビンネン連合水軍水師。
物腰と言動こそ軽薄な若者のようだが、実際は抜け目の無い切れ者。多聞を重んじると同時に警戒もしている。
ナイゼル・ブリガンテ
ブリガンテ商店首席手代、ブリガンテ銀行番頭、連合水軍軍監師。
怜悧かつ冷徹な人物で、シャイロックを補佐する。異世界から来たテクノロジーの塊である空母「飛龍」の接収を進言しているが、シャイロックから止められている。
山口多聞(やまぐち たもん)
第二次世界大戦中の大日本帝国海軍提督。階級は特進前の少将となっている。
現在はグ=ビンネン通商ギルド連合の艦隊の客員提督として指揮をとっている。この世界における空母として、「鷹母」飛鷹と隼鷹を運用、巨大な猛禽を航空戦力として配備することで、航空爆撃を敢行し帝国の輸送船団を壊滅させた。ミッドウェイ海戦で山口の乗艦であった「飛龍」ごと召喚され、ギルドからは接収を要求されているが、座礁状態のままにして拒否している。莫大な費用で集めさせたコメに似た食材で歓待されるなど、客員としてかなりの厚遇を受けているものの、寝泊りするのは必ず飛龍艦内で、会見時にも脱帽しないなど、多聞もギルドに対して心を開いてはいない。
名前だけは第1話から紫の机にある書類に記載されるという形で登場していた。正式な初登場は第19話だが、雑誌連載時には登場しておらず、単行本2巻収録時に出番が加筆されている。

エルフ族[編集]

シャラ
豊久らが奪取した村の、村長の息子。エルフとしては青年期の106歳。
アラムとその部下により村が襲撃されたが、豊久が一蹴。その際に、抑圧政策に加え村長や子供を殺害された恨みからアラムを殺害。結果的に後に退けなくなった彼等は、豊久達と共に反乱を起こすことになる。戦いの際には副隊長的な役割をする。豊久たちを誰よりも信頼し、人間に対して懐疑的な見方が抜けない他のエルフ達との橋渡し役も務める。
マーシャとマルク
シャラの弟達。森の中で行き倒れていた豊久を発見し、信長らの下まで運ぶ。これが切っ掛けとなり領主との抗争に発展する。エルフとしては少年だが、それぞれ39歳と36歳で豊久や与一よりも年上。
シャラとともに最前線へ出ることも多く、主にオルミーヌの手伝いや、ハンニバルの介護などをしている。
フィゾナ
近隣の村に住んでいた若者で、シャラとは旧知の仲。左頬に刃物傷がある。信長が各村へ送った檄文を読み、国を取り戻すことを決意し、他の村人と共に豊久らの下へ駆け付けた。
当初は、漂流者といえど自分達を苦しめてきた人間である豊久たちのことを全面的には信用していなかったが、廃棄物の襲撃を退けた後は「一人でもドワーフを助けに行く」と称する豊久を案じており、少しずつ彼らへ信頼を寄せている模様。

ドワーフ族[編集]

長老
ドワーフ族居留地であるガドルカ鉱山(現・オルテ官兵ガドルカ大兵器工廠)に捕らわれていた一族の長老の一人。豊久率いるエルフ族によって解き放たれる。
信長に見せられた火縄銃から即座に試作品を作り、「日に10丁」と言う生産率を示し、10日足らずで鉄砲100丁を揃えたついでに、自分用の馬上筒(大口径の散弾銃)を拵え、自らも闘いに臨む。豊久と意気投合している。

その他[編集]

青銅竜
ドラゴンを総べる「六大竜」の一匹。隷属のドラゴンを竜騎兵に使役している黒王を威圧しようと黒王の前に現れたが、逆に盟になるかと問われ、逆上して牙を向くも黒王の力で肉腫の塊にされ「盟に加わる」と降伏した。しかし本心からではないと悟られ、体が名の通り青銅であることから、黒王軍の資源として亜人たちに生きたまま解体された。
ヴァレンタイン兄弟
作者の前作にあたる『HELLSING』からのキャラ。単行本の帯[注 8]の「ルークとヤンの猿でもわかるシリーズ」や休載時のおまけ漫画で、豊久ら相手に前作同様のキャラクターを見せる。

用語[編集]

漂流者 / 漂流物
ドリフターズ」もしくは略して「ドリフ」と呼ばれる。主に古今東西の生死不明のまま消息不明となった人物で構成され、劇中の描写では史実における死の直前に謎の異世界へと迷い込んでいる。元の時代に居た時と同じ人格・肉体を維持しているが、廃棄物のような超自然的な能力は持っていない。
怨念に囚われているがゆえに行動原理が明確な「廃棄物」と違い、それぞれが独自の意志を持つ生きた人間そのものであるためコントロールがきかない。世界全体のバランスを考えた場合、召喚されたグループによっては廃棄物よりも危険な存在だと言える。
また、異なる時代の漂流者同士が出会った時に「自身が消えた後の評価と世情の推移」を聞いて騒ぎが良く起きる。
廃棄物
エンズ」と呼ばれる[注 9]。主に古今東西の、非業の死を遂げたと言われる人物で構成され、漂流者とは異なり超自然的な能力を会得している。死亡すると、その死骸は同じ質量の塩の塊になってしまう。「黒王」に従って侵攻を開始した。
劇中でのオルミーヌの説明曰く、現世を憎む余り人格も生前とは変わり果て、大抵はまともなコンタクトも難しい精神状態になっているとされており、過去に幾度か廃棄物による侵略が行われているとも言及されている。
この世界に来る以前の、すなわち死ぬ直前の状況によっては漂流者か廃棄物かの区別が難しい場合もあり、義経のようにどちらに属するか本人にすら判別できない者もいる。また、ラスプーチンはサンジェルマンに「廃棄物になったか!」と言われている。
扉の並ぶ通路
紫、EASYが存在する空間。ここから紫は漂流者を、EASYは廃棄物を送り出している。通路の奥行きは果てしなく、紫の居る空間は明るく様々な種類の扉が幾多にも並び、EASYの居る空間は暗闇にワイヤーフレーム状の扉が並んでいる。
十月機関 -OCT SYSTEM-
通称「オクト」。導師による結社で、漂流者を集めて廃棄物に対抗する勢力を作ろうとしている。この世界において一定の政治力を持ってはいるようだが、自分達の兵力は持っていない。各国に呼び掛けて兵を出して貰い、それを漂流者達に運用させるという計画を立てていたが、現場の抵抗に遭い失敗している。双眼鏡などの「遺物」を所有している。
高位の者は魔法のような力を操ることが出来るようで、劇中では言葉の通じない者同士が会話出来るようになる札(信長によると陰陽道の呪符に似ている)や、離れた場所の相手と通話が可能な水晶球が使用されており、信長は伝令兵なしでも即連絡・中継が取れ、各部隊を円滑に動かせる有用性に着目し、軍の通信機器に使用した。
黒王軍
黒王を最高指導者とし、「人ならざる者を救い、人をこの世から滅する」という意志の下に結成された軍隊。廃棄物を幹部に、兵士は全てゴブリン・コボルトなどによる亜人種で結成されている。主な兵力は、ゴブリン、コボルトで編成されている陸上部隊と、ドラゴンに騎乗する竜騎士で編成されている航空龍騎兵に分けられている。北の大地より進軍し、その圧倒的な兵力と統率された組織力と情報力でカルネアデスを陥落・滅亡させた。カルネアデスを拠点に大陸を進軍する一方で、『亜人たちの文明』を作るため、「統一宗教」「原始農耕」「共通文字」を教えている。
十月機関が用いる水晶玉と同様の効力を持つ札を所持し、カルネアデスの戦線では枝状の鋼針に札を幾多も括り付けて「魔導針」として使用、空中警戒騎に装備させて各部隊の通信の中継をしている。
オルテ帝国
東方の王国で、帝都の名は「ヴェルリナ」。使用言語は発音こそ不明だが、文字は日本語を崩した形として表現されている。人間至上主義を唱え、40年程前から亜人達の国々を侵略し、併合して来た。現在では帝国を名乗り、国父が掲げた国是「万年王国」に従い侵略・拡大を続け、辺境では未だに侵略戦争が続いている。エルフやドワーフなどを「亜人共」と呼び徹底的に差別し、緩やかな生物的絶滅をも視野に入れた苛烈な統治手法を採る。そのため、国内の被支配層の間では怨嗟の声が渦巻いており、40年も続く侵略戦争に加えて治安維持のために国力を浪費する悪循環が続いている。今や最盛期からは見る影もなく衰退し、黒王軍の相手にはならないと言われており、さらに豊久らの蜂起による占領地の反乱の一斉拡大の危険性と、それによる戦争地帯との連絡線の断絶の危機を理解しない首脳部という致命的な状況にサンジェルミ伯も「詰んでる」と評した。豊久らが居るのはこの圏内。サンジェルミ伯の手回しと手引きにより豊久らがヴェルリナに侵入しそのままクーデターを成功させるも、同時期に侵入していた土方率いる廃棄物の襲撃とその撃退のため、首都機能は壊滅[注 10]し帝国指導部は崩壊した。以降は各地の方面軍が独立し、群雄割拠の状況になると予想されている。
カルネアデス(カルナデス)王国
北方の王国。「カルネアデス(カルナデス)の北壁」と異名を取る堅牢な要塞があり、化物達の南下を数百年に渡って阻止し続けていた。十月機関は漂流者に守備隊の指揮を任せるプランを立てていたが、現場の抵抗に遭い、実現出来ずに終わる。強力な能力を持つ廃棄物と、軍隊と化した化物らによる黒王軍の侵攻の前に、要塞は簡単に陥落してしまった。以降は黒王軍の本拠地として機能している。ハンニバル、スキピオ、ワイルド・バンチ強盗団が招かれ、菅野直が召喚されたのはこの区域。
グ=ビンネン通商ギルド連合
東方に存在する通商ギルド連合。現在オルテ帝国とは戦争中であり、東方海域圏内を制圧しており、グリフォンを用いた奇襲空爆攻撃で輸送船を殲滅するなど、帝国を追い込んでいる。山口多聞はこの連合内で既に「提督」と呼ばれており、グリフォン隊は提督から教えられた言葉として、奇襲成功時に「トゥラトゥラトゥラ」と歓声をあげている。
多聞が考案したと思われるグリフォンを航空機に例え、空母としての機能を備えた船舶「鷹母」の飛鷹・隼鷹を所持し、海戦には自信があるものの陸戦に関しては不得手であると認めている。
オルテに対しては疲弊した国家の領地を奪ったとしても旨味はないと判断している。4巻時点でほぼ完全に制海権を得ており、あとは海洋通商国家としてオルテだろうがその対戦国だろうが、取引相手として順当ならば「滅びるまでお客様」と考えている。
亜人(デミヒューマン)
異世界に生息する人間種以外の人型知的種族の総称。オルテ帝国によって弾圧されている。
エルフ族
人間達からは「耳長」と呼ばれる亜人。長命で自尊心が高く、弓を得意とする。人間の5 - 6倍の寿命を持つがその分成長は遅い(見掛け通りの精神年齢と考えてよい)。また1年の内の一時期しか繁殖することが出来ない。彼等は人間の事を「耳無し」「耳短か」と呼ぶ。
オルテ帝国の勢力圏内では40年前の戦争に敗れて以降、農奴として不遇の扱いを受けている上、繁殖の時期には女を全て代官に略取されるなど、露骨な断種政策を受けていた。
体力は人間並みで刀剣の扱いは苦手。騎乗も出来ないくらいだが、先天的に弓術の資質を持つ。帝国の政策により40年間触れていないにも関わらず熟練者の如く弓矢を使いこなし、与一から「弓の申し子」と呼ばれるほど。
豊久らを得たエルフ族による「下見の塔館」陥落および女性達の解放を機に、各地のエルフ達が集結、国を取り戻そうと反旗を翻した。信長は豊久を旗印に、引いては王にしようとしたが、国の奪還および再建という目的を達成した後、謀反などで裏切られる場合を危惧した豊久の考えにより、村長達による合議制の統治となった。
ドワーフ&ホヴィット
オルテ帝国における地位はエルフと同程度。ドワーフは金属の加工技術に優れていることが語られており、エルフの鍛冶には真似出来なかった火縄銃も容易く作れる。
オルテ帝国によりもガドルト鉱山に位置する城砦内の収容所でまともな食事を与えられないまま労働を強いられ、エルフ同様露骨な断種政策を受けていたが、豊久達とエルフ達によって解放された。
エルフとは外見的にも思想的にも合反していたためそれほど友好関係はなかったが、豊久の「武士(もののふ)」としての意志に賛同し、解放軍に参戦した。収容所生活の飢餓状態から解放後に食事を与えられると短期間で気力・体力共にを回復するほどの生命力を持つ。豊久も、ドワーフ達の筋骨隆々な体躯と断種政策を受けながらも屈しない強い意志を、かつての合戦で刀を交えた猛者達と重ね頼りにしている。
冶金技術に長けており、火縄銃を一目見ただけでその製造法を把握し、翌日には試作品を作り上げてしまったため信長を驚嘆させた。
体力にも長け、闘争心旺盛で、大飯食らいの大酒飲み。斧を武器に剛腕から振り出される一撃に全てを賭ける。その威力は鉄鎧をも粉砕し、豊久から示現流に例えられるなど薩摩人と相通じる点が多い。合流後は主に豊久に隊を率いられる。これによりエルフには向かない集団肉弾戦が可能になった。その言動から、サンジェルミは豊久とドワーフを一括りにして「蛮族ズ」と呼んでいる。
全員が髭の強面なので信長からは「若者と年寄りの区別がつかない」「何かの呪い?」と言われている。
ゴブリン&コボルト&オーク
黒王軍の大多数を構成する亜人達。人間と同じく知性を持つ。ドラゴンによる空挺攻撃や航空支援、魔術を用いた遠距離通信、クロスボウによる狙撃など、時代離れした高度な戦術を体得している。自分達を同胞として対等に接してくれている黒王に絶対な忠誠を誓っている。
犬人&猫人
大陸の北方に住む犬・猫の獣頭人身の種族。
空から落ちてきた菅野を「空神様」と仰ぎ、途中加わったスキピオを参謀にオルテに攻勢をかけている。
ドラゴン
物語の世界では主に飛竜の事を指し、六匹の「六大竜」の下に統一されている。黒王は隷属のドラゴンを手なずけ、口から吐く炎で攻撃する「竜騎士(ドラグーン)」と、装備した魔導針による各部隊の通信の中継や戦況報告をする「空中警戒騎」と、敵陣まで兵士を輸送する「龍挺」(ドラボーン)」による『航空龍騎兵』を編成、その空中機動戦力で地上部隊を支援している。
グリフォン
物語では巨大なのような容姿をしており、人が騎乗しての飛行が可能。グ=ビンネン通商ギルド連合が物資の輸送や、敵戦力に対しての奇襲空爆攻撃の時などに使用する。
火薬
物語の世界では、魚獣油脂による火炎瓶等は確認されているが、火薬という物はまだ発明されておらず、漂流物が元居た世界から薬莢などの形で持ち込まれる位しかない。鉄砲伝来と同時に火薬の発明・精製が行われた時代から来た信長により、精製が始まる。
物語の世界では銃火器の概念が無く、射撃武器も弓矢クロスボウ程度しか存在しない。漂流者が持ち込んでくることがあるものの、火薬(弾薬)が存在しない上にそれぞれ異なる時代から持ち込まれた銃火器が多く、あまりに複雑な構造のため、今の人類ではとても製造できるレベルではない。作中、種子島を製造していた時代から来た信長が、自ら所持していた物を加工技術に長けるドワーフ族に預けた事により構造が解析され、量産可能になった。さらに信長はワイルドバンチから薬莢式の拳銃とガトリング砲を譲り受けているが、こちらは薬莢・雷管の仕組みが分からないため、弾丸の尽きた対ジルドレ戦以降使用できていない。

単行本[編集]

  • 平野耕太 『ドリフターズ』 少年画報社 〈ヤングキングコミックス〉、既刊4巻

各話のタイトルは歌の名前から採られている。第2巻は発売初週に15万3,053冊を売り上げ、オリコンコミックランキングの週間1位(2011年10月24日付)となった。

カバー下の表表紙には本作のキャラクターを用いた既存の漫画作品のパロディ、裏表紙には「漂流物&廃棄物こうほ」と銘打った歴史上の人物等の紹介漫画、そして描き下ろしとして「あとがきゆかいまんが 黒王様御乱心」と題された2P漫画が掲載されている。



アニメーションPV[編集]

平野原作のOAD作品『HELLSING OVA X』(2012年12月発売)の特典映像として、約2分30秒のPVが収録されている[1]

スタッフ[編集]

  • 作画監修 - 中森良治
  • 演出 - 三浦和也
  • 作画監督 - 小峰正頼
  • 音楽 - 石井妥師

コラボレーション[編集]

戦国大戦 -1600 関ヶ原 序の布石、葵打つ-
本作の登場人物である豊久が「SS(戦国数寄)島津豊久」としてカード化されている。

脚注[編集]

注釈[編集]

  1. ^ 一部の場面では左目に着けており、単純な作画ミスかは不明だが単行本にはそのまま収録されている。また、本能寺の変の際は眼帯を着けていなかった。
  2. ^ 実際にはイタリア北部は日独の同盟国たるサロ共和国が存在し、イタリアが日独の敵国という認識は正確ではない上に、菅野はスキピオが、どちらの側の人間かの確認を行っていない。
  3. ^ 作中では姓が「野」と表記されている所もある他、紫の名簿には「菅野デストロイヤー直」と、彼の異名も含めて記載されていた。
  4. ^ 史実においても、ルバング島に不時着してから救援が来るまで「島の王様」として敬愛を集めて過ごしていたとされる。
  5. ^ 作中では、最初の「Eternal」の部分しか読み取れない
  6. ^ 第35話では「帝国の3分の1を支配する」と言及されている。
  7. ^ サンジェルミの馬車を見るや、エルフの美少年を守ろうと大騒ぎをした。
  8. ^ 第1巻の帯は、第2巻発売以降の重版分より付属されている。
  9. ^ 「エンズ」という読み方は元々は第1巻のカバー裏でルビを振られたのが最初で、本編においては第25話から導入されている。豊久から平仮名で「はいきぶつ」と呼ばれたことはある。
  10. ^ 市街戦の後、ハンニバルのヒントから信長が包囲殲滅作戦をとったため、首都の1/3が焼失してしまった。

出典[編集]

  1. ^ 平野耕太「ドリフターズ」がアニメ化、2分30秒の特典映像”. ナタリー. ナターシャ (2012年12月28日). 2013年5月15日閲覧。

外部リンク[編集]