アルスラーン戦記
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『アルスラーン戦記』(アルスラーンせんき)は、田中芳樹による大河ファンタジー小説。また、それを原作とするアニメ。19世紀のイランの作家であるナギーボル・ママレク(نقیب الممالک)のアルスラーン・ナムダルという本をモチーフにしている。そのため、作中の名称は基本的にペルシャ語となっている。
ルシタニアに征服されたパルスを奪還するまでを描いた第一部(1~7巻)と、ミスルやチュルクといった隣国やかつてパルスを震撼させた蛇王ザッハークとその眷属たちとの戦いを描いた第二部(8巻~)で構成され、全16巻(第1部7巻、第2部9巻)となる予定。1986年に1巻が発売されて以降、1992年に発売された9巻までは年間1~2巻のペースで順調に刊行されていたものの、10巻は1999年、11巻は2005年の発売となり、6~7年の期間が空いた。それ以降は1~2年に1巻のペースで刊行されている(2008年現在)。
1~10巻は角川書店の角川文庫より発売されていたが、現在は品切れ・重版未定(事実上の絶版)となっており、その分は光文社のカッパ・ノベルスから2巻1冊の新装版として刊行されている。また、11巻以降はカッパ・ノベルスから1巻1冊で刊行されている。
注意:以降の記述で物語・作品・登場人物に関する核心部分が明かされています。
目次 |
[編集] 主な登場人物
[編集] アルスラーン
- [第1部]
- 当作品の主人公。はじめ14歳、作中で15歳となる。パルスの国王(シャーオ)アンドラゴラス三世の子で、パルス国の若き王太子。澄み切った夜空のような黒い瞳を持つ。初陣を飾るはずだった第一次アトロパテネ会戦において、パルス軍はルシタニア軍に大敗を喫し、ダリューンただ1騎に護られて戦場を離脱する。その後、ダリューンの親友ナルサスを軍師兼宮廷画家に迎え、多士済々たる部下とともに残存勢力を集結させ、王都奪還を目指す。温厚な性格であり他人の手柄を妬む事がないため、部下によく慕われるという、王として重要な素質を持つ。出生に重大な秘密がある。
- 人柄の良さだけが取り柄と評される事もあるが、ナルサスを宮廷画家として招き入れるという「奇策」で幕下に招聘する事に成功したり、またシャガードの処遇についてなど、時折、並外れた機知と感性を示す。また、優秀な部下達の影に隠れがちだが、武芸の腕前も人並み以上に優れる。
- [第2部]
- パルス国の第19代国王。18歳。ルシタニア軍から王都エクバターナを解放し、パルスの奴隷制度を廃止したことから「解放王(サーシュヤント / 「サリューシャント」とルビが振られている箇所もある)」と呼ばれる。質素な生活、巨大な武勲、気さくな性格などから国民に絶大な人気を誇る。第一部の終盤で明らかとなった出生の秘密は自ら公にしたが、国民からの支持は不動だった。王太子として育ちながらも毒舌家ぞろいの臣下に囲まれていたこともあってギーヴをして「悪知恵が成長された模様」と評される。身長も伸び、獅子狩人(シールギール)の称号も得て、為政者として着実に成長している。また、エラムただ1人を伴って、お忍びで城下を散策する事を趣味としており、最近ではその途上で重大事件に遭遇する事も多い。なお、「解放王」の由来はゾロアスター教の「救済者(サオシュヤント)」より。
[編集] ヒルメス
- [第1部]
- 第17代国王オスロエス五世の子。武勇に優れ、その技量はダリューンと互角で作品中に登場する武人としては常に上位にある。本来ならオスロエス五世の後を継いで即位するはずだったが、子供の頃に叔父のアンドラゴラスによって火事に見せかけた暗殺に遭い、公式には死亡とされた。未遂には終わったものの、顔の右半面に大火傷を負い、無意識に火を恐れるなど後の人生に影を落とした。自らを正当な王位継承者と信じており、王位を奪ったアンドラゴラスへの復讐のために銀色の仮面をかぶって戦火に身を投じる。身分を偽ってルシタニアを利用し、パルスを侵略させた。ルシタニア人に対しては銀仮面卿と名乗る。火事から生き延びた後はマルヤムへ逃れてしばらく滞在したらしく、その際にマルヤムの内親王イリーナと交流し、互いに惹かれあう。実は彼の出生にも秘密が隠されていた。
- [第2部]
- アルスラーンに敗れた後チュルクへ流れ、しばし滞在する間にカルハナの謀臣として彼の即位に功績を立てた。この地で妻のイリーナを失う。カルハナ王の命によりトゥラーン人を組織して仮面兵団を組織、シンドゥラを劫略するもアルスラーンにより撃破され、残兵を率いて海路ミスルへ逃れる。ミスルではクシャーフル卿と名乗り、ミスルを手中とするために暗躍を開始する。国王の寵姫となった「孔雀姫」フィトナの協力を得て、首尾よく南方軍都督(キャランタル)に就任する事となるが、任地に赴く直前、自分の偽物である「黄金仮面」シャガードの叛意による国王弑逆事件が起こる。ヒルメスはこの事件を利用し、腹心ザンデの仇であるマシニッサを国王殺害の共犯者に仕立て上げ、これを討ち果たすと同時に、幼少の新国王を擁立して権勢を握る。
- 苛烈な人為こそ変わってはいないものの、自身の野心を正当化する事もなく、自身の器量がアルスラーンより劣る事を自覚するなど、以前に比べ幾分か思考は軟化してきている。ミスルを手中に納める謀略についても、悪事として楽しんでいる節がある。また、民衆のための政治を行わなければ支配も長続きしないと自覚したり、元貴族という身分だけを理由に尊大に振る舞うクオレインを「自分の能力に自慢できることはないのか」と嘲笑したあげく斬り捨てたり、ナルサスへの復讐に固執するあまり視野狭窄を起こしている黄金仮面の姿にかつての自分のようだと自嘲するなど、視野も遥かに広くなっている。一方で武人としての技量は以前と変わらず、ますます技量を高めたダリューンの後塵を拝するようになってしまった。
- 著者の田中芳樹によると、中国の南北朝時代の人物である蕭宝寅が、まさしくヒルメスにそっくりの人物であるとの事。アルスラーン戦記執筆後に知った人物でありモデルではないが、ヒルメスが内政に関心を持つあたりにはその影響が見られる。
[編集] パルス
[編集] 十六翼将
アルスラーンの主な臣下たちを「解放王アルスラーンの十六翼将」と呼ぶ。これはパルスの軍事制度に正式に存在した役職ではなく、アルスラーンと共に王都を奪還し、その後も彼の治める王朝を支えて活躍したとされる伝説的な英雄たちに対する、作品世界における後世の人々からの称賛を込めた呼び名である。吟遊詩人がアルスラーンの事跡を物語る時、聴衆に向かって「十六翼将の名を知るや?」と問い、聴衆は指折り数えてこれに応じるという。
ダリューン
- [第1部]
- パルス国の万騎長(マルズバーン・1万の騎兵を指揮する将)の1人。初登場時27歳。大将軍(エーラーン)ヴァフリーズの甥。黒い甲冑と真紅の裏地の黒マントを身に纏い、愛馬・黒影号(シャブラング)を駆る黒衣の騎士として大陸公路有数の戦士として名を馳せている。また、過去に大陸公路最強と謳われたトゥラーンの王弟を馬上から切り伏せたこともあり、本作品開始後においてはヒルメスと並ぶ最強の武人である。「戦士の中の戦士」(マルダーンフ・マルダーン)や「猛虎将軍」(ショラ・セーナニー/シンドゥラでの呼び名)など数々の異名を持つ。12人の万騎長の中では最も若年であった。伯父の遺言と第一次アトロパテネの戦いの敗北を受けて、アルスラーンを連れ、親友ナルサスを頼る。アルスラーンには絶対の忠誠を誓っており、アルスラーンが王者らしく成長していることを喜ぶ。謹厳実直・質実剛健の人だが、ナルサス、および彼の画業に絡むと微妙に口の悪さが滲み出る。2人の会話はほとんど漫才(バハーネ)であり、とても大陸公路に冠絶する勇将と智将の会話とは思えないほどである。
- [第2部]
- パルス国の万騎長。31歳。先のルシタニア戦やシンドゥラでの戦い、対トゥラーン戦、対ミスル戦においてパルス軍随一の武勲を上げ、大陸公路最強の戦士としてその名を轟かせている。その技量はますます磨き上げられ、かつて互角とされたヒルメスをも凌駕している。ルシタニア侵攻時の戦功第一と呼ばれたが、前線での戦いを望んで大将軍の地位をキシュワードに譲った。クバードと共に「大将軍格」(エル・エーラーン)と呼ばれる。
ナルサス
- [第1部]
- パルス国のダルバンド内海沿岸に広がるダイラム地方の旧領主。初登場時26歳。アルスラーン軍の軍師にしてアルスラーンの政治・軍事の師匠。政戦両略に長けており、かつてチュルク・トゥラーン・シンドゥラの3国による連合軍が攻めて来た際、流言を巧みにばら撒いて連合軍内に内紛を引き起こして見事撃退した。その功により、アンドラゴラス3世によって宮廷書記官(ディビール)として抜擢される。しかし、度重なる諫言をアンドラゴラス三世に忌避され、さらには役人の不正を暴いたことから命を狙われたため、宮廷書記官の座と領地を返上してバシュル山に隠棲していた。アトロパテネの戦いに敗れて落ち延びたアルスラーンとダリューンを匿った際にアルスラーンの「説得」を受けて再び世に出る。シンドゥラ語を始めとする各国語を解し、政務・軍略双方に深く通じ、シンドゥラ・トゥラーン・ルシタニア各軍を翻弄する。シンドゥラ王位継承戦役の後は、中書令(サトライプ)に一時的に就任するが、その地位をルーシャンに譲り軍師の役職である軍機卿(フォッサート)の地位につく。文弱の貴公子と思われがちだが、剣の腕前も達人級である。アルスラーンにパルス国の旧体制や奴隷制の誤りを説き、後のアルスラーン政権の礎を作る。優しげな容姿に似合わない毒舌家でもある。趣味の画才は知勇とは遠くかけ離れたもので、親友のダリューンにことあるごとにけなされている。陣営に加わる際にアルスラーンより「宮廷画家」の地位を与えると言われており、エクバターナ奪還後にはキシュワードやクバードからも論功行賞の行方を不安視された。
- [第2部]
- パルス国の「副宰相(フラマート)であり宮廷画家」とされるが、本人曰く「宮廷画家であり副宰相」。30歳。東のチュルク・西のミスルの侵攻を防ぐなど、新生パルス政権でも政戦両略で活躍する。神算鬼謀と称されるに足る人物であるが、事実と真実を正確に捉え、正しい方向を指し示す明哲さにこそ本領が発揮されると言える。一方で芸術方面では才能が皆無であるばかりかそれを自覚する自己評価能力すら無く、パルス内で「パルスの宮廷画家」といえば泣く子も笑うと言われ、「好きこそものの上手なれ」という教育文化をたった1人で破壊した人物としても知られている。孔雀羽根のくすぐり拷問を発明し、チュルクの王族を、犠牲者いわく「きたない拷問」にかけたことがある。ルーシャンがナルサスへと宰相の座を渡そうとしているが、彼自身は宮廷画家の地位に執着している為、一向に承諾しようとしない。
ギーヴ
- [第1部]
- 流浪の楽士を自称する美青年。頭髪は赤紫色の23歳。剣や弓の扱いから楽器、果ては女性の扱いにまでも優れる。特に弓の扱いに関しては神業的な腕前を誇り、エクバターナがルシタニアに包囲された際には囚われの万騎長シャプールの意を受けて遠矢で射殺している。自らをアシ女神の僕とし、ファランギースをアシ女神と同一視している。彼女との出会いを経てなりゆきでアルスラーン陣営に加わる。飄々とした性格でどこか人を食った発言も多いが、アルスラーンが王城の外で育ったことを見抜くなど、洞察力は鋭い。デマヴァント山ではヒルメスが宝剣ルクナバードを掘り返さんとしているところに出くわし、ヒルメスに王としての資格がないと言い放って剣がヒルメスの手に落ちることを防いだ。また、アルスラーンの異称である「解放王」を最初に称えたのはギーヴだとされている。第二次アトロパテネの戦いにおいてルシタニア軍で最も高潔な騎士と謳われたモンフェラート将軍を討ち取り、パルス王室の財宝が暴兵に奪われることを防いだ。本人曰く、2枚の舌に加え、10以上の”色のない舌”を持つ。また、ギーヴならぬ悪鬼(デーヴ)の尻尾を苦労して隠しているらしい。ファランギースに対して好意を持っているのは確かだが、彼女にあしらわれることも楽しんでいるそぶりも見られる。
- [第2部]
- パルス国の宮廷楽士にして巡検使(アムル)。26歳。飄々とした性格は相変わらずで「不逞・不遜・不敵と三拍子揃った男」「火を消す代わりに洪水を起こす」と言われる。国王直属としてパルス国内を自由に旅して得た情報をアルスラーンに報告する任務を帯びており、ナルサスの意を受けて遊軍的役割を担うこともある。アルスラーンに仕えてはいるが「パルス随一の色事師」振りは健在である。個人的な興味から旧バダフシャーン公国へと向かう。
ファランギース
- [第1部]
- ミスラ神を信仰する女神官(カーヒーナ)。22歳。ミスラ神殿がアルスラーン生誕時にその名で寄進されたものであることから、神殿よりアルスラーンを守護するべく派遣された。弓の扱いに優れ、精霊(ジン)の声を聞き、水晶の横笛を奏でることで彼らを使役することもできる。黒絹の髪・緑玉の瞳・白珠の肌・糸杉の身体を持つ、「自他共に認める」絶世の美女。ギーヴやクバード、ラジェンドラらから言い寄られるが本人はあっさりと拒絶している。酒豪でギーヴやラジェンドラが束になっても敵わなかった。
- [第2部]
- 大戦後はフゼスターン地方の神殿に戻るが、改めてアルスラーンに呼び出されて巡検使と宮廷顧問官(ブラフマン)に任じられる。25歳。その美しさと強さは変わらず。湖上祭でかつての恋人の弟と再会することとなる。オクサス地方の変事にアルフリードと共に調査に向かい、蛇王復活の兆候を目の当たりにする。
キシュワード
- [第1部]
- パルス国の万騎長。パルス歴代の武門の出で、二つの剣を使うことから「双刀将軍」(ターヒール)と呼ばれる。美髯を蓄えている。アルスラーンとは2羽の鷹が縁で個人的な親交もあった。アトロパテネの敗戦時は、僚友である万騎長バフマンとともに東方国境のペシャワール城塞の守護の任についており、難を逃れた。かつては西方国境の守護に当たっていたが、「生ける城壁」「双刀将軍キシュワードあるかぎりミスル軍はディジレ河を越えるあたわず」と呼ばれるほどの豪勇から、ミスル国が講和の条件として城砦を譲る代わりに彼を東方国境への異動をするよう要望したという逸話がある。戦場を離脱しペシャワール城塞に辿り着いたアルスラーンらを迎え入れ、ルシタニア軍追討に邁進する。アンドラゴラス三世復帰後は謹厳実直な性格から、主君への忠誠とアルスラーンへの好意の板ばさみとなり苦悩する。対ルシタニア戦ではルシタニアの双璧の1人ボードワン将軍を討ち取るなどの武勲を上げる。
- [第2部]
- クバードとダリューンと並び、大将軍(エーラーン)の候補とされたが、両雄がにべもなく辞退したことからアルスラーン王政下の大将軍に任じられる。第一次アトロパテネ会戦で戦死した万騎長マヌーチュルフの娘・ナスリーンと結婚し、息子アイヤールを授かる。大将軍になってからは前線で戦う機会が減ったが、エクバターナ地下に設けられた蛇王ザッハーク一党の神殿調査の際はダリューンを差し置いて調査に赴いている。
クバード
- [第1部]
- パルス国の万騎長の一人。31歳。左眼が一文字に潰れている。通称「ほら吹きクバード」。かなりの酒豪で、彼をしのぐ者はファランギースくらいであろうと言われる。豪放磊落で陽気な性格だが、部下や弱者に対しては気配りもよく、部下たちからの信頼も厚い。遠慮しない性格のため、アトロパテネ会戦時国王アンドラゴラス三世が戦場から離脱したのを見て「兵士を見捨てて逃げるような王に従う義理はない」と放言し、一時与力したヒルメスに対しては素顔を仮面で隠すことを痛烈に批判している。アトロパテネの敗戦後は軍を離脱し各地を放浪しており、紆余曲折を経てアルスラーン陣営に加わる。アンドラゴラス三世復帰後は主君に距離を置きつつも離脱したダリューンに代わり万騎長として王都奪還戦に参戦している。片目の傷は伝説上の怪物である「三頭竜(アジダハーカ)」と戦ったときの傷と言っている。
- [第2部]
- パルス国の万騎長。34歳。アトロパテネの敗戦から王都奪還までに生き残った万騎長の中では最年長だったが、候補だった大将軍の職を「柄じゃない」とあっさりキシュワードに譲った。ダリューンと共に大将軍格とされ、東方のペシャワール城に常駐する。「ギーヴ卿は美女好き、クバード卿は女好き」とされており、ファランギースにも好意を示す。「クバードの車輪戦法」と呼ばれる波状攻撃を得てとし、ペシャワールにおける魔軍襲来に際しては眷属をなぎ倒し、狂戦士イルテリシュに対してペシャワールは未来永劫渡さない、と宣言した。
トゥース
- [第1部]
- パルス国の武将。20代後半で銀貨(ドラフム)のような瞳を持つ。南方ザラの守備隊長の任に就いていたが、アルスラーンの檄を受けてペシャワール城に馳せ参じる。寡黙な男だが後方撹乱や護衛等の地味な任務も忠実にこなし、アルスラーンからも高い評価を受ける。ナバタイに伝わる鉄鎖術の達人で、多くの敵をこの鉄鎖で討ち取る。
- [第2部]
- パルス国の万騎長。寡黙かつ沈着冷静ながら亡き戦友バニパールの娘3人を妻に迎え、クバードをして「むっつりすけべ(ハーチムマイマイ)」と呆れさせる。ペシャワールにおける魔軍襲来に際して全治1ヶ月以上の深手を負う。なお、3人の妻を娶るまでの話はパルスの説話になったという。
イスファーン
- [第1部]
- パルス国の武将。20代前半。中背で引き締まった体、瞳は透き通った琥珀色。アトロパテネ会戦で捕虜になり、ルシタニアのエクバターナ攻略戦の際死亡した万騎長シャプールの異母弟で「狼に育てられた者(ファルハーディン)」と呼ばれる。アルスラーンの檄を受けてペシャワール城に馳せ参じる。均整の取れた肉体をもつ剽悍な戦士。兄譲りの真面目な性格で、本人に乞われてシャプールを射殺したギーヴにはその素行や言動に対する反感もあり、剣で斬りかかるなど激しい一面も見せた。
- [第2部]
- パルス国の統制官(ミフラーン。万騎長と千騎長の間の地位)。二匹の子狼「火星(バハーラム)」「土星(カイヴァーン)」を保護して自ら育てている。クバードとともにデマヴァント山の封鎖に赴く。その途中の魔物退治の逸話は後世に伝わり、俗謡にもなったという。ペシャワールにおける魔軍襲来に際しては狂戦士イルテリシュと刃を合わせ、彼をかばったバハーラムを目の前で斬殺された。エクバターナに戻る途中で、各地で問題を起こしている「旅の楽士」の噂を聞き、旧バダフシャーン地方へと単騎で赴く。
ザラーヴァント
- [第1部]
- パルス国の武将。20代前半。パルスでも有数の名門諸侯、オクサス領主ムンズィルの息子で、アルスラーンの檄を受けてペシャワール城に馳せ参じる。膂力に優れた大男。童顔を嫌ってか顎鬚を生やしている。参戦当初はシンドゥラ人であるジャスワントへの偏見も見られたが、一度は剣を交えたトゥラーン人ジムサとの交友を経て和解する。アンドラゴラス三世とアルスラーンとの確執の際、ジムサとともにペシャワール城より離脱し、アルスラーンに合流している。
- [第2部]
- パルス国の王都警備隊長。第二部になってから重く長大な鎚矛(メイス)を武器にしているようである。王都奪還に武勲を上げ、奪還後はルシタニア軍に破壊された水路の修復を効率的に行なうなど土木事業でも意外な能力を発揮した。エクバターナ都市計画における重要な職務をこなし、作業員らから親しまれ尊敬されている。アルスラーンの指示で無料の施療所を建設する際には実地で指揮を取った。なお、直接的な描写はないが、大食漢で酒好きのような雰囲気が散見される。
ジャスワント
- [第1部]
- シンドゥラ国ガーデーヴィ王子派の世襲宰相(ペーシュワー)マヘーンドラの部下。ガーデーヴィが王位継承をラジェンドラと争う中、アルスラーンに3度命を助けられる。ガーデーヴィが敗死したことで行き場を失うが、命の恩人でもあるアルスラーンに誘われて彼の陣営に加わる。以後は侍衛士としてアルスラーンの身辺警護の任に就く。復帰したアンドラゴラス三世によって、アルスラーンがパルス軍から追放されると、ダリューンらとともにペシャワールを離脱した。浅黒い肌を持ち、黒豹のような身のこなし。武勇と敏捷はギーウに匹敵し、その剣さばきはシンドゥラの太陽のように激烈であると評される。誠実で生真面目だが温厚な性質で、妓楼のシンドゥラ女に騙されて金を巻き上げられても、同郷の者の役に立てたと喜ぶ始末である。
- [第2部]
- パルス国の侍従武官で国王に即位したアルスラーンをエラムとともに護衛する。ギーヴらと共にチュルクへの使者となり、その後クバードとともにデマヴァント山の封鎖に赴くなど、アルスラーンの護衛の割に遠出する例も多い。パルス人ではないため蛇王ザッハークに対する恐怖心がなく、他の諸将が事あるごとに動揺するのを不審がる。
ジムサ
- [第1部]
- 遊牧民族トゥラーン国の若き武将。丸顔で少年の面影が残る20歳前後の若武者で、馬上からの剣戟と毒を塗った吹き矢の名手。ザラーヴァントに瀕死の重傷を負わせた事もある。ナルサスの計略でトゥラーンより追われる立場となり、ペシャワール城に保護される。アンドラゴラス三世の復帰で処刑が決まったが、キシュワードの配慮とザラーヴァントの手引きでペシャワール城を離脱、アルスラーン陣営に合流する。ブルハーンという弟がいる。
- [第2部]
- パルス国の統制官。キシュワードの元でトゥラーン流の騎馬戦術をパルス軍に指導するほか、パルス北方に狼煙台を設置する案を提出するなど、戦略的視点を見せる事がある(このような戦略的視点の発言は、本作の中ではナルサス以外には少ない)。パルス北部国境の調査行に赴いた際、トゥラーンの「親王」イルテリシュが蛇王ザッハーク一派の手により復活したことを突き止め、アルスラーンに報告する。その際保護した少女を王都へ同行するが、名を尋ねようともせず「こまかいの(オフルール)」と呼び続けるほど無頓着な性質。パルス人ではないため蛇王ザッハークに対する恐怖心がない。
メルレイン
- [第1部]
- 山賊を生業とするゾット族の族長ヘイルターシュの息子。19歳。父がヒルメスに殺害された後、敵討ちと消息不明になった妹アルフリードを探してパルスを放浪する。クバードとの出会いやアルフリードとの再会を経てアルスラーン陣営に与することになる。弓の扱いに優れ、「パルスで2番目の弓の名手」と自称する(後にギーヴとファランギースに出会ってこの売り文句を訂正する必要を認めた)。王都奪還においては、アルスラーンから授かった「ゾットの黒旗」を掲げるゾット族を率いて勇戦し、エクバターナに入城する。秀麗な顔立ちながら常に不機嫌な表情をしている(ように見える)ため誤解されやすく、愛嬌を落っことして生まれてきた、などと評されるが、本人は意識していない。ひよわいほどしとやかな女性が好み。
- [第2部]
- ゾット族の族長代理。22歳。父が妹であるアルフリードを族長に指名していたため、あくまでも自分は妹が戻るまでの代理というスタンスを崩さない。ナルサスの命でゾット族を率いてチュルクに潜入するなど、遊撃部隊として正規軍にはできない活動を担う。クバードと行動を共にすることが多い。デマヴァント山捜索隊に参加したときには、飛行する怪物たちの中にある籠に唯一気がつくなど、その視力のよさを見せる一面があった。
アルフリード
- [第1部]
- ゾット族の族長ヘイルターシュの娘でメルレインの妹。初登場時16歳。ナルサスに助けられたことが縁でアルスラーン陣営に参加、ナルサスに惚れ、妻になることを目標としている。騎馬民族であるパルス人らしく馬や弓の扱いにも長ける(ただし、「あたしの矢はときどき近眼に」なり、味方を射落としてしまう、とは本人の言)。陽気で気は強いが、同年代のルシタニア人エステルの面倒を見るなど情に厚い性格。ナルサスを挟んでエラムとは犬猿の仲。
- [第2部]
- ゾット族の女族長(のはず)でパルス国の巡検使。20歳。ナルサスとは未婚のままであるが、心が結びついているので形式はどうでもいい、と本人は納得しているらしい。幾分女性らしさを身につけたが、剣技や弓の腕も向上している。ファランギースと行動を共にする事が多く、オクサス地方への調査行にも同行する。
グラーゼ
- [第1部]
- パルス国の海上商人。30歳。日に焼けて逞しい容貌の海の男。南方ギランで武装商船「勝利」(ピールズィー)号を統率する実力者でパルス語、絹の国(セリカ)語を始めとして多言語(自称「挨拶ぐらいなら20ヶ国語でできる」)を話す。弁舌、情報分析にも優れる。海賊討伐が縁でアルスラーン陣営に参加し、王都奪還の際にはメルレインやザラーヴァントとともに大量の物資をエクバターナへ運び込み、難民を保護した。
- [第2部]
- ギランの総督代理。33歳。パルス海軍を率いる武将でもある。ナルサスの指示によって芸香(ヘンルーダ)をシンドゥラから大量に輸入し、半分をエクバターナ、残りをペシャワールに送り届ける任務に就いていたが、折しもペシャワールでは魔軍の攻撃を受けて必死の防戦中であり、彼と彼の部下たちはまたとない援軍となってたちまち形勢を逆転し、魔軍を撃退した。
エラム
- [第1部]
- 解放奴隷だった両親の遺言でナルサスの侍童(レータク)となり、アルスラーンの請いでナルサスが山を降りる際も行動を共にする。14歳。ペシャワールへの逃走やシンドゥラ遠征、アルスラーンの追放、王都奪還に至る道程でアルスラーンと身分を越えた親交を深めていく。ナルサスを挟んでアルフリードとは犬猿の仲。
- [第2部]
- パルス国の侍衛長(ケシュタク)。17歳。ナルサスを師と仰ぎ、アルスラーンとは兄弟弟子となる。アルスラーンの側近として行動を共にし、お忍びにも同行する。ギーヴ、ジャスワントと共に使者としてチュルクへと赴く。「指図振りがナルサスに似てきた」とはダリューンの評。十六翼将中最年少。
パラフーダ
- [第1部]
- 本名はドン・リカルドで、ルシタニアの騎士。30歳。騎士オラベリアの友人で、ギスカール公爵の命を受けた僚友に同行したものの、大地震に巻き込まれてデマヴァント山で行方不明となる。迷い込んだ地下で「恐ろしいもの」を見てしまい、髪も鬚も真っ白なる程の恐怖で記憶を失う。その後近くの村に保護され、白鬼(パラフーダ)と呼ばれていた。公正な性格で異教徒に対してもそれほど偏見を持たず、銀仮面一党と単身対峙するギーヴを見て思わず、多勢に無勢であり騎士道にもとる、助勢せずともよいのか?とオラベリアに問いかけた。大戦後はエステルと共にルシタニアへの帰路に着く。
- [第2部]
- 騎士エステルの従者。33歳。ボダンに勝利してマルヤム国王となったギスカールにルシタニアへの帰国を促す陳情団にエステルと共に参加し、イラクリオンにて旧友オラベリアと再会する。彼の邸宅に滞在中、襲ってきた盗賊と乱闘になり、頭を殴られたことで記憶を取り戻すが、ギスカールの策略によってエステルやオラベリア邸に居合わせたパリザートと共にパルスへ逃亡する。ある人物の死に接して過去の自分を捨ててパルス人パラフーダとして生きよとのアルスラーンの命に、エステルに代わって仕えることを誓い、陣営に加わる。
[編集] 主な王族
アンドラゴラス三世
- [第1部]
- 第1部が始まった時点での第18代国王。王太子アルスラーンの父親で王妃はタハミーネ。44歳。剛勇無双の持ち主で歴戦の勇者。王位に就く前の大将軍時代にバダフシャーン公国を併合する。剣だけでなく鉄鎖術も巧みである。剛腹だがやや狭量な性格で、為政者としては武に偏り、内政面ではナルサスらの諫言を聞き入れず不正・腐敗を許すなど、君主としてあまり優秀とは言えない面もある。また、海上交易にもあまり興味を示さず、後にナルサスに乗じられる事となった。ルシタニアとの戦い「第一次アトロパテネの戦い」において、ルシタニアに敗北し虜囚となる。エクバターナ解放戦の折にイノケンティス7世とともに死亡。
- [第2部]
- 修復された王墓に新たに埋葬されていたが、地行術(ガーダック)により遺体が盗まれる。
オスロエス五世
- [第1部]
- パルス第17代国王。アンドラゴラス三世の兄でヒルメスの父。第1部開始時点ですでに故人。
ゴタルゼス二世
- [第1部]
- パルス第16代国王。オスロエス五世とアンドラゴラス三世の父。第1部開始時点ですでに故人。内政・外交ともに優れた手腕を示し、「大王」と呼ばれたが、とにかく迷信深いという欠点もあった。彼が若かりし頃にある予言を受け、それを盲信してしまった事がパルス混乱のきっかけとなった。
[編集] 武将・役人など
ザンデ
- [第1部]
- 万騎長カーラーンの子。父カーラーンの死後はヒルメスの側近として活躍する。年齢は20歳くらいの剛力を誇る巨漢で、剣よりも棍棒や槌鋒(メイス)をよく使う。ヒルメスの正統性を心から信じ、絶対の忠誠を誓っている。斥候を用いて情報にも通じ、単なる膂力だけの男ではない事はヒルメスも認めている。
- [第2部]
- ヒルメスを探してミスルにたどり着き、黄金仮面の下で反アルスラーン派のパルス人を束ねてパルス人部隊の指揮官となる。しかし、黄金仮面がヒルメスの名を騙る偽者であると見破ったため、ミスル国王の命を受けた将軍マシニッサに追われる。最期はマシニッサに騙し打ち同然に討ち取られる。
カーラーン
- [第1部]
- アンドラゴラス三世の下での万騎長であったが、先王オスロエス五世の遺児であるヒルメスの正統性を信じてアンドラゴラス三世を裏切り、ルシタニアの侵略に協力した。ヒルメスの下で大将軍(エーラーン)を称するが、ナルサスの策略によっておびき出され、ダリューンと戦って落命する。ザンデという息子がいる。
ヴァフリーズ
- [第1部]
- 第一次アトロパテネ会戦時点での大将軍(エーラーン)。ダリューンの伯父。アンドラゴラス三世の腹臣中の腹臣でありながら、アルスラーン、ダリューン、ナルサスにも理解を示す、懐の深い老将。アトロパテネ会戦に先立ち、甥のダリューンに対してアルスラーン個人への忠誠を誓わせる。第一次アトロパテネ会戦後に敗走するアンドラゴラス三世を庇うため手傷を負ったままに、ルシタニア軍の銀仮面(ヒルメス)に討たれる。
バフマン
- [第1部]
- アンドラゴラス三世の下での万騎長。大将軍ヴァフリーズとは戦友であり親友の間柄で歴戦の老将で、62歳の年齢は万騎長の中で最年長。髪も髭も灰色ではあるが、身体は老人とは思えないほどたくましい。かつてはヒルメスの教育係でもあったらしい。ルシタニアの侵攻時にはペシャワールにいたため、第一次アトロパテネ会戦には不参加。ヴァフリーズよりアルスラーン出生の秘密を知らされ思い悩む。ヒルメスがペシャワールに侵入して発見され、危機に陥った時、バフマンの思わぬひと言がヒルメスを救い、アルスラーンに衝撃を与える事になる。その後、アルスラーンと共にシンドゥラの王位継承戦役に参戦したが、ガーデーヴィの投げ槍に貫かれ、秘密を語らぬままに戦死する。
シャプール
- [第1部]
- アンドラゴラス三世の下での万騎長。イスファーンの異母兄。儀礼や形式、騎士道を重んじる人物。同じ万騎長のクバードとの不仲は有名で、列に並ぶ時には必ず両端に離れて立つと言われるほど。第一次アトロパテネ会戦でルシタニアの捕虜となる。エクバターナの城門前にて、ボダンによる拷問の最中にパルス軍によって殺されることを望み、ギーヴの放った矢によって射殺された。36歳。
サーム
- [第1部]
- アンドラゴラス三世の下での万騎長。怜悧で思慮深い人物。城砦の攻防に優れた手腕を有することから第一次アトロパテネ会戦には参加せず、王都エクバターナの守備の任についた。エクバターナ防衛戦で敗れて捕らえられた後、ヒルメスの配下となり参謀として活躍する。アルスラーンがエクバターナ入城を果たした直後、ザッハーク一党の手から宝剣ルクナバードを守る為に命を落とす。
ガルシャースフ
- [第1部]
- アンドラゴラス三世の下での万騎長。第一次アトロパテネ会戦には参加せず、王都エクバターナの守備の任についた。優れた武将だったが、同僚のサームと比べると即戦即決派で、また奴隷に対しては冷淡な態度をとった。エクバターナ防衛戦で勇戦するも戦死する。
マヌーチュルフ
- [第1部]
- アンドラゴラス三世の下での万騎長。第一次アトロパテネ会戦に参加し戦死する。50歳。馬術や刀術、弓術に優れ、攻城戦や野戦の指揮を得意とした。書の名人でもあり朗々たる美声の持ち主であった。ナスリーンという娘がいる。
ハイル、クルプ、クシャエータ
- [第1部]
- アンドラゴラス三世の下での万騎長。第一次アトロパテネ会戦に参加する。
- ハイル(及びマヌーチュルフ)に関しては、ダリューンが戦場で出会ったシャプール配下の千騎長から戦死の証言を得たが、残る両名については消息が得られず、限りなく戦死に近い行方不明の扱いである。
ルーシャン
- [第1部]
- レイの領主。アルスラーンの檄を受けてペシャワール城に馳せ参じる。落ち着いた態度と貫禄のある体格で、髪も鬚も濃い灰色をしている。人望が厚く公正な人柄で貴族にも顔が広い。王太子アルスラーンによってナルサスに代わり、中書令(サトライプ)に任命された。
- [第2部]
- パルス国の宰相(フラマータール)で堅実に国王アルスラーンを支える。ただし、事あるごとに縁談を持ちかけるため、アルスラーンは閉口気味である。レイの領主時代に破綻しかけていた財政を安定化させ、相続争いを解決する。真面目な人物であるが、ギーヴのような不真面目な者に対しても寛容を示す。
フスラブ
- [第1部]
- アンドラゴラス三世の下での宰相を務める。武芸には全く素養の無い老人。エクバターナ落城の際に落ち延びようとするがルシタニア兵の馬蹄に踏み潰されて殺される。
ホディール
- [第1部]
- パルスの諸侯(シャフルダーラーン)の一人。ニームルーズ山中にあるカシャーンの城砦で、逃亡中のアルスラーン一行を迎え入れる。アルスラーンを傀儡とすることを企み彼の仲間を排疎しようとするも失敗し、ダリューンに返り討ちにされる。。
テオス
- [第1部]
- ナルサスの父でアンドラゴラス三世の旧友。ダイラム地方を領有していたパルスの諸侯。トゥラーン・チュルク・シンドゥラ連合軍がパルスへ侵攻した際の王命に応じて出兵する直前に、階段から足を滑らせて死亡した。
ムンズィル
- [第1部]
- オクサス地方を領有するパルスの諸侯。病のためアルスラーンの檄を受けてペシャワール城に馳せ参じることができないため、かわりに息子であるザラーヴァントをペシャワールへ遣わした。
- [第2部]
- 甥であるナーマルドを溺愛し甘やかす。実は彼には秘密があり、ファランギース、アルフリードとギーヴの活躍で暴かれる事になる。
(赤鬚)シャガード
- [第1部]
- アルスラーンの檄を受けてペシャワール城に馳せ参じる。歩兵一万五千を率いる将軍となる。ギランのシャガードとは同名の別人。
- [第2部]
- バダフシャーン総督。宰相ルーシャンの旧知の人物で、年齢は50近くで赤い鬚をたくわえているため「赤鬚シャガード」と呼ばれる。名家の出ではあるが、実務に通じており穏健で人望も厚い。ルシタニアとの大戦での傷病兵を総督府で雇用するなど、執政官としてなかなかの手腕を誇る。パルスの民としてはめずらしく乗馬が下手な為、輿に乗って移動する。
ルッハーム
- [第1部]
- パルスの将軍。アルスラーンの檄を受けてペシャワール城に馳せ参じる。グラーゼの腹心であるルッハームとは同名の別人。
- [第2部]
- 老齢ではなかったが、心臓の病で死去した。
パティアス
- [第1部]
- 南方のザラで会計担当の書記官をしていたが、アルスラーンの檄を受けてペシャワール城に馳せ参じる。ナルサスの推薦で会計監になり、財務監理など後方支援作業を行った。
- [第2部]
- 王国会計総監(スパンデイヤード)を努める。必要な時、必要な所に、必要なだけの予算を回す名人。かなり有能で実務に精通しており、「平時であればパルスの宰相になれる」という評判が立っている(ただし宰相の座を受けたくないナルサスが意図的に流した評判だという疑惑がある)。
バルハイ
- [第1部]
- 当初はバフマン配下の千騎長。ルシタニアのパルス侵攻後は短期間に複数の万騎長に仕えることになる。バフマンの死後はダリューンの配下となるが、アンドラゴラス三世が復帰して兵権を握るとクバードの配下になり、彼のいい加減さに不平を洩らす。
- [第2部]
- クバード配下の千騎長として、魔軍との戦闘にも参加する。
シェーロエス
- [第1部]
- キシュワード配下の千騎長。
- [第2部]
- キシュワード配下の千騎長。10年もの間キシュワードの靡下におり、大将軍不在時には大将軍府を預かるほど上官からの信頼が厚い。第二次アトロパテネ会戦で受けた刀痕が右のこめかみから頬にかけて残る。エクバターナでお忍び中のアルスラーンらの危機にかけつけるが、持ち前の機転と思慮深さで気づかぬふりをし、ダリューンから事後処理を任される。
モフタセブ
- [第2部]
- クバード配下の年輩の千騎長。クバードからの信頼も厚い。ペシャワールにて魔将軍イルテリシュの手にかかり、アルスラーン即位後、千騎長では初の戦死者となる。
パラザータ
- [第1部]
- パルスの騎士。ペシャワール城がトゥラーン軍の侵攻を受けた際に、大陸公路をエクバターナに向かって進軍中のアルスラーンへの急使として選ばれた。途中、酷使された馬が斃れてしまい、偶然通りかかったクバードから馬を借り受ける。
- [第2部]
- 大戦後にキシュワード配下の千騎長に昇進した。オクサス地方の変事に五百騎を率いて急行する。
ペラギウス
- [第1部]
- アンドラゴラス三世の下でのギラン総督。40歳の貫禄のある人物。ギランへ戦火が及ばないことをいいことに私腹を肥やしていたが、アルスラーンらによって不正を暴かれ、追放される。
フィルダス
- [第2部]
- 王墓管理官(ニザル・ハラーフル)を努める宰相ルーシャンの縁者。アンドラゴラス三世に絡んだ奇怪な事件に巻き込まれる。
バニパール
- [第2部]
- パルスの勇敢な騎士。トゥースより10歳ほど年長の戦友。ルシタニアとの戦いの中で、重症を追い故郷に戻るが死去。三人の娘がいるが揃ってトゥースの妻となった。
バッツァーニ
- [第2部]
- ザラーヴァント靡下の仕官で、エクバターナの様々な土木工事に従事し五百騎長の称号を持つ。元はバダフシャーン地方で銀山の坑夫頭をしていたが、アルスラーンの檄を受けてペシャワール城に馳せ参じる。
マーカーン
- [東方巡歴]
- 絹の国(セリカ)へ赴くパルス使節団の団長。パルスにも正式な家族があるが、絹の国にもまた別の家族を持つ。
バーヌ
- [東方巡歴]
- 絹の国(セリカ)へ赴くパルス使節団を守る護衛隊副隊長。隊長のダリューンよりも年長の騎士。
[編集] その他
タハミーネ
- [第1部]
- アンドラゴラス三世の王妃。36歳。年齢不詳の妖しい美貌を持ち、その美貌によって幾人もの男から求愛を受けた。元バダフシャーン公国(パルスとの戦いに敗れて滅亡)の公王カユーマルスの公妃。その前は同国の宰相の婚約者であったが、カユーマルスに奪われ、宰相は自殺した。パルスによるバダフシャーン併合後にアンドラゴラス三世が妃として迎える。ルシタニアによるエクバターナ占領時には、ルシタニアの国王イノケンティス七世より求愛を受ける。アンドラゴラス三世との間に子供がいる。
- [第2部]
- パルスの王太后。39歳。大戦後は王都エクバターナを離れ、故郷である旧バダフシャーン公国の首府ヘルマンドスで、公国の離宮であった館に王太后府を設けて隠棲中である。一貫してアルスラーンに対して冷ややかな態度を取っている。
ヘイルターシュ
- [第1部]
- ゾット族の族長。メルレインとアルフリードの父親。酒癖が悪く、何故かメルレインに辛く当たる事が多かった。剣の腕も相当であったとされるが、ヒルメス一行を襲った際に返り討ちにあう。
パトナ
- [第2部]
- パルスの騎士バニパールの長女で、トゥースの妻のひとり。18歳。
クーラ
- [第2部]
- パルスの騎士バニパールの次女で、トゥースの妻のひとり。17歳。ナルサスよりも絵がうまいとの評がある。
ユーリン
- [第2部]
- パルスの騎士バニパールの三女で、トゥースの妻のひとり。15歳。
レイラ
- [第2部]
- オクサス地方ハッラールの谷にあるアシ女神の神殿で、女神官見習いをしている背の高い若い娘。19歳。棒術の達人で領主の甥であるナーマルドとは因縁がある様子。孤児だが、王族または高位の貴族にのみ許される意匠の銀の腕輪を所有している。
ケルマイン
- [第2部]
- パルスの諸侯であるムンズィルの異母兄。母親違いだが容姿が弟のムンズィルに似ていたと言われる。故人。ムンズィルと遠乗りに出かけ、馬とともに谷に墜ちて死に、遺体は獅子に食われたとされる。
ナーマルド
- [第2部]
- ケルマインの息子でムンズィルにとっては甥にあたる。ザラーヴァントの従兄弟。
パリザード
- [第2部]
- パルス出身の背が高く豊満な美女。非常にしたたかで生活力がある。しばらくザンデとともに旅をしていた。ミスルでザンデが殺害されるとマルヤムにわたり、さらにエステルらと同行してパルスへ向かう。レイラと同じ銀の腕輪を所有する。
イグリーラス
- [第2部]
- ファランギースのかつての恋人で故人。黒い髪で褐色の瞳を持ち、背が高く立派な容姿をしていた。学業も優秀で、弁舌もさわやかで巧みであり神官としては優秀であった。しかし自尊心と出世欲が強く、出世できないのを身分制度のためとして、堕落してしまう。やがて冤罪に問われ、護送途中に逃亡を計るが、断崖から転落し死亡。弟がいる。
アイーシャ
- [第2部]
- ヘルマンドスの生まれで、タハミーネの侍女として王太后府に勤めていたが、ある事件で職を失い、イスファーンの世話とルーシャンの裁量によって王宮に勤める事になる。17歳。笑い出すと止まらない。女神官見習いとして修行を積んだ経験から、緑玉に魔除けの効果がある事を知っており、「蛇王の眷属」の正体を暴く役に立った。イスファーンいわく「よくころがる娘」。
(ギラン出身の)ルッハーム
- [第1部]
- グラーゼの腹心の部下。パルスには同名の将軍がいる。
- [第2部]
- グラーゼの部下の中で、重要事の使者や、グラーゼの代理として交渉役を任されることが多い。多言語に通じている。同名のルッハーム将軍が病死し、名を名乗る際に「ギラン出身の・・・」をつけなくて良くなったと喜んでいる。
ヨーファネス
- [第2部]
- グラーゼの部下でマルヤム人の母を持ち、一応グラーゼの親戚筋にあたる。12歳からグラーゼの弟分になる。商才はあまりないが、勇敢で前線での戦闘指揮には才能を示し、武勇にも優れる。
ハリム
- [第2部]
- エクバターナにある公衆浴場(ハンマーム)の腕の良い浴場世話係(ダッラーク)。蒸気風呂で行われていた法官らの会話を盗み聞きしてしまい、役人に追われることとなる。ちょうどお忍びで城下に出ていたアルスラーンに聖庇(アジール)を求め、その後ザラーヴァントの屋敷で保護されることとなる。
カトルネアス
- [第2部]
- ヘルマンドスにある王太后府の執事長。70歳近い白髪の老人で、旧バダフシャーン公国時代から館の管理をしている。タハミーネとは30年近い付き合いがある。
カーセム
- [第2部]
- ルージ・キルセの役人(ダールーゲ)で、宰相ルーシャンの遠い親戚らしい。王都での栄達を夢見ている。小人物だが悪人ではない。
告死天使(アズライール)
- [第1部]
- 万騎長キシュワードが飼っている鷹(シャヒーン)の名で、双刀と同じ程に有名と言われた。アルスラーンのペシャワール入城後には彼と行動を共にする。伝令役はもとより、ギスカールやシャガードの逃亡をいち早く防ぎ、ガーデーヴィの不埒な振る舞いにしたたかな報復を加えるなど、「翼ある勇者」としても名高い。告命天使(スルーシ)という兄弟がおり、エクバターナに潜入したキシュワードの部下が伝令役として連れていたが、ヒルメスによって殺害された。この2羽の兄弟を通じて、キシュワードとアルスラーンの2人には以前から交流があった。
- [第2部]
- アルスラーンの飼っている鷹(「暗黒神殿」では”鷹の形をしたアルスラーンの臣下”とある)。空飛ぶ使者として重用される。ペシャワールに魔軍が来襲し、撃退されたとの報をいち早く王都にもたらしたのも彼であった。
[編集] ザッハーク一党
暗灰色の衣の老人
- [第1部]
- 蛇王ザッハークの復活を願う魔道士。弟子からは「尊師」と呼ばれ敬われている。王都エクバターナの地下に潜み、パルスの歴史に様々な形で関与しているとされる謎の老人である。
- アンドラゴラス三世はもとより、オスロエス五世、更には「大王」ゴタルゼス二世とも「旧知」であると称する。作中で明言はされていないが、ゴタルゼス二世に「予言」を吹き込んだのも、おそらくはパルス王家の混乱・分裂を目論んだ彼の仕業と思われる。
- 弟子にグルガーン、グンディー、プーラード、アルザング、ビード、サンジェ、ガズダハムがいる。アルスラーン一党などに弟子が次々と討たれ、自らも第1部終了直前にルクナバードを持つアルスラーンによって討ち取られたため、第2部開始時にはグルガーン、グンディー、ガズダハム、ビードの4名のみとなる。
グルガーン
- [第1部]
- 魔道士。「尊師」の弟子の一人で筆頭的な存在。
- [第2部]
- 湖上祭を妨害し、騒動を起こそうとしたが、思いがけずファランギースと再会し激しく動揺する。ファランギースによって過去が明らかにされた。
- かつてはミスラ神の神殿で兄と共に神官見習として修行しており、兄はファランギースと恋仲であった。だが、尊敬する兄が神殿の不公正に絶望して挫折し、冤罪に問われた末に非業の死を遂げたことで神と人を呪い、蛇王の僕に転向した。
グンディー
- [第1部]
- 魔道士。「尊師」の弟子の一人。
- [第2部]
- エクバターナにて混乱を引き起こそうとするが、ダリューンに発見され捕縛される。
ガズダハム
- [第1部]
- 魔道士。「尊師」の弟子の一人。
- [第2部]
- ザッハークの眷族となった魔将軍イルテリシュを管理する。ジムサの吹き矢によって片目を失う。
アルザング
- [第1部]
- 魔道士。「尊師」の弟子の一人。地行術(ガーダック)を得意とし、地中から不意を襲ってルシタニアの将軍やパルスの村人を殺害するが、ナルサスによって討ち取られる。
サンジェ
- [第1部]
- 魔道士。「尊師」の弟子の一人。「尊師」よりバフマンが所有するヴァフリーズの密書を奪う命を受け、ペシャワールへ侵入するが、ナルサスの計略にはまって左腕を失う。後日再び現れた際には、右手を「毒手」(爪に毒を仕込み、ひっかいただけで相手を死に至らしめる)に改造していたが、ギーヴによって斬り落とされ、濠に落ちて溺死した。
プーラード
- [第1部]
- 魔道士。「尊師」の弟子の一人。アンドラゴラス三世率いるパルス軍との決戦を前に、野外に陣を張るギスカールを拉致しようとするが、夜襲をかけて本陣まで攻め込んできたイスファーンによって討ち取られる。
ビード
- [第1部]
- 魔道士。「尊師」の弟子の一人。
- [第2部]
- 有翼猿鬼を率いて王宮に侵入し、アルスラーンを襲撃するが、ギーヴの妙技により失敗。自身は庭先に潜んでいるところをファランギースに発見され、ダリューンに討ち取られる。
[編集] 伝説上の人物
- 英雄王カイ・ホスロー
- およそ300年前に「太陽のかけらを鍛えた」といわれる宝剣ルクナバードを用いて蛇王ザッハークを打ち倒し、新しい王朝を築いたパルス現王朝の開祖。「英雄王」の名で知られる。王位に付いたが家庭的には不遇で、息子が兄弟同士が王位継承権をめぐって争い、さらにその弟の方と王位をめぐって争った。遺体は武装したままで蛇王を封印したデマヴァント山にルクナバードとともに埋葬された。
- 彼は蛇王に対し挙兵するに当たり、料理人を味方につけ蛇王に喰われる運命の男たちを毎日1人ずつ助け、代わりに羊の脳を蛇王に差し出した。そして1年の後に365人の兵を率いて立ち、長い戦いの末に遂に蛇王を打倒した。この故事に習い、パルスでは羊の脳を食わぬようになったと言われる(当然ながら隣国シンドゥラにはこの禁忌は無く、アルスラーン一行は知らずに食べさせられて後でげんなりした事がある)。
- 蛇王(へびおう)ザッハーク
- 1000年もの間パルスを恐怖で支配した王。両肩から蛇が生え、その蛇は人間の脳を喰らい毎日健康な男性が身分の別無く殺された。カイ・ホスローも殺すことはできず、デマヴァント山の地下に封印されたと言われる。その名は現在にあっても全てのパルス人の恐怖の象徴であり、どれほどの剛勇や英知を誇る者も例外ではない。
- 聖賢王ジャムシード
- 1000年以上昔にパルスを統治していた、「聖賢王」の名で知られる王。公明正大な王であったとされるが、長い治世の末に人心が荒廃し、蛇王ザッハークによって倒される。その名は後代にあっても正義と英知の象徴とされ、裁判などの際の「ジャムシードの鏡を見よ」という言葉は、真実は必ず明らかにされる、との意味。なお、アルスラーンが即位して出生の秘密を公表した際、巷間にはアルスラーンはジャムシードの末裔であるとの伝説が流布した(無論根拠は全く無い)。
- 海賊王アハーバック
- ギランの街に伝わる財宝伝説の元となった海賊。彼の残した財宝は金貨(デーナール)に換算して1億枚とも言われる。
※英雄王カイ・ホスローのモデルはペルシア伝奇上の英雄フェリドゥーンで、名前の由来はホスロー一世か。ザッハーク(アジ・ダハーカ)、ジャムシードはそれぞれ同名の人物がモデルとなっている。詳しくはザッハークの項目を参照のこと。
[編集] ルシタニア
[編集] 主な王族
イノケンティス七世
- [第1部]
- 王位には就いているが無能で、現実の問題を処理する能力は何一つ持たない。困った事があると全て王弟であるギスカールに押し付け、自分は何もせず神に祈るだけである。政治にも軍事にも関心が無い。敬虔な信徒であるため教えを守って酒を飲まず砂糖水を飲む。タハミーネの美貌にほれ込み、信仰(異教徒との結婚はできない)と恋愛の板ばさみとなる。短剣で腹を刺されても致命傷とならないほどの肥満体。剣を振るった事など無く、馬にすら乗れぬ惰弱な王であったが、最期は狂信に突き動かされ、アンドラゴラス三世を羽交い絞めにしたまま塔より墜落死し、「地上で最も惰弱な王が最も剛毅な王を殺害する」という離れ業をやってのけた。名前の由来は第四回十字軍時の教皇インノケンティウス3世か。
ギスカール
- [第1部]
- イノケンティス七世の弟。公爵。政治、軍事、両方ともに卓越した手腕を持つ。ルシタニアの実質上の最高権力者。兄であるイノケンティス七世より常に厄介な相談事を持ちかけられ内心では腹立たしく思っており、いつかは王位につきたいとの野望を持っている。マルヤムを攻め落とし第一次アトロパテネ会戦でパルスに快勝した。その後パルスの王都エクバターナも攻略して一時的とはいえパルスへの遠征を成功へと導いた。しかし最終的には第二次アトロパテネ会戦で、アルスラーン率いるパルス軍に敗れてマルヤムへと落ち延びる。一代の梟雄であり、どちらかといえば悪党なのだが、イノケンティス七世、ボダンを始め、まわりの規格外の奇人怪人に振り回される、苦労性の常識人というイメージが強い。
- [第2部]
- 大戦後はパルスからマルヤムに落ち延び、ルシタニアには帰還しなかった。ボダンによって捕らえられ牢につながれる。協力者を得て牢から助け出され、マルヤムで勢力を誇るボダンを破り(マルヤムの)王位に就く。後年、彼の興した王朝は、彼の挙兵の地にちなんで「ケファルニス王朝」と呼ばれる事になる。捕らえたボダンの処刑については「お前(ボダン)をいたぶる快楽をパルス人に与えてなるものか」(本人談)と言い放った。
[編集] 主な聖職者
ジャン・ボダン
- [第1部]
- ルシタニア王国国教会の大司教。異端審問官(インクイシチア)。イアルダボート教の教えを広めるためには焚書、虐殺なども平気で行う狂信者。教会直属の武装集団である聖堂騎士団(テンペレシオンス)を配下に持つ。ギスカールの政敵であり狡猾な人物で、戦いに敗れても生き延びる不気味な存在。聖堂騎士団の団長であるヒルディゴの死後、王室(王弟ギスカール)と教会(ボダン)との対立が激化し、配下の聖堂騎士団を率い、ザーブル城に立てこもる。ザーブル城での敗北後にパルスからマルヤムに落ち延びる。
- [第2部]
- マルヤムを実質支配し、イアルダボード教の総大主教となる。一時的に神聖マルヤム教国の教皇と称した。しかし同じくパルスからマルヤムに落ち延びてきたルシタニアの王弟ギスカールと対立し、自らの失言によって形成が逆転し敗北する。マルヤム各地を転々と逃げ回ったあげくに捕らえられ処刑される。
ヒルディゴ
- [第1部]
- ジャン・ボダン配下の聖堂騎士団(テンペレシオンス)の騎士団長。赤黒い鬚を持つ男で強欲な人物。マルヤム駐屯時は、50万人もの男女を奴隷として売り飛ばした。ルシタニア王室に対抗する為にボダンによって、聖堂騎士団ともどもパルスへ招聘されたが、密室で同衾の美女と共に不可解な死を遂げる(実は魔導師の仕業)。
[編集] 主な将軍・貴族など
ボードワン
- [第1部]
- モンフェラートと並ぶギスカールの腹心の部下で、ルシタニアでは数少ない大軍を指揮できる将軍。ギスカールの切り札の一枚。ルシタニアの先発隊を率いてパルス軍と戦ったが、キシュワードによって討ち取られる。名前の由来は第四回十字軍参加のフランス諸侯フランドル伯ボードゥワンか。
モンフェラート
- [第1部]
- ルシタニアで最も高潔な騎士として知られる。ルシタニアでは数少ない大軍を指揮できる有能な将軍であり、ボードワンと並んでギスカールの腹心の将軍。ルシタニア人ではあったが、神の名の元に異教徒を殺戮・略奪することには懐疑的。聖堂騎士団に属していた弟を銀仮面卿によって斬殺される。ギーヴによって討ち取られる。
バラカード
- [第1部]
- ルシタニアの将軍でボードワンの副将格。トゥースの鉄鎖に顔面を砕かれ戦死する。
ファン・カリエロ
- [第1部]
- ルシタニアの将軍。男爵。モンフェラートの腹心。
ゼリコ
- [第1部]
- ルシタニアの将軍で子爵。国王殺害未遂犯となっていたイリーナ姫を救出した銀仮面卿(ヒルメス)が王都を離れる際、その追撃部隊の指揮官に任命されるが、ザーブル城向かう途中で待ち伏せしていたサームらパルス軍によって討ち取られる。
ルトルド
- [第1部]
- ルシタニア屈指の大貴族で侯爵。狂信的な言動をもてあましたギスカールに実質的に追放され、ダイラム地方に私兵三百騎を持って侵攻する。
- [第2部]
- ルージ・キルセ(紅い僧院)の街の囚人。パルス語が話せないために身元不明のルシタニア人として牢に収監されていた。
バルカシオン
- [第1部]
- ルシタニアの将軍で伯爵。60歳に近い老人。一人の人間としては尊敬に値する人物(ギスカール談)。聖マヌエル城の守備を任されるが、元々はルシタニア国立図書館の館長で、武将というよりは文官に向いていた。エステルの祖父とは旧知であり、彼女の後見役を引き受ける。突然の遭遇戦の際に判断が遅れ、聖マヌエル城へのパルス軍の侵入を許してしまう。落城の際、塔から飛び降りて自殺する。
クレマンス
- [第1部]
- ルシタニアの将軍。赤ひげの偉丈夫。まじめで信心深く、同じイアルダボート教徒に対しては親切で公正で気前が良く「正義の人クレマンス」と呼ばれたが、異教徒には徹底して残忍。チャスーム城の守備を任され、一時はパルス軍に対して攻勢に出る。しかし、ナルサスの詭計に嵌り、ダリューンによって討ち取られた。
プレージアン
- [第1部]
- ルシタニアの将軍。伯爵。サルハード平原の戦いで右翼の増援部隊の指揮を任される。猪突猛進な戦い振りで、一時はパルス軍を押し返すが、突如現れたアルスラーン率いるパルス軍によって逆撃にあい、ダリューンによって討ち取られる。
ペデラウス
- [第1部]
- ルシタニアの有力な将軍で騎士団長。伯爵。味方に対しても残虐な性格で、異教徒に対しては残酷さを自慢するほど。エクバターナにて怪死する(魔道師の仕業)。ボダンは報復に異教徒1万人を火刑にせよと主張し、占領政策に腐心するギスカールと対立する。
ルトルド
- [第1部]
- ルシタニアの貴族。侯爵。乗馬に黄金の鎖甲を着せ、自らも宝石や装飾品が多数付いた軍装をしていた。イスファーンによって自慢の甲ごと槍で突かれ戦死。ダイラム地方に侵攻したルトルド侯爵とは同名の別人か?
オルガス
- [第1部]
- ルシタニアの宮廷書記官。ギスカールの元で実務の処理にあたる。第二次アトロパテネ会戦にてダリューンによって捕らえられ、ギスカール捕縛の原因となる。
[編集] 主な騎士など
エステル・デ・ラ・ファーノ(エトワール)
- [第1部]
- アルスラーンと同年齢の少女。14歳。男装してエトワールと名乗り、騎士見習としてバルカシオン伯の下に従軍する。熱心なイアルダボート信者である。唯一アルスラーンに対等に接するキャラである。他のルシタニア人と同じように、異教徒であるパルスの人間に対しては憎悪を抱いてもいたが、アルスラーンと行動を共にするようになって考えを改めるようになる。
- [第2部]
- 大戦後、帰郷して女騎士(セノーラ)の叙勲を受ける。17歳。ギスカールにルシタニアに戻ってもらうようにマルヤムまで直訴しに行くが、逆にギスカールの罠にはまって、パルス経由でルシタニアに戻ることになる。赤い僧院(ルージ・キリセ)の町でルトルド公爵を連れて帰ろうと言い出すが、彼の暴走によって脚に重傷を負う。
- 紆余曲折を経てアルスラーンとの再会を果たすが、傷が悪化して瀕死の状態にあり、ドン・リカルドらの今後をアルスラーンにゆだね、彼に看取られながら短い一生を終えた。死亡時には19歳。
オラベリア
- [第1部]
- ルシタニアの騎士。ギスカールの指示で銀仮面卿を追跡してデマヴァント山へ向かったが、地震に巻き込まれてドン・リカルドら同行者を悉く失う。
- [第2部]
- マルヤム国王ギスカールの下で大臣に匹敵する信任を受けている。使者としてミスルへ向かい、パリザードを拾う。イラクリオンにてルシタニア本国からの陳情団に帯同していた、旧友ドン・リカルドに再会する。
ブラマンテ
- [第1部]
- ルシタニアの騎士。第二次アトロパテネ会戦でメルレインに討たれる。
オルガノ
- [第1部]
- ルシタニアの高名な騎士。クバードの剛槍で討ち取られる。
ジャコモ
- [第1部]
- ルシタニアの高名な騎士オルガノの弟。クバードの剛槍で討ち取られる。
モンテセッコ
- [第1部]
- ルシタニアの騎士。第二次アトロパテネ会戦でジムサに討たれる。
ゴンザガ
- [第1部]
- ルシタニアの貴族。男爵。
フォーラ
- [第1部]
- ルシタニアの騎士。ゴンザガ男爵の弟。
デ・モーラ
- [第2部]
- ルシタニアの老騎士。マルヤム国王となったギスカールへの陳情団の団長。エステルの祖父の友人。道中に病に倒れ死去。
[編集] その他
ベラスコ
- [第2部]
- デ・モーラの死後に、マルヤム国王となったギスカールへの陳情団の団長になった。
[編集] シンドゥラ
[編集] 主な王族
ラジェンドラ二世
- [第1部]
- シンドゥラ国王カリカーラの庶子で、異母兄ガーデーヴィと王位をめぐり争っていた王子。25歳。その後本人曰く「ほんのちょっと」だけ(実際は9割以上)アルスラーン率いるパルス軍に手助けしてもらい王位に就く。難事においては躊躇無く厚かましい態度でアルスラーンへ泣きつくくせに、都合が悪くなると裏切ることもいとわない利己主義者。ただ、その策謀がことごとくナルサスに見抜かれていたので大事に至らずにすんでいる。それでいてアルスラーンの事を「我が心の友」と呼ぶ厚顔ぶりのため、パルス陣営ではアルスラーン以外に彼に好意的な人物はいない。が、害意を抱かせるほど極端に憎まれているわけでもない。
- [第2部]
- 大陸公路周辺諸国の中で、もっとも手のひらを返すことに長けているといわれる抜け目のない国王(ラージャ)。28歳。国王としては水準以上の名君で、軍事・内政・外政にも相応の有能さを兼ねており、ナルサスも認めているほど。民政にも心を配っており、陽気で気さくな人為から、家臣民衆の支持も高い。弱い民衆に対しては決して騙したり裏切ったりしておらず、悪評高い抜け目無さについても、実は彼なりの信念がある様子。むろん内政面での名君ぶりは他国者としては知った事ではなく、相変わらずパルスの武将には人望が無く、借金を返さずさらに借金を申し込む人のことを「ラジェンドラ三世」と呼びはじめる武将もいる。
ガーデーヴィ
- [第1部]
- シンドゥラの王子。ラジェンドラより1ヶ月年長の異母兄であり、政敵でもある。かつてはマヘーンドラの娘サリーマをめぐる恋敵でもあった。貴族育ちの為世間知らずで、目下のものへの心配りができない為、民衆には人気が無いが、各地の領主や諸侯からの支持がある。ラジェンドラに言わせれば、正妻の子であり長男でもある彼が王太子として正式に立てられなかったのは、ガーデーヴィがラジェンドラよりはるかに見劣りするからだという(事実、父王もそれに類する事を述べている)。槍術(投槍)を得意とし、バフマンとマヘーンドラを死に至らしめた。
カリカーラ二世
- [第1部]
- シンドゥラ国王。まだ52歳だったが、あやしげな強精剤を大量摂取した結果、突然倒れて昏睡状態に陥ってしまった。彼が王太子を冊立しないうちに倒れた事が、ラジェンドラとガーデーヴィの争いの一因となっている。二人の争いのさなかに目を覚まし、公正な態度で争いを収め、ガーデーヴィの今後を憂いながら没した。
[編集] 主な将軍など
マヘーンドラ
- [第1部]
- シンドゥラの世襲宰相(ペーシュワー)。国政では安定した業績をあげている。三角形の黒いあごひげが特徴的な中年。娘サリーマをガーデーヴィに嫁がせており、ガーデーヴィ派の重鎮である。
プラダーラタ
- [第1部]
- シンドゥラのガーデーヴィ派の将軍。偃月刀を操る屈強の戦士。カーヴァリー河を越えたアルスラーン・ラジェンドラ連合軍を迎え撃つが、ダリューンによって討ち取られる。
ゴーヴィン
- [第1部]
- シンドゥラのガーデーヴィ派の将軍。グジャラート城の城司。ラジェンドラ派と連合を組んだパルス軍に夜襲をしかけるが、ナルサスの奇計に嵌り失敗する。ダリューンの投槍によって討ち取られる。
ターラ
- [第1部]
- シンドゥラのガーデーヴィ派の将軍。グジャラート城の副城司。ラジェンドラ派と連合を組んだパルス軍に夜襲をしかけるが、ナルサスの奇計に嵌り失敗する。ファランギースに討ち取られる。
プラケーシン
- [第1部]
- シンドゥラのガーデーヴィ派の将軍。グジャラート城の副城司。巨体を持ち大刀をふるう。ダリューンによって倒される。
ダラバーダ
- [第1部]
- シンドゥラのガーデーヴィ派の将軍。カーヴェリー河を越えてパルスに侵入するが、キシュワードによって一刀の元に敗死する。
クンタヴァー
- [第1部]
- シンドゥラのラジェンドラ派の将軍。神前決闘の判決に異を唱え、逃亡したガーデーヴィの隠れた先の密告を受け、彼を捕える。シンドゥラ王位継承戦役終了後、シンドゥラのパルス軍への援軍の指揮官となる。ラジェンドラの計略によってパルス軍に混乱をもたらすはずが、ナルサスに見抜かれ討たれる。
プラージヤ
- [第2部]
- シンドゥラの将軍で、王宮警備隊長を務める。ミスルの使者として来訪し、ラジェンドラ二世の説得に失敗すると彼を害そうとした「右頬に傷のある男(シャガード)」を取り逃がす。国王殺害未遂犯を取り逃すという重大な過失にも関わらず、ラジェンドラ二世は彼に罰金を課したのみで、王者の寛大さを見せた。
アラヴァリ
- [第2部]
- シンドゥラの将軍。国内を掠奪する正体不明の仮面兵団討伐の軍を率いるが、ほぼ一撃で粉砕され敗走する。
パルー
- [第2部]
- チャンパの城司を務める文官の老人。侵入した賊によって城壁より突き落とされ死亡。
パルバーニ
- [第2部]
- シンドゥラの将軍。コートカプラ城の城司。侵入してきたチュルクとの戦いで戦死。
ナワダ
- [第2部]
- シンドゥラの将軍。コートカプラ城の副城司。チュルクの将軍シングと壮絶な一騎討ちの末に戦死する。
ナタプール
- [第2部]
- シンドゥラの大臣。
アサンガ
- [第2部]
- シンドゥラの宮廷書記官。小肥りの若い男で、宮廷に仕えて間もなく、ラジェンドラの性格をあまり知悉していない。
[編集] その他
バハードゥル
- [第1部]
- 神前決闘(アディカラーニャ)でガーデーヴィの代理戦士として指名された男。身長2ガズ(2m)を超える巨漢で、知性の欠片も見られない、まさに野獣である。ラジェンドラによれば「鮫と同じ」で痛みを感じるという事がなく、死ぬまで戦うという。あまりの凶暴性ゆえか鎖につながれていたらしいが、ラジェンドラの代理戦士となったダリューンに対抗すべくガーデーヴィによって解放された。激闘の末、ダリューンに討ち取られる。
サリーマ
- [第1部]
- シンドゥラの世襲宰相マヘーンドラの娘で、「ラクシュミー女神の落し子」と呼ばれるほどの美姫。ガーデーヴィ王子の妻となる。
[編集] マルヤム
[編集] 主な王族
イリーナ
- [第1部]
- マルヤムの内親王。国王ニコラオス四世と王妃エレノアの娘で、姉ミリッツァがいる。白く秀麗な顔立ちで、黄銅色の髪をしている。眼病によって視力を失っている。パルスを脱出した後マルヤムに滞在していたヒルメスと幼い頃に交流し、互いに好意を抱く。ルシタニアのマルヤム侵攻で両親と姉を失い、マルヤム王家唯一の生き残りとしてパルスに逃れ、紆余曲折を経てヒルメスと再会する。
- [第2部]
- ヒルメスと共にチュルクに滞在し幸せな生活を送るが、病を得て妊娠中の子とともに病死する。
ミリッツァ
- [第1部]
- マルヤムの内親王。国王ニコラオス四世と王妃エレノアの長女。ルシタニア軍襲来時に、妹にイリーナとともにダルバンド内海の西北岸にあるアクレイヤ城に逃げ込む。二年の間籠城を続けるが、内通者によって落城し、イリーナを脱出させた後に塔から身を投げる
[編集] 主な貴族・騎士
コリエンテ
- [第2部]
- ルシタニアの支配下になったマルヤムの貴族。伯爵(後に侯爵)。ボダン派であったが、ザカリヤ野の戦いの最中配下の軍二千を率いてギスカール派に寝返る。ギスカールがマルヤムの政権を握りケファルニス朝を開くと、トライカラ侯爵と勢力を二分するほどの権力を持つに至る。
ランチェロ
- [第2部]
- 伯爵家出身の騎士。長男であったが母親の身分が低かったため、家督は弟が継いだ。立身出世のためにトライカラの城塞に幽閉されたギスカールの救出を試みる。
ウェスカ
- [第2部]
- 騎士。能弁で才覚がある。ランチェロと共謀し、トライカラの城塞に幽閉されたギスカールの救出を企てる一味に加わっていた。
アリカンテ
- [第2部]
- ルシタニアの支配下になったマルヤムの貴族で伯爵。ボダン派に組し、トライカラの城守を務める凡庸な男。ギスカールを逃亡させてしまい、ボダンの怒りを恐れてウソの報告をするが、のちに露見しこの責を問われボダンによって処刑される。
カステロ
- [第2部]
- アリカンテ伯爵の甥。跡継ぎがないアリカンテ伯爵家の相続権を持っていたが、伯爵家に男児が生まれたため相続権を取り消された。ランチェロと同じように立身出世を狙いギスカールの脱獄を助ける。ギスカールがマルヤムの政権を握りケファルニス朝を開くとトライカラ侯爵として権勢を振るう。
[編集] その他
ジョヴァンナ
- [第1部]
- マルヤム王宮の女官長。頭髪は白いが、肌にはつやがあり、姿勢も正しい。気力や知恵も十分にありしたたかな60歳くらいの女性。内親王イリーナとともに、舟でダルバンド内海を使いマルヤムからパルスへ脱出する。
[編集] ミスル
[編集] 主な王族
ホサイン三世
- [第2部]
- ミスルの国王。39歳。禿げ上がった頭と肥満体で風采は上がらないが、国王としての手腕は水準以上。周辺諸国の列強が争っている間にも出征せず、ひたすら内政に集中し国力を温存していた(ただしヒルメスの見る所では、これといった善政はしていない)が、自国の奴隷制度を守るために政治姿勢を変えざるを得なくなる。奴隷解放を宣言したパルスへの外征を開始するが撃退され、宿将カラマンデスを失う。その後、パルスから来た「右頬に傷のある男」に扇動され、パルスを手中にすべく陰謀を巡らせるが、暴発され横死。
サーリフ
- [第2部]
- ミスルの王子で、ホサイン三世の急死後に、8歳でミスル国王に擁立される。母親は平民出身で後ろ盾がなく、しかも病弱な為、後宮の片隅で母子でひっそりと暮らしていた。
[編集] 主な将軍など
マシニッサ
- [第2部]
- ミスルの将軍。28歳。髪も瞳も口髭も黒々としており、肌は赤銅色に焼けた長身の人物。ミスル随一の勇名を馳せる程、戦場では有能で、駱駝と馬との高低差で若干有利ではあったものの、大陸公路最強の誉れ高いパルスのダリューンと三十合に渡って戦いつづけた。ただし大局的な視点に欠けるため、ホサイン三世からの信頼を得るに至っていない。性格は強欲で猜疑心と嫉妬心が強く人望が無い。ミスルの陰謀を知ったザンデを騙し討ち同然に殺害したため、後に宮廷で起きた事件に乗じた「客将軍(アミーン)」クシャーフル(本物のヒルメス)によって「国王殺害の共犯者」に仕立て上げられ殺される。
カラマンデス
- [第2部]
- ミスルの先王以来から数々の武勲をあげている宿将。髪も鬚も灰色がかった老将。ミスル軍を率いてディジレ河を越えてパルスへと侵攻する。ダリューンとの一騎討ちで討ち取られる。
グーリイ
- [第2部]
- ミスルの宮廷書記官長。痩せた男で水気が無い容貌から陰では「歩くミイラ」とも呼ばれている。宮廷の歴史や諸事に通じており、クシャーフルの称号である「客将軍(アミーン)」は彼が故事に基づいて提案したもの。ホサイン三世の急死後は摂政として国政を取り仕切ることとなる。
(ギランの)シャガード
- [第1部]
- パルス人。ナルサスの旧友で、アルスラーンに従うことを決めた後はエラムを彼に預けようと考えていた。かつては共に奴隷解放の理想を語り合った仲であったが、いつしか偏向して奴隷制度を肯定するようになり、更に海賊と謀ってギランを劫略しようとする。しかしナルサスの計略にはまり失敗。逃亡を図るが告死天使(アズライール)の爪にえぐられて右頬を負傷し捕らえられる。アルスラーンが彼に下した判決は、1年間、奴隷(ゴラーム)として実際に惨めな生活を体験させることであった。
- [第2部]
- 右頬に傷のある男。ナルサスへの復讐に燃え、素性を隠した上でミスル国王を語らってパルス侵攻を企てるが失敗。次いでシンドゥラへ赴き、ラジェンドラ二世に反パルス同盟を呼びかけるが拒絶される。その後、ホサイン三世の企みに荷担し、ヒルメスの偽者「黄金仮面」となってパルス侵略の旗印となるが、その際に顔を焼かれたことでホサイン三世を恨んでいる。
クシャーフル
- [第2部]
- 「客将軍(アミーン)」の称号を持つパルス人で、ミスル国内の亡命パルス人部隊を率いる。正体はパルスの王子ヒルメス。クシャーフルの名は、英雄王カイ・ホスローの子でありながら王位につけなかった王子に由来する。ミスルの客将として、アシュリアル地方の盗賊退治などの任務をこなし、ホサイン三世からの信頼を得る。引退を申し出ていた南方軍都督カラベクの後釜として就任する予定であったが、ホサイン三世の急死後は事実上ミスル軍の最高責任者となる。
クオレイン
- [第2部]
- アクミームに住むパルス人。パルスのフゼスターン地方の貴族出身だが、アルスラーンによるパルスの奴隷解放によって財産を失いミスルに渡った。ミスル国内の反アルスラーン派パルス人の3人の有力者の一人。元貴族という身分こだわるだけの尊大な男で、「客将軍(アミーン)」クシャーフル(本物のヒルメス)の指揮下に入ることを拒否したため、彼に一刀のもとに斬殺される。パルス国内にいる反アルスラーン派とも連絡を取っていたとされる。
カラベク
- [第2部]
- ホサイン三世の時代の南方軍都督(キャランタル)。老齢の為、引退を願い出る。息子が3人いる。
ザイード
- [第2部]
- クシャーフル(ヒルメス)隷下のパルス人部隊の大隊長。
ラッザーク
- [第2部]
- クシャーフル(ヒルメス)隷下のパルス人部隊の大隊長。
フラマンタス
- [第2部]
- クシャーフル(ヒルメス)隷下のパルス人部隊の大隊長。大きな声を持ち、パルス人には珍しくミスル語に長ける。
セビュック
- [第2部]
- クシャーフル(ヒルメス)隷下のパルス人部隊の大隊長。
アドリス
- [第2部]
- クシャーフル(ヒルメス)隷下のパルス人部隊の大隊長。
[編集] その他
ラヴァン
- [第2部]
- パルス出身の商人。口が達者で抜け目が無い。ヒルメスに雇われて情報収集を行ない、多くの重要な情報を彼にもたらす。
フィトナ
- [第2部]
- ナバタイ東王国からミスル国王へ献上された若く美しい娘。「孔雀姫(ターヴース)」の称号で呼ばれる。パルス人。レイラ、パリザードと同じ銀の腕輪を所有する。クシャーフル(ヒルメス)とともにミスルを手に入れるべくホサイン三世を誘惑し策動する。
ヌンガノ
ギルハーネ
- [第2部]
- サーリフ王子の生母。サーリフ王子の即位に伴い王太后となる。
[編集] チュルク
[編集] 主な王族
カルハナ
- [第2部]
- チュルクの国王。元々はチュルクの宰相であったが、王族の娘を娶り副王を経て即位した。ずば抜けた長身の人物。有能ではあるが陰険で猜疑心が深く、部下には能力よりも忠誠心を要求する性質。亡命中のヒルメスを使ってパルス侵攻を企図するが失敗し、精鋭の軍団を失ったうえヒルメスには逃げられてしまう。自らは天険の要害である王都にあって動かないことから、『チュルクの穴熊』と渾名を付けられる。
カドフィセス
- [第2部]
- カルハナの従弟。近親者を王位を脅かす者とみなすカルハナによって警戒され、居心地の悪い思いをさせられていた。カルハナから長女の婿に指名されるが、同時に単身で敗軍と合流しパルス軍を撃退するという無理難題を押し付けられ事実上チュルクを追放される。その後パルス軍に捕らえられ、汚い(?)拷問にかけられた挙句シンドゥラ国王に引き渡される。現在シンドゥラ国内に軟禁中。
[編集] 主な将軍など
ゴラーブ
- [第2部]
- パルス・チュルク・シンドゥラの三カ国の国境にある鉄門(カラ・テギン)から、パルスに侵攻して来たチュルク軍を率いる高名な将軍。パルス軍の捕虜となった。ギーヴらによってチュルクへと送還されるが…。
シング
- [第2部]
- チュルクの将軍。ザラフリク峠に布陣したチュルク軍の主将。パルス軍に敗れシンドゥラ領内へと落ち延びる。コートカプラ城を一時占拠するが、パルス軍によって再び敗北する。助命されチュルクへの帰途へついた。チュルク帰国後に汚名返上の機会としてパルス国境付近の偵察の命を与えられ、妹婿のザッハルらとともにパルス領内へ侵入する。偵察を目撃したエステル一行を抹殺しようとするが、ドン・リカルドによって返り討ちにあう。
デオ
- [第2部]
- チュルクの将軍。ザラフリク峠の戦いに参加する。パルス軍に敗れシンドゥラ領内へと落ち延びる。
ドラーニー
- [第2部]
- チュルクの将軍。ザラフリク峠の戦いで、パルス軍を罵倒した結果、ファランギースの弓の神技によって射殺される。
シカンダル
- [第2部]
- チュルクの将軍。ザラフリク峠の戦いに参加する。ダリューンによって討たれる。
プラヤーグ
- [第2部]
- チュルクの将軍。チュルク屈指の勇将。ザラフリク峠の戦いに参加する。
イパム
- [第2部]
- チュルクの将軍。軍監(ターリキー)の一員として仮面兵団と行動を共にする。シングの妹婿。上には卑屈で下には尊大な小人物。パルス軍に敗れシンドゥラに落ち延びたチュルク軍との合流を主張する。激昂したブルハーンによって斬殺される。
ザッハル
- [第2部]
- チュルクの騎士。シングの妹婿で、シングらと共にパルス国境付近の偵察の任務を受けパルス領内へと潜入する。目撃者抹殺の為にエステル一行を襲撃するが、ドン・リカルドによって討ち取られる。
[編集] トゥラーン
[編集] 主な王族
トクトミシュ
- [第1部]
- トゥラーンの国王(カガーン)。激烈な権力闘争の後に即位した。略奪が産業であるトゥラーンにあって、国民と臣下の忠誠と支持を得る為にパルスに侵攻する。パルスでのペシャワール攻城戦に敗戦し、イルテリシュに叛かれて殺される。
イルテリシュ
- [第1部]
- トゥラーンでは親王(ジノン)と呼ばれる。ダリューンに斬り倒されたという先王の王弟の子。パルス軍からは「狂戦士」ともよばれる。ナルサスの計略に陥り、パルス軍に敗北して弱気になっていた国王トクトミシュを殺害し、一時的に王位を得る。その後、パルス軍に再度戦いを挑むが敗北し、単身彷徨っているところをグルガーンらに捕らえられる。
- [第2部]
- 暗灰色の衣の魔道師達によって、蛇王ザッハークの眷属となった。ペシャワールを魔軍を率いて攻めるがクバードらによって撃退される。この戦いで魔将軍(ガウマータン)といわれるようになる。ペシャワール攻防戦のあと、ザッハークの呪いから解放される(目覚めた?)が、パルスへの憎悪で魔道師たちと連合する。
[編集] 主な将軍など
カルルック
- [第1部]
- トゥラーンの有力な将軍。他国に使者として赴くなど、外交の事情に詳しく、トゥラーンにあって貴重な知略の将。槍の名手。ペシャワールの戦いでクバードが「ときには武勲を立ててでかい面をする為の犠牲となって」討ち取られる。
タルハーン
- [第1部]
- トゥラーン随一の猛将として知られる。35歳。筋骨たくましい巨漢で顔の下半分が赤黒い髭に覆われている。ペシャワール攻城戦におけるパルス軍との戦いに際し、国王トクトミシュを戦場から逃がす為に、ダリューンとの壮絶な一騎討ちを演じ、戦死する。
ボイラ
- [第1部]
- トゥラーンの将軍。勇将として知られる。キシュワードとの対決は一度は互角に渡り合い引き分けるが、再戦した時は敗れ戦死する。
ディザブロス
- [第1部]
- トゥラーンの将軍。ペシャワールの戦いでイスファーンに馬上から斬って落とされる。
バシュミル
- [第1部]
- トゥラーンの有力な将軍。
ブルハーン
- [第2部]
- トゥラーンの将軍であったジムサの弟。仮面兵団の兵士であったが、仮面兵団壊滅後もヒルメスに従い側近となる。ザンデに代わってヒルメスに仕える忠臣となる。ヒルメスはその忠誠心を高く買ってはいるものの、若年であり能力的にはまだまだ不足しているとして、これからの成長に期待している。
ドルグ
- [第2部]
- 仮面兵団の一員で、中級指揮官の一人であったが、コートカプラ城で戦死。
クトルミシュ
- [第2部]
- 仮面兵団の一員。初老の戦士。コートカプラ城の戦いでヒルメスとダリューンの一騎討ちを邪魔してしまい、ヒルメスによって討たれる。ヒルメスは思いがけず自らの行為に衝撃を受け、敵に背を見せて逃げ出すという予想外の行動に出る。
バラク
- [第2部]
- 仮面兵団の一員であったが、仮面兵団壊滅後もヒルメスに従う。
アトゥカ
- [第2部]
- 仮面兵団の一員であったが、仮面兵団壊滅後もヒルメスに従う。
[編集] バダフシャーン
- カユーマルス
- バダフシャーン公国最後の公王。パルスの王弟である大将軍アンドラゴラスに率いられたパルス軍によって首府ヘルマンドスが陥落した際に、塔から身を投げ自殺する。
[編集] 絹の国(セリカ)
藍妃(ランフー)
銅虎将軍(ドウコ)
- [東方巡歴]
- 絹の国の将軍で黒い軍装をした鴉軍を率いる。年齢は30代中ばで、顔は赤銅色に灼け、太い眉と雷光に満ちた両眼を持ち、左頬には白く刀痕が浮き出ている。甲冑の色と同じ見事な黒鬚を持つ。若かりしダリューンが戦わずして敗北を認めた相手。
星涼(シンリァン)
- [東方巡歴]
- 絹の国の公主。美しい女性で黒真珠のような瞳を持ち、名工が彫り上げたような秀麗な鼻と口をしている。娘子軍と呼ばれる女性だけの部隊によって護衛されている。ダリューンに会ったとき、影武者と入れ替わって「花冠将軍」と名乗っていた。
江南的四虎(チャンナン・タ・スーフー)
[編集] ファルハール
ムルク
- [東方巡歴]
- パルス使節団の通訳兼案内役。抜け目のない性格。年齢不詳(本人曰く「永遠の18歳」)の人物で鞠のような体格だが、体がたるんでいるわけではない。ファルハール語、パルス語、絹の国(セリカ)語に加えて、トゥラーン語、チュルク語、シンドゥラ語、ミスル語に長ける。金や銀よりも真珠を好み、内陸の塩湖で真珠貝の養殖を行う事が夢で資金集めをしている。
[編集] 主な国家
- パルス
- 物語の主な舞台である王国。大陸公路(現実世界のシルクロードにあたる)の中心に位置する国家。王都エクバターナは陸上交通の要衝で、その人口は公称100万という。東西を結ぶ大陸公路や南方の港町ギランに代表される港湾都市からの物資が集まり繁栄を謳歌している。現在の王朝は英雄王カイ・ホスロー以来300年余の歴史を誇り、第1部開始時点で第18代国王アンドラゴラス三世の統治下にある。大陸公路の要衝かつ豊かな国であることから諸外国より侵略を受けることが多いが、それを跳ね除けてきた強兵の国でもある。また、アンドラゴラス三世によって隣接するバダフシャーン公国を併合しさらに強国となっている。現実世界のゾロアスター教に相当する宗教が広く信仰されている(ただし、実際のゾロアスター教のような善悪二元論的な教義は見られず、より穏健な多神教であると思われる)。モデルはササン朝ペルシアのパルティア・安息国がモデルと思われる。著者曰く名前の由来はパールサ(ペルシア王朝勃興の地)が訛らせたもの。パルス語は大陸公路での公用語としての役割も果たしており、他国の人間ともこれを用いることで、ほとんどの場合、意思の疎通は可能である(中期イラン諸語のひとつであるソグド語がモデルと思われる)。その為、パルス人は外国語を覚えようとしないという弊害もある。
- ルシタニア
- パルスより北西の王国。貧しい国で豊かな土地を求めて遠征を行った。最初は同じ宗教であるイアルダボード教を信じる国ながら教義の異なるマルヤム(穏健な東方教会派)を攻め落とし、その後パルスに侵攻した。ルシタニアでは強硬派の西方教会が主流であり、一神教イアルダボート教以外の宗教を一切認めようとしない。用水路(カレーズ)への無理解などからモデルはおそらくレコンキスタ頃のイベリア半島とキリスト教で、国名のモデルもポルトガルの古名であるルシタニアと思われる。遠征の失敗によって主だった指導者を失い現在では荒廃し無政府状態になっている。またパルス遠征は言うまでもなく十字軍がモチーフ。特に第4回十字軍が東ローマ帝国の首都コンスタンティノポリスを占領した事情に酷似している。例えば当時のパルスはアンドラゴラス三世が兄のオスロエス五世から王位を簒奪したのではないかとささやかれ、そのオスロエス五世の息子であるヒルメスが正当の王位を回復するためにルシタニアに協力を依頼するというものだが、史実でも当時の東ローマ帝国は皇帝アレクシオス三世が兄イサキオス二世から帝位を簒奪しており、イサキオス二世の息子であるアレクシオスが正当の帝位を回復するために十字軍に協力を依頼している。
- シンドゥラ
- パルスの南東に位置する王国で、カーヴェリー河がパルスとの国境となっている。北方でチュルク、東方ではモン族やシャン族と対峙している。王都はウライユール。夏の暑熱は厳しいが冬は過ごしやすい。虎や象が生息し、戦象部隊は周辺諸国からも脅威とされている。建国王はクロートゥンガ。歴史的に隣国パルスとは仲が悪く、建国後250年ほどしか経過していないにも関わらずパルスの暦年より1年多く暦を数えている程である(第1部開始時点でパルス暦320年、シンドゥラ暦321年)。ターバンを着用する者が多く見られる事から、国教のモデルはヒンドゥー教ではなくシク教と思われる。モデルはインド。国名はインドの古名「シンド」から。
- マルヤム
- パルスの北西に位置する王国。古い伝統を持つ国であり、ルシタニアと同じイアルダボート教だが、穏健派の東方教会派が多数派を占める。王都はイラクリオン。穏健な政治でパルスとも交易していたが、同じイアルダボード教の国であるが、強硬派の西方教会に属するルシタニアによって滅ぼされる。その後パルスを追われた大司教ボダンが一旦は政権を握るが、同じくパルスを追われたギスカールと覇権をめぐって争う。ギスカールが勝利し新王朝であるケファルニス朝をひらく。ルシタニアよりはマシであるらしいが、大して豊かな国ではない。モデルは東ローマ帝国と思われるが、実際の東ローマ帝国は西ヨーロッパがうらやむほどの栄華を残しており、作中のマルヤムほど貧しくは無い(史実の東ローマ帝国の富の原泉である絹が、この世界では東方の絹の国(セリカ)の特産になっているという事情によると思われる)。
- ミスル
- パルスの西方に位置する王国。王都はアクミーム。国土の大半が砂漠で夏は猛暑となる。ディジレ河の沿岸は肥沃な穀倉地帯であり、灌漑の為の水車が並ぶ。砂漠での戦いで勇名を馳せる駱駝部隊と戦車隊を持つ。南で国境を接するナバタイとの交易もおこなわれている。モデルはエジプト(ミスルとはアラビア語でエジプトのこと差す)で、作者自身によると「中世のエジプトがモデル」。現実世界のナイル川に相当するディジレ河がパルスとの国境を隔てている(この世界にはアラビア半島に当る部分が存在しない)。先年パルスに大軍をもって侵攻したが、エクバターナの城壁に拠って撃退されたらしい(ヴァフリーズの言より)。
- チュルク
- パルスの東方に位置する王国。北にトゥラーン、南にシンドゥラと国境を接する内陸の山岳国家。元々チュルク人はトゥラーン人と同じ民族であったと言われている。王都ヘラートは難攻不落の城塞都市として知られる。鳥葬の風習がある。文庫版八巻『仮面兵団』後書きによると「中央アジア山岳地帯の諸国家がモデル」であり、特定の国がモデルと言うわけではないが、国名及び民族名は中央アジアを中心に住むテュルク民族が語源と思われる。
- トゥラーン
- パルスの北東に位置する遊牧騎馬民族の王国。西にパルス、南にチュルクと国境を接する。王都はサマンガーン。ただし固定した建造物はなく、王宮は巨大な天幕である。パルスを上回る騎馬民族の国で、会議すらも馬上で行う。他国からは「草原の覇者」とも言われ、野戦ではパルス軍に匹敵するが、その分攻城戦は不得手。トゥラーン人は遊牧民の為、定住はせず天幕をもって草原を移動する。主要産業は他国からの略奪であり、自ら通貨を発行する事はなく、他国の貨幣をそのまま使用する。太陽神(ダヤン)を信仰している。モデルはモンゴル民族。
- 絹の国(セリカ)
- パルスよりはるか東方にある文明国、大陸公路の東端に位置する大帝国。絹の国の皇統は約千年続く。帝都は西都永安府(シーツィーイーアンフ)。北と西の国境線には、外敵である遊牧民族の侵入を防ぐ為、「長城」と呼ばれる長大な石の防壁が築かれている。国土を二つの大河である、雷河(ライホー)と龍江(ロンチャン)が流れる。ダリューンが以前に使節団の護衛隊長として赴いたことがある。モデルは中国で、セリカも西洋における中国の呼び名のひとつである(ただし現実の「セリカ」は「西夏」が語源であり、絹とは関係無い。また中国が絹の産地として知られたのは古代であり、中世には西欧にも養蚕技術は伝播している)。雷河は黄河を、龍江は長江をモデルにしていると思われる。皇統が長きに渡って続いている事と太上皇帝(帝位の生前譲位)の制度は日本を彷彿とさせる。
- ナバタイ
- ミスルの南方に位置する黒人の国。政権が安定せず第2部の時点で東西の王国に分かれている。幾度かミスルへ侵攻したことがある。鉄鎖術はこの国出身の黒人奴隷(ザンジ)たちが、鎖につながれた身で残虐な主人に抵抗する為に修得したと言われる。ディジレ河の上流域にあることから、スーダン、エチオピアなどがモデルと思われる。
- バダフシャーン
- かつて存在した公国で、パルスによって併合された。現在は元首府ヘルマンドスにパルスの総督府がおかれている。国土の大半を砂漠が占める乾燥地帯で、点在するオアシスに多くの住民が居住する。ヘルマンドスはバダフシャーン地方最大のオアシスである「プラタナスの園」(バーゲ・チナール)の中心にある巨大な湖のほとりに作られた都市で、四方を城壁に囲まれている。主要産物は銀や紅玉(ラアル)などの鉱産物。
- ファルハール
- パルスより東方にある公国。大陸公路に点在する小さな都市国家の一つ。ファルハール人は東西の血が入り混じっている為、個人の容貌に差があり、親や兄妹でも似ていないとされる。大陸公路で最も美男美女が多い土地とされている。ファルハール人は20歳を過ぎるまでに母国語であるファルハール語に加えて、最低でもパルス語と絹の国(セリカ)語を習得しているとされる。翡翠と紅玉を産出する。モデルは楼蘭等の中国西域の都市国家。
[編集] 用語解説
- 万騎長(マルズバーン)
- 武将に与えられるパルスの官職。第一部では実際に1万人の騎兵を率いる。第一次アトロパテネ会戦当時、ダリューン、クバード、シャプール、カーラーン、マヌーチュルフ、ハイル、クルプ、クシャエータ(以上8名はアトロパテネに参戦、ただしダリューンは開戦直前に解任)、キシュワード、バフマン(東方国境のペシャワール城砦に駐留)、ガルシャースフ、サーム(王都エクバターナの留守居役)の12人が任命されていた。万騎長の下には、千騎長、百騎長がいる。第2部では兵制改革によって名誉ある将軍の職になり、実際に1万の騎兵を率いるわけではない。
- 大将軍(エーラーン)
- パルス軍の武将では最高位にあたる官職。パルス全軍で1人しかいない。第一次アトロパテネ会戦当時はヴァフリーズ。先王のオスロエス五世時代には、王弟であるアンドラゴラス三世であった。アルスラーン即位後は万騎長であったキシュワードが就任する。
- ダルバンド(ダルヴァンド)内海
- パルス、マルヤム、トゥラーンの間にある広大な湖。現実世界のカスピ海に相当する。潮の干満があり、塩分が含まれているので実際の海と変わらない。漁業、造塩業が盛んで、パルス=マルヤム間では貿易も盛んであったが、マルヤムがルシタニアに滅ぼされてからは中断されている。
- デマヴァンド山
- パルスにある山で、蛇王ザッハークが封印されていると言われる。パルスでは「魔の山」として恐れられているが、山麓には集落も存在する。英雄王カイ・ホスローが軍装をしたまま、宝剣ルクナバードとともに葬られていた。
- 不死隊(アタナトイ)
- パルスの国王親衛隊で五千人の屈強な騎兵から構成される。大将軍の直属もしくは国王の直率と思われる。アルスラーンの新軍制下では廃止された。
- 獅子狩人(シールギール)
- 単身で獅子(シール)=ライオンを仕留めた戦士に対して贈られる称号。アルスラーンも第2部の狩猟祭(ハルナーク)においてこの称号を得た。なお、現実世界ではほぼ絶滅してしまっているが、かつては物語の舞台のモデルとなっているインドや西アジアにもライオンが生息していた。
- 芸香(ヘンルーダ)
- オレンジに似たさわやかな香りのする香料。ザッハークの眷属を寄せつけず、またこれを塗った武器で傷をつけると致命傷になることもある。焚き火や松明に投じることで香りが一層広がる。
- 紅玉(ラアル)
- 紅い宝石。ルビーの事(一部「ルビー」とルビがふられている箇所あり)だが、旧バダフシャーン公国で産出されるものは恐らくスピネルと思われる(レッド・スピネルの別名「バラス・ルビー」は、実在の地名バダフシャーンに由来する、との説がある。現実世界においても、かつてはこの2種類の宝石は区別されていなかった)。
- 緑玉(エメラルド)
- 魔を祓う力を持つといわれる宝石。特にザッハークの眷属を寄せ付けない。
- 有翼猿鬼(アフラ・ヴィラーダ)
- ザッハークの眷属。空を飛ぶ有翼の魔物。人肉、特に柔らかい子供を好んで喰らうという。血には毒がある。
- 鳥面人妖(ガブル・ネリーシャ)
- ザッハークの眷属。空を飛ぶ有翼の魔物。人語を話し、変装して人間の中に紛れ込むこともある。人間の赤ん坊、特に胎児を好んで喰らう。嘴を切り落とされても再生する。
- 四眼犬(シェムル)
- ザッハークの眷属。四つの眼を持つ犬で、黄色の眼一対と赤い眼一対もつ。
- 食屍鬼(グール)
- ザッハークの眷属。人間の戯画のような姿で、好んで死者の肉を喰らう。もっぱら辺境の地に跋扈するという。
- 客将軍(アミーン)
- ミスルに使えるクシャーフルに与えられたミスルの称号。かつてマルヤムからの亡命者に与えられた称号をもとにしたもの。
- 孔雀姫(ターヴース)
- ミスルに後宮に納められる女に与えられる称号。
- ガズ
- パルスにおける長さの単位。1ガズは約1メートル。
- ファルサング
- パルスにおける距離の単位。1ファルサングは約5キロメートル。
- 金貨(デーナール)、銀貨(ドラフム)、銅貨(ミスカール)
- それぞれの貨幣のパルス語での呼称。通貨単位は登場しないが、作中の記述では貨幣の枚数と価値がほぼ比例しているので、少なくともパルスなど主要国では公定の貨幣制度が存在している様子。パルス金貨1枚は銀貨20枚に相当する(第6巻の記述より)。なおアルフリードによれば、自由民が手にするのは普通は銀貨どまりで、金貨は「まともな人間の手にははいらないようになっている」との事。
- 王族(ワースプフラーン)、貴族(ワズルガーン)、騎士(アーザーターン)、自由民(アーザート)、奴隷(ゴラーム)
- パルスにおける身分制度。アルスラーン即位後のパルスにおいては奴隷階級は廃止された。
[編集] 各巻のタイトル
角川文庫版
- 第1巻「王都炎上」(1986年) ISBN 4041665019
- 第2巻「王子二人」(1987年) ISBN 4041665027
- 第3巻「落日悲歌」(1987年) ISBN 4041665035
- 第4巻「汗血公路」(1988年) ISBN 4041665043
- 第5巻「征馬孤影」(1989年) ISBN 4041665051
- 第6巻「風塵乱舞」(1989年) ISBN 404166506X
- 第7巻「王都奪還」(1990年) ISBN 4041665078
- 第8巻「仮面兵団」(1991年) ISBN 4041665086
- 第9巻「旌旗流転」(1992年) ISBN 4041665094
- 第10巻「妖雲群行」(1999年) ISBN 4041665108
カッパ・ノベルス版
- 第1巻「王都炎上」 第2巻「王子二人」 ISBN 4334075061
- 第3巻「落日悲歌」 第4巻「汗血公路」 ISBN 4334075169
- 第5巻「征馬孤影」 第6巻「風塵乱舞」 ISBN 4334075312
- 第7巻「王都奪還」 第8巻「仮面兵団」 ISBN 4334075436
- 第9巻「旌旗流転」 第10巻「妖雲群行」 ISBN 4334075533
- 第11巻「魔軍襲来」(2005年) ISBN 433407619X
- 第12巻「暗黒神殿」(2006年) ISBN 4334076440
- 第13巻「蛇王再臨」(2008年) ISBN 4334076777
[編集] 関連書籍
副読本
- 「アルスラーン戦記読本」(2000年) 田中芳樹+らいとすたっふ 角川文庫 ISBN 4041665191
画集
- 「天馬之夢-アルスラーン戦記」(1991年) 画:天野喜孝 / 詩:田中芳樹 ISBN 4048521764
[編集] アニメ版
松竹配給で、2度劇場版が作られている。
以下OVAにて4作が続く
- 『アルスラーン戦記III(東の城、西の城)』 (1993年)
- 『アルスラーン戦記IV(汗血公路)』 (1993年)
- 『アルスラーン戦記V(征馬孤影・上)』 (1995年)
- 『アルスラーン戦記VI(征馬孤影・下)』(1995年)
[編集] スタッフ
- 製作:角川書店 / ムービック / ソニー・ミュージックエンタテインメント
- 監督:浜津守(1992年 1995年) アミノテツロー(1993年)
- 原作:田中芳樹
- 脚本:宮下知也(1991年) / 高田かおり(1991年) / 杉原めぐみ(1992年)(1993年)(1995年)
- 作画監督:黄瀬和哉(1991年) / 中田雅夫(1992年) / 越智信次(1993年) / 中村悟(1995年)
- 撮影:高橋明彦(1991年) / 白井久男(1992年)
- キャラクターデザイン:神村幸子
- 音楽:都留教博
- 音響監督:浦上靖夫(1992年)
- 美術:池田祐二(1991年) / 木下和宏(1992年)
- 編集:布施由美子
[編集] 主題曲
- 「靴跡の花 ~アルスラーン戦記より~」歌:遊佐未森(1991年)
- 「ときめきをBelieve(アルスラーン戦記IIバージョン)」歌:谷村有美(1992年)
- 「両手いっぱい」歌:鈴木祥子 (1993年)(1995年)
[編集] 声の出演
- アルスラーン:山口勝平
- ダリューン:井上和彦
- ナルサス:塩沢兼人
- エラム:佐々木望
- ギーヴ:矢尾一樹
- ファランギース:勝生真沙子
- アルフリード:渡辺久美子
- エトワール:三石琴乃
- ヒルメス:池田秀一
- アンドラゴラス:大塚明夫
- ボダン大司教:北村弘一
- タハミーネ:弥永和子
- ヴァフリーズ:池田勝
- カーラーン:納谷六朗
- シャプール:大滝進矢
- ナレーション:大木民夫
- キシュワード:中村大樹
[編集] カセットブック版
カドカワカセットブックとして、1988年から順次発売
- 第一部1~7巻(1995年にスペシャルCD-BOXとして再リリース)
- 第二部1~2巻
[編集] 声の出演
第一部はアニメより前に製作が開始されたため、担当声優が一部異なっている。第一部の主な声優は以下のとおり。
- アルスラーン:関俊彦
- ダリューン:鈴置洋孝(1-5)/田中秀幸(6-7)
- ナルサス:大塚芳忠
- エラム:佐々木望
- ギーヴ:矢尾一樹
- ファランギース:勝生真沙子
- アルフリード:佐々木優子
- エトワール:折笠愛
- ヒルメス:池田秀一
- アンドラゴラス:中庸介
- ギスカール:中尾隆聖
- ボダン大司教:北村弘一
- タハミーネ:弥永和子
- メルレイン:中原茂
- ジャスワント:松本保典
- クバード:島田敏
- ナレーション:大木民夫
- キシュワード:納谷六朗
[編集] 外部リンク
- らいとすたっふ - 田中芳樹のマネージメント、及び作品の著作権管理会社


