アジサイ

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アジサイ属
宇治・三室戸寺のアジサイ庭園
宇治・三室戸寺のアジサイ庭園
分類
: 植物界 Plantae
: 被子植物門 Magnoliophyta
: 双子葉植物綱 Magnoliopsida
: バラ目 Rosales
: アジサイ科 Hydrangeaceae
: アジサイ属 Hydrangea
和名
アジサイ
  • 本文参照

アジサイ(紫陽花、英名学名: Hydrangea)とはアジサイ科アジサイ属の植物の総称である。学名は「水の容器」という意味で、そのまま「ヒドランジア」あるいは「ハイドランジア」ということもある。また、英語では「ハイドレインジア」と呼ぶ。

目次

[編集] 概要

いわゆる最も一般的に植えられている球状のアジサイはセイヨウアジサイ (ヒメアジサイ・テマリ咲きアジサイは別) であり、日本原産のガクアジサイ (Hydrangea macrophylla) を改良した品種である。

樹高は 1-2 メートル。は光沢のある淡緑色で葉脈のはっきりした卵形で、周囲は鋸歯状。6 月から 7 月に紫(赤紫から青紫)のを咲かせる。一般に花と言われている部分は装飾花で、おしべとめしべが退化しており(中性花)、花びらに見えるものは萼(がく)である。ガクアジサイでは密集した両性花の周囲にいくつかの装飾花がみられるが、セイヨウアジサイではほとんどが装飾花となっている。また、装飾花の欠如した変異もある(ガクアジサイ「三河千鳥」など)。

「あじさい」の名は「藍色が集まったもの」を意味する「あづさい(集真藍)」が訛ったものと言われる。また漢字表記に用いられる「紫陽花」は唐の詩人・白居易が別の花(ライラックか)に名付けたもので、平安時代の学者・源順がこの漢字をあてはめたことから誤って広まったといわれている。

[編集] 花の色

花(正確には萼)の色は、アントシアニンのほか、その発色に影響する補助色素(助色素)や、土壌の pH (酸性度)、アルミニウムイオン量、さらには開花からの日数によって様々に変化する。そのため、「七変化」とも呼ばれる。一般に「土壌が酸性ならば青、アルカリ性ならば赤」と言われているが、土壌の pH (酸性度)は花色を決定する要因の一つに過ぎない。花弁(正確には装飾花)に含まれる補助色素によっては青になり得ない、またはなり難いものがあるほか、pH は地中のアルミニウムがイオン化する量を左右する要因に過ぎないため、仮に酸性土壌であっても地中のアルミニウムの量が少なければ花が青色になることはない。また、初めは青かった花も、咲き終わりに近づくにつれて赤みがかかっていく。

花の色が緑色になることがあり、観賞用として緑の花が販売されることもある。花が緑色の品種もあるが、日本ではファイトプラズマ感染による「アジサイ葉化病」に罹ったものも稀にみられる[1]。この病気の治療法はまだなく、感染拡大を避けるため発病株の処分が求められる。

[編集] 毒性

アジサイは毒性があり、ウシヤギなどが摂食すると中毒を起こす。症状は過呼吸、興奮、ふらつき歩行、痙攣麻痺などを経て死亡する場合もある。日本では、飲食店などが毒性を持つアジサイの性質を知らずに料理に使用してしまい、経口摂取した客が中毒する事故が発生している[2]

アジサイには青酸配糖体(グリコシド)が含まれており、それが中毒の原因であると考えられている。ただし、農業・食品産業技術総合研究機構動物衛生研究所によると、原因物質は青酸配糖体ではなく、別の物質の可能性があるとしている[3]厚生労働省の課長通知においても、アジサイに青酸配糖体が含まれていることについての知見が十分ではないことから、2008年8月18日付けで「アジサイの喫食による青酸食中毒について (2008年7月1日) 」の文書を廃止している[4]

  • 毒成分 アミグダリン (amygdalin) 、アントシアニン (anthocyanin) 、ヒドラゲノシド A、グリコシド(上記参照)
  • 毒部位 蕾、葉、根
  • 毒症状 めまい、嘔吐、痙攣、昏睡、呼吸麻痺

[編集] 分類と品種

エングラーの分類体系では「ユキノシタ科アジサイ属」になっているが、クロンキスト体系ではユキノシタ科の木本類をアジサイ科として分離独立させている。 アジサイ属の野生種としては、日本には以下のようなものがある。

まず次の種がアジサイの原種と栽培種であるが、野性でも変異が多い種である。

  • ガクアジサイ H. macrophylla Sieb. f. normalis (Wilson) Hara
    • アジサイ f. macrophylla
    • セイヨウアジサイ f. hortensia
    • ヤマアジサイ(サワアジサイ) H. macrophylla subsp. serrata (Thumb.) Makino
    • エゾアジサイ subsp. yezoensis (Koidzumi) Kitamura

全くの別種になるのが以下のものである。

以下の種はアジサイの名を持つが、装飾花を持たない。

また、アジサイの名を持たないが、以下の種はアジサイ属で、よく似た花をつける。

つる植物となるものもある。

  • ツルアジサイ(ゴトウヅル) H. petiolaris Sieb. et Zucc.
  • イワガラミ Schizophragma hydrangeoides Sieb. et Zucc.(ツルアジサイに似るが、装飾花が一弁)

このほか、草本でアジサイ様の花を咲かせるものにクサアジサイCardiandra alternifolia Sieb. et Zucc.)がある。

また、分類上の位置は大きく異なるがスイカズラ科にも低木で散房花序の周辺部に装飾花をつけるものがあり、やや様子が似ている。ムシカリ (Viburnum furcatum Blume) やヤブデマリ (V. plicatum Thumb. f. tomentosum [Thumb.] Rehder) などがその代表で、ヤブデマリではアジサイと同様に装飾花だけからなる園芸品種オオデマリ (f. plicatum) があるのもよく似ている。

[編集] シーボルトとあじさいと牧野富太郎

鎖国時代に長崎にオランダ商館員の一員として日本に渡来し、オランダ人と偽って出島に滞在し医療と博物学的研究に従事したドイツ人医師にして博物学者シーボルトは、オランダに帰還してから植物学者のツッカリニと共著で『日本植物誌』を著した際にアジサイ属 14 種を新種記載している。その中で花序全体が装飾花になる園芸品種のアジサイを Hydrangea otaksa Siebold et Zuccarini と命名している。しかしこれはすでにカール・ツンベルクによって記載されていた H. macrophylla (Thunberg) Seringe var. macrophyllaシノニム(同一種)とみなされ、植物学上有効名ではない。にもかかわらず、牧野富太郎が自著の各種植物図鑑において Hydrangea macrophylla Seringe var. otaksa Makino の学名を用い種の記載者が Seringe で変種の記載者が牧野自身であるとする事実と異なる処置を行っていることから、一部の植物学書であたかも H. otaksa が植物学的な有効名であるかのような誤解が広まってしまっている。

牧野は上記の植物学的に不可解な処置と矛盾する言動をまた、著書の中で行っている。シーボルトは自著の中で otaksa をアジサイが日本で「オタクサ」と呼ばれていると命名の由来を説明しているが、牧野は日本国内でこの呼称が確認できなかったことからシーボルトの愛妾の楠本滝(お滝さん)の名を潜ませたと推測し、美しい花に花柳界の女性の名をつけたとして強く非難している。

牧野のこの推測によって「オタクサ」の名はシーボルトとお滝さんのロマンスをイメージさせて文人作家の創作意欲を刺激し、詩歌にこの名を詠み込むことなどが盛んに行われている。

[編集] 鑑賞

自生のアジサイ
表六甲ドライブウェイ

低木で、5月から7月頃、青、紫、ピンクなどの花(装飾花)を密につけ、手毬状をなす。初夏あるいは梅雨時期の風物詩として広く親しまれ、鑑賞用に庭園や公園に植栽されてきた。また、咲き始めの頃は白っぽく、次第に色が変ってくることから「七変化」とも呼ばれる。園芸種も多い。

[編集] アジサイ名所

全国各地にアジサイを境内に多く植えたアジサイ寺と呼ばれるような観光名所がある。公共の施設では大阪府民の森ぬかた園地神戸市立森林植物園舞鶴自然文化園に約5万株のアジサイが植えられている。三重県津市にある「伊勢温泉ゴルフクラブ内の福祉と環境を融合したあじさい園」には 2万5000平方メートルに 56 種類・7万5000株という日本最大級のあじさい園が2008年6月より新設された。また神戸市の裏六甲ドライブウェイおよび奥摩耶ドライブウェイ沿いには延々とアジサイが自生している。箱根登山鉄道では開花時期に合わせ夜間ライトアップされたアジサイを楽しめる特別列車が運行されている。

名所一覧

寺院の名所は、アジサイ寺を参照

[編集] 文化

紫陽花を模した生菓子

[編集] 和歌

あじさい(紫陽花)は夏の季語

万葉集には二首のみ。

  • 言問はぬ木すら味狭藍 諸弟(もろと)らが 練の村戸(むらと)にあざむかえけり(大伴家持 巻4 773)
  • 紫陽花の八重咲く如くやつ代にを いませわが背子見つつ思はむ(しのはむ)(橘諸兄 巻20 4448)

平安後期になるとしばしば詠まれるようになった。

  • あぢさゐの 花のよひらに もる月を 影もさながら 折る身ともがな(源俊頼『散木奇歌集』)
  • 夏もなほ 心はつきぬ あぢさゐの よひらの露に 月もすみけり(藤原俊成『千五百番歌合』)
  • あぢさゐの 下葉にすだく蛍をば 四ひらの数の添ふかとぞ見る(藤原定家

[編集] 文学

  • 『あじさい』- 永井荷風 作、昭和6年(1931年)

[編集] 絵画

あじさいに燕

[編集] 歌謡曲

[編集] 市町村の花・木として

アジサイは下記の市区町村の花・木として制定されている。


[編集] 関連項目

[編集] 脚注

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  1. ^ アジサイ葉化病について - 神奈川県農業技術センター
  2. ^ アジサイの葉食べ食中毒 大阪市の居酒屋で - 朝日新聞 2008年6月30日配信
  3. ^ アジサイ - 農業・食品産業技術総合研究機構 動物衛生研究所
  4. ^ アジサイの喫食による食中毒について (PDF) 厚生労働省 - 2008年8月18日

[編集] 外部リンク

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