ヒストリエ

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ヒストリエ』は岩明均による歴史漫画。「月刊アフタヌーン」(講談社)において2003年3月号から連載され、2008年2月号までが第1部、以後が第2部となる。単行本はアフタヌーンKCより2009年2月現在5巻まで刊行されている。作者がデビュー前から構想を温めていた作品。

目次

[編集] 作品概要

紀元前4世紀のギリシアマケドニア王国アケメネス朝ペルシアを舞台に、古代オリエント世界を描いた作品。マケドニア王国のアレクサンドロス大王に仕えた書記官エウメネスの波乱の生涯を描いている。エウメネスはプルタルコスの『英雄伝』(対比列伝)などにも登場する実在の人物である。

エウメネスはギリシアの都市国家カルディアの名家の息子として育てられ、父の財産をめぐる陰謀によって一時は奴隷に身を落とすものの、時代の荒波に揉まれながらその才能を開花させていく。

時代は違うものの、岩明が同じ古代地中海世界に取材した作品として、第2次ポエニ戦争中のシラクサを舞台にした『ヘウレーカ』(白泉社刊)がある。

2006年ごろからアフタヌーン本誌で休載が目立つようになった。2008年1月掲載までを第一部とし、2008年10月現在は第2部を連載中である。

[編集] 主要登場人物

[編集] エウメネス青年期(第1部冒頭および第2部~)


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エウメネス
本編の主人公。ギリシアの都市国家カルディア市の裕福な家庭ヒエロニュモス家の次男として幼少期を過ごすが、とある事件から、奴隷身分に落とされゼラルコスという商人に売られて故郷を去る。やがて逞しく成長したエウメネスはカルディアの「その後の成り行き」を知る為に帰郷する。その途上で哲学者アリストテレスやバルシネに、カルディアでは怪しげな商人アンティゴノスに出会う。弁舌が立ち、頭の回転が速く歴史に深い興味を抱く。身体能力も高く、剣の腕も並の兵士では束になっても適わない程。
バルシネ
ペルシア帝国の大貴族の娘で、トロイアス州総督の妻。機転が利き、女性でありながら、なかなか有能な軍人であるように思われる。ギリシア人である夫に合わせて、ギリシア風の服装をしている。史実では後にアレクサンドロス大王の愛妾となる。
メムノン
ペルシア帝国の傭兵隊長。バルシネの夫の弟。史実では兄の死後バルシネを娶る。
アリストテレス
ペルシア帝国にスパイ容疑で追われる哲学者。古代ギリシアを代表する知性の持主。
史実でもミエザにてアレクサンドロスと次代の幹部候補生の帝王教育を請け負う。
アンティゴノス
ペリントスの商人を自称する、かなりうさんくさい男。妙にどっしりと構えており、エウメネスに名前を呼ばれてもすぐには反応を返さなかったり、カルディア市を包囲するマケドニア軍に対してエウメネスがどう考えたのかをいちいち尋ねるなど、不可解な言動が目立った。エウメネスとの会話を通してその弁舌・機転に目を付け、自分の下で働くよう勧誘する。
その正体はカルディアを攻めているマケドニア王フィリッポス2世本人。エウメネスのカルディア帰還前にアリストテレスと会っており、エウメネスがアリストテレスとの対話の際に創作したある言葉を伝え聞いていた。
実在するアンティゴノスという名の人物は、史実では特に後継者戦争にてエウメネスの人生に大きく関わる事になる人物だが、作中ではまだ未登場である。
メナンドロス
アンティゴノスの従者。主人であるアンティゴノスに対しても歯に衣着せぬ物言いをする。剣の腕前はエウメネスよりも数段上。

史実ではアレクサンドロスにつく将軍の一人でエウメネスとは友人でもあった。

ヘカタイオス
カルディア市を実質上牛耳る実力者。エウメネスの養父ヒエロニュモスの元部下。ある事件に乗じてヒエロニュモスを暗殺し、その地位を得る。
史実においてもマケドニアと同盟を結び、フィリッポスに統治を任されたカルディア市の僭主であり、エウメネスとは非常に険悪な敵対関係であった。
パルメニオン
「その威信は王に次ぐ」とまで言われるマケドニアの将軍。
アレクサンドロス3世
顔に蛇のアザがある。
レオンナトス
フィリッポス2世エウメネスアレクサンドロス3世それぞれが1万の兵を率いて対決したとき、どちらが勝つかたずねる。
オリンピュアス
フィリッポス2世の第4王妃。アレクサンドロス3世の母親。
アッタロス
エウメネスの居候先。マケドニアの名門貴族。酒乱の気がある。妻はパルメニオンの娘。
エウリュディケ
アッタロスの姪。史実では後にフィリッポス2世の最後の王妃となる。

フィリッポスにとって、政略結婚ではない純粋な恋愛結婚はこのエウリュウディケが最初で最後であった。

フィロータス
パルメニオンの長男。ミエザの学校へ入学予定。
ポリュダマス
フィロータスと共にアッタロス邸をたずねる。
ポリュペルコン
フィロータスと共にアッタロス邸をたずねる。

後の後継者戦争ではエウメネスと大きく関わってくる。

ディアデス
アッタロス邸の庭に水力を使った仕掛けを作る。外国人。

マケドニアの当時最先端の数々の兵器の設計・製造を担当し、アレクサンドロスの東征にも従軍し、難攻不落のハルカリナッソスの城門を破壊する攻城機をエウメネスの無理な注文に応じて戦地で臨機応変に制作・改造するなど非凡な技師。

ペルディッカス
戦場経験のある年長者としてミエザの学校へ入学予定。カルディアでエウメネスと出会う。
カサンドロス
ミエザの学校へ入学予定。
プトレマイオス
戦場経験のある年長者としてミエザの学校へ入学予定。
フェリンナ
フィリッポス2世の第3王妃。アリダイオスの母親。
アリダイオス
エウメネスにおもちゃを作ってもらう。知的障害がある。
ハルパゴス
メディアの将軍で、エウメネスが語った歴史の物語の中に登場。メディア王アステュアゲスの有能な忠臣として知られていたが、謀反の嫌疑をかけられた際宴席で『料理』と称してバラバラにされてかごに詰められた息子を渡された。しかし顔色一つ変えることもなくその後も王のために働いていたが、実は深い恨みを抱いておりペルシァとの戦争で謀反を起こして王を捕縛する。

[編集] エウメネス幼少期~青年期(第1部)

ヒエロニュモス(先代)
エウメネスの養父。バルバロイであるスキタイ人を捕らえ、あるいは親から子供を買い取って、奴隷として売りさばく商人。スキタイ人を捕らえる過程で、その当時幼児であったエウメネスと出会い、その才能を見込んで、自分の子供として育てる。
テレシラ
ヒエロニュモス(先代)の妻。エウメネスを実子と同様に育てる。
ヒエロニュモス
エウメネスの義理の兄。才能に優れる弟を妬んでいた。
史実ではディアドコイ戦争アンティゴノス1世とエウメネスの間の使者を務め、またディアドコイ戦争の同時代の記録を残した唯一の歴史家。プルタルコスの「食卓歓談集」などにもその名が登場する。
ゲラダス
ヒエロニュモス(先代)の部下。雇われ者の兵士たちを腕力で取り仕切る豪傑。ヘカタイオスと共謀し、ヒエロニュモスを暗殺する。カルディアに戻って来たエウメネスを襲うも、返り討ちにあう。
カロン
ヒエロニュモス家に長年仕える奴隷で、エウメネスの従者。エウメネスがヒエロニュモス家を去った数年後、自らを買い取り解放奴隷となりカルディアを出る。
トラクス
スキタイ人奴隷。主人の高利貸しテオゲイトンに虐待されている。剣技に優れた男で、それゆえ鎖に繋がれたままで奴隷として売られたが、その際に買い手に理由をちゃんと説明しなかった事が、後の悲劇となる。
テオゲイトン
高利貸を営む、残忍で強欲な男。その息子は調教と称してトラクスに手枷足枷を嵌め痛めつけてこき使っていた。
ゼラルコス
奴隷の身分に落とされたエウメネスを大金で買い取った黒海沿岸のギリシア植民都市国家オルビアの商人。彼に買われた奴隷はいつまでもまともな姿でいられない。
バト
エウメネスが身を寄せたボアの村一番の剣の使い手で、エウメネスに剣技の手ほどきをした青年。長髪を後ろで縛っている。冷静で観察力に優れた性格で、村の若者のリーダー的存在。エウメネスに次第に信頼を寄せるようになり、良き理解者となった。エウメネスはその後、カルディア市に戻って偽名を使う必要に迫られた際に「バト」と名乗った。
サテュラ
ボアの村の先代村長の娘。両親はすでになく、叔母の家に暮らす。当初は訝しく思っていたエウメネスとの間に、やがて愛が芽生えて深い間柄となる。両者とも、そのまま村に暮らすことを望んでいたようであったが、ある事件をきっかけにエウメネスは村を離れざるを得なくなり、二人は別離した。後にエウメネスは、「パフラゴニアのサテュラ…忘れる事はできぬ」と記す。
ボアの村の人々
乗っていた船が難破して漂着したエウメネスを救い、やがて村の一員として迎えた。エウメネスを救ったのには単なる親切心以上の理由があったらしいが、作中でその理由がはっきりと明言される事は無かった。ただしその意図を推察したエウメネスは、剣術の教えを乞い、また「ヘロドトス」その他の知識を村人に提供した。村人らの生活は、自らの創意工夫によってほぼ自給自足で営まれており、また、かつての地元民との衝突の経緯から、剣の鍛錬を欠かさず、村を柵で囲むなどの警戒を怠らない。しかし基本的には素朴な人々で、平和に暮らしている。エウメネスはこの村で思春期~青年期の数年間を過ごし、口には出さなかったものの村人たちに大きな感謝と親愛の情を抱いている。ある事件のためにエウメネスが村を離れることとなり、村人らは惜しみつつも彼の旅立ちを見送った。
ダイマコス/テレマコス兄弟
ボアの村の近隣ティオス市の、実力者の息子兄弟。彼らの父は、ボアの村の先代村長との間に深い絆と友情を持っていたのに対し、その息子兄弟は、ボアの人々をしょせん蛮族と考え、見くびっていたようである。それが後に、兄ダイマコスは身勝手な理由から村を攻め、弟テレマコスは自らが人質になる可能性も考えずに兄の謀略を村に内通に来る、といった行動として現れた。

以上で物語・作品・登場人物に関する核心部分の記述は終わりです。


[編集] 単行本

講談社アフタヌーンKC