穴熊囲い

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穴熊
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居飛車穴熊の駒組み例

穴熊囲い(あなぐまがこい)は、将棋において使われる囲い(守備の陣形)の一つ。居飛車・振飛車のいずれの戦法でも用いられる囲いであり、囲うまでに手数はかかるが最も堅い囲いの一つである。そのあまりの堅牢さ、守備に尽力、徹する様相からしばしば比喩として用いられることもある。

目次

[編集] 概要

端の香車を一つ前に動かし、その下に玉を動かした形が、熊が穴蔵に潜るように見えることからこの名が付いたといわれる。「岩屋」、「獅子のホラ入り」という別名もあるが、一般には使われない。

もともとは振飛車が使う囲いであり、以前はプロからの評価は低く、また「穴熊などやるようでは強くなれない」[1]などと言われていたが、大内延介らによってその有効性が知れ渡った。その後、田中寅彦らが居飛車(対振飛車戦)で穴熊に囲う「居飛車穴熊」を考案し、猛威を奮っている。現代では、居飛車穴熊にどう立ち向かうか、が振り飛車側の大きな課題の一つである。また、矢倉戦、相振り飛車戦でも穴熊囲いは頻繁に出現し、堅さを重視する現代将棋の象徴とも言える。

[編集] 長所

金銀が連結した形で密集しており、非常に堅く、また「遠い」囲いである。玉が端にいるため戦場から遠いことに加え、そのままの形では王手が絶対に掛からない(いわゆるゼット)、という特徴がある。また、攻め手が駒を渡さずに攻略するのが非常に難しい。これらの長所により、穴熊囲いに囲った側は、敵玉に対して飛車角行(大駒)を1枚捨てる強襲など、大胆な作戦が成立しやすい。「穴熊ならではの攻め」と称されることもある。

[編集] 短所

まず、囲いが完成するまでに手数がかかるため、それ以前に攻撃を仕掛けられることが多い。また、囲いが完成した形では、1ヶ所に駒が密集し偏っているために自陣に隙が多くなり、角の打ち込みなどが生じやすい。横からの攻めには非常に強いが、上部や端からの攻めには割に弱い。終盤では、玉が隅にあるので身動きが取れず、逃げ道がないことがある。

また、居飛車穴熊の場合は加えて、相手の角道が直射するという欠点もある。居飛車穴熊の攻略法には、角道を利用したものが多い。

[編集] 攻略法

桂、香、歩を使った「小駒の攻め」が有効と言われる。取られたときに守備に使われにくいからである。特に「と金」を使った攻めは、遅くはあるが受けにくいため、特に有効とされる。守りの金銀を相手にしない端攻めも有効であり、端に狙いをつけた一間飛車地下鉄飛車といった戦法もある。

居飛車穴熊対策の戦法としては、四間飛車の「藤井システム」が有名である。自分の囲いに手数をかけず、ほとんど居玉のまま、角道と端攻めなどを併用し、居飛車穴熊を攻略する。(詳細は藤井システムを参照のこと。)他に中田功XPなどがある。

[編集] バリエーション

穴熊囲いには様々なバリエーションがある。

2枚を用いたものは、堅さでは劣るが自陣の駒のバランスを保つことができ、攻撃にも駒を生かすことができる。

金銀3枚を用いたものは、上図のものが一般的である。しかし振り飛車穴熊の場合には、2枚の金を3九と4八に置いたり、3九と4九に置いたりすることもある。

金銀4枚を用いた穴熊囲いは極めて堅固である。かつては4枚銀冠から発展する場合などが多かったが、はじめから4枚穴熊を目指すこともある。アマチュアの強豪である田尻隆司が考案した田尻穴熊や、松尾流穴熊、ビッグ4と呼ばれるものが特に知られている。

現在の振飛車穴熊はただ守りを固めるだけの陣形(振飛車穴熊の駒組みの陣形を「単純穴熊」と呼んでいる)では攻めには乏しい面があったので、金が4七に上がり、攻めと守りのバランスが取れるような陣形になった(この陣形は広瀬章人が編み出した「現代穴熊」の陣形で、現在ではこの陣形の登場により、相穴熊の対局では居飛車穴熊のほうが、相性が悪くなっている)。

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田尻穴熊
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93 83 73 63 53 43 33 23 13
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松尾流穴熊
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91 81 71 61 51 41 31 21 11
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ビッグ4
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93 83 73 63 53 43 33 23 13
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現代穴熊の陣形

[編集] 「居飛車穴熊戦法」訴訟

将棋の戦法「居飛車穴熊」の元祖が誰かをめぐり、アマチュア棋士の大木和博が「考案したのは自分」として、プロ棋士の田中寅彦を相手に300万円の慰謝料の支払いと、元祖を名乗らないよう求めた訴訟。

1999年6月、一審の東京地裁は「二人とも元祖や創始者と呼ばれるにふさわしい」と指摘し、慰謝料支払いの請求を棄却。

2000年3月、二審の東京高裁も一審判決を支持した。

2001年2月22日最高裁第1小法廷は、同件を上告審として受理しないことを決定した(上告棄却)。この棄却決定により、二審の東京高裁判決が確定することとなった。

なお、史実では、1968年の第27期名人戦(大山4-升田0)第2局で先手番の升田幸三実力制第四代名人が居飛車穴熊のコンセプト[2][3]を後手番の大山康晴十五世名人の四間飛車相手に実践していた。しかし、実際に居飛車穴熊を現代戦法として再編・体系づけてプロ棋士の間に大流行させて本格的な対振り飛車攻略として定着させたのは、紛れも無く田中寅彦九段の功績である。小倉六段著下町流三間飛車戦法の一節によれば、当人のコメントとして「訴えられたから戦った」そうである。

[編集] 参考文献

[編集] 脚注

  1. ^ 『日本将棋用語事典』p.8より引用。
  2. ^ 当時の棋戦解説では「珍しい左穴熊」と記された。
  3. ^ 棋譜は週刊将棋編「不滅の名勝負100」(毎日コミュニケーションズ)で確認できる。

[編集] 関連項目

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