Bonanza

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Bonanza
開発元 保木邦仁
最新版 4.0.4 / 2009年2月2日
対応OS Windows
種別 コンピュータ将棋
公式サイト www.geocities.jp/bonanza_shogi/
  

Bonanzaボナンザ) は、コンピュータ将棋のプログラム。

Windows用のフリーウェアとして公開されており、誰でも自由にダウンロードして利用することができる。

目次

[編集] 概要

作者は公開当時カナダ在住だった日本人の保木邦仁(ほき くにひと、1975年12月 - )。東北大学理学部化学科卒業、同大学院理学研究科修士課程修了の理論物理化学研究者で、将棋についてはほとんど知らず、自称「11級」[1]

2005年6月に公開。その棋力の高さは、渡辺明棋士がブログで「プロが平手で餌食になった」「奨励会有段者クラスがコロコロ負けているらしい」、渡辺自身も「10秒将棋[2]だと10回に1、2回はやられる」とするほどである[3]

コンピュータらしくない人間らしく自然な手を指すと定評がある。棋力の指標となる将棋倶楽部24でのレイティングは2400以上(アマチュア五段相当)で、2006年5月に行われた第16回世界コンピュータ将棋選手権大会に初出場し、市販の将棋ソフトも参加する中で優勝する[4]。高性能なコンピュータで参加する者も多い中、Bonanzaは市販のノートパソコン、CPUを冷却をするのは小型USB扇風機と、低性能のハード・環境で優勝する。この赤い扇風機は、後に市販された初回限定版に同梱されるなど、Bonanzaの衝撃の象徴となる。

[編集] 思考ルーチン

Bonanzaの思考ルーチンは、他のコンピュータ将棋ソフトにはない独自の考え方が用いられている。

コンピュータチェスの思考を応用
コンピュータ将棋ではなく、コンピュータチェスの論文をベースとして思考ルーチンの基本部分を作成した。ベースとなるデータは、インターネットなどで入手できた6万局[5]に及ぶ将棋の棋譜データを元にしている。
全幅検索
Bonanza以前のコンピュータ将棋ソフトでは、その局面で可能なすべての指し手を評価する(全幅検索)のではなく、駒を取るなどの自然な指し手を重視して検索していた。これはすべての指し手を評価すると選択肢が膨大になり、現実的ではないと考えられていたからである。Bonanzaはその常識を覆し、全幅検索を実現することでこれまでのソフトが見落としていた(あるいは軽視していた)指し手に高い評価を与えることが可能となった。
評価関数の自動生成
元にした6万局の棋譜データから、評価関数を自動生成している。他のソフトはプログラマーが定めた評価関数を用いているため、定跡やプログラマーの固定観念の影響を受けることがあった。たとえば、Bonanzaは序盤で大駒を切る(小駒と交換する)ことが多いが、これは大駒の点数が他のソフトに比べて低く設定されている[6]ためであるとされる。
詰将棋
チェスがベースであるため、開発当初は終盤の詰将棋のルーチンが搭載されておらず、2007年の世界コンピュータ将棋選手権で採用したものに初めて3手詰めのルーチンが搭載された。他のソフトでは詰将棋専用のルーチンを用意しており、Bonanzaが特殊である。

『ボナンザ VS 勝負脳』によると、開発当時の保木は将棋に対する造詣は深くなく、チェスと同じようなものであると考えていた。そのためコンピュータチェスで使われていた全幅検索を採用したが、保木によると「選択的探索は選択を行う処理が複雑になるため、全幅探索よりも負荷がかかる」としている(33ページ)。また、選択的検索は開発者の棋力に依存するところが多く、保木は最初から選択的検索を行うつもりがなかったとも書いている(32ページ)。世界コンピュータ将棋選手権に初出場した際は、全くアプローチの異なる他のソフトとほぼ同じ棋力であったことにむしろ驚いている(極端に強いか、弱いかのどちらかだと考えていた)(32ページ)。

また同書では評価関数の自動生成にも言及しており、これは保木の本業である化学反応制御の制御理論をコンピュータ将棋に応用したものである(26ページ)。保木自身の棋力ではコンピュータを強くする設定を行うことができず、既存の機械学習で成果を上げたプログラムがなかったため、制御理論をもとに自作することにしたという。保木によると、これらの作業はコンピュータ将棋の過去の蓄積を知らなかったために実現したことであって、日本にいて情報が入ってくる環境であれば、個人が1年で完成させることは不可能であったと述べている(29ページ)。

2009年1月、作者はBonanza Version 4.0.3の思考ルーチンのソースプログラムを公開し、他の開発者の利用を認めた。これにより、Bonanzaの思考ルーチンの詳細が明らかになることとなった。

[編集] パッケージ製品

作者の意向によりBonanza自体はフリーで提供され続けるが(フリー版はマルチコアCPU並列処理に非対応)、Bonanzaのエンジンを搭載したコンピュータ将棋ソフトも市販されている。

2008年3月現在、マグノリアから「Bonanza 3.0 Commercial Edition」、シルバースタージャパンから「世界最強銀星将棋7」が発売されており、下述の竜王との対局で使用された最新バージョンの搭載を謳っている。

2008年12月18日には株式会社サクセスからPlay Station Portable版の「最強将棋 BONANZA」が発売された。

[編集] 竜王との対局

2007年3月21日大和証券杯ネット将棋・最強戦の創設を記念して、渡辺明竜王[7](当時)との特別対局が組まれた。対局は品川プリンスホテルでの公開対局となり、手合いは平手で、Bonanzaの先手、持ち時間はそれぞれ2時間とされた。公の場で、コンピュータ将棋がタイトル保持者と平手で対局するのは初めてのことである。

なお、この対局に備えてBonanzaは探索手数を大幅に増やし、戦法の選択を改善するなどチューニングをほどこしていた。またハードウェアも標準的な市販のパソコンに比べれば能力の高いものを使用した。これにより将棋倶楽部24でのレーティングは2800相当(アマチュア七段以上)に達したという。結果は112手で渡辺の勝ちとなったが、勝又清和六段が今回の棋譜を見て「奨励会三段レベル」とBonanzaの実力を評価するなど、将棋ソフトの実力がプロに迫ってきていることを示す結果にもなった。渡辺はこの対局をブログで振り返り、「人間では発想できない良手を指した中盤での意外な強さ」と「コンピュータが絶対的な強さを持つと思われていた終盤での意外な見落とし」を指摘している。一方、開発者の保木は、「美しい棋譜を残すことができた」、すなわち第一人者相手に頓珍漢ではない自然な将棋を指せたことをもって評価とした。

この対局の模様は2007年4月21日にNHK衛星第2放送で『運命の一手 渡辺竜王VS.人工知能・ボナンザ』というタイトルで90分間のドキュメントとして放送された。

[編集] 脚注・出典

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  1. ^ 通常、将棋には11級という段級位の設定はない。『ボナンザ VS 勝負脳』の53ページで、渡辺は保木の棋力を「アマ5級程度」と評する。
  2. ^ 持ち時間を1手10秒に制限する
  3. ^ 渡辺明ブログ ボナンザとか。
  4. ^ 【レポート】フリーソフト「Bonanza」が初出場で優勝 - 第16回コンピュータ将棋選手権マイコミジャーナル、2006年5月8日)。【NEWS】世界コンピュータ将棋選手権で優勝したフリーの将棋ソフト「Bonanza」窓の杜、2006年5月17日)。
  5. ^ 『ボナンザ VS 勝負脳』の27ページによる。CD-ROMで販売されているものも含め、プロの公式戦の対局3万局と将棋倶楽部24の3万局を利用している。玉が敵陣近くにあるときのデータを利用するため、後者は入玉の状態になったものを主に採用した。
  6. ^将棋世界』2007年7月号「特集 第17回世界コンピュータ将棋選手権」より。
  7. ^ 竜王は名人とともに将棋界序列1位である。竜王と名人が別人であれば棋士番号が若い方が上位になり、同一人物であれば竜王・名人の称号(竜王が名人の上位)になる。

[編集] 参考文献

  • 『ボナンザ VS 勝負脳――最強将棋ソフトは人間を超えるか』(保木邦仁・渡辺明共著、角川書店、ISBN 978-4-04-710107-4

[編集] 外部リンク