将棋の戦法一覧

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将棋の戦法一覧(しょうぎのせんぽういちらん)

将棋の戦法は、「居飛車」と「振り飛車」の2つに大別される。また「急戦」か「持久戦」かによっても大きく異なる。

攻めによる分類と守り(囲い)による分類がある。居飛車の場合は、囲いによって大きく分かれ、攻めによって細かく分かれる。振り飛車の場合は、攻め(飛車の位置)と囲いはかなり独立している。

居飛車[編集]

居飛車(いびしゃ)は、将棋の二大戦法の一つ。序盤において、飛車を定位置の2筋(後手8筋)、またはその周辺の右翼に配置して戦うもの。この反対は振り飛車で、飛車を左翼へ展開する。

相居飛車[編集]

居飛車(対振り飛車)[編集]

急戦[編集]

持久戦[編集]

主な「居飛車党」の棋士[編集]

振り飛車[編集]

振り飛車(ふりびしゃ)は、将棋の二大戦法の一つ。序盤において、2筋(後手8筋)の飛車を5筋かそれよりも左翼へ展開するもの。この反対は居飛車で、飛車を定位置の2筋(後手8筋)、またはその周辺の右翼に配置して攻める。 振り飛車戦法の相手は、居飛車の場合と振り飛車の場合があり、それぞれの戦い方は全く異なる。前者は「居飛車振り飛車対抗型」もしくは単に「対抗型」、後者は「相振り飛車」と称する。なお、3筋(後手7筋)に飛車を動かす袖飛車や4筋(後手6筋)に飛車を動かす右四間飛車は、振り飛車の部類には含めず居飛車の部類に入るので注意が必要である。

歴史[編集]

振り飛車は江戸時代初期には用いられた古い戦法だが、江戸中期以降は廃れていた。昭和になって振り飛車を復活させたのが大野源一で、さらに大野の弟弟子の升田幸三大山康晴両巨頭らが流行させ、振り飛車は再びプロの戦法として認識されるに至った。その後、居飛車穴熊戦法の台頭により、振り飛車党の棋士は一時なりを潜めていたが、藤井猛四間飛車における藤井システムを開発して竜王位を奪取したことに及んで、再び振り飛車の時代が訪れた。振り飛車はもともと受けの戦法と考えられていたが、藤井システムは攻めの戦型であり、「振り飛車の革命」とまで言われている。 また、2000年代初頭に「攻める中飛車」と呼ばれるゴキゲン中飛車が登場してからは中飛車も流行するようになり、その流行ぶりは居飛車党が後手番で主導権を握るための戦術として採用するほどである。

近年では広瀬章人横山泰明戸辺誠など若手の振り飛車党が急増したのに加え、居飛車党である佐藤康光深浦康市が飛車を振るようになるなど振り飛車の勢力が拡大、今や居飛車党をも巻き込みつつある。さらに将棋界の第一人者である羽生善治がタイトル戦という大舞台でも後手番で振り飛車を選択するケースが増えている。

居飛車振り飛車対抗型[編集]

相手方が飛車を振らない居飛車振り飛車対抗型の場合、振り飛車側はを交換された場合のデメリット(交換した角を使う等して飛車先を突破される)が大きいことから、通常角道を止める。ただし後述の理由により、あえて角道を止めない場合もある。

囲いは堅い美濃囲いにする場合が多いが、さらに堅い穴熊囲いにする場合もある。相手に攻めさせて、その反動で駒を捌く(「捌く」とは、駒をよく働かせることを指す将棋の専門用語である。盤上の駒を持ち駒にすることによって働きが増すと考えられる場合は、駒を交換することもまた「捌き」の一つである)、最後は玉将の堅さを活かして勝つのが基本的な戦い方である。よって、駒がどれだけ捌けたかが、振り飛車側の形勢を判断する重要な指標となる。

しかし、最近では居飛車も振り飛車に対して左美濃穴熊囲い居飛車穴熊)やミレニアム囲いなど、美濃囲いと同等かそれより堅い囲いで対抗するようになってきた為、単純な捌き合いでは勝てないことも多い。故に、振り飛車は前述のような戦い方だけではなく、時には玉を初期配置から動かさずに果敢に攻め込んだり(藤井システム)、時には強引に捌こうとする堅い囲いの相手に対して押さえ込みを図ったりと、多様な戦い方をする戦法となっている。またそのような目的を達成する一つの手段として、振り飛車側が角道を止めない戦法も注目されており、飛車を振る位置によってそれぞれ定跡が開発されている(角交換振り飛車も参照)。

振る位置について[編集]

振り飛車には、中飛車四間飛車三間飛車向かい飛車の4つがあるが、それぞれに更に細かく分別される。更に、奇襲戦法の部類に入るが一間飛車という戦法もある。なお、戦法の詳細に関してはそれぞれの項目を参照。

中飛車(真ん中(5筋)に振る戦法)
力戦中飛車(ゴキゲン中飛車)・ツノ銀中飛車平目風車英ちゃん流中飛車原始中飛車5五龍中飛車
四間飛車(後手の場合4筋に振る戦法)
藤井システム立石流四間飛車玉頭銀
三間飛車(後手の場合3筋に振る戦法)
石田流早石田升田式石田流鬼殺し中田功XP2手目△3二飛初手▲7八飛
向かい飛車(相手方の飛車と向かい合う位置(後手の場合2筋)に振る戦法)
阪田流向かい飛車メリケン向かい飛車二手損向かい飛車[1]ダイレクト向かい飛車[2]

囲いについて[編集]

囲いは美濃囲い穴熊囲いのどちらか若しくはその派生型が殆どである。

相振り飛車[編集]

相振り飛車(あいふりびしゃ)は、将棋の戦型の一つで、先手と後手が互いに振り飛車にして駒組みを進める戦型である。互いに飛車を左翼に移動させる、つまり「振る」ので、この名が付いた。

古くは振り飛車党同士の対戦や力戦家の間で用いられる戦法とされていたが、近年では相手の出方に応じて相振り飛車にする作戦が試されるようになり、居飛車党の棋士もしばしば指すようになった。一例としては藤井システム対策としてこの戦型を選ぶ例が挙げられる。以前は定跡らしいの定跡ない力戦、手将棋の代表とされていたが、定跡化も相当進んでいる。とはいえ発展途上の戦法であることは変わりがない。

振る位置について[編集]

振り飛車には、前述の通り中飛車四間飛車三間飛車向かい飛車の4つがあり、したがって相振り飛車の戦型は、相居飛車や居飛車対振り飛車の場合に比べて、多様なものとなる。

中飛車
初期状態に玉将が居る5筋に振るシンプルなコンセプトの戦型。
戦法としては優秀であるが、分断された戦型に陥りやすい為に、相振り飛車での採用は稀となっている。
四間飛車
もっとも採用数が多い振り飛車である四間飛車も、相振り飛車でしばしばみられる。
金無双主流時代には、使い勝手の悪さから相振り飛車では少数派であった。
但し、矢倉囲い相手には相性が良い為、囲いを確認の上に振り直す例は少なくない。
三間飛車
後手側での採用例が多い、相振り飛車の代表格戦型の一つ。
金無双主流時代には石田流に組むのが一般的であったが、矢倉囲い相手には相性が悪く、現在は引き飛車が主流となっている。
なお、現在は穴熊囲いとの組み合わせでの後手側の採用例が多い。
向かい飛車
先手側での採用例が多い、相振り飛車の代表格戦型の一つ。
金無双主流時代には浮き飛車に組んでいたが、現在は引き飛車が主流となっている。
バランスが良い戦型の為に、後手側も向かい飛車で挑む例もあるが、矢倉戦法と同じく千日手に陥る危険性が高い欠点を抱えている。

囲いについて[編集]

囲いは金無双美濃囲い矢倉囲い穴熊囲い等を用いる事が多い。

金無双
以前は相振り飛車の代表的囲いとされてきた囲い。
銀将の位置が「壁銀(先手の場合2八、後手の場合8二と玉の逃げ道を塞ぐ形)」と呼ばれる悪形なので、昨今(2007年現在)は採用例が少なくなっている。
但し、美濃囲いや矢倉囲いは囲いの完成までの手数が掛かると言う問題を抱えている上、対後手三間飛車時の三筋対策の銀上がり等の事情もあり、今でも金無双を採用する例が少なくない。
美濃囲い
通常の振り飛車の主流とされる囲い。
四間飛車やヨコからの攻めに強いものの、端や玉頭が弱い。この点はよく金無双と比較される。
また、高美濃囲いや銀冠もしばしば用いられる。
矢倉囲い
昨今は相振り飛車の代表的囲いと呼ばれる囲い。
居飛車の場合とは左右逆の右側に囲うが、美濃囲いと違い同じ名前で呼ぶのが一般的である。
上部に手厚いため、相振り飛車では評価の高い囲いである。ただし、相振り飛車で4筋を突く形はかえって目標となることも多いため、注意が必要とされる。
穴熊囲い
手数が掛かる欠点があるものの、その硬さから昨今は採用例が少なくない囲い。
主に後手側が三間飛車と組み合わせて使う例が多い。

主な「振り飛車党」の棋士[編集]

  • 大野源一 - 「振り飛車名人」の異名を持つ。三間飛車での捌きを得意とした。
  • 升田幸三 - 升田式石田流の創始者。向かい飛車も得意としていた。
  • 松田茂役 - ツノ銀中飛車からの力戦を得意とし、「ムチャ茂」の異名をとった。大野と並ぶ現代振り飛車の祖。
  • 大山康晴 - 四間飛車隆盛のもとを築いた(但し相振り飛車は嫌っていて、相手が飛車を振った場合は必ず居飛車で戦った)
  • 大内延介 - 振り飛車穴熊を得意とする。
  • 森安秀光 - 「だるま流」と称される粘り強い指し回しは、後身の棋士に強い影響を与えた。
  • 小林健二 - 「スーパー四間飛車」の著者。
  • 中田功 - 三間飛車における中田功XPの創始者。その棋風はコーヤン流と評されトッププロにも高評価されている。
  • 杉本昌隆 - 四間飛車を得意とする。「相振り革命」シリーズの著者でもある。
  • 藤井猛 - 振り飛車に革命を起こした藤井システムの創始者。
  • 久保利明 - 駒の捌きを重視する。
  • 鈴木大介 - 豪快にして繊細な棋風。
  • 近藤正和 - ゴキゲン中飛車の創始者。受けが常識である中飛車に革命を起こす。
  • 窪田義行 - 窪田流とも言うべき独特の力強い棋風。
  • 広瀬章人 -振り飛車穴熊戦法を得意とする。
  • 里見香奈 - 力戦中飛車、ゴキゲン中飛車などを得意とする。

(特に藤井猛、久保利明、鈴木大介の3人は「振り飛車御三家」と呼ばれる。)

囲い[編集]

囲い(かこい)とは、玉を相手の攻撃から守るための、ある決まった駒組みのことである。主に金将や銀将を用いる。玉を囲いの中に入れることを「(玉を)囲う」と言う。一般的に、戦いが起こる場所から離れたところに玉を囲う。

主に相居飛車で使われる囲い[編集]

主に居飛車対振り飛車で使われる囲い[編集]

振り飛車側の囲い[編集]

  • 美濃囲い
    • 高美濃・銀冠・銀美濃・片美濃・ダイヤモンド美濃・木村美濃・ちょんまげ美濃・坊主美濃
  • 穴熊囲い
    • 片穴熊・ビッグ4
  • 壁囲い(早囲い)
  • 平目

居飛車側の囲い[編集]

主に相振り飛車で使われる囲い[編集]

その他の戦法の囲い[編集]

脚注[編集]

  1. ^ 一度四間飛車に振り、角交換をした後に向かい飛車に振り直す。
  2. ^ 二手損向かい飛車に対して、ダイレクトに向かい飛車に降るため、こう呼ばれる。
  3. ^ 『日本将棋用語事典』pp.61-62

参考文献[編集]

関連項目[編集]