BILLY BAT
| BILLY BAT | |
|---|---|
| ジャンル | サスペンス SF漫画 青年漫画 |
| 漫画 | |
| 作者 | 浦沢直樹 |
| 出版社 | 講談社 |
| 掲載誌 | モーニング |
| 発表号 | 2008年46号 - |
| 巻数 | 既刊10巻 |
| テンプレート - ノート | |
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『BILLY BAT』(ビリーバット)は、モーニングに2008年から掲載中の浦沢直樹の漫画作品。ストーリー共同制作は長崎尚志。
目次 |
概要 [編集]
敗戦の傷跡潰えぬ1949年の日本を舞台に、日系アメリカ人漫画家や一般人が歴史を動かす巨大な陰謀に巻き込まれていく物語を描いたミステリー作品。下山事件やケネディ大統領暗殺事件などの実在の事件を題材としている。「ビリーバット」というコウモリの歴史における存在について、物語は2000年前のエルサレム、1959年のニューヨーク、戦国時代の伊賀、1963年のダラスなどへと飛びながら進んでおり、時系列シャッフルやオマージュ的表現が取り入られている。登場人物のうち実在の人物は本名で登場するが、物語の根幹に関わる人物はモデルと扱われる。
注意:以降の記述には物語・作品・登場人物に関するネタバレが含まれます。免責事項もお読みください。
ストーリー [編集]
第二次世界大戦も終わった1949年のアメリカ。ソヴィエト連邦との冷戦が始まり、「赤狩り」の嵐が吹き荒れていた。人気アメリカン・コミック「BILLY BAT」を執筆中の日系人漫画家ケヴィン・ヤマガタの仕事場に二人の刑事がやって来る。張り込みのための協力を断ろうとした矢先、刑事の一人がBILLYを日本で見た事があると言いだす。ケヴィンは真相を確認するべく、戦後の復興間もない日本へと渡る。
復興途上の日本では国鉄の人員削減を巡って、下山総裁が難しい舵取りを迫られていた。GHQを訪ねたケヴィンは旧友のチャーリー・イシヅカと再会。彼と飲みに出かけたものの酔い潰れ、ケヴィンが意識を取り戻したときチャーリーは胸を刺され事切れていた。事件の発覚が闇市の住人たちの迷惑になると脅されたケヴィンは、来栖という謎の人物の提案でチャーリーの遺体を線路上に放置した。良心の呵責から自暴自棄になったケヴィンはシズの導きにより、奇しくも自らが探していたコウモリの絵との再会を果たす。
チャーリーが轢断死体となって発見された数日後、全く同じ形で下山事件が発生。ケヴィンは自らが陰謀の渦中に投げ出されたことを知ることになる・・・。
登場人物 [編集]
- ビリーバット(BILLY BAT)
- ケヴィンの描く同名の大人気アメリカン・コミックの主人公。コミックの中では、ハードボイルドな私立探偵を演じている。日本に訪れて以降、ケヴィンの夢の中にたびたび現われるようになる。このほか、二千年前にキリストを裏切ったユダ、1959年のニューヨークのタクシー運転手・百地、織田信長の侵攻目前の伊賀の百地丹波守の持つ文書の中に登場する。「黒か白か」というテーマを口にし、善悪属性の異なる二人の存在が示唆される。
- 尚、コミック連載はケヴィンのアシスタント、チャック・カルキンに引き継がれ、路線変更により国民的な人気を博し、60年代にはフロリダに遊園地ビリー・ランドが作られ、大人気テレビ番組が放映されるに至っている。しかし、このビリー・ランドは"夢の国"を唄う一方で、黒人の入場を禁じていたり、チャック・カルキン版以降は冷戦当時のアメリカ社会の世相が反映されるようになった。その内容が大衆に受け入れられる結果となったのだが、その作風に難色を示す者も一部に存在し、彼らは口を揃えてケヴィン・ヤマガタ版のビリーバットこそが素晴らしいと賛美している。
紀元前編の人物 [編集]
- ユダ
- キリストの弟子。子供の頃よりビリー・バットそっくりな二匹のコウモリが現れて会話している。彼らの言葉の導き通りにキリストを裏切った。なお、キリストはユダの頭の中にコウモリが存在することを知っており、自身の死後「光の子」と「闇の子」の最終戦争が起こるだろうと述べている。少年時代、"義の教師"(死海文書に登場する、キリスト以前にメシアを自認し処刑された宗教的指導者)の処刑にも立ち会っている。
- キリスト
- ユダの師匠。ざっくばらんだが聡明な人物。ユダの裏切りにより処刑された。
1500年代編の人物 [編集]
- 勘兵衛
- 戦国時代の伊賀忍者。幼少期から健脚を高く評価される優秀な忍び。しかし、その真価は遊び仲間さえ卑怯な手で出し抜く才能にあったが、本人は自覚していなかった。
- 織田信長の伊賀攻略戦直前に百地丹波守から、信長が狙う巻物を紀州にいる百地三太夫の所まで届ける役目を命じられる。その途上で巻物を開いたところ、ビリー・バットそっくりなコウモリが現れ、以後はコウモリの囁きに振り回される。幼馴染みの忍びに命を狙われ、心ならずも殺めてゆく。関わる人間が悉く死に絶え、故郷も焼かれたことで身も心もボロボロになり、自らに出来る唯一の抵抗として、巻物を土中深くに封印した。その後、隠遁し、石仏を彫って仲間たちと恩人ヤジロウの菩提を弔った。
- 百地丹波守
- 伊賀忍者の頭目。織田信長の伊賀攻略戦の窮地に大事な巻物を紀州にいる息子・三太夫に引き渡す役目を勘兵衛に与える。
- 百地三太夫
- 紀州忍者の頭目で丹波守の息子。父から渡される筈の巻物が行方不明となった為、服部家に忍びの一族を束ねる座を追われ家は没落する。隠遁していた勘兵衛のもとを訪れ、激昂して斬ろうとしたがコウモリの影に怯えて逃げ去る。ランディ、ジャッキーの祖先。
- なお天正伊賀の乱で戦死したとされるが、1595年頃まで存命していたという説もあり、劇中では関ヶ原の合戦の後、徳川の世となって以降も存命していたことになっている。
- フランシスコ・ザビエル
- イエズス会の宣教師で実在の人物。日本での宣教の後、明国にて病没。
- それを持つものは世界の支配者となれると言うコウモリの巻物を書き記し、死の直前、ヤジロウに地中に埋めるようにと手渡す。
- 月には巨大なコウモリの絵が描かれているという話をヤジロウに語っている。
- 耳須弥次郎(ヤジロウ)
- 勘兵衛の窮地を救った謎の老人。その正体は伊賀の忍びであり、かなりの手練れ。百地丹波守からは伊賀を裏切り信長を手引きしたと言われた。かつて島津家に雇われザビエルの護衛をしていた。ザビエルの薫陶を受けてキリスト教に改宗し厚い信頼を寄せられるが、今際の際にあったザビエルから巻物を託されるや有頂天となり、その死を看取ることもなく置き去りにして日本に戻った。その後、恩人に対する裏切りを悔い、自らと同じく巻物の運び人となった勘兵衛を手助けした。勘兵衛を狙う数多の追っ手を返り討ちにするが、吹き矢で殺される。
- 二代目服部半蔵
- 伊賀忍者の頭目の一人。百地丹波守が勘兵衛に託した巻物の行方を追っていたが、勘兵衛が百地三太夫に届けることなく封印した事を知って見逃した。その手元には写本が残されている。半蔵曰く、巻物は写本に比べて情報量が多すぎるとのこと。半蔵が鷹に運ばせていた写本は明智光秀の手に渡る。後に天下人となる徳川家康に仕えて異例の出世を遂げるが、そのきっかけとなったのは光秀の起こした「本能寺の変」で家康の危機を救ったことによる。
1920年代編の人物 [編集]
- “師匠”
- 本名不祥。自称漫画家。スキンヘッドに頬髭、欠けた歯が特徴の大男。胸にコウモリの入れ墨を持つ。軍部への風刺紙芝居により投獄された雑風が獄中で知り合った。雑風を待っており、将来危機が訪れる雑風を守るためゲイリーとシシーを殺すと告げる。
- その後、ロスアンゼルスに現れ、日系人連続殺害事件の現場にコウモリを書き残す。
- ゲイリー・デヴィヴェエ
- ロス市警の刑事。日系人連続殺害事件を追う。落ち着いた物腰で博学。特に日本の文化や風俗にはかなり詳しい。たまたま目にとまったシシーという花売り娘を助けたことから恋に落ち結婚する。
- 日本人娼婦に入れ上げた父が蒸発し、シングルマザーで苦労を重ねた母も10歳で失う。その後、警察官の養父に引き取られた。シカゴ市警、ニューヨーク市警とキャリアを重ねるが彼の居るところには不可解な事件が起きている。
- シシー・デヴィヴィエ
- ロスアンゼルスの貧しい花売り娘。東洋人の大男に襲われそうになったところをゲイリーに助けられて恋に落ち結婚する。ハリウッドスター・早川雪洲のファンだった。結婚後に“師匠”と出会ったことにより、夫とお腹に宿した息子の恐ろしい秘密を知ってしまう。
- 山懸
- 新潟出身。アメリカへの移住者でオレンジ農園で働く小作人。山懸金持ことケヴィンの父親。無愛想な正直者で生真面目な働き者。米国で行き倒れになりかけていた雑風を助ける。自ら発明した「高枝切りバサミ」を使っており、後に雑風の助言で庭師に転身したらしい。[1]
1940年代編の人物 [編集]
- アドルフ・ヒトラー(Adolf Hitler)
- 1944年脱走捕虜の中から蝙蝠の絵を選んだユダヤ少尉のみ生かし、チャックカルキン名のアメリカ国籍の認識票を渡し蝙蝠の絵をアメリカに広める使命を与える。
- 過去の歴史を書き換えられる巻物を手に入れた際には美術アカデミーに合格させてほしい、白を殺せ、月に行けるようにの願いをチャックカルキンに託す。
1950年代編の人物 [編集]
- ケヴィン・ヤマガタ(KEVIN YAMAGATA)
- アメリカ合衆国の漫画家で、日系2世。日本名は山縣金持(やまがた きんじ)。父は新潟県出身の庭師で、移民先のアメリカで貧困に苦しんだと言う。
- 太平洋戦争後、進駐軍の通訳として日本に配属されていた。戦後、コウモリのビリーが活躍する『BILLY BAT』というアメリカン・コミックを描いて人気を博するが、ある刑事が彼の漫画とそっくりな漫画を日本で見たと発言した事を契機に、再び日本へ渡る。盗作疑惑を晴らすために訪れた日本で『下山事件』を中心とする巨大な陰謀に巻き込まれる。その頃からコウモリが見えるようになる。後に日本滞在中に代筆を任せていたアシスタントのチャック・カルキンに裏切られる形で『ビリー・バット』という作品自体をまるまる盗まれてしまう事態に陥る。
- 帰国後、60年代に入ってからは、行方をくらませ、南部の片田舎で新作を執筆していた。コウモリに翻弄されるあまり、零落れて酒浸りとなってしまったが、街のみんなやスミスの献身的な支えを受けて立ち直る。後に起きる月面着陸やケネディ暗殺を予見しており、『ビリー・バット』の最終回にそれらを描いている。また、後に「暗殺実行犯」と目されてしまうオズワルドの末路も、ウサギのキャラクターの姿ながら克明に描写している。現実を直視して以降は、自らが書いてしまった漫画の筋書きが、実現してしまわぬよう、ダラスへ赴きオズワルドに接触し警告を与えるなど、奔走する。
- 代表作は『BILLY BAT』の他に『テキサス捕物帖ピストルヘアー荒野を行く』。
- 日本では人気映画スターの池部良に見間違えられるほどの二枚目。
- コウモリとの因縁は物心つく以前からの『宿命』とも呼べるものである。
- 唐麻雑風(からま ぞふう)
- 紙芝居描きから赤本作家に転身した漫画家。戦後すぐに出版した『こうもり小僧の大冒険』という漫画が人気を博す。『新宝島』を見て、手塚治虫の将来性を見抜き、将来のライバルといった。
- ケヴィンから盗作を謝罪されるが、模倣は当然のことと取り合わず、彼にオリジナルの存在を示唆した。後に、実は彼自身が“師匠”と呼ぶ別の人物と全く同じやりとりをしていたことが発覚する。
- ケヴィンに自らの原稿を託して失踪。その後、自身の書いたマンガの通りに下山事件、三鷹事件が発生し、警察の取調を受ける。その不思議な魅力は取調にあたった刑事さえも協力者にする。取調後、彼が路上に書いた絵ではその後起きる松川事件、朝鮮戦争も予見されていた。自らの遅筆を嘆いており、密かにケヴィンを後継者に指名した。
- 1920年、コウモリから未来を聞かされ、それを紙芝居にして上演するが、内容が軍部を愚弄するものであった為投獄される。その獄中で“師匠”と知り合った。1922年に来日したアルバート・アインシュタインからコウモリに関する重大な忠告を受ける。1924年に渡米しロスアンゼルスを目指す旅をしている。
- 60年代には和歌山県の光森村に潜伏して執筆活動を続けていた。ヘンリー・チャールズに命を狙われている。
- チャーリー・イシヅカ
- ケヴィンの友人の日系アメリカ人。日本姓は石塚。GHQの民間運輸局に所属し、国鉄の下山総裁の通訳を行っている。OSSでケヴィンに、コウモリが描かれた『黒蝙蝠写本』という古文書を見せる。
- 闇市の飲み屋でケヴィンと飲んでいる際に、『ビリーバット』が日本人の作品からの盗作であることをネタに、口止めとして彼から金を強請ろうと試みた後、何者かに殺害される。その後、ケヴィンらの手で線路上に遺体を放置され、轢断死体となった。
- シズ
- 心優しい売春婦。良心の呵責で酔い潰れていたケヴィンを介抱、傷ついた人々が密かに崇拝の対象としていたガード下のコウモリの絵を見せた。その後、事件をめぐって警察に追われるケヴィンを匿う。次第にケヴィンに好意を抱くようになるが、彼の持っていた雑風の原稿を読んでしまったことから何者かに襲われる。瀕死の状態で仲間たちに発見されるが、ケヴィンを逃がすため医者や警察を拒否。ケヴィンに夢を託し、その腕の中で絶命する。
- ホフマン警部補
- ロサンゼルス市警察の刑事。共産主義者炙り出し(赤狩り)の為にケヴィンに部屋の使用を要請する。赴任先の日本で『ビリーバット』に良く似た漫画を見たと発言した。
- レイノルズ巡査部長
- ロサンゼルス市警察の刑事。ホフマンと共にケヴィンの部屋を訪れる。『ビリーバット』のファン。
- 下山定則
- 実在の人物。国鉄の初代総裁。GHQから合理化の為に9万人の人員整理をさせられており、チャーリーがその交渉の通訳を務める。1949年7月5日、自宅を出て三越に立ち寄って以降消息を絶ち、常磐線の線路上で轢死体となって発見される(下山事件)。
- 白洲次郎
- 実在の人物。ケンブリッジ留学歴のある欧米通だが、終戦後は日本政府やGHQと距離を置く。「下山事件」の裏に陰謀の存在を認めながらもイタズラのようだとして取り合わない。来栖に捕まったケヴィンを旧知を装って救出した。
- スミス
- CIAのエージェント。恰幅の良い中年男で頭にはテンガロンハットを被る。GHQ内部の共産主義者を内偵しており、チャーリー・イシヅカを疑っている。チャーリーの失踪後、ケヴィンに彼の行方を尋ねる。下山事件の捜査に当初から介入する。
- 60年代に入り、アメリカに帰国後消息を絶ったケヴィンの行方を追う。南部の田舎町に隠棲していたケヴィンを発見し保護する。ケヴィンのファンを公言しており、作品にはかなり詳しい。
- 謎に深入りしすぎたせいで同僚であるCIAから狙われることになり、銃撃を受けながらケヴィンを逃がした。
- スミスの推論では二つの巨大な勢力が巻物を狙っているということで、来栖とフィニーがそこに関わることだけははっきりしていると告げている。
- 1981年、再び現れた彼は命を狙われたケヴィングッドマンを救う。
- 来栖(くるす)
- 目つきの鋭い中年男。東亜細亜興産という組織の人間で、日本復興財団という大蔵省の外郭団体にも出入りする。泥酔から醒めたケヴィンに、焼き鳥屋の店員と共にある取引を持ちかける。以降、ケヴィンの行く先に幾度となく姿を現し警告と恫喝を与えている。後に、アメリカに渡り、オズワルドと度々接触し、彼に指示や報酬を与えている謎の男。"ケネディ暗殺事件"にも関与していると思われる。ゴールデンコーラのテキーラ割りを好んで注文する。
- 1981年、ケヴィン・グッドマンのいるニュージャージー州に姿を現す。
- フィニー大尉
- 特別検閲官。凍るような異常な目つきの男。スミスと共にケヴィンの元を訪れるが、チャーリーがOSSから持ち出した古文書の行方を追っている。その後も、アメリカに戻ったケヴィンの行動を監視している。コウモリとそれを感知する者の関係を把握している人物。写本ではない大本の蝙蝠の巻物を手に入れれば、人間が蝙蝠を操れるようになるだろうと発言している。光森村で巻物を手に入れたケヴィン・ヤマガタの射殺指令を出す。
- 1981年、チャックカルキンの頼みによりケヴィングッドマンをボディーガードすることになる。
1960年代編の人物 [編集]
- トニー・グッドマン
- ゴールデンコーラ社の社長の息子。周囲の猛反対を押し切り、黒人の花嫁ダイアンを娶る。そのため、人種差別がまかり通っていた当時のアメリカ社会では珍しい白人と黒人の夫婦となる。自社製品ゴールデンコーラの国内シェア拡大を夢見る。フロリダのボトリング工場のマネージャーを務めていた際、工場内で白人と黒人間で労働待遇を巡る対立が勃発。そのとき黒人派のリーダー格だった若い女性が後の妻となった。一度は、異人種間の結婚を断念しかけていたが、ランディ・モモチの運転するタクシーに乗ったことから、劇的な再会を果たし二人は結ばれた。群衆をモーゼの十戒の如く、真っ二つに割る"奇跡"を起こしており、本人もそれを誇りにしている。
- 異人種間の結婚を法的に認めていたなかったフロリダ州を離れ、ニューヨークに移り、その後はダラスの支店長を命じられる。周囲からはこの移動を左遷と捉えられていたが、本人は良い門出だと考えており、移動の道中をハネムーンを兼ねた旅行だと語り楽しんでいた。しかし、南部テキサスの田舎町に立ち寄った際、恐るべき事件に巻き込まれる。しかし、そこで身を犠牲にして立ち向かう勇気を見せたことで人間的に成長し、事業の上でも大成功をおさめる。
- なお作中の世界では、ゴールデンコーラはアメリカ国内のシェア争いに敗れ全国的な人気を博すまでには至っていないが、フルシチョフに商品が気に入れられたため、ソ連で独占販売が行われているという設定。史実では、ペプシ・コーラに同様の逸話がある。
- 両親の反対により断念したが、若い頃は漫画家を志していたこともあり、ケヴィン・ヤマガタ版ビリーバットのカルト的な大ファン。ケネディ暗殺事件の際に、息子のケヴィンが尊敬するケヴィン・ヤマガタに命を救われたことに感動。彼を自宅に招待し、日本旅行をプレゼントする。
- 自分の周囲を巡る“あまりにも出来過ぎた運命”を訝しんでいるものの、コウモリの存在に関しては全く関知していない。
- ダイアン・グッドマン
- トニーの妻。黒人。ゴールデンコーラフロリダ支社の元従業員。ニューヨークでの結婚式で親族達に異議を唱えられ、花嫁衣装のまま会場から飛び出してタクシードライバーのランディに拾われる。コウモリの助言を受けたランディが駅まで送り届け、その後、ダイアンを探していたトニーも案内したことにより、二人は運命的に結ばれた。ケネディのパレードを息子とともに見物していた際に、息子ケヴィンの危機をケヴィン・ヤマガタに救われる。オタク傾向のある夫に理解を示す良き妻。
- ケヴィン・グッドマン
- ゴールデンコーラ支社長トニー・グッドマンの息子。混血児。父親がビリーバットの大ファンだったことから“真の作者”であるケヴィン・ヤマガタにちなんで名付けられた。
- 母親に連れられて見物していたケネディのパレードで流れ弾により危うく死にかけたが、ケヴィン・ヤマガタが咄嗟に庇ったことで命を救われる。その際にコウモリから後継者を宣告された。
- 幼いながらにコウモリの姿を見てその忠告を受けており、“お絵かき”に夢中になっていた。小学生時代自分の描く漫画を模倣と馬鹿にされ、壁の絵描きに奔る。
- 1981年、プリンストン大学の学生になった彼はある晩命を狙われたところをスミスに救われる。ビリーバットとは相棒の関係。
- チャック・カルキン
- ケヴィンの元アシスタント。気が弱く、繊細で神経質な青年。小柄で鼻が大きくメガネをかけている。漫画にかける情熱ではケヴィンに劣らず、彼を尊敬もしている。ケヴィンの失踪後、ビリーバットの連載を引き継いだが、ハードボイルドな路線の引き継ぎがうまく行かず、打ち切り寸前だったところに破格の条件で連載の依頼が舞い込み、作風やキャラクターが全く異なる新たな『ビリーバット』を描くようになる。契約の際に、ケヴィンが勝手に「ビリーバット」の著作権を売り渡したという“嘘”を信じ込まされたせいで、彼を恨んでいる。
- 作風や路線を変更したことで一躍子供達から人気を博することに。60年代にはビリーバットの原作者として巨万の富と名声を得ているものの、事実上のゴーストライターとしてハリウッドの豪邸で軟禁生活を送っている。
- チャック・カルキン<偽名>
- 鼻髭が特徴の伊達男。カルキンの前に現れて、明るいコメディ路線のビリーバットを絶賛し、その路線での執筆を破格の条件で持ち込む。ビリーバットが国民的人気を獲得するや、『作者』である“チャック・カルキン”として公の場に姿を現す。実はアドルフ・ヒトラーの指示の元動いていた。
- フィニーと協力関係にある。
- ランディ・モモチ(RANDY MOMOCHI)
- ニューヨークの日系人タクシー運転手。日本名は百地金持(ももち きんじ)。ビリー・バットのマスコットをタクシーにつるし、彼と会話しながら街を流している。名前の他に、両親が貧困に苦しんでいた、自身の名前も金に恵まれた人生を送ってほしいという両親の願いが込められているなど、ケヴィンとの共通点が多い。日本人としてのアイデンティティーがとりわけ強く、潔癖で誇り高い。客として黒人の花嫁を拾ったことから奇妙な運命の渦に巻き込まれていく。
- ゴールデンコーラの懸賞で日本旅行が当たり、娘と共に来日することになる。同じく光森村を目指していたケヴィンと合流することに。
- ジャッキー・モモチ
- ランディ・モモチの娘。大学で歴史学を専攻。父親同様、コウモリの声を聞き姿を感知する能力を持つ。バカな元カレと日本贔屓で説教臭い父親が悩みの種である以外はごく普通の少女。
- ケヴィン・ヤマガタ版の『ビリー・バット』を入手して以降、それまで、笑い声しか聞こえなかったコウモリの姿をはっきりと見て会話を交わせるようになる。当初はその薄気味悪さに困惑を隠せなかったが、コウモリに世界を破滅から救うためだと諭され、渋々ケヴィン・ヤマガタを探し出し、彼と紀伊半島のある地点に埋められた「カンベエの巻物」を探し出す使命を引き受ける。王冠を10個集めると日本旅行が当たるゴールデン・コーラを愛飲。大学の授業中、コウモリの半ば強引な指示に乗せられる形で、ザビエルの弟子であるヤジロウのことを調べて課題のレポートをまとめると宣言してしまった。
- ダラスでオズワルドと知り合い、お互いにコウモリを感知できる能力者であると知る。教科書ビルでケネディのパレードを見物中に狙撃事件が発生。一緒にいたオズワルドが犯人でないことや、上の階にいた真犯人グループである来栖らの顔を目撃してしまう。自分の身を犠牲にしたオズワルドに助けられ、どうにか逃げおおせる。
- 運命の悪戯により、ゴールデンコーラの懸賞旅行に当選。日本に向かう飛行機内でついにケヴィンと運命的な出会いを果たす。ケヴィンと話し合った結果、コウモリが示した和歌山県の光森村を目指すことになる。
- リー・ハーヴェイ・オズワルド
- 孤独がちで思慮深くナイーブな青年。"英雄"としてなにかを成し遂げたいという強い使命感を抱いている。
- 17歳で海兵隊に入隊し、1957年に日本の厚木基地に赴任。時を同じくして、マルクス主義者かつソ連のシンパを公言していたこともあり、上層部の命令によりロシア語の学習を始める。最優秀賞は取り逃すものの狙撃の名手でもある。1959年に除隊してソ連に亡命、同地でエレーナと結婚する。1962年に再びの亡命を敢行。帰米後はニュージャージー州に居住。その後、ビリーランドの従業員としての職を得るも、仕事に嫌気が差していたこともあり、客である子供の前で着ぐるみを脱ぎ、クビになる。
- 以後は白系ロシア人が多いダラスに移り住み、突如接触してきた来栖から国防総省関連の測量会社を紹介される。来栖の命令でその都度不可解な行動を行わされたきたが、エドウィン・ウォーカー少将の暗殺未遂の際にコウモリから干渉される。
- その後、コウモリの忠告で来栖の指示の不可解さや自身の在り方に深く悩むようになる。そんなときに、ニューオリンズの街外れでオズワルドを探していたケヴィンと出会う。ケヴィンから陰謀につながるストーリーから降りるよう宣告され泣き崩れ、一時はマリーナとのつましい生活を考えたが、コウモリから悪夢のような地球の未来を示される。ケヴィンを暗殺の魔の手から救ったオズワルドはケヴィンから未来について詳しい話を聞く。
- ケネディを庇うケヴィンを守るのが自分の役目と決意したオズワルドは教科書ビルでパレードを待っていたが、そこにケヴィンを探してダラスに来ていたジャッキーが現れる。ジャッキーとコウモリの話をした直後に銃声が起き、パレードが襲撃されたことを知る。
- ジャッキーの話から“真の暗殺犯”たちに顔を見られていることを知り、彼女を連れて逃走。逃げ込んだ映画館の中でコウモリからオズワルドが巻き込まれていた陰謀の全容を知らされる。世界中から憎まれる極悪人に仕立て上げられたことに絶望するが、ケヴィンが描く物語の中でだけは自らの真実がキチンと描かれることに唯一の希望を見出し、最後の使命として自らが囮となってジャッキーを無事に逃がし、警官隊に逮捕される。その後は護送中にジャック・ルビーに銃撃されて死亡するという史実通りの結末を迎える。
- マリーナ・オズワルド
- オズワルドがソ連亡命中に結婚したロシア人女性。英語がカタコトしか話せないせいで人付き合いも少ない。オズワルドのことを心から愛し心配しているが、彼を取り巻く状況には全く関知していない。
- 暗殺事件の際には妊娠しており、“子供たちの未来を守らなければ”という一言がオズワルドがダラスを去らなかった原因となる。
- ジョン・F・ケネディ
- アメリカ合衆国第35代大統領。アイルランド系移民の子孫。キューバ危機による全面核戦争の危機を乗り切る。アポロ計画により人類の月面着陸を成功させ、人種差別問題を解決する政策を打ち出すなどアメリカ繁栄の担い手となったが、テキサス州ダラスで暗殺される。暗殺の黒幕に関しては、今作中では、利害が一致した様々な勢力が暗躍していることが示唆されている。その業績から死後も高い人気を誇るが、マフィアとの癒着や、マッカーシーの行った赤狩りへの協力、女優マリリン・モンローとの不倫など後ろ暗い過去や醜聞も多い。
- 彼の登場と陰謀への関与を示唆するかのように作中作『ビリーバット』に犬の姿をした政治家として登場。後にケヴィンの口から彼がモデルと公言された。
- エドウィン・ウォーカー
- 元少将。右翼的傾向の強い人物であり、キューバでのカストロ暗殺を画策したが中止命令が下り、ワシントンにクーデターを仕掛けるべく架空の命令で部隊を動かそうとしたことで、事実上、ケネディに更迭させられた。
- 来栖の命令を受けたオズワルドに狙撃されるがコウモリの登場などもあって負傷するに留まった。結果的には、この暗殺未遂事件がケネディ暗殺の容疑から外す根拠となる。その後、本来はカストロ暗殺に用いられる筈だった計画と手段によってケネディを暗殺した。
- 山下
- イガグリ頭の少年で雑風の熱烈なファン。漫画好きで8マンなど他の作品も読むが雑風のことは神聖視さえしている。巻物を狙う一味の襲撃を察した雑風からケヴィンの似顔絵と原稿を託される。
- 明智小太郎=通称コニー・アケチ
- 日本が誇る特撮映画監督。四角い顔とヘビースモーカーが特徴。乱暴な言葉遣いの中にも知性を感じさせる天才型の男。数々の斬新なアイデアと徹底したリアリティの追求、革命的演出技法によりハリウッドからも一目置かれる存在。チャック・カルキン・エンタープライズ社の依頼により巨額の報酬と引き替えに「月に着陸する映画」を作ることになる。代表作は『大怪獣ガズラ』。
- 国鉄職員で技術屋の父を持ち、幼い頃から月世界への憧れを持ち続けていた。下山総裁とも旧知の間柄でお小遣いを貰っていた。「下山事件」のリハーサルとなったチャーリー・イシヅカの轢断を目撃しており、その際に現場にいたケヴィンの顔をはっきりと覚えている。
- 1981年、ミュージックビデオ監督業等をしている。
- モデルは円谷英二。
- ヘンリー・チャールズ・デヴィヴィエ
- 頭髪の後退した紳士然とした人物。人当たりが柔らかく日本語も堪能。ビリーランドの用地買収目的で光森村にやってくる。ビリーグッズで子供たちを手なづけるなどしていたが、その真の目的は巻物の回収と雑風とその著作を闇に葬ること。村の要人を次々と自殺に見せかけて殺害していき、ついには雑風にも魔の手を伸ばすが・・・。
- 1920年代編に登場するゲイリーとシシーの間に産まれた息子。
1980年代編の人物 [編集]
- オードリー・カルキン
画商。富豪チャックカルキン(偽名)の娘。ケヴィン・グッドマンの才能に目を付ける。
- バーナード・ピアーズ
ピアーズ国際警備のボス。州軍を支配下に置きケヴィン・グッドマンの命を狙う。
脚注 [編集]
- ^ ケヴィンが身の上を語った際に父親の職業が『庭師』になっている。
単行本 [編集]
- 第1巻 ISBN 978-4-06-372812-5 2009年6月
- 第2巻 ISBN 978-4-06-372853-8 2009年11月
- 第3巻 ISBN 978-4-06-372888-0 2010年3月
- 第4巻 ISBN 978-4-06-372922-1 2010年7月
- 第5巻 ISBN 978-4-06-372955-9 2010年11月
- 第6巻 ISBN 978-4-06-387001-5 2011年5月
- 第7巻 ISBN 978-4-06-387037-4 2011年7月
- 第8巻 ISBN 978-4-06-387078-7 2012年2月
- 第9巻 ISBN 978-4-06-387109-8 2012年5月
- 第10巻 ISBN 978-4-06-387141-8 2012年9月
関連項目 [編集]
- 火の鳥 (漫画) - 本作の設定と共通している。
- キリスト教
- サイエンス・ファンタジー
- 時系列シャッフル
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