アメリカ中央情報局
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アメリカ中央情報局(あめりか ちゅうおう じょうほうきょく、Central Intelligence Agency, CIA)は、アメリカ合衆国の諜報機関。国家情報長官によって統括されるインテリジェンス・コミュニティーの中核組織のひとつであり、アメリカ合衆国の国策遂行のために、情報収集・対外工作を行う機関である。所在地から取った通称であるラングレーという通称のほか、エージェンシーという通称もある。
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[編集] 概要
反米的な政権に対するクーデターの支援、外国の親米政党に対する秘密援助など、連邦政府・国務省が公的には出来ない“裏稼業”に関わる事から、「第二のアメリカ政府」、「見えない政府(invisible government)」、「クーメーカー(クーデターメーカー)」とあだ名される。敵指導者の暗殺や情報操作、プロパガンダ、民衆扇動などにも関わっていると考えられている。ホワイトハウス(大統領府)直轄で、米軍からは独立している。
また徹底した秘密主義、度々噂されるいくつかの“悪事”から、ほとんどの日本人の間ではいかにも怪しい組織といった印象が強いため、数々の功績があるにも拘らず、尊敬の対象というよりむしろ畏怖と疑念の対象として見られることも多い。イランや北朝鮮など反米国家においては、逆にテロ組織に指定されている。
[編集] 沿革
第二次世界大戦中のOSS(Office of Strategic Service―戦略事務局)がCIG(Central Intelligence Group―中央情報グループ)とOPC(Office of Political Cordination―政策調整局)を経て1947年国家安全保障法により改組。アメリカ合衆国の外交政策・国防政策の決定に必要な諜報・謀略活動(ヒューミント)を行い膨大な予算と権限を与えられているが、その活動の詳細は明らかにされておらず、アメリカ国民にとって一般に知られる訳にはいかない機密の保持、または証拠物件等を抹消する任務を帯びた組織であると説明される事が多い。
2006年7月18日に公開されたアメリカ国務省編纂の外交史料集[1]によると、冷戦時代にはアメリカ政府の反共政策に基づき日本の親米勢力や左派穏健勢力に秘密資金を提供していた。秘密資金の提供を受けたのは岸信介、池田勇人両政権下の自民党有力者と社会党右派(後に民社党を結党する勢力)とみられている[2][3]。これ以外にも世界中の数多くの親米政府・ゲリラなどに人材・資金面で交流・援助していると言われる。1950年代には中国に“解放”されたチベットの領土回復の為の、ダライ・ラマ14世による反中武装闘争組織チュシ・ガンドゥクを支援していた[4]。
映画や小説の中では、かの有名な、ジョン・F・ケネディ大統領の暗殺にも関与していたとされることもある。通称は本部所在地のバージニア州ラングレーにちなみ「ラングレー」。または「ザ・カンパニー」、「ザ・エージェンシー」などと呼ばれることもある。CIAが世界有数の強力な諜報機関になった背景には、かつてOSSの幹部を務め、後にアイゼンハワー政権下で8年間長官を務めたアレン・ダレスによる影響が大きいといわれる。
1980年代ソ連崩壊直前には、世界中で主要敵であるKGBの諜報員の離反を成功させるなどして冷戦の終結に貢献したが、冷戦後はCIAの予算も大幅に縮小される傾向にあった。その結果、諜報能力の低下を招きアメリカ同時多発テロを防げなかったという批判から2001年よりブッシュ政権下で予算は大幅に増額された。
一方、CIAはブッシュ政権下では機能が発揮されていないという指摘もある。ブッシュ政権下で勢力を増したネオコンは、CIAに対し不信感を持っていたため、国防総省の情報分析能力強化やネオコン派による独自の情報分析といった行動を行った。その結果、CIAはインテリジェンス・コミュニティーの主流派から外れ、十分に機能しなくなった。こうした流れは、2000年代後半まで続いた[5]。
[編集] 組織
- 国家秘密局:旧作戦本部。エージェントによる諜報情報の獲得
- 対外情報局
- 対外防諜局
- 技術サービス局
- 会計計画局
- 対テロ・センター
- 麻薬対策センター
- 情報本部:情報の処理・分析、情報資料の作成
- CIS情報分析局
- 欧州情報分析局
- 近東・南アジア情報分析局
- 東アジア情報分析局
- アフリカ・南米情報分析局
- 兵器科学研究局
- グローバル問題局
- 情報資源局
- 外国指導者情報分析局
- 科学技術本部:技術的情報収集手段の研究・開発
- 技術システム研究・開発局
- 傍受局
- 技術保障局
- 国外ラジオ放送情報局(FBIS)
- 行政本部:人事、訓練、施設の保安等
- 人事局
- 要員訓練局
- 保安局
- 会計局
- 情報保管・検索局
- コンピュータ機材局
- 通信局
- 計画本部:諜報活動の計画・調整
- 主任法律顧問課
- 主任監察官課
- 会計監査課
- 秘書室
- 会計計画課
- CIA史編纂課
- 暗号書簡課
- 公表検討会議
[編集] 長官
2005年4月21日以前、CIAの長官はCIAだけでなく 情報共同体(Intelligence Community)の長でもあったため、中央情報長官DCI (Director of Central Intelligence) と呼ばれていた。この日以降は CIA 専属の長官 DCIA (Director of the Central Intelligence Agency) となり、 インテリジェンス・コミュニティーはアメリカ合衆国国家情報長官が統括している。
これはThe Intelligence Reform and Terrorism Prevention Act of 2004(2004年の情報改革及びテロ予防法)により国家安全保障法が改正されたことを受けた措置である。副長官も、中央情報副長官DDCIがおり、通常軍人(中将)が任命される(もっともCIA本部で勤務するが)。CIAには副長官がおらず、次官だけ複数いる。例えば工作担当次官はDDO、情報担当次官はDDIなど。
なお、CIAの日々の業務は Exective Director of the Central Intelligence Agency (EXDIR) が総括することとなっている(2004年4月時点での組織図では、CIA長官の Deputy として DDCI、EXDIR の Deputy として D/EXDIR が記載されている)。
[編集] 歴代長官
| 氏名 | 任期 |
|---|---|
| シドニー・W・ソワーズ海軍少将 | 1946年1月23日 - 1946年6月10日 |
| ホイト・S・ヴァンデンバーグ空軍中将 | 1946年6月10日 - 1947年5月1日 |
| ロスコー・H・ヒレンケッター海軍少将 | 1947年5月1日 - 1950年10月7日 |
| ウォルター・ベデル・スミス陸軍中将 | 1950年10月7日 - 1953年2月9日 |
| アレン・ウェルシュ・ダレス | 1953年2月26日 - 1961年11月29日 |
| ジョン・マコーン | 1961年11月29日 - 1965年4月28日 |
| ウィリアム・F・レイボーン退役海軍中将 | 1965年4月28日 - 1966年6月30日 |
| リチャード・ヘルムズ | 1966年6月30日 - 1973年2月2日 |
| ジェームズ・R・シュレシンジャー | 1973年2月2日 - 1973年7月2日 |
| ウィリアム・E・コルビー | 1973年9月4日 - 1976年1月30日 |
| ジョージ・H・W・ブッシュ | 1976年1月30日 - 1977年1月20日 |
| スタンズフィールド・ターナー退役海軍大将 | 1977年3月9日 - 1981年1月20日 |
| ウィリアム・J・ケーシー | 1981年1月28日 - 1987年1月29日 |
| ウィリアム・H・ウェブスター | 1987年5月26日 - 1991年8月31日 |
| ロバート・M・ゲイツ | 1991年11月6日 - 1993年1月20日 |
| R・ジェームズ・ウルジー | 1993年2月5日 - 1995年1月10日 |
| ジョン・M・ドイッチ | 1995年5月10日 - 1996年12月15日 |
| ジョージ・J・テネット | 1997年7月11日 - 2004年7月11日(2004年6月3日に辞任) |
| ジョン・E・マクラフリン | 2004年7月11日 - 2004年9月24日 |
| ポーター・J・ゴス | 2004年9月24日 - 2006年5月5日 |
| マイケル・ヘイデン | 2006年5月5日 - |
ヘルムズには McGarrah というミドルネームがあるが、本人が嫌って M をつけないとされる。
[編集] 特記
冷戦終結後、慢性的な赤字に苦しむアメリカ政府の政策により、CIAに対する人員・経費削減等といった組織縮小などのリストラに対応すべく、日本の経済状況の分析や情報収集をはじめたともいわれている。
さらには、近年の対テロ戦争においては、時に軍部と協力し合い、時に単独に、オサマ・ビンラディンやサダム・フセインなどの捜索任務に当たっていたともいわれているが、秘密任務につき情報源も定かではなく、双方共に予測や噂の範囲を出ていない。2006年5月、“テロリスト関係者若しくはそれらと接触した人物”をアメリカ上陸の際に拉致同然に不法連行、国内法の及ばない地域(シリア――現在はイラク問題やレバノン問題において米国とシリアの関係が再度悪化しているので撤退した可能性が高い――やグァンタナモ米軍基地)の秘密収容所に、取調べを口実に収監していた事が判明して、アムネスティ・インターナショナルや母国政府が調査に乗り出す事態になっている。2006年9月、ブッシュ米大統領が秘密施設の存在を認め、この秘密施設でのCIAによる取調べを「CIAプログラム」と表現した。
FBIとの情報統合機関、国家情報局が設置され、発展的に解散すると言われている。
[編集] CIAが主導したとされる作戦・事件
- エイジャックス作戦(en:Operation Ajax) - イランのモハンマド・モサッデク政権転覆作戦。
- PBSUCCESS作戦 - グアテマラのアルベネス・グスマン政権転覆作戦。
- U-2撃墜事件
- ピッグス湾事件 - 反共キューバ人のクーデター支援(失敗)。
- 聞き耳ネコちゃん - 猫を使った盗聴作戦(失敗)。
- プロジェクト・ジェニファー - ソ連のゴルフ級潜水艦K-129のサルベージ作戦。
- チリ・クーデター - サルバドール・アジェンデ政権転覆。
この他にエジプトやイラクでの王制打倒クーデター、エルサルバドルやパナマ、ニカラグアなど主としてラテンアメリカ諸国の親米化工作にも一役買っている。
[編集] 有名なCIA局員 (長官を除く)
- ジム・アングルトン(Angleton, James Jesus "Jim" )
- レイ・S・クライン(Cline, Ray S.)
- エドワード・G・ランズデール大佐(Lansdale, Col.Edward G.,USAF)
- ジェリー・ドローラー(Droller, Jerald F.)
- テッド・シャクリー(Shacley, Theodere "Ted")
- E・ハワード・ハント(Hunt,Edward Howard "Ed")
- キム・ルーズベルト(Roosvelt, Kermit "Kim")
- ピアー・デ・シルバ
- ビル・ハーベイ(Harvey, William King "Bill")
- ビクター・マルケッティ
- J・C・キング大佐
- リチャード・ビッセル
- クレア・ジョージ(George, Clair Erloy)
- ルシアン・コネイン大佐(Conein,Lucien Emile Phellipe)
- ジョン・リチャードソン(Richardson, John Hammond "John")
- ジム・マッコード(McCord Jr.,James Walter "Jim")
- ロバート・エイムズ
- オルドリッチ・エイムズ
[編集] CIAを取り扱ったフィクション
[編集] 小説
※欧米の主なスパイ小説の殆どに登場している。日本の小説にも『007』シリーズによって名が広まることとなった。
- トム・クランシーによるジャック・ライアンシリーズ、その他長編
- ロバート・ラドラムによる「ジェイソン・ボーン」三部作、その他長編
- 大沢在昌による『追跡者の血統』『秋に墓標を』『氷舞』、その他長編
- 大藪春彦による「伊達邦彦」シリーズ、その他長編
[編集] 映画
- 五月の七日間 (1964)
- レッド・オクトーバーを追え! (1990) ジャック・ライアンシリーズ
- エル・マリアッチ (1992)
- 今そこにある危機 (1994) ジャック・ライアンシリーズ
- デスペラード (映画) (1995)
- ミッション:インポッシブル (1996)
- スパイ・ゲーム (2001)
- ボーン・アイデンティティー (2002)
- エージェント・コーディ (2003)
- リクルート (2003)
- レジェンド・オブ・メキシコ/デスペラード (2003)
- ボーン・スプレマシー (2004)
- シリアナ (2005)
- グッド・シェパード (2006)
- ボーン・アルティメイタム (2007)
[編集] テレビドラマ
[編集] 漫画
[編集] アニメ
[編集] ゲーム
[編集] 関連項目
- インテリジェンス・コミュニティー
- 国家情報会議
- 民航空運公司
- フライング・タイガース
- ジム・トンプソン
- クレア・リー・シェンノート
- オサマ・ビンラーディン
- デーブ・スペクター
- ザ・ワールド・ファクトブック
- ユナイテッド・フルーツ
- クラヴ・マガ
- 死の部隊
- 文化自由会議
- 米国民主主義基金
- アメリカ合衆国国際開発庁
- タビストック人間関係研究所
[編集] 注記・参考資料
- ^ Foreign Relations of the United States, 1964-1968, Vol. XXIX, Part 2, Japan(英語)
- ^ C.I.A. Spent Millions to Support Japanese Right in 50's and 60's New York Times, October 9, 1994(英語)
- ^ 左派弱体化狙い、秘密資金提供~CIAが50年前、日本の保革両勢力に U.S. FrontLine, 2006年07月19日
- ^ Lama Group Says It Got Money From C.I.Aニューヨークタイムス1998年10月6日
- ^ 『米国が12月に公開した国家文書に注目せよ 2008年米国の対外政策を読む』2008年1月21日付配信 日経ビジネスオンライン

