アメリカ合衆国国務長官

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』


アメリカ合衆国国務長官(アメリカがっしゅうこく こくむちょうかん、United States Secretary of State)は、アメリカ合衆国の外交を担当する閣僚。日本の外務大臣に相当する。

大統領が指名し、上院指名承認公聴会での質疑応答を経た後、上院本会議での賛成多数をもって就任が承認される。

初代国務長官はトーマス・ジェファーソン。現国務長官はコンドリーザ・ライスである。

目次

[編集] 概要

キッシンジャー国務長官宛てに書かれたニクソンの辞表(1974年8月9日)
キッシンジャー国務長官宛てに書かれたニクソンの辞表(1974年8月9日)

アメリカ合衆国国務長官は、国務省の長であり、閣僚の一員であるが、諸外国における外相よりも強力な権限を持ち、外交のみならず通商や国家行事なども統括することがある。

また内閣の首席閣僚であり、憲法および大統領権限継承法の定めるところにより、大統領が欠けた場合の昇格順で、副大統領下院議長上院仮議長に次いで第4位に位置づけられている。

このため国務長官のポストは政権の最重要人事であり、これによって政権の支持率までもが左右されることがある。1973年ニクソン大統領ベトナム和平交渉を主導し各界から信望を得ていたヘンリー・キッシンジャー国家安全保障担当大統領補佐官を国務長官に任命、政権の浮揚を計っている。キッシンジャーはこの直後にノーベル平和賞を受賞したためこの人事は大成功と思われたが、ニクソンは翌年ウォーターゲート事件によって辞任を余儀なくされる。このとき大統領が辞表を提出したのもキッシンジャーに対してだった。

[編集] 歴代国務長官

[編集] 国務長官

氏名 在任期間 大統領
就任 退任
1 トーマス・ジェファーソン 1790年3月22日   1793年12月31日 ジョージ・ワシントン
2 エドムンド・ランドルフ 1794年1月2日 1795年8月20日 ジョージ・ワシントン
3 ティモシー・ピカリング 1795年12月10日 1800年5月12日 ジョージ・ワシントン
ジョン・アダムズ
4 ジョン・マーシャル 1800年6月6日 1801年2月4日 ジョン・アダムズ
5 ジェームズ・マディスン 1801年5月2日 1809年3月3日 トーマス・ジェファーソン
6 ロバート・スミス 1809年3月6日 1811年4月1日 ジェームズ・マディスン
7 ジェームズ・モンロー 1811年4月6日 1814年9月30日 ジェームズ・マディスン
1815年2月28日 1817年3月3日
8 ジョン・クィンシー・アダムズ 1817年9月22日 1825年3月3日 ジェームズ・モンロー
9 ヘンリー・クレイ 1825年3月7日 1829年3月3日 ジョン・クィンシー・アダムズ
10 マーティン・ヴァンビューレン 1829年3月28日 1831年3月23日 アンドリュー・ジャクソン
11 エドワード・リヴィングストン 1831年5月24日 1833年5月29日 アンドリュー・ジャクソン
12 ルイス・マクレーン 1833年5月29日 1834年6月30日 アンドリュー・ジャクソン
13 ジョン・フォーサイス 1834年7月1日 1841年3月3日 アンドリュー・ジャクソン
マーティン・ヴァンビューレン
14 ダニエル・ウェブスター 1841年3月6日 1843年5月8日 ウィリアム・ハリソン
ジョン・タイラー
15 エイベル・アップシャー 1843年7月24日 1844年2月28日 ジョン・タイラー
16 ジョン・カルフーン[1] 1844年4月1日 1845年3月10日 ジョン・タイラー
17 ジェームズ・ブキャナン[1] 1845年3月10日 1849年3月7日 ジェームズ・ポーク
18 ジョン・クレイトン 1849年3月8日 1850年7月22日 ザカリー・テイラー
ミラード・フィルモア
19 ダニエル・ウェブスター 1850年7月23日 1852年10月24日 ミラード・フィルモア
20 エドワード・エヴァレット 1852年11月6日 1853年3月3日 ミラード・フィルモア
21 ウィリアム・マーシー[1] 1853年3月7日 1857年3月6日 フランクリン・ピアース
22 ルイス・カス 1857年3月6日 1860年12月14日 ジェームズ・ブキャナン
23 ジェレマイア・ブラック[1] 1860年12月17日 1861年3月5日 ジェームズ・ブキャナン
24 ウィリアム・スワード 1861年3月6日 1869年3月4日 エイブラハム・リンカーン
アンドリュー・ジョンソン
25 エリヒュー・ウォッシボーン 1869年3月5日 1869年3月16日 ユリシーズ・グラント
26 ハミルトン・フィッシ[1] 1869年3月17日 1877年3月12日 ユリシーズ・グラント
27 ウィリアム・エヴァーツ[1] 1877年3月12日 1881年3月7日 ラザフォード・ヘイズ
28 ジェームズ・ブレイン 1881年3月7日 1881年12月19日 ジェームズ・ガーフィールド
チェスター・アーサー
29 フレデリック・セオドア・フリーリングハイゼン[1] 1881年12月19日 1885年3月6日 チェスター・アーサー
30 トーマス・ベイヤード[1] 1885年3月7日 1889年3月6日 グロバー・クリーブランド
31 ジェームズ・ブレイン 1889年3月7日 1892年6月4日 ベンジャミン・ハリソン
32 ジョン・フォスター 1892年6月29日 1893年2月23日 ベンジャミン・ハリソン
33 ウォルター・グレシャム 1893年3月7日 1895年5月28日 グロバー・クリーブランド
34 リチャード・オルニー[1] 1895年6月10日 1897年3月5日 グロバー・クリーブランド
35 ジョン・シャーマン 1897年3月6日 1898年4月27日 ウィリアム・マッキンリー
36 ウィリアム・デイ 1898年4月28日 1898年9月16日 ウィリアム・マッキンリー
37 ジョン・ヘイ 1898年9月30日 1905年7月1日 ウィリアム・マッキンリー
セオドア・ルーズベルト
38 エリフ・ルート 1905年7月19日 1909年1月27日 セオドア・ルーズベルト
39 ロバート・ベイコン[1] 1909年1月27日 1909年3月5日 セオドア・ルーズベルト
40 フィランダー・ノックス[1] 1909年3月6日 1909年3月6日 ウィリアム・タフト
41 ウィリアム・ブライアン 1913年3月5日 1915年6月9日 ウッドロウ・ウィルソン
42 ロバート・ランシング 1915年6月24日 1920年2月13日 ウッドロウ・ウィルソン
43 ベインブリッジ・コルビー 1920年3月23日 1921年3月4日 ウッドロウ・ウィルソン
44 チャールズ・ヒューズ 1921年3月5日 1925年3月4日 ウォレン・ハーディング
カルビン・クーリッジ
45 フランク・ケロッグ 1925年3月5日 1929年3月28日 カルビン・クーリッジ
ハーバート・フーヴァー
46 ヘンリー・スティムソン 1929年3月28日 1933年3月4日 ハーバート・フーヴァー
47 コーデル・ハル 1933年3月4日 1944年11月30日 フランクリン・ルーズベルト
48 エドワード・ステティニアス 1944年12月1日 1945年6月27日 フランクリン・ルーズベルト
ハリー・トルーマン
49 ジェームズ・バーンズ 1945年7月3日 1947年1月21日 ハリー・トルーマン
50 ジョージ・マーシャル 1947年1月21日 1949年1月20日 ハリー・トルーマン
51 ディーン・アチソン 1949年1月21日 1953年1月20日 ハリー・トルーマン
52 ジョン・ダレス 1953年1月21日 1959年4月22日 ドワイト・アイゼンハワー
53 クリスチャン・ハーター 1959年4月22日 1961年1月20日 ドワイト・アイゼンハワー
54 ディーン・ラスク 1961年1月21日 1969年1月20日 ジョン・F・ケネディ
リンドン・ジョンソン
55 ウィリアム・ロジャース 1969年1月22日 1973年9月3日 リチャード・ニクソン
56 ヘンリー・キッシンジャー 1973年9月22日 1977年1月20日 リチャード・ニクソン
ジェラルド・フォード
57 サイラス・ヴァンス 1977年1月23日 1980年4月28日 ジミー・カーター
58 エドマンド・マスキー 1980年5月8日 1981年1月18日 ジミー・カーター
59 アレクサンダー・ヘイグ 1981年1月22日 1982年7月5日 ロナルド・レーガン
60 ジョージ・シュルツ 1982年7月16日 1989年1月20日 ロナルド・レーガン
61 ジェイムズ・ベイカー 1989年1月25日 1992年8月23日 ジョージ・H・W・ブッシュ
62 ローレンス・イーグルバーガー 1992年12月8日 1993年1月19日 ジョージ・H・W・ブッシュ
63 ウォレン・クリストファー 1993年1月20日 1997年1月17日 ビル・クリントン
64 マデレーン・オルブライト 1997年1月23日 2001年1月19日 ビル・クリントン
65 コリン・パウエル 2001年1月20日 2005年1月26日 ジョージ・W・ブッシュ
66 コンドリーザ・ライス 2005年1月26日 ジョージ・W・ブッシュ

[編集] 国務長官代理

国務長官が特別な理由で急に辞任したり、大統領が指名した後任の者を上院が正式に承認するまでの間は、国務副長官などの職にある者が国務長官の職務を代行する。

以下表中の「代」は兼任者が引き継いだ国務長官の歴代数に対応。同じ数字が続くところは代理が代理を引き継いでいるためである。

氏名 在任期間 兼任者
兼任 退任
2 ティモシー・ピカリング          1795年8月20日   1795年12月9日   陸軍長官          
3 チャールズ・リー 1800年5月13日 1800年6月5日 司法長官
4 ジョン・マーシャル 1801年2月4日 1801年3月4日 最高裁判所首席裁判官[2]
4 レヴィ・リンカーン 1801年3月5日 1801年5月1日 司法長官
7 ジェームズ・モンロー 1814年10月1日 1815年2月28日 陸軍長官[3]
7 ジョン・グラハム 1817年3月4日 1817年3月9日 国務省首席事務官
7 リチャード・ラッシュ 1817年3月10日 1817年9月22日 司法長官
8 ダニエル・ブレント 1825年3月4日 1825年3月7日 国務省首席事務官
9 アレクサンダー・ハミルトン 1829年3月4日 1829年3月27日
13 ジェイコブ・マーティン 1841年3月4日 1841年3月5日 国務省首席事務官
14 ヒュー・レグリー 1843年5月9日 1843年6月20日 司法長官
14 ウィリアム・デリック 1843年6月21日 1843年6月23日 国務省首席事務官
14 エイベル・アップシャー 1843年6月24日 1843年7月23日 海軍長官
15 ジョン・ネルソン 1844年2月29日 1844年3月31日 司法長官
19 チャールズ・コンラッド 1852年10月25日 1852年11月5日 陸軍長官
20 ウィリアム・ハンター 1853年3月4日 1853年3月7日 国務省首席事務官
22 ウィリアム・ハンター 1860年12月15日 1860年12月16日 国務省首席事務官
31 ウィリアム・ウォートン 1892年6月4日 1892年6月29日 国務次官補
32 ウィリアム・ウォートン 1893年2月24日 1893年3月6日 国務次官補
33 エドウィン・ウール 1895年5月28日 1895年6月9日 国務次官補
36 アルヴィー・エイディー 1898年9月17日 1898年9月29日 第二国務次官補
37 フランシス・ルーミス 1905年7月1日 1905年7月18日 国務次官補
41 ロバート・ランシング 1915年6月9日 1915年6月23日 国務省参事官
42 フランク・ライアン・ポーク 1920年2月14日 1920年3月12日 国務次官
48 ジョセフ・グルー 1945年6月28日 1945年7月3日 国務次官
51 フリーマン・マシューズ 1953年1月20日 1953年1月21日 国務副次官
53 リヴィングストン・マーチャント 1961年1月20日 1961年1月21日 政治担当国務次官
54 チャールズ・ボーレン 1969年1月20日 1969年1月22日 政治担当国務副次官
55 ケネス・ラッシュ 1973年9月3日 1973年9月22日 国務副長官
56 フィリップ・ハビブ 1977年1月20日 1977年1月23日 政治担当国務次官
57 ウォレン・クリストファー 1980年4月28日 1980年5月2日 国務副長官
57 ディヴィッド・ニューサム 1980年5月2日 1980年5月3日 政治担当国務次官
57 リチャード・クーパー 1980年5月3日 1980年5月3日 経済担当国務次官
57 ディヴィッド・ニューサム 1980年5月3日 1980年5月4日 政治担当国務次官
57 ウォレン・クリストファー 1980年5月4日 1980年5月8日 国務副長官
59 ウォルター・ストーセル 1982年7月5日 1982年7月16日 国務副長官
60 マイケル・アマコスト 1989年1月20日 1989年1月25日 政治担当国務次官
61 ローレンス・イーグルバーガー 1992年8月23日 1992年12月8日 国務副長官
62 アーノルド・カンター 1993年1月20日 1993年1月20日 政治担当国務次官
62 フランク・ワイスナー 1993年1月20日 1993年1月20日 国際安全保障担当国務次官


[編集] 注釈

  1. ^ a b c d e f g h i j k 後任の国務長官がが指名承認されるまで、次の大統領の下で短期間(8日以内)在任。
  2. ^ 国務長官が最高裁首席裁判官に転出したことに伴い、前任者本人が後任者承認までの期間を兼任。
  3. ^ 国務長官が陸軍長官に一時転出したことに伴い、前任者本人が国務長官に復職するまでの期間を兼任。

[編集] 外部リンク