アメリカ合衆国国務長官

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アメリカ合衆国国務長官
Department of state.svg
国務省紋章

John Kerry official Secretary of State portrait.jpg

現職者:
ジョン・ケリー
就任日: 2013年2月1日
初代 トマス・ジェファスン
設置日 1789年4月6日
大統領権限
継承順位
第4位
公式サイト www.state.gov

アメリカ合衆国国務長官(アメリカがっしゅうこくこくむちょうかん、United States Secretary of State)は、アメリカ合衆国外交を担当する閣僚日本外務大臣に相当する。

大統領が指名し、上院指名承認公聴会での質疑応答を経た後、上院本会議にて出席議員の3分の2以上の賛成多数をもって就任が承認される。

初代国務長官はトーマス・ジェファーソン、現国務長官はジョン・ケリーである。

概要[編集]

キッシンジャー国務長官宛てに書かれたニクソンの辞表(1974年8月9日)

アメリカ合衆国国務長官は国務省の長であり、閣僚の一員であるが、諸外国における外相よりも強力な権限を持ち、外交のみならず通商や国家行事なども統括することがある。

またアメリカ合衆国政府の首席閣僚であり、憲法の第2条第1節の6の規定に基づき制定された大統領権限継承法の定めるところにより、大統領が欠けた場合の継承順位副大統領下院議長上院仮議長に次いで第4位に位置付けられている。

国務長官のポストは実務的には大統領に次ぐ事実上のナンバー2に近い扱いであり、これによって政権の支持率までもが左右されることもあるため、政権の最重要人事である。1973年ニクソン大統領ベトナム和平交渉を主導し各界から信望を得ていたヘンリー・キッシンジャー国家安全保障問題担当大統領補佐官を国務長官に任命、政権の浮揚を計っている。キッシンジャーはこの直後にノーベル平和賞を受賞したためこの人事は大成功と思われたが、ニクソンは翌年ウォーターゲート事件によって辞任を余儀なくされる。このとき大統領が辞表を提出したのもキッシンジャーに対してであった。

歴代国務長官[編集]

国務長官[編集]

国務長官 在任期間 大統領
就任 退任
1 トマス・ジェファスン 1790年3月22日 1793年12月31日 ジョージ・ワシントン
2 エドムンド・ランドルフ 1794年1月2日 1795年8月20日 ジョージ・ワシントン
3 ティモシー・ピカリング 1795年12月10日 1800年5月12日 ジョージ・ワシントン
ジョン・アダムズ
4 ジョン・マーシャル 1800年6月6日 1801年2月4日 ジョン・アダムズ
5 ジェームズ・マディスン 1801年5月2日 1809年3月3日 トマス・ジェファスン
6 ロバート・スミス 1809年3月6日 1811年4月1日 ジェームズ・マディスン
7 ジェームズ・モンロー 1811年4月6日 1814年9月30日 ジェームズ・マディスン
1815年2月28日 1817年3月3日
8 ジョン・クィンシー・アダムズ 1817年9月22日 1825年3月3日 ジェームズ・モンロー
9 ヘンリー・クレイ 1825年3月7日 1829年3月3日 ジョン・クィンシー・アダムズ
10 マーティン・ヴァンビューレン 1829年3月28日 1831年3月23日 アンドリュー・ジャクソン
11 エドワード・リヴィングストン 1831年5月24日 1833年5月29日 アンドリュー・ジャクソン
12 ルイス・マクレーン 1833年5月29日 1834年6月30日 アンドリュー・ジャクソン
13 ジョン・フォーサイス 1834年7月1日 1841年3月3日 アンドリュー・ジャクソン
マーティン・ヴァンビューレン
14 ダニエル・ウェブスター 1841年3月6日 1843年5月8日 ウィリアム・ハリソン
ジョン・タイラー
15 エイベル・アップシャー 1843年7月24日 1844年2月28日 ジョン・タイラー
16 ジョン・カルフーン[1] 1844年4月1日 1845年3月10日 ジョン・タイラー
17 ジェームズ・ブキャナン[1] 1845年3月10日 1849年3月7日 ジェームズ・ポーク
18 ジョン・クレイトン 1849年3月8日 1850年7月22日 ザカリー・テイラー
ミラード・フィルモア
19 ダニエル・ウェブスター 1850年7月23日 1852年10月24日 ミラード・フィルモア
20 エドワード・エヴァレット 1852年11月6日 1853年3月3日 ミラード・フィルモア
21 ウィリアム・マーシー[1] 1853年3月7日 1857年3月6日 フランクリン・ピアース
22 ルイス・カス 1857年3月6日 1860年12月14日 ジェームズ・ブキャナン
23 ジェレマイア・ブラック[1] 1860年12月17日 1861年3月5日 ジェームズ・ブキャナン
24 ウィリアム・スワード 1861年3月6日 1869年3月4日 エイブラハム・リンカーン
アンドリュー・ジョンソン
25 エリヒュー・ウォッシボーン 1869年3月5日 1869年3月16日 ユリシーズ・グラント
26 ハミルトン・フィッシ[1] 1869年3月17日 1877年3月12日 ユリシーズ・グラント
27 ウィリアム・エヴァーツ[1] 1877年3月12日 1881年3月7日 ラザフォード・ヘイズ
28 ジェームズ・ブレイン 1881年3月7日 1881年12月19日 ジェームズ・ガーフィールド
チェスター・アーサー
29 フレデリック・フリリングハイゼン[1] 1881年12月19日 1885年3月6日 チェスター・アーサー
30 トーマス・ベイヤード[1] 1885年3月7日 1889年3月6日 グロバー・クリーブランド
31 ジェームズ・ブレイン 1889年3月7日 1892年6月4日 ベンジャミン・ハリソン
32 ジョン・フォスター 1892年6月29日 1893年2月23日 ベンジャミン・ハリソン
33 ウォルター・グレシャム 1893年3月7日 1895年5月28日 グロバー・クリーブランド
34 リチャード・オルニー[1] 1895年6月10日 1897年3月5日 グロバー・クリーブランド
35 ジョン・シャーマン 1897年3月6日 1898年4月27日 ウィリアム・マッキンリー
36 ウィリアム・デイ 1898年4月28日 1898年9月16日 ウィリアム・マッキンリー
37 ジョン・ヘイ 1898年9月30日 1905年7月1日 ウィリアム・マッキンリー
セオドア・ルーズベルト
38 エリフ・ルート 1905年7月19日 1909年1月27日 セオドア・ルーズベルト
39 ロバート・ベイコン[1] 1909年1月27日 1909年3月5日 セオドア・ルーズベルト
40 フィランダー・ノックス[1] 1909年3月6日 1913年3月5日 ウィリアム・タフト
41 ウィリアム・ブライアン 1913年3月5日 1915年6月9日 ウッドロウ・ウィルソン
42 ロバート・ランシング 1915年6月24日 1920年2月13日 ウッドロウ・ウィルソン
43 ベインブリッジ・コルビー 1920年3月23日 1921年3月4日 ウッドロウ・ウィルソン
44 チャールズ・ヒューズ 1921年3月5日 1925年3月4日 ウォレン・ハーディング
カルビン・クーリッジ
45 フランク・ケロッグ 1925年3月5日 1929年3月28日 カルビン・クーリッジ
ハーバート・フーヴァー
46 ヘンリー・スティムソン 1929年3月28日 1933年3月4日 ハーバート・フーヴァー
47 コーデル・ハル 1933年3月4日 1944年11月30日 フランクリン・ルーズベルト
48 エドワード・ステティニアス 1944年12月1日 1945年6月27日 フランクリン・ルーズベルト
ハリー・トルーマン
49 ジェームズ・バーンズ 1945年7月3日 1947年1月21日 ハリー・トルーマン
50 ジョージ・マーシャル 1947年1月21日 1949年1月20日 ハリー・トルーマン
51 ディーン・アチソン 1949年1月21日 1953年1月20日 ハリー・トルーマン
52 ジョン・ダレス 1953年1月21日 1959年4月22日 ドワイト・アイゼンハワー
53 クリスチャン・ハーター 1959年4月22日 1961年1月20日 ドワイト・アイゼンハワー
54 ディーン・ラスク 1961年1月21日 1969年1月20日 ジョン・ケネディ
リンドン・ジョンソン
55 ウィリアム・P・ロジャーズ英語版 1969年1月22日 1973年9月3日 リチャード・ニクソン
56 ヘンリー・キッシンジャー 1973年9月22日 1977年1月20日 リチャード・ニクソン
ジェラルド・フォード
57 サイラス・ヴァンス 1977年1月23日 1980年4月28日 ジミー・カーター
58 エドマンド・マスキー 1980年5月8日 1981年1月18日 ジミー・カーター
59 アレクサンダー・ヘイグ 1981年1月22日 1982年7月5日 ロナルド・レーガン
60 ジョージ・シュルツ 1982年7月16日 1989年1月20日 ロナルド・レーガン
61 ジェイムズ・ベイカー 1989年1月25日 1992年8月23日 ジョージ・H・W・ブッシュ
62 ローレンス・イーグルバーガー 1992年12月8日 1993年1月20日 ジョージ・H・W・ブッシュ
63 ウォレン・クリストファー 1993年1月20日 1997年1月17日 ビル・クリントン
64 マデレーン・オルブライト 1997年1月23日 2001年1月20日 ビル・クリントン
65 コリン・パウエル 2001年1月20日 2005年1月26日 ジョージ・W・ブッシュ
66 コンドリーザ・ライス 2005年1月26日 2009年1月20日 ジョージ・W・ブッシュ
67 ヒラリー・クリントン 2009年1月21日 2013年2月1日 バラク・オバマ
68 ジョン・ケリー 2013年2月1日 バラク・オバマ

国務長官代理[編集]

国務長官に限らず、上院における新閣僚の承認の手続きには、公聴会や委員会採決、本会議採決などに少なくとも数日から一週間の期間を要する。大統領選挙後の新政権発足時には通常新大統領がすべての閣僚を新たに指名するので、上院はその承認手続きで大忙しとなる。このため新大統領の就任までに新しい国務長官の承認が間に合わず、国務長官が短期間不在になることが多い。こうした事態を極力避けるため、今日では大統領当選者が就任前にあらかじめ新閣僚の指名を行い、上院はそれにもとづいて承認手続きをかなり早い時点で開始することが通例となっている[2]

また国務長官が死去したり職務不能になった場合や(ただしこれまでにそうした例はない)、国務長官が他のポストに転出したり、やむなき理由により直ちに辞任した場合にも、国務長官が一時的に不在になることがある。こうした場合は、大統領が指名した後任の者を上院が承認するまでの間、他の公職にある者が国務長官の職務を兼任というかたちで代理する。今日では国務省の次官級の役職にある者がこの代理をつとめることが多いが、かつては他省の長官や最高裁長官などがこれを兼任することもあった。

以下表中の「代」は代理者が引き継いだ国務長官の歴代数に対応。同じ数字が続くところは代理が代理を引き継いでいるためである。「本官」は代理者の本来の公職。

国務長官代理 在任期間 本官
兼任 退任
2 ティモシー・ピカリング 1795年8月20日 1795年12月9日 陸軍長官
3 チャールズ・リー 1800年5月13日 1800年6月5日 司法長官
4 ジョン・マーシャル 1801年2月4日 1801年3月4日 最高裁判所長官[3]
4 リーヴァイ・リンカーン 1801年3月5日 1801年5月1日 司法長官
7 ジェームズ・モンロー 1814年10月1日 1815年2月28日 陸軍長官[4]
7 ジョン・グラハム 1817年3月4日 1817年3月9日 国務省首席事務官
7 リチャード・ラッシュ 1817年3月10日 1817年9月22日 司法長官
8 ダニエル・ブレント 1825年3月4日 1825年3月7日 国務省首席事務官
9 ジェイムズ・ハミルトン 1829年3月4日 1829年3月27日 (民間人[5]
13 ジェイコブ・マーティン 1841年3月4日 1841年3月5日 国務省首席事務官
14 ヒュー・レグリー 1843年5月9日 1843年6月20日 司法長官
14 ウィリアム・デリック 1843年6月21日 1843年6月23日 国務省首席事務官
14 エイベル・アップシャー 1843年6月24日 1843年7月23日 海軍長官
15 ジョン・ネルソン 1844年2月29日 1844年3月31日 司法長官
19 チャールズ・コンラッド 1852年10月25日 1852年11月5日 陸軍長官
20 ウィリアム・ハンター 1853年3月4日 1853年3月7日 国務省首席事務官
22 ウィリアム・ハンター 1860年12月15日 1860年12月16日 国務省首席事務官
31 ウィリアム・ウォートン 1892年6月4日 1892年6月29日 国務次官補
32 ウィリアム・ウォートン 1893年2月24日 1893年3月6日 国務次官補
33 エドウィン・ウール 1895年5月28日 1895年6月9日 国務次官補
36 アルヴィー・エイディー 1898年9月17日 1898年9月29日 第二国務次官補
37 フランシス・ルーミス 1905年7月1日 1905年7月18日 国務次官補
41 ロバート・ランシング 1915年6月9日 1915年6月23日 国務省参事官
42 フランク・ポーク 1920年2月14日 1920年3月12日 国務次官
48 ジョーゼフ・グルー 1945年6月28日 1945年7月3日 国務次官
51 フリーマン・マシューズ 1953年1月20日 1953年1月21日 国務副次官
53 リヴィングストン・マーチャント 1961年1月20日 1961年1月21日 国務次官(政治担当)
54 チャールズ・E・ボーレン 1969年1月20日 1969年1月22日 国務副次官(政治担当)
55 ケネス・ラッシュ 1973年9月3日 1973年9月22日 国務副長官
56 フィリップ・ハビブ 1977年1月20日 1977年1月23日 国務次官(政治担当)
57 ウォレン・クリストファー 1980年4月28日 1980年5月2日 国務副長官
57 デイヴィッド・D・ニューサム 1980年5月2日 1980年5月3日 国務次官(政治担当)
57 リチャード・クーパー 1980年5月3日 1980年5月3日 国務次官(経済担当)
57 ディヴィッド・ニューサム 1980年5月3日 1980年5月4日 国務次官(政治担当)
57 ウォレン・クリストファー 1980年5月4日 1980年5月8日 国務副長官
59 ウォルター・ストーセル 1982年7月5日 1982年7月16日 国務副長官
60 マイケル・アマコスト 1989年1月20日 1989年1月25日 国務次官(政治担当)
61 ローレンス・イーグルバーガー 1992年8月23日 1992年12月8日 国務副長官
62 アーノルド・カンター 1993年1月20日 1993年1月20日 国務次官(政治担当)
62 フランク・ウィズナー 1993年1月20日 1993年1月20日 国務次官(国際安全保障担当)
66 ウィリアム・バーンズ 2009年1月20日 2009年1月21日 国務次官(政治担当)

注釈[編集]

  1. ^ a b c d e f g h i j k 後任の国務長官が指名承認されるまで、次の大統領の下で短期間(8日以内)在任。
  2. ^ 例えばオバマ大統領の第一期目の内閣で国務長官をつとめたヒラリー・クリントンの場合、その指名・承認の経緯は以下の通りだったが、これだけ前もって手続きを始めても承認が新大統領の就任式に間に合わず、結果的に1月20日正午から21日午後までの1日間国務長官が不在となり、代理をおいたことがわかる。
    • 2008年11月 4日 大統領選挙でオバマ候補の勝利が確定。
    • 2008年11月中旬 オバマ次期大統領がクリントン上院議員に次期国務長官就任を打診。
    • 2008年11月21日 クリントン上院議員が次期国務長官就任を受諾。
    • 2008年12月 1日 オバマ次期大統領がクリントン上院議員を次期国務長官に正式に指名。
    • 2009年 1月 3日 第111議会が開会。
    • 2009年 1月 8日 大統領選挙人団による投票でオバマ次期大統領を正式に選出。
    • 2009年 1月13日 上院外交委員会がクリントン上院議員を召還し公聴会を開始。
    • 2009年 1月15日 上院外交委員会が賛成16反対1でクリントン次期国務長官を承認。
    • 2009年 1月20日 正午をもってオバマ大統領が就任。
    • 2009年 1月21日 上院本会議が賛成94反対2でクリントン次期国務長官を承認、同日午後クリントン第67代国務長官が就任。
  3. ^ 国務長官が最高裁長官に転出したことに伴い、前任者本人が後任者承認までの期間を兼任。
  4. ^ 国務長官が陸軍長官に一時転出したことに伴い、前任者本人が国務長官に復職するまでの期間を兼任。
  5. ^ 弁護士。初代財務長官アレクサンダー・ハミルトンの三男。ジャクソン大統領との個人的な親交により、任命者承認までの期間を特例として代理。

外部リンク[編集]