親米

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親米(しんべい、: Pro-American)とは、政治・経済・社会・文化などの面で、アメリカ合衆国への親近感を持つ感情である。対義語は反米

概説[編集]

アメリカ合衆国(米国)と自国との間に多くの共通の利益を見出し、米国との関係の強化を通じてこそ自国を利する事ができると考え、米国との関係を優先した外交や政治を行う。軍事面では、アメリカと同盟関係を結ぶ事で、自国の安全保障をより強固にできると考える立場。経済面では、米国との交易を盛んにする事で、経済を発展させることができると信じる立場である。

主な親米国家としては、日本韓国タイフィリピンイスラエルサウジアラビアオマーンアラブ首長国連邦コロンビアブラジルオーストラリアグルジアなど。北大西洋条約機構(NATO)加盟諸国もイギリスを筆頭に基本的に親米国といえる。

なお、親米である事と内政が自由主義民主主義体制であるか否は関係がない[1]

歴史的経緯[編集]

各国における親米政策は、冷戦時代にソビエト連邦への脅威に対峙する必要性、即ち反共主義から発生した例が多い。ソビエト連邦が崩壊した現在、北欧や東南アジアなどのいくつかの国が全方位外交に移行したが、冷戦終結後の現在でも、かつてソビエト連邦の衛星国であり現在もロシア連邦の脅威が意識されている中欧の国々、周辺をロシア・中華人民共和国・アメリカ合衆国という軍事大国に囲まれた東アジアの国々、米国の庇護下にある中米太平洋の一部の国々、周辺のアラブ諸国と対立しているイスラエルなどでは、親米の外交方針を採用している。欧州では地域統合の動きが進んでおり、米国から独立した全方位外交を採用する国も少なくないが、冷戦時代、米国の外交戦略の主軸であったNATOの枠組みは維持され、旧東側の中欧諸国へと拡大している。

東アジア・東南アジアでは、日本国中華民国大韓民国タイ王国フィリピンが親米国家である。これらの国は米国と個別に軍事同盟を組み(東南アジア条約機構が解散した1977年7月以降、北西アジアに集団安全保障体制は存在しない)、軍事力で共産主義国家や国内の共産主義勢力と対峙することを通じて、米国と密接な関係を築いてきた。東南アジアでは近年緊張緩和が進んでおり、タイやフィリピンは米国との関係も重視しつつも、東南アジア諸国連合加盟国との連携を基調とした全方位外交に移行している。一方で東アジアでは、1991年にソビエト連邦が解散して以後は中国・北朝鮮の脅威が近年増しているとされ(中国脅威論。これ以前の1980年代まで、つまり冷戦中は「ソ連脅威論」が喧しく謂われていた)、日本と韓国は依然として米国との軍事同盟を外交の主軸としている(特に、朝鮮戦争が完全終結しておらず、韓国は準戦時体制である。一方で盧武鉉政権下では、特に外交部(外務省)では親米派であると決めつけられたら将来がないと報じられていたという[2])。

親露国家は、現在でも名目上は共産主義社会主義を名乗っている軍事独裁国家(北朝鮮ミャンマーなど)を支持する主張を続け、親米国家は表向き民主主義国家への支持を掲げている。もっとも、親米国にもアラビア半島所在の諸国[3]リビア、ムバラク政権当時のエジプト、王制当時のイラン、反共体制維持のために後押しを受けた南アメリカの諸国など絶対君主制軍事政権独裁政権の国家がある。

日本では、19世紀開国以来、アメリカは主要な友好国の一つであり、1920年代まではイギリス・アメリカとの同盟関係が外交の基軸であった。日英同盟の“発展的解消”を謳った四カ国条約が締結されて後、1930年代以降反米傾向が強まり太平洋戦争に至ったが、この時期でも宮中・海軍・外務省・財界などで親英米派は一定の勢力を保っていた。

ダグラス・マッカーサーが率いる米軍(連合国軍)の占領政策転換で日本が民主主義の実験場から反共主義化され、反米的言論が規制されると(→プレスコード)、公職追放されていた右翼政治家・官僚・言論人が親米派へ転向する見返りに社会復帰するという「逆コース」の流れが定着する。これにより、かつては革新官僚だった岸信介を始め、日本の政治家・官僚・言論人は親米保守が本流となる。例えば、日本の大手マスコミを中心とした言論界は総じて親米保守の立場を取る。親米保守の言論人や学者は、総じて中国北朝鮮ロシアに対してタカ派の意見を持つ者が多く(この反動で中華民国・親北朝鮮政権でないときの韓国には融和的)、思想的には石原慎太郎などのオポチュニストの発言を代表例として示すことが出来る。代表的な親米保守の言論人・学者としては、古森義久などフジサンケイグループのジャーナリスト、岡崎久彦など外務省アメリカスクール(英語研修組)OBの外交評論家、福田恆存など西洋古典学派の文学者、高坂正堯など現実主義派の国際政治学者などが挙げられる。

岸信介・安倍晋太郎安倍晋三(この三人は一族でもある)など保守傍流の親米派は韓国の旧軍事政権の親米派・親米保守政党のハンナラ党とも交流を持っていて、発言にもみられるように基本的に韓国には好意的である。また、韓国発祥の反共団体国際勝共連合と深い関係を持っていたが、冷戦構造崩壊で、勝共連合の母体である統一協会が北朝鮮と親密になってからもは関係がほぼ断絶している。

2007年10月6日には、親米国家で計画されている、アメリカのミサイル防衛計画や、NATOの拡大などを批判し、親露国家やロシアと密接な関係にある7箇国で、CSTOとして海外への軍隊派遣なども可能とする「平和維持部隊」の創設も具体化し、今後の両者の動きが注目されている[4]

経済活動では、アメリカ式の大量生産・大量消費型の企業が増え(代表例:ユニクロコンビニエンスストアイオン等)、日本の証券取引所に上場している外資系企業の政治献金を認める政治資金規正法改正案を成立させ、アメリカ人を中心とした外国資本系企業による日本経済、日本社会への進出にも賛成している。また、中央情報局は戦前の巨大な官僚組織を温存しつつ、発展してきたため、国際通貨基金などに増税財政再建を要請されると、これを拒否出来ない傾向にある[5]。その代表例が、1989年竹下登消費税導入である。

政権交代2009年から2012年まで与党だった民主党の中にも「税と社会保障の一体改革」を標榜する与謝野馨仙谷由人藤井裕久などの親米経済論者がおり(この勢力は党内右派の前原誠司凌雲会)や野田佳彦花斉会)の勢力と密接な関係を持つ。)、環太平洋戦略的経済連携協定への参加や辺野古移転方針、思いやり予算の維持など米国の意向が強く反映された施策を進めている[6]

脚注[編集]

関連項目[編集]

外部リンク[編集]

(以上、「北朝鮮に拉致された日本人を救出するための全国協議会」より)