アメリカ合衆国の警察

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アメリカ合衆国の警察(アメリカがっしゅうこくのけいさつ)について以下に解説する。

目次

概要 [編集]

アメリカ合衆国連邦制であることに加え、自治の権限が高いことから、連邦、、市、町、村の各政府が、自組織が治める領域(管轄。多くは行政区画)ごとに独自の警察を設置できる。(日本の皇宮警察麻薬取締官、廃止となった鉄道公安官のような特別な法執行機関も多数存在し、日本では考えられないような組織にも警察権が与えられている。)

警察と言えば良く知られるのがPoliceであるが、各州の郡(County)などに置かれるSheriffや、郡や市町村におかれるMarshalConstableの方が歴史が古い。Policeの起源は、保安官を補佐する目的で設置された市民自警団まで遡る。自警団は市長が召集するなどし、保安官を補佐して治安維持に当たっていた。各地の自警団は19世紀から"Police Department"として改組・設置されていき、1845年ニューヨーク市警察[1]1854年ボストン市警察[2]1889年ロサンゼルス市警察が発足している[3]。何れも夜警や、市や郡の法執行官を補佐する自警団を起源としている。以後は各地で市警察が改組・設置されていき、今日に至る。

この歴史が示す通りPolice以外にも警察活動を行う法執行機関が非常に多く、日本では、MarshalやConstableなども保安官と訳されること多い。独りで地域を護るタウンマーシャルのようなものから約38,000名の警察官を擁するニューヨーク市警察まで、法執行機関の数は官民合わせて20,000前後あるとも言われ、都市部では法執行官でさえ自分の管轄内に知らない法執行機関があるほど複雑である。

職員 [編集]

米国の警察も転職市場の例外ではなく、生涯下級の警官職で過ごすものを除けば、上級職、指定職は転職を経験しなくては就任できないのが実情である。また、警察署長、刑事部長クラスは、必ずしも警察官、捜査官の経験のないものがつくことも多く、州や群の高級官僚が就任することもおおい。そして、警察人事にもっと影響を与えるのは、政治家の任免権であることが日本と大きく異なっている。州知事が交代すると直接警察署長や警察幹部職員を任命終了(実質解任)したり、任命したりすることができるのは、日本では考えられないことである。このため、警察幹部はつねに知事や議員の顔色を伺うこととなる。

終身雇用が基本の日本の警察官と異なり、より良い雇用条件や栄達を求めて他組織へ転職する法執行官も珍しくない。アメリカの警察官向けwebマガジン「POLICE」などには、様々な機関の警察官募集の広告が掲載されている。同誌でみると、巡査級だけでなく、巡査部長級以上の管理職級を募集する機関も多い。大学以上の高等教育機関犯罪学犯罪心理学等の専門教育を受けていれば、より良い転職先を求めることもできる。警察本部長級であれば、経営学法学などの学位や法執行官の高級幹部課程が履修済みであることなど、かなり高等な条件が定められている。日本と同じような警察官採用試験もあるが、頻度は機関によって大きな差があり、年一回程度のところから、ニューヨーク市警察のように平日は必ず執行する機関まで幅広い[4]

日本では考えられないが、「警察官協会」という労働組合まで存在し、ストライキが打たれる事もある。

アメリカの警察とアイルランド文化 [編集]

アイルランド系アメリカ人」の項目も参照

移民としては比較的後発であったアイルランド系移民は、職業の選択肢が狭かったことや彼らの気質にあっていたことから、危険な仕事として人々から敬遠されがちだった警察消防の仕事に就く事が多かった。彼らによってもたらされたアイルランド文化は、やがて警察や消防の文化として根付くこととなり今日に至る。アイルランド家系では、代々に警察官や消防官がいることは珍しくない。「ロボコップ」のアレックス・マーフィーも、アイルランド系であったがゆえに、殉職後ロボコップに再生されたという設定になっている。

アイルランド文化の例としてもっとも良く知られているのは、バグパイプを中心とする鼓笛隊が式典で演奏することであり、警察学校の卒業式や殉職した職員の葬儀、聖パトリックの祝日のパレードなどでは、機関毎に結成されている鼓笛隊の演奏が全国で見られる。この鼓笛隊は、アイルランド系民族団体「エメラルド・ソサイエティ」(Emerald Society)によって担われていることが多く、通常はボランティアである。葬儀での演奏は元々はアイルランド文化ではあるが、現在は殉職者の宗教や人種に関係なく機関葬のやり方として行われることが多い。

各機関の管轄・役割 [編集]

連邦政府の法執行機関 [編集]

連邦政府により設置される法執行機関をまとめる。

司法省 [編集]

国土安全保障省 [編集]

そのほか [編集]

警備員を雇わず、機関毎に警察権を持ち所属警察官によって所管施設を警護しているのが日本との最大の違いである。つまり、自分の管轄外では、現行犯人に対応する場合以外は権限を振るう事は出来ない。

などなど。

州政府の法執行機関 [編集]

州政府により設置される法執行機関をまとめる。

ステート・シェリフ [編集]

ステート・シェリフは、州保安官である。後述の郡保安官が起源であり、名称が同じだけで州保安官は一般的ではなく、職務内容も異なる。ハワイとロードアイランドの2州だけが、州全域を担当する保安官組織を持つ。

  • ハワイ州では、州公安省保安局(The Sheriff Division of the State Department of Public Safety)が州警察の役割を兼ねており、州単位の警察は置かれていない。
  • ロードアイランド州では、州保安官局(Division of Sheriff)があるが、通常は裁判所の警備など、司法体系の保護活動のみ行っているため、州警察も併置されている。

ステート・マーシャル [編集]

ステート・マーシャルは、多くの場合、州裁判所執行官である。連邦保安官と同じような職務、あるいは裁判所警備などを担当するコートオフィサーとしての職務を行うことが多いが、刑法の執行官というよりも民事事件での仕事が中心であることも多い。

  • コネチカット州では、州単位でのマーシャルシステムを持つ。法執行官であるが、民事訴訟のみ扱い、民事事件での逮捕のみを行う。法執行権力は担当事件においてのみ有効。
  • メイン州では、司法制度における法執行や警備、州裁判官の保護を行う。副執行官は州法執行官であり、州内全域での権限がある。

ステート・コンスタブル [編集]

ステート・コンスタブルは、定訳が存在せず、コンスタブル、州治安官、州保安官と訳されることが多い。連邦内共通の定義などはなく、州内でさえもその役割が異なることによる。歴史は古いものの、一般に馴染みの薄い役職である。単に令状の送達しかしない場合もあるが、州によっては、警察権が与えられ、令状の執行を行う場合もある。

歴史的には植民地時代からイギリスと同様、課税と徴税を中心に、統治者と郡の指令に基づいて執行する存在であったが、19〜20世紀初頭に現代の警察組織ができると、コンスタブルは改変あるいは廃止された。イギリスではそのまま警察組織として転化させたが、アメリカではコンスタブルと並んでシェリフやポリスが併設された。恐らくはこのため、コンスタブルという呼称はアメリカの警察の階級としては使用されていない。

  • ペンシルベニア州では、州の統一司法制度下におけるコートオフィサーとしての法執行官である。6年ごとの選挙によって選出される(欠員補充の場合は郡の裁判長の任命による)3,800人ほどのステート・コンスタブルが、令状の送達、逃亡者と容疑者の逮捕を中心に、治安判事裁判所と郡裁判所の警備、囚人の護送、選挙日における投票所の警備に当たっている。これらコンスタブルは、特定の法執行機関に属するわけではないため、給料制ではなく、州の定めた報酬が支払われる。また、活動にかかる経費も個人の負担である。
  • ロードアイランド州では、地方裁判所の裁判長に認可されたコートオフィサーであり、令状に基づいて、保安官・副保安官と同じ職務を行う。
  • サウスカロライナ州では、州知事に任命された法執行官であるが、単独で行動する法執行機関ではなく、州内の法執行機関を補助する目的で設置されている。
  • テキサス州では、シェリフとほぼ同じ職務内容で、郡内だけでなく州内全域の治安判事管区で警察権の行使が可能である。郡内外の治安維持や、犯罪者を逮捕して裁判所に出頭させること、令状の執行などを行っている。

ステート・ポリス [編集]

ステート・ポリスは、州警察である。ステート・ポリスState Police)、ステート・パトロールState Patrol)、ステート・トルーパーState Trooper、直訳では“州騎兵”だがこれは西部開拓時代に馬でパトロールしていた事に因む呼称。最初級の執行官の階級も「オフィサー」ではなく「トルーパー」)、ハイウェイ・パトロールHighway Patrol)などと呼ばれ、ほとんどの州ではいずれか、あるいは複数の組織が置かれている。

多くは公安省(Departmebt of Public Safety)や運輸省(Department of Transportation)に属する。州知事が警察長を任命し、指揮監督させる。一般的には、郡市町村の法執行機関に属さない地域での警察業務、複数の州内地方政府にまたがる犯罪捜査、州間道路での取締り、州知事の警護や州議会の警備、独自の警察学校を維持管理できない組織の法執行官養成や科学捜査の協力などを行う。

  • アリゾナ州では、公安省下に「Highway Patrol」「Criminal Investigations」「Agency Support」「Criminal Justice Support」の4部門が置かれている。
  • アーカンソー州には、ステートポリスがあり、ハイウェイパトロールを擁するほか、議会、病院、大学などに州政府の設置した警察組織がある。
  • カリフォルニア州では、1995年に、より知名度のあるカリフォルニア・ハイウェイ・パトロールがステートポリスを吸収合併する形になったため、従来の交通取締のみならず、犯罪捜査や州の施設・水道システム・要人の保護なども行っている。そのほか多くの法執行機関がある。詳しくは「そのほか」を参照。
  • ジョージア州では、公安省下にステートパトロール(州道上での交通事故調査や交通・刑法執行)、キャピトルポリス(Capitol Police、州政府議事堂エリアでの犯罪検挙・防止、交通規制の実施)、MCCD(Motor Carrier Compliance Division、Motor Carrier Safety Assistance Programに基づき、運送業車両の安全検査などを実施)がある。
  • マサチューセッツ州警察が1865年に、全国初の州警察として設立。

そのほか [編集]

カリフォルニア州の場合、以下のような法執行機関がある。

  • 司法省(Department of Justice)違法薬物、不正医療行為、集団犯罪をはじめ、様々な捜査活動を行う。
  • 州立大学警察(University of California Police)大学構内で警察活動を行う。爆発物処理班もある。
  • 大学警察(State University Police)統一された名称を持つが、組織は大学毎に異なり、大学構内で警察活動を行うが、警備員のみの組織もある。
  • 漁猟省(Department of Fish and Game)漁猟法に基づき、無許可漁猟、収穫規制などに関する法執行業務を行う。
  • 公園娯楽省(Department of Parks and Recreation)パークレンジャーとライフガードが州の公園組織内で警察活動を行う。同様にPark PoliceやPark Patrolが設置されている州もある。
  • 森林省(Department of Forestry and Fire Protection)消防保安官などを擁する。部局の違いこそあれ、多くの州で消防保安官事務所が設けられている。
  • 酒類管理局(ABC-Alcoholic Beverage Control)酒類法に基づき、販売店や酒場での酒類販売許可の検査や、違法行為(主に、21歳未満の者に対する酒の闇販売)に関する法執行業務を行う。
  • 州博覧会警察(California State Fair Police)サクラメントにある同会場内で警察活動を行う。
  • 車両省(Department of Motor Vehicle)捜査員は車両や免許証に関する不正行為などを捜査するが、ハイウェイパトロールなどと共同する場合が多い。
  • 精神保健省 病院警察(Department of Mental Health, Hospital Police)州立病院内で警察活動を行う。
  • 州危機管理庁(OES-Office of Emergency Services, Law Enforcement Division)地方法執行機関が異常事態に対応するときの援助などを行うが、同庁に法執行部門が置かれている州は珍しい。
  • エクスポジション公園(Exposition Park)ロサンゼルス南部にある同公園内での警備活動を行う。同公園自体が博物館複数やホールを擁するなど、日本の上野公園などに相当する存在(en:Exposition Park (Los Angeles))。
  • 州議会 警備官(California State Senate, Sergeant-at-Arms)州議会の議員および職場の警備活動を行う。多くの州では州政府議事堂警察(Capitol Police)などが置かれている。
  • 開発施設省(Department of Developmental Services)州立開発センター内での警察・警備活動を行うが、武装はしていない。
  • 軍務省/州兵(Military Department/National Guard)州兵はあくまで軍組織であるが、大規模暴動などでは治安力として使われる場合がある。また、小規模で薬物取締の補助をすることもある。ただし、その使用は連邦法である民兵隊壮年団制定法(Posse Comitatus Act)によって厳しく制限されている。
  • 矯正省(Department of Corrections)刑務所の運営や、仮出所者の社会復帰支援業務などを行う。
  • バート警察(BART-Bay Area Rapid Transit Police)バート施設内で警察・警備活動を行う。296人の人員がいる。

そのほか、州によって以下のような機関がある。

  • 州捜査局(SBI-State Bureau of Investigation)公安省や州警察に属し、州内の複数郡にまたがる捜査などを担当する。
  • 環境保護庁(Environmental Conservation/Environmental Protection)環境保護に関する法に基づく法執行業務を行う。
  • 税務署(Office of Tax Enforcement)徴税に関する法執行業務を行う。
  • 裁判所法執行部門(Court Officer)裁判所の法執行業務や、裁判所の警備活動を行う。

などなど。

郡政府の法執行機関 [編集]

一般目的地方政府のうち、郡政府により設置される法執行機関をまとめる。多くの州ではカウンティcounty)であるが、アラスカ州ではボロborough)、ルイジアナ州ではパリッシュparish)と呼ばれる。詳しくは「郡 (アメリカ合衆国)」を参照。

カウンティ・シェリフ [編集]

カウンティ・シェリフは、郡保安官である。通常は住民による選挙で選ばれ、実務は、保安官に任命された副保安官保安官代理(deputy sheriffsheriff's deputy)や、保安官の下に設置された警察などの法執行機関が行うことができる。 適訳が無いので通常は直訳で『副保安官』『保安官代理』と訳されるが、数千名のDeputyを保持する組織としては、実務上の意味での副保安官や保安官代理に相当するのは、UnderSheriff、Assitant Sheriffなどであり、一般Deputy(市警のOfficer相当)に適当な日本語訳がまだ普及していない。 Deputy Sheriffが日本語の意味での『副保安官』と言えるのは、規模が数名の保安官事務所であり、10名を越えるとキャプテンやアシスタント・シェリフが『副保安官』に相当すると言える。

郡の法執行官の長であり、行刑と警察権を司る。日本で言えば、警察官+検察官+執行官+刑務官+保護観察官+のような職務内容で、一般的に、刑務所の管理、囚人の移送、裁判所の運営/警備、裁判所の令状の送達、司法権によって差し押さえられた物件の競売の運営、判決に基づく動産の差し押さえのほか、警察活動も行うが、郡ごとに権限は異なる。全ての警察権を行使できる郡もあるが、犯罪捜査のみ行う郡、刑務所の警備のみ行う郡などもある。この権限の差は、郡内の他の法執行機関の存在およびその権能との兼ね合いなどにより生じている。また、市町村などの自治体がある場合は、法律や当該政府との契約による。市が郡から独立した行政区になっている場合もあり、この場合は管轄外である。

現在、3,500ほどの郡保安局/保安官事務所があり、郡保安官のみ1名の事務所から、ロサンゼルス郡のように16,000名もの職員がいる大所帯まで様々。警察組織の拡充により仕事量は大幅に減っており、郡保安官そのものを廃す州もある一方で、市の財政難から市警察を廃し、郡保安局に警察業務を返戻する事例もある。

  • カリフォルニア州ロサンゼルス郡保安局は、1850年設立、4年に一度の選挙で選ばれる保安官と、副保安官約8,400名を擁し、郡内の無自治体地域と、契約を結んでいる約40の市内などを管轄する国内最大の保安局であり、4番目に大きな法執行機関である。
  • カリフォルニア州サンフランシスコ保安局は、1850年設立、4年に一度の選挙で選ばれる保安官と、副保安官約840名、民間人職員約100名を擁し、警察犬隊や特殊部隊も組織している。平均2,200名の収容者がいる6カ所の刑務所の運営や護送のほか、裁判所、市役所、病院の警備、令状の執行、刑務所内での犯罪および職員の不正行為の捜査などを行っている。
  • イリノイ州クック郡保安局は、副保安官、一部門として置かれている郡警察(Sheriff's Police Department)の警察官、民間人を含め約6,800人の職員を擁す、国内で2番目に大きな保安局である。
  • ルイジアナ州は、郡ごとに民事と刑事の2人の郡保安官を選出する。刑務所管理や徴税業務のほか、ニューオーリンズ警察に警察業務が委託されているオーリンズ郡以外の郡保安局は、警察活動も行っている。

カウンティ・マーシャル [編集]

カウンティ・マーシャルは、多くの場合、郡裁判所執行官である。主に、郡の司法体系の保護を行う。

  • カリフォルニア州のいくつかの郡ではマーシャルが置かれ、連邦保安官と同様の活動をしていたが、ほとんどのマーシャル事務所は、カウンティシェリフに統合された。
  • ジョージア州の一部の郡では、民事裁判の執行官として活動している。

カウンティ・コンスタブル [編集]

カウンティ・コンスタブルは、定訳が存在せず、コンスタブル、郡治安官、郡保安官と訳されることが多い。連邦内共通の定義などはなく、州内でさえもその役割が異なることによる。歴史は古いものの、一般に馴染みの薄い役職である。

  • アリゾナ州やアーカンソー州では、郡ごとの選挙によって選出されたコンスタブルが、シェリフとほぼ同様の職務を行っている。
  • カリフォルニア州では、未だ州法によって定義こそされているものの、20世紀後半までに、シェリフ、マーシャル、ポリスに吸収された。

カウンティ・ポリス [編集]

カウンティ・ポリスは、郡警察である。州都が所在する郡に設置される傾向にある。郡警察も郡保安官と同様の理由により、組織ごとに行使できる警察権・範囲が異なる。

そのほか [編集]

郡によっては、独自の公安部などを設置している場合がある。

  • ニューヨーク州ウェストチェスター郡では、1979年にシェリフとハイウェイポリスを廃し、郡公安部に統合させた。

市町村政府の法執行機関 [編集]

一般目的地方政府のうち、準郡一般目的政府により設置される法執行機関をまとめる。

シェリフ [編集]

シェリフは、本来郡政府ごとに置かれた治安職であり、市町村政府においては一般的ではない。

  • ニューヨーク州ニューヨーク市は特殊な行政区となっており、市内に5つの郡が存在する。かつては各郡に保安官事務所が設置されていたが、1942年に市の保安官事務所に統合された。この保安官は、市財務局に属し、選挙ではなく市長に任命される。ニューヨーク州ピースオフィサー資格を持った約150名の副保安官が、主に民事での裁判所命令の執行を行っている。本来業務のうち、警察業務(ニューヨーク市警察に委託)、裁判所の警備(ニューヨーク州廷吏に委託)、囚人の管理(市矯正局に委託)は行っていない。

マーシャル [編集]

マーシャルは、保安官である。西部開拓時代に辺境地域の小さな町に、選挙あるいは任命によって置かれ、郡保安官とほぼ同様の職務を行っていた。西部劇に登場する保安官は主にこれである。現在はインディアナ州とオハイオ州のほか、一部の警察機関あるいは法執行職の名称にその名残を残すのみである。

  • コロラド州コロラドスプリング市では、1901年の市警察設置とともにマーシャルは一度廃されたが、1977年に地方裁判所の廷吏としてシティマーシャルが再組織された。現在は市警察と地方裁判所両者の監督下にある。
  • インディアナ州とオハイオ州では、町の警察機関として郡保安官に似た権限を持ち、選挙で選ばれるタウンマーシャルが置かれている。
  • ニューヨーク州ニューヨーク市では、市捜査局にマーシャルがいる。市長に任命された公人であるが、市職員ではなく、裁判所執行を含む民事裁判での手数料が収入となる。州の刑事訴訟法により、連邦捜査局か市警察学校で銃器訓練を受け、市警察から銃器許可を受けたシティ・マーシャルはピースオフィサーに分類されているものの、市は州のマーシャル認定を求めていないため、ピースオフィサーとはみなされていない。

コンスタブル [編集]

コンスタブルは、定訳が存在せず、コンスタブル、治安官、保安官と訳されることが多い。連邦内共通の定義などはなく、州内でさえもその役割が異なることによる。歴史は古いものの、一般に馴染みの薄い役職である。

  • アリゾナ州、アーカンソー州、ルイジアナ州でシティコンスタブルを確認。
  • ニューヨーク州では、通常、コンスタブルは町村において民事裁判での支援を行う。州法上の法施行官であるが、各管轄でそれらの権限を制限することができ、通常、警察活動は行っていない。

ポリス [編集]

ポリスは、市・町・村警察である。元々は、人口の増加などにより、保安官を補助する目的で市町村政府により設置された。大きな組織に多い、首長下の行政委員会に置かれる場合と、首長に直属する場合がある。警察長(Commissioner、Superintendent、Chief など)は、首長の任命制であることがほとんどで、小さな組織では首長が警察長を兼任することもある。ドラマ・映画に登場する、一番よく知られる存在。

  • ニューヨーク州ニューヨーク市警察が1845年に設立。1879年にモリサニア警察を、1898年にブルックリン警察およびロングアイランド市警察を、1995年に市交通局と住宅局の警察を、1998年には市立学校警察を吸収。警察官約38,000人、職員約12,000人を擁する国内最大の警察組織である。
  • イリノイ州シカゴ市警察が1855年に設立。警察官約13,600人、職員約2,600人を擁す国内第2位の警察組織である。イギリスで一般的に警察官の官帽に使用されているモノクロの千鳥格子「シリトー・タータン」を採用しているのは、国内の市警察ではシカゴとピッツバーグのみである。1891年に世界初の女性警察官を採用した。
  • カリフォルニア州ロサンゼルス市警察が1869年に設立。警察官約9,500人と職員約3,000人を擁す国内第3位の警察組織である。
  • マサチューセッツ州ボストン市警察BPD-Boston Police Department)が1838年に全国初の市警察として設立。同市警察はこの後、初めて制服や拳銃の支給を行った。警察官約2,000人、職員約800人を擁し国内規模は第20位。
  • カリフォルニア州サンタフェスプリングス市は、1990年代にロサンゼルス郡保安局との契約を解消したが、独自の市警察を設けず、隣のホイッティア市警察と契約、警察業務を委託している。

そのほか [編集]

ニューヨーク市の場合、以下のような法執行機関がある。

  • 環境保護警察(NYC Department of Environmental Protection Police)
  • 公衆衛生警察(NYC Department of Sanitation Police)
  • 公園パトロール(NYC Park Enforcement Patrol)
  • 都市公園保護官(NYC Urban Park Rangers)
  • 港湾委員会警察(NYC Waterfront Commission Police)
  • タクシー&リムジン委員会(NYC Taxi and Limo Commission Enforcement)
  • 市立大学公安部(City University of New York Department of Public Safety)
  • 行政業務局警察(NYC Department of Government Services Police)
  • 保健病院局警察(NYC Department of Health and Hospitals Police)
  • ホームレス業務警察(NYC Department of Homeless Services Police)
  • 矯正局(NYC Department of Correction)1940年に5郡の保安官事務所から業務を引き継ぐ形で設立。

ロスアンゼルス国際空港の空港警察LAXPDはロスアンゼルス市空港局内の警察組織でありロスアンゼルス市が所有する4つの空港を管轄とする。ロスアンゼルス市直轄のLAPDとは別の組織であり、兄弟関係ではなく叔父と甥の関係になる。ロスアンゼルス郡内で4番目に大きな独立警察組織で空港警察としては全国2番目の規模の組織にあたる。

特別な法執行機関 [編集]

政府やそれに準ずる公的機関に限らず、民間企業でも、特定の施設のため、あるいは特別な目的を持って法執行機関を設置している場合がある(「**株式会社警備警察」などと称している)。担当施設・区域内では歴然たる警察であり警備員ではない

非法人地域の警察 [編集]

自治体のない非法人地域では通常、郡保安局が警察業務を行うが、保安官事務所から離れた地域では不便なことも多い。このため、地区で独自に警察組織のみを設置する場合がある。いわば限定された業務のみを行う自治体のようなもので、学校などに多く見られる形態である。

  • カリフォルニア州では、準自治体のような性格を持つ地域業務地区(CSD-Community Services Districts。日本の広域行政事務組合相当)で独自の警察を設置できるほか、さらに限られた行政業務のみを行う特別区(Special District)のひとつとして、独自の警察を設置できる警察保護区(Police Protection District)が州法で規定されている。

特定施設の法執行機関 [編集]

  • ニューヨーク州都市交通局警察MTA Police-State of New York Metropolitan Transportation Authority Police)は同局が設置した警察組織で、ニューヨーク州とコネチカット州にまたがって管理する交通機関の施設内を管轄、完全な警察権を有する。民間人も含めた従業員数は約760名。
  • ニューヨーク・ニュージャージー港湾公社警察PAPD-NY&NJ Port Authority Police)は同社が設置した警察組織で、管理するWTCの建物や埠頭、空港、鉄道、バス発着所、橋、トンネルなどを管轄する。約1,600人の警察官がおり、通常の警ら隊のほか、特殊部隊も保有している。また、管轄する3空港(JFKLGAEWR)では、消防業務も担当するため、法執行官だけでなく、消防士や救命士の資格を持つ者も珍しくない。
  • シーゲート警察Seagate Police Department)はブルックリンの民営自治体が設置、コープシティ警察Co-Op City Police Department)はブロンクスの民営団地が設置した警察組織で、地域内を管轄する。ニューヨーク市警察とは競合管轄。
  • そのほか、公園、病院、大学等の警備に、当該施設独自の警察を設置する場合がある。
  • さらに、アメリカ合衆国の組織ではないが、国際連合本部ビルは外交特権により独自の警察(国際連合安全保安局、UNDSS)があり、連邦捜査局やニューヨーク市警察は介入出来ない。

特定目的での法執行機関 [編集]

  • 消防保安官Fire Marshal)は、消防官であるが、日本の消防吏員が放火事件捜査・放火犯逮捕を出来ないのとは大きく違い、火災原因を調査し、放火事件・可燃性物質に関する法律に対する事件では警察権を有する。州公安省下などで独自の消防保安官事務所を持つ州もあれば、州警察の一部門として存在する州もある。また、地方自治政府の消防組織内に設置されている場合も珍しくない。
  • 消防警察Fire Police)という、消防団員からなる組織が14州にある。武装はせず、群衆・交通整理や警備活動、警察の補助などを行うが、出場した現場においては警察官に準ずる役割を担う。

法執行機関の予備・補助 [編集]

予備あるいは補助AuxiliaryReserves)は、法執行機関の補助を行う目的で置かれる。

  • ニューヨーク市予備警察官NYC Police Department Auxiliary Police)は、警察の「目」「耳」としての民間人ボランティア登用制度である。17歳以上で、市内に居住あるいは勤務し、逮捕歴のない健康な米国市民もしくは永住権保持者が対象。防犯活動や交通整理など、法執行や危険な任務を除いた範囲で警察の補佐をする。登録されると身分証と身分章、護身用警棒を貸与される。任務中は身分章を提示すると市交通局管轄の公共交通機関が全て無料で利用出来る。
  • ロサンゼルス市警察予備警察官LAPD Reserve Officer)は、拳銃も携帯し、警察官とほぼ同じ警察権を有する。ロサンゼルス市民で他組織の警察官が非番時に予備警察官となっていることもある。
  • ロサンゼルス郡保安局予備保安官Los Angeles County Sheriff's Department Reserves)は、700名ほどの予備副保安官が活動している。勤務中はほぼ完全な警察権を持つが、勤務時以外の拳銃隠匿携帯には許可が必要。

カリフォルニア州内のReserve Officer(予備警察官)

カリフォルニア州刑法では、警察官の資格・所属・設置団体と並んで、上記LAPDやLASDなどを含むReserve Officerの資格や所属団体に関しても明記しており、州刑法上レベル3リザーブ・オフィサー、レベル2リザーブ・オフィサー、レベル1リザーブ・オフィサーに分けられ(レベル1は正警察官とほぼ同等)勤務内容に関しての制限にも刑法上で言及している。 (カリフォルニア刑法第830条)

基本的にはReserve Officerは無給であり、退役警察官や正規警察官資格を取得しているが(カリフォルニア刑法第832条の要件)志望する組織の人事予算面での採用待ち(空席待ち)人材などが多い。

なお、カリフォルニア州では『警察官』の法的名称はPolice Officerではなく『Peace Officer』(ピース・オフィサー)であり、Deputy、Patrolman、Prison Guard、Rangerなど通常どのような呼称で呼ばれようが、刑法で明記された『警察官』全てが法的名称での『Peace Officer』となり、カリフォルニアのピース・オフィサー資格を持つ者は、雇用主が市・学校区(教委)・大学・刑務所に関わらず、州内どこにおいても24時間警察権を有する。 しかし、Reserve OfficerはPeace Officerには含まれない。

階級 [編集]

日本のように自治体警察の組織を規定する全国統一の法律が存在しないため、階級体系も多種多様である。例えばサンフランシスコ市警察では、より軍での呼称に近い階級呼称を採用したため、一般的には警視級の階級である「Inspector」は専門捜査官のことであり、多くの機関での「Detective」に相当する階級になっている。また州警察では軍とほぼ同じ階級体系が採用されている場合が多い。邦訳として日本の警察の階級が定着しているものもあるが、職責まで同等とは限らず、翻訳者の悩みの種となることもある。

なお、基本的に警察庁傘下で統一された地方組織である日本の警察制度と違い、その全てが独立した組織であるアメリカの警察では警察官数10名程度の組織の警部と、LAPDやNYPD、LASDなどのように警察官が数万人の組織での警部とでは当然地位・役職・権限・責任などに大きな差がある。以下に例を示す。一概に比較はできないが、日本の階級は警視庁を参考。

ニューヨーク市警察 [編集]

ロサンゼルス市警察 [編集]

  • Police Commissioner
公安委員相当で法執行官ではない。President(委員長)とVice President(副委員長)各1名、Commissioner(委員)3名の計5名で構成される。
  • Chief of Police(COP)
邦訳は警察本部長警視総監に相当。日本の警察と違いキャリア制度がなく、巡査からの叩き上げで本部長まで昇進することができる。他警察組織からチーフとして転職して来る場合も多い。これらは米国警察組織の全般に言える事である。
  • Assistant Chief(Asst. CHF)
邦訳は警察本部副本部長となり、警視監に相当。Chiefの直下に置かれ、Operation(運用)、Special Operation(捜査活動)、Administrative Service(管理)の三大Officeの責任者を担う階級。
  • Deputy Chief(Dep. CHF)
邦訳は警察本部長補佐。警視長ぐらい。I、IIの2等級に分けられ、等級によって給与が変わる。役職は地域管区長や刑事部長など。
  • Commander(CMDR)
邦訳は警視。地域管区の方面責任者などを担う。
  • Captain(Capt.)
邦訳は警部。I、II、IIIの3つに分けられた等級によって、給与が変わる。役職はCapt.Ⅰで分署副長、Capt.Ⅲで分署長やメトロポリタンディビジョンの指揮官など。
  • Lieutenant(Lt.)
邦訳は 警部補。I、IIの2つに分けられた等級によって、給与が変わる。分署課長級。
  • Sergeant(Sgt.)/Detective(Det.)
邦訳では巡査部長、刑事であるが、Sgt.I、II及びDet.II、IIIの職責は日本の警部補に相当する。Sgt.はI、IIの2等級、Det.はI、II、IIIの3等級に分けられている。SGT I=DET II、SGT II=DET IIIである。
  • Police Officer(PO)
邦訳は巡査。I、II、III、III+Iの4等級分けられ、等級によって給与が変わる。


ロサンゼルス郡保安局 [編集]

  • Sheriff(リロイ・バーカ)

略歴 1965年任官(Deputy)、1970年巡査部長(Sergeant)、1975年警部補(Lieutennant)、1981年警部(Captain)、1987 Commander、1992年分署長(Chief)、1998年に局長(ノーマークのSheriff)

  • Undersheriff(ポール・タナカ)

略歴 1980年カリフォルニア州エルセグンド警察にてオフィサー 1982年ロサンゼルス郡保安局に転職 1991年警部補(Lieutennant) 1999年警部(Captain)、2001年Commander, 2002年分署長(Chief)、2005年局長補(Assistant Sheriff)2011年副局長(Undersheriff)

  • Assistant Sheriff
  • Chief (Division Chief)
  • Commander (Area Commander)
  • Captain
  • Lieutenant
  • Sergeant
  • Deputy Sheriff (Master Field Training Officer)
  • Deputy Sheriff Bonus I/II

(Field Training Officer / Detective / Custody Senior Deputy)

  • Deputy Sheriff Generalist

服制 [編集]

ニューヨーク市警察の警察官。左と中のESU(特殊部隊)隊員は、ヘルメットや特殊部隊用出動服を装着している。左肩のワッペンから「NY市警緊急出動部隊 トゥルー・ブルー」にも登場した第1ESS所属と分かる。右の女性警察官は夏用勤務服で、被っている帽子は制式の八角帽(8 point hat)。また襟章と名札から、ミッドタウンサウス分署所属のヴィッカース巡査と分かる。
ニューヨーク市警第75分署のガント巡査部長アメリカ同時多発テロ事件から間もない時期であり、胸のバッジに喪章を着けている。白シャツを着ているが、これは旧規定によるもの。現行規定では巡査部長は紺シャツを着る。
トンファーバトンを持ち警戒にあたるロサンゼルス市警察巡査制帽の規定はあるが、勤務中に被っている者は殆どいない。
ロサンゼルス郡保安局のリー・バカ保安官(局長)。胸には保安官バッジ、シャツの襟の階級章は局長を示す五連星。局長に限り、バッジは「DEPUTY」の追加がなくそのまま「SHERIFF」となる
聖パトリックの祝日に、カナダのケベック市で演奏行進を行うNYPDの鼓笛隊。随所にアイルランド民族を示す緑色の装飾をあしらっている。

制服 [編集]

制服の様式や色は機関の数だけあり、全米共通というわけではない。

基本的に、クラスA、クラスBなどの規定がいくつかあり、その中から認可された組み合わせを選んで規程通りに着用する。長袖の際はネクタイ着用、半袖は開襟、防寒具着用時に銃は防寒具の外に出すなどの規定がある場合もある。

訓練日には通常の制服ではなく、戦闘服に編上半長靴や運動着に運動靴で行う事もある。

制服は支給されることが多いが、ニューヨーク市警察のように全て自費購入する場合もある。

私服勤務は刑事のほか、おとり捜査などを行う防犯担当巡査が行うこともある。また、巡査を置かず、特別捜査官を主体に組織されるような法執行機関では、通常は私服勤務であることが多い。

制帽 [編集]

制帽は市警察では官帽、保安官や州警察はキャンペーン・ハットが多く、通常は帽章をつける。

官帽形状は、日本の警察官と同じく正面に頂点がある丸いピークド・キャップと、8つの尖った頂点があるエイトポイントハットが主流。腰部分が網状になった夏季用や、腰部分を覆う冬季用帯、上位階級では素材や顎紐の色が変わったり、まびさし部分に模様が刺繍されたりする場合もある。

記章や「POLICE」「XXPD」の文字などが正面に入っている野球帽が規定されていることもある。

被らずに勤務することが許されている場合も多く、特に運転中の車両要員は安全上や天井に当たるという理由で被らない事が多い。

  • カリフォルニア・ハイウェイ・パトロール:「活動に有効なので公務中は可能な限り被る事」と服装規定で指導している。
  • ロサンゼルス市警察:通常の公務中はほとんど被らない。
  • ニューヨーク市警察:内勤と車両乗車時を除いては基本的に被る。通常の八角官帽のほか、高速隊では八角官帽の芯を抜いて崩した通称「クラッシュキャップ」や、地下鉄構内勤務と私服勤務時で身分を明らかにする場合に「NYPD」と前後に刺繍された野球帽、特殊部隊や港湾隊、警察学校教官などでは布製の隊記章が縫い付けられた野球帽が制式となっている。また摂氏0度以下の場合にはロシア帽も認可されている。

制服 [編集]

制服は、胸ポケット2つと袖上部に記章の付いたワイシャツズボンが多い。通常勤務服用ズボンは従来はスラックスが多かったが、最近は活動しやすさを重視し、いくつものポケットがついたカーゴパンツのようなものも一部で見られるようになってきた。ネクタイはクリップ式やベルクロ式が多く見られ、引っ張られてもすぐに外れるように配慮されている。気温が低い時に、胸当て、とっくり襟、セータージャケットコートなどの防寒衣や、耳当て、手袋などの防寒具が規定されている場合もある。皮革製防寒衣は白バイ要員にしか承認されない組織もあるが、特に気温が下がる地域の組織では一般的である。気温が高い時に、記章や個人名が刺繍されたポロシャツ、半ズボンを選択できる組織もある。組織や配属先によっては、戦闘服を着用することもある。

この他、自転車、騎馬、船舶、航空、特殊部隊機動隊の各要員には活動内容に合わせた専用の制服がある場合が多い。特殊部隊では、軍と同様の戦闘服が採用されていることが多く、色は黒・濃灰・濃紺が一般的である。航空隊員や特殊部隊では、綿などの着火しにくい天然繊維や、防炎・耐火化学繊維が使われることもある。

私服要員が身分を明らかにするときや現場での制服汚損を防ぐために着用するウインドブレーカーもある。一般的な呼び方であるコーチジャケットとも、特に強襲的な捜索や逮捕時に用いられることが多いのでレイドジャケットと呼ばれる事も多い。識別しやすいように、背面や前面、肩や袖に「POLICE」「PD」などの文字や所属組織名、記章などが大きく入っている。

法執行官同士が識別するために日別の色の腕輪や衣服を着用する地域もあるが、これは組織内でも顔を知らない法執行官がいる上、多数の法執行機関が活動を行うニューヨーク市警察で考案されたシステムである。

帯革 [編集]

衣服用帯革と装備用帯革は別々であることが多い。それぞれの帯革は通常、環状の帯で固定する。装備用帯革は、考案者のサム・ブラウンにちなみ「サム・ブラウン・ベルト」というが、ギャリソン・ベルト、デューティ・ベルト英語版などとも呼ばれる。

かつては文字通り皮製にニッケルメッキの鉄尾錠が一般的だったが、昨今は合成繊維や合成皮革製に樹脂製ワンタッチバックルを用いたものも多い。帯革を肩から吊る斜革(サスペンダー)は1960~70年代頃を境に一旦廃れたが、最近は装備品が増えたために認める機関も出て来た。

  • カリフォルニアハイウェイパトロール:プラスチックバックルの帯革も認可し始めた。
  • ロサンゼルス市警察:鉄尾錠の物を採用し続けている。

[編集]

皮革製あるいは一部が布になった皮革製の短靴、半長靴が一般的。

交通(白バイ)・騎馬隊は皮革製で膝よりやや下までの長靴着用が標準。州警察の中にはパトカー勤務でも長靴着用の州もある。

礼装 [編集]

礼装では、制服と同じようなワイシャツとズボンに礼服上衣、布製の白手袋を着用する様式が多い。気温が低い時には冬用上衣あるいは防寒衣を着用。気温が高い時は上衣を脱いでも良い場合もある。靴は革靴短靴で、規定で定められた色のものを、周囲の物が映り込む位良く磨き上げて履く。礼装に用いられる装飾として見られるのは、上衣の上に締める帯革や斜革、飾緒など。通常の制服の礼装仕様だけでなく、儀仗隊などの為に専用の制服が規定されている場合もある。また、州警察が州知事の公用車運転手を務める機関もあり、そのようなところでは担当官は礼装を要することもある。

白バイ隊員や騎馬隊員は、通常勤務で使っている制服がほぼそのまま礼装として認められていることもあり、その場合はヘルメットが礼帽としての役割を持つ。但し式典ではヘルメットやブーツを規定に沿ってよく磨き、開襟シャツ以外ではタイの着用が求められる場合が多い。

鼓笛隊 [編集]

バグパイプの鼓笛隊はアイルランド文化を取り入れた衣装を纏い演奏を行う。規程は式典によって変わるが、比較的軽い場合は以下のような服装になる。

  • 民族帽
  • 通常勤務服型上衣(制服用シャツなど)
  • チェックのスカート
  • 長靴下
  • 白脚絆
  • よく磨かれた革靴

弔事や聖パトリックの祝日などでは最上位の制服規程となり、礼装用の上衣を着装する。

法執行官記章・証票 [編集]

日本の警察手帳にあたるもので、基本的には非番時も必ず携帯していなければならない。紛失したときに被害を最小限にするためと、悪用を防ぐため、記章と身分証明書を一緒のケースに入れない人も多い。本来は法執行官記章と証票共に揃って初めて効力があり、片方だけでは正式な身分証明は行えない。「法執行官証票を伴って初めて効力を発揮する」という注意書き(credential warning)が裏面に書かれている記章もある。

法執行官記章 [編集]

退職ロサンゼルス市警察本部長のバッジ。最上部に「RETIRED」と記されている。最下部の四つ星は警察長の階級章で、下位階級ではここにID番号が入る。
ニューヨーク市警察のK-9(警察犬)用のバッジ。多くの警察では警察犬にも記章が与えられており、首輪に装着する。

主にバッジと呼ばれているが、“警察は市民を守るたるべし”という標語からシールドとも呼ばれる。様式は機関により様々で、名前の通りの盾形のほか、星形(スター)、太陽形(サンバースト)、涙滴形(ティアドロップ)、楕円形(オーバル)、円形(ラウンド)やその変形が多いが、変わったところでは州自体の形をした物もある。星形の記章は、五点星形はファイブポイントスター、六点星形はシックスポイントスターなどとも呼ばれ、星の各先端に球状体(ボールポイント)がつくものもある。

多くの記章には組織名が入り、階級欄(ランクパネル)、連邦・州・市町村・企業紋章(シール)、個人番号欄(ナンバーパネル)がある。連邦機関ではUSの文字(「合衆国」の略)が入る物が多い。個人番号は上位階級や少人数、また連邦機関では入らないことも多いが、裏面に製造者名や管理番号、支給年月などが刻印されていることがある。最新の身分証ではICカード化されているものもある。

同じ組織でも階級によって、また制服用と携帯用で、大きさや形、色などが変わることもある。例えば巡査級が銀色に対し、それ以上では金色になっている。或いは胸に着ける制服用(ブレストバッジ)には反りがあるのに対し、私服勤務や非番時携帯用は小型あるいは平型(フラットバッジ)になっている、など。また新大統領就任の際や、創設からの節目の年などに、記念意匠のものを一定期間中着用することもある。

支給された法執行官記章(イシューバッジ)を失くすと処分の対象となるため、支給品同様の予備記章(セカンドバッジ)を常用する事が多いが、機関によっては予備記章の製作を認めないので、非番や休暇中はいちいち制服から外してケースに入れ直さなければならないこともある。予備記章は支給・貸与されたり、許可制で製造者から直接購入したり、所属機関を通して購入しなければならないなど様々である。また支給記章の尊厳を保つため、あるいは見分けがつきやすいよう、支給記章と予備記章の仕様を変えている場合もある。また警察犬にも法執行官記章が発行され、首輪に着けている場合がある。

  • ニューヨーク市警察:階級によって形と色が変わる。盾形と太陽形とそれらの変形がある。Lieutenant以上の階級では個人番号は入らず、支給記章の裏には管理番号が入る。Police Officerのみ銀色で、DetectiveとSergeant以上は金色となるが、「ゴールドシールド」と言えば、一般には管理職以上であるSergeant以上の記章を指す。予備記章は同市警察の警察官であれば製造者から直接購入が可能。
  • ロサンゼルス市警察:全階級楕円形で、階級欄と、Commander以上の個人番号欄には階級に応じた数の星が入る程度の違いしかない。予備記章は許可されていなかったが、2005年に携帯用平型記章のみ個人購入できるようになった。
  • シカゴ市警察:全階級で五点星形だが、Lieutenant以上の階級では球が星の各先端につき、階級によってエナメルの部位や色が変わる。さらにCommander以上では金色となり、形も変わる。2003年から使用されている意匠は意匠登録済み。
  • サンフランシスコ市警察:全階級で七点星形。Officer、Sergeantはともに約3インチ、純度925の純銀製で銀色だが、意匠が異なる。InspectorとLieutenant以上はOfficerとSergeantより小型の約2.5インチで金色。なおInspectorは現任者限りで廃止される事が決まっている(タツミムック「世界の警察 アメリカ編」辰巳出版の記述より)。
  • マイアミ・デイド郡警察:全階級で白頭鷲付涙滴形。Police Officerは銀色、それ以上の階級は金色。「金バッジを着けよう!」と早期昇進を促すポスターが署内に貼られている分署がある。

法執行官証票 [編集]

いわゆる身分証明書、IDカード。組織名、氏名、階級、顔写真、署名が入っているものが多い。生年月日、身長、体重、目の色、血液型、警察長などの署名が入ることもある。最新のものでは、集積回路を組み込んだものもある。多くの地域では、そのまま拳銃携帯許可証を兼ね、いつどこでも法律の執行及び必要な実力行使が可能なようになっている。

  • ニューヨーク市警察:縦型プラスチックカード。NYPD、市章、警察章、階級、氏名、記章番号、有効期限、顔写真が記載されている。法執行官は顔写真の背景色が赤、そのほかの職員は青となっている。
  • ロサンゼルス市警察:2006年、横型ラミネートカードから縦型プラスチックカードに変更された。従来の「POLICE」ではなく「LAPD」の方が大書されている。

記章 [編集]

布製と金属製に大きく分けられる。通常は金属製をつけるところ、特殊部隊などでは動きやすいように、法執行官記章も含めて全て布製で置き換えられることもある。

  • 帽章:個人番号が入ることもある。階級によって色や大きさが変わる機関も多い。
  • 襟章:所属分署や隊の番号・名、階級章、組織名の略文字(Sheriff's Dept=SD、Police Department=PD)などが多い。
  • 肩章:階級章が多い。Lieutenant(日本では警部補相当)から袖ではなくこの位置になる。
  • 袖章:上部には組織章や階級章、下部には年功章が多い。CorporalやSergeant(日本の巡査部長相当)の階級章はシェブロンとも呼ばれる。
  • 技能章:射撃、操縦士応急処置などがある。胸部につけるのが一般的。テクニカルアワードとも呼ばれる。
  • 功労章:重大事案解決[5]、人命救助、無事故運転[6]、従軍や永年勤続などの個人向けと隊向けのほか、創立記念章が全員に授与されることも。メダル式やリボン式があり、胸部につけるのが一般的。サイテーション、ブレストバー、アワードなどとも呼ばれる。
  • 年功章:線状で1本が4年あるいは5年単位で勤続年数を表すことが多い。袖・胸部につけるのが一般的。サービスストライプ、ハッシュとも呼ばれる。
  • 名札:所属や階級などが一緒に入ることもある。階級によって色が変わる機関も多い。バッジ直下に着ける規定の場合と右胸ポケット上に付ける規定の場合がある。
  • 喪章:殉職者や対象死亡者が出た場合に葬儀参列の際や規程の期間、法執行官記章に線を引くように付ける布帯。功労章と同じような追悼章などもある。

装備 [編集]

一般的な制服法執行官の携行装備は、帯革(サム・ブラウン・ベルト)に拳銃と予備警棒手錠呼子笛懐中電灯、時計(ここまでは服装及び装備規程で必携、従わない場合は懲戒対象となる事が多い)。ベルトに通す順番まで決められている機関もあり、一般にはホルスター周りは銃を抜くのに支障がないようガラ空きにすべきことが定められている。その他、携帯無線機キーホルダー(車両のエンジンキー、署の通用口やロッカーの鍵、手錠用などをまとめる)、催涙スプレースタンガンナイフ応急手当用感染防止手袋、携帯電話、メモ帳、反射ベストなど。最近では核生物化学兵器テロ対策用マスクを携行する組織もある。

拳銃 [編集]

勤務時携帯用の拳銃は支給あるいは貸与される場合がほとんどだが、組織によっては自費購入しなければならない。一部の例外を除き、非番時の隠匿携帯も認められている(身分証とバッジ必携)が、非番時携帯用の拳銃は自費購入の場合が多く、登録あるいは許可制であることがある。犯罪者の銃器の強力化に伴い、20世紀末から回転式拳銃ではなく、装弾数の多い半自動式を採用する機関が増えた。

  • カリフォルニア・ハイウェイ・パトロール:S&W M4006TSW。.40S&W弾を使用。従来の回転式のS&W M686だった頃はCHPの完全特注品で、フレーム左側に「CHP」の文字が刻印されていた。CHP警察官は、リタイアの際に希望すれば自分が在職中に貸与されていた銃を買い取る権利があり、CHPの刻印が刻まれた特注のM689はコレクターズ・アイテムであった。(現行の支給銃にはCHPの刻印は無いが、買い取った後に自費で刻印するオフィサーも居る)4006をマイナーチェンジして型番に付け足した『TSW』は、タクティカル・スミス&ウエッソンの略で、市販の4006に比べてタクティカルライトを着けるレールが銃身下部に刻まれるなど若干の違いがある。M4006TSWは一般には市販されていないが、CHPに限らず他州の警察でもS&Wから同じ型を購入して使用している組織もある。捜査や警護など私服勤務を想定されるオフィサーには、4006 Shorty Fortyと呼ばれる、3.5インチ銃身と9発弾装のコンパクト型が支給される。M4006TSWは2011年に製造を終了しており、SIGなど他社製を含めた後継モデルが検討されている。[7]
  • ニューヨーク市警察:1993年8月それまで制式拳銃とされていた回転弾倉式拳銃から、連射能力の高い半自動拳銃に切り替えられた。勤務および非番用として認可されているグロック19シグ・ザウエルP226DAO、スミス&ウェッソン5946の中から選ぶ(除ESU)が、6割ほどの警察官はG19を使用している。ちなみにG19は、回転式拳銃に慣れた警察官の暴発事故を防ぐため、通常6ポンド程の引き金バネが11ポンド程のものに交換されている。非番用の拳銃で認可されているのは、ベレッタM8000Dクーガー、グロック26、カールK-9、スミス&ウェッソン3914・3953TSW。なお、以前認可されていた回転式拳銃は、当時からの警察官に限って認められている。
  • ロサンゼルス市警察:ベレッタ92F、しかし、1997年に発生したバンクオブアメリカ・ノースハリウッド支店強盗事件により9ミリ拳銃弾の能力に疑問が持たれ、この事件を契機にロサンゼルス市警察のみではなく、全米の警察で重武装化が図られることになった。現行では、グロック17・19・21・22・23(除SWAT)。また、銃の使用頻度の少ない内勤職員に回転式拳銃の携帯も認められている。
  • サンフランシスコ市警察:ベレッタ92F、グロック17・19、の他、特に、射撃能力の高いオフィサーは、SIG P226の40S&Wを所持している場合が多い。
  • シカゴ市警察:ベレッタ92D、スタームルガーP89DAO、シグ・ザウエルP226 、スミス&ウェッソン5946(除SWAT)。

そのほかの銃器 [編集]

重武装犯罪やテロに対抗するため、法執行機関でも特殊部隊を中心に重武装化が進んでいる。重武装化の背景には1997年2月28日にカリフォルニア州ノースハリウッドで起きた、バンクオブアメリカ・ノースハリウッド支店強盗事件が挙げられる。この事件においては銀行強盗犯がドラムマガジンを装着したAK-47と全身防弾材で武装しており、通報で駆けつけた警察官達は拳銃しか携行していなかったため対処ができず、警察官12人とその場に居合わせた市民8人が負傷するという事態になってしまった。この事件を描いた映画「44ミニッツ」が2003年公開された他、この事件を基にしたシーンが映画「S.W.A.T.」の冒頭で使われた。

警棒 [編集]

通常の警棒(米国通称ストレート・バトン)や、日本警察と同様の伸縮式警棒(米国通称ASP:アスプ:正式にはExpandable)のほか、トンファー型警棒(米国通称PR24正式にはサイド・ハンドル)、トンファー型伸縮式警棒(米国通称サイドハンドル・エクスパンダブル)などもある。 通常のストレート警棒を携帯している警察官を見かける事はほとんど無くなり、トンファー型と伸縮警棒が主流と言える。

  • カリフォルニア・ハイウェイ・パトロール:トンファー型が制式。伸縮式は講習の修了が必要で、トンファーも車両に常備しなければならない。
  • ロス市警、ロス郡警、オレンジ郡警、ビバリーヒルズ市警、サンタモニカ市警、その他周辺市警:基本はトンファー型で、自転車隊・白バイ隊などが伸縮警棒(白バイはトンファー型も車載している)を装備。ロス市警の騎馬警官やメトロポリタンディビジョンにおいては、木刀(Bokken)が警棒として正式に設定されている[8]
  • ニューヨーク市警察:現在は伸縮式かトンファー型。以前認可されていた通常の警棒は、通常の警棒の認可しか受けていない警察官に限って認められている。伸縮式かトンファー型の認可を受けた場合、通常の警棒は使用できない。

携帯無線機 [編集]

主要な国内会社であるモトローラ社のセイバーが多くを占める。有名な800MHz帯のほか、各機関様々な周波数帯を使用している。大都市警察の警察官なら本部と所属分署の2チャンネル程度を聴いていればよいが、郊外の法執行官になると自分の事務所に加え、州・郡・隣接地域の各機関など地域全ての周波数を傍受しなければならない為、自動スキャンがされる機能のついた無線機を採用する。

  • ニューヨーク市警察:モトローラ社のMX300、セイバー、アストロセイバー SSE-5000や、2002年からはバーテックススタンダード(日本企業。旧八重洲無線+日本マランツ)のVX-510、VX-520、VX-530、VX-537、VX-800などが使用されている。
  • カリフォルニア・ハイウェイ・パトロール:モトローラ社のHT1000を使用。
  • ロサンゼルス市警察:モトローラ社製を使用。中継局を通じて電話がかけられるようになっている。

懐中電灯 [編集]

マグライト、ペリカン、ストリームライト、シュアファイヤーが多い。

  • ニューヨーク市警察:夜間の携帯が義務づけられ、単二乾電池2本以上単一乾電池3本以下という規程があるのみで、特にメーカーなどの指定はない。補助懐中電灯の携帯も認められている。
  • ロサンゼルス市警察:2007年からペリカン7060を採用。従来のマグライト(金属性)やストリームライト(小型金属製)は、警棒代わりとして使用される場合も多く、武器の過剰使用で(警棒に比べて『殺傷能力のある武器を使用している』という意識が低くなり、法的に武器使用が認められない状況下で懐中電灯を武器として使用した事例が頻繁にあった)市民からの複数回合計数億円に及ぶ民事訴訟が繰り返された結果、2007年にペリカン7060が採用された。現場の警察官達には、LEDの光量、横にしても転がらない六角柱であること、そして何よりも毎日携帯するため小型・軽量であることから、現行のペリカン7060が支持されている。

防弾ベスト [編集]

防弾ベスト。シャツの下に着用する形式と、上に着用する形式がある。上に着用する形式は、ワイシャツ風の外見を持つものもある。防弾性能は、NIJ(国立司法研究所)によって、I、II-A、II、III-A、III、IVの6段階に分けられている。防刃ベストは一般的ではないが、防弾と一緒になったものもある。

車両 [編集]

自動車 [編集]

警察車両も制服同様、図柄は機関の数だけある。日本でもお馴染みの白と黒に塗り分けられた図柄は西海岸で良く見られる。東海岸では青系を取り入れる機関が多い。規程の走行距離あるいは年数を使用された車両は民間に払い下げられることが多いため、単色の車両を基に、退役の際に剥がすだけで済むステッカーを模様に使う機関が多い。

組織名のほか、緊急通報用電話番号である911や、各種相談(ドメスティックバイオレンスなど)の窓口電話番号、法執行官の標語「To Protect,(and)To Serve」(保護と奉仕)が書かれている事が多い。ニューヨーク市警察では「Courtesy Professionalism Respect」(礼儀、玄人意識、敬意)と書かれている。他に「C.A.R.E.」(“市民と警察の共同”の意)なる標語が書かれている機関も。

採用されている自動車は、“ビッグスリー”ことゼネラルモーターズシボレーGMCが多い)、フォード・モータークライスラーダッジジープが多い)の各社製が大半を占めるが、日本製なども使用されている。

もっとも多いのが大型セダンで、市場占有率7割以上を占めるフォード・クラウンビクトリアや、シボレー・カプリス、ダッジ・チャージャー、同・マグナム、同・イントレピッドなど。中型セダンでは、シボレー・インパラなど。

主に速度超過違反を取り締まる用途では、シボレー・コルベット、同・カマロ、フォード・マスタングなど。

管轄や目的によって、ステーションワゴン、バン、スポーツ多目的車ピックアップトラックなども多く使用されている。特殊部隊では器材と要員を運び現地対策本部にもなるバンが必須である他、発砲を避けて民間人を救出する為に軽装甲車を配備することもある。

覆面車には、個人所有の車両や、押収した車両を捜査車両として使用できる機関もあり、逮捕した麻薬売人から押収した高級車が使用されていることも。また、ニューヨーク市警察のタクシースクワッドは、刑事2人が運転手役と乗客役に分かれて乗車、防犯活動をしている。

自動二輪車 [編集]

全米一の組織を誇る、カリフォルニア・ハイウェイ・パトロールがBMWを採用してから、BMWを採用する警察組織が増えている。最近では、ホンダ製を採用している警察組織もでてきている。一方でニューヨーク市警察、ボストン市警察など、国産のハーレーダビッドソン・ツーリングを採用し続けている大きな組織もある。

かつては、カワサキが全米を席捲していたが、2004年モデルを最終にカワサキが白バイから撤退した後、各警察交通課は後継車としてハーレーのロードキング、BMWモトラッドのR1100RT-P・R1150RT-P・R1200RT-P(「-P」は市販されない警察仕様を表すコード。市販されるのはRTモデル)、ホンダのST1100P・ST1300Pなど模索していた。

2010年度よりKawasaki USAと米国現地企業との共同開発で販売を始めたコンコース14ポリスモデルは、既にカリフォルニア・ハイウェイ・パトロールを始め各警察が発注済みで相当台数を路上で見かける事が出来る。

そのほか [編集]

警らや駐車違反取締用に、軽四輪車、軽三輪車、原付三輪やセグウェイ自転車を使用している機関もある。

無線通話 [編集]

フォネティックコード [編集]

無線通話でアルファベットを言う際に、聞き取り間違いを防ぐために用いられるのがフォネティックコード(通話表NATOフォネティックコード)だが、アメリカの警察・消防では軍隊や航空分野とは異なるものを用いる。

アルファベット コード アルファベット コード
A Adam N Nora
B Boy O Ocean
C Charles P Peter
D David Q Queen
E Edward R Robert
F Frank S Sam
G George T Tom
H Henry U Union
I Ida V Victor
J John W Wiliam
K King X X-ray
L Lincoln Y Young
M Mary Z Zebra

数字の9は、NATOフォネティックに従い、ドイツ語のNein(ネイン=無)と区別する為にNine(ナイン)ではなくNiner(ナイナー)と発音する。 5と4も若干発音が違うが、NineとNinerほどの違いは無い。

映画「ポリスアカデミー2」では、登場人物のタックルベリーが相棒の女性警察官に恋している事をマホニーに打ち明ける際、"Well,I Might Lincoln,Ocean,Victor,Edward"(俺…もしかして、L.O.V.E.かも)と言っている。これは照れて「Love」と言えないために、フォネティックコードを用いて遠まわしに表現したもの。

実際の業務においては、例えば自動車のナンバープレート「ABC1239」を伝える時に"Adam,Boy,Charles,one,two,three,niner"のように使う。「ナイトライダー」に登場するナイト2000ならばナンバーは「KNIGHT」が付いているので“カリフォルニアナンバーでKing,Nora,Ida,George,Henry,Tom、Kの付くナイト”となる。

脚注 [編集]

  1. ^ NYPD History
  2. ^ History of the Boston Police
  3. ^ The LAPD: 1850-1900
  4. ^ NYPD Recruit
  5. ^ カリフォルニア・ハイウェイ・パトロールには年間6台以上の手配車取り押さえを達成した警察官に授与される「10851ピン」がある
  6. ^ カリフォルニア・ハイウェイ・パトロールの「セフティ・レコグニション・エンブレム」。名札に追加する。1年から5年までは一年毎、6年目以後は5年単位で更新され宝石が追加される。5年間無事故でルビーが、10年間無事故でダイヤモンドが1個ずつ填め込まれる。
  7. ^ 2012年現在現職CHP警部補の支給銃と本人談にて検証済
  8. ^ LAPD Equipment


関連図書 [編集]

関連情報 [編集]

関連項目 [編集]

外部リンク [編集]