秋葉原通り魔事件

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秋葉原通り魔事件
外神田交差点で現場検証をする捜査員
場所 日本の旗東京都千代田区外神田
秋葉原
座標 北緯35度41分59秒 東経139度46分17秒 / 北緯35.69972度 東経139.77139度 / 35.69972; 139.77139座標: 北緯35度41分59秒 東経139度46分17秒 / 北緯35.69972度 東経139.77139度 / 35.69972; 139.77139
日付 2008年6月8日 (2008-06-08)(日曜日)
12時30分 (UTC+9)
標的 民間人
攻撃手段 トラックで轢く。
ダガーナイフで刺す。
武器 2トントラックとダガーナイフ
死亡者 7人
負傷者 10人
動機 たくさん人を殺せば死刑になれるから

秋葉原通り魔事件(あきはばらとおりまじけん)とは、2008年平成20年)6月8日東京都千代田区外神田秋葉原)で発生した通り魔事件である。7人が死亡、10人が負傷した。

マスメディアや本件に言及した書籍においては「秋葉原無差別殺傷事件」として報じられることが多い[1]

目次

事件概要

犯行現場となった中央通り(事件2時間後の様子)
犯行に使われたトラック
(フロントガラスが破損している)
被疑者が警察官に取り押さえられた現場
(写真中の建物は現在のクラブセガ秋葉原新館)

2008年平成20年)6月8日12時30分過ぎ、東京都千代田区外神田4丁目の神田明神通りと中央通りが交わる交差点で、2トントラックが西側の神田明神下交差点方面から東に向かい、中央通りとの交差点に設置されていた赤信号を無視して突入、青信号を横断中の歩行者5人をはねとばした。

このトラックは交差点を過ぎて対向車線で信号待ちをしていたタクシーと接触して停車。周囲の人々は最初は交通事故だと思ったが、トラックを運転していた男は車を降りた後、道路に倒れこむ被害者の救護にかけつけた通行人・警察官ら14人を、所持していた両刃のダガーナイフで立て続けに殺傷した[2]

さらに、この男は奇声を上げながら周囲の通行人を次々に刺して逃走。事件発生後まもなくして万世橋警察署秋葉原交番から駆けつけた警察官が男を追跡し警棒で応戦、最後には拳銃の銃口を男に対して向け、ダガーナイフを捨てるよう警告した。それに応じナイフを捨てた男を非番でたまたま居合わせた蔵前警察署の警察官とともに取り押さえ、旧サトームセン本店(現・クラブセガ秋葉原新館)脇の路地で現行犯逮捕にて身柄を拘束した[3][4]。これらはおよそ5 - 10分間ほどの間の出来事だった。

事件当日は日曜日で中央通りは歩行者天国となっている区域だった。この日も多くの買い物客や観光客でごった返しているなかの凶行であり、事件直後に多くの人々が逃げ惑い、また、負傷者が横たわる周囲が血の海になるなど事件現場はさながら戦場の様相を呈しており、まさに白昼の惨劇であった。男はナイフは他にも5本所持していたことが明らかになった。

救急活動

一方、これらの凶行に対する救命活動はおおむね迅速に遂行された。犯行現場にいた一般の通行人は犯人がまだ拘束されていない段階から積極的に被害者たちに対する一次救命処置を開始し[5]、また、携帯電話などを活用しての迅速な通報がなされた。

東京消防庁は12時36分に最初の119番通報を受信、通常の交通事故による救急事案として、救急隊1隊と救急隊支援のための消防隊1隊を出場させたが、さらに通報が相次いだことから、指揮隊1隊と救急隊4隊を応援隊として出場させた。12時43分には最初の救急隊(浅草消防署浅草橋出張所)が現場に到着した。現場到着部隊は、通常の態勢で対処できる状況ではないと判断し、現場到着とほぼ同時に、災害派遣医療チーム (DMAT) の出場を要請、東京消防庁は東京DMATに対して出動要請を行った。12時47分には消防の現場指揮本部から応援要請を受け、多数の傷病者に対応するための「救急特別第1出場」を発令、救急隊10隊や、東京DMATの支援のための消防隊等を追加出場させた。12時49分には、先に出場を指令された救急隊5隊が現場での活動を開始している。

東京消防庁がDMATチームに出動を要請してから12分後の12時55分、現場から最も近かった日本医科大学付属病院のDMATチームが現場到着した。日本医大DMATチーム指揮官は、犯行規模の大きさからDMATチームをさらに2チーム追加投入するよう要請し、13時8分に東京医科大学病院のDMATチームが到着、これにより、自然災害以外としては初のDMATチーム複数投入が実施されることとなった。最終的には、日本医大、東京医大に加え、白鬚橋病院都立広尾病院の4チームが現場に展開している。13時過ぎにはDMATチームの現地指揮所が設置され、最初に現場に展開した日本医大チームが全体の指揮を執ることで指揮系統が確立された[6]

これらのDMATチームが主導することで、救急活動はおおむね円滑に遂行されたと評価されている。しかし、一方で、DMATチームの出動に頼ったために、初動のトリアージに遅れが出た可能性も指摘されている[7]

容疑者

現行犯逮捕された容疑者青森県青森市出身の25歳男(1982年9月生まれ、年齢は犯行当時)。容疑者は2003年(平成15年)3月岐阜県の短期大学を卒業後、同年7月から2005年(平成17年)2月まで宮城県仙台市で警備員として、2005年(平成17年)4月から2006年(平成18年)4月まで埼玉県上尾市にある自動車工場の派遣社員として、2006年(平成18年)5月から同年8月まで茨城県常総市の住宅建材メーカーに派遣社員として、2007年(平成19年)1月から同年9月まで青森県青森市でトラックの運転手として(2007年4月以降は正社員)、2007年(平成19年)11月から2008年(平成20年)6月まで静岡県裾野市の自動車工場の派遣社員として、各地を転々としながら働いていた。

犯行当時は東京都内にある人材派遣会社、日研総業と契約し、静岡県裾野市の関東自動車工業東富士工場に派遣されていた(同社は後日、容疑者に関わる事案とお詫びを発表[8])。犯行に使用されたトラックは犯行日前日に静岡県沼津市レンタカーとして借りた車で、犯行に使用されたダガーナイフなどのナイフ類6本は犯行日2日前に福井県福井市のミリタリー輸入雑貨店で購入したものであった[9]。トラックで人を跳ね飛ばすのは2005年(平成17年)4月に発生した仙台アーケード街トラック暴走事件(容疑者は仙台市の事件現場の近くに住んでいたことがある)を参考にし、ナイフで人を襲うのは2008年(平成20年)3月に発生した土浦連続殺傷事件を参考にしたと供述している。

容疑者はそのトラックを自ら運転し、東名高速道路を経由して上京し犯行に及んだとされている。逮捕後容疑者は「生活に疲れた。世の中が嫌になった。人を殺すために秋葉原に来た。誰でもよかった」などと犯行の動機を供述している。

容疑者は拘置所においては弁護士以外との面会を拒否し、手紙の受け取りを拒否している[10]

神戸親和女子大学教授片田珠美は、容疑者の屈折した人格形成について母親の影響があったと意見している[11]

携帯サイトの掲示板

さらに、容疑者は携帯サイト電子掲示板で約1000回の書き込みをおこなっていた。心のよりどころを携帯サイトの掲示板にするも、次第に孤立感を深め、次第に殺人を予告する書き込みを行うようになっていった。6月8日5時21分、「秋葉原で人を殺します」とのタイトルで、「車でつっこんで、車が使えなくなったらナイフを使います みんなさようなら」との犯行予告を行った[12][13][14]。その後、沼津市から犯行現場まで移動する間に約30回のメッセージを書き込んでいた[15]

被害者

17名がトラックではねられたり刺されたりするなどの被害を受け、その内、7名(19歳から74歳までの男性6名、21歳の女性1名)が死亡した[16]。通り魔事件としては過去30年で最悪の事件とみられている[17](ただし、無差別殺人は2時間に30人が殺傷された1938年津山事件がある)。 被害者数は平成時代に起きた無差別殺傷事件としては7年前の同じ日に発生した大阪教育大学附属池田小学校の児童殺傷事件に次ぐ惨劇になった。

トラックではねられる(5人、死亡3人・負傷2人)

ナイフで刺される(12人、死亡4人・負傷8人)

事件の反響

報道

日曜日の昼食時間帯に一般市民を巻き込んで発生した重大事件であったため、主要マスメディアが大きく報道した[18][19][20][21]。また、国外のメディアも速報で伝えた[22][23][24][25][26][27]。事件の最初の速報では死者2人だったのが度々速報が入るにつれて死者の数が増えていき、最終的に死者7人になる殺人事件となった。

主要新聞社は号外を発行し、NHKテレビ(NHK総合テレビジョンNHKのど自慢」)ではニュース速報テロップにて配信し、その後放送中の番組を急遽差し替え、事件現場から生中継を交えてNHK放送センターからニュース専用スタジオにて臨時ニュース放送をした。

また、たまたまその場所に居合わせた日本テレビ関連会社のテレビカメラマンが、犯人を現行犯逮捕する瞬間や犯人をパトカーで護送する瞬間をビデオカメラで撮影し、日本テレビが単独スクープを飛ばした。

NHKと在京民放キー局5局は、事件現場にSNG中継車を出して、事件の様子をENGにて逐一放送局に電送した。また、報道特別番組を随時組んだ。ただし、フジテレビに関しては15時からみんなのケイバ(事件当時、GI競走である安田記念と重なった。)を放送した。

また、新聞各社はこの日が新聞休刊日であったため、記者カメラマンハイヤーを使えず、鉄道等の公共交通機関を使って事件現場へ駆けつけた。事件翌日に朝刊が発行されず、各新聞社では事件の様子を公式ウェブサイトのみにてニュース配信せざるを得なかった。なお、駅売りとコンビニ売りの各スポーツ紙の特報版は東京中日スポーツデイリースポーツを除き、本事件の記事を1面記事とした。

なお、事件現場が秋葉原であったことから、店舗等の防犯カメラや一般人によるカメラなどでの撮影が多く、犯人と警察官が対峙する場面の写真撮影や警察官が犯人を押さえつけている動画映像が存在しており、一部のマスメディアはこれらの写真や映像を使用した。

歩行者天国の中止と再開

通り魔事件は、事件当時実施されていた歩行者天国にも影響を与えた。事件発生を受けて、千代田区万世橋警察署、地元町会で歩行者天国の在り方を検討することとなり、毎週日曜日および祝日の12時から17時まで中央通りで実施していた歩行者天国の当面の中止を決定した。

その後、自治体や地元町会・商店街の検討会により、住民によるパトロールの実施や防犯カメラの設置、安全に関する協定の制定など防犯体制の案がまとまり、2010年平成22年)の夏休みを目処に再開することを予定していた[28]。しかし警察庁から、地元からも警備要員を出すように要望があり、その体制がまとまらなかったことから、歩行者天国の再開時期が報じられては延期という状態がしばらく続いていた。[29]。最終的には、路上パフォーマンスを警戒する警備要員を一定数、常時巡回させる計画でまとまり、地元住民の同意もほぼ得られたとして、2011年(平成23年)1月からの歩行者天国再開を、2010年(平成22年)12月中に東京都公安委員会に諮ることとなった[30]

その結果、毎週日曜日のみ、実施時間を13時から17時(4月以降は18時)まで[31]とし、実施区間も従来より200メートル短縮したうえで、2011年(平成23年)1月23日より歩行者天国が再開されている[32]。再開は試験的なもので、期間は2011年(平成23年)6月26日までを予定している。歩行者天国は2011年(平成23年)3月11日に発生した東北地方太平洋沖地震による、余震計画停電が懸念されたため一時中止[33]されたが、計画停電の影響が薄れたことや地元商店から再開の要望が多かったため4月17日より歩行者天国が再開された[34]

公的機関

警視庁のパトカー

福田康夫内閣総理大臣(当時)は、泉信也国家公安委員長に対し、事件の再発防止策の検討を指示した。また、町村信孝内閣官房長官は刃物の所持規制強化を検討すると述べた。また、千代田区立の小中学校に子供達の精神ケアを行うカウンセラーを派遣することを決めた[35]

事件後、秋葉原周辺には模倣犯防止のため、警視庁・万世橋警察署の制服警察官や私服警察官、刑事警視庁公安部の職員が多数配置されており、パトカーによる巡回、不審者に対しては職務質問を随時実施している。

民間

  • Yahoo!ショッピングAmazon.co.jp楽天市場においてダガーナイフの販売を全面中止。インターネットオークションへの出品も全面禁止となった[36][37]
  • TBS6月9日月曜ゴールデンで放送予定であったテレビドラマ『森村誠一サスペンスシリーズ(7) 〜時〜』にひき逃げや人が刺されるシーンがあり、事件を連想させるとして放送を自粛すると発表し、急遽、映画『NANA』を代替放送した[38][39]。なお、『〜時〜』は2008年9月15日に放送された。
  • ゲームソフト『メタルギアソリッド4』の発売記念イベントが、秋葉原を含む都内3ヶ所で6月12日に行われる予定であったが、この事件(公式発表では「諸般の事情」)により中止となった[40][41]
  • 事件現場の前にあるソフマップ秋葉原本館は当日午後の営業を取りやめ、現場近くのPCパーツショップなどの店舗も事件発生後、当日の営業を急遽中止・終了した。
  • 東映制作の特撮テレビドラマ『炎神戦隊ゴーオンジャー』では番組中に登場する武器「ロケットダガー」の呼称を当分自粛[42]、メインスポンサーであるバンダイは、同武器の玩具の発売直前に商品名を「スイッチ噴射剣ロケットダガー」から「スイッチ噴射剣ロケットブースター」に急遽変更[43]し、パッケージと説明書の作り直しのため発売が延期された。『ダガー』の名称が本事件に用いられた凶器「ダガーナイフ」を連想させるための配慮である[44]。呼称の自粛は同年度の冬ごろには解除されている(劇中の武器名は変更なし)。

ネット上における反応

  • 一部で犯人を英雄視する見方が発生した。この見方においては、犯人に対して、「犯人は」、「格差社会の英雄」、「勝ち組に対して事件を起こすことで一矢報いた」、「犯人は我々のスケープゴートとなった聖人」などと語られた[45]。しかしながら、公判で被告本人の供述が進み当初報じられたものと異なる動機が明らかになるにつれ、そうした好意的・同情的な見方も薄れつつある[46][47]
  • また、マスメディアとは無関係な一般市民が撮影した事件発生直後の様子を撮影した動画YouTubeニコニコ動画に多数アップロードされた。

献花台の設置・供物の窃盗

献花台の様子(2008年6月14日)

事件を受け、事件現場の交差点傍のソフマップ秋葉原本館側の歩道に、仮設テント付の献花台が設営された。多くの人が亡くなった犠牲者に対して献花した。

  • 事件現場が秋葉原とあって、花や飲食物の他にフィギュアおでん缶等、秋葉原と関係の深い物も供えられた。
  • 7月に入り、事件そのものの報道が次第に減少したなか、献花台に供えられたタバコや飲食物が持ち去られる事案がメディアに報道されるようになった。持ち去りは人通りの少なくなった夕方から夜間にかけて行われ、なかには自転車の前籠や紙袋に大量の清涼飲料水ビールを詰め込んで立ち去る者もいた。
  • なお、この献花台は6月16日以降、交差点の反対側の旧日本通運本社跡の当時ビル建設中側(現:住友不動産秋葉原ビル)に移設されていたが、犠牲者の四十九日にあたる2008年7月27日を過ぎたことを機に、翌7月28日撤去された。その後、移設された献花台付近に、犠牲者のご冥福をお祈りする旨の、怪我をされた人には一日も早い回復を祈る旨書かれた立て看板が、千代田区によって設置された。しばらくして、その看板も撤去された。

事件から1年後の2009年(平成21年)6月7日(日曜日)・8日(月曜日)前後には、一周忌と云うこともあり、ソフマップ秋葉原本館側の交差点に献花台は設置されなかったものの、多くの人が亡くなった犠牲者に対して献花や飲食物を供えたり、冥福の祈りを捧げる人が訪れたりした。犯人の運転したトラックが停車した場所付近、中央通りの犠牲者が発生した場所付近にも、花や飲食物を供えた人もいた。

  • 献花台に供えられた物品は法的にみて千代田区の所有物であり、それらを持ち去ることはれっきとした窃盗にあたる。万世橋警察署はこうした事例を受け、定期的に保管所へ移動させるなどの処置を行ったが持ち去りは後を絶たず、巡回を強化するなどして対応した。現在は前述の通り献花台は撤去されている。
    • ただし、持ち去りについては供物を「お下がり」として持ち帰ったとする解釈もあり、その正否の解釈が分かれる。

労働環境

加害者が派遣社員であったことから、若者の雇用環境が厳しくなっていることが将来に希望を失い、事件の動機になったとする見方も出た。またこの事件をもって若者の雇用環境悪化を問題視する意見が報道機関から多数出て、読者からの投稿でもそれに追随する意見が出された。加害者はずっと派遣社員だったわけではなく、一時期地元の青森で正社員として勤務している(後に自己都合退職)。これについては、青森では最低賃金や求人倍率が全国でも1、2を争うほど低く、正社員の求人も月収12 - 16万円程度が相場のため、都市部に仕事を求めていったのではとの見方もある[48]。また、この年の下旬には世界的な金融危機に伴い、製造業を中心に大量の派遣労働者が雇止めされ(派遣切り)、秋葉原の事件の再発が起きた。

犯人の世代

この事件の犯人は、1997年(平成9年)の神戸連続児童殺傷事件の犯人(酒鬼薔薇聖斗・逮捕時14歳)や2000年(平成12年)の西鉄バスジャック事件(ネオむぎ茶・逮捕時17歳)を始めとする一連の少年犯罪キレる17歳と呼ばれた世代(同学年・1982年4月2日 - 1983年4月1日生まれ)と同じ年齢だったことから、「理由なき犯罪世代」として世代論について語られた[49]。また、西鉄バスジャック事件とはインターネットでの犯行予告という共通点もある。

ただし、この世代の犯罪率が特段高いというデータはなく、世代と事件の関連性は不明である。

犯罪予告

事件後複数のサイトにおいて、殺人などの犯罪予告が相次ぎ、7月7日までに33人を検挙した。事件前は月に2,3件だったが、事件後1ヶ月で100件以上になっている。このほとんどが10代と20代で、供述内容などからそのほとんどが悪戯とされているが、実行の意思とは関係なく脅迫罪威力業務妨害に該当するれっきとした犯罪である。小中学生が行ったものもある[50]。また、通り魔事件や犯人に対して言及したものも一定数みうけられる。警察庁は6月24日に、全国の警察本部にネット掲示板への犯罪予告の書き込みを厳正に取り締まり、摘発例を積極的に広報することなどの通達を出した[51]

この事件に伴い、矢野さとるが運営する、犯罪予告情報共有ウェブサイト『予告.in』が作成された。

レンタカー事業者の対応

窃盗事件や殺人、拉致監禁事件やそれらの下見など、犯罪の手段として使用されやすいレンタカーの貸出要件の厳格化を行う動きがみられた。 仙台のアーケードでの暴走事件と、今回の事件では同じレンタカー会社の車両が使われた。このレンタカー会社は後日、追悼の意を表明する旨をトップページに掲載した。

なお、トラックにはねられて死傷した5名については自動車損害賠償責任保険が適用されるが、自賠責による賠償範囲を超過した部分については「運転者が故意に発生させた事故」であるとしてレンタカー契約約款・損害保険約款に基づき、任意保険部分については適用を拒否される。 しかし、仙台の事件では遺族がレンタカー会社を相手取って起こした裁判では、レンタカー会社に所有者責任を問う判決が下るなど、レンタカー会社に不利な判決が続いている。

銃刀法の改正

この事件の影響を受け、2009年(平成21年)1月5日銃砲刀剣類所持等取締法(銃刀法)が改正された。内容は、「刃渡り5.5cmの剣が原則所持禁止」が主となっている。これにより集蜜用ナイフやカキの殻むきナイフも違法にあたると発表され、各業界で混乱を招いている。

監視カメラの設置

監視カメラ

2010年(平成22年)1月、千代田区外神田三丁目の一部地域で、防犯目的での監視カメラ公園電柱上に16台設置・運用開始された。運用管理は末廣町会が行っている。同年4月には外神田一丁目などに監視カメラ34台が電柱などに上などに設置された。これにより一部地区を除き秋葉原全域にて監視カメラが設置・運用されている。

この事件が引き金になった類似事件

2010年(平成22年)6月22日、広島市南区のマツダ本社宇品工場にて当時42歳の男が12人の従業員を次々とはね、1人が死亡、11人に重軽傷を負わせるマツダ本社工場連続殺傷事件が発生。犯人は「マツダに恨みがあった。秋葉原のような事件をおこしてやろうと思い、工場内で車を止めて振り回すつもりで包丁も持っていった」と話していることが分かった[52][53][54]

この事件を題材とした作品

2012年3月に廣木隆一監督・脚本、蓮佛美沙子主演の映画「RIVER」が公開される予定となっている(2011年11月の東京フィルメックスで特別招待作品として上映)。この事件で電機オタクだった恋人を失った女性が人との関わりを通じて立ち直っていく姿を描いた作品で、廣木は「衝撃的な事件だったのに、時間の経過とともに話す人が少なくなってきた。映画にすることで永遠に残したかった」と企画意図を述べている[55]

起訴および裁判

3ヶ月にわたる精神鑑定の結果「完全な責任能力あり」との鑑定結果が出されたことから、東京地方検察庁は10月6日から被害者や遺族への通知を開始し、10月10日に殺人、殺人未遂、公務執行妨害、銃刀法違反での起訴に踏み切った[56]。10月31日には公判前整理手続に入ることが決定され、翌2009年(平成21年)6月22日には第1回公判前整理手続が行なわれて、弁護側は起訴事実を大筋で認めた[57]

第一審・東京地方裁判所

2010年(平成22年)1月28日東京地方裁判所にて、刑事裁判による第一審の初公判が開かれた。被告人は事件発生後、初めて公の場に姿を現した。なお、この裁判は裁判員裁判制度施行前に起訴された事件で、裁判員裁判の対象外であり、東京地方裁判所の裁判官のみで審理され、判決が出る。

  • 裁判長より刑事訴訟法に則り、人定質問がなされ、被告人の氏名、生年月日、職業、住居、本籍等を確認した(人違いを防止するため。この行為は、どの刑事裁判でも初公判時に必ず行われる)。
  • 検察側の起訴状朗読の後、検察側の冒頭陳述にて当該事件の内容が詳細に述べられた。
  • 裁判長による黙秘権の説明の後、罪状認否に於いて被告人は起訴事実を認めた。弁護側からは責任能力に疑問がある旨の冒頭陳述があった。

公判前整理手続きにおいて、被害者や目撃者の証人の供述調書などは弁護側が証拠採用に同意しなかったため、検察側は、伝聞証拠禁止の原則に従い、供述証拠については、被害者や目撃者の証人に出廷してもらい、公判にて証言させる必要に迫られた(供述調書により証人尋問を省略できるのは、ごく一部の例外を除いて弁護人の同意がある場合のみであるため)。2010年(平成22年)2月1日の第2回公判から同年12月15日の第27回公判までは、被害者や目撃者等の証人尋問を中心に証拠調べが行われた。

2011年1月25日、東京地方裁判所で行なわれた第28回公判の論告求刑で、検察側は被告に対して死刑を求刑し、[58]3月24日に被告に対して求刑通り死刑が言い渡された[59]

脚注

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  1. ^ 片田珠美『無差別殺人の精神分析』新潮社、2009年、13ページ
  2. ^ 当初、サバイバルナイフを使用したとの報道もあったが、トラック内のショルダーバッグにはサバイバルナイフなどもあったものの事件当時使用されたのはダガーナイフであった。ほか、ペティナイフ特殊警棒1本がトラック内から発見されている“秋葉原通り魔:「5、6日に決意」 福井でナイフ6本購入”. 毎日新聞. (2008年6月9日). http://mainichi.jp/photo/archive/news/2008/06/09/20080610k0000m040146000c.html 2008年7月19日閲覧。 
  3. ^ “秋葉原で通り魔、トラックで次々とはねてナイフで斬りつけ、7人が死亡”. GIGAZINE. (2008年6月8日). http://gigazine.net/index.php?/news/comments/20080608_akihabara/ 2008年7月19日閲覧。 
  4. ^ 北村/Webアキバ編集部 (2008年6月8日). “アキバで通り魔事件”. ASCII.jp. アスキー・メディアワークス. 2008年7月19日閲覧。
  5. ^ 東京DMATの一員として -秋葉原無差別殺傷事件の現場で」、『元気がいいね』第51号、東京都医師会、2009年8月11日閲覧。
  6. ^ 吉原淳; 田中健一郎 (2008年6月13日). “惨劇のアキバ 救命最前線は : 秋葉原無差別殺傷”. 読売新聞. http://www.yomiuri.co.jp/feature/20080608-2810266/fe_080613_01.htm 2009年8月11日閲覧。 
  7. ^ “患者選別「トリアージ」手間取る…秋葉原殺傷”. 読売新聞. (2008年10月15日). http://www.yomiuri.co.jp/iryou/news/iryou_news/20081015-OYT8T00312.htm 2009年8月11日閲覧。 
  8. ^ 関東自動車工業 (2008-06-09), “6月8日秋葉原通り魔事件の報道について” (PDF), プレスリリース, http://www.kanto-aw.co.jp/jp/corporate/080609.pdf 2008年7月19日閲覧。 
  9. ^ このミリタリー輸入雑貨店は10日間販売を自粛した後で福井市の実店鋪での対面販売を止めて、インターネット通信販売のみ続けている。
  10. ^ “「なぜ息子は死んだのか」=救いたかったと遺族、今も−秋葉原無差別殺傷から1年”. 時事通信社. (2009年6月6日). http://www.jiji.com/jc/c?g=soc_30&k=2009060600066 
  11. ^ 片田珠美「無差別殺人の精神分析」(新潮選書 ISBN 978-4-10-603637-8
  12. ^ “携帯サイトで犯行予告 秋葉原無差別殺傷7人死亡”. 朝日新聞. (2008年6月9日). http://www2.asahi.com/special2/080609/TKY200806080127.html 2008年7月19日閲覧。 
  13. ^ “秋葉原通り魔:携帯掲示板に予告 警視庁に情報、警戒中”. 毎日新聞. (2008年6月9日). http://mainichi.jp/photo/archive/news/2008/06/09/20080609k0000e040038000c.html 2008年7月19日閲覧。 
  14. ^ “犯行予告 容疑者の文章(6月8日)”. 読売新聞. (2008年6月9日). http://www.yomiuri.co.jp/feature/20080608-2810266/fe_080609_01.htm 2008年7月19日閲覧。 
  15. ^ “「秋葉原で人を殺します」容疑者、携帯掲示板に予告”. 読売新聞. (2008年6月9日). http://www.yomiuri.co.jp/feature/20080608-2810266/news/20080609-OYT1T00170.htm 2008年7月19日閲覧。 
  16. ^ “白昼の秋葉原で25歳男が凶行、18人に切りつけ7人死亡”. 読売新聞. (2008年6月8日). http://www.yomiuri.co.jp/feature/20080608-2810266/news/20080608-OYT1T00385.htm 2008年7月19日閲覧。 
  17. ^ “【秋葉原通り魔事件】犯行使用のナイフとは別の刃物も所持 過去30年で被害最悪か”. 産経新聞. (2008年6月8日). http://sankei.jp.msn.com/affairs/crime/080608/crm0806082203036-n1.htm 2008年7月19日閲覧。 
  18. ^ 秋葉原無差別殺傷 - ニュース特集(朝日新聞)
  19. ^ 秋葉原通り魔事件 - トピックス(産経新聞)
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  59. ^ “(註:記事名に被告の名前を含むため記載出来ません。)”. YOMIURI ONLINE. (2011年3月24日). http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20110324-OYT1T00678.htm 2011年3月24日閲覧。 

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