警視庁公安部
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
警視庁公安部(けいしちょうこうあんぶ)は、公安を担当する警視庁の部局であり、東京都を管轄とする公安警察である。
日本の警察組織の中で警視庁のみ、公安警察が独立した「部」になっており、他の道府県警察では、警備部内に公安課や外事課が設置されている。また、日本の各警察署では警備課に公安係、外事係が設置されている。
なお、公安委員会は警察の管理のための委員会(監査係)であり、名称は似ているが全く異なる。
警視庁公安部は、公安総務課・公安第一課・公安第二課・公安第三課・公安第四課・外事第一課・外事第二課・外事第三課に分かれている。
目次 |
[編集] 概要
公安は数ある警察任務のなかでもスパイや思想犯、思想・宗教絡みの組織犯罪といった非常に特殊な犯罪を対象としている。 警察組織の一部というよりも外国でいう情報機関に近い活動を行う。警視庁公安部は、都内に留まらず国家公安的実務も果たす。都道府県警察公安課・外事課の頂点、すなわち総司令部が警察庁警備局であり全国の公安警察を一元的に管理しているが、実働部隊はない。よって警備局の指揮の下、警視庁公安部、各道府県警公安部門が動く。任務内容が警察内でもとりわけ特殊で秘匿性が強いので、マスコミやメディアの前には表だって登場しない。
[編集] 捜査方法
捜査対象は政治犯やカルトなど特殊な対象のため、殆ど機密に包まれる。
通常は、監視対象団体の集会の監視や構成員を尾行する行動監視が多い。構成員を饗応して協力者に仕立て上げ、情報を収集することもある。対象とする犯罪も特殊なだけに、事件発生後に捜査するのではなく、不審な対象を発見した場合は先行して見込み捜査に入る。特に怪しいと目をつけた団体などは、公共秩序を乱す行為を行なっていなくとも監視対象に置く場合がある。
[編集] 外事捜査
日本警察において外務的な捜査や、防諜を担当する部門は外事課である。スパイに対する捜査や在日外国人団体関連の捜査を行う。国外において日本の司法警察に法的な捜査権はないが、現地の捜査機関と密接に捜査協力を行ったり、特にテロ捜査の為には海外での情報収集も積極的に展開する。同時に防衛省情報本部や公安調査庁と協力を行っている。
また各国大使館や国外の情報機関(西側諸国の機関 主としてCIA、FBI、MI6など)とも密接な関係を保っており、不穏な国内情勢や国際情勢はすぐさま公安部に伝えられ、常にテロやゲリラなど国家治安維持に関係する事態に警戒できる体制が敷かれている。
[編集] 公安部員
公安部員の性質は一般的な警察官に比べ、情報機関員に近く、業務の特殊性から顔・体格・素性・素振りなどを部外者(これは一般人のみならず、同じ警察官も含む)に覚えられることを嫌う。声を覚えられることを警戒する公安部員もおり、部外者とは雑談さえも控えている者もいる。一般市民が公安部員と接触する機会はまずない。また、現職の警察官であっても、公安部員と合同で捜査や業務を行うことは非常に少ない。そのため公安部員については、たとえ同期の警察官であっても、詳細な所属先や業務内容が分からないと言われている。
[編集] 対象犯罪
- 政治犯
- カルト団体
- 国際及び国内テロリスト
- 警察内部の防諜
- 軍事的な重武装を行うゲリラなどの犯罪
- 皇族だと身分を詐称する人物に関するもの、例えば有栖川宮詐欺事件など。
- 同盟国以外の外国政府の要員による諜報活動の取締りと摘発
- 特に警戒される事件として北朝鮮による日本人拉致問題などの北朝鮮の国家機関が関係すると見られる犯罪
[編集] 組織
- 公安総務課
- 庶務:庶務係(公安部内庶務)
- 第一公安捜査:公安管理係(公安部運用)、第1、第2係(デモ対応)
- 第二公安捜査:第3、第4係(反戦デモ)
- 第三公安捜査:第5、第6係(反戦デモ)
- 第四公安捜査:第7、第8係(左翼政治団体対応)
- 第五公安捜査:第9、第10係(左翼政治団体対応)
- 公安第一課
- 第一公安捜査:第1係(課内庶務)、第2係(極左警備情報)
- 第二公安捜査:第3、第4係(極左情報収集)
- 第三公安捜査:第5、第6係(日本赤軍情報収集)
- 第四公安捜査:第7、第8係(極左情報収集)
- 公安第三課
- 第一公安捜査:第1係(課内庶務)、第2係(右翼情報)
- 第二公安捜査:第3、第4係(右翼情報)
- 第三公安捜査:第5係(右翼情報)
- 右翼団体を捜査対象とする
- 公安第四課
- 第一公安資料:第1係(課内庶務、公安関係統計)
- 第二公安資料:第2係(公安資料整理)
- 資料管理
- 外事第二課
- アジア第一:第1係(課内庶務)、第2係(アジア関係外事捜査)
- アジア第二:第3、第4、第5係(アジア関係外事捜査)
- アジア第三:第6、第7係(アジア関係外事捜査)
- 東アジア地域(特に中華人民共和国、朝鮮民主主義人民共和国、他共産圏諸国)のスパイを捜査対象とする
- 公安機動捜査隊
- 隊本部(庶務係、運用係)、各班。NBCテロ対策班を置いている。目黒区目黒1丁目に隊本部がある。
[編集] 役職
[編集] 歴代部長
| 氏名 | 在任期間 | 前職 | 後職 |
|---|---|---|---|
| 野田章 | - 1959年(昭和34年)3月31日 |
兵庫県警察本部長 | |
| 石岡実 | 1959年(昭和34年)3月31日 - 1961年(昭和36年)4月1日 |
福島県警察本部長 | 九州管区警察局長 |
| 秦野章 | 1961年(昭和36年)4月1日 - 1963年(昭和38年)5月31日 |
警視庁刑事部長 | 警視庁警務部長 |
| 川島広守 | 1963年(昭和38年)5月31日 - 1967年(昭和42年)3月7日 |
警察庁警備第一課長 | 警察庁警備局長 |
| 山本鎮彦 | 1967年(昭和42年)3月7日 - 1971年(昭和46年)1月22日 |
警察庁警備局参事官 | 兵庫県警察本部長 |
| 三井脩 | 1971年(昭和46年)1月22日 - 1973年(昭和48年)11月2日 |
警察庁警備局参事官 | 警視庁警務部長 |
| 中島二郎 | 1973年(昭和48年)11月2日 - 1975年(昭和50年)8月4日 |
警察庁警備局参事官 | 神奈川県警察本部長 |
| 福田勝一 | 1975年(昭和50年)8月4日 - 1978年(昭和53年)2月21日 |
警察庁警務局人事課長 | 兵庫県警察本部長 |
| 鎌倉節 | 1978年(昭和53年)2月21日 - 1980年(昭和55年)8月18日 |
警察庁警備局参事官 | 警視庁警務部長 |
| 柴田善憲 | 1980年(昭和55年)8月18日 - 1982年(昭和57年)5月20日 |
警視庁警備局審議官 | 警視庁副総監 |
| 福井与明 | 1982年(昭和57年)5月20日 - 1985年(昭和60年)8月7日 |
警察庁警備局公安第一課長 | 埼玉県警察本部長 |
| 城内康光 | 1985年(昭和60年)8月7日 - 1988年(昭和63年)1月22日 |
警察庁警務局人事課長 | 警察庁警備局長 |
| 國松孝次 | 1988年(昭和63年)1月22日 - 1989年(平成元年)4月1日 |
警察庁警務局人事課長 | 兵庫県警察本部長 |
| 大森義夫 | 1989年(平成元年)4月1日 - 1991年(平成3年)1月11日 |
警察庁警備局公安第一課長 | 警察庁長官官房審議官 |
| 前田健治 | 1991年(平成3年)1月11日 - 1992年(平成4年)9月18日 |
警察庁警務局付 | 警視庁警務部長 |
| 渡邊泉郎 | 1992年(平成4年)9月18日 - 1994年(平成6年)10月18日 |
警察庁警備局警備企画課長 | 神奈川県警察本部長 |
| 櫻井勝 | 1994年(平成6年)10月18日 - |
警察庁長官官房首席監察官 | |
| 林則清 | 1996年(平成8年)10月29日 - 1998年(平成10年)3月28日 |
警察庁刑事局暴力団対策部長 | 警視庁副総監 |
| 奥村萬壽雄 | 1998年(平成10年)3月28日 - 1999年(平成11年)8月26日 |
警察庁長官官房審議官(警備局担当) | 警視庁警務部長 |
| 安藤隆春 | 1999年(平成11年)8月26日 - 2001年(平成13年)9月3日 |
警察庁長官官房審議官(交通局担当) | 警察庁長官官房総括審議官 |
| 米村敏朗 | 2001年(平成13年)9月3日 - 2003年(平成15年)8月5日 |
警察庁長官官房人事課長 | 警察庁長官官房審議官(警備局担当) |
| 伊藤茂男 | 2003年(平成15年)8月5日 - 2004年(平成16年)8月20日 |
警察庁長官官房付 | 神奈川県警察本部長 |
| 末井誠史 | 2004年(平成16年)8月20日 - 2006年(平成18年)1月23日 |
警察庁交通局交通企画課長 | 兵庫県警察本部長 |
| 高石和夫 | 2006年(平成18年)1月23日 - 2007年(平成19年)8月24日 |
警察庁長官官房付 | 警視庁副総監 |
| 植松信一 | 2007年(平成19年)8月24日 - 2008年(平成20年)8月25日 |
警察庁長官官房付 | 警視庁副総監 |
| 青木五郎 | 2008年(平成20年)8月25日 - |
京都府警察本部長 |
[編集] 参考
- 警視庁本部の課長代理の担当並びに係の名称及び分掌事務に関する規定
- 警視庁文書管理規定
- 大野達三『警備公安警察の素顔』(新日本出版社)
- 警備研究会著『日本共産党101問』(立花書房)
[編集] 関連項目
|
||||||||||||||||||||||||||

