万引き

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
移動: 案内検索

万引き(まんびき)とは、窃盗の一種であり、営業時間中の商店小売店百貨店スーパーマーケットコンビニエンスストア書店)等で、販売目的として展示・陳列してある商品(商品見本を含む)および展示・陳列のための備品等を、店側の目を盗んで窃取することを言う。

語源としては、商品を勝手に間引くことから、「間引き」が転じたとする説[要出典]や、一度やると癖になり万回繰り返すからなどの説[要出典]がある。

目次

万引きと窃盗罪 [編集]

万引きは刑法235条の窃盗罪の構成要件に該当する犯罪行為であり、その中でもある手法に対する世俗的通称で、安易に行われているとする声がある。

占有移転が完了した時点、即ち、商品を手に取って自分の服のポケットやバッグに入れたり、手に持ったまま店から出たり、レジを通過した後の買い物袋に入れたりなどした時点で窃盗罪が成立しうる。いずれの時点であるかは被害物品の大きさ、形状、行為者の意思などにより左右されるが、レジの外に出た時点でほぼ確実に既遂は成立している。しかし、まだ店内、私有地につき、店員や警備員としてはこの時点では犯人に声を掛け、呼び止めて停止させることをしないことがある。声を掛ける場合、市道、公道などに、犯人の両足の土踏まずがしっかりと地面に着地したなど、外形的に代金を支払う意思のないことが明らかであることを確認した時点で初めて声を掛け、万引きとして取り扱うことがある。[要出典]窃盗罪の具体的な構成要件については窃盗罪の項目を参照。

窃盗としての「万引き」は、場合によってはさらに重い罪に問われることがある。店員や警備員や善意の第三者(客や通行人など。事後強盗罪#主な解釈論を参照)が、万引きを阻止しようとしたとき暴力を振るえば、強盗罪が成立(事後強盗)し、そのときに店員や警備員などにかすり傷でもつけてしまえば強盗致傷罪が成立する。この場合にかつては、執行猶予が不可能だったため、窃盗と傷害に分けて起訴する運用があったが、法改正により法定刑の下限が引き下げられて執行猶予が可能となった。もっとも、強盗致傷罪における「傷害」にかすり傷程度でも該当するかは議論がある。さらに店員や警備員などが倒れ、当たり所が悪く死亡してしまったときには強盗致死罪となる。

なおデジタル万引きとは一部民間団体による造語または概念であり、現行刑法上そのような犯罪は存在しない。

万引き対策 [編集]

食料品や雑貨などでは店員による目視、監視カメラの設置などが一般的である。しかし、店員の監視は人件費や通常の業務などを考えると、どうしても人を割けない事情もある。監視カメラにも死角があり、いずれも限界がある。

万引き防止システム [編集]

電波式の万引き感知ラベル

電子機器やソフトウェアなど高額商品の場合、磁性体(磁気式-EM)やICチップ(電波式-RF)を利用した商品タグや小型のブザーを商品に貼付もしくは装着し、店舗入り口に設置された検知器で検出すると言う方式が一般に採用されている。 この方式ではコストはかかるものの、個別に防犯対策を施せることから、各種量販店やレンタルビデオ店などでも普及している。 しかし、検知を無効化したり、防犯装置自体を破壊したりして窃盗する者も出現しており、犯行はより巧妙化している。

また、衣類に関しては、洗浄の難しい染料系インクを加圧封入したガラス管を装着した特殊なタグを容易に切断できない高張力高分子ワイヤで商品に装着し、所定の治具以外で取り外すと商品・犯人共にマーキングされるという方法で万引きを抑止している。

ゲーム店では上の感知ラベルに加え、売り場に本体やソフトのその物を置かず商品のカードや見本の箱、もしくは本体やソフトを抜いた箱をレジに持って行く事で購入を出来るようにしている。

また福井県のディスカウントスーパーPLANTでは2008年7月から万引の金額に関係なく損害賠償請求を導入し抑止効果を上げた。このため東京都内の一部書店や中部地区の三洋堂書店が損害賠償を導入しており成果が上がりつつある[1]

万引き被害にあった店の被害 [編集]

書店
全国書店の2007年度の「万引きによるロス額」は約192億円分であると推計されている[2]

万引きGメン [編集]

また近年は、私服で巡回を行い不審者を監視する警備員「店内保安員」を配置する店が増えている。売り場にそぐわないごつい体格の男性、しわくちゃになった小さなレジ袋(長時間の巡回によりしわくちゃになるものと思われる)を持っている者、あるいはどう見ても買い物客とは思えない厳しい視線を投げかける者などが、店内を不自然にうろうろ歩いていることが多くすぐに判別が付くので、犯罪抑止効果も狙っているものと思われる。しかし、買い物客としては行動があまりにも不自然なので、一般客から不快感を持たれたり逆に不審人物として制服警備員に通報されるケースもある。このようなことを防ぐため、「私服警備員巡回中」といった表示を行う店もある。

ワイドショーや犯罪関係の番組などで、こうした警備員を「万引きGメン」としてその勤務の模様を放送することがある。その勤務内容は、

  1. 店内で不審な行動を取っている客を監視し、その客がバッグやポケットに商品を入れるのを確認する。
  2. その後その客が店を出て、犯罪が成立した時点で声を掛ける

というものである。 一連の万引きGメンと万引き犯人のやりとりを放送することは万引きの抑止にもなるという声もあるが、この企画が放送されるとやらせではないのかなどと抗議・苦情が来る場合もある(必ずしも都合よく万引き犯が現れるとは限らないため)。

なお、犯人を捕まえて連行、警察官が駆けつけるのを待つことを“キャッチ”、“捕捉”と呼ぶ。

2010年4月5日に万引きした男性を恐喝して現金を受け取ったとして万引きGメンを含む3人が逮捕される事件が起こっている[3]

日本国外 [編集]

万引きは、海外でも問題になっている。日本でも、世界まる見え!テレビ特捜部などの番組で、海外の万引きなどの実態を取り上げた映像を見る事ができる。

イギリスにおいては、年間4900億円もの万引き被害が出ているという[4]

米国、カナダ、オーストラリア、ブラジル、メキシコ、南アフリカ、日本、インドを含む国際的な調査[5]によると、おおむねどの国でも似たようなものが万引きされる傾向にあり、同じようなブランドの商品が万引きされるという。しかし、それらの国々の一般的な消費習慣および好みを反映した違いも存在する。

ミラノでは、ミラノ風リゾットの高級品であるサフランがしばしば被害に遭う。イタリアでは、スーパーマーケットからパルミジャーノ・レッジャーノが万引きされることが多い。

スペインでは、生ハムのハモン・イベリコがしばしばターゲットにされる。フランスでは、アニスのリキュールであるリカールが頻繁に盗まれる。ノルウェイでは、パック入りのチーズがもっとも頻繁に万引きされており、盗んだ品物をピザ屋やファストフードレストランに売却する者もいる。

万引きがテーマの作品 [編集]

著作

DVD

音楽

漫画

ドラマ

脚注 [編集]

  1. ^ “悪質万引きに損害賠償請求 全国で100店以上が実施”. J-CASTニュース (ジェイ・キャスト). (2009年10月2日). http://www.j-cast.com/2009/10/02050913.html 
  2. ^ “不審行動を検知 「サブローくん」が万引きを防ぐのだ!”. BIGLOBEニュース (NEC). (2009年7月3日). http://news.biglobe.ne.jp/economy/119/jc_090703_1195236698.html [リンク切れ]
  3. ^ “万引き男性を恐喝容疑、「Gメン」ら3人逮捕”. YOMIURI ONLINE (読売新聞社). (2010年4月5日). オリジナル2010年4月8日時点によるアーカイブ。. http://web.archive.org/web/20100408212747/http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20100405-OYT1T01087.htm 
  4. ^ 世界まる見え!テレビ特捜部 2009年2月2日放送
  5. ^ Bamfield, Joshua A. N. (Centre for Retail Research) (2012). Shopping and crime (Crime Prevention and Security Management). Houndmills, Basingstoke, Hampshire: Palgrave Macmillan. p. 84. ISBN 0230521606. 

関連項目 [編集]