機動隊

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街頭で警備活動に当たる警視庁機動隊

機動隊(きどうたい)は、日本の警察において、集団的警備力及び機動力を有し、警備実施の中核部隊として治安警備及び災害警備等に当たる警備警察部隊である。

概要[編集]

暴動・集団犯罪など、一般の警察官では対処しきれない騒擾を警戒および鎮圧する警察部隊である。実力行使の任務上、体力がある若い警察官を中心に構成されている。

任務は治安警備、災害警備、雑踏警備警衛警護、集団警ら及び各種一斉取締りである。「治安警備」とは、国の公安又は利益に係る犯罪及び政治運動に伴う犯罪が発生した場合において、部隊活動により犯罪を未然に防止し、又は犯罪が発生した場合の違法状態を収拾する警備実施活動のことであり、「災害警備」とは、災害が発生した場合に、個人の生命、身体及び財産を保護し、公共の安全と秩序を維持することを目的に行う警察の救助活動等のことである。

警察用語としての「機動」とは、「特定の所轄担当区域を持たず、直轄部隊として機動的に活動を行う」ことを意味し、事件の初動捜査を行なう機動捜査隊や広域的に交通事案に対処する交通機動隊は機動隊と同様の意味で「機動」を名称に冠しているが、機動隊とは任務が異なっている。

都道府県警察以外の同様の目的の部隊に、皇宮警察本部特別警備隊(特備隊)海上保安庁特別警備隊(特警隊)が存在する。他の国では、軍事組織が機動隊に相当する任務を担当している場合もある。例としては、アメリカの州軍[注釈 1]、欧州・中南米諸国の国家憲兵(警察軍)、ロシア等旧ソ連邦諸国の国内軍(内務省軍)、中国の武装警察、韓国の戦闘警察[注釈 2]などが挙げられる。

沿革[編集]

特別警備隊1938年(昭和13年))

組織変遷[編集]

1933年昭和8年)10月1日
内務省警視庁特別警備隊が創設される。桜田門事件血盟団事件五・一五事件など、不穏な社会情勢に対処するために創設され、通称「昭和の新選組」と呼ばれていた。この部隊が機動隊の直接的なルーツである。
1936年(昭和11年)2月26日
二・二六事件が発生するが、陸軍大尉野中四郎の指揮する陸軍反乱部隊の襲撃により、特別警備隊は武装解除されたため、出動することはできなかった。
1944年(昭和19年)4月
全国の府県警察部警備隊が設けられる。戦時中であったため、空襲等の非常事態時における治安確保・救援等の緊急活動を主要な任務としていた。
1946年(昭和21年)1月16日
GHQから及び準軍事組織の解体命令が出され、これを受け警備隊が廃止される。
1946年(昭和21年)1月24日
警視庁に防護隊(200名規模)が設けられる。デモ隊から警察施設を防護するために創設された。
1948年(昭和23年)5月25日
防護隊の規模が拡大され、警視庁警備交通部に警視庁予備隊が創設される。この部隊が機動隊の前身である。(なお、1950年には警察予備隊が創設されている。警察予備隊は警視庁予備隊と名称が類似しているが、後に保安隊を経て陸上自衛隊に改編される組織である。)
1951年(昭和26年)9月16日
警備交通部が交通部及び警邏部に分割されたため警邏部の所管とし、さらに予備隊を廃止して第一方面~第七方面予備隊に再編する。
1952年(昭和27年)4月
警視庁の各方面予備隊を警備第一部に移管する。
1952年(昭和27年)7月
国家地方警察本部が機動隊設置を指示する。
1952年(昭和27年)10月
警視庁の各方面予備隊を廃止して、警視庁予備隊に再編成する。
1952年(昭和27年)
警視庁予備隊に特科部隊(私服、装甲、放水、特務各中隊)を増設する。
1954年(昭和29年)7月27日
警察庁が「機動隊設置運用基準要綱」を制定。全国の都道府県警察で機動隊の設置が始まる。
1957年(昭和32年)4月1日
警視庁予備隊が警視庁機動隊に改称される。
1962年(昭和37年)10月13日
警察庁が「機動隊設置運用基準要綱」を改正。同年、全ての都道府県警察が機動隊を設置する。
1963年(昭和38年)11月14日
警備実施要則(昭和38年国家公安委員会規則第3号)が制定される。
1970年(昭和45年)4月22日
国家公安委員会が「管区機動隊の編成等に関する規則」を制定し、管区機動隊が発足する。

主な対応事件等[編集]

第24次西成暴動で出動した大阪府警察機動隊

被害[編集]

1989年警察白書によれば、大盾導入など装備強化が図られた1968年以降だけでも、警備実施に伴う警察官の殉職者は11名、負傷者は後遺症の残った者も含め、約2万名に上っている。

現状[編集]

今日では警察署交番からの要請でパトロールに駆り出されることも多くなっている。服装は通常の活動服なので、交番勤務員か機動隊員かは見分けがつかないことが多い。道案内を乞うても対応が出来ない警察官は所轄署員ではなく機動隊からの応援要員である可能性が高いという。ただし、制服の襟にを象った金色のバッジをつけ、足は短靴ではなくブーツ風の安全靴を履いている他、地域によっては丸に「機」の文字(警視庁では「二機」「四機」など)の入った腕章をはめており、また携帯しているトランシーバーが交番勤務者に比べて大きい(「部隊活動系」と呼ばれる特別な物を使用している)ので近寄れば容易に識別できることもある。

また機動隊を、遊撃捜査活動やパトカーによる機動警察活動等の多角的な運用に使用している都道府県警察が増えている。2003年の読売新聞特集「治安再生-揺らぐ警察組織」によれば、新人警察官の刑事志望者が減る中でも、災害救助繁華街雑踏警備など様々な現場を体験している機動隊員は、その7割が刑事警察官を希望するようになるという。

警察学校を卒業して1年から3年程度で機動隊に転勤する例が多いため、現場の警察署に若手警察官がいなくなってしまうという現象が起きている。特に交番では、警察学校を出たばかりの、仕事をよく知らない新人と、経験はあるが、体力に問題のある中高年ばかり、という組み合わせが多い。また、せっかく仕事を覚え始めた頃に機動隊に転勤になって現場を数年間離れてしまうことから、機動隊を除隊する頃には仕事を忘れてしまい、また一からやり直し、となってしまう問題もある。

その多忙さから最も昇任の難しい職種とされていたが、過激派学生運動等の退潮と共に機動隊員の昇任試験の合格率が跳ね上がったという情報が各所で存在する。これは、昇任直後の若い隊幹部が、重要防護対象警戒など激務の合間に、隊員に“尻を叩いて”勉強させるからである。隊員は、全寮制のため否応もなく勉強するというのも要因である。しかし、現在は統計上、他の部署と比較して特に合格率が高いということはなく、既に過去の話である。

千葉県警察では、成田空港問題を抱える特殊事情から、新規採用されて警察学校を卒業後は全員がまず機動隊に配属されていた時期があった(現在ではこの運用は行われておらず、他県同様に警ら警察官として地域部に配置され交番勤務となる)。そのため、千葉県警察官の多くが機動隊経験者であり、現在の上級幹部の年代の者が成田空港闘争の最盛期を経験していることが多い。そのため、他の都道府県警察で見られる機動隊経験が無い故の「機動隊アレルギー」を持つ幹部は、千葉県警察では少ないとされる。

編制[編集]

基本編制[編集]

機動隊[編集]

集団警備力によって有事即応体制を保持する常設の基幹部隊[2]。各都道府県警察に置かれる。隊員は専任。警視庁警備部では、第1機動隊から第9機動隊及び特科車両隊の計10隊が置かれている。また、大阪府警察千葉県警察に各3隊、神奈川県警察福岡県警察に各2隊、その他の道府県警察には各1隊が編制されている。

各種事案に対応するため、基本訓練を終えた隊員は、各専門部隊の指定隊員として訓練を受け、部隊を編成している。これらの専門部隊は「機能別部隊」[2]と呼ばれている。

なお、警視庁の特殊部隊(SAT)は、警視庁警備部の、大阪府警察のSATがやはり警備部警備課に所属しており、機動隊から独立した組織である。また道県警察のSATは機動隊に所属している。

さらに、千葉県警察大阪府警察の機動隊には、スカイマーシャルが編成されている。

管区機動隊[編集]

府県警察本部長が、当該府県警察に所属する警察官をもって編成し(警視庁と北海道警察のみ、管区には参加せず、独立している)、各府県警察に設置されている[3]

各府県警察管区機動隊は地域警察の「警ら隊」等と兼務とし、「管区機動隊」として活動する場合は府県機動隊を補完する活動を行う。

また各府県警察の管区機動隊の連合編成について管区警察局長は、管轄区域内における必要な調整を行なうことになっており、管区機動隊各大隊ごとに1年に1回、管区警察学校に入校して実施する約1ヶ月間の大隊入校訓練を実施している。特に複数の県の混合で編成される大隊や中隊がある場合、この管区警察学校入校訓練が貴重な集合訓練の場になっている。

管区機動隊の任務は、治安警備活動及び災害警備活動並びに道府県警察本部長が必要と認めて命ずるその他の警察活動を行なうこと、他の都道府県公安委員会の援助の要求により派遣され[2]、当該都道府県公安委員会の管理の下に、当該都道府県警察の管轄区域において警察活動を行なうことである。

管区機動隊の隊員数は全国を通じて約3000名である。管区機動隊のうち、関東管区中部管区近畿管区九州管区機動隊は連隊編制、その他の管区機動隊は大隊編制である。

連隊編制の管区機動隊の連隊長はその管区内の大規模県警の警備部参事官警視正)や小規模県警の部長級(警視正)が兼務する。大隊長は規模の大きい県警機動隊の管理官警視)が兼務することが多い。中隊長は各県警の機動隊隊本部付警部か本部警備部警備課課長補佐の警部が兼務する。

隊員については大規模府県警の場合、複数の警察署に警ら部隊を作り、そこに隊員を所属させる。この場合、警察署の警ら部隊は「集団警ら隊」、「特別警ら隊」、「直轄警ら隊」などと呼ばれる。小規模の県警では警察本部地域部/生活安全部に警ら部隊を作り、そこに隊員を所属させる。この組織は「機動警察隊」と呼称される場合もある。また県機動隊の隷下に管区機動隊部隊を置いている県警もある。

栃木県警察の場合、機動警察隊のみならず、刑事部機動捜査隊の隊員も管区機動隊を兼務している[4]

管区機動隊の任期は隊員の場合、2年と定めている府県警が多い。

第二機動隊(方面機動隊・特別機動隊)[編集]

第二機動隊は、常設の「第二機動隊」を保有しない道府県警に置かれる予備部隊である。常設「第二機動隊」を保有している警視庁・大阪府警察及び一部の県警では「方面機動隊」「特別機動隊」と呼ばれることが多い。隊員は一般の制服警察官が兼任しており、平常時は警察署の各部署で通常の警察署員と同様の勤務を行なっている[2]

非常時のみ招集される臨時編成の機動隊であるが、機動隊員としての訓練を一定期間ごとに行う。

警察機動隊の編制単位[編集]

各道府県警察や各隊の運用により、異なることも多いが、概ね機動隊の編成は以下のとおりである。

  1. 連隊:連隊長(概ね警視正)及び3個大隊440名強。警視庁機動隊全体のみ10個隊2500余名。
  2. 大隊:大隊長(概ね警視)及び3個中隊148名。警視庁のみ5個隊246名であり、これが警視庁機動隊各隊になる。
  3. 中隊:中隊長(警部)及び3個小隊の49名。
  4. 小隊:小隊長(警部補)及び3個分隊の16名。
  5. 分隊:分隊長(巡査部長)及び隊員(巡査長巡査)4名の合計5名。
  6. ―― 伝令:伝令長(警部補)以下伝令。小隊レベルまでの各隊長に随従。

大規模警察本部における編成事例[編集]

警視庁機動隊[編集]

各機動隊は隊本部(庶務係、会計係、教務係、警備係、通信係、特務係、広報係、騒音取締係、技術係、特殊技能係、操車係、整備係)と基幹隊(常設)5個中隊特別機動隊(通常は警察署勤務)2個中隊の計7個中隊で編成。

第一機動隊(千代田区北の丸公園
儀仗隊爆発物処理班を保有。「警視庁機動隊」隊長ともなり得る第一機動隊長には経験豊富なベテラン警視正が就く(他のほとんどの隊長は署長経験者の警視)。隊舎が皇居に近いことからニックネームは「近衛」もしくは「旗本
第二機動隊(墨田区横川
水難救助隊、爆発物処理班を保有。水難救助隊からニックネームは「かっぱ
第三機動隊(目黒区大橋
爆発物処理班を保有。隊舎が駒沢旧陸軍練兵場跡にあり、が舞うのと「誇り」の洒落からニックネームは「ほこり」
第四機動隊(立川市緑町
治安警備部隊を保有。活動に実力行使が伴うことからニックネームは「
第五機動隊(新宿区市谷本村町
近郊に大学が多い事と昇任試験での合格者多数からニックネームは「学」もしくは「精強」
第六機動隊(品川区勝島
銃器対策部隊を保有。特殊部隊(SAT)の前身部隊であるSAPもここに所属していた。臨港地帯からニックネームは「」もしくはシンボルマークから「若鹿
第七機動隊(調布市上石原)
銃器対策レンジャー部隊山岳救助レンジャー部隊、水難救助隊を保有。シンボルマークのライオンからニックネームは「若獅子
第八機動隊(新宿区若松町
銃器対策部隊化学防護隊を保有。爆弾が投げ込まれた事がある(土田・日石・ピース缶爆弾事件)。隠密行動に長ける事からニックネームは「忍び」もしくは隊番号の“八”から「
第九機動隊(江東区新砂
水難救助隊を保有。ニックネームは「疾風」もしくはシンボルマークから「若
特科車両隊(新宿区市谷本村町
警視庁のみに設置されている部隊。他の機動隊と同様に治安警備、災害警備、雑踏警備等諸般の警備警戒、各種犯罪の予防検挙にあたるほか、各種車両で他の機動隊の支援を行う。「警察の機甲部隊」ともいわれ、特型警備車や各種災害支援車両(広域レスキュー車)などを装備している。
爆発物処理班と化学防護隊を保有。ニックネームは「技術」もしくは「支援」[注釈 3]

北海道警察警備隊[編集]

北海道では、管区機動隊はなく、その代わりに1個大隊編成の北海道警察警備隊が置かれている[6]。機動隊長は、原則として北海道警察本部警備部警備課指導官(警視)をもって充てることになっている。大隊本部は、北海道警察本部警備部警備課に置かれている。

隊員は、管区機動隊と同様、北海道警察本部及び各方面本部函館旭川北見釧路)に所属している警察官で構成される。

機動隊類似の部隊[編集]

千葉県警察成田国際空港警備隊
1978年(昭和53年)、新東京国際空港警備隊として発足。千葉県警察本部警備部に設置され、成田国際空港の警備に当たる。千葉県の警察官の他、全国都道府県警察や皇宮警察本部からの出向者によって編制される。隊員数は約1500名。
参事官が兼務する空港警備隊長指揮下、総務室、警備室、6個の空港機動隊(大隊)によって編制されている。爆発物処理班、銃器対策部隊、レンジャー部隊、NBCテロ対策部隊、機動救助隊、儀じょう隊などが置かれている。
警視庁総理大臣官邸警備隊
2002年(平成14年)4月1日発足。警視庁警備部警護課の附置機関で、総理大臣官邸の警備に当たる。隊員数は約100名。本部隊の発足以前は首相官邸の警備は所轄の警視庁麹町警察署が行っていたが、警備力の不足が指摘されたため、本部隊が創設された。隊長(警視)以下3個中隊編成。実態は警視庁機動隊の一部(特科車両隊を除く9つの各大隊が持ち回りで担当中隊を出している)。機関拳銃や化学防護装備等を保有している。
皇宮警察特別警備隊(特備隊)
皇宮警察本部坂下吹上赤坂の各護衛署に勤務する皇宮護衛官で編成される機動隊。1個中隊(3個小隊)から成り、隊員は50名。隊長は皇宮警部で小隊長は皇宮警部補である。
皇宮警察本部警備部警備第二課に設置されている。皇居内の警衛を実施しており、特別警備隊内に儀仗隊を置き儀衛も実施している。外国大使公使の儀衛の他、皇族の葬儀の際には正装して出棺の列の護衛を実施する。
通常業務と警備隊業務を兼務し、特別警備隊に入隊すると警視庁第一機動隊で警備実施訓練を受ける。機関拳銃も装備している。
海上保安庁特別警備隊(特警隊)
海上保安庁が全国の主要海上保安部の警備実施等強化巡視船に配置している部隊。各都道府県警察の機動隊とも合同訓練を行なっている。所属管区に関係なく全国的に活動。海上テロなどの重大事案が発生した際は、特殊警備隊(SST)が到着するまでの間、初動措置を実施する。
特別警備隊は、港湾施設の警備や、海上デモ活動の規制等を主要な任務としている。どこかの港で大規模な海上デモが予定されている際は、全国の警備実施強化巡視船を集結させる。そして、特別警備隊が当該地区の小型巡視艇(PC型やCL型と呼ばれている)に乗り換えて、デモなどに対する警備実施を行なう。
1隻の警備実施強化巡視船につき、特別警備隊2個小隊が編成されている。

過去に存在した機動隊[編集]

琉球警察機動隊
琉球警察機動隊員の装備
本土復帰前の沖縄でも、琉球警察本部に機動隊が設置されており、コザ暴動等の集団的事件の鎮圧や、本土復帰運動等の大衆運動の警備等に際して出動している。装備に関しては、日本政府の援助により本土の警察から輸入する等していたためもあって、遅くとも1960年代後期頃には本土の警察機動隊とほぼ同じ装備となっていたが、残されている写真等によると、警棒は本土の警察より長いものを使用していた模様である。1960年代以前の事件ではカービン銃を装備して出動した例もある。本土復帰後は、沖縄県警察本部機動隊となった。
鉄道公安機動隊
日本国有鉄道(国鉄)が設置した一種の警察組織である鉄道公安においても、警察の機動隊に相当する集団的警備組織として、鉄道公安機動隊が全国で5隊(東京大阪札幌新潟門司)編成・配備されており、争議行為や輸送妨害等に対する警備の他、お盆や年末等の多客時の業務への応援、事故・災害時の救援活動等を任務としていた。当時の写真によるとヘルメット・出動服等に関しては当時の警察機動隊に類似するものを装備していたが、盾を使用している写真は見られない。国鉄の分割民営化に際し、鉄道公安の任務は各都道府県警察の鉄道警察隊に承継されたものの、鉄道公安機動隊に相当する鉄道警察隊独自の機動隊は組織されていない。

装備[編集]

個人装備[編集]

正装
機動隊員も警察官であり、正装は一般の警察官と同様に制服を着用し、機動隊員を着装する。機動隊員章はバッジ型や腕章型など、警察本部ごとに仕様が異なる。靴は革靴ではなく主に出動靴(安全靴構造のブーツ)を使用する。

機動隊員として特徴的な装備は次の通りである。

出動服
別名は乱闘服紺色で防水難燃加工されている。安保闘争大学紛争火炎瓶が登場する1960年代以前は防水加工のみがされた化学繊維であったため、隊員が重度の火傷を負うというケースが頻発し、難燃加工が施された。通常は上衣を下衣の上に出して使用するが、防弾ベストなどを装着する際は上衣を下衣に入れる。そのため、上衣の下半分にはポケットが付いていない。左上腕部に旭日章ワッペン西陣織で出来ている)が縫いつけてあることから、通称「ワッペン服」とも呼ばれる[注釈 4]階級章は右胸に付く(巡査から警部補までは小さい章で単数から四連、警部以上は大判で金・銀・赤などの、外輪が付くものもある桜章)。個人ネームや個人を識別するものは付いていない。出動服の中には制服の長袖盛夏シャツを着用する。他の装備は新型に変更されたが、出動服は旧式と同型のものが引き続き使用されている。
出動靴
基本的に編上型の半長靴を履くことが多い。危険な任務の場合は鉄板の入った、いわゆる「安全靴」を使用する。両者とも「編上靴(へんじょうか)」「警備靴」と呼ばれている。自衛隊などの半長靴と違い、踝までを紐で締め、その上にゲートルを付ける構造となっている。最近は容易に着脱出来るように、サイドにファスナー加工された新型も配給されるようになった。
防護装備
新型の防護装備
旧式では、脛当・篭手・防護衣II型・前垂れ。ジュラルミンのプレートを入れて投石などから身を守る。
防弾性能なし。篭手は外側が皮革または合皮製。篭手以外は出動服の中に装備し、外側からは見えない。
新型では、臑当・篭手・防護ベスト(背中に「POLICE」と白抜きで入る)・太もも覆い。大幅に軽量化されている。臑当・篭手はポリカーボネート製。防護ベストはナイロン製ベストで前面にはステンレスプレートが入っている。このプレートは体に沿って湾曲しており、30口径程度までの防弾性能も持たせてある。
旧式は背面は方面機動隊では何も入っておらず無防備であったが、管区機動隊や本部機動隊では背面にもジュラルミンが入れられていた。新型では背面にポリカーボネートプレートが入っている。新型装備には裏側にウレタンクッションが張られており、打撃の衝撃を吸収するようになっている。旧式と違い出動服の上から装備する。脛当は各県警によって、マークやイラストがあり、北海道警察なら茨城県警察ならバラのマークが描かれている。
マフラー
綿または製で、刃物等による攻撃から首を守り、火炎瓶等で攻撃された際に可燃性液体が襟元から服の中に流入することを防ぐ。また、包帯代わりの役割がある。隊員がゲバ隊の火炎瓶によって大きな被害を受けていたため、旧日本軍特別攻撃隊員が巻いていたマフラーにヒントを得た、時の警視総監秦野章の提案で配備された。通常は白色(アイボリー色)だが、隊によっては独自に制定したシンボルカラーに染めているところもある。サイズ 39cm×1.5m(白バイ用マフラーとは、素材も寸法も違う)。
ヘルメット
新型のヘルメット、盾
ポリカーボネート製。鉄(ヘルメットの呼称の一種)とも呼ばれる。旧式では青色で、顔面保護用のバイザーは外装、また取り外し可能な頚椎保護用の垂れが付いている。旧型の正式名称は「SB8型防護面付特殊警備用ヘルメット」。
新型では黒色で、バイザーは内装、また頚椎保護用の垂れが付いている。旧型・新型ともに防弾性能は基本的にはない。バイザーの厚さは旧・新ともに約2mm。
かつては階級を表示する周章があったが、あさま山荘事件では指揮官が周章で見分けられ狙撃された事を教訓に、後頭部にのみ階級線を入れるようになった。
階級章は通常のものと異なり、白線の数や太さで識別された簡略章が用いられる。この略章は一般警察官の乗車用略帽にも用いられている。
チタン製やケブラー製の銃器対策用ヘルメットもある。国費購入の国産ヘルメットや各警察本部が独自に購入する海外製ヘルメットなど多くの型が確認されている。バイザーの厚さは型によって異なるが、2~3cm前後のものが多い。
ライオットシールド
機動隊の象徴的装備。防護用だが、縁や角の部分による打撃用としても使用される。
旧型は超々ジュラルミン製。投石やゲバルト棒などによる攻撃を防ぐためのもので、防弾性能は基本的にない。このため、あさま山荘事件では犯人の用いたライフルの銃撃から隊員を守ることができず、盾を2枚重ねて使用した。
上部には前方確認用の覗き窓があり、ポリカーボネート板が嵌められている。
ジュラルミン製の盾には大盾と小盾があり、小盾は隊付の伝令が、大盾はその他の隊員が装備する。大盾のサイズは高さ110cmのものが現行型だが、70年代半ばまでは120cmのものが使用されていた。在日米軍や自衛隊にもジュラルミン大盾が配備されているが、旧型サイズの盾をベースに緑や黒に着色したものを使用している。現行型のジュラルミン盾と異なり、旧型のものは中央部に帯状のジュラルミン板が補強のために追加されている。2010年度の大阪湾対テロ訓練では制服警察官が旧型サイズの大盾を使用しているのが確認されるなど、現在も一部で使用されている。
爆発物処理班が使用する防爆盾や、銃器対策班の使用する銃眼のついたチタン製の対銃器盾なども存在する。
新型の盾はポリカーボネート製であり、従来のジュラルミン製に比べ軽量化されている。また、視認性を確保するため透明に作られている。ポリカーボネート製の盾は、2002年に開催された日韓ワールドカップの警備を契機として配備された。従来型の盾との大きな違いは、防弾性能があることであり、湾曲のある形状で衝撃を逃がすことにより貫通を防ぐ。防弾実験も公開しており、テレビ朝日ニュースステーション等で放送された。この放送ではトカレフ拳銃7.62mm拳銃弾すら傷が付くだけで貫通しないことを示した[注釈 5]
また、2008年長野市における北京オリンピック聖火リレー警備では、リレー走者の保護に小型の透明盾が使用された。
なお、管区機動隊が装備している盾は、盾の隅に各中隊のマークが入っている。
このほか、部隊単位の防護用装備として、防石ネットやバリケード等がある。
警棒警杖
警棒は暴動鎮圧の際に使用される。警杖は乱闘が予想される場合には持ち込まない。
拳銃
ニューナンブM60(51mm銃身、77mm銃身)[注釈 6]」「S&W M37エアウェイト」等を使用している。基本的に集団警備の際には装備せず、緊急用に小隊長以上の幹部が携帯する。ただし、あさま山荘事件のように、犯人が多数で強力な武器を使用している場合は、各隊員が銃を携帯することもある[注釈 7]。なお、あさま山荘事件が発生した当時は、「コルト・ガバメント」、「コルトM1917」「S&W M1917」(この両銃はメーカーが異なるが、口径等の仕様は同じ。共に6インチ銃身)、「S&W M10 ミリタリー&ポリス(4インチ銃身)」なども使用されていた。これらの銃は第二次世界大戦後にアメリカ軍から払い下げられたもので、現在はほぼ退役しているが、「S&W M10 ミリタリー&ポリス」だけは現在も少数が地方の警察で配備されている。
近年では銃器対策部隊などを中心に(数こそ少ないが一般の機動隊でも)、「S&W M3913」や「SIG SAUER P230」が使用されている。
ガス銃(正式名称は、ガス筒発射器)
M79グレネードランチャーを模倣して開発された。暴動鎮圧の際に使用し、ガス筒(催涙ガス弾)を発射する。弾が群衆の中に上から飛び込むよう、打ち上げるのが正しい用法。直接照準(水平撃ち)したものが人に当たると、箇所によっては内臓破裂、眼球破裂、頭蓋骨陥没など重大な傷害を与える可能性があるため、水平撃ちは禁止されている[注釈 8]
なお、警察での正式名称は「ガス銃」ではなく「ガス筒発射器」である。これは名称を「銃」としてしまうと、使用に際して法律上の様々な制約(銃刀法等)を受けることになるからである。
催涙ガス筒
“S型”
ガス銃で発射するガス弾の一種でSはスモークの略。催涙ガスを噴く(爆発・破裂はしない)タイプのもので化学合成ガスが封入されているが、成田闘争等の映像を見ると吹き出すまでに若干タイムラグがあるようで、投げ返され機動隊員がガスを浴びている姿も見られる[注釈 9]
“P型”
ガス銃で発射するガス弾の一種でPはパウダーの略。金属製の弾体の後ろにボール紙の筒が付いておりその中にカプサイシン系の粉末と若干の火薬が入っている。発射後数秒でボール紙部が破裂し粉末をまき散らす。投げ返される心配が無く、S弾より強烈であるが、効果範囲が狭く風向きによっては全く効果がない。
“手榴弾型”
手投げタイプのガス筒で、ボール紙製。P弾と同じように炸裂するが催涙ガスの量は少なく、もっぱら音と光で威嚇する(所謂スタングレネード)。手榴弾と同じようにピンを引き抜き投擲する。日韓ワールドカップ時、フーリガン対策訓練のニュース映像で投げている姿が確認される。海上保安庁においても、抵抗する容疑者に対して使用されている。
日本だけではなく各国で使われており、フィリピンの暴動の際のニュース映像では同タイプのものを暴徒側が投げている姿が見受けられた。この映像中では暴徒がズボンのポケットの中で暴発させていたが、火傷を負った程度であったので、火薬量は少ないものと見られる。
高圧放水器
製品名は「インパルス」。銃のような形状をしており、高圧で水の塊を発射し、暴徒を制圧する。放水車の機能を個人で携行できるようにしたもの。最大圧力では自動車のフロントガラスも粉砕する。また、中の水は真水だけではなく、催涙効果のある薬品が注入される場合もある。
機関拳銃
H&K社製MP5。フラッシュハイダーやマウントベース、Fタイプストックが標準装着されており、ダットサイトを使用する隊も多い。機動隊では銃器対策部隊や、銃器対策レンジャー部隊等が装備している。
狙撃銃
豊和工業製のボルトアクションライフル「M1500」に光学照準器(オプティカルスコープ)を装着したもの。主に銃器対策部隊が装備。
自動小銃
豊和工業製の自動小銃、64式小銃は警視庁及び大阪府警察の特殊部隊(SAT)が機動隊の所属であった際に、光学照準器を搭載した狙撃銃として装備していたとされている。また、89式小銃警察庁作成の資料によれば警視庁他のSATに配備されている。
なお、機関拳銃と狙撃銃は、使用と取り扱いに特別な許可及び命令を必要とする「特殊銃[7]」に指定されている。自動小銃に関しても、その性格上から特殊銃に指定されていると見られる[注釈 10]

警備車両[編集]

警備車両は正式名称以外にも、都道府県警察ごとに異なった呼び方をされていることが多い(特に警視庁機動隊においては、同一車両でも各隊で違う呼び方をされている場合もある)。車両塗色はかつて灰色だったが、1990年代中頃に配備された車両から“青地に白の太帯2本”に変更されている[注釈 11]。但し、警視庁の一部の車両は塗色が緑地に白帯で、特に救助関係の車両は白帯疾走する黒豹のマークが入っている[8]

人員輸送車
隊員を輸送するための車両で、バスマイクロバス型。窓が投石よけの金網でカバーされている事から、一般人からは「護送車」と誤解される事が多い(本来の護送車は、車内からの逃走を阻止せねばならないことから、窓ガラスの内側に鉄格子があり、金網は装備されていない)。
常駐警備車(警備車兼輸送車)
輸送車に装甲を付した車両。主に拠点警備に用いられ、道路や施設の封鎖等にも用いられる。複数台を並べた際に車間をすり抜けられないように前後、もしくは左右に並べた際に隙間のできない構造になっている。放水装置を上部に設置したものもある。
かつてはルーフが半円形をしている車体形状から“かまぼこ”の通称があった(新型の車両は角型の車体になっている)。
遊撃車
主に一個分隊が搭乗し、テロゲリラ警戒を行う車両。最近の機動隊では頻繁に使用されている。車体の大きさ等によってI型からIV型までの各車種が存在している。
警備派出所が設置されていない重要防護施設での張り付き警戒等にも用いられる。従来は三菱・デリカスターワゴンがよく使用されていたが、近年はロングボディのワンボックス車トヨタ・ハイエース日産・キャラバン等)が使用されている。
現場指揮官車(指揮車)
主に四輪駆動車トヨタ・ランドクルーザー)を使用する。屋根には拡声アンプに繋がったラウドスピーカー(部隊に指示を出し、デモ隊・群衆に警告をする)と、屋根の上に立って指揮をするための櫓(やぐら)型の指揮台が設置されている。
指揮台は折りたたみ式になっており、使用しない際や移動時には屋根上に畳まれている。窓ガラスや前照灯などは投石避けの金網で防護されているが、近年(2010年代以降)の新規調達車両には窓ガラス防護用の金網がないものが多い[注釈 12]
特型警備車
検挙対象が銃火器や爆発物を所持・使用してくることが想定される場合に用いられる防弾仕様の装甲車で、数車種が存在する。いずれも三菱重工業が生産しており、三菱ふそう・キャンター等をベースにしている。
放水車
高圧放水装置を搭載し、対象の行動を封じるための車両。火炎瓶等による火災を消火するためにも用いられる。
警備車兼放水車:警備兼輸送車の車体上部に放水装置を装備したもの。
遊撃放水車:局所警備の他に巡回警備や攻勢排除の際に用いられる、機動力の高い放水車。全体を装甲で覆っており、窓や回転灯は投石避けの金網で防護している。車体上部に放水装置を装備し、車体後部に水槽を装備している。
高所放水車:消防屈折はしご車と同様のもの 。
高圧放水車:消防の大型ポンプ車と同様のもの。
 東日本大震災福島第一原子力発電所事故においては原子炉を冷却するための放水作業に出動した。
投光車
いわゆる照明車。夜間警備の際に使用する。2、3tクラスのトラックワンボックス車トヨタ・ランドクルーザー三菱・パジェロなどがベース。
レッカー車
普通の大型レッカー車。8tの2軸車がベースになっていることが多い。
多重無線車(移動指揮車)
大型輸送車と基本的な外見は同じだが、上部に大型アンテナを複数装備する。主に現場における指揮本部として使用する。外国でいうモービル・コマンドポスト。
トイレカー
小型トラック、中型トラックなどがベースでトイレを装備する。あさま山荘事件のような長期間の包囲作戦の時、隊員が利用するほか、警察行事で近くにトイレがない場合も使用される。
キッチンカー
マイクロバスがベースで調理設備を装備する。トイレカーと同じく、長期間の包囲作戦の時、隊員のために暖かな食事を提供する。
爆発物処理筒車
爆発物を筒(液体窒素入りで、これにより不審物は瞬時に凍結する)の中に入れ、安全な場所で処理するために運搬する。万が一爆発しても車体は保護される構造になっている。
爆発物処理用具運搬車
爆発物処理用具(運転席前方に盾を装備し、アームを動かして爆発物をつかむ小型特殊車両)を運搬する通常のトラック。
高所対策車
工事現場等で使用する高所作業車がベースで、作業部が大きくなっている。
化学防護車
NBCを使用した犯罪、テロが発生した際に出動し、防護服や物質を計測するための機械などを装備している。関連車両として、除染剤を積んだ車両も存在する。NBCテロ対応専門部隊が存在する都道府県警察に配備。
騒音測定車
騒音計を装備している。街宣車などがスピーカーから流す、音楽やシュプレヒコールなどの騒音の値を測定する車両。旭日章は装備されず、赤色灯は脱着式の為覆面パトカー扱いとなり、一部警察では3ナンバーで登録されている。
採証車
小型採証車
暴動などの様子をビデオ撮影し、証拠となる映像を採集するための車両。ワンボックス車がベースで、折りたたみ式のやぐらと脱着式警光灯を装備する。また、旭日章は装備しないため覆面パトカー扱いとなる。
大型採証車
用途は小型採証車と同じだが、中型トラックベースで装甲で覆われており、特型警備車に準じた車両となっている。撮影は屋根に固定されたカメラで行う。
エリア警戒車
警視庁機動隊に配備されている覆面パトカー。
エリア検問車
重要防護施設周辺で検問を行うための車両。白のワンボックスに事故処理車と同様の電光掲示板が装備されている。
電源車
電源を供給するための中型トラック。
資材運搬車
資材を運搬するためのアルミバンタイプのトラック。基本的には普通の中型トラックに赤色灯と旭日章を装備したものだが、警視庁には小型トラックをベースにキャブを緑色に塗った車両も配備されている。また、覆面パトカー扱いの車両も存在する。
警察犬搬送車
警察犬を運搬するための車両。ワンボックスタイプとSUVタイプがある。
X線検査装置車
X線検査装置を搭載した車両。人体への照射ではなく爆発物の検知などを目的に用いられる。
広報車
ワンボックス車をベースにやぐらとスピーカーを装備した車両。用途は現場指揮官車に近いが、緑色で金網は装備されていない。
除染車
薬品で汚染された人を除染するための車両。

この他に、警視庁の機動隊は普通の警ら型パトカーも所有しており、連絡や隊員の移動用に使用される。

災害警備車両[編集]

レスキュー車(機動救助車)
警視庁には消防が使用する救助工作車と同じボディーを使用したものや市販の2tや4tの4WDシャーシを使用したレスキューⅠ型車(機動救助車)とマイクロバスをベースにした主に隊員を搬送するためのレスキューⅢ型車(人員輸送車)がありセットで出動する。 警視庁の車両は塗色が「緑地に“疾走する黒豹”の入った白帯」である点が特徴で、積載資器材は消防の救助工作車I型程度と少ない。
水難救助車
8tシャーシのトラックなどをベースにウェットスーツゴムボートなど水難救助時に使用するあらゆる資材やシャワールームを装備した車両。警視庁や北海道警察など一部の警察のみに配備され、塗色も統一されていない。
クレーン車
3軸の大型トラックがベース。
クレーンつき資材運搬車
平ボディタイプとダンプタイプがある。この車両は災害時だけでなく、普通の警備時の資材運搬にも使用される。覆面パトカー扱いの車両も存在する。
ホイールローダー
普通のホイールローダー。緊急走行用に赤色灯・サイレンを装備。
フォークリフト
赤色灯・サイレンのほか、金網を装備している。
ショベルカー
装輪式のショベルカーや2tトラックの荷台に小型ショベルを載せたタイプがある。
重機搬送車
ホイールローダーやショベルカーを搬送する車両。4軸の大型トラックがベース。
給水車
大型水槽車。大規模災害時に給水活動を行う。
広域レスキュー車
大規模災害派遣時に使用されるレスキュー車。現在は更新に伴いダブルキャブの消防の救助工作車と同じタイプの車両が全国に配備されているが、かつては4t、5tのシングルキャブ4WDシャーシを使用(隊員は別の人員輸送車で派遣されるためダブルキャブの必要が無い)していた。消防は人員と資機材を救助工作車で同時に搬送するのに対し警察は一度に多くの人員を派遣するために人員と資機材を別々に搬送しており、ダブルキャブに移行した現在も人員輸送車とペアで派遣される。
多目的災害活動車
メルセデス・ベンツ製のウニモグを使用した車両[注釈 13]。災害時の資材運搬などに使用される。
高機動救助車[9]
軍用高機動車両の民生用車種をベースとした走破性の高い車両。北海道警察ハマー・H1ベースの車両(後部にハイルーフキャビンを架装)を、岐阜県警察トヨタ・メガクルーザーベースの車両(標準ボディ。ルーフキャリア装備)を保有している。なお、岐阜県警察ではこの車種を「災害活動用高性能機動力車」と呼称している[10]
災害活動車
災害時の指揮用車両として使用される。SUVがベース。

術科[編集]

警察官の職務執行に必要な術技及び体育を「術科」という。各都道府県警察の術科の強化選手はそのほとんどが機動隊に所属している[注釈 14]

必修科目[編集]

術科特別訓練[編集]

術科特別訓練員(特練員)に指定されている隊員は柔道、剣道の全日本選手権全国警察大会などの各種大会で上位入賞を狙うための代表選手になっている。柔道、剣道のチャンピオンや高段者を多く輩出している。

武道小隊・武道専科[編集]

警視庁に設けられている制度。1963年(昭和38年)11月28日付通達第14号「機動隊武道小隊の編成および運営について」に基づき、常設の部隊として警視庁各機動隊に「武道小隊」が編成された。1966年(昭和41年)4月には、武道小隊から選抜する「武道専科」制度が設けられ、武道の指導者を養成している。

クラブ活動[編集]

括弧内は発足年

警視庁のバレーボール部(「警視庁フォートファイターズ」という愛称も制定されている)はチャレンジリーグに、アメリカンフットボール部「警視庁イーグルス」(第9機動隊に所属するので隊の愛称にちなみこのチーム名)はXリーグ2部にそれぞれ所属して好成績を残している(2013年シーズンに1部へ昇格)。フェンシング部とレスリング部はオリンピック選手を輩出しているほどレベルが高い。野球部は野球経験がある警察官を集め編成。初代監督は、日大三高の投手として甲子園に出場した経験がある警部補が務める。採用試験の際、野球で実績がある受験者を優遇する措置も導入する方針。今後、野球部メンバーが出身校の野球部を訪れるなどして、選手のスカウティングにも力を入れるという。2011年3月9日、日本野球連盟(JABA)によりクラブチーム登録承認された。最終的には都市対抗野球への出場を目指している。

大阪府警察のラグビー部はトップウェストAリーグに所属。陸上部は全日本実業団対抗駅伝大会(ニューイヤー駅伝)出場の常連チームである。

著名な機動隊員[編集]

日本以外の治安警備部隊[編集]

中国[編集]

韓国[編集]

フランス[編集]

ドイツ[編集]

脚注[編集]

注釈[編集]

  1. ^ ロス暴動鎮圧の際には、州軍・連邦軍が投入された。
  2. ^ 韓国陸軍からの出向あるいは兵役の代替として入隊する。
  3. ^ 設置当初のころは、「いつも車に乗っているため足が弱い」という偏見から「いざり」という仇名をつけられていたという[5]
  4. ^ 現行制服と異なり、改定前(1994年以前)の制服にはワッペンが付いていなかったため。
  5. ^ ただし、拳銃弾以上の威力のある銃火器に対しては防護性能は弱く、高速ライフル弾等は防げないとされる。
  6. ^ 製造は終了したが現在も広く使用されている。警視庁埼玉県警察では機動隊の一部隊である銃器対策部隊に配備されている。
  7. ^ 2012年に行われた東京湾対テロ訓練では、出動した第9機動隊の各隊員が拳銃を装備していた。
  8. ^ 成田空港闘争では反対派と機動隊の大規模衝突が起き、鎮圧のため水平撃ちされた催涙弾が政治活動家に当たり、死亡している(東山事件)。
  9. ^ 学生運動の盛んな頃、催涙ガスの成分をレモンの汁が中和するとされ、学生側はレモンの輪切りを常備していた。但し、レモン汁が本当に催涙ガスに効果があるのかは現在でも不明である。
  10. ^ 豊和M1500が「特殊銃I型」、89式小銃が「特殊銃II型」、H&K MP5が「特殊銃III型」であるとされる。
  11. ^ 一部の車両、特に特型警備車は灰色塗装と白/青塗装の間に紺色と水色の二色塗り分け塗装であった時期がある。
  12. ^ 金網で防護しない代わりに防弾・耐衝撃ガラスが使われていると見られる。
  13. ^ 広域緊急援助隊向け等として近年導入されているダブルキャブのウニモグについては、「高性能救助車」と呼称されている場合がある。
  14. ^ ピストル射撃オリンピック代表となった松田知幸をはじめとした射撃選手は、拳銃指導に関わる教養課がある警務部に在籍していることが多い。

出典[編集]

  1. ^ 拍手の出迎えに高揚 12トン放水も情報錯綜で「失敗」に 産経新聞 2011年4月3日
  2. ^ a b c d 平成25年 警察白書 第6章
  3. ^ 管区機動隊の編成等に関する規則の制定について
  4. ^ 栃木県管区機動隊運用規定参照
  5. ^ 石谷龍生編『機動隊と青春 この若者たちを支えるものは何か』エール出版社(1970)、131ページ
  6. ^ 北海道警察警備隊規程
  7. ^ 警察官等特殊銃使用及び取扱い規範
  8. ^ 緑色の消防車??
  9. ^ 呼称については、北海道警察の広報資料による。
  10. ^ 岐阜県警察の広報資料による。

参考文献[編集]

  • 『警視庁史 昭和前編』、警視庁史編さん委員会
  • 『警視庁史 昭和中編(上)』、警視庁史編さん委員会
  • 『警視庁史 昭和中編(下)』、警視庁史編さん委員会
  • 『警視庁武道九十年史』、警視庁警務部教養課
  • 永峯正義『この剛直な男たち 警視庁機動隊30年のあゆみ』、立花書房
  • 別冊ベストカー『機動隊パーフェクトブック』、講談社

関連項目[編集]

歴史
作品
その他

外部リンク[編集]