国家安全保障会議 (日本)

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日本の旗 日本の行政官庁
国家安全保障会議
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国家安全保障会議が設置される総理大臣官邸
役職
議長 安倍晋三内閣総理大臣
議員 麻生太郎副総理財務大臣
高市早苗総務大臣
岸田文雄外務大臣
小渕優子経済産業大臣
太田昭宏国土交通大臣
江渡聡徳防衛大臣
菅義偉内閣官房長官
山谷えり子国家公安委員会委員長
組織
補佐組織 国家安全保障局
概要
所在地 東京都千代田区永田町2丁目3番1号
定員 67人
(国家安全保障局の職員)
設置 2013年12月4日
前身 安全保障会議
ウェブサイト
首相官邸HP
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初代安全保障会議議長 中曾根康弘
初代国家安全保障会議議長 安倍晋三‎
初代国家安全保障局長 谷内正太郎

国家安全保障会議(こっかあんぜんほしょうかいぎ)は、日本の行政機関の一つ。国家安全保障会議設置法に基づき、国家安全保障に関する重要事項および重大緊急事態への対処を審議する目的で、内閣に置かれる。報道などではアメリカ合衆国国家安全保障会議(NSC)になぞらえて「日本版NSC」と呼ばれることもある。

主任の大臣および議長は、内閣総理大臣。内閣総理大臣と一部の国務大臣により構成され、四大臣会合を中核として、九大臣会合、緊急大臣会合の三形態の会合が置かれる。

歴史[編集]

国防会議、安全保障会議[編集]

  • 1954年(昭和29年)7月1日:内閣に国防会議を設置することを規定した防衛庁設置法が施行される。ただし、第43条において「国防会議の構成その他国防会議に関し必要な事項は、別に法律で定める。」とされ、即時には発足しなかった。
  • 1956年(昭和31年)7月2日:「国防会議の構成等に関する法律」が施行され、内閣に国防会議が実際に設置される。併せて総理府に国防会議事務局を設置。
  • 1957年(昭和32年)8月1日:内閣の国防会議とは別に総理府に設置されていた国防会議事務局が、内閣法等の一部を改正する法律(昭和32年法律第158号)により、国防会議直属の事務局へ移管される。
  • 1986年(昭和61年)7月1日:国防会議が廃止され、安全保障会議設置法に基づいて安全保障会議が設置される。
  • 2007年(平成19年):安全保障会議を国家安全保障会議に再編する安全保障会議設置法改正案が提出されるが、翌年に審議未了により廃案になる。

国家安全保障会議への改組[編集]

首相官邸機能強化の一環として、安全保障問題担当の内閣総理大臣補佐官小池百合子)とともに、国家安全保障会議のたたき台である国家安全保障に関する官邸機能強化会議(議長:安倍晋三、議長代理:小池百合子)を設置した安倍内閣は、第166回国会に、安全保障会議設置法等の一部を改正する法律案(安保会議設置法改正案)を衆議院に提出した。

この改正案は、「安全保障会議」の名称を「国家安全保障会議」に改め、形骸化している審議事項を国家安全保障に関する事項にまで拡充し、同会議に専門会議を置くことができるようにし、同会議に事務局を設置すること等を内容としていた。ただし、民主党などの野党が参議院で過半数を制していることや、これを推進していた安倍が退陣し、政策観が異なる福田康夫が首相に就任したことにより、法案の成立の見込みは不透明となった。

結局、2007年12月24日、政府は安保会議設置法改正案の廃案により国家安全保障会議の創設を断念し、構想自体を白紙とする方針を決めた。今後は政府の既存組織を活用して機能強化を目指すとされた。そして、第168回国会において審議未了により廃案となった。

2013年、第2次安倍内閣が「安全保障会議設置法等の一部を改正する法律案(安保会議設置法改正案)」を国会に提出し、同年11月に成立。同年12月4日に安全保障会議設置法が改正され(法律の表題も「国家安全保障会議設置法」に変更)、安全保障会議は国家安全保障会議に再編された[1]

国家安全保障会議[編集]

国家安全保障会議(NSC)は内閣に設置され、首相の政策決定や政治的決断をサポートする[2]。国家安全保障会議の組織は会議と事務組織から構成される。

国家安全保障会議の司令塔となるのが首相、官房長官、外相、防衛相によって構成される「4大臣会議」である。この会議は平素から開催され、安全保障に関する政策を協議して対外政策の基本的な方向性を決定する[2]。「9大臣会議」は必要に応じて開催され、多角的な観点から国防の指針や緊急時の対処といった安全保障の重要事項について審議する[2]。参加者は4大臣に加えて副総理、総務大臣、財務大臣、経産大臣、国交大臣、国家公安委員長が加わる。さらに緊急事態の際に開かれ、総理と官房長官のほかに首相が定めた大臣が出席する「緊急事態大臣会合」がある[2]。これらの会議には大臣のほか必要に応じ、総理大臣の許可を得たうえで統合幕僚長などの関係者を出席させる事ができる[2]

国家安全保障局[編集]

これらの会議をサポートするために事務組織として内閣官房に置かれているのが「国家安全保障局」である。国家安全保障局は省庁間の調整、緊急時における政策提言、中長期的な外交・安保の政策立案、外務省、防衛省、警察庁、公安調査庁、経済産業省、国土交通省、内閣情報調査室などの各省庁と各省庁の情報コミュニティへ情報要求を行い、各省庁は国家安全保障局に対する報告義務を負う[2]。国家安全保障局長は内閣危機管理監と同位であり常に連携しながら職務にあたる[2]

2014年(平成26年)1月7日に国家安全保障局が67名体制で発足した。初代局長には外交官出身で内閣官房参与を務める谷内正太郎が就任した[3]。局長の下に防衛省と外務省出身の内閣官房副長官補が兼任する2名の局次長と、同省出身の3名の審議官が配置される。局内は6班からなり、総括や国家安全保障会議の事務を行う「総括・調整班」、アメリカ合衆国ヨーロッパ諸国、ASEANなどを担当する「政策第1班」、北東アジアロシアを担当する「政策第2班」、中東アフリカ中南米を担当する「政策第3班」、防衛計画の大綱や国家安全保障戦略など中長期的な安全保障政策を担当する「戦略企画班」、機密情報を扱う関係省庁など政府内での連絡調整を行う「情報班」に分かれている[4]

初代局長である谷内正太郎は、外務事務次官の経歴を持ち、国家安全保障局の外交的役割は外務省と一体化しており、外務省の別動隊のような働きをしているとされる。公的なルートでは接触しづらい相手に接触して、関係構築を行う[5]

歴代国家安全保障局長[編集]

代数 氏名 在任期間 前職 後職
1 谷内正太郎 2014.1.7 - 内閣官房参与(2014.1.6退職)
初代事務局幹部[編集]

[6]

  • 局次長(内閣官房副長官補)
    • 兼原信克(外務省、1981年)国際法局長、日米安保条約課長
    • 髙見澤將林(防衛省、1978年)防衛政策局長、防衛政策課長
  • 審議官
    • 山崎和之(外務省、1983年)首相秘書官(麻生)、北米1課長
    • 武藤義哉(防衛省、1983年)官房審議官、国際企画課長
    • 長島純(航空自衛隊、1985年)情報本部情報官、ベルギー駐在官
  • 参事官(班長)
    • 総括・調整班(19人、増田和夫班長、防衛省)
    • 政策第1班(8人、鯰博行班長、外務省)
    • 政策第2班(8人、船越健祐班長、外務省)
    • 政策第3班(7人、伊藤茂樹班長、防衛省)
    • 戦略企画(8人、赤堀正洋班長、防衛省)
    • 情報(11人、白井利明班長、警察庁)

国家安全保障担当総理補佐官[編集]

このほか、総理の補佐役として国家安全保障担当総理補佐官がおかれる。国家安全保障担当総理補佐官は安全保障に関して総理を直接補佐するほか、会議にも出席して意見を述べる[2]

歴代国家安全保障担当総理補佐官[編集]

代数 氏名 在任期間 前職 後職
1 礒崎陽輔 2014.1.7 - 内閣総理大臣補佐官参議院議員兼務

安全保障会議[編集]

この節では、国家安全保障会議の前身である安全保障会議の組織編成について述べる。

会議の構成[編集]

※議長は、必要があると認めるときは、その他の国務大臣を、議案を限って、議員として、臨時に会議に参加させることができた。また、統合幕僚長などの自衛隊関係者を会議に出席させ意見を述べさせることができる。これは会議の議員としてではなく、あくまで関係者としての陪席であり、採決など会議の意志決定には参加できなかった。

事態対処専門委員会[編集]

調査分析を進言するための会議内組織として設置されていた。

  • 委員長:内閣官房長官
  • 委員:内閣官房および関係行政機関の職員のうちから、内閣総理大臣が任命
参考までに2003年安全保障会議設置法改正時点での委員は、内閣官房副長官(政務、事務)、内閣危機管理監内閣官房副長官補内閣情報官総務審議官消防庁長官法務省入国管理局長、外務省外交政策局長、財務官財務省関税局長、経済産業省貿易経済協力局長、資源エネルギー庁長官、国土交通審議官海上保安庁長官警察庁次長防衛省防衛政策局長、統合幕僚長

事務局[編集]

会議の事務は、内閣官房(安全保障担当内閣官房副長官補)において処理した。

諮問事項[編集]

内閣総理大臣は以下のことについて国家安全保障会議に諮らなければならないとされている。

  • 国防の基本方針
  • 防衛計画の大綱
  • 防衛計画に関連する産業等の調整計画の大綱
  • 武力攻撃事態[注 1]への対処に関する基本的な方針
  • 武力攻撃事態等への対処に関する重要事項
  • 周辺事態への対処に関する重要事項
  • 自衛隊法第3条第2項第2号の自衛隊の活動に関する重要事項
  • その他国防に関する重要事項
  • その他国家安全保障に関する外交政策及び防衛政策の基本方針並びにこれらの政策に関する重要事項
  • 内閣総理大臣が必要と認める重大緊急事態[注 2]への対処に関する重要事項
  • その他国家安全保障に関する重要事項

脚注[編集]

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注釈[編集]

  1. ^ 武力攻撃事態および武力攻撃予測事態
  2. ^ “我が国の安全に重大な影響を及ぼすおそれがあるもののうち、通常の緊急事態対処体制によつては適切に対処することが困難な”事態。政府の国会答弁では「ダッカ日航機ハイジャック事件」「大韓航空機撃墜事件」「ベレンコ中尉亡命事件」「関東大震災規模の大災害」等の例を想定している。

出典[編集]

参考文献[編集]

  • 春原剛 『日本版NSCとは何か』、新潮社〈新潮新書〉、2014年、207p.

関連項目[編集]

外部リンク[編集]