沿岸監視隊 (陸上自衛隊)

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沿岸監視隊(えんがんかんしたい、JGSDF Coast Observation Unit)は、陸上自衛隊の情報科部隊の一つである。

概要[編集]

日本沿岸を航行する船舶の情報収集を主任務とする。定点で監視を行う沿岸監視隊が3個隊と移動式の器材を装備した移動監視隊が3個隊の計6個隊が編成されている。

かつては諸職種混成部隊であったが、情報科職種が2010年(平成22年)3月に新設され情報科部隊となった。隊長はいずれの部隊も2等陸佐をもって充てられる。

任務は情報収集であり、侵攻してきた敵の迎撃は他の部隊が行うため、武器は隊員および装備品を防護するための小火器のみである。

南鳥島では海上自衛隊南鳥島航空派遣隊が国境警備や監視を行っている。

部隊一覧[編集]

2024年現在、沿岸監視部隊に類別される部隊は以下のとおり。

沿岸監視隊の一覧

移動監視隊の一覧

部隊配置[編集]

  • 中部方面隊
    • 中部方面情報隊(伊丹駐屯地)

沿革[編集]

  • 1955年(昭和30年)12月1日:第301沿岸監視隊札幌駐屯地で新編。
  • 1956年(昭和31年)
    • 7月10日:第302沿岸監視隊標津分屯地で新編。
    • 10月15日:第301沿岸監視隊が稚内分屯地に移駐。
  • 1968年(昭和43年)3月1日:第301沿岸監視隊派遣隊が礼文分屯地で新編。
  • 1972年(昭和47年):第302沿岸監視隊羅臼分室を設置。
  • 2008年(平成20年)3月26日:中部方面移動監視隊が今津駐屯地で新編。
  • 2010年(平成22年)3月26日:中部方面移動監視隊が中部方面隊直轄部隊から新編された中部方面情報隊に編合。
  • 2013年(平成25年)3月26日:第301沿岸監視隊、第302沿岸監視隊が北部方面隊直轄部隊から北部方面情報隊に編合。
  • 2016年(平成28年)3月28日:与那国沿岸監視隊が西部方面情報隊の隷下部隊として与那国駐屯地で新編。
  • 2017年(平成29年)3月27日:北部方面移動監視隊が北部方面情報隊の隷下部隊として倶知安駐屯地で新編。
  • 2023年(令和5年)3月16日:西部方面移動監視隊が西部方面情報隊の隷下部隊として北熊本駐屯地で新編。

各部隊概要[編集]

第301沿岸監視隊[編集]

第301沿岸監視隊(さんまるいちえんがんかんしたい)は、稚内分屯地及び礼文分屯地に駐屯する北部方面情報隊隷下の情報科部隊である。自衛のために軽武装し、レーダーや光学機器などを活用して宗谷海峡を航行する船舶の警戒・監視、情報収集を主任務とする[1]。派遣隊を礼文島に配置して死角を補っている。隊長は2等陸佐で稚内分屯地司令を兼務する。

沿革

  • 1955年(昭和30年)12月1日:北部方面隊直轄部隊として札幌駐屯地で編成完結。
  • 1956年(昭和31年)10月15日:稚内分屯地に移駐[2]
  • 1968年(昭和43年)3月1日:礼文分屯地に第301沿岸監視隊派遣隊が編成完結。
  • 2013年(平成25年)3月26日:北部方面情報隊に編合。

編成

  • 第301沿岸監視隊本部
  • 隊本部班
  • 情報班
  • 通信器材班
  • 派遣隊(礼文分屯地
    • 隊本部班
    • 情報班

第302沿岸監視隊[編集]

第302沿岸監視隊(さんまるにえんがんかんしたい)は、標津分屯地に駐屯する北部方面情報隊隷下の情報科部隊である。自衛のために軽武装し、レーダーや光学機器などを活用して根室海峡を航行する船舶の警戒、監視、情報収集を主任務とする[1]。羅臼分室は、沿岸監視レーダや高倍率の光学監視装置で国後島を監視する。隊長は2等陸佐で標津分屯地司令を兼務する。

沿革

  • 1956年(昭和31年)7月10日:北部方面隊直轄部隊として標津分屯地で編成完結。
  • 1972年(昭和47年):羅臼分室(らうすぶんしつ)を設置。
  • 2013年(平成25年)3月26日:北部方面情報隊に編合。

与那国沿岸監視隊[編集]

与那国沿岸監視隊(よなぐにえんがんかんしたい)は、与那国駐屯地に駐屯する西部方面情報隊隷下の情報科部隊である。南西諸島の警戒・監視を主任務とする。隊長は2等陸佐で与那国駐屯地司令を兼務する。定員は約110名。

沿革

  • 2016年(平成28年)3月28日:西部方面情報隊隷下に与那国駐屯地で編成完結。
  • 2023年(令和5年)
    • 3月15日:与那国沿岸監視隊後方支援隊(与那国駐屯地)を廃止。
    • 3月16日:与那国駐屯地業務隊に駐屯地管理業務を移管[3]

編成

  • 与那国沿岸監視隊本部
  • レーダー班
  • 監視班
  • 警備小隊
  • 整備班

北部方面移動監視隊[編集]

北部方面移動監視隊(ほくぶほうめんいどうかんしたい)は、倶知安駐屯地に駐屯する北部方面情報隊隷下の情報科部隊である。北部方面管内の沿岸監視を主要任務とする。定員は50名。

沿革

  • 2017年(平成29年)3月27日:北部方面情報隊隷下に倶知安駐屯地で新編。

編成

  • 北部方面移動監視隊本部
  • 第1小隊[4]
  • 第2小隊

主要装備

中部方面移動監視隊[編集]

中部方面移動監視隊(ちゅうぶほうめんいどうかんしたい)は、今津駐屯地に駐屯する中部方面情報隊隷下の情報科部隊である。第13旅団の第13偵察隊(出雲駐屯地)と連携し、中部方面管内の日本海沿岸監視を主要任務とする。定員は50名。

沿革

  • 2008年(平成20年)3月26日:中部方面隊直轄部隊として今津駐屯地で新編。
  • 2010年(平成22年)3月26日:新編された中部方面情報隊に編合。

主要装備

西部方面移動監視隊[編集]

西部方面移動監視隊(せいぶほうめんいどうかんしたい)は、北熊本駐屯地に駐屯する西部方面情報隊隷下の情報科部隊である。西部方面管内の沿岸監視を主要任務とする。

沿革

  • 2023年(令和5年)3月16日:西部方面情報隊の隷下部隊として北熊本駐屯地で編成完結。

主要装備

脚注[編集]

  1. ^ a b 陸上自衛隊パーフェクトガイド (2003-2004),P57,学習研究社,ISBN 4056032033
  2. ^ 稚内市百年史編さん委員会 編『稚内百年史』1978年10月30日、453頁。 
  3. ^ 陸上自衛隊西部方面隊 [@JGSDF_WA_pr] (2023年3月16日). "令和5年3月16日、各駐屯地において新編部隊等の編成完結が行われました。". X(旧Twitter)より2023年4月24日閲覧
  4. ^ 北部方面移動監視隊 市街地広報支援・第1小隊訓練検閲・第7回訓練”. www.mod.go.jp. 2023年1月26日閲覧。
  5. ^ 北部方面移動監視隊観測器材研修”. www.mod.go.jp. 2023年1月26日閲覧。

関連項目[編集]