南西諸島

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南西諸島
南西諸島とその周辺地形
地理
場所 東シナ海太平洋
座標 北緯24度00分 - 30度55分
東経122度45分 - 132度20分
島数 199島(面積0.01km²以上)[1]
主要な島 沖縄島(1208.28km²)[2]
奄美大島(712.52km²)[2]
面積 4,644.75 km2 (1,793.348 sq mi)
国土地理院、2012年10月1日現在)[3][4][注 1]
長さ 1,200 km (750 mi)
(九州南端 - 台湾間の距離)[5]
最大幅 1,000 km (600 mi)
(大東諸島 - 八重山列島間の距離)[6]
最高標高 1,936 m (6,352 ft)[7]
最高峰 宮之浦岳屋久島
所属国
都道府県 鹿児島県沖縄県全域
最大都市 那覇市 (人口 315,954人[8])
住民
人口 1,558,120人[8][9][注 1]
国勢調査、2010年10月1日現在)
人口密度 335.50 /km2 (868.94 /sq mi)
(面積[10]、人口[8][9]共に2010年10月1日現在の数値を基に算出)

南西諸島(なんせいしょとう)は、九州南端から台湾北東にかけて位置する島嶼群である[1][6][11][12]

北から南へ、大隅諸島トカラ列島奄美群島沖縄諸島宮古諸島八重山列島尖閣諸島と連なり、少し離れて大東諸島がある。

目次

名称と範囲

「南西諸島」という名称は、元々現在の海上保安庁の前身である水路部が中心となって1887年(明治20年)頃に命名した地名とされ、翌年発行した海図『石垣泊地 日本・南西諸島・石垣島』[13]にその名称が初めて記載されている[14][1][15]1894年(明治27年)発行の『日本水路誌』以降の海図から本格的に使用され[1]、また国土地理院の前身の1つである日本陸軍陸地測量部による1937年発行の陸図にも記載されている[15]。しかし、「南西諸島」の名称は水路部など限定された組織で使用された為か、太平洋戦争が開始されるまで、一般市民に知れ渡ることは無かった[1]米軍統治下の沖縄でも、公文書のごく一部に「南西諸島」が記載されているだけで、後に日本復帰した沖縄県でも使用例はほとんど無い[1]1965年の第4回「地名等の統一に関する連絡協議会」において「南西諸島」の使用合意がなされ[15]、現在の国土地理院の陸図と海上保安庁海洋情報部刊行の海図では、正式名称として使用されている[11]。しかし、「南西諸島」は公共機関が決定した行政名称であって、地理学地球科学で用いられる専門用語ではない[1][6]

以下の表に南西諸島の範囲とその名称を列挙した。ピンクは鹿児島県、薄青紫は沖縄県に属する諸島を表している。斜体字 の地名は「地名等の統一に関する連絡協議会」において未合意で、国土地理院で使用している名称を挙げた。

南西諸島を構成する島嶼群の名称とその範囲[15]
南西諸島 薩南諸島 大隅諸島 鹿児島県
トカラ列島
奄美群島
琉球諸島 沖縄諸島 沖縄島久米島硫黄鳥島など) 沖縄県
慶良間列島
先島諸島 宮古列島
八重山列島
尖閣諸島
大東諸島
  • 奄美群島は2010年に決定地名として合意された[16]

南西諸島は時に、以下の名称と合わせて使用されることがある。

  • 琉球列島(りゅうきゅうれっとう)
琉球海溝沖縄トラフとの間に形成された背斜部分が弧状となった島嶼群で、南西諸島のうち、東シナ海大陸棚上にある尖閣諸島と太平洋の深海底上に存在する大東諸島を除く[6][11][12]1907年(明治40年)に発行された地質学者の脇水鉄五郎の著書『沖縄視察談』[17]に見受けられる[18]
上記とは別に、琉球列島は沖縄県全域を構成する島々で、琉球諸島と同義に説明している文献[19][20]もある。
  • 琉球弧(りゅうきゅうこ)
琉球列島と九州を含む範囲と記述しているのもあれば[21]、またそれらに加えて台湾も含むと解説している文献[6][22]もある。行政名の南西諸島と異なり、琉球弧は地理学や地球科学分野での学術用語である[22]1870年代ハインリッヒ・エドムント・ナウマン原田豊吉が命名したドイツ語 " Liukiu Bogen " を訳した言葉で、南西諸島や琉球列島という名称が成立する以前に存在していた[22]。明治時代後期に、琉球弧と同義の琉球彎(りゅうきゅうわん)という用語も現れたが、戦後に入ってから殆ど使用されなくなった[23]
沖縄県に属する全ての島嶼群を示す。南西諸島と同じく行政名であり、一般的に使用されていない。江戸時代中期の新井白石が著した『南島誌』を初め、明治時代でも琉球諸島は奄美群島以南の地域を指していた。また沖縄における戦後の米軍統治期でも、奄美群島が日本復帰するまで、米軍は奄美群島以南を琉球諸島と呼称していたと思われる。そして奄美返還後、琉球諸島の範囲は現在に至るまで、本土復帰していなかった沖縄県全域を示すようになった。[24]
上述以外にも、琉球列島のうち沖縄県に属する島嶼群、すなわち沖縄諸島と先島諸島を指し、大東・尖閣諸島を含まないとする文献[6][11]もあれば、国土地理院の見解では大東諸島以外の沖縄県全域を指す[15]として、資料によって定義が異なる。ちなみに、国土地理院の前身の1つである地理調査所が発行した1958年(昭和33年)以降の陸図から使用され初め、今日の国土地理院刊行の地図にこの名称を用いている[15]
  • 南島(なんとう)
古代日本から九州以南の島嶼を示す言葉で、『日本書紀』に南島人と交流を行ったという記録がある[25]。南西諸島の名称が使用される以前の、1873年(明治6年)発行『南島水路誌』でも確認できる[1]。行政・学術名称でもないが、民俗文化研究に関する資料に多く見られる[25]

また、以下に「南西諸島」とほぼ同義で、現在では使用されない用語を挙げる。

  • 州南諸島(しゅうなんしょとう)
「南西諸島」という名称が誕生する以前に海軍省が命名し、九に位置する島嶼群という意味で名付けられたと思われる。1886年(明治19年)発行の水路誌に見られるが、1894年(明治27年)の水路誌には南西諸島へ改名後、一切用いられていない。1885年(明治18年)に大東諸島が日本に編入した際、九州の南よりも多少離れた位置に存在する為か、この名称は相応しくなかったと考えられる。[26][27]
  • 海南諸島(かいなんしょとう)
1887年(明治20年)頃に田代安定により命名された。その後約30年間に亘って田代は使用し続けたが、途中から州南諸島と同義に扱い、併用している。柳田国男の著書の一部にこの名称は記載されているが、一般には普及しなかった[28][29]

地形

尖閣・大東諸島を除く琉球列島は琉球海溝と沖縄トラフとの間に位置する[30]。また屋久島と奄美大島、沖縄島と宮古島の2間に琉球列島を分断する2本の構造線が存在し、前者はトカラ構造海峡(この海峡は生物地理区旧北区東洋区の境界の一つで、渡瀬線といわれる)、後者は慶良間海裂(宮古凹地)と呼ばれる[31][32]

成り立ち

南西諸島はユーラシア大陸の一部だったが、氷河期の終結や地盤の沈降により分断された。

島はその成り立ちから、以下に分けられる。

気候

7月の熱帯収束帯(赤色)と1月の熱帯収束帯(青色)の位置。熱帯収束帯が南西諸島まで北上するのは地球上でこの地域のみである[33]

南西諸島の気候は、ケッペンの気候区分では西日本と同じ温暖湿潤気候(Cfa)に属する[34]。しかし海に囲まれ、黒潮の影響を大いに受けるため、那覇市の年間平均気温は23°Cと1年の半分以上が温暖で、日本の他の地域と比較して冬季は暖かく、四季の変化は不明瞭である。そのため、熱帯と温帯の中間的な気候ということで、「亜熱帯気候[注 2]」と一般的に言われている。[35]

気温

南西諸島の年較差は9 - 12°C、日較差4 - 5°Cとともに日本で最も小さい値で、海洋性気候の特徴を示している[36]。夏季の北太平洋では北太平洋高気圧が発生し、日本にまで伸びてきた西縁部は小笠原高気圧と呼ばれる[35][37]。小笠原高気圧に覆われる夏は高温多湿な気候となるが、海上に位置するため、最高気温は本州と比較してさほど高くはない(沖縄県の観測史上最高気温は池間島の36.7°C、2009年現在)[38][39]。最暖月は7月で、本州の8月より一か月早い。これは7月頃に本州にかかる梅雨前線の南側に、北へ勢力を拡大する小笠原高気圧が南西諸島を覆い、著しい下降気流を生み出しているのではないかと考えられる[38][40]。また冬季は逆に大陸でシベリア高気圧が発生し、そこからヒマラヤ山脈により南下をせき止められた冷たい季節風が南西諸島へ回り込む[38][41]。この時期の平均気温は16°C、最低でも約10°Cまで下がるが、沖縄県における観測史上最低気温は久米島の2.7°C(2009年現在)で、黒潮の影響で氷点下まで達しない[38][39]。最寒月は本州と同様1月である[38]。また、1977年2月17日気象庁は沖縄県内で唯一降雪を久米島で観測[42]したが、これは「みぞれ」であり、俗にいう「雪」の降ったという公式記録は無い[43]

降水量・雲量

沖縄県は5月中旬から6月下旬までの梅雨時期(沖縄気象台[44]によると1981年から2010年にかけての梅雨入りの平年値は5月9日、梅雨明けは6月23日で45日間梅雨期となる)と7月から10月にかけての台風接近期の降水量が多く、年間降水量の約60%を占める[38]インドシナ半島からのモンスーンが南西諸島付近に到達、北の冷たい気団との接触に伴い積乱雲の発生頻度を高め、南西諸島の南方で梅雨前線が形成し始める[45]。さらに低気圧の発生により、暖湿流が加わり南西諸島に大雨をもたらす[38]。しかし、南西諸島が位置する北緯20 - 30度は地球規模では中緯度高圧帯にかかり、砂漠などの乾燥した地域が多い。高圧帯の位置と勢力は時期によって変動する為、少雨による干ばつ渇水に見舞われることもある[35][46]。実際に沖縄県は1963年の大干ばつ、1981年7月から約1年間の渇水による給水制限(昭和56-57年沖縄渇水を参照)を経験している[47]

12月から梅雨明けの6月下旬までの那覇の全雲量は70 - 80%[48]と、非常に曇りの多い日が続きやすい。冬季の12月頃から、大陸の乾燥した寒気が水温が比較的高い東シナ海を通過する際に筋状積雲の発生により雲量が大きくなる。2月から3月の春にかけて、暖気が前線を北へ押し上げ、東シナ海では低気圧(東シナ海低気圧)が生じ易く、本州太平洋側に降雪をもたらす[43][49]。また4月の日本全域では低気圧の通過に伴い、停滞前線が発生し「菜種梅雨」と呼ばれる長雨が降るが[50]、南西諸島では移動性高気圧も通過する為、晴天になる日もある[51][52]。5月に入ると、日本本土はいわゆる「五月晴れ」が続くが、南西諸島近海では梅雨前線が形成し始める[53][54]。そして梅雨が明けた7月は1年で最も安定した晴天日が続き、高温乾燥の激しい少雨時期となる[39][40]

台風

2003年9月宮古島を襲った台風第14号の衛星画像。死傷者97人に上り、また家屋や風力発電所施設も倒壊し、被害総額は130億円以上に達した。[55]

南西諸島は「台風銀座[35][56]と呼ばれる程、台風の接近・通過[注 3]が多い地域である。沖縄気象台[57]によると1981年から2010年にかけて、台風の年間発生数25.6個に対し沖縄県への年間接近数は7.4個である。また台風の発生数は7月から10月にかけて多くなり、8月で最大となる。それに伴い、本県への接近数も8月が最も多い。しかし、最大風速と日最低海面気圧の観測上位30位以内(観測当初から1983年まで)の記録数は9月が最大となる。つまり、9月頃に強い台風が南西諸島へ接近しやすいといえる。8月頃は台風の発生領域の北限がフィリピン北方海上となるが、沖縄付近へ到達する台風は、発達途中であるのも少なくない。9月頃になると、台風の発生域は8月と比較して南下し、接近時には最盛期の台風が襲来し易い傾向にある。また、台風の進路が西から東寄りの方向へ転換する地点(台風の転向点と言われる)が存在し、8月は本州付近、9月は南下し南西諸島へ移動する。台風はこの転向点で勢力は最大、かつ進行速度も小さくなる場合が多いため[58]、9月頃の沖縄へ襲来する台風が最も勢力を大きく保持した状態で、低速で通過する頻度が高くなると考えられる。[56]

季節を表す言葉

沖縄には古くから季節の移り目に現れる雨・風を独特な言い回しで表現している。例えば、3月頃に東シナ海低気圧により吹き荒れる強風をニングァチカジマーイ(「2月(旧暦)の風廻り」)、梅雨明けの到来を告げるカーチーベー(夏至南風、この時期は南から強風が吹く。)、10月から11月の秋にはニーニシ(新北風、晩夏に吹く初めの北風)とタカヌシーバイ(小便サシバの群れが沖縄へ越冬する時期で、北風の吹く日は小雨が降りやすい。)、12月下旬の寒波はトゥンジービーサ(冬至の寒さ)、2月頃の寒波はムーチービーサ(ムーチーといわれる月桃の葉に包んだ旧暦12月8日(新暦の1月下旬 - 2月上旬)に作って食す習慣があることから[59]。)など非常に多くの言葉を生み出している。[39][43][60][61]

歴史

鹿児島の歴史沖縄県の歴史奄美群島の歴史先島諸島の歴史などを参照。

主な島一覧

薩南諸島

大隅諸島

硫黄島

トカラ列島

諏訪之瀬島

奄美群島

奄美大島

琉球諸島

沖縄諸島

沖縄本島
久米島
慶良間諸島

大東諸島

先島諸島

宮古諸島
宮古島とその周辺の島々
八重山列島
尖閣諸島

産業

  • 日本におけるサトウキビ生産のほとんどを占めている[62]。もっとも、これは他地域がサトウキビの生産をやめたためでもある。

脚注

注釈

  1. ^ a b 鹿児島県の西之表市奄美市鹿児島郡熊毛郡大島郡と沖縄県全域の各面積と人口を合計。
  2. ^ 中村和郎ほか『日本の自然 地域編 8 南の島々』(1996年)p.1 - 6によると、海洋には「亜熱帯」は存在しないと述べている。夏季の南西諸島は熱帯収束帯に入る期間がある程度長いからこう呼ばれるのだろうが、大気循環と異なり海流は季節により寒流と暖流が入れ替わることは無いと説明している。さらに大気循環のメカニズムも熱帯と熱帯以外でも根本的に違うため、欧米では熱帯(tropical )と熱帯外(extra-tropical )と大別して気象を研究している機関もあるという。また河名俊男 『シリーズ沖縄の自然 琉球列島の地形』(1988年)p.17 - 28でも、植生の分布の違いを基に区分したケッペンの気候区分には「亜熱帯」という用語はなく、さらに気候要素の一つである気団の異なる性質に基づいたアリソフの気候区分には「亜熱帯地帯」という気候区分があるが、これに属するのは南西諸島以外にも北海道を除く日本全土、アメリカ合衆国大陸部の殆どの広範囲に及ぶため、「琉球列島="亜熱帯"」とするのは相応しくないと述べている。
  3. ^ 気象庁 台風に関する用語によると、台風の接近は「台風の中心がその地点、またその地域の地理的な境界線(海岸線、県境など)を中心とする半径300km以内の域内に入ること」を指し、台風の通過は「台風の中心が、小さい島や小さい半島を横切って、短時間で再び海上に出た場合」をいう。ちなみに、台風の上陸は「台風の中心が北海道・本州・四国・九州の海岸に達した場合」を指し、沖縄・奄美を含む南西諸島に関してはこの用語は使用されない。

出典

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参考文献

関連項目

外部リンク