中華人民共和国における死刑

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ここでは中華人民共和国(以下、中国)における死刑について解説する。

歴史[編集]

末期の1905年までは、斬首刑絞首刑等とともに、凌遅刑が行われていた。

現在の法律[編集]

2011年現在でも死刑制度を維持しており、執行件数は世界中で最も多いとされる。ただし、中国は死刑執行件数を公表しておらず、正確な件数は明らかとなっていない[1]中華人民共和国刑法では、

に限らず、

など生命を奪わない犯罪でも死刑が規定されている。また、一部の犯罪に関して、死刑判決に執行猶予が付せられる規定(中華人民共和国刑法48条[2])がある[3]

なお、過去にイギリスポルトガル植民地であった香港1993年廃止)とマカオには現在でも死刑制度がない。[要出典]

中国の刑法における死刑の適用範囲は日本と比べると非常に広範なものとなっている。また、戦争に関わる軍人の刑罰が一般の刑法において規定されていることも特徴として挙げられる。 以下は中国の刑法のうち、死刑に関わる各条文の要旨である。なお語訳の正確性を保証するものではない。

  • 死刑は重大な罪を犯した者に適用する。犯罪者に対し死刑の即時執行ができない場合は、2年間の執行猶予を宣告することができる。最高人民法院の判決によるもの以外の死刑は、最高人民法院の許可を経て執行する。死刑執行の猶予は、高級人民法院の判決もしくは許可を経てすることができる。(第48条)
  • 犯行時、18歳未満である場合と妊婦については死刑が適用されない。(第49条)
  • 執行猶予期間を、罪を犯すことなく過ごせば無期徒刑に減刑される。あるいは大きな功績を残した場合は15年以上20年以下の徒刑に減刑される。(第50条)
  • 死刑もしくは無期徒刑の時効は20年である。20年を過ぎて訴追する際は、最高人民検察院の許可を要する。(第87条)
  • (国家安全危害罪)外国と通牒して国家の主権や安全を脅かした者のうち、特に国家と人民に重大な危害を加えもしくは特に悪質な場合は死刑に処すことができる。(第113条)また、国家安全危害罪を犯した者に対し主刑と併せて財産を没収することができる。
  • (放火罪・出水罪・爆発罪・危険物投放罪・危険な方法による公共安全危害罪)放火、洪水、爆発、毒物使用、その他危険な方法をもって人に重傷を負わせもしくは死亡させ、あるいは財産を著しく傷つけた者は10年以上の徒刑、無期徒刑または死刑に処す。(第115条)
  • (交通手段破壊罪・交通施設破壊罪・電力設備破壊罪・燃えやすい、爆発しやすい設備破壊罪)交通手段の破壊、交通施設の破壊、電力設備の破壊、可燃性もしくは爆発のおそれのある設備の破壊を故意に行ったものは十年以上の徒刑、無期徒刑または死刑に処す。(第119条)
  • 航空機ハイジャック罪航空機をハイジャックし、人に重傷を負わせ、もしくは死亡させ、あるいは機体を大きく傷つけた者は死刑に処す。(第121条)
  • (銃器弾薬爆発物不法製造売買運搬郵送貯蔵罪・危険物質不法製造売買運搬貯蔵罪)銃器弾薬・爆発物等を不法に製造、販売、運搬、郵送、貯蔵した者に対し、状況が重大である場合は10年以上の徒刑、無期徒刑または死刑に処す。(第125条)
  • (銃器弾薬爆発物危険物質窃取奪取強盗罪)銃器弾薬・爆発物等を窃盗した者に対し且つ状況が重大と認められる場合、および軍・警察・民兵組織からそれらを窃盗した者は10年以上の徒刑、無期徒刑または死刑に処す。(第127条)
  • (偽薬生産販売罪)偽薬品の製造・販売により、人を死亡させもしくは人体に重大な危害を加えた者は10年以上の徒刑、無期徒刑または死刑に処した上、販売金額の100分の50以上2倍以下(50%~200%)の罰金を課し、もしくは財産を没収する。(第141条)
  • (密輸罪)武器弾薬、核物質、偽造通貨、文化財、貴金属類、希少動物、その他政府が輸出を禁じているものを密輸した者のうち特に状況が重大である場合は無期徒刑または死刑に処した上、財産を没収する。(第151条)
  • (通貨偽造罪)通貨を偽造した場合、
    1. 偽造集団の首謀者
    2. 特に大量に偽造した者
    3. その他特に状況が重大と認められた場合
のうち、いずれかに該当する者は10年以上の徒刑、無期徒刑または死刑に処した上、5万元以上50万元以下の罰金を課し、もしくは財産を没収する。(第170条)
  • (金融詐欺罪)偽造・改ざんされた書類、無効な書類、他人名義の書類を用いるなど詐欺の手法をもって金銭を騙し取り、特にその金額が高額であり国家人民に重大な損失を与えたと認められる者は無期徒刑または死刑に処した上、財産を没収する。(第199条)
  • (付加価値税専用領収書・輸出還付金用証書・税金控除用証書不正作成罪)付加価値税専用領収書・輸出還付金用証書・税金控除用証書を不正に作成し、金額が特に大きく、状況が重大であるために国家の利益に特別重大な損失を与えたと認められる者は無期徒刑または死刑に処した上、財産を没収する。(第205条)
  • (付加価値税専用領収書偽造販売罪)付加価値税専用領収書を偽造し、あるいはそれを販売し、それらの数量が特に多量なために特別重大な状況を招き、経済の秩序を大きく損ねたと認められる者は無期徒刑または死刑に処した上、財産を没収する。(第206条)
  • (殺人罪)故意に殺人を犯したものは10年以上の徒刑、無期徒刑または死刑に処す。(第232条)
  • (傷害罪・傷害致死罪)人を傷つけ、死なせ、もしくは特に残忍な方法をもって人に重大な後遺を与えた者は10年以上の徒刑、無期徒刑または死刑に処す。(第234条)
  • (強姦罪)女子を強姦した者もしくは14歳未満の少女に淫行した者のうち、
    1. 特に悪質な方法で、女子を強姦した者もしくは十四歳未満の少女に淫行した者
    2. 女子を多数強姦した者もしくは14歳未満の少女を多数淫行した者
    3. 公共の場所において女子を強姦した者
    4. 二人以上で輪姦した者
    5. 強姦により、人に重傷を負わせもしくは死なせ、あるいは身体に重大な後遺を与えた者
のうち、いずれかに該当する者は10年以上の徒刑、無期徒刑または死刑に処す。(第236条)
  • (略取罪)身代金目的で人を誘拐し、もしくは人質にとり、それらを殺害した場合は死刑に処した上、財産を没収する。(第239条)
  • (女子児童誘拐売買罪)女子もしくは児童を誘拐した者のうち
    1. その集団の首謀者
    2. 3人以上誘拐した者
    3. 女子に淫行した者
    4. 女子を騙し、もしくは脅迫して売春させた者、あるいは売春させるために女子を他人に売った者
    5. 人身売買目的で女子もしくは児童に対し暴力、脅迫行為を働いた者あるいは麻酔を用いた者
    6. 人身売買目的で、嬰児を誘拐した者
    7. 隷属させた上で重傷を負わせ、もしくは死亡させ、あるいは重大な後遺を与えた者
    8. 女子もしくは児童を外国へ売った者
のうち、いずれかに該当し、特に重大と認められる場合は死刑に処した上、財産を没収する。(第240条)
  • (強盗罪)暴力、脅迫行為をもって公私の財産に対し強盗を働いた者のうち
    1. 家宅に押し入った者
    2. 公共交通機関に押し入った者
    3. 銀行その他金融機関に押し入った者
    4. 強盗を重ねた者あるいは奪った物の量が膨大である者
    5. 強盗により人に重傷を負わせ、もしくは死亡させた者
    6. 兵士もしくは警察官を襲った者
    7. 銃を持って強盗した者
    8. 軍用物資もしくは救援、救済物資を強盗した者
のうち、いずれかに該当する者は10年以上の徒刑、無期徒刑または死刑に処した上、罰金を課しもしくは財産を没収する。(第263条)
  • (窃盗罪)公私の財産を窃盗し、かつ
    1. 金融機関より窃盗し、その金額が特に高額である者
    2. 重要な文化財を窃盗した者らは、無期徒刑または死刑に処す。(第264条)
  • (犯罪方法伝授罪)犯罪の方法を伝授した者で、特に重大と認められる場合は無期徒刑または死刑に処す。(第295条)
  • (暴動脱獄罪・多衆被拘禁者奪取罪)暴動により脱獄を図った者、もしくは刑務所を襲撃し脱獄を助けた者でその首謀者もしくは主に関わった者らのうち、特に重大と認められる場合は死刑に処す。(第307条)
  • (古文化遺跡古墳盗掘罪・古人類化石古脊椎動物化石盗掘罪)歴史、芸術、科学的価値を有する古文化遺跡・古墳を盗掘し、かつ
    1. 国もしくは省の重要文化財に指定された古文化遺跡・古墳を盗掘した者
    2. 盗掘した集団の首謀者
    3. 盗掘を重ねた者
    4. 文化財に対し重大な損害を与えた者
のうち、いずれかに該当する者は10年以上の徒刑、無期徒刑または死刑に処した上、罰金を課しもしくは財産を没収する。(第328条)
  • (薬物密輸販売運搬製造罪)薬物を密輸、販売、運搬、製造した者のうち
    1. アヘンを1キログラム以上、またはヘロインもしくはメタンフェタミンを50グラム以上、あるいはその他薬物を大量に密輸、販売、運搬、製造した者
    2. 薬物を密輸、販売、運搬、製造した集団の首謀者
    3. 薬物を密輸、販売、運搬、製造することを警護した者
    4. 検査、拘留、逮捕を暴力によって拒み、重大と認められる者
    5. 組織的な国際売買活動に関わっていた者
のうち、いずれかに該当する者は15年以上の懲役、無期徒刑または死刑に処した上、財産を没収する。(第347条)
  • (売春組織罪・売春強要罪・組織売春援助罪)売春組織に与した者、あるいは売春を強要した者のうち
    1. 重大と認められる売春組織に与した者
    2. 14歳に満たない少女に対し売春を強要した者
    3. 複数に売春を強要した者もしくは繰り返し売春を強要した者
    4. 強姦した後売春を強要した者
    5. 売春を強要したことにより人に重傷を負わせ、もしくは死亡させ、あるいはその他重大な後遺を与えた者
のうち、いずれかに該当し、特に重大と認められる場合は無期徒刑または死刑に処した上、財産を没収する。(第358条)
  • (武器装備軍事施設軍事通信設備破壊罪)重要な武器装備、軍事施設、軍事通信設備を破壊した者のうち、特に重大と認められる場合は、無期徒刑または死刑に処す。戦時中は厳しく罰する。(第369条)
  • (不合格武器装備軍事施設提供罪)不合格であることが明らかな武器装備、軍事施設を軍隊に提供した者のうち、特に重大と認められる場合は10年以上の徒刑、無期徒刑または死刑に処す。(第370条)
  • (横領罪の処罰規定)汚職の罪を犯した者の量刑については、以下の基準による。
個人の汚職に関わる金額が10万元以上の者のうち、特に重大と認められる場合は死刑に処した上、財産を没収する。(第383条)

以下は特に軍人の職責に関わる死刑の規定である。

  • (戦時中命令抵抗罪)戦時中命令に従わず、作戦遂行に害をなし、戦果に重大な損失を与えた者は、10年以上の徒刑、無期徒刑または死刑に処す。(第421条)
  • (軍事情報隠蔽虚偽報告罪・軍事命令伝達拒否虚偽伝達罪)軍事情報を隠蔽し、もしくは虚偽の情報を軍に渡し、あるいは軍事命令の伝達を拒否し、もしくは虚偽の命令を渡し、作戦遂行に害をなし、戦果に重大な損失を与えた者は10年以上の徒刑、無期徒刑または死刑に処す。(第422条)
  • (投降罪)戦争において死ぬことを恐れ、自ら武器を捨て投降し、その後敵に与した者は10年以上の徒刑、無期徒刑または死刑に処す。(第423条)
  • 戦時中戦陣逃亡罪戦時中敵前逃亡をした者のうち、戦果に重大な損失を与えた者は、10年以上の懲役、無期徒刑または死刑に処す。(第424条)
  • (軍事職務執行妨害罪)暴力、威嚇をもって軍関係者の職務を妨害した者のうち、人に重傷を負わせ、もしくは死なせ、あるいは特に重大と認められる場合は無期徒刑または死刑に処す。戦時中は厳しく罰する。(第426条)
  • (軍人逃亡罪)公務遂行中に不正に任を離れ、国外へ逃亡し国家の軍事利益に害をなした者のうち、さらに航空機や艦船を用いて逃亡し、もしくは特に重大と認められる場合は、10年以上の徒刑、無期徒刑または死刑に処す。(第430条)
  • (軍事スパイ罪)外国の機関、組織、人員に対しスパイ行為により軍事機密を不法に提供した者は10年以上の徒刑、無期徒刑または死刑に処す。(第431条)
  • (戦時流言流布罪)戦時中に敵と共謀し、流言により軍を動揺を与えた者で、特に重大と認められる場合は死刑に処すことができる。(第433条)
  • (武器装備軍用物資窃取奪取罪)武器装備もしくは軍用物資を窃盗、強奪した者で、特に重大と認められる場合は10年以上の徒刑、無期徒刑または死刑に処す。(第438条)
  • (武器装備不法売却譲渡罪)軍の武器装備を不法に且つ大量に転売した者あるいはその他特に重大と認められる場合は、10年以上の徒刑、無期徒刑または死刑に処す。(第439条)
  • (戦時住民殺害財物強取罪)戦時中に軍が管轄する地区において、その住民を殺害しもしくは住民の財産を強奪した者で、特に重大と認められる場合は10年以上の徒刑、無期徒刑または死刑に処する。(第446条)

執行方法[編集]

1980年に施行された旧刑法では、執行方法は「銃殺とする」と定められていたが、1997年に施行された改正刑事訴訟法で「銃殺または注射等」と定められ、地高裁が独自に選択できることになった[4]。同年に雲南省で注射が初採用され、各地に一定の広がりを見せている[5]。 死刑執行は、軍人による犯罪に対しては憲兵(解放軍内では糾察、香港とマカオの部隊では憲兵)の役目であり、民間人の犯罪者に対しては武装警察の役目である。薬殺刑の導入と共に専門の役人(刑事警察の中の専門訓練)も現れている。[要出典]

再審査制度[編集]

中国の刑事訴訟制度は基本的に二審制であるが、死刑は最高人民法院(日本の最高裁判所に相当)の再審査を経なければ執行することができない。最高人民法院は、再審査の結果、死刑判決が妥当だと判断すれば、裁定により死刑執行の許可をする。このように、死刑事件に限って事実上三審制がとられている[4]

近年の傾向[編集]

犯罪撲滅キャンペーン[編集]

死刑を犯罪撲滅に対する最大の効果があると司法当局が確信しているため、死刑の適用が多用されている。例えば、2001年には中国国内で犯罪に対する「厳打」キャンペーンが行われた結果、4月から7月の間だけで、少なくとも2,960人に死刑判決が下され、1,781人に対し死刑が執行されたとされる[6]

このような中央からのキャンペーンで地方が暴走することもある。例えば、四川省検察当局は、「迅速な逮捕、迅速な裁判、迅速な結果」を掲げ、6日間で19,000人以上を逮捕し、裁判所も証拠調べを充分に行わずに裁判を行った。その結果、誤判が大量に発生したとみられ、冤罪による死刑も多く行われたといわれている。また、このようなノルマを課した犯罪撲滅キャンペーンの結果、現場レベルでは自白を引き出すために暴力的な尋問と拷問が行われるなど、重大な人権侵害が行われているとの指摘もなされている。[要出典]

制度改革[編集]

  • 2005年、最高人民法院は「死刑第2審案件の公判審理をさらに改善するについての通知」において、2006年下半期以降の死刑判決控訴審については、書面審理ではなく、公判審理を原則化するという方針を明らかにした。しかし、2006年9月に最高人民法院と最高人民検察院が合同で定めた「死刑第2審案件公判審理のいくつかの問題についての規定(試行)」では、即時執行の死刑判決についてのみ公判審理を義務づけるとされており、公判審理の原則化は実現しなかった[7]
  • 2007年、高級人民法院に授権されていた死刑判決の再審査・許可の権限を全て最高人民法院に戻した[8]それまでは、1983年に最高人民法院が出した「高級人民法院に一部死刑事件の許可をする権利を授与することについての通知」に基づき、反革命事件と汚職などの重大経済犯罪事件を除き、高級人民法院が再審査・許可をしていた[4]
  • 北京オリンピックを前にして、国際世論、特に死刑制度を廃止している欧州諸国からの批判をかわすため、2007年以降は公開処刑は行わないことを発表した。またフランスサルコジ大統領が2007年11月に中国訪問した際に胡錦濤国家主席に対し「完全な廃止は求めないが、執行停止に向けた動きを強めてほしい」とに注文したことに対し、「死刑適用のケースを減らしたい」と回答したが、具体的な数字についてはふれていない[9]

日本人に対する死刑[編集]

第二次世界大戦後、中国で日本人に対して死刑が執行されたのは、1950年毛沢東の暗殺を企てたとして逮捕された1人(1951年に執行)と、1972年の国交回復以降で麻薬密輸罪で死刑判決が確定していた5人(2014年に執行)の計6人である。

問題点[編集]

  • 中国において三権分立が成り立っておらず、法治主義ではなく役人らの意向が強く反映されている人治主義である点が指摘されている。そのため、死刑を宣告するにしても司法機関において近代的刑事訴訟手続が要求する法手続きが充分整備されていないとの指摘がある[10]
  • 死刑囚からの組織的な臓器移植が行われている。この死刑囚からの臓器移植は中国においては「罪を犯した事に対するせめてもの罪滅ぼし」との儒教的思想による発想からきているといわれているが、行刑関係者が医療関係者から死刑囚の臓器提供の見返りに金銭を受け取っていることも明らかになっている。例えば、『台北時報』2001年8月3日付けの記事によれば、江西省南昌で5月に処刑された男性の遺体が、腎臓移植のために死刑判決および死刑執行命令を出した地元裁判所によって地元の病院に販売され、遺族は裁判所から遺骨を返す通知すら受けていないという。このように、裁判所によって「移植ありき」の死刑執行の疑いがあり、移植患者にとって都合が良い(休みが取れる旧正月など)時期に大量に処刑されていると批判されている。そのため、2006年には臓器売買禁止法が施行されたが、未だに臓器売買が行われていることがイギリスBBCの取材により明らかになっている。[要出典]
  • 正式な死刑ではないが、主にチベットや東トルキスタン、また民主化活動家や法輪功信者に対して行われる拷問による獄死や、農民運動活動家に対する虐待死が起こっている。これらは、地方政府の役人が中央政府の方針を無視し、自己の保身のために地元警察を使って自分達にとって不都合な者を殺害しているからだといわれている。当然これらの行為は裁判を経ていないため違法であるが、実態は不明である。そのため、公表されている数字よりも死刑執行者ははるかに多いとする指摘もある。また、死刑執行数が多すぎるため、かえって社会に動揺が広がっているとの指摘がある[11]
  • 香港の富豪が誘拐され身代金を奪取された事件では、被害者が、死刑制度のない香港ではなく広東省の刑事当局に告訴したため、富豪の生命が奪われたわけではないのに犯行グループが死刑になった。また、日本で起きた福岡一家4人殺害事件被疑者3名のうち2名が中国へ逃亡し裁判にかけられた際には、主犯は死刑になったが、従犯に対しては、主犯の潜伏先を自白した「捜査の協力」と「自首」を認定し無期懲役に減刑された。従犯とはいえ、4人もの殺害実行に直接関与したにもかかわらず司法取引的な減刑を行なったことは、中国の刑事裁判の量刑の相場から著しく外れるものであるとして、日本側の一部や、中国国内の司法関係者から指摘された。この事件のように、心神耗弱情状酌量すべき事情がないにも拘らず、事件に直接関与した者が死刑にならなかったのは中国国内では前例が少ない。そのため、明確な判断基準がばく政治的かつ恣意的・主観的な判決が日常的に行われている可能性が強いとの指摘もある。[要出典]

脚注[編集]

  1. ^ 2009年の死刑統計発表で中国の秘密主義を非難
  2. ^ 藤本哲也 『刑事政策概論』 青林書院(原著2006年3月)、p. 131。ISBN 9784417014010
  3. ^ この執行猶予はいわゆる再教育を目指すものである。実際に反革命行為に対する死刑宣告を受けたものを死刑の重圧をかけて「労働改造」する目的があるといわれている。著名な執行猶予付き死刑を宣告された者に江青がいる。
  4. ^ a b c 辻本衣佐「中華人民共和国における刑事法の改正と死刑」法学研究論集8号(1998)
  5. ^ “〈死刑〉人道的な配慮、「銃殺」から「薬物注射」に全面切り替えへ”. Record China. (2008年3月2日). http://www.recordchina.co.jp/group/g16250.html 2009年2月11日閲覧。 
  6. ^ 中国「厳打」キャンペーン強化
  7. ^ 田中信行研究室 死刑判決控訴審の公判審理化
  8. ^ CRJ online 中国、死刑の最終審査を最高裁判所に
  9. ^ 朝日新聞 2007年11月27日。
  10. ^ 中国での死刑執行に抗議する
  11. ^ 『朝日新聞』2007年2月25日。

関連項目[編集]