コミックマーケットが抱える問題
コミックマーケットが抱える問題(コミックマーケットがかかえるもんだい)ではコミックマーケット準備会が主催する同人誌即売会であるコミックマーケット(Comic Market、通称:コミケあるいはコミケット)が抱える問題と課題を挙げる。
コミックマーケットの歴史は2007年で30年を数える。この歴史の一面を見た場合、ある意味では漫画・アニメなどサブカルチャー系の同人の世界が数々の諸問題の影響などを乗り越えてきた歴史を反映しているとも言える。現在もまた、表現の自由と規制、同人イベントの参加者のモラル、イベントの肥大化とそれに付随して発生する問題を抱えている。
本項では、特に肥大化の進むコミックマーケットに固有の問題を列挙する。同人誌や同人ゲームの抱える著作権問題、および過激な性的描写による表現などの問題は「同人誌」の項を参照。
なお、以下に挙げる諸問題の多くについては、コミックマーケット準備委員会が発行するカタログに概略が記載され、参加者への注意も毎回喚起されているものである。
目次 |
[編集] イベント肥大化と会場施設面の問題
[編集] 会場容量の限界
近年、参加者の人数は一日あたり15万人を超え20万人に達することもある状態が続いており(実際、2008年夏のC74の1日目、2日目、3日目の入場者数はそれぞれ17万人、18万人、20万人で、一日あたりでは東京ゲームショウや東京モーターショーの2倍前後となっている[1])、身動きがとれないほどの混雑した場所もあったとの報告が毎回ある[2]。だが、同人イベントに使用可能な施設においてはビッグサイトを超える規模のものが国内には事実上存在しないため、一つのネックとなっている。数十万人単位の参加者の誘導と会場警備には多くのボランティアが参加しているが、それ以上に年々参加者が増加しており、抜本的な混雑の緩和策を取るのは難しい。
近年では子連れの参加者も目立ってきているが、会場内の混雑状況は子供にとって過酷な環境である[3]にもかかわらず、コミックマーケットカタログには「迷子札」をつけるように指示をしているだけであり、参加者各自の判断に任されている状況である。[4]
精神科医でありコミックマーケットの一参加者でもある斎藤環は2005年9月30日のインターネット放送『マル激トーク・オン・ディマンド』の番組内でコミックマーケット68・開場後の場内の様子を紹介し、参加者が膨大であるにも拘らず運営がほぼ混乱なく整然と行われているイベントであることを指摘している。
[編集] 参加者の体調不良
コミックマーケットは参加人数が非常に多く、長時間列に並ぶことが常態化している。その年の気候にもよるが、夏コミでは炎天下による熱中症、冬コミでは防寒対策(会場が海に近いため寒い)不足による低体温症にかかる人が毎年のように出ている。2009年の春頃から感染力が高い新型インフルエンザが世界的に流行しており、カタログにおいても参加者に注意と対策を呼びかけている。
[編集] テロ行為
コミックマーケットでは過去に時限発火装置によるいやがらせが発生した。これ以来準備会では不審物の対策として、参加者自身による不審物確認を促す一斉点検放送を定時に行っている[5]。
[編集] 周辺地域への影響
参加者の著しい増加につれて一般参加者の入場待機列が長大になるなど、コミケットの大量の参加者とその輸送・流動を巡っては、周辺地域に及ぼす環境面や安全面や交通への影響が大きく、開催継続に際してのリスク要因となっている。
[編集] 交通混雑
台場・有明地区への公共交通機関としてはゆりかもめ、りんかい線、都営バス(虹01、海01、東16、急行05[6]、急行06[6]、国展01・02・03 )、京浜急行バス(井30[7]、横浜(YCAT)発着高速バス)、空港連絡バス(羽田空港発着高速バス[8])、日の出桟橋発着の海上バスなどがある。だが大量輸送機関はりんかい線が唯一であり[9]、そのりんかい線を含めいずれもコミケット参加者の輸送だけでも専用ダイヤや臨時便などの特別輸送体制が敷かれる程の状況である(都営バス#臨時系統を参照)。
このため夏はお盆(8月15日頃)、冬はクリスマスから年末シーズンにかけてという人出のピークとなる時期に開催されるため、会場へ行き来する参加者とお台場等の他の観光施設へ向かう客とで交通機関に大きな影響を及ぼしている。特にウォーターフロント地区の性質上、訪問者は内陸側から来て内陸側に帰ることになるため、午前中から昼頃にかけては台場などへ行く買物客・観光客、午後から夕方にかけてはそこからの帰宅客とが結果的にそれぞれ同一ルートとなり、結果として混雑に拍車が掛かることも多い。コミケットから帰る客で混雑する時間帯は台場付近から乗車する乗客との兼ね合いもあり、有明駅・国際展示場正門駅の両駅で新橋方面への列車の乗車制限を行っている。これに対し、豊洲方面への乗車制限はない。
とはいえ、ゆりかもめとりんかい線の全線開通以前と比較すれば会場への交通手段自体は多様化している。
[編集] 他のイベントとの兼ね合い
コミケットの開催期間はお盆休みと年末の書き入れ時にもあたり、周辺地域で開催される他の大型イベントや大型商業施設のバーゲンセールなどと多分に重なる。このため、コミケットの数十万人単位の参加者の臨海副都心部や東京都心での流動は各方面に様々な影響を及ぼしている。
夏コミ期間は中央区主催の東京湾大華火祭と重なる場合があり、花火観覧客と交通規制によって有明・台場地区やレインボーブリッジ・晴海通りはもとより、レインボーブリッジ対岸でも道路の渋滞・混雑が発生する。また台場・有明地区に所在する企業や商業施設が開催する夏期イベント[10]とも重なり、交通機関や周辺道路が渋滞する。
また同様に冬コミ期間中にも、近隣の台場・有明地区の各種商業施設で数多く開催される歳末セールや歳末イベントの人出と重なる他、近隣でも品川区勝島の大井競馬場(東京シティ競馬(TCK))で恒例となっている年末開催があり、冬コミ日程と重なる形で大井競馬にとっても大レース(重賞競走)が連続する期間となる。とりわけ毎年数万人規模の来場者がある東京大賞典については1999年以降は12月29日に固定して開催されており[11]、日程がぶつかっている上に東京大賞典は16時台の発走であるため競馬観戦とコミケットの終了後の帰宅時間帯のピークが重なっている。なお、コミケ参加者の帰宅時間帯への配慮かは不明ではあるが、後に大井競馬は年末開催を「プチトゥインクル競走」と銘打ってナイター競走・薄暮競走の時間帯に開催するようになり、年末開催の薄暮競走ではメインレースを16時30分頃、最終レースを18時前に設定する(つまり、最終レース終了まで観戦した場合、無料送迎バスが最寄りの大井町駅に到着するのが18時20分頃になる)など、競馬観戦客の帰宅のピークを分散させると同時に、コミケ参加者の帰宅時間帯のピークと重ならないタイムスケジュールが組まれる様になっている。
2002年冬のC63では、当時に開催されていた漫才イベント『M-1グランプリ』の“最終決戦”が東京ビッグサイトからほど近いパナソニックセンター有明スタジオで開催され、28日に設営、29日夜に生放送、29日深夜から翌30日早朝にかけて撤収が実施されるスケジュールが組まれていた。このことから、出演芸能人のファンによる入り待ち・出待ちやコミケット側における東京ビッグサイト周辺の徹夜組の存在も絡めて混乱の発生が懸念されたものの杞憂に終わった。翌2003年冬のC65でも『M-1』最終決戦とコミケット期間は重なった。なお、2004年以降は『M-1』の“最終決戦”の開催日が数日繰り上げられた為、そもそもコミケットとは日程が重複しなくなった。
[編集] 参加者・来場者の行為・行動にまつわる問題
[編集] 徹夜組
[編集] 徹夜組の定義と概要
「徹夜組」(または「深夜来場者」)とは、当日の公共交通機関の始発便の最寄駅到着時間(ツアーバスが到着する朝4:30)前、さらには前日の段階から会場周辺に徹夜で並ぶ、あるいは開場周辺を徘徊するなどして開場を待つ参加者の事を指す。ただし一般的に持つ「徹夜」または「徹夜行為」の意味が曖昧の為、準備会では主に「深夜来場者」という表現を利用する(例えば、「深夜から会場前で列に並んだが、列内で睡眠を取ったから“徹夜”ではない」などという主張を防ぐため)。また「徹夜組は規約違反者であるためコミケットの参加者とは言えない」という考えを持つ者が、徹夜行為を行わない普通の参加者と区別する意味で用いる事もある。
準備会ではこのような徹夜行為を禁止しているにもかかわらず、コミケット開催期間中の会場周辺では数千人規模での徹夜行為が繰り返されており、準備会も警告を行っている[12][13]。特にここ最近は家族連れの徹夜組の発生が大きな問題となり、カタログでも「通常の子連れ参加の賛否両論とは次元の違う問題です。絶対にやめてください。」とより強い警告を発する事態となっている。
[編集] 徹夜組の問題点
準備会はコミックマーケットカタログ上などで、徹夜行為は会場を借りることを困難にし、コミケットの継続開催、つまりはイベント自体の存続を危うくさせる行為であるとして危機感を露にしており、徹夜行為への自制を度々促している。会場が借りられなくなる理由として準備会では以下のようなものを挙げている。
- 「徹夜組」の中にはかなりの少年が含まれており、東京都青少年の健全な育成に関する条例により深夜徘徊とされ補導対象になる。
- 窃盗・恐喝などの犯罪が発生しており、警察から毎回厳重な注意を受けている。
- 深夜の周辺の建物・敷地への進入、芝生の破壊、ゴミの散乱について各所からクレームを受けている。
- 数千人規模の徹夜が行われるようなイベントはコミケット以外に存在せず、「徹夜組」の数の多さそれ自体が運営にとって重大な脅威かつ負担となっている。
また、これらの徹夜問題の対策として開催日前から夜間にも警備活動などを実施せねばならず、これだけでも莫大な費用が発生する。その諸経費は主催者を通じて実質的にサークル参加者や企業参加者が負担する形となっており、徹夜組が「一方的にサークル参加者や企業参加者に負担を強いる」行為であることを準備会は示唆している[12][13]。
この様なコミケット会場周辺で起こされている直接の問題や主催者の負う過剰な負担以外にも、電子掲示板やmixiなどのインターネット上のコミュニケーションの場において、「徹夜組」常習者が同じコミュニティ内のコミケット参加者に対して徹夜行為を勧誘するなどといったことも起きており、これもモラルなどの面から問題視されることがある。
[編集] ダミーサークル
人気サークルがコミケ限定で頒布する同人誌を入手する為に、(徹夜組を含む)一般参加者より早く会場へ入場できるサークルチケットを入手する事を目的にサークル参加する者がいる(この中には転売屋も存在する)。サークル参加の落選率の上昇に繋がるなどの理由から問題視される様になっている。
詳細はダミーサークルを参照。
[編集] サークルチケット転売・偽造問題
2000年以降、サークルチケット(出展サークル専用通行証)およびサークル駐車券がインターネットオークションなどにおいて高額で販売(転売)されていることも問題となっている。
コミックマーケットのサークルチケットは当選したサークルごとに3枚ずつ[14]配布されるため、3人が開場前に入れることになる。しかし元々3人もおらずまた準備に3人必要ないサークル、そしてダミーサークルであればチケットが余る。
一方、一般参加者よりも先に入場することができ大量の列ができる大手サークルにいち早く並ぶことができる[15](本来は一般入場前に並ぶ行為は禁止であるが、徹夜問題と同様に人数があまりにも多いため、コミケ側でも「サークルチケットの名義人と参加者が同一かを調べる本人確認」をするなど徹底した取り締まりが不可能な状況である)チケットや、自家用車での来場が可能になる駐車券は高額の金銭を支払ってでも欲しい人が多いため、サークルチケットはネットオークションの中でも人気の高いアイテムとなっており、サークルチケットの発送された直後(開催日の約1~2か月前)、すぐ出品されるにもかかわらず1万円~2万円以上の高値で落札されることがままある。
コミックマーケット準備会は金銭を代価とするこのような転売行為、および無償の譲渡については認めておらず、出品者やネットオークション業者に対してオークションの取り消しなどの呼びかけを行っているが、単純な所持や本来の目的に則した使用は法的に禁止されているものではないため、事実上出品が黙認されたままの状態となっている(ある程度の報告が寄せられれば出品を取り消されることはあるが、取り消される前に落札される場合が多い)。
サークルチケットの券面には参加日・サークル名・スペースなどの個人情報が記載されており、準備会側でサークル名やスペースがわかれば出品者を特定することはできるが、Yahoo! オークションへの出品で現物の写真を掲載する際、これらの個人情報が記載されている部分を隠蔽[16]するよう処理することや、落札者に情報を口外させないことで身元を特定できなくするなど手口が悪質となっており、準備会でもこれ以上手を打てない状態が続いている。
ただし、ヤフーオークションで売られているチケットのほとんどはスタッフの転売という矛盾もはらんでいる。(サークルチケットと言ってもサークルだけが受け取っているチケットではない)
[編集] コスプレ
同人誌の売買と共にコミックマーケットの参加様態の一つであるコスプレに対しては、事前登録制、参加が可能な制服の制限、撮影区画の制限、コスチュームのままでの入退場禁止、突起物(衣装の装飾、キャラクターの武器など)や肌の露出に規制などの対策が施されている。またコスプレの内容はスタッフによってチェックされ、スタッフの判断によってはコスプレ可能区画の制限(これを受けると、サークル参加者がそのコスプレで自分のサークルスペースなどに滞在することもできなくなる)や修正の要請(追加でタイツやシャツなどの着用を求められる、装飾品の除去を求められるなど)、あるいは登録不許可となる可能性もある。露出以外では、学生運動を模した「放火犯」と書かれたTシャツが反社会的であるとして不許可になるケースもあった。
しかし過度に露出の多いコスプレ(特に女性)が警察当局からも指導を受けるなど一部で問題視されているほか、心ない来場者が盗撮行為を行い、それらの写真がインターネットでアップロードされることも多いため、写真全てを取り締まれないなどの問題も残している。「写真撮影を他のイベント同様に登録制にしてはどうか」という提案も出ているが、コスプレイヤーやサークル参加者、同人誌を買いに来た参加者だけでなく企業ブースを目当てに来た参加者、さらにはコスプレ撮影のみを目当てに来た来場者などあらゆる参加者及び「偶然の来場者」も登録対象にする必要があり、その処理を行うのに膨大な時間や人員がかかるため実行に踏み切れない事情もある。そのため現状では撮影機材に関してもコスプレ衣装同様に厳格な制限を定めるとともに、会場で配布する小冊子で注意喚起を行うにとどまっている。だが、過激なコスプレを行う女性の中には、コスプレを行うと同時に自身の運営・所属するサークルのブースに確実に販売禁止処分になる様な過激な内容のコスプレ写真を収録したDVDなどのいわゆる「エロコスROM」を意図的に持ち込み、これを目論見どおり販売禁止処分にさせることで、「コミケで発禁となった写真集」という宣伝文句を付けて後日に改めて販売する「発禁商法」を行う者も見られる様になっており[17]、単純に参加者のモラルに訴え掛けるだけでは限界があることも現実である。
実際にコスプレを禁止するイベントが増加する中、コミケットでは容認されてきたが、これには前代表の米澤嘉博の方針として維持されてきた経緯がある。なお、米澤の生前から準備会内部ではコスプレの廃止(全面禁止)はたびたび議論の俎上に上げられてきたものの、現段階では見送られている。
ちなみに、東京ビッグサイト近隣の東京ファッションタウンビルやディファ有明では、コミックマーケットにあわせて別の主催者によるコスプレイベントが行われていて、突起物の制限が緩かったり、露出の高い衣装がある程度容認されている。また、コミックマーケットのアフター利用等もあるため、こちらのイベントに来場する人も多い。
[編集] 会場内および会場周辺での不正な動画撮影・配信
近年、ごく普通の一般市民でも「YouTube」や「ニコニコ動画」といった動画共有サービスを手軽に利用することが出来るようになり、それにともなうトラブルも爆発的に増加した。 コミックマーケットにおいてもそれは例外ではなく、会場内の様子を周囲に許可を取らずに撮影し、モザイクなどのプライバシーに配慮した処理もしていない、ほとんど盗撮同然の動画が上記の動画サイトにアップされる事態が続発しており、個人情報保護の観点などから問題視されている。
中でも、コミックマーケット会場内やその周辺でニコニコ生放送のようなリアルタイムのライブストリーミング配信を行う行為は、動画がリアルタイムで全世界に配信されてしまうため、第三者のプライバシーや動画撮影に対する拒否権の有無などはほとんど無視されているのが現状であり、事実、コミックマーケットの会場周辺で悪質な撮影を行なっていたニコニコ生放送の配信者(通称:『生主』)が警察に通報され、警察官と言い争いになる醜悪な場面までリアルタイムで配信されてしまう事態も発生し[18]、最悪の場合は逮捕に至ることだってある。
[編集] 悪質なパフォーマンス行為の増加
コミックマーケットはあくまで同人誌即売会であり、歌唱・ダンスなどのパフォーマンスを披露する場所ではない。事実、無許可のパフォーマンス行為はコミケットの会場内や会場周辺では禁止されている[19]。
しかしながら、会期中の非常に多数の参加者がひしめき合う会場やその周辺地域において、自己顕示や自己宣伝・売名を目的とした人物がコミケットに便乗する形でパフォーマンスを繰り広げ、迷惑やトラブルを巻き起こす事態がここ数年で増加しており、これはコミケットにとっても新たなリスク要因となっている。加えて、そうした悪質・低俗な自己顕示欲を持つパフォーマーやその協力者が故意に撮影した動画や、あるいは傍観者がたまたま撮影した動画を動画共有サービスに投稿したり、あるいはブログに投稿して炎上するケースも多々起きている。さらには、コミケット参加者やオタク文化に対する露悪的・挑発的なパフォーマンスを繰り広げてこれを本来はコミケットの取材に来たマスコミに取材させ、これにより売名を行うことを目的にコミケット会場に侵入する人物さえ現れる様になっている。
たとえば、お笑い芸人のウェルダン穂積は、2007年の夏のコミックマーケット(C72)にて、コミックマーケット会場内[20]において、機材を持ち込んで無許可で歌や踊りといったパフォーマンス行為を繰り広げ[21]、騒音をまき散らしてコミックマーケット運営スタッフの業務を妨害するなどしたため、ネットを中心に多数の非難を浴びた[22]。この他にも、明らかに卑猥なイラストが描かれた抱き枕やシーツなどを、コミックマーケット会場内や会場周辺でこれ見よがしに身につけたり目立つように所持して周囲を徘徊したりといった、あきらかにわいせつ物陳列罪で現行犯逮捕されてもおかしくない格好で会場の内外をうろつき回り[23]、他の参加者や運営スタッフ、警備員や警察官をあからさまに挑発するかのような行動を取る者もいる。
この様な問題のあるパフォーマンスを行う参加者や、コミケット参加者を装って会場内外で悪質なパフォーマンスを繰り広げる者の存在が原因となり余計なトラブルが増したり、最悪コミックマーケットそのものが中止に追い込まれないか、といった危惧の声も存在する。
[編集] 諸事情の理解に乏しい参加者の増加
近年、コミックマーケット特有の事情やルール・マナーをあまり理解しないまま来場する参加者(いわゆる「お客様感覚の参加者」)が増加傾向である。企業系イベントとは違い(カタログ等で)注意事項が周知徹底できないゆえに発生する問題である。
コミックマーケットでは全ての参加者は対等の立場であるとされる。このため一般参加者であってもルールとマナー、諸注意事項を理解して参加するなど事前の準備が必要であり、毎回発行されるカタログ上で呼びかけられる。しかしながらインターネット上のコミュニティが発達し、またコミックマーケット自体も社会的な認知度が高まるにつれ、雑誌やインターネット上の掲示板などの情報だけを頼りに来場する参加者が増えてきており、他の参加者やスタッフなどとの間で以下のようなトラブルにも発展するようになってきた。
- 夏コミの参加時に十分な必要な暑さの対策(帽子・日焼け止め・水分など)を準備せず来場し炎天下に数時間並んだ挙句、入場直前に熱中症で倒れる。最悪の場合、死亡することがある。
- 冬コミでも同様に必要な防寒対策をせずに来場した挙句、列の移動の際に体調を崩し動けなくなる(降雪時の対応も必要になる)。
- 自己管理を徹底せねばならない(当たり前だが他の参加者やスタッフは自分の行動に関知しない)のにも拘らず列を抜けると最後尾に並びなおさねばならないと思うあまりに体調の悪化を無視し倒れる、嘔吐する、糞尿を漏らすなどの参加者が毎年見られる、またトイレは例年かなり混雑する。(特に女子トイレ)
- 長蛇の列や長期の待ち時間に戸惑い、客感覚でスタッフや企業・サークル参加者に「店長を出せ」と不満を漏らす。
- 待機が長時間になることは、同人誌即売会では極めて一般的である。また理念上「客」も「店員」もおらず共に対等な参加者だが、会場には(カタログ購入等の)受付なく自由に入場できるため同様のトラブルは後を絶たない。2010年夏に行われたC78の会場では「お帰りなさいませオタクさま・お帰り下さいませお客様」の標示も見られた[24]。
これらの問題は準備会にとって、当人だけでなく「コミケットはしんどいところなのだ」と準備会がうまくアピールできていないのも一因と示唆している(「コミックマーケット74アフターレポート」)。2008年現在、カタログは早期に完売する傾向にあり、場合によっては注意事項を読む手段がなくなる場合もあることから、2008年夏のC74からは公式サイト上にも注意事項やマンガレポートを掲載するよう改めた。
[編集] 出品物に関する問題
[編集] 参加者の低年齢化に伴う影響と成年向け同人誌の氾濫
2000年代に入ると、一般参加者としての児童・生徒の参加が増加している。その上、コミックマーケットや各同人誌即売会では成年向けの本と一般向けの本の売り場が厳密に区別されていない[25]ため、必然的に成年向け同人誌を目にする機会が多くなり、通常の書店より購入が容易になるという問題が発生している。
このため、同人誌即売会においてはこのような性描写の氾濫が最も問題視されている(「性描写の問題」と「パロディによる著作権の問題」は、本来別の問題であるが、一括りの問題とされることがある。後述の「東京都や警察庁の表現規制方針」も参照されたい)。また、コミックマーケットで多数のサークルで成人向けを扱う状況から、「成人向け作品を販売するイベント」との誤解や偏見が持たれている状況も多々存在する。
[編集] 東京都や警察庁の表現規制方針
コミックマーケットは先に記載の通り多種多様な同人活動の愛好家の交流の場であり、法や倫理に触れず、また極度に反社会的なものでない限り「表現の自由」を何より重んじている。しかし2000年以降、青少年の健全育成を目的として著作物・創作物の(主に性的表現に対する)表現規制が強く主張されるようになってきた。
2006年現在、東京都の方針に対してコミックマーケット運営側からは具体的な声明や方針は出されていない。しかし表現規制そのものがコミックマーケットの理念と相反するため、自らコミケスタッフでありかかわりの深い弁護士である山口貴士はコミケカタログに「児童ポルノ規制が同人界に悪影響を及ぼす」との声明を出したりコミケ会場で東京都青少年の健全な育成に関する条例の改正案(特に『非実在青少年』の規制案)に反対する署名が集められている。また、現状でも限られた会場の制約や犯罪・テロ対策などから徐々にではあるがコミックマーケットの規制は増やされている。
また、警察庁に関しては2006年4月にバーチャル社会のもたらす弊害から子どもを守る研究会が設置され、同年12月公表の最終報告でも同人誌や同人ソフトが倫理審査を受けていないことに対する問題提起がなされており、この点に関しては拡大準備集会で主催者側から今後の動向を注視する趣旨の見解が示されている。
[編集] 二次創作物とコミックマーケットに対する著作権者の姿勢
コミックマーケットは同人作品の発表・頒布の場であるが、現実を見る限りでは既存の著作物を利用しての二次創作によるものがかなりの割合を占め、その内容も非常に多岐に渡る。また人気作品では二次創作の作品数は膨大になり、特に個別の作品が単体ジャンルとして成立しジャンルコードが割り振られる程の規模にもなれば、作品数・内容の両面において各著作権者が自力で二次創作の作品を完全に把握することは現実的に見て不可能である。また、販売される量についても同人側の作者の知名度や人気にもよるが、コミケットで同人作品を大規模・大量に製造・販売することによって同人活動の費用はもとより自身やスタッフの生活費やスタジオの運営費用までをも稼ぎ出す、俗に「プロ同人」などと自称・他称される「同人誌の製造小売業」とでもいうべき者たちが近年では多数現れる程の経済規模となっているなど、同人自体が肥大化を続けた結果として事実上の業界化を遂げ、コミケットはそのプロ同人のサークルが一同に集うイベントとなっている実態がある。
また、二次創作で制作されるものの中には性描写・残酷表現などが主眼となっているものも少なからず見られるが、この様な作品は元ネタとされた作品の内容次第[26]では、成人向けの内容で書かれることが甚だ不本意なものである場合も見られ、同人誌はもとよりこれらが頒布されることの多いコミケットそのものまでもが問題視されることも少なくない[27]。
そもそもの部分で、著作物と同人作品として頒布される二次創作物の関係については、現在に至るまで著作権者と同人界側の「相互の暗黙の了解」という形であえて曖昧なままにされ、同人側のモラルと自制に委ねられてきた部分が少なからず存在する事も事実である。だがしかし、上述した事情などから、現在では二次創作の同人作品とその元ネタとなる作品の間で発生する著作権を巡る諸問題、特に著作権を所有・管理する企業との関係については、同人作品を制作したサークルの自己責任あるいはサークルと著作権者の個々の問題として単純に片づけることができる状況ではなくなっているケースが散見される。
もっとも、準備会も漫然と放置してきたわけではなく、過去には広報誌「COMIKET PRESS」で特集したり著作権についてシンポジウムを開いて漫画批評家の夏目房之介らを招いての討論イベントも実施している[28]。
現状ではロゴの模写など完全に禁止された事項もあるが、それ以外は一次創作物の丸写し[29]でもない限り二次創作であることを理由とした規制はコミケットでは一切行われていない。ただし、イベント終了後などに著作権者からの告訴がなされ、被逮捕者が発生していることも事実である。
一方で、コミックマーケットには著作権者である出版社やゲームソフト関連企業などによる企業ブースの出展も増えてきており、コミケットでも販売される同人作品を調査して人材発掘を行う企業も少なくなく、また現状では著作権侵害が親告罪であることから、同人誌とそれを売る場であるコミックマーケットは事実上黙認されているのが実態である。また、多くの作品を二次創作に利用されている角川グループホールディングスの角川歴彦会長が「コミケからは才能豊かなクリエーターが生まれた。出版社が著作権を独占してコミケが収縮していたら、それは生まれてこなかったかもしれない」とかつて語った様に、このような同人活動・二次創作活動が出版・メディアミックス・アニメなどサブカルチャーの各業界に対してある程度は正方向に作用していると経営陣の多くが考えていることが著作権者である企業の黙認という姿勢に繋がっているとみられる[30]。だが、時代情勢や著作権に対する考え方の変化、あるいは多くの人気作品の著作権(出版権)を握る企業・グループの企業活動の動向如何によっても、著作権者である企業のコミケット・二次創作物・著作権の二次利用に対する姿勢がいついかなる形で変更されるかは予測できない面があり[31]、二次創作物とその著作権及び著作権者との関係は、コミケット自体にとってもデリケートかつセンシティブな問題であり続けていることには変わりが無い。
[編集] 著作権を巡る国際情勢
コミケットで販売される同人誌は、その実態として既存の著作物を利用した二次創作が多くを占め、上述の通り、同人誌の作者と著作権者との関係や、さらにいえばコミケット自体と著作権者の関係についても「暗黙の了解」的な一面が存在している。そのため、TPPに代表される様な、国際レベルでの政治経済情勢が日本政府の知的財産政策全般に影響を及ぼす可能性、さらにはその結果として著作権の法制度が変化する可能性や、著作権法違反が非親告罪化する可能性なども考えられており[32]、これは長期的に見た場合、コミケットにとっても無視することができない懸念要素と言える。
[編集] その他
山口母親殺害事件のケースが知られるが、少年犯罪を起こし検挙・補導された未成年者の顔写真が会場の内外にばら撒かれるなど、コミケットに乗じる形で何者かにより社会通念に照らして問題視される行為が行われたことがある[33] 。
[編集] 出典・脚注
- ^ 「コミックマーケット74アフターレポート」 『コミックマーケット75カタログ』、2008年、1192-1194頁
- ^ 「MRまんがレポート74」 『コミックマーケット75カタログ』、2008年、1231頁
- ^ 「入場時の注意」 『コミックマーケット75カタログ』、2008年、7頁
- ^ コミックマーケットに準じる規模の同人誌即売会であるコミックシティでは、2010年から未就学児童の入場を禁じている。[1]
- ^ 「不審物対応について」 『コミックマーケット75カタログ』、2008年、10頁
- ^ a b 土曜・休日のみの運行であるため、注意が必要。
- ^ 国際展示場方面には行かない。
- ^ 京浜急行バスと東京空港交通の共管。
- ^ ゆりかもめはAGTであるが、これは中量輸送機関に分類される。
- ^ 主要なものではフジテレビが夏に開催するお台場冒険王(2009年からはお台場合衆国)、冬開催のHOT☆FANTASY ODAIBAなど
- ^ 1999年は冬コミ開催が12月24日~12月26日のため重複しなかったが、競馬では冬コミと有馬記念が重複。2008年冬コミは有馬記念及び東京大賞典の両方と重複している。
- ^ a b コミックマーケットカタログ74 諸注意ページ (PDF) の9ページ目参照(PDFファイル容量が9.2MBあるので注意)。
- ^ a b 「徹夜の禁止について」 『コミックマーケット75カタログ』、2008年、9頁
- ^ 一部の大手サークルなどで、4人以上入場が必要になる場合はその人数分配布される。
- ^ 毎回、徹夜組を含む一般入場が始まる前に延べ数百人レベルの列ができている。
- ^ Yahoo!オークションの特別ルールによれば、興行チケットを出品する際「チケットの公演タイトル、開催日時が判別できるよう、原則としてチケットの現物写真を掲載するか、公演タイトル、開催日時および座席番号を商品説明に明示すること」と規定されているが、サークルチケットでこれを適用すれば即座に個人情報が特定されるため、この規定が守られていない。
- ^ 「うしじまいい肉は氷山の一角!?」破廉恥すぎるエロコスプレーヤーたちの実情 - 日刊サイゾー 2011年08月25日
- ^ 『探偵ファイル』コミケでのニコ生配信で連行された人物が警官に逆襲[2]
- ^ ただし、特定の場所で許可を得てコスプレを披露している者が、周囲の状況やルール等をきちんと考慮・遵守した上で、写真撮影の被写体としてのポージングなどの軽いパフォーマンス行為を行うことは可能である。
- ^ 厳密に言えば『東京ビッグサイトの中のエントランス』にあたるが、ここも東京ビッグサイトの敷地内なので会場内であることに間違いは無い。
- ^ YouTube動画『コミケ開場前にリアルシャア・アズナブル立つ!』[3]
- ^ ただし、ウェルダン穂積はこの一件に限らず、秋葉原電気街を中心に違法パフォーマンス行為などの迷惑行為を常習的に繰り返し、各地でトラブルを起こしている曰く付きの要注意人物として知られており、芸能タレントとしての資質やそもそもの人間性を疑う声も少なくない。
- ^ 『理性の扉Ⅱ』2008夏コミレポ[4]
- ^ 『コミックマーケット79カタログ』、P1286。
- ^ 同人誌全てが卑猥かつ反社会的なものとは限らないという前提からコミックとらのあなやメロンブックスのような大手同人ショップの店舗で販売する場合、成年向けと一般向けを明確に区別し、成年向け同人誌、商業誌、アダルトゲームなどが極力児童の目に触れず隔離することで配慮されている。
- ^ 例えば、テレビアニメ化されたが原作は児童文学である作品など。
- ^ 1990年代には、当時一大ブームとなったいわゆる「美少年アニメ」のキャラクターを題材にして男性同性愛描写を行ったやおい同人誌や、これを収録したノーライセンスの「同人アンソロジーコミック」の氾濫が、アニメ制作プロダクションなど著作権者の二次創作に対する姿勢に影響を及ぼしたこともある。コミックマーケット#晴海(3期)を参照。
- ^ 米澤嘉博編『マンガと著作権―パロディと引用と同人誌と』2001年8月 コミケット ISBN 4883790894
- ^ 一例として一次創作物のコマを切り貼りして台詞を書き換えたMAD作品などが挙げられるが、その場合でも実際には見本誌を提出しチェックを受けたうえで頒布を認められることがほとんどである。
- ^ 【話の肖像画】メディア・ウォーズ(中)角川歴彦 産経新聞 2010年3月24日
- ^ コミケと同様の著作権の二次利用が主体となっているガレージキットのイベントであるワンダーフェスティバルにおいては、競合するイベントを立ち上げた企業が自社の管理する著作権にまつわる版権利用を事実上許諾しなくなったという事例がある。
- ^ TPPで日本の著作権は米国化するのか~保護期間延長、非親告罪化、法定損害賠償 -INTERNET Watch
- ^ スーパーゲームズワークショップエンターテイメント・2010年5月21日「思い起こせば同人誌の世界では10年以上も前に「佐藤優現象」が起こっていた」