メディアミックス
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メディアミックス(media mix)は、広告業界の用語で商品を広告・CMする際に異種のメディアを組み合わせることによって各メディアの弱点を補う手法というのが原義であるが、現在では特定の娯楽作品が一定の経済効果を持った時、その作品の副次的作品を幾種類かの娯楽メディアを通して多数製作することでファンサービスと商品販促を拡充するという手法のことを指すことが多い。
よく誤解されるが、これは現代芸術の「ミクストメディア」とは全く違う。
北米では、同様の商法をメディアフランチャイズ (media franchise) という。これは、キャラクターなどを他メディアにフランチャイズするという意味である。
目次 |
[編集] 歴史
[編集] メディアミックスの起源
語の起源としてはメディアは「媒体」からミックスは「プロモーションミックス」からとられている。1人につき3回の広告接触頻度で十分とするクラグマンの「スリーヒッツ理論」を発展させた考えを基礎理論として、各種の媒体を用いてそれに合わせた最適な広告手段を計画すること。決められた広告費用で最大の広告効果を得ることが目的となる。
[編集] 日本でのメディアミックス
日本においては、角川書店が1970年代において、自社発行書籍(小説作品)の映画化を行い、その原作作品を売り込むことにより業績を伸ばした事で注目された広告手法であり、これを日本のメディアミックス商業展開の代表的な成功例とする場合が多い。この事により、現在でも角川書店とその関連会社(富士見書房など)は「日本のメディアミックス商業展開の元祖的存在。」と見られることがある。
1980年代には月刊少年キャプテン(徳間書店)、月刊コミックコンプ(角川書店)、月刊コミックNORA(学習研究社)などのいわゆるマイナー系の漫画雑誌が登場し、やがてメディアミックス企画の漫画を多数連載することになる。
[編集] 近年のメディアミックス
近年は、元々一つのメディアでしか表現されていなかった作品(原作)を、小説、漫画、アニメ、ゲーム(コンピュータゲーム)、音楽CD、テレビドラマ、映画、タレント、トレーディングカード、プラモデルなど、複数メディアを通じて展開するビジネスモデルを指して、メディアミックスと呼ばれるのが一般的である。従来のビジネスモデルであったキャラクター、小道具、施設など、作品内に登場する物をモチーフとした商品の販売、いわゆるグッズ戦略があくまで作品要素の模写・抽出製品の製造と販売によって当該作品の経済効果を受容する戦略であったのに対し、メディアミックスの売買対象は厳密に云えば作品そのものであり、いわゆる副次的なものではあるが創作物そのものを商品として経済効果を吸収する媒介とした点に大きな相違がある。その結果、創作活動の多軸化によって創作物の量産、そして何より従来路線にはなかった爆発的な市場開拓力を持ち、認知性(知名度)の拡大、支持層の開拓、「商品」展開によるさらなるブーム刺激と、それによるブームの長期化・持続化の効果をも併せ持つに至った。この「商品」展開による過熱化効果は、規模が大きいものだとその重複効果が倍加され社会現象規模のブームをも産み出す可能性を持つ(例:新世紀エヴァンゲリオンなど)とも云える。
90年代、角川書店は「スレイヤーズシリーズ」において、小説、漫画、アニメ、映画、ゲーム、イベント等をほぼ同時進行させ常にいずれかのメディアで商品を提供し続けていくことで、同タイトル作品の長期的な人気の持続に成功した。そして同時期に大ヒットした「新世紀エヴァンゲリオン」における製作委員会方式の確立によって角川書店のメディアミックスは大成功を収める。
また最近では、TV局方面での映画・ドラマのメディアミックス化が活発となっている。漫画のドラマ化・映画化が一般的になり始め、さらに逆にある程度TV放送で視聴率のとれたドラマなどを漫画連載化するという形での進出も試み始められている。
[編集] メディアミックスの問題点
- 費用対効果の低下
- 2000年代後半になると、大抵の作品が「何らかのメディアミックス展開」を導入しており、2ジャンル程度のメディアミックスでは、大衆の関心を引くことは難しくなってきている。そのため、手間やコスト負担が増して、メディアミックス自体の費用対効果にも、疑問を持つ企業が出てきており、「新たなメディア展開」を考えるべき時期にさしかかっている。
- 著作権管理の壁
- 日本の製作委員会などの著作権管理はとても厳しいものであり、近年の世界でブームとなっている「アニメ・漫画」を利用して作品を作ろうとしているハリウッドなどから、不満が出ている。
- 難解なプロット設定
- また、特にアニメの場合、視聴者が他メディアの派生作品にも眼を通すことを前提とした複雑なプロットや多すぎる設定を盛り込みすぎた結果、肝心のアニメ本編が設定を生かしきれず、プロットは説明不足の詰め込みすぎで、本編だけではストーリーもよくわからないという、本末転倒の結果になることもある。
[編集] 代表的なメディアミックス
[編集] 漫画が原作
アニメ化・ドラマ化・ゲーム化・小説化など、漫画の原作から派生した作品は非常に数が多く、メディアも多岐にわたる。特に漫画のアニメ化作品では、『魔法使いサリー』のように原作の知名度が低いが、アニメとしては大ヒットする作品も少なくない。従って、しばしば漫画原作である作品が、アニメ原作と混同されがちである。
- 鉄腕アトム
- 同名の漫画を特撮ドラマ化、テレビアニメ化。アニメとしては、「日本で最初の1話30分の連続テレビアニメ」といわれることが多い。詳しくは該当項目を参照。
- サブマリン707
- プラモ化による展開が漫画の人気を後押ししたという、後年の『機動戦士ガンダム』に先駆けた成功例である。当時非常に高い人気を誇り、ソノシートでイメージソングも発売されたが、アニメ化自体は頓挫している。
- ルパン三世
- 何度もアニメ化・映画化され、現在も続編が製作されている。他にもゲーム化やノベライズなど多数。原作漫画は完全な大人向け漫画(とくに性的描写が多い)であり、アニメになったときも最初はハードな路線で製作されようとしていた。しかし、PTAなどから苦情が来たため、徐々に子供向けな内容が多くなりながら最初のアニメシリーズは23話で終了した。なお、その後は放送上問題無い程度にお色気シーンが含まれている。
- 美少女戦士セーラームーン
- 同時期にアニメ化され映画化やミュージカルもされ、後にテレビドラマ化もされた。
- KAIKANフレーズ
- 漫画『快感♥フレーズ』をアニメ化、作中のロックバンド「Λucifer」が実際にデビューし話題になった。
- 亜樹直原作作品
- 『金田一少年の事件簿』『探偵学園Q』『リモート』『サイコメトラーEIJI』『クニミツの政』『GetBackers-奪還屋-』など、テレビドラマ化・アニメ化された作品が数多い。
- メダロット
- 『コミックボンボン』でヒットした数少ない作品でかつ最大のヒットを誇り、アニメ化、ゲーム化、カード化などされ、玩具まで売り出された。
- 釣りバカ日誌
- 同名の漫画を実写映画化、テレビアニメ化。
- 遊☆戯☆王
- 同名の漫画をテレビアニメ化。また、作中で登場したカードゲームを中心として、実際にカード化やゲーム化なども展開されると、再びアニメ化。特にトレーディングカードのヒットは国内だけでなく、海外でも展開された。これらは後継作品にも引き継がれている。
[編集] アニメが原作
漫画化・ゲーム化・映画化・ノベライズなど。アニメが原作の場合、原作者の記載に当たり、ほとんどの作品で合同のペンネーム(擬人名称)を用い、あたかも個人一人の名前であるかのように見せかけることが多い。これは著作権登録の際、法人の名義が認められず、個人の名義でなければならない時期があった頃からの名残として残されていることに起因する(例:サンライズの矢立肇・東映アニメーションの東堂いづみなど)。
漫画原作と比べ、世界観やキャラクター設定のみを継承したパラレルワールド的な作品が多い。
- 宇宙戦艦ヤマト
- 再編集された映画版が人気を呼び社会現象となった。後に漫画・映画・ゲーム・ノベライズなど幅広い展開を見せた。
- 機動戦士ガンダムシリーズ
- 本放映では打ち切られたテレビシリーズが、再放送とプラモ化で大ブームを引き起こし、現在でもガンプラと呼ばれるプラモデルのシリーズは継続され、漫画化やゲーム化も盛んであり、監督自身による小説版やスピンオフ作品が執筆されている。
- 機動警察パトレイバー
- OVAから始まり、劇場アニメ、漫画、テレビアニメと展開した後、再びOVAシリーズが製作された。OVAを使った初期のメディアミックス作品としても知られる。
- 新世紀エヴァンゲリオン
- 同名の漫画がアニメ放送よりも先に連載されているが、こちらは放送に先行して連載開始したコミカライズであり、アニメが原作である。漫画の他にも映画化、ゲーム化など。本作はメディアミックスモデルの可能性を娯楽ビジネス業界内に最も印象付け、普及・完成を促したともいえる代表的な成功例だが、昨今では、それと同時にその経済効果を副次的創作物によって受容・刺激せんとする試験的戦略が採られている作品でもあると云える。(新世紀エヴァンゲリオン 鋼鉄のガールフレンド2nd (漫画)、新世紀エヴァンゲリオン 碇シンジ育成計画 (漫画)など)
- また、前述通り娯楽作品業界における製作委員会方式を完成させた作品でもある。
- 天地無用! シリーズ
- OVA『天地無用! 魎皇鬼』を基にテレビアニメ化、ノベライズなど多数。スピンオフ作品も存在。
[編集] ゲームが原作
アニメ化・漫画化・ノベライズなど、特に近年ではアダルトゲームやギャルゲーの原作がアニメ化されるという展開が多い(アダルトゲームのアニメ化の場合、作品の性質上テレビでの放送が不可能なことが多いため、OVA化されることが多い)。
- ドラゴンクエストシリーズ
- アニメ『ドラゴンクエスト』、漫画『DRAGON QUEST -ダイの大冒険-』の他、ドラマCD、小説など多数。4コマ漫画などによるアンソロジーコミックスの発売なども1990年頃から行っている。
- ポケットモンスター
- アニメを始めとして、漫画、アニメ映画、トレーディングカードゲーム、ラジオドラマなどさまざまな商品展開がなされている。また、全国にグッズ専門店を展開しているのも特長である。海外を含めた世界市場での定着と、兆単位にも及ぶ市場規模の巨大さと理想的な成長例から、経済情報誌等ではキャラクターフランチャイズの成功例として上げられる事が多い。
- サクラ大戦シリーズ
- 小説、TVアニメ、OVA、アニメ映画、ドラマCD、漫画、歌謠ショウなど。
- ひぐらしのなく頃に
- 元は同人ゲームであったがコンシューマーゲーム化される。アニメ化・漫画化もされており漫画は各編違う漫画家が作画を担当している。またゲームの設定上様々なスピンオフ作品も生まれた。
- とらいあんぐるハート3 〜Sweet Songs Forever〜
- 同名のゲームをOVAアニメ化。また、脇役のキャラクターをゲームとしてスピンオフさせ、それを更にスピンオフ、これを『魔法少女リリカルなのは』としてテレビアニメ化。
- アイドルマスター
- アーケードゲーム『THE IDOLM@STER』を端に発し、家庭用ゲーム機Xbox 360やCD、ラジオ放送、漫画など多方面に展開されている。また、サンライズとのコラボレーションで『アイドルマスター XENOGLOSSIA』としてテレビアニメ化。
- ときめきメモリアル
- ライトノベル、OVA、ドラマCD、実写での映画化、更にゲーム本編とは別に投票で人気の高かったキャラクターをヒロインにした「ドラマシリーズ」と銘打たれたサイドストーリーもゲームとして出ている。また、キャラクターが実際に歌手デビューし、話題となった。特に藤崎詩織の人気が高かった。
[編集] 小説が原作
漫画化・アニメ化・ドラマ化・ゲーム化・映画化など。特にジュブナイル・ライトノベルの多くはアニメ化・漫画化の傾向が強い。
- 時をかける少女
- 1972年のNHKの少年ドラマシリーズの『タイム・トラベラー』を皮切りに1983年と1997年の映画版、1985年および1994年、2002年のテレビドラマ版、2006年のアニメ映画版と世代を超えて製作され、日本のメディアミックスの元祖的作品として取り上げられる事も多い。
- 乙一作品群
- 『GOTH』『ZOO』『きみにしか聞こえない』など映画、漫画化だけにとらわれず、舞台化などのメディア展開もある。
- スレイヤーズ
- 漫画・アニメ・テーブルトークRPG・コンピュータRPG・音楽など様々に展開されている。サブカルチャーのビジネスモデルを完成させたことから、『新世紀エヴァンゲリオン』と並ぶ、日本アニメビジネスにおいても重要な位置づけを持つ作品である。
- ハリー・ポッターシリーズ
- 『ハリー・ポッターと賢者の石』『ハリー・ポッターと秘密の部屋』『ハリー・ポッターとアズカバンの囚人』『ハリー・ポッターと炎のゴブレット』『ハリー・ポッターと不死鳥の騎士団』の5作が映画化されている。ゲーム作品も多く発売されている。
[編集] 映画が原作
漫画化・ノベライズ・ゲーム化など。
- スター・ウォーズシリーズ
- 映画関係者以外の者によって作られた小説が、多く出版された。非公式の設定であるため、原作である映画とストーリーが矛盾する物も多数存在する。また、『エピソードII』と『エピソードIII』の間の話となるアニメ『スター・ウォーズ クローン大戦』という作品がある。こちらのストーリーは公式設定である。ゲームソフトも発売されており、外部委託作品の他、権利と世界観を厳守する為に公式にルーカススタジオで制作されたものも多い。
- 七人の侍
- ハリウッドが同作品をリメイクし西部劇をモチーフとした『荒野の七人』がある。
- 2004年に映画公開50周年を記念して『SAMURAI 7』としてアニメ化された。更にアニメ版は小説化もされた。ゴマブックスより刊行。全7巻。
- ウォーターボーイズ
- 劇場版の大ヒットしてから、テレビドラマ化されシリーズ化された。
[編集] 絵本が原作
- それいけ!アンパンマン
- 原作のタイトルは、「アンパンマン」で、1988年にテレビアニメ化されたのを皮切りにアニメ映画やゲームにもなる。国内で最も多種の展開がされているキャラクターの一つ。
[編集] ラジオドラマが原作
- 火星物語
- 1994年~2000年にかけて放送されたラジオドラマ。1998年に、漫画・ゲーム・小説と他媒体に進出している。
[編集] 備考
- アニメショップのマスコットキャラから派生し、メディアミックスした物もあり、アニメイトの「アニメ店長」とブロッコリー (企業)が展開する「ゲーマーズ」の「デ・ジ・キャラット」がある。「アニメ店長」は、ドラマCD化、漫画化、アニメ化(ただし、プロモーションビデオのみ)しており、兄沢命斗や星井ラミカは、「らき☆すた」にゲスト出演している。「デ・ジ・キャラット」は、テレビアニメ化、アニメ映画化、ドラマCD化、漫画化、ライトノベル化している。
[編集] 脚注
[編集] 参考
日経ビジネス2007年10月1日号 特集「日産、日立、角川が目覚めた カネになる知財 攻めの権利ビジネス新次元」


