自首
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自首(じしゅ)とは、刑法、刑事訴訟法上の用語、概念の一つ。日本における沿革は律令制度に遡り、現代の刑事訴訟法学では講学上捜査の端緒の一類型とされる(刑事訴訟法第245条)。
目次 |
[編集] 概要
罪を犯した者が捜査機関に発覚する前に自首した場合、その刑を減軽することができる(刑法第42条1項)。また、親告罪については、告訴権者に対して自己の犯罪事実を告げ、その措置をゆだねることで、自首と同様の効果が発生する(首服、刑法第42条2項)。
なお、申告した犯罪事実に虚偽が混ざっている場合に、自首が成立するかは事例判断による[1]。
[編集] 自首の要件
[編集] 自発的申告
「自首」といいうるためには、自己の犯罪事実を捜査機関に対して自発的に申告することを要する。したがって、取調べの過程で当該犯罪事実について自供した場合は自首にあたらない(捜査機関に発覚していない余罪を自供した場合は自首にあたる)。同様に、窃盗の嫌疑に基づく職務質問の過程で当該窃盗について自発的に申し述べても自首にあたらないが、単に挙動不審者として呼び止められた時点で、未発覚の窃盗の事実を申し述べた場合は自首にあたる。
[編集] 自己の訴追を含む処分を求めること
犯罪事実をことさらに隠すような申告、あるいは、自己の責任を否定しようとするような申告であるときは、自首には当たらない。
[編集] 捜査機関に発覚する前
「捜査機関に発覚する前」とは、判例によれば、「犯罪事実が全く捜査機関に発覚していない場合」および「犯罪事実は発覚しているが、その犯人が誰であるか全く発覚していない場合」に自首が成立するとされている[2]。
例えば、殺人事件が発生し、捜査が開始されたが、まだ犯人が誰であるかが捜査機関によって特定されていない時点で、「あの事件をやったのは自分」と交番に出頭すれば自首が成立する。逆に、犯罪も認知され、捜査機関による犯人の特定もなされた時点で(指名手配中など)出頭しても自首は成立しない。ただし、捜査機関に自首しようとしたにもかかわらず受理すべき警察官がいなかったために自首が捜査機関の犯人覚知に後れたなどの事情がある場合は、自首の成立を認める場合もある[3]。
[編集] 自首の効果
自首が成立する場合、刑を減軽することができるが(刑法第42条、自首減軽)、自首は絶対的減軽事由ではなく、任意的(裁量的)減軽事由であるため、必ずしも自首減軽が適用されるとは限らない。ただし、犯罪によっては自首が成立すれば必ず刑が軽減又は免除される犯罪[4]や、刑が免除される犯罪[5]もある。
[編集] 備考
日本において「自首」という言葉の歴史は古く律令法の名例律には、罪の発覚以前に自首した者の罪を免ずる、また軽い罪で捕えられた者が未だに発覚していない重い罪の事実を自首すれば軽い罪についてのみ罰するとする「自首条」が設けられていた。江戸時代には、自首を自訴と称して刑の軽減理由としての考慮がされていたが、幕府評定所の記録では、社会秩序の維持を重視して自訴に否定的な意見も度々挙げられ、容認する意見についてもむしろ自訴に付随する共犯者についての密告が期待されている。だが、寛政9年(1797年)に老中より博奕などの重罪についても刑罰の軽減を許容する指図が出されて以後は、幕府がもっとも重大な犯罪として捉えていた窃盗以外の犯罪における自訴を認める慣例が成立している[6]。
[編集] 脚注
- ^ 自首成立肯定例として最決昭和60年2月8日、否定例として最決平成13年2月9日
- ^ 最判昭和24年5月14日。
- ^ 東京高判平成7年12月4日
- ^ 日米相互防衛援助協定等に伴う秘密保護法第6条、放射線を発散させて人の生命等に危険を生じさせる行為等の処罰に関する法律第3条第3項、海賊行為の処罰及び海賊行為への対処に関する法律第3条第3項、公衆等脅迫目的の犯罪行為のための資金の提供等の処罰に関する法律第4条、組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律第6条、感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律第67条第3項、サリン等による人身被害の防止に関する法律第5条第3項・第6条第2項、航空機の強取等の処罰に関する法律第3条、銃砲刀剣類所持等取締法第31条の5・第31条の10・第31条の12・第31条の13、自衛隊法第122条第5項、日本国とアメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約第六条に基づく施設及び区域並びに日本国における合衆国軍隊の地位に関する協定の実施に伴う刑事特別法第8条、破壊活動防止法第38条
- ^ 刑法第80条・第93条ただし書・第228条の3
- ^ 吉川弘文館『国史大辞典』第7巻「自首」(P767/執筆者:石塚英夫)