令状

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令状(れいじょう、warrant)とは、強制処分裁判所が自ら行い、あるいは捜査機関がこれを行うことを許可する旨の裁判書(さいばんがき。裁判を記載した書面)をいう。日常用語としては、捜査機関に対する許可の裁判書を指して用いることが多い。逮捕状勾留状捜索差押許可状(俗に「ガサ状」とも)、鑑定処分許可状などがある。

司法警察職員の隠語では、令状を総称して、また逮捕状の意味で「フダ」(札)とも呼ぶ。

令状主義[編集]

令状主義(れいじょうしゅぎ)とは、捜査機関が一定の行為を行う場合には裁判官が事前に発した令状に基づかなければならないという原則であり、近代国家は強制処分の多くについて令状主義を採用するのが一般的である。その趣旨は、捜査機関が捜査に名を借りて権限を濫用し、不当に人権を侵害することを予防することにある。

日本においては、日本国憲法が令状主義とその例外の大枠を定めている。これらの憲法の規定を受けて刑事訴訟法が個別の手続を規定している。

  • 人身の自由の制約-逮捕-
日本国憲法第33条によれば、何人も、現行犯としての場合以外は、裁判官(「権限を有する司法官憲」)が発し、かつ理由となっている犯罪を明示する令状によらなければ逮捕されない。
刑事訴訟法は、これを受けて、逮捕状に基づく逮捕(通常逮捕、同法199条)及び現行犯逮捕(同法212条1項、213条)の手続を定めている。
刑事訴訟法は、このほかに準現行犯逮捕(同法212条2項、213条)と緊急逮捕(同法210条)を規定するが、これらは、日本国憲法が認める例外は現行犯逮捕だけであるのに、これ以外の例外を認めるものであって違憲の疑いがあるとの指摘をする学説もある。判例は、現行の緊急逮捕は日本国憲法第33条の趣旨に反するものではないとする(最高裁大法廷昭和30年12月14日判決・刑集9巻13号2760頁)。
  • 私生活の平穏、財産権の制約-捜索、押収-
日本国憲法第35条1項によれば、何人も、その住居、書類及び所持品について、侵入、捜索及び押収を受けることのない権利を有する。そして、この権利は、正当な理由に基づいて発せられ、かつ捜索する場所及び押収する物を明示する令状がなければ侵されないが、日本国憲法第33条(逮捕)の場合を除く。
刑事訴訟法は、これを受けて、令状に基づいて捜査機関が行う捜索・差押等(同法218条)及び逮捕の場合における令状によらない捜索・差押等(同法220条)の手続を定めている。

高い発付率[編集]

検察官または司法警察員による令状発付の請求が認められる確率は非常に高く、2011年度の統計で98.4%程度である[1]。被疑者又はその弁護人は令状発付(逮捕状を除く[2])に対し準抗告を申し立てることが可能だが、認められた例は少ない。ある強姦被疑事件で裁判官が弁護人の準抗告を却下した後、判決で「全く認容される見通しがなかった」のに「被告人に変な期待を持たせると共に、検察官による公訴提起を招きよせる結果しか有しなかった。まさしく有害無益」と、準抗告の申立自体を批判したことさえあった[3]

行政機関による犯則調査[編集]

脚注[編集]

  1. ^ 『司法統計』(平成23年度,刑事事件)・第15表。
  2. ^ 逮捕に関する裁判は準抗告の対象とならない。最高裁昭和57年08月27日第一小法廷決定・刑集36巻6号726頁
  3. ^ 『法律時報』1562号141ページ、東京地方裁判所1994年6月12日。ただし、この事件自体は被告人は無罪となっている。

関連項目[編集]