緊急逮捕
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緊急逮捕(きんきゅうたいほ)とは、急を要するためにまず被疑者を逮捕し、後に逮捕状を求めるという手続。日本では、刑事訴訟法第210条に定められているが、日本国憲法第33条(逮捕の要件)で司法官憲が発する令状によらなければ逮捕されないことが定められているため、合憲かどうかで憲法学の議論の対象となる。
目次 |
[編集] 緊急逮捕の要件
刑訴法210条によると、
- 死刑・無期又は長期3年以上[1]の懲役もしくは禁錮の罪にあたること
- 罪を犯したことを疑うに足りる充分な理由がある場合
- 急速を要し(自殺や逃亡、証拠隠滅の恐れがあるなど)、逮捕状交付を待っていては間に合わないとき
そして、逮捕状が直ちに出ない場合は、被疑者を釈放しなければならない。
[編集] 判例
この問題に最高裁判所の判断を下したのが昭和30年12月14日大法廷判決である[2]。
- 「刑訴210条は、死刑又は無期若しくは長期三年以上の懲役若しくは禁錮にあたる罪を犯したことを疑うに足る充分な理由がある場合で、且つ急速を要し、裁判官の逮捕状を求めることができないときは、その理由を告げて被疑者を逮捕することができるとし、そしてこの場合捜査官憲は直ちに裁判官の逮捕状を求める手続を為し、若し逮捕状が発せられないときは直ちに被疑者を釈放すべきことを定めている。かような厳格な制約の下に、罪状の重い一定の犯罪のみについて、緊急已むを得ない場合に限り、逮捕後直ちに裁判官の審査を受けて逮捕状の発行を求めることを条件とし、被疑者の逮捕を認めることは、憲法33条規定の趣旨に反するものではない」
[編集] 学説の展開
奥平康弘・杉原泰雄のように違憲説を唱える論者もいるが、憲法・刑訴法学界の趨勢は合憲説が多数である。ただし、合憲説の理由付けも様々であり、大まかに三分される。
- 全体的に見れば「令状による」と見えるという「令状逮捕説」
- 現行犯逮捕に準ずるという「合理的逮捕説」
- 治安維持のため、緊急逮捕は合理的であるとする「必要説」
このほかにも理由付けはいくつかあるという説明もあり、これに対する違憲説の理由付けもいくつかある。(杉原後掲文献など参照)。
[編集] 参考文献
- 田宮裕『刑事訴訟法 新版』(有斐閣、1994年)78頁
- 杉原泰雄「緊急逮捕」芦部信喜・高橋和之・長谷部恭男『憲法判例百選 第4版II』(有斐閣、2001年)254頁
- 井上正仁編『刑事訴訟法判例百選 第8版』(有斐閣、2005年)216頁
- 上田健介「緊急逮捕」高橋和之・長谷部恭男・石川健治編『憲法判例百選 第5版II』(有斐閣、2007年)258頁
[編集] 脚注
[編集] 関連項目
[編集] 外部リンク
- 最高裁判所昭和30年12月14日大法廷判決 - 憲法判例集(仮)