判例

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判例(はんれい)とは、

  1. 裁判において裁判所が示した法律的判断のこと。
  2. 英米法において、第1の意味での判例のうち、「レイシオ・デシデンダイ」(ratio decidendi、判決理由)として法的拘束力を有するもの。
  3. 第1又は第2の意味での判例が積み重なることによって形成される法規範(英米法)または実務上の法解釈(大陸法)のこと。この意味では、「判例法」と言うこともある。

厳密な意味では、裁判所が示した判断全てを「判例」と呼ぶわけではなく、「一定の法律に関する解釈で、その法解釈が先例として、後に他の事件へ適用の可能性のあるもの」のみを「判例」と呼ぶ。判決の一部を取り出して、「先例」としての価値(レイシオ・デシデンダイ、判決理由)のある部分のみが「判例」であるとの考え方もある。この場合、拘束力を持たない部分を「傍論」(オビタ・ディクタム)と言う。

目次

[編集] 判例の意義

[編集] 概論

判例は「先例」としての重み付けがなされ、それ以後の判決に拘束力を持ち、影響を及ぼす。その根拠としては、「の公平性維持」が挙げられる。つまり、「同類・同系統の訴訟・事件に対して、裁判官によって判決が異なることは不公平である」という考え方である。なお、同類、同系統の事例に対して同様の判決が繰り返されて積み重なっていくと、その後の裁判に対する拘束力が一層強まり、不文法の一種である「判例法」を形成することになる。

[編集] 英米法

英米法の国では、判例が第一次的な法源とされている。ただし、制定法も法源である。 判例は、法的拘束力 (doctrine of stare decisis)を有するとされ、成文法が全く、あるいは殆ど無いにも関わらず、判例のみで一つの法分野を形成することもある。法的拘束力について、英国では厳格な先例拘束性の原理がとられているのに対し、アメリカ合衆国では、厳格な先例拘束性の原理が成立したことはなく、比較的緩やかに判例変更が認められている。

[編集] 大陸法

大陸法の国では、判例は英米法の国ほどの法的拘束力が無く、法源の一つではなく、制定法慣習法のみが法源であると解するのが、伝統的な理解である。しかし、法解釈について最終判断を委ねられる最上級の裁判所の判例は、下級裁判所にとって拘束力を有するだけでなく、あらゆる法律実務に対して事実上の拘束力を有する。したがって、大陸法の国においても広い意味での判例法は存在する。

[編集] 日本における判例

大陸法系の訴訟手続をとる日本では、判例には、法律や政令と同じような「法源」としての価値はない。国会の定める法規(あるいはより下位の存在である条例)のみが法源として採用されることが原則である。

日本での判例法の法源性については学説が分かれているが、「法源の定義の問題」との指摘もある。ただ、紛争解決に実効性を持たせるため、同一事件について上級裁判所が下した判断は当該事件限りにおいて下級裁判所を拘束し(裁判所法4条)、ある判決が最高裁判所の判例や大日本帝国憲法下の大審院高等裁判所の判例に反する場合、刑事訴訟上告理由となり(刑事訴訟法405条2号3号)、民事訴訟で上告受理申立理由となる(民事訴訟法318条1項)。また、最高裁において判例変更する場合は大法廷を開くことが定められている(裁判所法10条3号)。また、労働法における「整理解雇の四要件」のように法源性の高い判例法もあり、「譲渡担保」も判例によって認められている。これらのことから、日本においても判例には事実上の拘束力があるとされている。

異なる判例がある場合、優先順位としては、上級審の判例が優先され、同級審の判例同士では新しい判例が優先する。特に最高裁では、「判例変更」の手続が取られて新しい判例が出来た場合、「古い判例に対する違反」を上告理由とすることはできなくなり、古い判例の「先例」としての価値がなくなることから、新しい判例の優越性は明確である。また、最高裁の場合、「判例変更」という制度があるため、異なる判例の共存は無い。

[編集] 参考文献

  • 中野次雄編『判例の読み方(改訂版)』(有斐閣、2002年4月)ISBN 4641027730

[編集] 関連項目

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