新聞

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新聞(しんぶん)は、事件事故政治経済芸能やスポーツや国際情勢などの動向などのニュースを報じるためのメディアで、記事文章写真、図面などが新聞紙)に印刷され綴じていないものである。

新聞

概説[編集]

新聞は世界規模の出来事から国内外、地域内、さらにはコミュニティの内部などの情報伝達手段として様々なものが発行されている。その中でも新聞社と呼ばれる新聞・報道を専門とした会社組織・報道機関が発行する新聞は情報の影響する範囲が広範囲であり、マスメディアと呼ばれる。影響力は発行部数にほぼ比例する。小さなコミュニティの内部でも、例えば学校単位で発行する学級新聞や地域で発行する地域広報などがある。

主な分類[編集]

新聞と社会[編集]

新聞は、取り扱う範囲内で様々な情報を盛り込むことを特徴としており、その対象層の中で広く読まれることや逐次性・速報性が重視されている。情報の伝達を使命としている点で同じ紙メディアでもそれ自体が強い個性を持つ書籍雑誌とは大きく異なる。そのため、使われる紙の質は悪く保存性は低い。

ラジオテレビ放送インターネットが発達した現代社会においては速報性で優位に立てず低迷傾向にありながらも利用者にとって取り扱いが簡便であることや共有性の高さなどから依然情報メディアとしての地位は揺らいでおらず、多くの人々にとって安価で多様な情報を入手するための有力手段の一つとして今なお存在感を保っており、概ねどの国でもある程度の規模の都市であれば鉄道駅商店・街頭で販売又は掲示されている様子を見ることができる。

制作過程[編集]

輪転印刷機による印刷の様子

概ね下記のようになっている。

  1. 企画・構想
  2. 取材・撮影
  3. 記事執筆
  4. 原稿チェック
  5. 校閲 - レイアウト後の場合がある
  6. レイアウト - 見出し制作・価値判断も行われる
  7. 編集・割付・組版
  8. 校正
  9. フィルム・刷版制作
  10. 印刷
  11. 梱包・発送

歴史[編集]

前史[編集]

ローマ帝国期のアルバムとも言われた、アクタ・ディウルナ(en:Acta Diurna)[1][2]が手書きの公報として存在した。紙製としては中国の時代の713年-734年頃に作られた開元雑報(en:Kai Yuan Za Bao)が存在した。16世紀、活版印刷が可能となり、ドイツで、ニュースを記述したビラやパンフレット形式の印刷物が出版されていた(「フルークブラットFlugblatt)」など)。これらは不定期であった。

近代[編集]

17世紀、郵便制度が整えられた。1605年、世界初の週刊新聞「Relation」が、ストラスブールでヨハン・カロルス(en: Johann Carolus)によって創刊され[3]、1650年、世界初の日刊紙ライプツィガー・ツァイトゥイングドイツ語版[4]Leipziger Zeitung、週6日)が創刊された[2]。17世紀半ばには、ニュース本が定期的に出版されるようになった。特にイギリスでは清教徒革命名誉革命を通じてニュース出版が発展し、日刊新聞や地方週刊新聞も出版されるようになった。18世紀には、いろいろな新聞を読み放題のコーヒー・ハウスが登場した。裕福な商工業者であるブルジョワジーが新聞を元に政治議論を行い、貴族のサロンと同じように論壇を形成した。19世紀には、日曜新聞のような大衆新聞が成長した。印刷機の発達やロール紙の採用、広告の掲載などにより労働者階級に低価格で販売できるようになった[5]

つまり現在のような新聞の出現は産業革命以降のヨーロッパからであり、産業を支える上で大きな存在となった。これは後にマスマーケティングの手法の一環としても用いられるようになり、企業の広告活動にも一役買うようになった。

日本には現在の新聞と似たものとして瓦版が存在し、木製のものが多かった。現存する最古の瓦版は1614年 - 1615年大坂の役を記事にしたものである。

語源[編集]

「新聞」という言葉は古来の日本語にはない。この語の初出は、北宋時代に編纂された唐王朝の歴史書『新唐書』だとされている。新唐書の芸文志には、唐時代に書かれた書物の一覧があるが、その中に「尉遲樞に、『南楚新聞』三卷あり」とある。ここでいう「新聞」とは今の日本語でいう「風聞」つまり「news」という意味であった。この定義での「新聞」は、清の時代にも書かれていた。例えば、乾隆帝が編纂させた『四庫全書総目提要』では、清の魏裔介の「資麈新聞」という書物を紹介している。これは現在の週刊誌のように雑説をいろいろな本から寄せ集めたもので、怪奇現象や陰陽道の話、李自成の乱や琉球王国の話などが書かれているが、虚偽の内容、現代でいういわゆる飛ばし記事が多く、『四庫全書総目提要』の編者は「編集方針がメチャクチャで間違いが百出している」と批判している。

清朝末期に欧米人が中国で「newspaper」を発刊し、現地の中国人たちもこれを真似て新聞を発刊した際、古来の「新聞」という言葉を当てて「新聞紙」と呼んだ。中国語では、現在も「新聞」をnewsの意味で使い、テレビのニュース番組などのタイトルにも使用される。なお、中国語におけるnewspaperは「報紙」である。

明治時代に英語の「news」に相当する訳語として、この中国語が取り入れられ、「news」を「新聞」、「newspaper」を「新聞紙」と呼ぶようになった。夏目漱石の小説の中でもnewspaperは新聞紙であり、昭和初期に書かれたものの中にも、newspaperを新聞紙と呼んでいるものがある。新聞紙条例新聞紙法などの「新聞紙」は「newspaper」の意味である。

その後「新聞紙」を「新聞」と略すようになった。それに伴い「新聞紙」を「newspaper」の意味で使うことは減り、紙自体を指すようになった。一方、「日刊紙」「全国紙」「各紙」など、「新聞」の意味で「紙」という漢字が使われることもある。

現代英語では「newspaper」を「paper」と略すことがある(「today's paper」=「今日の新聞」など)。また公民の権利を守るという意味合いから、古代ローマの公職である護民官に由来する「トリビューン」を社名や紙名に入れている新聞社も多い(シカゴ・トリビューンなど)。

各国別日刊紙の成人人口1,000人当たりの部数[編集]

  1. アイスランド 1,028.8  
  2. アルバ 931.0
  3. デンマーク 766.1
  4. リヒテンシュタイン 714.3
  5. 日本 631.7
  6. スウェーデン 624.1
  7. ノルウェー 601.2
  8. コロンビア 587.8
  9. フィンランド 561.0
  10. スイス 554.9
  11. 香港 542.3
  12. アンドラ 524.6
  13. ケイマン諸島 500.0
  14. マカオ 486.8
  15. 韓国 485.6
  16. アラブ首長国連邦 461.1
  17. フェロー諸島 447.4
  18. オーストリア 435.9
  19. シンガポール 434.9
  20. イギリス 385.3
  21. ベネズエラ 374.2
  22. オランダ 357.2
  23. バミューダ 351.9
  24. ギリシャ 334.8
  25. チェコ共和国 319.8
  26. ルクセンブルク 304.8
  27. マルタ 301.2
  28. ドイツ 300.2
  29. バーレーン 295.9
  30. アイルランド 295.7
  31. エストニア 292.5
  32. アメリカ合衆国 259.4
  33. 朝鮮民主主義人民共和国 255.4
  34. クウェート 243.5
  35. 台湾 243.5
  36. スペイン 242.3
  37. カナダ 232.8
  38. リトアニア 231.4
  39. マレーシア 228.1
  40. ニュージーランド 224.1
  41. ジブラルタル 217.4
  42. ラトビア 215.4
  43. イタリア 214.8
  44. バルバドス 214.3
  45. スロベニア 203.8
  46. クロアチア 203.1

日本の新聞[編集]

日本では新聞購読率が高く、新聞販売店による新聞の戸別宅配制度が他国に類をみないほど発達している。またその価格に関しても再販制度によって守られてきた。

しかしながら、昨今のインターネット等の発達により、若年層のみならず中高年層も含め(世界的な傾向として)新聞離れが進行しつつあることや、新聞を印刷する紙価格の高騰、広告収入の減少などにより、その経営環境は厳しさを増している。各新聞社は日本経済新聞の「日経電子版」など、記事のネット配信に力を入れつつあり、日経電子版のように一定の会員数を確保しているメディアも存在している。新聞の専門家である河内孝は、新聞社は今後携帯電話会社やポータルサイトと連携して、情報産業の問屋として存続するのではないかと予測している。 一部にフリーペーパーに注目する向きもあるが、収益の殆どを広告収入に依存するフリーペーパーの経営は苦しいところが多く、近年廃刊が相次いでおり、新聞に代わる主要メディアとしての地位を得ることは難しいと言われている。

インターネット新聞[編集]

  • 近年はインターネット上で一部のローカル紙は除いた新聞各社のホームページが開設されているとともに、一般市民が記者となって参加できる「インターネット新聞」が続々と創刊している。また、アメリカの報道大手により携帯型端末iPad専用の有料新聞も発刊されることになった[6]
  • ウィキニュースや市民メディア・インターネット新聞・JANJANが挙げられる。
  • 欧米の新聞社はインターネット新聞の普及に伴い、記事を公開するタイミングについて紙媒体よりもウェブ媒体を優先させるウェブ・ファーストと呼ばれる方針を打ち出してきている。
  • この他、前述のとおり「日経電子版」や「ウォール・ストリート・ジャーナル電子版」など、有料会員を新聞社が募って、記事を配信する仕組みも出来つつある。

その他[編集]

  • 図書館などの公共施設で新聞が閲覧に供される場合にはクリップホルダー(長い綴じ具)に挟んで「新聞架」と呼ばれる専用ラックに載せることが多い。
  • 新聞の創刊号からの通算の号数(あるいは創刊年からの通算年数)を「紙齢(しれい)」という。
  • 和文通話表で、「」を送る際に「新聞のシ」という。

脚注[編集]

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  1. ^ 北岡敬『そこが知りたい【事始め】の物語』雄鶏社
  2. ^ a b 樺山紘一『図説 本の歴史』
  3. ^ 朝日新聞2010年9月17日国際面より
  4. ^ 1921年まで存在した。同名のライプツィガー・ツァイトゥイングドイツ語版1946年 - 1948年)は、ソ連占領下で作られた別の出版物である。
  5. ^ 吉見俊哉『メディア文化論』ISBN 978-4641121904
  6. ^ 2011年2月3日の朝日新聞朝刊11面

関連項目[編集]