プレスリリース

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プレスリリース: press release)とは、報道機関に向けた、情報の提供・告知・発表のこと。 「news release ニュースリリース」「報道発表」とも。 [1]

概要[編集]

自組織内に持っていた情報のうち、世の中に知ってもらいたいものを、報道機関がニュースや記事の材料として使ってくれることを期待しつつ、(その組織としては公式のものとして)提示すること。

英語: press release」という英語表現をカタカナで音写したものであり、英語で「プレス」は(元々は)「新聞」または「新聞社」で(それが転じて「報道機関」というニュアンスで用いて)、「リリース」は「発表」「公開」「放出」等を意味する。

ファクシミリ送信、インターネット配信、文書の直接配布(投げ込み)、記者会見、などの方法が用いられる。

プレスリリース文書の例

企業では(一般に、あくまで一般論としては)広報部門の担当者やマーケティング部門の人などがリリースを行っていることが多い。

政府などでは、広報担当が行ったり、あるいは報道官などが行うことがある。

なお、誤解の無いように説明しておくと、 たとえ発表する側の組織内では「重要な情報」だと思われていることがらでも、報道機関の側から見て「記事にするに値しない」(「ニュース性が無い」「掲載に値しない」)などと判断されると、記事にはならない。あくまで、記事にする / しない は報道機関側の判断である。

報道機関の側から見れば、毎日 山のようにプレスリリースが届いており、その中から、記事にしたいものだけをピックアップし(つまり、ごく一部だけを選び)、それについて取材を行い、(さらに取材がうまく行ったものだけを)記事にする。ピックアップされなかったプレスリリースは、ゴミ箱行きである。媒体の掲載可能スペースも限られており、情報を 読者に“届けるに値するもの” と“届けるに値しないもの”に、それぞれの判断で振り分けるのも報道機関の重要な仕事だからである。

様々な手法[編集]

まず、誤解を生まないように、数的に多い手法、実際的には最も多く用いられている手法から説明する。

FAX送付、電子メール送付[編集]

世の中で一番多く行われているプレスリリース手法である。

“普通の”案件、よくあるような案件の場合、たとえば企業の(しばしばありがちな)新規製品・新サービスの発表、ちょっとした人事異動 等の場合は、一般に、ファクシミリ電子メールなどで報道機関に送付する。報道機関には一般に、プレスリリース用のFAX番号や電子メールアドレスがあるので、それを調べて個々に送信する方法がある。PR会社などの配信代行サービスを使い、広報資料を送ることも可能である。

WEBページとのリンク[編集]

最近は、記者クラブで配布した資料と全く同じ物を自社のウェブサイトに掲載する官庁、企業が多い。ウェブサイトの中にプレスリリースのコーナーを設けて利用者の便を図っていることも多い。記者クラブでの資料配布はそれ以前に情報がオープンになっていないことが前提であるため、ウェブサイトへの掲載は記者クラブでの資料配布と同時刻、あるいはそれ以降に行われる。

発表する側から見れば、テレビや新聞などのマスメディアではプレスリリースがあっても報道されるとは限らない上、報道されても全体の一部に過ぎない場合がある。また発表側の意図とは違った報道がなされることもある。インターネットで公開することにより、発表の一部を切り取ることなく原文どおり公開することができる。

情報を受け取る側からすれば、企業や自治体などからのプレスリリースを原文で読めるというのが大きなメリットであろう。かつてはマスコミ関係者しか手に入らなかったり、手に入れることができるにせよ多大な手間がかかっていたが、インターネットさえあればいつでも最新の情報を原文のまま手に入れることができる。

インターネットでプレスリリースを配信する手段としてはHTMLPDFストリーミングによる映像配信がある。

ウェブサイト上での過去のプレスリリースの保存期間は、数か月で削除する企業から10年以上に渡って保存している企業まで様々である。

記者室での「投げ込み」[編集]

記者室の各記者の机の上や棚にプレスリリース文書を配ることをもって「発表」とする方法がある。決算発表では多数の記者の出席が見込まれる大企業を除き、資料投函のみを行う、という方法がある。

官公庁や公社などの場合、内部に記者クラブ記者室)があるので、そこで上記のことを行うのである。自社内に記者クラブを持たない民間企業の場合は、業種に応じて業界・経済団体の記者クラブの会員企業となることができ、記者室が設置されている県庁や市役所、証券取引所などの記者クラブへ出向いて発表を行う方法もある。

記者会見[編集]

記者会見の例

大きな組織や政府機関が、社会的に見てかなり重要な内容、社会的影響が大きいと判断される内容の発表をするときは「記者会見」を開く。誤解の無いように説明しておくと、全プレスリリースのうち記者会見が行われているのは、あくまでごくごく一部である。(もしも仮に記者会見がプレスリリースの主たる手法だと思えているのなら、テレビなどを見ている人間にこちらの印象ばかりが強く残っていて、錯覚が起きているにすぎない)

官公庁や公社などの場合、内部に記者クラブ記者室)があるので、そこで行う。また、民間企業のことでも、特に大きな社会問題となっていて(各報道機関の記者の側のほうが自主的に張り付くほどの状態になっている場合などは)本社の大きめの会議室などに緊急に場をもうけることもある。

経済指標や統計、現物を持ち込むことができない工業製品の発表など、発表内容と発表場面との関連性が薄い場合はカメラ撮影は行われず、いたって落ち着いた雰囲気で行われる。

社会の側の注目度の高い製品発表の場合は、華やかな雰囲気となる。

不祥事が発生した場合の謝罪会見などの場合は、カメラのフラッシュを浴びながら、厳しい空気の中での会見となることが多い。記者からも厳しい質問が飛び出すことになる。

発表する側も質問する側も、発言内容には注意をする必要があり、不用意な発言をすると問題となってしまうことがある。 [2] また、記者会見中に事件が起きるたりすると、肝心のプレスリリースの内容自体がメディアにのらず、他の話題ばかりが報道されることにもなりかねない [3]

脚注[編集]

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  1. ^ 「記者発表」や「記者会見」という語は、「プレスリリース」の同義語ではなく、プレスリリースの中でも特定の手法、(わざわざ)記者を集めて発表することや会見すること、を指す。
  2. ^ 例えば次のような発言は、問題視され、繰り返し言及されることになった。
    「私は寝てないんだ!」(2000年)
    雪印集団食中毒事件の際に行った謝罪の記者会見の際、もみくちゃにされた石川哲郎雪印乳業社長(当時)が「私は寝てないんだ!」と記者団に怒鳴った。この発言に対し取材をしていた読売新聞の記者が「こっちだって寝てないんですよ!」と怒鳴りあいになった。また、この発言がテレビで報道されると石川社長はマスコミや世論から更なる非難を受けることになってしまった。
    「リレーって何ですか?」(2002年)
    種子島宇宙センターでの出来事。H-IIAロケット2号機打上げ後の記者発表でNHKの記者の発した質問である。ロケットの取材をするのにリレー(継電器)という語の意味がわからず、事前の準備(勉強)をせずに取材に臨んでいることが露呈してしまった。記者発表の風景はネットで生中継されていて、その光景を見た人たちから「仕事として取材に行っているのにあまりにも不勉強ではないか」などの感想が出た。
    「あんたらもうええわ、社長呼んで」
    JR西日本福知山線脱線事故の記者発表の際の出来事。読売新聞の記者が、発表するJR担当者に向かって暴言を吐いた事件。同席していた他の記者からも「取材する者の態度ではない」と批判もでた。この模様もテレビで放送されたため読売新聞社に抗議が殺到、同社は紙上で謝罪し、記者を処分した(読売新聞が謝罪記事 JR西の会見で記者が暴言)。またこの事件は、JRのあまりの悪質さが目立ったせいなのか、この読売記者だけでなく他の社の記者も暴言を吐いていたとの指摘が相次いだ。
    「あなたとは違うんです」(2008年)
    内閣総理大臣である福田康夫が総理大臣を辞職する際の記者会見で記者から「総理の会見は他人事のように聞こえる」との質問があった。それに対して福田が「他人事のようにというふうにあなたはおっしゃったけれども、私は自分自身を客観的に見ることは出来るんです、あなたと違うんです」と回答(平成20年9月1日 福田内閣総理大臣記者会見)。記者会見はねじれ国会での野党批判などが主であった。時間が差し迫ったこともあり記者会見での最後の発言がそれであった事や、記者会見の内容が反省していないととられた事、原油高への対応や外交政策で福田に批判的な意見が国民に蔓延していたことなどもあり話題になった。「あなたとは違うんです」という形で流布し、Tシャツが作られたりと大きく話題になった。
    ある新興航空会社における一件(2005年)
    ある新興航空会社がプレスリリースをすることになった。航空会社側は地元での記者会見を望んだが、国土交通省記者クラブの要望で国交省内で発表することになった。発表当日社長が現れたが、(記者側から見た印象であるが)「わざわざ来てやった」という態度で、発表の方法をめぐって記者側と口論となり、社長は怒って帰ってしまった。のちにある新聞記者が国土交通省の広報誌でこのエピソードを紹介し、取材の難しさについて語っていた。航空会社の社名は伏せられており、新規に開業する会社ということであった。記者側と発表する側との認識の違いが良く現れているエピソードである。
  3. ^
    週刊少年ジャンプ編集長の突然死(2003年)
    2003年1月24日、東京湾内の船上で行われた、アニメ映画化作品『ONE PIECE THE MOVIE デッドエンドの冒険』の製作発表会見の最中に、当時同誌の編集長であった高橋俊昌クモ膜下出血を発症して突然倒れ、そのまま亡くなるという事態が発生した。多くのマスコミ関係者を集めた場で突如起きた、人気漫画雑誌の編集長の突然死であっただけに社会的な話題となった。
    宅八郎の記者会見乱入
    2003年7月18日、長野県庁の表現道場(当時長野県知事だった田中康夫脱記者クラブ宣言によって記者クラブがフリー記者にも開放されていた)で行われた県知事記者会見におたく評論家の宅八郎が参加し、田中康夫が過去に雑誌で連載していた内容について謝罪をするように執拗に要求し、田中がこれを拒否すると宅が怒鳴り声を上げながら激しく抗議するなど場内は異様な雰囲気に包まれた。この一部始終はテレビや雑誌などのメディアでも取り上げられ話題になった。因みに、この時宅はフリーランスとして会見に参加していた。

関連項目[編集]

外部リンク[編集]