ペンチ

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
移動: 案内検索
パワーペンチ(スリーピークス技研製)

ペンチとは、先端同士が噛み合う構造の2つの金属製ステーをピボット(軸)で結合し、自由に開閉できる構造をした工具である。

語源は、pinch(挟む)がペンチに聞こえたからだと言う説がある[要出典]英語では pliers(プライヤ、常に複数形)と呼び、ペンチは pliers の一種であるが、逆に日本プライヤと言うとペンチの一種を指すほど、ペンチはモンキーレンチと同じように一般家庭に汎用工具として普及している。

概要[編集]

銅線や針金を切る、曲げる、挟む、引っ張る、ねじるなど多くの作業ができるため、電気工事に使うたいへん便利な工具であるため、電工ペンチとも呼ばれる。英語では、Lineman's pliers架線工事士用プライヤ)または Side-Cutting pliers と呼ぶ。

ペンチの先の方で物を強くホールドするのに使用される他、鋼鉄などの硬いものを曲げる、線材を切断する、刃部の裏側は丸くえぐってあり、ナットなどのネジを回すこともできる。料理ではギンナンを割るのに非常に便利なため、この部分を「ギンナン」と呼んでいる。

JISでは、プライヤは、

  • ■ JISB4623ペンチCutting pliers
  • ■ JISB4614コンビネーションプライヤ Slip joint combination pliers with cutters
  • ■ JISB4631ラジオペンチRound nose chain pliers with side cutters
  • ■ JISB4626ウォータポンププライヤ Water pump pliers

に分類して規格化されている。

JISについては、1951年6月にフジ矢がペンチの指定工場(認可番号No.651)となったのが最初である。

進化し続けるペンチ[編集]

パワーアップペンチ(マルト長谷川工作所製)
ネジザウルスGT(エンジニア製)

1986年発売のスリーピークス技研の「パワーペンチ」は、JISを取得していない。JISの指定寸法から逸脱して、作業性を良くすることを優先しているからである。JIS規格では、支点の中心と結合部の滑り接触面が同心で、支点側の刃はその接触面部までに刃を付けることになっているが、スリーピークス技研が「偏芯テコ原理」と呼ぶ、支点を刃部方向に近づけることでレバー比を良くし、従来のペンチを遥かにしのぐ切断力により、被切断材を軽く切ることができるようにした。また、刃を長くして、VA線の3芯コードを1回で切断できるようにした。電気工事における利便性を高めている。もちろん、一般ユーザにとっても、切断力が軽くなり、使いやすくなった。この方式は、同業メーカも取り入れ、JIS表示なしのペンチが市場には増えてきている。当然、主要メーカのこれらのペンチは、JIS同等以上の品質を保有している。

切断力を軽くするということでは、マルト長谷川工作所 (KEIBA) の「パワーアップペンチ」というのがある。これは、握力の弱い女性が華道手芸針金ピアノ線を使う時をターゲットに開発された商品であり、従来の1/2の力で切断ができる。方式は2段テコの原理で、1988年グッドデザイン(Gマーク)商品に選定されている。

他に、ハンドルの支点より握り側に圧着端子の圧着機能を付けたり、バネを使用してハンドルの開閉を楽にできるようにした商品、より線の皮むき用刃穴を付けた商品、手が痛くならないようにハンドル部に樹脂グリップをつけた商品、最近は、塩ビ樹脂成形品に変わって環境にやさしいエラストマー樹脂製のものも出てきている。それぞれの用途に応じてユーザが選定できる。

エンジニア[1]の「ネジザウルスGT」が2010年ヒット商品として話題になっている[誰によって?]。この工具の分類をサイドカッティング機能が付いていることより、ペンチの記事とした。ネジの頭をなめてしまったビスをはさんで回せる工具である。トラスビスやつかむ所のない丸く平たいキャップなども、工具の先端部に設けられた縦溝でつかむ構造となっている。最初のネジザウルスは、2002年に発売され、累計販売数は56万丁に達している。GTは、2009年8月から12月までで7万丁の販売である。国内特許登録3486776 USA PAT.6923097[2]の他、台湾韓国にも登録済みである。また、「ネジザウルス」は国内商標第4744142号(2004年)登録となっている[3]

主要メーカ[編集]

脚注[編集]

[ヘルプ]
  1. ^ 2002年9月に1948年創業の双葉工具株式会社から社名変更。
  2. ^ Google patent USA PAT. No.6923097
  3. ^ 『工具の本 : Factory gear magazine vol.6 : 高野倉匡人的. 2010 (胸高鳴る工具を手にする悦び・工具探訪放浪記「アメリカ新旧工具事情」)』 学研パブリッシング〈Gakken mook〉、2010年ISBN 978-4-05-605821-5

参考文献[編集]

関連項目[編集]