パニエ
パニエ (仏:panier) とは、下着、ファウンデーションの一種。18世紀にヨーロッパでドレスなどのスカートを美しい形に広がらせるため、その下に着用したのが始まりである。現在も形は異なるもののアンダースカートとしてウエディングドレスやワンピースを膨らませる用途で用いられている。
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[編集] パニエの歴史
16世紀に流行したスペイン発祥のベルチュガダン(仏:vertugadin、英:farthingle、ファージンゲール)が起源といわれる。スカートを膨らませるスタイルは17世紀に一時衰退するものの、18世紀にリバイバルとして登場し、イギリスからフランスの宮廷に伝わった。鳥かご(panir)に形状が似ているため、フランスでは「パニエ」と呼ばれるようになった。
当時はコルセットで上半身を締め付ける一方パニエでスカートを膨らませることにより上半身の細さを強調するスタイルが流行した。当初パニエは木や藤の、後に鯨鬚の円形の枠を何段かに分け、木綿、毛、絹などの布地に縫い込んで作った円錐形のものであった。しかし華美を競うに従い膨らみを増すようになり、不自由さを軽減する為に前後へは広がらなくなる一方で左右へと拡大し楕円を連ねた釣鐘形になった。結果として重量が増したためパニエは左右に分割され、日常用としては小型のものが着用されるようになった。2つに分割されたものはパニエ・ドゥブル(仏:panir double、英:side hoops、サイド・フープス)と呼ばれた。
パニエはあらゆる階級で流行し、フランスではフランス革命まで宮廷では着用が義務付けられた。被支配階級の身につけるものは実用的な質素な作りのものであった。また、ドイツでは女性使用人のパニエの着用は禁止され違反すると罰せられた。
身体的な動作の制限が伴うにも拘らず人工的な装飾を伴ったスカートの拡大は当時の性的な奔放さへの批判も相まって風刺や批判の対象となった。 18世紀半ばにはドレスの簡素化が進み、ロココ文化から新古典主義へ移行に伴い、シュミーズドレスが流行の主流になると、パニエはコルセットと共に一時衰退した。
[編集] 現在のパニエ
主な着用理由としては同じくスカートの下に穿くランジェリーのペチコートのように、スカートの生地から体のラインが見えないようにするためでもある。しかし、ペチコートよりも形がしっかりとしており、最大の機能はあくまでも「スカートを膨らませる」ことにある。しばしば、ペチコートと混同されて使われるが、後者に要求されるのは滑りをよくする機能であり全くの別物と言える。
[編集] 素材
硬さや張りのある化繊のチュールなどのかさを増し易い素材をギャザーで縫い縮めて作ることが多い。肌に触れる側には肌触りの良い裏地がつけられ、短いスカートの中に穿くものなど、ある程度見えることを想定している場合には裾周りに飾り用のレースやフリル、リボンなどがあしらわれていることもある。
色のバリエーションは、市販品では白もしくは黒のものがほとんどである。
[編集] 主な使用例
一般的にはウエディングドレスの膨らんだ長いスカートに使用されることで知られている。海外のドレスは過去、バッスルやクリノリンなどの布でない硬い材質のものでスカートを膨らませており、パニエよりそちらの方がはるかにボリュームがあり、シルエットもはっきりと現れるため、現在でも稀に使われる。しかし、これらはパニエよりも重量があり、活動的ではないという不利点がある。
日常での着用例としてはロリータ・ファッションなどの元々パニエを入れて膨らませる事が前提のスカートや広がるスカートの下への着用例が増えている。この場合腰をかがんだ時などに裾端が見える事を意識してレースやフリルなどがあしらわれている事があり、これを装飾目的のペチコートの様に少しスカートから見せて着こなすのは上級者向けとされている。ドレススカートに比べ、短いスカートに着用する場合が多い為段差等で下着が見えるのを防ぐ為にパニエの下にさらにドロワーズという、大きなブルマのようなものを穿く。ロリータ・ファッションのイベント運営団体等では覗きや盗撮対策のためドロワーズやそれに近いインナーを必ず着用する事を奨励している。
また、近年パニエの知名度は上がってきており、アメリカンカジュアルな服装のジーンズの上などにオーバースカート感覚で履くのも流行した。また、モード系などのクラシックな服装のスカートの下に履かれたりフェアリー系ファッションではオーバースカートとして裏地の付いたパニエを着用する場合も増えている。これらの服装の場合もやはり前述のドロワーズのように下にスパッツやタイツがコーディネートされる。
[編集] 参考文献
- 『華麗な革命 ロココと新古典の衣装展』、京都服飾文化研究財団、1989年。
- 『増補版 服飾百科事典 下巻』文化出版局、1979年。
- 深井晃子監修『カラー版 世界服飾史』美術出版社、1998年。
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