特殊急襲部隊

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特殊部隊(Special Assault Team)
創設 前身部隊(特科中隊、零中隊)1977年11月1日
再編成 1996年4月1日
所属政体 日本
所属組織 警察
兵種/任務/特性 テロ対策部隊
人員 11個班
300名
編成地 東京都大阪府北海道千葉県神奈川県愛知県福岡県沖縄県
通称号/略称 SAT、特殊急襲部隊
担当地域 日本全国
特記事項 主な出動事件
三菱銀行人質事件(前身部隊が出動)
全日空857便ハイジャック事件(前身部隊が出動)
西鉄バスジャック事件
愛知長久手町立てこもり発砲事件
  

特殊急襲部隊(とくしゅきゅうしゅうぶたい)とは、日本警察特殊部隊のこと。
英語の部隊名がSpecial Assault Teamであることから、通称 SAT(サット)と呼ばれている。

SATはハイジャック事件、重大テロ事件銃器等の武器を使用した事件への対処を主要な任務としており、装備や活動の詳細については公表されていない。

目次

[編集] 名称

「特殊急襲部隊」という名称は「Special Assault Team」を日本語に直訳したもので、正式な部隊名ではない。

SATの正式な部隊名は特殊部隊であり[1]、さらに、所属する都道府県警察名を付ける。例として、警視庁に所属するSATの正式名称は警視庁特殊部隊である[2]

[編集] 概要

1972年9月6日、警察庁は全国の都道府県警察に通達を出し、「銃器等使用の重大突発事案」が発生した際、これを制圧できるよう特殊部隊の編成を行う事とした[3]。なお、通達の前日である9月5日には、西ドイツミュンヘンオリンピック事件が発生している。

1974年警察白書には、この通達で編成された部隊が紹介されており、以下のように記載されている。

銃器使用事件をはじめ、ハイジャック事件など高度な逮捕制圧技術を要する事案の発生に備えて、全国の機動隊には、耐弾・耐爆性能を有する装備資器材をもつ「特殊部隊」が編成され、実戦的な訓練を実施している

一方、当時の機動隊関係者は著書[4]の中で、この特殊部隊について以下のように記載している。

警視庁の第一~第九機動隊、特科車両隊には、特殊部隊はあった。しかし、ふだんはレスキュー隊員や一般の警備に出動しているメンバーで、訓練といっても年に数回行なっているにすぎなかった。

警察庁の通達後、1977年9月28日にダッカ日航機ハイジャック事件が発生した。この事件の際、日本政府は超法規的措置により、犯行グループの要求を受け入れた。
また、事件から約1ヶ月後の10月13日には、ルフトハンザ航空機ハイジャック事件が発生したが、西ドイツ政府は、ミュンヘンオリンピック事件を教訓に創設した特殊部隊GSG-9」(国境警備隊第9部隊)を航空機内に突入させることにより、人質を救出した。

1977年11月1日、警察庁はダッカ事件を契機として、ハイジャック対策を主要任務とする特殊部隊を警視庁第六機動隊と、大阪府警察第二機動隊に設置した[5]。これらの部隊は、警視庁では特科中隊、大阪府警察では零中隊などと呼ばれていた。また、1980年代初頭から警視庁の部隊はSpecial Armed Police、通称SAPと呼ばれていた[6]

同部隊は創設の際、先述のGSG-9や、イギリスのSASに隊員を研修派遣しており、これらの組織を参考にして部隊が編成された。創設後は三菱銀行人質事件などに出動したが、20年近くの間、特科中隊(SAP)と零中隊の存在は極秘とされていた。
しかし、1995年全日空857便ハイジャック事件が発生し、SAPが出動したことで、報道機関に部隊の存在が公表された。

1996年4月1日、警察庁の通達により、それまで存在していた各特殊部隊が強化、再編成されSpecial Assault Team、通称SATが編成された[7]。SATは警視庁、大阪府警察、北海道警察千葉県警察神奈川県警察愛知県警察福岡県警察に総員200名体制で編成された。また同時に、別の通達により、各都道府県警察に銃器対策部隊が編成された[8]

2000年に警視庁SATは、第六機動隊から警備部警備第一課に所属が移され、2001年に大阪府警察SATは、第二機動隊から警備部警備課に所属が移された。これにより、警視庁と大阪府警察のSATは、組織編成上、機動隊から独立した組織となった[9]。また、道県警察のSATは、機動隊に設置されている。

2005年には、沖縄県警察にSATが編成され、他の部隊も増員されたことにより、総員250名体制となった。翌年の2006年には、さらに部隊が増員され、総員300名体制となった。

なお、各報道機関は、沖縄県警察にSATが新設された理由について、「米軍基地へのテロ対策である」と報道した。
一方、沖縄県警察は、報道機関の取材に対して以下のように発表している[10]

島嶼県で事件発生時に、本土からの部隊派遣に時間がかかることが新設理由。米軍基地の集中をめぐる「対テロ重点配置」ではない。

また、SATは思想的背景のある犯罪者や、テロリストを主に取り扱う警備部に所属しており、ドイツのGSG-9や、フランス国家憲兵隊治安介入部隊(GIGN)と交流があると言われている[11]

[編集] 年表

これが、SAPの存在が認められた最初の事件となる。なおSAPが羽田空港で輸送機に機材を搭載し、離陸した様子は、TBSの報道班が収録、放送したVTRによって確認されている。また、この輸送機は航空自衛隊の八雲飛行場に着陸し、SAPはこの飛行場から函館空港に向かったと言われている。
犯人の銃撃で重傷を負った警察官を愛知県警SITが救出した際、犯人が再び拳銃を発砲。この発砲により、SITの後方支援を担当していたSAT隊員が被弾し、病院搬送後に死亡した。SAT隊員が出動現場で殉職したのは、この事件が初めてである。
  • 2007年7月 東京都内の訓練施設において、警視庁SATの訓練が報道機関に初めて公開される。また8月には、大阪府警SATとみられる部隊(公式発表では銃器対策部隊とされている)が、同年開催の世界陸上大阪大会に向けた総合警備訓練に参加。
  • 2007年12月 ルネサンス佐世保散弾銃乱射事件が発生。福岡県警SATが出動。長崎県警銃器対策部隊と合同で犯人の捜索に当たり、自殺した犯人の遺体を発見した[12]

[編集] 編成

SATは八つの都道府県警察本部に所属しているが、重大事件やテロ事件が発生した際には、警察車両や航空隊のヘリコプター等で全国に展開できる体制が整えられている。 

部隊の規模は警視庁に3個班、大阪府警察に2個班、他の道県警察に1個班の合計11個班が編成されており、隊員の総数は約300名である。

なお、「警視庁・特殊部隊の真実」(著者 伊藤鋼一 大日本絵画)によると、 警視庁SATの前身である特科中隊は、指揮班、技術支援班、狙撃支援班、制圧一班、制圧ニ班に分かれていたとされている。
また同書によれば、特科中隊の創設時の体制は、警視1名、警部2名、警部補6名、巡査部長12名、巡査30名の計51名体制であり、大阪府警察の零中隊は約半数の規模であったとされている。

※警視庁警備部第六機動隊特科中隊(当時)の編成

  • 指揮班
部隊の庶務、新隊員の教育を担当。部隊活動の際は、部隊の現場指揮所となり現場調整、情報収集、無線担当、記録、伝令を担当。
  • 技術支援班
偵察用機材(コンクリートマイク等)の設置や、突入時に装備資機材(プラスチック爆弾等)を使用し、突入支援(ドア、壁の破壊等)を行う。
  • 狙撃支援班
狙撃や偵察を担当。
  • 制圧一班、制圧ニ班
突入を担当。

[編集] 編成されている地域

SATの主な任務はハイジャック、テロ対策であるため

成田・東京・中部・関西の各国際空港が所在する地域
上記以外で国際、国内線の拠点となる空港が所在する一部の地域
米軍関連施設が集中している地域

に部隊が配備されている。

SAPが発展した部隊。管内に東京国際空港(羽田空港)が所在。また首都であるため、各種重要防護施設皇居内閣総理大臣官邸国会議事堂中央省庁、各国大使館等)が管内に所在。警備部警備第一課に所属。
零中隊が発展した部隊。管内に関西国際空港大阪国際空港、外国の総領事館が所在。警備部警備課に所属。
管内に新千歳空港函館空港が所在。機動隊に所属。なお、函館空港では1995年に全日空機ハイジャック事件が発生している。
管内に成田国際空港が所在。第一機動隊に所属。
管内に在日米軍施設が所在。第一機動隊に所属。
管内に中部国際空港が所在。機動隊に所属。
管内に福岡空港、在日米軍施設、各国領事館が所在。第一機動隊に所属。
管内に米軍関連施設、那覇空港が所在。機動隊に所属。沖縄は島嶼県であり、テロ事件等が発生した際、本土からのSAT派遣に時間が掛かるため編成された。

[編集] 任務

主要な任務は、ハイジャック事件、重要施設占拠事案等の重大テロ事件、銃器等の武器を使用した事件等への対処である。また、刑事部特殊犯捜査係だけでは対処できない凶悪事件にも出動する。

SATを支援する部隊として、機動隊銃器対策部隊が編成されている。なお警察と同様に、自衛隊海上保安庁においても、特殊部隊を支援する部隊が編成されている。

また近年では、武装工作員等によるテロゲリラ事案に共同で対処することを目的として、関係各機関の間で様々な協定が締結されている。
2002年には陸上自衛隊と都道府県警察により、「治安出動の際における治安の維持に関する現地協定」が締結された。さらに2004年には、防衛庁運用局長(当時)と警察庁警備局長により、「武装工作員等共同対処指針」が策定された。これを受け、警察と自衛隊による共同対処訓練が全国各地で実施されている。

なお、2005年には北海道において、警察(総勢150名)と自衛隊(総勢200名)による合同訓練が行われた。この訓練では、陸上自衛隊第18普通科連隊の隊員と、北海道警察の機動隊員がヘリコプターから降下し、他の機動隊員(銃器対策部隊)を現場まで誘導する部隊輸送訓練が行われた。
ヘリコプターから降下した機動隊員に関して、軍事専門誌「SATマガジン」12号に掲載された記事では、装備やリペリング(ロープ降下)技術などから、北海道警察のSATであると解説している。

[編集] 部隊

日本国内の5ヶ所(北海道、東京、愛知、大阪、福岡)にSAT専用の訓練施設が設置されている。
訓練は危険を伴い、過去には隊員が負傷する事故が発生している。

専用の訓練施設以外では、陸上自衛隊の駐屯地で小銃を使用した狙撃訓練や、ヘリコプター降下の訓練を実施したとされている。また、狙撃については複数配置を基本としている。これは、1970年に発生した瀬戸内シージャック事件において、大阪府警察の狙撃手が、人権擁護を標榜する弁護士から殺人罪告発された事を教訓としており、隊員が犯人を射殺した際、個人を特定・告訴できなくする為の措置である[13]

また過去に、オーストラリアパースに所在する大規模な市街戦・屋内戦用の訓練施設(通称キリングヴィレッジ)で訓練を行ったと言われている[14]

さらに、フランス国家憲兵隊治安介入部隊(GIGN)と合同訓練を実施したことも確認されている。

SATの装備品や訓練施設の大半は、地方予算(都道府県警察予算)ではなく、国家予算(国費)で賄われている。そのため通常の機動隊に比べて装備、訓練施設は充実している。

部隊の具体的な訓練内容については、創設以来、非公開とされていたが、2002年サッカーワールドカップ開催を前にして警察庁が、警視庁SATの訓練映像を公開した。映像ではヘリコプターからの降下訓練や、航空機、バスへの突入訓練、狙撃や潜水器具を使用したプールでの訓練などが公開されている。

また2008年7月に北海道洞爺湖町で開催される主要国首脳会議(サミット)を控え、警察庁は2007年7月、東京都内の訓練施設で、警視庁SATの訓練を初めて報道陣に公開した。公開された訓練では、屋内突入による犯人制圧と人質救出訓練や、ヘリコプターからの降下、狙撃訓練などが行われた。

さらに、2007年5月に発生した「愛知長久手町立てこもり発砲事件」でSAT隊員が殉職したことを受け、警察庁は同年6月、SAT支援チーム「SSS」(SAT・サポート・スタッフの略称、スリーエスと呼称)を発足させた。
SSSは、SATの効果的な運用と、隊員の受傷事故防止を目的としており、警察庁のほか、警視庁、大阪府警のSAT経験者、現役隊員ら10人程度で構成される。SATが出動した際は、SSSから2~3人が現地に赴き、警視総監や警察本部長にSATの態勢や活用方法を助言し、刑事部との連携や警察庁警備局などとの連絡調整を担当する。

[編集] 隊員

主に機動隊から入隊希望者を募り、選抜試験を通過した者がSATに入隊する。隊員には高い身体能力及び、強靱な精神力が要求される。

「警視庁捜査一課特殊班」(角川書店)の著者である毛利文彦は、著書の中でSAT隊員を「25歳以下の独身警察官」であると記載している。一方、伊藤鋼一(元SAP隊員)は、軍事専門誌「コンバットマガジン」2002年8月号に掲載された記事の中で、「入隊の絶対条件ではない」としてこれを否定している。 

SAT隊員に関して報道された内容によると、2006年、訓練中に負傷した大阪府警SATの隊員は、事故当時28歳であった。また2007年に、愛知長久手町立てこもり発砲事件で死亡したSAT隊員は、妻と子供がいたことが明らかとなっている。

在隊期間は、おおむね5年とされ、昇任した後、再びSATに入隊することもある。再入隊すれば、さらに5年間、在隊することになる。昇任試験は一般の警察官と同様に行われる。

また、入隊すると隊員は、「部隊で見たり聞いたりしたことを他人に話せば、時には法で罰せられる。家族に対しても同様である。」という訓示を受け、保秘を徹底させられると言われている[15]

「愛知長久手町立てこもり発砲事件」においてSAT隊員が死亡した際、隊員の両親は「死亡するまで、息子がSAT隊員であることを知らなかった」と報道されている。
通常、SAT隊員は個人が特定できないようにするため、報道関係者の前ではマスクを着用して素顔を隠している。一方、SAT隊長は狙撃や突入を実行しない責任者であるため、隊旗授与式等で報道関係者に対して素顔を公表している。

また1979年に発生した三菱銀行立て篭もり事件の際には、突入を行った零中隊の隊長が犯人を制圧後、「機動隊員」として報道陣に姿を現し、記者会見に応じたことがある。

[編集] 除隊後の所属

近年、SATを除隊した一部のOB隊員が、刑事部特殊犯捜査係(警視庁SIT、大阪府警察MAAT)に人事異動をしている。これは刑事部がSAT隊員の射撃技術などを即戦力として期待した結果、起用されたものである[16]
また、道県警察では特殊犯捜査係の定員が少なく、機動捜査隊の捜査員などと合同して突入班を編成している。そのためSAT隊員が除隊後に、機動捜査隊に異動することがある。
千葉県警察では、SATの除隊者を機動捜査隊に異動させ、事件発生に応じて突入班(ART)を編成する。また、SATが置かれていない府県警察では、機動隊銃器対策部隊が突入を担当することもある。

この他にもSATの除隊者は、機動隊のスカイマーシャル等に配属されていると言われている。なお、日本警察において「スカイマーシャル」とは航空機警乗組織のことであり、大阪府警察と千葉県警察の機動隊に設置されている。

[編集] 指揮系統、行動方針

SATが出動した際は、警視総監(道府県警は本部長)、警備部長がSATの指揮を行い、SAT隊長は現場指揮官として命令を受け任務にあたる。原則としてSAT隊長は突入を独断では行えず、警視総監(または道府県警本部長)、警備部長の許可が必要といわれている。

2007年に発生した、愛知長久手町立てこもり発砲事件の際は、愛知県警SAT、SIT、応援派遣された大阪府警MAATの統括指揮を、刑事部捜査第一課長が担当していたとされている[17]

SATの行動方針に関して、警察庁では「被害者・関係者の安全を確保しつつ、事態の鎮圧、被疑者の検挙を実施する」と公表している。

また報道によれば、SATは「犯人の身柄拘束よりも、現場の危機的状況を狙撃などで排除する」方針であり、一方、SITは「説得を中心に最後まで投降を促し、犯人の逮捕を目指す」方針であるとされている[18]

なお、2007年に公開された警視庁SATの訓練では、隊員が屋内施設に突入した際、複数の人型標的の頭部へ射撃を実施している。

SATに類似する名称の警察部隊として、アメリカ合衆国SWATが挙げられるが、SWATの行動方針は日本のSITに近く、可能な限り犯人の逮捕を優先している。
なおアメリカでは、国内でのテロ事件などに対処する部隊として、連邦捜査局(FBI)特殊部隊(HRT)が編成されている。

[編集] 武器の使用

SATの武器使用は法規(警察官職務執行法第7条)に基づいて行われ、突入の際には機関けん銃や、自動式けん銃などを使用する。

なお、日本警察では、「警察官等特殊銃使用及び取扱い規範」により、機関けん銃やライフルなどの装備を、「特殊銃」と規定しており、使用や取り扱いの規範を定めている[19]

この規範によれば、特殊銃は、警察本部長(警視庁は警視総監)から指定を受けた「指定警察官」が使用する。また、特殊銃の「取り出し」、「連射への設定変更」、「使用」は現場指揮官の命令が必要であるが、状況が急迫し、命令を受けることができない場合は、指定警察官の判断で行うことができる。

また、日本においては法解釈上、警察官が武器を使用する事は、犯罪の予防・鎮圧行為(警察法第2条)とされ、行政警察活動に該当し、犯罪捜査を目的とする司法警察活動とは区別されている。警察はこの予防・鎮圧行為を、検察庁など他の機関の干渉を受けることなく、独自に行うことができる。

[編集] 主要装備

[編集] 銃器類

自動式けん銃
2007年に公開された訓練において、警視庁SATが使用。専用のフラッシュライト(ITI社製、M2)を装着したもの。
警視庁の特科中隊(SAP)が使用していたとされている[20]
2005年に北海道で実施された、警察と陸上自衛隊の合同訓練の際に、北海道警SATと見られる部隊が使用。
また、以下3種類のけん銃は、2002年に警察庁が公開したSAT訓練映像で使用が確認されたもの。
狙撃用ライフル
2007年に公開された訓練において、警視庁SATが使用したボルトアクションライフル。照準器と二脚を装着したもの。
照準器とニ脚を装着したボルトアクションライフル。警視庁の特科中隊(SAP)が使用していたとされている[21]
照準器を取り付け、狙撃用としたもの。警視庁の特科中隊(SAP)が使用していたとされている[22]
  • レミントン M700系ボルトアクションライフル
  • H&K PSG-1
また近年では、日本の銃器代理店(日本特装株式会社)が自社のカタログに、「アキュラシーインターナショナル社製の対物ライフルを警察に納入した」という逸話を掲載している。
対物ライフルは、ハイジャック事件における狙撃用として、各国の対テロ部隊に配備されている。その理由は、通常の7.62mm弾を使用する狙撃ライフルでは、航空機の風防ガラスを破壊し、かつ標的に達することができないためである。
なお、アキュラシーインターナショナル社の対物ライフルは、AW50シリーズである。
機関けん銃
MP5については、複数の仕様が確認されている。
    • MP5A5
銃床が伸縮型のもの。2007年に実施された公開訓練において、警視庁SATが、EOテック社製のレーザーホログラムサイトを装着したMP5A5を使用。また、2007年5月に愛知県で発生した立てこもり事件において、愛知県警SATが、銃身にフォアグリップを装着したMP5A5を使用。
    • MP5F
銃口に消炎制退器を装着しており、銃床が伸縮型のもの。
2005年に北海道で実施された、警察と陸上自衛隊の合同訓練の際、北海道警SATと見られる部隊が使用。
    • MP5SD6MP5K
MP5SD6は、減音器を装着しており、銃床が伸縮型のもの。また、MP5Kは銃床が無く、銃身が短縮型のもの。警視庁の特科中隊(SAP)が使用していたとされている[23]
自動小銃
2004年に政府が有識者を集めて開催した「安全保障と防衛力に関する懇談会」の第9回懇談会において、警察庁が作成し、配布した資料に「SAT装備品」として写真入りで掲載されていたもの。
散弾銃
その他の銃器
犯人制圧用の装備であり、主に犯人が可燃性物質(ガソリン等)を所持している際に使用する。
SATでは個人携行型の圧縮空気泡消火システム(CAFS)を使用しており、機動隊特殊犯捜査係が使用しているインパルス消火システムとは異なる(警察庁調達資料及び危機管理産業展等で確認)。
なお、警察では装備の名称を「銃」とすると、銃刀法や、けん銃取り扱い規範等の法令が適用され、使用の際に様々な制約を受けるため、「放水銃」という名称は使用しない。

[編集] 銃器以外の主要装備

「スタングレネード」、または「フラッシュバン」などと呼ばれているもの。閃光と爆音で犯人の視覚、聴覚を一定時間失わせ無力化する。
ケブラー製のヘルメットにポリカーボネート製の防弾バイザーを付けたもの。また、2007年に公開された訓練において、警視庁SATの狙撃班がプロテック社製のヘルメットを使用。このヘルメットはABS樹脂製で、防弾機能は無い。
なお、警視庁の特科中隊(SAP)はチタン合金製のヘルメットを使用していたとされている[24]
銃弾から胴体を防護するベスト。下腹部を防護するプレートが付属。
  • タクティカルベスト
予備弾倉や無線機など、様々な装備品を収納できるベスト。防弾ベストの上から重ね着をして使用する。イーグル社製の「TAC-V1」を使用。
  • アサルトスーツ
紺色の突入服。機動隊が使用している「出動服」とは異なる。また、2002年に警察庁が公開した訓練映像や、2007年の公開訓練において、警視庁SATは、アサルトスーツ右上腕部に部隊のワッペンを装着。
なお、警視庁の特科中隊(SAP)はハイジャック対策訓練の際、灰色の突入服を使用していたとされている[25]
  • 小型防弾盾
片手で使用できる大きさの、透明なポリカーボネート製防弾盾。2002年に警察庁が公開した訓練映像、および2007年の公開訓練では、SAT隊員が左手に小型防弾盾を持ち、右手にけん銃を所持して突入を行っている。
  • 大型防弾盾
黒色、ケブラー製で覗き窓が付いた防弾盾。覗き窓にも防弾ガラスが付けられている。また、両手で使用できるように、取っ手が2箇所に設置されている。2007年の公開訓練の際、警視庁SATが使用。
商品名「タイラップ」、「インシュロック」などと呼ばれているもの。手錠より軽量で、素早く犯人を拘束することができる。バンド(紐)の片端にロック用部品が付いており、これに反対側の端を通して結束する。2007年に公開された訓練において、警視庁SATの隊員が装備。
  • バッティングラム
鉄製の大型ハンマー。ドアを破る際に使用する。2007年に公開された訓練において、警視庁SATが使用。
  • 各種突入、偵察用機材
プラスチック爆弾、暗視装置、潜水用機材等(水中から、船舶に突入する際に使用)

[編集] 部隊支援用装備

  • 警備車両
特型警備車や、銃器対策警備車などを装備している。これらの車両は、防弾仕様の装甲車であり、主に突入支援に使用される。また、隊員輸送車(大型バス、ワンボックスカー、4WD車など)や、資器材搬送用のトラック、無線指揮車なども保有している。
なお、アメリカのSWATでは、犯罪者に対する威圧効果と犯罪抑止のために、車体に大きく「SWAT」と書かれた専用車両を使用することがある。一方SATはテロ対処を主要任務としており、現場に展開していること自体を犯人(テロリスト)や、報道関係者などから秘匿する必要があるため、部隊名が書かれた車両を使用していない。
都道府県警察の航空隊に所属するヘリコプターを使用。また一部の航空隊には、SATとの連携を想定したテロ対策機が配備されている。これは中型ヘリコプター、ベル412EPに夜間飛行用の赤外線カメラや、電線切断用のワイヤーカッター等を装備したもので、機体は抗弾仕様であると言われている。また災害発生時は、災害支援ヘリコプターとして使用される。

上記以外にも様々な資機材があり、国産品だけでなく、世界各国のメーカーが製造した装備品を採用している。このような傾向は、日本においては、陸上自衛隊特殊作戦群や、海上自衛隊特別警備隊海上保安庁特殊警備隊にも見られる。

なお2007年に発生した愛知長久手町立てこもり発砲事件では、SAT隊員が銃撃を受け、防弾ベストの隙間から被弾したことにより、死亡している。その為、溝手顕正国家公安委員会委員長(当時)は、同年 5月18日の記者会見で「装備の検証が必要」との見方を示しており、これを受け警察庁は装備を再検証する方針である。

[編集] 注釈

  1. ^ 警察庁通達「特殊部隊の再編強化について」平成8年4月1日乙備発第6号
  2. ^ 警視庁組織規則に記載
  3. ^ 警察庁次長発各都道府県警察の長宛通達「特殊部隊の編成について」昭和47年9月6日乙備発第11号
  4. ^ 「この剛直な男たち 警視庁機動隊30年のあゆみ」著者 永峯正義 立花書房 1978年
  5. ^ 平成9年 警察白書 第1章第2節3 我が国のテロ対策の現状 および「警視庁・特殊部隊の真実」著者 伊藤鋼一 大日本絵画に記載
  6. ^ 「警視庁・特殊部隊の真実」著者 伊藤鋼一 大日本絵画
  7. ^ 警察庁通達「特殊部隊の再編強化について」平成8年4月1日乙備発第6号
  8. ^ 警察庁通達「銃器対策部隊の編成について」平成8年4月1日丙備発第50号
  9. ^ 警視庁組織規則、大阪府警察組織規則に記載
  10. ^ 朝日新聞沖縄版(2005年9月7日)
  11. ^ 軍事専門誌「Jグランド」第9号に掲載された記事「フランス特殊部隊GIGN&RAID」によれば、「現在でもGIGNとSATの教官クラスは交換留学トレーニングを行っている。」と記載されている。
  12. ^ 中国新聞(2007年12月16日)
  13. ^ 「警視庁・特殊部隊の真実」著者 伊藤鋼一 大日本絵画
  14. ^ 「特殊部隊全史」(朝日新聞社、著者マーティン・C・アロステギ、訳者平賀秀明)に、「日本警察のSWATチームが訓練施設を利用している」と記載されている。
  15. ^ 「警視庁・特殊部隊の真実」著者 伊藤鋼一 大日本絵画
  16. ^ 「警視庁・特殊部隊の真実」著者 伊藤鋼一 大日本絵画
  17. ^ 週刊新潮(2007年5月31日号)
  18. ^ 産経新聞(2007年5月29日)
  19. ^ 「警察官等特殊銃使用及び取扱い規範」第二条では、警察法第六十八条第一項の規定により警察官又は皇宮護衛官が貸与される小型武器(けん銃)以外のものを「特殊銃」と規定している。
  20. ^ 「警視庁・特殊部隊の真実」著者 伊藤鋼一 大日本絵画
  21. ^ 「警視庁・特殊部隊の真実」著者 伊藤鋼一 大日本絵画
  22. ^ 「警視庁・特殊部隊の真実」著者 伊藤鋼一 大日本絵画
  23. ^ 「警視庁・特殊部隊の真実」著者 伊藤鋼一 大日本絵画
  24. ^ 「警視庁・特殊部隊の真実」著者 伊藤鋼一 大日本絵画
  25. ^ 「警視庁・特殊部隊の真実」著者 伊藤鋼一 大日本絵画

[編集] 関連項目


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