亜人 (漫画)

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亜人
ジャンル サイエンス・ファンタジーアクション
漫画
作者 桜井画門
出版社 講談社
掲載誌 good!アフタヌーン
レーベル アフタヌーンKC
発表号 #23 -
発表期間 2012年7月6日 -
巻数 既刊5巻
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亜人』(あじん)は、桜井画門による日本漫画作品。『good!アフタヌーン』(講談社)において2012年(平成24年)7月から連載されている。単行本1巻までは「作画:桜井画門、原作者:三浦追儺」とされていたが、2巻より桜井画門単独の名義となっている。桜井画門は自身のブログで2巻からは話も設定も全て自分が作っていると明かしているが、原作者が途中で降りた理由については言及していない。

ストーリー[編集]

舞台は現代の日本。普通の高校生として生活していた永井圭は、ある日トラックに轢かれ一度は死亡してしまうが、生き返る。実は、圭は人ならざる存在・亜人であった。日本では極秘に亜人に対して非人道的な実験を行っていた。圭は人間による苛烈な差別や亜人コミュニティの過酷な洗礼をうけながらも生きる術を探していく。

登場人物[編集]

永井 圭(ながい けい)
本作の主人公。トラックに轢かれ、事故死したが生き返り亜人ということが発覚した。全国模試で1桁の順位を取ることができる秀才で、見た物は大抵覚えられるという凄まじい記憶力を持つ。幼少時より亜人の特殊能力である「黒い幽霊」を発現させることができていた。
周囲からは医者を目指して努力している勤勉な人物に見られているが、その本性は妹の慧理子から「クズ」と称されるほど利己的な人物。病弱な妹の病気を治療するため医者を目指していると人前では言うが、妹からは「自分の評価のためにやっている」と思われている。また、母親に「もう海斗と遊ぶな」と言われた際の返答から「どこまでも冷たく合理的な人」などと言われている。当初はそれほど目立たなかったが、捕らえられて研究所での過酷な人体実験を契機に利己的な面が顕著に表れるようになる。
合理的で自己の利益のためなら他人を利用することも躊躇しないが、佐藤に殺されそうになった研究員を助けるなど合理的ではない行動をすることもあり、完全に冷酷非情というわけではない。また、海斗に対しては同情心から友人となり、高校の友人達の前では冷たい態度をとってはいたが、幼少時に覚えた携帯電話の電話番号を忘れておらず「カイ」という渾名で呼ぶなど強い友情を持っている。
黒い幽霊を発現させることができているが、他の亜人とは違いうまく操ることができない。この黒い幽霊は、佐藤には「プレーン」と評されており、他の黒い幽霊と比べると比較的人間に近い形状をしている。
海斗(かいと)
本作のもう1人の主人公。圭の幼少時からの友人であり、圭が亜人であったということが発覚したあとも変わらず接した。圭の母親によると犯罪者の息子らしいが詳細は不明。ポジティブな思考回路を持ち、亜人に対して理解のある態度を示す。圭とは別の北高という高校に通っている。自らの命に危険がおよぶ場面になっても、圭を守ろうと奮闘する。

厚生労働省[編集]

亜人に関しては警察の活動に介入することができるなど、強力な権限を持つ。捕らえた亜人に対し研究対象として、拷問・虐待とも言える実験を行なっている。

戸崎(とさき)
厚生労働省から派遣された亜人担当の職員。ミントのタブレットを常に持ち歩いている。何らかの事情から、亜人に憎しみを抱いている。意識不明の婚約者がいる。佐藤の暗躍を止めるべくさまざまな策を講じ、その過程で何人の人間が死んでも顔色ひとつ変えない冷酷さを持つ。
下村 泉(しもむら いずみ)
厚生労働省で戸崎の部下として働いている女性。正体は「亜人」であるが、戸崎の活動に協力することにより、その庇護を受け世間に正体を公表されることなく過ごせている。黒い幽霊を操ることができ、本人はこれを「クロちゃん」と呼んでいる。泉の黒い幽霊は、手の形状など人間に酷似した形となっているが、頭部が三角形の特徴的なシルエットを持っている。
曽我部(そかべ)
厚生労働省で戸崎の部下として働いている男性。戸崎の後任候補して厚生労働省大臣から任命される。

亜人[編集]

田中 功次(たなか こうじ)
2番目に日本国内で確認された亜人。捕獲され研究機関で苛烈な実験を受けたため、人間に対し激しい憎悪の感情を抱いているが、根っからの悪人ではない様子。研究機関から佐藤により救い出され、以後行動を共にする。田中の黒い幽霊は頭部に抽象化された牙のような口をもち、手は鳥の足を思わせる鉤爪を持っているなど攻撃的な外見をしている。
佐藤(さとう)
ハンチング帽をかぶった糸目の男。戸崎や研究機関からは「帽子」と呼ばれている。本名は不明。麻酔弾の命中した腕を即座に切り落とすなど、亜人であることを最大限に生かした戦闘を行い、黒い幽霊を使わずとも非常に高い戦闘能力を有している。佐藤の黒い幽霊は手の指が6本になっており、爬虫類を思わせる独特の形状の頭部を持つ。
様々な手段を用いて亜人の仲間を集め、一般の人間社会に対して過激な行動を取る。
中野 攻(なかの こう)
佐藤が集めた7人の亜人のひとり。男性。中卒。自分が亜人であると知りつつ、普通の人間として生活していた。佐藤の大量虐殺に反対し、消防士の男と逃げるものの消防士は捕まり、佐藤の強行を止めるように託される。戸崎に亜人であると看破された事で寄る辺なき身となり、山村に潜んでいた永井まで辿り着く。当初は保身を優先する永井に監禁されたものの、紆余曲折の末に彼と行動を共にするようになった。策謀を巡らし、知識を動員して戦う永井とは対極的な直情型であり、後先考えずに突っ走る言動が多い。また、専門知識なども総じて乏しい。ただし自らの亜人としての特性は熟知しており、状況をフルに生かす機転も備えている。「別種」ではないため、黒い幽霊は出せない。
中村 慎也(なかむら しんや)
日本で最初に確認された亜人。大学生。圭同様、自分が死亡するまで亜人であるということに気がついていなかった。捕まりそうになるが、祐介に庇われた後、逃走する。複数の黒い幽霊を発現させる(フラッド現象と呼ぶ)など、他の亜人とは異なる特徴を見せている。

永井家[編集]

永井の母
圭の母親。比較的、冷酷な性格ではないものの、自分の話を聞かない人物や気に入らない者には傲慢な態度で接している。
圭が亜人であったということが発覚してからは、「息子」ではなく「永井圭」と呼ぶなど圭に対しては冷たい態度をとっている。
海斗のことを「犯罪者の息子だから」という理由で酷く嫌っている。
永井 慧理子(ながい えりこ)
圭の妹。病弱で、病院で療養中だった。佐藤らに襲撃され誘拐されるが、間も無く解放された。
幼少期は兄と普通に遊んでおり、また、海斗のことも慕っており、海斗が犯罪者の息子だと知ってもその思いは変わらなかったが、兄が海斗に対し手の平を返したような態度をとったことに怒り、彼に冷たく当たるようになる。圭が亜人と判明したため冷たくなったと思われたが、実際はそこまで亜人のことを嫌っておらず、亜人そのものに対しては同情的な感情を抱いている様子。母とは仲が良く、母自身も慧理子を溺愛している。

その他[編集]

オグラ・イクヤ
生物物理学者。アメリカに渡り、亜人研究に携わっている。捕獲された圭の視察のため、来日する。スモーカーであり、廃止銘柄のマイルドセブンFKを愛飲している。
渡辺(わたなべ)
圭のクラスメイト。亜人に対しては世間同様、差別的な思想を持っている。
中島 啓介(なかじま けいすけ)
圭のクラスメイト。「亜人」であった圭に同情的な態度を示すが、そのことがきっかけで交際相手に別れを告げられる。またその際の行動により「亜人擁護思想の人間」として政府に捕捉されてしまう。
祐介(ゆうすけ)
慎也の幼少の頃からの親友。捕獲されそうになった慎也を庇い死亡した。
コウマ陸佐
別種対策が悪化した時のため急遽発足させれられた仮の部隊「対亜人特選群」通称「対亜」の指揮を執る人物。作中では「陸佐」と呼ばれているが、2巻で着用している陸上自衛隊の制服の肩に付けている階級章は1等陸佐のもので、また左胸にはレンジャー徽章を付けている。

用語[編集]

亜人
本作品のタイトルにもなっている言葉。外見や思考は通常の人間と同様だが、死亡した際には即座に蘇るという驚異的な再生能力を持つ存在。ただし死に至らない限り再生能力は発揮されないため、例えば手足を失ってしまった場合には一旦死亡することでしか再生することはない。したがって人間は死亡するまで、自分があるいは他者が亜人であるということを見分けることができない。
痛覚は、死なない限り通常の人間同様に存在する。そのため、人体実験などで何度も殺されれば、その都度、痛みや苦しみを味わうこととなる。切断された体の一部は近くにある場合は再生時に本体に回収されるが、本体から離れた場合には(頭部であっても)回収されず、時には後述の黒い幽霊になることがある。
1990年代にアフリカの戦場で初めて発見され、その能力から当初は畏れられるが、再生能力以外は一般人と同じと思われたため恐怖は薄れ、後に人類の研究対象と定義された。
作中当初の段階では、亜人は世界中で47人、日本では2人しか(公式では)発見されておらず、超希少とされている。このため、亜人には1億円の懸賞金(裏ルートではさらに高値)がかけられ、外国の工作員やスパイも狙っており、亜人が発見された場合は、国・政府・警察・厚生労働省は全力をもって捕獲しようとする。
特殊能力としては、叫び声を上げることにより、聞いた相手を一時的に金縛りのような状態にすることができる。叫び声は擬死状態が解除される際に起きる生理現象と言う結論が出されており、その亜人と親しく接している人物や、自分が仲間と認識した人間、亜人であると認識していない人間に対しては効果が低い。また、叫び声は耳栓をすることである程度防げるため、政府はあまり問題視していない。
また後述の「黒い幽霊」を操ることができるが、自由に操るにはコツが要ると語られている。
作中の世界では、多くの人間からは「亜人は人間でない」と定義されている。しかし亜人の発祥など謎の部分も多く、また登場人物によっては「亜人も人間である」と主張もされている。
黒い幽霊 (IBM)
「亜人」の操ることができる自身の分身のような存在。全身が包帯で巻かれた人のような姿をしており、単行本の表紙を飾るなど作品のメインビジュアルになっている。その存在は一般市民には公になっていない模様。
科学的には屈折率が0パーセントの(つまり、完全に透明な)物質で構成されており、亜人同士にしかその姿を見ることはできないが、足あとは残るなど霊的な存在ではなく物質であるとされている。また人の体を一撃で引き裂くなど高い戦闘力を持っている。
黒い幽霊の外見は、手足や頭の形状は亜人により多少異なるが、大まかなシルエットはいずれも酷似している。亜人本体とは異なり、手足の欠損などは徐々に回復するが、殴打で粉砕された場合には砂のように崩れ回復しない。頭部を粉砕された場合には戦闘不能となってしまう。
亜人の中でも黒い幽霊を操る存在は「別種」と呼称されている。
作画担当(2巻からは設定・ストーリーも)の桜井画門はIBMをブログでたびたび「スタンド」と呼んでいる。

単行本[編集]

関連項目[編集]

  • スワンプマン - 死んだ人間の直ぐ傍にその人物と全く同じ化学組成と記憶を持った人間が生まれた場合、それは死んだ人間と同一人物と言えるのか、という論争。

外部リンク[編集]