射撃
射撃(しゃげき)とは銃砲などを撃つことであり、銃や大砲、または弓によって銃弾、砲弾、矢を的に向けて放つことを指す。 本項では、実弾を発射する銃で行う射撃について説明する。高圧の空気によって発射する銃は空気銃を、大砲での射撃は砲撃を、弓矢については「アーチェリー」をそれぞれ参照のこと。
実弾を使用する銃を用いた射撃でもスポーツや狩猟として行うものと、戦闘での射撃がある。スポーツとしての射撃は射撃競技を参照のこと。
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日本での銃砲所持の規則 [編集]
日本では銃刀法により、民間人の銃砲の所持が厳しく制限されており、所持できるのは猟銃(ライフル銃、散弾銃) 空気銃(ライフル銃) 空気けん銃(法的には空気銃には含まれない) けん銃(標的射撃目的に限る)である。猟銃や空気銃を所持する場合は標的射撃、狩猟、有害鳥獣駆除を目的とする所持許可申請に対してのみ許可される。
日本では、警察官や自衛官、海上保安官、麻薬取締官、刑務官、入国警備官、入国審査官、皇宮護衛官、米軍基地武装警備員、税関職員以外の実銃の所持や使用は厳しく制限されている。このうち刑務官、入国警備官、入国審査官、税関職員は通常銃器を携帯していない。また刑務官も特別警備隊以外の配置では銃器の携帯はしていない。
民間人は標的射撃、狩猟、有害鳥獣駆除の目的に限れば、所持資格者にライフル銃、散弾銃、空気銃、火縄銃(前装銃)、ピストルでは空気と装薬タイプ(一般に所持が非常に難しい)の所持と使用が許可される(「銃砲刀剣所持等取締法」第4条・第1項・第1号による)。
前述のライフル銃、散弾銃を総称して「猟銃」と規定している(許可用途を問わず)。
所持許可の要件 [編集]
- 猟銃や空気銃の所持許可申請に対し、治安上の問題から公安委員会は一定の要件を満たすものに対してのみ許可を与える。銃砲を悪用するおそれのあるもの(暴力団関係者、凶悪犯罪等の処分歴があるものなど)や管理能力に問題のあるもの(アルコールや薬物依存者、精神病者、住所不定者など)は所持が許可されない。装薬銃の所持には、都道府県公安委員会の指定射撃場での教習射撃が必要である。
年齢による制限は以下の通りである。
- 猟銃は20歳から、空気銃は18歳から所持可能。
- 標的射撃目的に限り日本体育協会の推薦により猟銃は18歳から、空気銃は14歳から所持可能。
- 狩猟免許は20歳以上が要件なので、狩猟目的のみの猟銃や空気銃の所持は20歳から所持可能。
- 狩猟用ライフル銃の所持は猟銃(狩猟用、競技用散弾銃、競技用ライフル銃)を継続して10年間所持している実績が必要。また、規制が厳しい地域では実際に猟や射撃を10年間ある程度行っていなければ下りないこともある。
- 標的射撃用ライフル銃の所持は(社)日本ライフル射撃協会に所属し、エアライフル競技等で一定の成績(AR・5級以上:段級の基準点は、愛知県ラのリンク参照)をあげ同、協会主催の「ライフル射撃に関する講習会」を受講の上、同協会を通じて日本体育協会からの推薦を得る事が必要。
- 申請しようとする銃は機能上危険がなく、悪用のおそれがないもので銃刀法に定められた構造や長さがある必要がある。変装銃、機関銃や自動小銃のような全自動式銃(M14の民間タイプのM1A、M1カービンの民間タイプのホーワカービン等のような半自動式銃は除く)、消音器は許可されない。
- 弾倉内に装填できる実包(弾薬)はライフル銃・空気銃は5発以下、散弾銃は2発以下の構造でなければならない。
大日本帝国軍における射撃 [編集]
射撃は火力戦における唯一の手段であり、弾丸を目標に命中させるために照準が行われたのち引き金を引き、弾丸を発射して目標地点に落着または目標に命中、これを破裂させる。
立射、膝射および伏射がある。
立射よりも膝射が、膝射よりも伏射が、銃器の揺れが少なく、実弾で静止物を撃つ場合は 有利である。
一方で、散弾で速やかに移動する物を撃つ場合は立射でなければ身体の自由がきかないから好結果は得にくい。
銃器はいかなる姿勢であれ右手でじゅうぶんに右肩に引きつける(左手はほとんど銃に添えるだけ)。
肩と台尻との間に間隙があると反動で筒先が動き、命中しがたいうえに、肩、頬を痛めることがある。
また銃の構えで犯しやすい誤りは被射体にむかって身体を斜めにしすぎることで、被射体にむかって約20度、斜め右にするのが適度とする。
すなわち銃を肩に付けたとき肩と成す角度があまりに鋭角であるのは良くなく、直角に近いのがよい。
また台尻は全部を肩に付けるべきで、下部のみを肩につけるのはよくない。
また立射の場合は身体を前にのめらせずに直立させる。
実弾銃では照尺を距離に適合させ、銃の偏避を修正し、散弾銃ではこれらは不要で、ただちに被射体の中心を狙う。
目標によって射撃法、採用される弾薬その他は異なる。
すなわち人馬のような活目標であるか、要塞、堡塁、築城、地物、橋梁、鉄条網その他のような不動物であるか、あるいは飛行機、戦車、軍艦、自動車、列車その他の移動目標であるかによる。
射撃に用いられる兵器は小銃、機関銃および火砲であり、拳銃、擲弾筒もこれに属するとされた。
射程は銃砲の種類、射角によって異なるが、最大射程は小銃 4000 m 、重、軽機関銃約 4000 m 、平射歩兵砲 5000 m 、曲射歩兵砲約 1500 m 、野砲約 10000 m ないし 14000 m 、山砲約 6000 m 、野戦重砲(榴弾砲)約 7000 m、野戦重砲(加農砲)約 13000 m 、攻城砲 約 15000 m ないし 19000 m、列車砲約 50000 m であったが、第1次世界大戦でドイツ軍がパリを攻撃した長射程砲は 122000 m という射程で驚かせた。
発射速度は機関銃では1分間500ないし600発で、速射野戦砲では約25発が限度であった。
初速は秒速1000mと称せられた。
射撃指示 [編集]
射撃指示は射撃目標、射撃目的、試射点、射撃方法、射弾観測方法、射撃地域、射撃諸元、弾薬の種類および数量その他に関して所要事項を決定し、射撃を実施し、必要であればのちに射弾の修正を行うものである。
射撃指示の指揮官は歩兵の小銃分隊および軽機関銃分隊、歩兵砲隊の平射砲分隊では通常、分隊長が当たり、小隊長は射撃目標または射撃区域および採用照尺その他を示して指導する。
歩兵小隊の火線構成は小隊長の任務であるから火力の離合、集散、緩急その他に関する指揮は小隊長が行う。
重機関銃隊および歩兵砲隊の曲射砲分隊の射撃は小隊長がみずから、ときに分隊長が、行い、分隊長は常に小隊長を補佐して直接自らの分隊の射撃に関して責任を有する。
砲兵の射撃は原則として中隊長が行うが、状況によって、あるいは中隊の砲車を分割して使用する場合は、射撃の実行を一時小隊長に委ねる場合がある。
大隊長、聯隊長および砲兵群の高等指揮は部下砲兵の射撃を指導する。
この場合は部下砲兵に対する射撃目標、あるいは射撃地域の割当、射撃の目的、射撃の時機、弾種、弾数、信管の種類、射撃の継続時間その他を統制する。
歩兵の小銃分隊が敵にきわめて接近し、戦闘が激烈になった場合は、分隊長の号令、記号によって適時適切な射撃指示を行うことは困難となり、目標が明瞭である場合は散兵に射撃させることのほうが有利である。
この場合分隊長は「各個射撃」と令して射撃の実行を散兵に一任するが、状況が許すかぎり射撃指導を行う。
射撃の直接指揮は射撃号令で行う。
砲兵中隊長の射撃号令はおおむね以下のような事項のうち必要なものをこの順序で号令する。
(1) 照準点の方向および照準点、(2) 方向角または方向修正量、(3) 弾種、(4) 信管種類または装填、(5) 高低角または高低修正量、(6) 信管修正量、(7) 射距離または射距離変換量、(8) 散布、掃射の方法、(9) 装填法、(10) 発射速度、(11) 発射法。
射撃目標は適切な時機に指示して部下に知らしめておく。
射撃にあたっては天候、気象、銃および砲の固有癖その他を顧慮し、適当に修正して射撃諸元を決定する。
射撃場 [編集]
射撃場は衛戍地に1個あるいは数個、東西にわたって設けられるのが理想である。
大砲の射撃場は常設の陸軍演習場のものもあるが、山野、海岸など自然地形を臨時に選定して設けられる事が多い。
小銃射撃のうち応用射撃および戦闘射撃は同様で、狭窄射撃および基本射撃は特設の射撃場で行った。
狭窄射撃場は営内または練兵場内その他の適地に設けられる。
発射地点から通常 15m の距離に監的壕が設けられ、ここに標的が設置される。
監的が壕ではなく築壁であることもある。
基本射撃は小銃射撃場で行い、小銃射撃場は監的壕の位置から200m、300m、400m、500mおよび600mの地点に射垜が設けられ、立射、伏射、膝射および依托射撃を行うに便である。
射垜は防弾堤であり、自然の山脚を利用するのでなければ高大な築堤を必要とし、また斜面の傾斜は弾丸の跳飛を防ぐため垂直に近いほどよく、また弾丸の吸収しやすい土質であることを要する。
監的壕は標的の直下、射垜の脚部にあって、監的勤務者はここに位置して監的鏡によって射場と連絡し、標的の操作、標示、弾痕の修理その他を行う。
標的は上下2枚に連絡され、命中するごとに回転して命中点数および位置が標識され、弾痕が修理される。 拳銃射撃は通常小銃射撃場で行われ、小銃射撃場は両側に高い壁堤が設けられ、また標的設置地点は上部を高く築堤されるが、ときには跳飛弾あるいは誤射によって危険を将来することがある。
そのために東京の戸山、大阪の射撃場のように射場全体を被覆して危険を防止することも行われた。
東京、大久保の射撃場は、15個月の工期、180万円の工費で昭和3年7月竣工、射場隧道は各隊標的配置の関係から4的が1隧道に収められ、計7個。
形式は主体は鉄筋コンクリート造、壁厚最少で150cm(発射場およびその付近は内部に厚6cmマツ板を被覆)、パラボリックアーチ、幅20m、高8m、延長各320m。
本射場は小銃、騎銃、機関銃の200および300m射撃に使用され、立射、伏射のみが設けられ、膝射は伏射台が兼用された。
従来の発射位置を前進させるのとは異なり、本射場は防音上、固定位置とし、標的の位置を200および300m(これ以上は陸軍練習場で行う)に設け、通信は監的鏡を廃し電話で行った。
採光はアーチの各所に欠折部を、標的上部の隧道にはガラス天窓を、設けて自然光線によった。
標的は従来の回転式を廃し上下動式である。
大阪の射撃場はアーチを廃して方形で、的数をふやした。
営内射撃場は隧道式で、各屯営内に設けられた。
射撃名誉旗 [編集]
陸軍の歩兵隊で名誉射撃の成績が優秀であることを表彰するために射撃名誉旗が交付される。
旗は緋塩瀬絹で、旗竿の長は4尺、竿頭に金箔塗の球丸を付し、旗中央に白のサクラの5弁の花に重ねて2丁の檳榔子色の三八式歩兵銃が交叉する。
最初、師団の4個聯隊を通じて最優等の中隊に交付され、のちに聯隊ごとに最優等の中隊に交付され、のちに廃された。
名誉射撃は射撃教育を奨励し、射撃術の進歩の程度を知ることを目的として年1回行われた。
射撃徽章 [編集]
射撃術の奨励のために歩兵、工兵の基本射撃の成績の優秀な各級の射手に授与される。
全服役間制服着用の場合佩用する。
3種ある。金属製で、金色、銀色および銅色。
- 第1種 特別射手 聯隊15名につき1個
- 第2種 一等射手 各大隊下士15名につき1個 各中隊18名につき1個
- 第3種 二等射手 各中隊兵18名につき1個
各個射撃 [編集]
(1) まず部隊の小銃射撃において、各兵が各個に連続射撃することである。 部隊射撃に対して「単独射撃」ともいう。 そもそも射撃は同一人物が同一の銃を使用してほぼ同一の条件下で行われるが、弾丸がそのたびごとにかならず同一点に命中するものではないが、これは銃の各部位、弾薬構造上の差異その他の避けることのできない多数の条件による。
いまかりに中程度の射撃者が軍装かつ伏射で多数の弾丸を同一点を目標として発射するとすれば、その弾着はおおよそ次の表の半径の楕円内である。
| 射距離 (m) | 200 | 300 | 400 | 500 | 600 | |
| 歩兵銃 (cm) |
垂直 | 26 | 38 | 52 | 64 | 78 |
| 水平 | 24 | 36 | 48 | 60 | 72 | |
| 騎銃 (cm) |
垂直 | 28 | 46 | 64 | 84 | 108 |
| 水平 | 24 | 44 | 62 | 82 | 106 | |
| 軽機関銃 (cm) |
垂直 | 24 | 36 | 48 | 62 | 79 |
| 水平 | 26 | 41 | 57 | 73 | 91 | |
備考 (1) 楕円面は射距離とともに増大し、垂直半径は射距離がある程度(約1000m)以上になると落角の関係から縮減する。 (2) 実際の弾着のほぼ半数は表の楕円面の中央4分の1にはいる。 (3) 機銃の楕円面が歩兵銃のそれよりも大きいのはその銃身が短いためである。 (4) 軽機関銃は脚上に托されるために上下の誤差が大きくないが、左右(水平)の誤差の小さくないことがわかる。
(2) つぎに一斉射撃に対する各個射撃がある。 小銃の一斉射撃はかつては行われ、のちに行われなくなった。 日露戦争においてはロシア軍によっておおいに用いられ、大日本帝国軍の心胆を寒からしめた。 しかし機関銃の発達その他によって各個射撃のみとなった。 砲兵においては集団的効力の観点から一斉発射(斉発)が重視され、各個射撃は試射その他の目的で行われた。
(3) 戦闘の激烈な戦線においてもはや号令その他による部隊の統制が困難となるときは分隊長は「各個射撃」を命ずる。 このときは散兵は独自の判断で射撃を行う。
狭窄射撃 [編集]
狭いところでの小銃射撃の照準および撃発の練習のために行われる、模擬射撃である。 訓練用に特別に作成された円鉛弾(狭窄弾)と、黒色火薬が用いられる。 射距離は 15m で、その位置にある標的を狙撃する。 標的は、あるいは隠顕し、あるいは移動し、あるいは射倒して、また、ときには競点射撃が行われて、射撃への嗜好心を刺激するようになっている。 その射撃場は通常は兵営内、または練兵場その他の一隅を利用して設けられ、その危険域は 200m にもなるためにその危険防止のためには細心の注意が払われた。