チェス

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チェスの駒
チェスの駒

チェス (chess) は、2人で行なうボードゲームの一種である。世界中で広く楽しまれており、カードゲームなども含めたゲーム全般においてもブリッジと並んで最も多くプレイされている。

遊戯としての側面のほかに、ARISF加盟IOC承認スポーツであるなど、スポーツとしての側面ももつ。競技としてのチェスは、頭脳によるスポーツの代表格でもある。ゲーム理論では二人零和有限確定完全情報ゲームに分類される。

目次

[編集] ルール

詳細はチェスのルールを参照。

[編集] 用具

チェスセットと対局時計
チェスセットと対局時計
チェスの駒
Image:Chess king icon.png キング
Image:Chess queen icon.png クイーン
Image:Chess rook icon.png ルーク
Image:Chess bishop icon.png ビショップ
Image:Chess knight icon.png ナイト
Image:Chess pawn icon.png ポーン

最低限必要な物

  • チェスボード : 縦横8マスずつに区切られた、 市松模様の正方形の盤。
  • : 6種類の動き方が異なる駒。全体の駒の数は、白黒あわせて32個。

公式戦などで必要になる物


[編集] チェスのルール(概略)

駒の初期配置
Image:chess_zhor_26.png
Image:chess_zver_26.png
Image:chess_zver_26.png
Image:chess_zhor_26.png
  • ゲームは2人のプレイヤーにより、チェスボードの盤上で行われる。
  • 白が先手、黒が後手となる。
  • 双方のプレイヤーは、交互に盤上にある自分の駒を1回ずつ動かす。パスをすることはできない。
  • 味方の駒の動ける範囲に敵の駒があれば、それを取ることができる。
  • 敵の駒を取った駒は、取られた駒のあったマスへ移動する。取られた駒は盤上から取りのぞく。
  • ほとんどのチェスの駒は、他の駒を飛び越して移動することはできない。ただし、ナイトキャスリングは例外となっている。
  • キングは、敵の駒が効いている場所には移動することができない。
  • 相手のキングに、自分の駒を効かせて取ろうとする手を「チェック」と呼ぶ。
  • キングが絶対に逃げられないように追い詰めたチェックのことを、「チェックメイト」と呼ぶ。双方のプレイヤーは、負けないことを目指す。


[編集] 戦い方

チェスの戦い方は、「戦略」と「戦術」の2つの面で考えられることが多い。「戦略」(Strategy)とは、局面を正しく評価すること、長期的な視野に立って計画を立てて戦うことである。「戦術」(Tactics)とは、より短期的な数手程度の作戦を示し、「手筋」などとも呼ばれる。戦略と戦術は、完全に切り離して考えられるものではない。多くの戦略的な目標は戦術によって達成されること、戦術的なチャンスはそれまでの戦略の果実として得られることが多いからである。

[編集] 戦略

ゲームの目的は相手のキングを詰めることであるが、それは容易に実現しない。したがって、まず有利な局面を作ることが目標とされる。局面の優劣を評価する上で重要な要素は、駒を得すること(マテリアルアドバンテージ)と、駒がよい位置を占めること(ポジショナルアドバンテージ)である。

  • マテリアルアドバンテージ

チェスにおいては、相手より駒が多いか少ないかが重要な意味をもつ。駒の価値は一般に、P = 1点、N = 3点、B = 3点強、R = 5点、Q = 9点 とされ、合計点数が1点でも違うと、大きな差となる。合計点数が多いことを、マテリアルアドバンテージ (material advantage) をもつという。ポーン (P) を1個多く奪われることは、多くの場合勝敗に大きく影響する。終盤では、ポーンがクイーンになるプロモーションの争いとなることが多いからである。

  • ポーンの形

ポーンは動きに制約があり狙われても容易に逃げることができないので、ポーンが狙われにくい形であることは重要である。両横のファイルに味方のポーンがいないポーンは孤立ポーンと呼ばれ、守るのが困難である。また、Pは後退できない駒なので、前進には慎重さを要する。

  • キングの安全性・空間・重要なマスのコントロール等も大きな要素である。

[編集] 戦術

戦術は1手から数手程度で完結する短期的な戦い方の技術である。戦術では「先を読む」ことが重要で、コンピューターが得意とする分野である。戦術においてよく用いられる基本的な手段としては、フォーク(両取り)、ピンディスカバードアタック、スキュア(串刺し)などがある。戦術のなかでも、駒の犠牲を払って優位な形やチェックメイトを狙うものは、「コンビネーション」と呼ばれている。

[編集] ゲーム全体の流れ

チェスの1局は、序盤・中盤・終盤の3つの局面に分けて考えられることが多い。序盤(Opening)は、最初の10手から25手程度を指し、対局者が戦いに備えて駒を展開する局面である。中盤(middlegame)は、多くの駒が展開され戦いが繰り広げられる局面である。終盤(endgame)は、大部分の駒が交換され盤上からなくなった局面で、キングが戦いにおいて重要な役割をはたす。 チェスの戦い方を表す格言として、「序盤は本のように、中盤は奇術師のように、終盤は機械のように指せ。」[1]という言葉がある。序盤はできるだけ確立された序盤定跡に従うことが望ましい。中盤は記憶では対処できず、その場に応じた巧みさが要求される。終盤は機械的な読み深さの優劣で決まる。

[編集] 序盤

  • 序盤定跡

詳細は、オープニング参照。 序盤定跡については、Batsford Chess Openings 2 (BCO2)[2] や Modern Chess Openings (MCO)[3] が詳しい。

  • 序盤の原則
    • 中央支配

中央を支配することは要点の一つである。中央を支配することによって陣地が広がるので、自分の駒は移動の選択肢が増え、相手(敵)の駒は移動の選択肢が少なくなる。 白の二つのポーンが d4 と e4 に並ぶか、c4, d4 または e4, f4 に並ぶファランクスは白にとって一つの理想であり、最初の数手はこれをめぐる争いであることが多い。定跡 Queen's Gambit Declined (1. d4 d5 2.c4 e6) の 2.c4 (gambit) は、もし黒が 2.… dxc4 と取れば 3. e4 としてファランクスを作る意図であるし、そうしない 2. … e6 (declined) は、中央を守ろうとするものである。

    • マイナーピースの展開とイニシャティブ

数多くのマイナーピース(NとB)を早く中央寄りに繰り出すことも重要である。最初の位置よりも中央寄りであるほうが、利きが及ぶ点が多く、駒の力を活かすことになる。 さらに、敵の駒に利きを及ぼすことによって、敵の手が制限されてくる。狙われた駒が守られていない駒ならば、それを守る手が必要になるし、狙われた駒が既に守られている駒であっても、その駒を守っている駒が動かせなくなるという制限を受けることになる。つまり、敵の手の選択肢が減ってくる。このような状態をイニシャティブを取った状態という。 Ruy Lopezの 1. e4 e5 2. Nf3 Nc6 3. Bb5 という動きはこれらの原則の典型である。

[編集] 称号

終身称号 備考
グランドマスター 男子 GM, 女子 GMW
国際マスター 男子 IM, 女子 IMW
FIDEマスター 男子 FM, 女子 FMW
国際審判 IA
通信チェスグランドマスター ICCF GM
通信チェスシニア国際マスター ICCF SIM
通信チェス国際マスター ICCF IM
期間称号 備考
各種世界チャンピオン 国際チェス連盟が定める規約に従って選出された者
各種国内チャンピオン 国際チェス連盟加盟国協会が定める規約に従い選出された者


[編集] 通信チェス

駒の動きを1手ずつハガキなどでやりとりする郵便チェスpostal chessに始まる。通信技術の進歩によって、電報電子メール電子掲示板によっても行われるようになった。現在、国際通信チェス連盟(ICCF)では、ICCFのサイト上で行なうウェブチェスwebchessが主流となっていて、世界では郵便チェス、Eメールチェスはすたれつつあり、意外にも日本では郵便チェスとwebchessは人気を二分している。2007年11月現在、日本にはICCF GMが2人(大竹栄、酒井清隆)、ICCF SIMが1人(富澤尊儀)、ICCF IMが2人(小野田博一、寺田章次)いる。また、現アジア・アフリカチャンピオンの早川悟がいる。

[編集] コンピュータとチェス

チェスの初手から最終手までにルール上可能な着手は、1950年クロード・シャノン[4]によって10120と試算された。コンピュータの黎明期からコンピュータにチェスをさせるという試みは行なわれ、コンピュータの歴史と、コンピュータチェスの歴史は並行して歩んできた。

[編集] トルコ人

トルコ人。ケンペレンによって製作された自動チェス人形で「メルツェルの将棋指し」として有名
トルコ人。ケンペレンによって製作された自動チェス人形で「メルツェルの将棋指し」として有名

史上最も古い「チェスマシーン」は、1769年にハンガリーの発明家ヴォルフガング・フォン・ケンペレンによってハプスブルク家当主マリア・テレジアを歓待するために作られた、「トルコ人」(en:The Turk) として知られるものである。トルコ人の衣装を身にまとい、木製キャビネットに鎮座したこの人形は、名人級のチェスの腕を披露するだけでなく、ナイト・ツアーをこなし、チェスボード上の文字を指し示すことで観客の質問にも答えたという。

「トルコ人」はまずヨーロッパ、ついでアメリカで興行を行ない、多くの人々を驚かせた。「トルコ人」と対戦した人々には、ナポレオン・ボナパルトベンジャミン・フランクリンなどの有名人も含まれる。また、人の代わりにチェスをプレーする機械という存在は、エドマンド・カートライトに人の代わりに布を織る機械という発想を与えたともいわれる。

この「トルコ人」は世界初の「チェスマシーン」であるだけでなく、世界初の大型装置を使ったマジック(イリュージョン)としての重要な側面も持つ。つまり、この機械の「人工知能」はまさに人間であり、人が人形の中に隠れて操作をしていたのであった。主催者は興行に先立ってキャビネットの扉を順々に開け、中身が機械仕掛けだらけである事を観衆に提示するが、アメリカで「トルコ人」を見物した当時まだ無名のジャーナリストであったエドガー・アラン・ポーは、エッセイ『メルツェルの将棋指し』の中で、「扉を開け、なおかつ中に人が入っている事を隠す」方法を、かなり正確に推理している。

「トルコ人」は1854年、引き取られたアメリカの博物館で火事に遭い、焼失した。

[編集] 現代

今日では人間コンピュータの対戦もよく行われている。1997年IBMのコンピュータ「ディープ・ブルー」がガルリ・カスパロフと対戦し、初めて世界チャンピオンに勝利を収めた。そのため、人間がコンピュータに負けにくいアリマアという新しいボードゲームが考案された。その後も人間の名人対コンピュータの対戦は行われ、2002年の10月に行われたウラジーミル・クラムニクとコンピュータソフト「ディープ・フリッツ」とのマッチでは、両者が引き分けた。2003年1月26日から2月7日までニューヨークで行なわれたカスパロフと「ディープ・ジュニア」とのマッチも、1勝1敗4引き分けで両者引き分けに終わり、2003年11月11日から11月18日まで行なわれたカスパロフと「X3Dフリッツ」のマッチも、1勝1敗2引き分けで両者引き分けに終わったが、2006年10月に統一世界チャンピオンとなったクラムニクとディープ・フリッツとの6ゲームマッチが2006年11月25日から12月5日までボンで行なわれ、ディープ・フリッツが2勝4引き分けでマッチに勝った。

[編集] チェスを扱った作品

[編集] 映画

[編集] 文学

[編集] 漫画

[編集] アニメーション

[編集] ゲーム

[編集] その他

[編集] 関連記事

[編集] 注釈・参考文献

  1. ^ この格言の出典については、チェルネフとスピールマンの二説がある。前者は「最新図解チェス」(渡井美代子、日東書院)などに、後者は英語版ウィキクオートなどに記載されている。
  2. ^ Garry Kasparov, Raymond Keene (1989). Batsford Chess Openings 2, Henry Holt and Company. ISBN 0-8050-3409-9.
  3. ^ Nick De Firmian (1999). Modern Chess Openings: MCO-14, Random House Puzzles & Games. ISBN 0-8129-3084-3.
  4. ^ Claude Shannon (1950). “Programming a Computer for Playing Chess”. Philosophical Magazine 41 (314).

[編集] 外部リンク

ウィキメディア・コモンズ
ウィクショナリー
ウィクショナリーchessの項目があります。
ウィキブックス
ウィキブックスチェス関連の教科書や解説書があります。