GBRコード

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GBRコード(ガイ-ブランドフォード-ロイクロフトコード)は、チェスの局面における盤上の駒を表現する記号体系である。EGなどの専門出版物においてエンドゲームの分類、エンドゲーム・スタディの索引分類のために使われている。

GBRコードにおいて、チェスの局面は、

abcd.ef

の形式の6つの数字により表現される。

最初の4桁に関しては、白の駒1個につき1、黒の駒1個につき3として合計する。したがって、例えば、白に2個のナイト、黒に1個のナイトが残っていれば、d = 1 + 1 + 3 = 5である。ほかにキング以外の駒がなければ、この局面は 0005 と分類される。0 から 8 までの値は駒のすべての正常な組み合わせを表す。9 はプロモーションがない限り発生し得ない局面(たとえば一方にクイーン 2 個など)に使用される。

後ろの2桁はそれぞれ、白と黒のポーンの数を表す。

使用法[編集]

Leonid Kubbel First Prize, Shakhmaty, 1925 8
abcdefgh
8
g8 black knight
c6 black pawn
h6 white pawn
a3 black rook
c3 black pawn
g3 white king
a2 white bishop
e1 white bishop
g1 black king
8
77
66
55
44
33
22
11
abcdefgh
白先引き分け.
このスタディのGBRコードは0323.12g3g1[注 1]

GBRコードはまず、マテリアル(残った駒)の一般的な分類クラスとして使用できる。たとえば、A. A. トロイツキーが分析し、トロイツキーラインの発見に至った有名な「ナイト2個対ポーン1個」のエンドゲームは、GBRクラス 0002.01である。

次に、一般的なマテリアルの分類ではなく、特定の局面の索引分類として使うこともできる。この場合は、GBRコードがさまざまな方法で拡張されることがある。たとえばスタディの解答条件を示すために白先白勝ち("White to play and win")を表す"+"、または白先引き分け("White to play and draw")を表す"="をコードの前に追加する、白と黒のキングの位置をコードの後に追加する、の2つがよく行なわれる。これらを追加すると、右図のLeonid Kubbelによる白先引き分けのスタディ(First Prize, Shakhmaty, 1925)の局面は、=0323.12g3g1と分類される。さらにキング以外の駒の位置を追加することもある。こうなるとForsyth-Edwards記法と同内容の情報を含んだ記述法となる。

このコードは、リチャード・ガイ、ヒュー・ブランドフォード、ジョン・ロイクロフトにちなんで名づけられた。最初の2人がまず、駒の数を表現するために異なる数字を用いる最初の体系(ガイ-ブランドフォードコード)を案出した。そこにロイクロフトが、覚えやすいように白の駒を1、黒の駒を3と数えるように提案したのである。

GBR コードの例[編集]

白の駒 黒の駒 GBR クラス
KQ K 1000
KR K 0100
KB K 0010
KBB K 0020 あるいは 0090[注 2]
KN K 0001
KNN K 0002
K KN 0003
KN KN 0004
KNN KN 0005
K KNN 0006
KN KNN 0007
KNN KNN 0008
KNNN KNN 0009
KNNN K 0009
KPPP KPP 0000.32
KNN KP 0002.01
KQ KR 1300
KQP KQ 4000.10
KRP KR 0400.10
KRRP KRR 0800.10
KBBP KNN 0026.10
KBBP KRNPP 0323.12

脚注[編集]

注釈[編集]

  1. ^ 解は 1.Bf2+ Kh1 2.h7 c2+ 3.Be3 Rxe3+ 4.Kf2 Rh3 5.Bd5+ cxd5 6.hxg8Q Rh2+ 7.Kf3 c1Q 8.Qg2+ Rxg2
  2. ^ たとえば、白のビショップが2個とも白マスにあれば、少なくとも1個はプロモーションしたはずである。

出典[編集]