ラクロス

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ラクロス (Lacrosse) とは、球技の一種。クロスと呼ばれる先に網の付いたスティックを用いて、直径6cm・重さ150gの硬質ゴム製のボールを奪い合い、相手陣のゴールに入れることで得点を競う。男子と女子ではその他のルールが著しく異なり、また用具も異なっている。

目次

[編集] 概要

ラクロスの起源は17世紀で、北米のネイティブ・アメリカン達が、自分たちの神との繋がりを深める儀式の一環として行っていたものである。これは各チームが1,000人以上になることもあり、ゴールとゴールの距離は短くて500ヤード、長いときには数マイルにも及ぶ広大なフィールドで、戦闘や狩りに必要な耐久力、勇気を養うためのものだったと言われる。

これをフランス系の移民が発見し、スポーツ化した。ネイティブ・アメリカンたちが使用していた道具が僧侶の持つ杖 (crosse) に似ていたことから、フランス語定冠詞Laを付けてラクロス (La-Crosse) と呼ぶようになった。

現在は1チーム男子10人・女子12人で、約100m×55mの競技フィールドで行われる。ゴールは183cm四方の正方形で、アイスホッケーと同様にゴールの裏もフィールドとして使うことができる。

プレーヤーにはアタック(AT)、ディフェンス(DF)、ミッドフィールダー(MF、ミディとも呼ばれる)などの役割分担があり、ゴールを守る選手はゴーリー(G)と呼ばれる。

クロスの先についた網(ポケット)の中でボールを揺すり、遠心力を利用して保持するラクロスに特有の動作のことをクレードルと呼ぶ。

世界的な競技人口は約60万人、日本では男女合わせて約25,000人とされる。4年に一度、男女それぞれワールドカップが開催される。

オリンピックではかつて公開競技として4回(1908年のロンドン、1928年のアムステルダム、1932年のロサンゼルス、1938年のロンドン)行われたことがある。

[編集] 男子ラクロス

男子ラクロス
男子ラクロスのフィールド
男子ラクロスのヘッド(クロスの先部分)

男子では、金属製のクロス、ヘルメット、ショルダー(肩及び胸部の防具)、エルボー/グローブ(腕部の防具)を用いる。トッププレイヤーのシュートは160km/hを超えることから、“地上最速の格闘球技”と呼ばれている。

1チーム10人で、アタック3人、ミッドフィールダー3人、ディフェンス3人、ゴーリー1人。そのうちオフェンス時は6人、ディフェンス時はゴーリーを含め7人で守らなければならず、残りのプレーヤーはハーフラインを超えることが出来ない(オフサイドルール)。

フィールドの大きさは100.6m×54.8m。ゴールの周りにはクリースと呼ばれる2.74mの円があり、オフェンスはクリースの中に入ってはいけないというルールがある。

1試合は20分×4クォーター。

クロスを用いて相手にプレッシャーをかけてもよく、アメリカンフットボールやアイスホッケーに似ている。ボールを保持している選手のグローブやクロスを叩くこと、タックルすることは可能。また、ルーズボール時にボールから半径3ヤード以内にいるプレーヤーに対しては、タックルが許されている。

ボールがフィールドの外に出た場合(アウトオブバウンズ)、通常は出したチームの敵方に渡されるが、シュートの場合は、ボールが出たときにボールに一番近かったプレーヤーのチームに渡される。そのため選手たちはシュートを外した後もボールを激しく追う。これをチェイスと呼ぶ。以前はシュート以外のアウトオブバウンズでも、ボールが出たときにボールに一番近かったプレーヤーのチームのボールとなっていたが、ルール変更により、よりわかりやすくなった。

選手の交代はフライと呼ばれ、交代エリアを使い何回でも交代は可能。フィールド内を全力疾走で駆け回るミッドフィールダーは2-3分おきにフライすることも多い。

選手が扱うクロスはポジションによって異なり、アタックやミッドフィールダーは動きやすさやクロスの振りの速さを重視して約1mのショートクロス、ディフェンダーは約1.8mのロングクロス、ゴーリーは網の部分が大きいゴーリークロスを使う。ディフェンス力強化のため、一部のミッドフィールダーがロングクロスを持つことも多く、ロングミディ(LMF)と呼ばれる。なお、試合中フィールド内でロングクロスを持つことが出来るのは4人まで。

試合中にファールが起きた場合は「エキストラ・マンダウン(マンアップ)」が発生する。ファールによってペナルティを課せられた選手が一時的に退場してゲームが再開されるシステムで、ペナルティを課せられたチームはペナルティが解除されるまでは相手よりも少ない人数でプレーすることになる。ペナルティによって人数が少なくなっている状態を「マンダウン」、相手のペナルティによって数的に有利になっている状態を「エキストラ」という。

ファールは大きく2つに分けられ、テクニカルファール(軽度のファール)とパーソナルファール(重度のファール)で課せられるペナルティタイムが変わる。テクニカルファールは、ルーズボール時もしくは味方がポゼッション(ボールをキープしている状態)している時に犯した場合は相手にポゼッションを譲るのみだが、相手がポゼッションしている時に犯してしまうと30秒のマンダウンとなる。パーソナルファールはいかなる状況であろうと1-3分のマンダウンとなる。ペナルティタイムはファールの種類、審判の判断により決まる。テクニカルファールは得点時に解除されるが、パーソナルファールは引き続き試合再開後も継続となる。

また、ファールが起きた場合でもファールを受けた側がボールを落とさない限り、審判はイエローフラッグ(黄色のハンカチ)を投げてファールが生じた事を知らせるのみでプレーを続行させる。これをスローホイッスルと言う。ボールが落ちた時に試合を止め「エキストラ・マンダウン(マンアップ)」へと移行する。

[編集] 女子ラクロス

女子ラクロス

女子では、木製や金属製のクロス、シャツ、巻きスカートがユニフォームとなる。以前はミニスカートとポロシャツが主流だった。ゴーリー以外は防具の類いを使用しないため、プレーヤーの体に対するチェックはルール違反となる。金属製のスパイクも着用が認められていない。また、フィールダー(ゴーリーを除くプレイヤーのこと)は全員マウスガード着用を義務付けられている。 昨今はボールスピードの向上により、アイガードを装着している選手も見受けられる。

1チームは12人(MFが5人いる)。男子同様オフェンス時は8人、ディフェンス時はゴーリーを含め9人で守ることになる。

フィールドの大きさは横110m×縦60mが望ましいとされており、グラウンドによって多少の縮小が認められている。クリースは3mで、女子の場合はディフェンス選手も入ってはならない。クリース前方に半径11mの扇形と半径15mの半円を引き、半径11mの扇形の中でファールが起きた場合は、ファールを受けた選手がフリーな状態(フリーポジション)でシュートを打つ事の出来る処置がとられる。この事をフリーシュートと呼ぶ。

1試合は25分ハーフで、ハーフタイムが10分ある。

なお、上記はあくまでも日本のルールであり、世界各国でもそれぞれにルールが異なる。

例えば、オーストラリアの全国大会では1チーム10人・30分ハーフで行われ、フィールドの選手もヘルメット着用を認められている。

[編集] プロリーグ

北米では男子ラクロスのプロリーグ「メジャーリーグ・ラクロス(Major League Lacrosse、略称:MLL)」が1999年に設立され、現在アメリカ合衆国5チーム、カナダ1チームの計6チームが1カンファレンス制で運営している。

[編集] 日本のラクロス

日本でも、明治時代から一部では知られていたスポーツだった。しかし、一般に広く知れ渡るようになったのはかなり遅く、1986年慶應義塾大学の男子学生が日本で最初にラクロスチームを結成して以降である。その後マスコミ等に取り上げられ、爆発的に競技人口が伸び、2006年時点で約360チーム存在する。スポーツ競技の中では日本での普及の歴史がまだ浅いため、全国大会は他の競技のように社会人・一般/大学といった具合に明確に分かれてはいない。社会人・一般(クラブチーム)や大学チームの各地域リーグの代表が一堂に会して、男女それぞれ同じ時期に、全日本ラクロス選手権大会として行われている。大会初期は大学勢が強かった時代もあったが、現在では社会人クラブチームが強くチーム名は変わるが男子が9連覇中女子が12連覇中である。2008年度(第19回大会)男子優勝はFALCONS(東京)、女子優勝はFUSION(東京)であった。学生の大会では一番歴史も古く実力があると、云われているのが関東学生ラクロスリーグ(1部Aブロック・Bブロック)で2009年度(第22回大会)男子優勝は伝統校慶應義塾大学準優勝が東京大学。女子優勝は東京女子体育大学準優勝は慶應義塾大学であった。男子実力校は早稲田大学日本体育大学一橋大学東京理科大・法政大学・明治大学・東海大学]などで、女子実力校東京女子体育大学慶應義塾大学立教大学・東海大学・明治大学・日本女子体育大学]などである。 また、慶應義塾大学男子は全日本ラクロス選手権大会が開催されて以来同大会にはすべて出場している。

[編集] 関連項目

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