近代五種競技

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2004年アテネオリンピック・男子種目3000メートル走

近代五種競技(きんだいごしゅきょうぎ、英語:modern pentathlon)は、1人で射撃フェンシング水泳馬術ランニングの5競技をこなし、順位を決める複合競技のことである。

歴史[編集]

19世紀ナポレオン時代のフランスで、敵陣を突っ切って自軍まで戦果を報告することを命令されたフランスの騎兵将校が、馬で敵陣に乗り込み(馬術)、途中の敵をで討ち倒し(射撃・フェンシング)、川を泳いで渡り(水泳)、丘を越えて走りぬけた(ランニング)、という故事を元に、近代オリンピックの創立者であるクーベルタン男爵古代ギリシアで行われていた古代五種レスリング円盤投やり投走幅跳短距離走)になぞらえた近代五種として競技化を提案したのが始まりと言われる。1912年の第5回ストックホルムオリンピックにおいて種目に採用された。

日本では、1959年に日本近代五種競技連合の結成以降、1960年第17回ローマオリンピックから1992年バルセロナオリンピックまで毎回五輪出場を果たしていた。1996年アトランタオリンピック以降は2000年シドニーオリンピックで正式種目となった女子も含め、五輪への出場権を逃していたが、2008年北京オリンピック村上佳宏が16年ぶりに出場し、31位となった。2012年ロンドンオリンピックでは、男子が富井慎一(22位)、女子(初出場)が、山中詩乃(30位)、黒須成美(34位)の成績であった。

ルール[編集]

国際大会では男女それぞれに個人・団体・リレーの形式がある。オリンピックでは男女共、個人戦のみ。1996年アトランタオリンピック以降、中継を行うテレビ局側と1つの競技場で五種目全て見られたらという観客側の要望などを汲む形で、競技日数が短縮され、全ての競技を1日でこなす形式に変更された。さらに、競技時間の短縮のために、北京オリンピック後の2009年からはランニングと射撃(レーザーピストルを使用)をミックスして行うコンバインド競技に変更された。

各競技(2013年現行)
  • フェンシング - エペによる1分間一本勝負の総当たり戦。勝率70パーセントを1000点とし、得点が増減する。1勝あたりの得点は試合数により異なる。
  • 水泳 - 200メートル自由形。男女共に2分30秒を1000点とし、1秒あたり12点得点が増減する。
  • 馬術 - 貸与馬による障害飛越競技。騎乗馬は抽選により決定する。12障害15飛越(ダブル、トリプル障害を含む)で行われ、高さは最高で120センチメートル、1200点満点からの減点方式。
  • コンバインド−フェンシング、水泳、馬術の合計点の得点差(1秒4点)でスタートする。レーザーピストルを使用し、5的を50秒以内に撃ち終える射撃と800メートルのランニングを交互に4回行う。ゴールした順番が最終順位となる。

オリンピックとの関わり[編集]

馬術フェンシング、射撃の技術系種目と、水泳、陸上の基礎運動能力系種目の全く性質の異なる5つの競技について取りこぼしなく対応する総合能力が求められる。多くの国でこの多様な練習環境が全て一堂に整っていないが、日本国内では、自衛隊体育学校日本オリンピック委員会強化拠点に指定され、選手の育成が行われている。現実は国内だけでなく、海外においても、近代五種競技は軍人のスポーツという一面があるが、2012年ロンドンオリンピックでは東海東京証券所属の黒須成美が出場を果たしている。

また、現在ではオリンピックにおいて重要な要素となっているテレビ中継においては、競技施設の移動などもあり時間を要するため生中継が難しく、概してダイジェスト形式での紹介だけに終わってしまうこともネックになる。かくして、個々のスポーツではともかく、「近代五種競技」という枠で見ると世界的に見ても選手層が厚くならず、ヨーロッパを別にすればマイナースポーツの域から抜け出せずオリンピックにおいても世界規模での大衆の注目が集まりにくい現実がある。2008年北京オリンピックの前に、2012年ロンドンオリンピック以降の競技の削減候補の1つとして挙げられたが、その時点では見送りという結果になった。これ以前にもオリンピックのスリム化の議論などと並行して繰り返し削減候補とされてきたものの、2012年現在もオリンピック競技として存続している。

その背景には、近代五種競技で使用される競技施設は全て個別種目との併用がされており、この競技だけを削減したところで削減できる施設が皆無でありむしろ開催期間中の施設の効率的利用の観点からは有効であることや、個人競技であることなど、削減議論の俎上に上げられた他種目と比較しての設備投資・参加人数などからの競技削減で想定されるコストメリットの大小や、上述した事情からオリンピック競技からの除外が少なからぬ国で競技それ自体の存続に関わってくるなど幾つもの要素がある。だが、近代五種競技に限って言えば、何よりもこの競技自体がクーベルタン男爵の考案・提唱によって創始された近代オリンピックに由緒の深いものであり、競技人口や普及率・知名度などに問題を抱えていても、近代オリンピックの歴史や伝統という側面を鑑みればこの由縁を安易に無視して削減することができないという側面が大きいとみられる。

日本国内においては、射撃の用具を、比較的費用のかからないBB弾スポーツピストルに置き換え、水泳、ランニングの3種目を近代3種として普及、広報、選手発掘を行っている。さらに、国体種目化の流れや、大学を中心とした学生連合の競技活動が活発化し競技人口が増加している。

関連項目[編集]

外部リンク[編集]