スポールブール

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スポールブール(豊田想

スポールブール(Sport-Boules)は、ヨーロッパ、特にフランスイタリアで盛んな球技である。ブール・リヨネーズ(Boule Lyonnaise)とも呼ばれる。「スポール」とはスポーツの意味、「ブール」はボールの意味で、いずれもフランス語。

概要[編集]

全長27.5mのコート内で、小さい目標球(ビュット)に向かって金属製のボール(ブール)を転がし、自分のボールを相手よりもビュットに近づけたり、自分のボールを投げてほぼノーバウンドで相手のボールに当てて弾き飛ばし、相手ボールの方をビュットから遠ざけることで得点を競うのが原型である。またこれから派生し、ボールを投げてほぼノーバウンドで標的球に当てることを競う種目もある。

似たスポーツにペタンクがあるが、これはスポールブールやプロヴァンサルゲームをベースに1907年にフランスで考案されたスポーツである。

スポールブールの国際組織としては、1946年に設立された国際スポールブール連盟(Fédération Internationale de Boules)があり、現在は世界54ヶ国・地域が加盟している。日本は1983年から加盟しており、中国を除くアジア加盟7ヶ国・地域を代表する国際スポールブール連盟アジア代表のポストを保有している。

また、スポールブールやペタンクなどは「ブールスポーツ」と総称され、この国際的組織で、国際スポールブール連盟の上部組織でもある世界ブールスポーツ連合(Confédération Mondiale des Sports de Boules)は国際オリンピック委員会(IOC)加盟団体である。スポールブールはオリンピック種目への格上げの動きがされている。オリンピックの補完的な競技大会であるワールドゲームズ(次回は2017年開催)の加盟種目となっている。

歴史[編集]

ボールを目標球に近づけること自体は、原始的な発想であり、古代エジプトや古代ギリシャの文献によりスポールブールの原型は約5000年前まで遡ると考えられており、それゆえ世界で最も古い球技の一つという説がある。当時は石を研磨したボールが用いられていた。古代ギリシャではスファエラ(球形の意味)と呼ばれる球技が行われていたことが文献で示されている。古代ローマでもカラカラ寺院等には、今のスポールブールと同じようにボールを投げている人や、得点を測定している人のフレスコ画が残っている。[要出典]

中世においてもラブレーディドロスペインの画家ゴヤなどもスポールブールで楽しんでいたとの記録がある。[要出典]

コート[編集]

コートは長さ27.5m、幅2.5m~4mと規定されている。なるべく平坦な地面である必要がある。ヨーロッパ大陸各国には屋内の専用コートがあり、コンクリートの上に砂を撒いたコートが完備されている。 コートラインの各名称は以下の通り。

  • フットライン: コートの全長27.5mの端から7.5mのところに引かれる。このラインの手前から投球を行う。
  • ファーストライン: フットラインから12.5mのところに引かれる。
  • セカンドライン: ファーストラインから5.0m(女子は3.5m)のところに引かれる。ファーストラインとセカンドラインの間に最初にビュット(目標球)が置かれる。
  • サードライン: セカンドラインから2.0m(女子は1.5m)のところに引かれる。このサードラインを越えたボールはアウトになる。
  • エンドライン: サードラインから0.5m(女子は2.5m)のところに引かれる。このエンドラインが27.5mコートの端になる。
  • サイドライン: 幅2.5m~4mのコートの左右に引かれる。このサイドラインを出たボールはアウトになる。

これらのコート様式や用具、競技の進め方は、全57条の項目からなるスポールブール国際競技規則(国際スポールブール連盟が制定)にて規定されている。

用具[編集]

用具は以下の通り。

  • ボール: 直径90~110mm(女子は88~110mm)、重さ900~1200g(女子は800~1200g)。材質は真鍮製。
  • ビュット: 直径35~37mm、重さ23~27g。材質は木製。
  • バゲット: 長さ50センチ、太さ4ミリから6ミリの棒状のメジャー。長細いフランスパンに形や大きさが似ていることからこの名前がつけられた。ボールやコートの距離を測定したり、マーキング(ボールの位置を印しておく)したりする際に用いる。

ゲームの形式[編集]

ゲームは、ビュット(目標球)に向けてボールを転がして近づける「ポワンテ」と、ターゲットボールに向かって自分のボールを投げ、ほぼノーバウンドで当てて弾き飛ばす「ティール」の組み合わせで進められる。

以下の6種類の種目がスポールブールでは一般的である。

  • シングルス(Simple): 1人対1人で各自4球のボールを投げて進めるトラディショナル競技。
  • ダブルス(Double): 2人対2人で各自3球のボールを投げて進めるトラディショナル競技。
  • プログレッシブ(Tir Progressif): 5分間でなるべく多くティールでターゲットに当てることで得点を競う種目。
  • ラピッド(Tir Rapide en Double): 5分間、2人で4球ずつ交互にティールを行って得点を競う種目。
  • プレシジョン(Tir de Précision): 11種類のターゲットに対して、それぞれ1球ずつティールを行い、それらの難易度に応じて設定された得点の多さを競う種目。
  • コンビネ(Combiné): 一方がポワンテを行い、もう一方がティールを行って進める種目。

トラディショナル競技の進行[編集]

トラディショナル競技は、上記6種目のうちシングルス、ダブルスがこれに該当する。まれにトリプルス(3人対3人で1人2球ずつ)やフォアーズ(4人対4人で1人2球ずつ)も行われる。名前の通りスポールブールの種目の中で歴史が古いもので、ビュット(目標球)に相手よりいかに自分のボールを近づけるかを競うものである。

このゲームの進め方は以下の通りである。

  • コイントスまたはジャンケンによって、先攻のチームを決める。
  • 先攻チームがビュットを転がし、コートの有効範囲内で止まったところをターゲットにする。
  • 先攻チームが、ビュットに近づけるべくポワンテを行う。
  • 次に後攻チームが、相手ボールよりもビュットに近づけるべくポワンテを行う。または、相手ボールがビュットにかなり近くそれ以上自分のボールを近づけることが難しい場合は、ティールを行い、相手のボールを弾き飛ばす。
  • 自分のボールが相手ボールよりビュットに近づくまで、連続でポワンテまたはティールを行う。自分のボールを全て使い、相手ボールのみが残っている場合、相手がこれを使いポワンテまたはティールを行う。
  • 両チームがボールを全て投球した時点で、得点を数える。相手チームのボールよりもビュットに近いボールの数が、そのメーヌ(セット)で得た点数になる。これで得点を得た方が次のメーヌでビュットを転がす。これをいずれかのチームが13点を獲得するまで続ける。

ゴルフなどのスポーツと同様、スポールブールのトラディショナル競技は元来、審判員が存在しないセルフジャッジ(試合を行っている両チームの選手自身が競技規則に照らして判定する)の競技であり、フェアプレーの精神はスポールブールに欠かせない要素とされている。また、相手チームの失投を喜んだりそれを態度に出したりすることは、慎むべき行為として忌避される。

ティール・プログレッシブ

ティール[編集]

スポールブールをダイナミックなスポーツたらしめているといえるのが「ティール」で、5~7mの助走ののち、12~18m先にあるターゲットボールに当てて弾き飛ばすものである。投げたボールがノーバウンドでターゲットボールに直接当たるか、ターゲットの手前50cm以内に着地して弾いた場合のみ有効とみなされる。また、ティールのうち、投球されたボールがターゲットボールを弾き飛ばした後にそのターゲットボールの元の位置に残る投球を「カロー」という。カローは、成功すれば相手の邪魔なボールがあった場所とほぼ同じ位置に自分のボールが残ることになるため、戦略上非常に有用であるが、ターゲットボールの真正面の極めて限定的なエリアにティールされたボールを着地させる必要があり、世界の一流選手でもカローの成功率は低い。

ティールは、元々はトラディショナル競技で相手の邪魔なボールを弾くプレーであったが、ティールの正確さを競う種目としてプレシジョン・プログレッシブ・ラピッドが近年新設された。これらの種目はダイナミックな迫力があり、また競技時間が比較的短いことから、世界選手権や欧州選手権などの主要大会の準決勝、決勝ではフランス、イタリアなどでテレビ中継されることも多い。

主な大会[編集]

男子・女子とも、世界選手権が2年に一度開催される。男子の世界選手権はモナコ皇太子杯(1947年に第1回大会開催)で、次回は2015年秋にクロアチアリエカで開催予定である。日本代表は、男子は1995年のカナダ・ハミルトンでの大会から毎回出場、女子は1998年と2000年の大会のみ出場した。女子の2009年世界選手権では、近年特に選手の育成に力を入れている中国が4種目全てで優勝を果たした。

日本での国際大会としては、2001年のワールドゲームズ秋田大会にて、屋外特設コートが設営されてプログレッシブ種目のみ行われた。

歴代世界選手権[編集]

開催年 開催国 開催都市 出場国数
1 1947年 スイスの旗 スイス ジュネーブ 5
2 1948年 アルジェリアの旗 アルジェリア アルジェ 5
3 1950年 フランスの旗 フランス リヨン 6
4 1951年 イタリアの旗 イタリア ジェノバ 6
5 1952年 モナコの旗 モナコ モナコ 6
6 1953年 スイスの旗 スイス ローザンヌ 7
7 1954年 フランスの旗 フランス サンテチエンヌ 8
8 1956年 イタリアの旗 イタリア トリノ 8
9 1957年 フランスの旗 フランス ベジエ 7
10 1958年 ベルギーの旗 ベルギー ブリュッセル 6
11 1959年 スイスの旗 スイス ジュネーブ 8
12 1960年 フランスの旗 フランス ニース 7
13 1961年 イタリアの旗 イタリア トリノ 9
14 1962年 スペインの旗 スペイン ジローナ 9
15 1963年 フランスの旗 フランス トゥールーズ 9
16 1964年 スイスの旗 スイス ローザンヌ 10
17 1965年 モロッコの旗 モロッコ カサブランカ 6
18 1966年 モナコの旗 モナコ モナコ 9
19 1967年 フランスの旗 フランス ギャップ 9
20 1968年 イタリアの旗 イタリア トリノ 10
21 1970年 フランスの旗 フランス ディジョン 11
22 1972年 モナコの旗 モナコ モナコ 12
23 1974年 フランスの旗 フランス バルレバン 11
24 1975年 モナコの旗 モナコ モナコ 12
25 1976年 イタリアの旗 イタリア トリノ 12
26 1977年 チュニジアの旗 チュニジア チュニス 12
27 1978年 フランスの旗 フランス マコン 13
28 1979年 オーストラリアの旗 オーストラリア メルボルン 9
29 1980年 モナコの旗 モナコ モナコ 14
30 1981年 イタリアの旗 イタリア ノバラ 16
31 1982年 フランスの旗 フランス グルノーブル 15
32 1983年 スイスの旗 スイス ジュネーブ 16
33 1984年 ユーゴスラビアの旗 ユーゴスラビア スプリット 16
34 1985年 オーストラリアの旗 オーストラリア メルボルン 14
35 1986年 モナコの旗 モナコ モナコ 16
36 1988年 チリの旗 チリ バルパライソ 13
37 1991年 フランスの旗 フランス ギャップ 18
38 1993年 イタリアの旗 イタリア サルッツォ 24
39 1995年 カナダの旗 カナダ ハミルトン 24
40 1997年 クロアチアの旗 クロアチア リエカ 26
41 1999年 フランスの旗 フランス リヨン 28
42 2001年 スロベニアの旗 スロベニア クラーニ 27
43 2003年 フランスの旗 フランス ニース 26
44 2005年 イタリアの旗 イタリア トリノ 26
45 2007年 ボスニア・ヘルツェゴビナの旗 ボスニア・ヘルツェゴビナ グルーデ 25
46 2009年 フランスの旗 フランス マコン 33
47 2011年 イタリアの旗 イタリア フェルトレ 34
48 2013年 アルゼンチンの旗 アルゼンチン バイアブランカ 31
49 2015年 クロアチアの旗 クロアチア リエカ

歴代女子世界選手権[編集]

開催年 開催国 開催都市
1 1998年 フランスの旗 フランス ロマン
2 2000年 フランスの旗 フランス パミエ
3 2002年 イタリアの旗 イタリア サルッツォ
4 2004年 フランスの旗 フランス モンモランシー
5 2006年 中華人民共和国の旗 中国 温州
6 2009年 イタリアの旗 イタリア ベヴァーニャ
7 2010年 フランスの旗 フランス サンブルヴァ
8 2012年 トルコの旗 トルコ マニサ
9 2014年

外部リンク[編集]