マークルック

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マークルックを楽しむ人びと

マークルックหมากรุกMakrukマックルックとも)とは、2人で行うボードゲームの一種である。タイで盛んな将棋類であり「タイ将棋」とも呼ばれる。古代インドチャトランガが起源であるとされている。

概要[編集]

マークルックの盤と駒

マークルックは、日本の将棋やヨーロッパのチェスと同じく、古代インドチャトランガが起源であるといわれている。

マークルックの名手Uaychai Kongseeタイ語版1979年- )

隣国カンボジアOuk Chatrang(Cambodian Chess)とマークルックは駒の動き、駒の配置がまったく同一である。元々は一つのゲームだったと考えられている。 隣国ミャンマーシットゥインと駒の動きが酷似しており、同系統と考えられる。これらがいつ頃に成立したかはよく分かっていない。ミャンマーの記録によれば、8世紀頃にスリランカを通じてドヴァーラヴァティー王国に将棋様の盤上遊戯ボードゲームが伝えられ、それが現代のマークルックの祖であるという。なお、ドヴァーラヴァティー王国は、6世紀から10世紀にかけてチャオプラヤー川流域に栄えた王国で、モン族の建てた国であることが有力視されている[注釈 1]


考古学的な物証としては、スコータイ朝13世紀-1438年)の遺跡から駒が出土しており、これより以前にマークルックが成立していたと考えられる。

チェスのキング、将棋の玉将にあたるのが「クン」(君主)である。

名称[編集]

タイ語で「マークルック」は将棋類全般を意味する。たとえば日本の将棋は「マークルック・イープン」(日本マークルック)、シャンチーは「マークルック・チーン」(中国マークルック)と呼ぶ。日本人がchessを西洋将棋、シャンチーを中国将棋とよぶのと同じことである。

ルール[編集]

基本ルール[編集]

  • 縦横8マスの線の引かれた盤を用いる。駒はマスの中に置かれる。
  • 競技者双方が交互に、盤上にある自分の駒を1回ずつ動かす。
  • 駒は双方が6種16個持ち、それぞれ動きが決まっている。駒は立体の形状となっており、ビアは小さい円盤のような形で、昇格すると裏返せるようになっている。
  • 自分の駒を動かすとき、動く先に相手の駒があるとき、その駒を取ることが出来る。取られた駒は盤面から除去する。将棋と異なり、取った駒は再利用できない。
  • ビアは敵陣3段目に入るとビアガーイに成ることができる。不成に関しては以下の2通りのルールがあり、事前にどちらを採用するか決めておく。
    • 敵陣3段目に入ると必ず成らなくてはならない。
    • 敵陣2,3段目では必ずしも成らなくともよい。最下段では成らなければならない。
  • 相手のクンを詰めることで勝ちになる。
  • 千日手(3回の繰り返し)は引き分け。ただし連続王手の千日手は王手をかけている側が手を変えなければならない。

初期配置図[編集]

↓ルアー ↓マー ↓コン ↓メット ↓クン ↓コン ↓マー ↓ルアー
               
↓ビア ↓ビア ↓ビア ↓ビア ↓ビア ↓ビア ↓ビア ↓ビア
               
               
↑ビア ↑ビア ↑ビア ↑ビア ↑ビア ↑ビア ↑ビア ↑ビア
               
↑ルアー ↑マー ↑コン ↑クン ↑メット ↑コン ↑マー ↑ルアー

駒の動き[編集]

動き
クン(ขุน、Khun、君)
全方向に1マス動ける。将棋の玉将と同様。
ルアー(เรือ、Rua、船)
   
   
縦横に何マスでも動ける。飛び越えては行けない。将棋の飛車と同様。
コン(โคน、Khon、根)
   
 
前と斜めに1マス動ける。将棋の銀将と同様。
マー(ม้า、Ma、馬)
     
     
       
     
     
ナイト八方桂と同様の動き。
メット(เม็ด、Met、種)
 
   
 
斜めに1マス動ける。
ビア(เบี้ย、Bia、貝)
   
     
前に1マス動ける。ただし駒を取る時は斜め前に1マス動く。ポーンと同じ。ただしチェスのように初手で2歩前進することはできない。奥の3段以内に入るとビアガーイに成れる。
ビアガーイ(เบี้ยหงาย、成ったビア)
 
   
 
斜めに1マス動ける。メットと同じ。

引き分け規定[編集]

  • 片方が裸玉(クン1個だけ)になり、かつ昇格していないビアがない場合、裸玉の側が手番に宣言できる。裸玉の側がその時点の相手の駒によって決まる手数分だけ逃げ切れば引き分けとなる。以下その決め方。
    1. 相手にルアーが2個あれば8。1個なら16。
    2. ルアーがなく、コンが2個あれば22。1個なら44。
    3. ルアーもコンもなく、マーが2個あれば32。1個なら64。
    4. メットとビアガーイしかなければ、個数に関わらず64。
    • 以上を基本点として、これらから盤上の全駒数(双方のクン含む)を引いた数が手数になる。たとえば相手がコン1個、マー2個、ビアガーイ2個ならば44(基本点)-7(駒数)=37手逃げ切れば引き分け。
  • 次の組み合わせは駒枯れで引き分けとなる。
優勢側 劣勢側
繋がったビア2個と離れたビア1個 ビア1個
マー・コン・ビア各1個 ビア2個
ルアー1個 ビア3個、またはマーかコン1個とビア1個
コン・マー各1個 コン1個、またはマー1個
ルアー・ビア各1個 ルア1個
コンかマー1個とビア2個 ルアー1個
コンかマー1個とビア3個 ルアー・ビア各1個
ルアー1個とコンかマー1個 ルアー1個
繋がったビア4個 ルアー・ビア各1個
ルアー2個 ルア1個とコンかマー1個

双方にクン以外の駒があり、かつ昇格していないビアがいない場合、手番の側が宣言できる。宣言された側が64手以内にクンを詰められなければ引き分けとなる。

脚注[編集]

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注釈[編集]

  1. ^ モン族はモン・クメール語派に属し、使用言語はモン語。ミャンマーとタイに多く居住する。

出典[編集]

参考文献[編集]