回転式拳銃

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回転式拳銃 コルト・パイソン

回転式拳銃は、拳銃の一種。リボルバー(Revolver)とも呼ばれる。

概要[編集]

最初期のリボルバーの一例。8連発 マッチロック式小銃、 (ドイツ 1580年頃)

レンコン状の回転式弾倉(シリンダー。輪胴とも称される)を有するのが特徴で、装弾数は標準で5~6発だが、競技用や小口径弾を使用するモデルには、7〜12発程度装填可能なものもある。銃身を有しない物はペッパーボックスと呼ばれる。

機構としては既に16世紀にはあったらしく、ノルウェーのマイハウゲン博物館に1597年製のフリントロック8連発の回転拳銃が現存しており「動画映像」、これはドイツ製だといわれている。しかし、手動でシリンダーを回転せねばならない上に発火も確実とは言い難く、高価で実用品とはほど遠い貴族のステータスシンボルの様な物であった。

一般的に普及したのはアメリカサミュエル・コルトが、撃鉄を上げると同時にシリンダーが連動して回転する機構で特許を取った1836年以降である。初期は管打式(パーカッションロック)で製造され、1857年S&Wによって金属薬莢を使う実包(メタリックカートリッジ)が開発されると順次転換されていった(ただし、特許問題でS&W以外は1869年まで金属薬莢式回転拳銃を製造出来ず、過渡期には南北戦争で大量に出回った旧式のパーカッション拳銃を実包仕様に改造したコンバージョンガンも多い)。

特徴[編集]

回転式拳銃 S&W M642

頑丈で、自動式拳銃よりも多岐にわたる弾丸が使用出来る。構造が簡単なので信頼性も高い。このため、いわゆるマグナム弾等の強力な弾薬の使用例も多い。また、不発が発生した場合にもハンマーを起こす(シングルアクション:後述)、または引き金を引くだけ(ダブルアクション:後述)で次弾をすばやく発射できるという利点もある[1]

欠点は、自動式拳銃に比べ装弾数が少ないこと、弾薬の再装填に時間が掛る[2]、一部を除き弾倉と銃身の間に隙間(シリンダーギャップ)があるため、発射ガスがそこから放射状に飛散しエネルギーのロスが生じ、発砲音も高い[3]ことである。この弱点を克服するため、ロシアナガンM1895などシリンダーが前進して銃身に密着するガスチェック式拳銃も開発されたが、専用実包が必要になったり、機構が複雑となるために主流にはならなかった。

自動式拳銃の普及後も護身用、警察用、狩猟用等としての需要があり、古い年代のものは芸術品としての人気も高い。

リボルバーは弾倉の保持方法で弾倉振出式(スイングアウト)や中折れ式(トップブレイク)、固定式(ソリッドフレーム)に大別できる。

弾倉振出式(スイングアウト)
現在の回転式拳銃で最も普及している保持方法。シリンダーを振り出しそこから弾を込める。トップブレイク式の装填の容易さと、ソリッドフレームの堅牢性を両立している。
シリンダーの振り出し方向は基本的に左側だが、例外も存在する(例としてマテバ 2006Mはシリンダーを上に振り出す)。
中折れ式(トップブレイク)
銃身を折り、露出したシリンダーに弾を込める方式。1870年に開発されたS&W No.3で採用された。その後の第一次~第二次世界大戦期においても一部のリボルバーで使用されている。
堅牢性はスイングアウトとソリッドフレームに劣るが通常の拳銃弾なら充分で、中には.455口径もの大口径弾を撃てるウェブリー・リボルバーのような銃もある。
再装填がすばやくできる。具体的には他の2つの方式がエキストラクターロッドを使って空薬莢を捨てるのに対し、トップブレイク式は銃身を折った際にヒンジの効果で内蔵されたロッドが自動的に空薬莢を弾き出すことができる。
固定式(ソリッドフレーム)
文字通りシリンダーが固定されている方式。西部開拓時代のリボルバーに見られる。振り出しや中折れができないため、再装填は銃後部のローディングゲートと呼ばれる場所から空薬莢を一発ずつ捨て、それからまた一発ずつ次弾を装填するか、シリンダーその物を取り外して装填する(旧式のパーカッション式拳銃やそのコンバージョンガン。安物のサタデーナイトスペシャルに多い)。
このため、再装填に長い時間がかかるが、その分堅牢性は非常に高く、通常より威力の高い強装弾を使用することができる(強力なマグナム弾を使用するパイファーツェリスカなど)。

射撃操作[編集]

回転式拳銃 S&W M60

回転式拳銃の基本的な射撃操作と、拳銃の挙動は以下の通りだが、競技用拳銃などに操作の異なるものがある。

シングルアクション[編集]

シングルアクションとは一発撃つごとに手で撃鉄を起こす必要がある銃、また操作法を指す。

  1. 弾薬を回転式弾倉に装填し、銃に戻す。
  2. 撃鉄(ハンマー)を指で引き起こす。銃内部のバネを圧縮した状態で撃鉄は止まる。
  3. 上記操作と連動して弾倉が回転し、弾薬が発射位置まで移動したところで弾倉が固定され、発射準備が完了する。この状態をコッキングと呼ぶ。
  4. 引き金を引く。撃鉄が作動して落ち、弾薬の底部にある銃用雷管を叩いて火薬が発火し、弾丸が発射される。

引き金が撃鉄を倒すという一つ(シングル)の動作しかしないことからこう呼ばれる。片手撃ちの場合、基本的には親指でコッキングして発射準備をする。シングルアクション専用銃は西部開拓時代に全盛を極めた。

引き金を引くのに必要な力(トリガープル)が軽く、引き金を引く距離(トリガーストローク)が短い。このためにダブルアクションに比較して命中精度は高くなる反面、コッキング状態での暴発事故が多発しやすい。

速射する場合には空いている手の親指と小指で掌を扇ぐようにコッキングし連続射撃を行う。この動作をファニング(ファニングのファンとはのこと)といい、西部劇などでよく見られる。元始のリボルバーにはダブルアクション機構がなかったための連射技。しかし、実弾射撃の場合は一発発射するごとの反動が大きいので、次弾以降の命中精度を維持するのは難しい。空包を使用した映画やショーならではのテクニックである。

ダブルアクション[編集]

ダブルアクションとは弾丸の発射に際し、引き金を引くだけで撃鉄が起き上がってから落ち、連続で発射が行える機構やその操作法のことを指す。

  1. 弾薬を回転式弾倉に装填し、銃に戻す。
  2. 引き金を引く操作と連動して撃鉄が起こされる。さらに連動して弾倉が回転し、弾薬が発射位置まで移動したところで弾倉が固定され、発射準備が完了する。
  3. 弾倉の固定とほぼ同時に、引き続けていた引き金が定位置に来た段階で連動していた撃鉄が落ち、弾丸が発射される。

引き金が撃鉄を起こし、さらに倒すという2つの動作をすることからダブルアクションという。引き金を連続して引くだけの簡単な操作で連射できるが、撃鉄を起こす余分な力がいるためトリガープルがシングルアクションより大きいことや、トリガーストロークが長くなり撃ちづらく、命中精度が落ちるなどの欠点もある。

しかし、常態ではコッキングされず、その重いトリガープルは暴発防止には有効に働く利点ともなるため、ダブルアクション専用銃は手綱を握り、片手使用を余儀なくされる騎兵用の二十六年式拳銃や20世紀初頭の安価な護身拳銃[4]に採用例が見られる。

現代のリボルバーアクション[編集]

現代のリボルバーの大部分はシングルアクションとダブルアクションの両方の操作ができるようになっているが、シングルアクション専用(スタームルガー・ブラックホークなど)やダブルアクション専用のものもある(S&W M40など)。ダブルアクション専用銃は、銃の取扱いに不慣れな者による暴発事故を防ぐ他、格闘時などに偶然もしくは相手の妨害により、ハンマーと雷管を叩く隙間に異物が挟まることで撃鉄が雷管を叩けなくなったり、異物がクッションとなって雷管が発火せず射撃不能になる事を防ぐ意味もある。

回転式拳銃の場合、シングルアクションで撃鉄が起きたコッキングの状態ではほんのわずかの引き金の操作で発射が可能であり、高い命中精度が期待できる。この点が回転式の利点ではあるが、コッキング状態で固定する安全装置は付いていないため、取り扱いには慎重を要する。

また、撃鉄を起こした状態から射撃を中止する場合、手動で撃鉄の位置を戻す(デコッキング)必要があるが、暴発の可能性が有り危険である。撃鉄を起こした状態では弾倉を振り出すことが出来ないため、さらに取り扱いを難しくしている。

これが前述のダブルアクション専用という銃の出現の理由となり、常にダブルアクションで操作するため比較的安全である。

撃鉄が起きていない状態でも落下等により撃鉄に衝撃が加わると暴発する可能性があるので、引金を引く操作をしない限り撃針が弾薬に触れないように構造的工夫がされている銃が多い[5]

リボルビングライフル[編集]

コルトM1855 リボルビングライフル(カービン)

リボルビングライフル(Revolving rifle)は回転式装弾機構を持った小銃の一種。短銃身のカービンタイプ以外は厳密な意味では拳銃ではないが、リボルバーの仲間としてここで解説する。

パーカッション時代になっても小銃サイズの連発式火器は複数銃身を持つ物以外、実用的な銃がなかなか成功しなかった。これを成功した連発機構を持った回転式拳銃をスケールアップすることで解決しようとした試みが、19世紀中頃に誕生したリボルビングライフル(カービン)と呼ばれる火器である。だが、結果的には失敗したカテゴリーの銃となった。

短銃身の回転拳銃に肩当て銃床を取り付けたカービンタイプ(片手で操作可能。または用心鉄かグリップの下にもう片手を添える)はそれなりに機能したのだが、長銃身の小銃を保持するのには片手を銃身の下部に添える必要があるため、シリンダーギャップから前方へ噴出する発射ガスがそれを直撃し、火傷を負う問題(よって素手での操作は火傷を覚悟する必要があり、使用時には革手袋が必須となる)を最後まで解決出来なかったためである。

しかし、ウィンチェスターライフルを筆頭とするレバーアクション式ライフルが開発されるまで、これに代わる連発機構もなかったため[6]、一時はコルト等の大手も参入して盛んに製造され、南北戦争ではコカチネット州で北軍大佐になったサミュエル・コルトが、1861年に私費を投入して同社のリボルビングライフルを装備する「コルト第一リボルビングライフル連隊」などという部隊まで編成している[7]

代表的な銃には、コルト第一連隊の装備にもなったコルトM1855リボルビングライフルがある(各種口径が揃っており、散弾仕様もあった。特に70口径の銃は「エレファントガン」とも呼ばれた)。メタリックカートリッジ時代になっても、オプションパーツとして回転拳銃をリボルビングカービン化する脱着式ストックが作られている。

主なリボルバーの一覧[編集]

脚注[編集]

  1. ^ 近年の自動式拳銃ではダブルアクションを採用したものも多く、不発弾を再び叩いて不発に対応することが可能である。だが、銃弾そのものが不良品であった場合など、不発弾の雷管を再び叩いても発射されない場合があるため、再装填せずに次弾を発射できるリボルバーの利点は不変である。
  2. ^ 再装填に関しては「スピードローダー」と呼ばれる専用の装填器具を用いることで装填時間を大幅に短縮することができる。他に3発の実包をまとめた半月型の「ハーフムーンクリップ」、6発の実包をまとめた円盤形の「フルムーンクリップ」と呼ばれる金属製装弾子で一気に装填する方法もある。
  3. ^ このためナガンを除けば、消音器を使用しても減音効果は皆無である。
  4. ^ アイバージョンソンやH&Rなど、いわゆるサタデーナイトスペシャルほど粗悪ではないが、それに近い鋼製の二流拳銃。ダブルアクション専用なのにはコスト削減の意味もあった。
  5. ^ 遊戯銃では実銃にはない安全装置が追加して設けられていることがある。またスミス・アンド・ウェッソンでは1990年代後半から、新しい機種には安全装置を設けた。シリンダーラッチ下に鍵穴があり、これを専用の鍵でロック方向に回すと撃鉄が動かなくなる。トーラス(タウルス)でも、新型機には撃鉄の下に「セキュリティ・ロック」の鍵穴が設けられている
  6. ^ ヨーロッパでは1836年にボルトアクションライフルが開発されていたが、19世紀末になるまでは連発機構を備えるまでには至っていない。
  7. ^ しかし、同連隊はコルトの病死により実戦投入はされずに解散した。池田書店「ピストル PISTOL」61~62P。

関連項目[編集]

外部リンク[編集]