狩猟

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イノシシ狩りを描いた絵画
イノシシ狩りを描いた絵画

狩猟(しゅりょう)とは、野生動物特に鳥類哺乳類を捕獲することである。ハンティング (Hunting)ともいう。

漁労採集活動と並んで、人間社会の最初期から存在する生業とされている。

目次

[編集] 目的

狩猟の最たる目的は、皮革油脂羽毛といった、人間生活に不可欠なものや産業的に価値のある資材を獲得することである。農耕牧畜の普及以前から今日に至るまで世界の随所で行われている。時代が降りるにつれ、牧畜業が発達した地域では食糧を得る目的での狩猟は減少した。

近代以降は、生活の必需品を得る目的よりも象牙アザラシヒョウ毛皮といった特に商品価値の高い資材の獲得を目的に大規模な狩猟が行われ、特定の種の生息数が激減するなどの生態系への深刻な影響が現れている。狩猟が行われる地域の法規や、絶滅のおそれのある野生動植物の種の国際取引に関する条約(ワシントン条約)で制限が加えられても密猟は後を絶たない。

第二の目的は人間の生活環境にとって不都合を起こす動物を駆除することである。これには主に3つのケースがある。ひとつは直接的に人間や住居を襲う動物を撃退すること、次は飼育している動物や栽培している植物を捕食する動物を駆除すること、もうひとつは従来は存在しなかった外来種の侵入により生態系が乱されることの防止策として選択的に駆除することである。この目的の特殊な例として、人間が特定の種の個体数を意図的に増加・減少させてしまった結果、その生態系のバランスが崩れ、それを修正するために別の種を狩猟するというかたちがある。この目的で捕獲した鳥獣は、副次的に資材を得るために用いる場合がある。

第三の目的は、趣味としてで、自然の中で鳥獣を狩る為の知識と判断を試したり、猟犬や猟友との連携を楽しむ事を一義としたものである。日本における鳥獣の保護及び狩猟の適正化に関する法律では、捕獲した鳥獣そのものや、残滓の放置は禁じられており、持ち帰る事が義務付けられている。鳥獣の体を食用にする以外に剥製にして観賞用とする事も多い。古い時代では貴族・王族といった特権階級や富裕層の間で行われ、また武士のような戦士階級の軍事演習としても行われたが、近現代においては許認可を受けた一般市民においても行われる。

[編集] 集団による狩猟

アフリカ熱帯雨林に暮らす人々や、日本における銃を用いた大型獣の狩猟などは、集団によって行われる。日本のシカやイノシシ猟を例にとると、グループの中で獲物を追い立てる役と、獲物の逃げ道沿いに待ち伏せをして銃を構えている役とに別れて狩猟する。

このように集団で捕った獲物は、狩猟の参加者あるいは村落全体で配分されるという事例が、日本においても、サン人ムブティ族などアフリカにおいてもみられる。

[編集] 狩猟による環境への影響

銃弾による水鳥の鉛汚染
現代の狩猟で鳥類を捕獲する場合は、主に散弾銃を用いて行う。この実包の中にはでできた散弾が多数封入されている。鳥類には砂のうに小さな土石の粒を蓄える種があり、それらが土や小石等と一緒に散弾をついばむことで体内に鉛をためてしまうことにつながり、鉛中毒で死に至る。この問題は水辺に放出された鉛散弾を水鳥が摂取することで発生する。陸鳥が鉛散弾を摂取して中毒となった例は報告がない。
対応として、散弾の素材を鉛以外の金属(スチール・ビスマス・錫・タングステンポリマー等)を用いた散弾実包が製造されている。また、その使用義務が日本国内でも一部地域にある。しかし既に水辺に放出された鉛散弾が深く沈下するまでには数十年かかるため、水鳥鉛中毒の発生は徐々にしか減少しないと考えられている。
銃弾によるワシ類の鉛汚染
北海道のエゾシカ猟に代表される鹿猟では、散弾銃にスラッグ弾を込めたもの、あるいはライフル銃が用いられる。この鉛でできた実包で鹿を撃ち、被弾部位を含む残滓を放置すると、ワシ類やカラスなどがそれを食べる。この際、被弾部位にちらばった細かい鉛弾が砂のうに蓄えられ、散弾による水鳥の鉛中毒と同じように、ワシ類でも鉛中毒が引き起こされる。
対応として、鉛以外の金属(銅、タングステンポリマー等)を用いたスラッグ弾あるいはライフル弾の実包が製造されている。北海道では鉛弾の利用は全面的に禁止されており、宮城県などの地域でも使用禁止が広がってきている。北海道では、平成10年度に回収されたワシの死体のうち約80%が鉛中毒だったが、平成17年度にはその比率が10%未満に減少している。完全に0にならない理由として、違法な狩猟者の存在や、既に半矢で体内に鉛弾を有している個体の存在が挙げられている。
個体数のバランス崩壊
生態系は、よく知られる食物連鎖のほか、未解明のものも含めて極めて複雑なメカニズムによって各種生物の個体数や生息地域のバランスが保たれている。しかしこのメカニズムに人為的な介入が加えられると、バランスが大きく崩壊する場合がある。狩猟鳥獣の生態数は、狩猟者が狩猟期間終了後に提出する種別毎の捕獲数や捕獲場所の情報も含めて調査されており、著しく減少した場合は、一時的に捕獲禁止規制が実施され、生態数の回復が図られる。しかし実際には狩猟圧よりも生息環境の悪化が捕獲数減少を引き起こしているという意見もある。キジやヤマドリなどはメスの捕獲が禁止されており、基本的に生殖上の余剰オスを狩猟する形になっている。これを調査するために猟期初期のオス・メス別の出会い数調査も行われている。その比率はおおむね 1:1 となっており、これは現在の捕獲数が余剰オスの範囲であることを意味し、捕獲禁止は意味がないとの意見もある。

[編集] 日本国内における狩猟

日本国内では自然保護、動物愛護、住民の安全性の確保の必要性から、狩猟に使う道具、期間、場所が厳しく制限されており各猟方に応じた狩猟免許を取得したうえで狩猟者登録をして行う。職業として狩猟を行う人々を東北地方ではマタギといい、独特の習俗があった。

[編集] 日本国内で許可されている鳥獣

鳥類29種
ゴイサギマガモカルガモコガモ、ヨシガモ、ヒドリガモオナガガモハシビロガモホシハジロキンクロハジロスズガモクロガモエゾライチョウウズラヤマドリ(コシジロヤマドリを除く)、キジコジュケイバンヤマシギタシギキジバトヒヨドリ、ニュウナイスズメ、スズメムクドリミヤマガラスハシボソガラスハシブトガラスカワウ(平成19年度より追加)
獣類20種
タヌキキツネ、ノイヌ、ノネコテンツシマテンを除く)、イタチ(オスに限る)、チョウセンイタチ(オスに限る)、ミンクアナグマアライグマヒグマツキノワグマハクビシンイノシシニホンジカ、タイワンリス、シマリスヌートリアユキウサギノウサギ

[編集] 日本国内で許可されている法定猟具

むそう網、はり網、つき網、なげ網
わな
くくりわな、はこわな、はこおとし、囲いわな
銃器
散弾銃ライフル銃空気銃

[編集] 法律で禁止されている狩猟道具

  • とらばさみ(法改正に伴い、平成19年4月16日から使用不可)
  • つりばり
  • とりもち
  • 弓矢
  • 爆薬
  • 毒薬
  • キジ笛
  • 音響機器
  • 危険な罠
  • 危険な落とし穴
  • 犬に噛み付かせて捕ること
    • 禁止されているのは「犬に咬みつかせることのみにより捕獲等する方法又は犬に咬みつかせて狩猟鳥獣の動きを止め若しくは鈍らせ、法定猟具以外の方法により捕獲 等すること」であり、犬以外の動物に捕らせる事は禁止されていない(補足すると、銃猟免許を所持した者が、猟銃を携えた状態で、猟期中に、狩猟鳥獣を、「犬に噛み付かせて捕ること」は禁止されていない。本来、免許を所有しないで行える狩猟行為を禁止するために出てきた禁止事項?)。例えば、鷹狩りに関して、それを違法とする法的根拠は存在しない。

[編集] 自由猟具

上記で禁止されていない狩猟道具ならば、使用して狩猟を行うことが可能である。法定猟具でもなく使用を禁止されてもいない道具を「自由猟具」と呼ぶ。例えば鷹狩は法律上では鷹を自由猟具として使用する狩猟となる。

厳密には「素手で捕まえる」「石を投げる」などの行為も自由猟具による狩猟と見なされ、実際にパチンコ猟を行っている人物がいる。極論してしまえば、空手家が山にこもって素手でヒグマを倒す行為も自由猟具を用いた狩猟と言える。当然、素手でも期間や数などの法規を守らなければ違法行為である。

[編集] 世界各国の狩猟人口

米国:1500万(人口約2億7千万) フランス:160万(人口約6000万) スペイン:40万(人口約4000万) ポーランド:10万(人口約3000万) フィンランド:30万(人口約1000万) ドイツ:30万(人口約8000万)

日本の狩猟人口は年々減少しつつある。1979年に45万だった狩猟人口は95年には25万、07年時点で16万程度である。07年12月に起きた佐世保散弾銃乱射事件の際にはマスコミによる過剰報道により「日本はすでに米国に匹敵する銃社会になった」などと騒がれた(全国に30万丁の許可銃があることと、最近の若い世代は精神面で以前より劣悪になっているなどという理由から)。しかしこれは飛躍しすぎた話であり、データなどからも分かるように日本におけるハンターは高齢化している。 このことから、有害鳥獣の被害に苦しめられている県では、狩猟期間の延長や面接の基準を緩くしていたところもあった(銃刀法は全国共通でも許可の基準には全国で差異があり、都市部などでは面接どころか、怒鳴られて追い返されるところもある)。 特に北海道などは、エゾシカ・ヒグマに代表される「野生動物による農作物被害」に苦しめられており、一時は若手ハンターの育成などの「銃規制緩和論」もみられたが、佐世保乱射事件の影響からこの緩和傾向はストップすると思われる。

[編集] 関連項目

[編集] 外部リンク