氷室

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紀元前17世紀以来、ペルシアイラン)に伝統的な氷室ヤフチャール英語版、その外観/在・メイボード英語版
内側から見上げた上部
英国はスコットランド南西部ノース・エアシャイアの町キルウィニング英語版に残る、イグリントン城 (Eglinton Castle) の氷室/下は建造する様子を描いた想像復元図。
スコットランドの氷室の一例
17世紀後半に建造され、夏のデザートワイン、肉・魚などを冷蔵するために氷が蓄えられていた。
スペインマヨルカ島トラムンタナ山脈英語版山中で雪をかき集めて氷室小屋に運び込む人夫を描いた、1750年の絵画(一部)。

氷室(ひむろ、英語:ice house)とは、貯蔵することで冷温貯蔵庫として機能する専用施設のこと。古代より世界各地で利用されてきた蓄熱施設であり、気候により氷雪が溶けて無くなってしまう高温の時期がある地域や一年を通して氷雪が存在しない地域で利用され続けている。

掘った穴と敷き詰め包み込むためのだけでできたものや、氷雪の上に断熱材(藁、断熱シートなど)をかぶせるだけのもの[1]から、恒久的使用に耐える石造ドームまで様々な様式があるが、いずれにしても伝統的土木技術によって建造あるいは設置されるものであり[2]冷蔵庫(機械式冷温貯蔵庫)が発明される以前は現在よりも一般的であった。生鮮食品を含む食品その他の保存のほか、氷雪そのものが納涼医療に活用されることも珍しくなかった。

日本語による最狭義では、日本の氷室のみを指す(詳しくは後述)。

目次

概要 [編集]

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ペルシアの氷室 [編集]

日本の氷室 [編集]

日本においても、製氷する技術が無かった時代には、冬場にできた天然の氷を溶けないように保管する必要があった。正確な記録は残されていないが、洞窟や地面に掘った穴に茅葺などの小屋を建てて覆い、保冷したとされる。氷室の中は地下水気化熱によって外気より冷涼であるため、涼しい山中などではこの方法で夏まで氷を保存することができる。このように天然のものを保管するしかない時代、夏場の氷は貴重品であり、長らく朝廷将軍家など一部の権力者のものであった。

歴史的には『日本書紀仁徳天皇六十二年の条に額田大中彦皇子(ぬかたのおおなかつひこのみこ)が闘鶏(つげ。現在の奈良県天理市福住町)へ狩りに出掛けたとき、光るものを発見したとの記述が最初の登場とされる。それがその後も『日本書紀』の孝徳紀に氷連というが登場し、朝廷のために氷室を管理した職が存在したことがうかがえる。例えば、朝廷の要職を占めた家の一つ縣主家(主に賀茂神社神官を輩出した、亦元豪族か。賀茂神社祭神は鴨家の氏神)の家系図には「氷連」「氷室」の記述が見られる。

奈良で出土した奈良時代長屋王木簡から「都祁氷室(つげのひむろ)」と書かれたものも見つかっている。平城京では春日山に氷室が置かれ、宮中への献氷の勅祭を行った。平安京への遷都の後に奈良にあった氷室を祀る形で設けられたのが、現在、奈良市春日野町にある氷室神社である[3]

その後も氷室とそれを管理する職は各時代において存在し(律令制においては宮内省主水司に属した)、明治時代になって消滅した。

江戸時代には、毎年6月1日(旧暦)に合わせて加賀藩から将軍家へ氷室の氷を献上する慣わしがあった。また、土蔵造りの氷室が江戸市中にも作られるようになり、庶民に夏場の氷が供給されるようになった。江戸は玉川上水より水道水が飲み水として供給されていたが、夏場にはぬるくなってしまう。そのため、氷で冷やした水を売る「水屋」という商売(棒手売の一種である「水売り」を含む)が誕生した。ただし、川から汲んだ水に氷を入れたものであったため、高齢者の場合は衛生的不備がたたって腹をこわすことがよくあり、「年寄りの冷や水」という慣用句が生まれた。

氷室を題材・題名としたの演目がある。脇能物の荒神物のひとつ。

氷室の社 [編集]

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氷室の存在を示す地名 [編集]

氷室はそれが存在した場所に地名として名残をとどめている場合がある。京都府京都市北区西賀茂氷室町の「氷室町」や島根県出雲市斐川町神氷氷室の「氷室」は現存する地名であるし、氷室村氷室町は全国各地に数多く存在する、あるいは存在した集落名である。また、氷室山氷室岳、氷室台、氷室川、氷室沢、氷室大滝(氷室の大滝)、氷室池、氷室別れ(交差点の名)なども見られる。

現代日本の氷室 [編集]

1月の最終日曜日に氷室小屋に雪が詰められ(氷室の仕込み)、6月30日に雪を取り出し(氷室開き)、そして、金沢市とその周辺では、7月1日に氷を模したといわれる氷室饅頭を食べて健康を祈る。昭和30年代(およそ1955-1965年)に途絶えたが、1986年(昭和61年)に復活した。しかし近年は暖冬続きで雪不足に悩まされることが多いうえ、氷室小屋を保有する白雲楼ホテル1998年平成10年)に倒産したことから行事の継続危機が訪れたが、破産管財人の許可が下り、現在も行われている。[4]

熊本県八代市では5月31日から6月1日にかけて八代神社妙見宮)で氷室祭が行われる[5]。この祭の日を俗に「こおっづいたち」(氷朔日か)と呼び、雪の塊を模した雪餅(米粉を水で練り、蒸籠で蒸した菓子)を食べる慣わしである[5]

栃木県日光市にはかつて10軒程度の天然氷製氷業者あったが現在では3軒のみが残っており、[6] 四代目氷屋徳次郎(吉新氷室)[7][8]、松月氷室[9][10]、三ツ星氷室が氷室で天然氷を保蔵し販売している。

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脚注 [編集]

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  1. ^ 日本で雪蔵(ゆきくら、ゆきぐら)あるいは雪中貯蔵庫(せっちゅうちょぞうこ)などと呼ばれているものにもこのタイプがあり、氷室の一種とも言える。雪蔵は、酒の貯蔵によく用いられている。
  2. ^ 近代的工業技術によって建造された自然利用型の冷温貯蔵施設に「氷室」の名が用いられる可能性はあるが、そのようなものは本義からのイメージ的借用・転用と考えることができる。
  3. ^ 氷室神社”. (公式ウェブサイト). 氷室神社. 2012年5月21日閲覧。
  4. ^ 氷室の仕込み(雪詰め)・氷室開き[リンク切れ]
  5. ^ a b 氷室祭の名物 雪餅 - くまもと 食の風物詩”. 気になる!くまもと(公式ウェブサイト). 熊本県広報課、株式会社カラーズプランニング. 2012年5月21日閲覧。
  6. ^ 下野新聞動画ニュースDoSOON(ドスーン)天然氷の切り出し始まる 日光”. 2012年8月25日閲覧。
  7. ^ 天然氷|日光霧降高原チロリン村オフィシャルサイト
  8. ^ 日光 天然の氷 四代目徳次郎
  9. ^ マニアックな天然氷のお話し
  10. ^ 「天然氷」ってご存知ですか?

参考文献 [編集]

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関連項目 [編集]

関連リンク [編集]

関連項目 [編集]